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律「…痛ってぇーな」 澪「ご、ごめん。でも映画化決定したし」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 02:21:25.48 ID:5yFUr2Pl0 [1/45]
そう、それはいつも通りの風景。
いつも通りの放課後ティータイム。
澪「またお前はそうやってふざけてっ!」ゴチンッ
律「………」
律がふざけて、私が突っ込みを入れる。
こんな役回り。
傍から見たらまるで漫才だ。
私に頭をゴチンッてされても、律は笑ってまたこっちを向いてくれる。
そう、今日もいつも通り…。
いつも通りかと思っていたら。
律「……痛ってぇーな」
唯「…りっちゃん?」
澪「な、何怒ってるんだよ。こんなのいつものツッコミだろ」
律「はぁ…?」
そう、それはいつも通りの風景。
いつも通りの放課後ティータイム。
澪「またお前はそうやってふざけてっ!」ゴチンッ
律「………」
律がふざけて、私が突っ込みを入れる。
こんな役回り。
傍から見たらまるで漫才だ。
私に頭をゴチンッてされても、律は笑ってまたこっちを向いてくれる。
そう、今日もいつも通り…。
いつも通りかと思っていたら。
律「……痛ってぇーな」
唯「…りっちゃん?」
澪「な、何怒ってるんだよ。こんなのいつものツッコミだろ」
律「はぁ…?」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 02:26:04.76 ID:5yFUr2Pl0
律が怒ったような声をあげて、いつもとは違う表情で私を見ている…。
でも私は、この程度の事で律が怒る訳ないって知ってるんだ。
何年一緒にいるんだと思ってるんだよ、バカ律。
律「いい加減にしろよ。いつもいつもポカポカポカポカ」
「あたしを何だと思ってるんだよ澪は」
澪「(あ、まさか律、これもジョーク?)」
律「こっちにも非があるのはわかってるから、毎回黙って笑って返してやってたk…」
澪「そ、そうやって私を騙そうとしても無駄だっ!!」ゴチンッ
唯「わっ…」
紬「み、澪ちゃん…?」
律「…痛っ…」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 02:32:20.74 ID:5yFUr2Pl0
?何だろう。
律の様子がおかしい。
叩いた後頭部を押さえて本当に痛そうにしてる。
でもこの辺りで「バレたかーっ!やっぱり澪は騙されないかー!」なんて言ってくるんだろ?
わかってるんだよ。
律「お前…いい加減にしろよ」
澪「律?」
律は後頭部を押さえていた右手を下ろして、親の仇を見るような瞳をして私を睨む。
…そして。
パチーーンっ!!
澪「あぐっ!!」
唯「りっちゃんっ!?」
さっきまで額を押さえていた律の右手は私の頬を叩いた。
まさか律に叩かれるはずはないと思っていた私は、衝撃で床に倒れてしまう。
澪「う…ぐっ…」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 02:41:02.85 ID:5yFUr2Pl0
私はショックで右手を頬に当てたまま動けない。
もちろん痛さもあった。
けれどそれ以上に、律に叩かれたという現実に精神的ショックを感じてた。
さらに同時に律に対して怒りも湧き上がる。
紬「ふ、2人ともまぁまぁおさえて…、お茶飲みましょ?」
澪「律、私はいつも軽く叩いてやっていたんだぞ。お前今…」
律「本気ではたいたよ、今までの仕返しも含めてな。あースッキリした」
その言葉に思わず利き腕である左手が震えた。
涙も溢れてきたけれど、それが律に叩かれたショックなのか痛みなのかわからない。
澪「そっか、律…、本気でやったのか…」
律「それがなんd…」バコッ!!!
バタッ!!
紬「きゃっ…」
唯「澪ちゃん!?グーはダメだよグーはっ!!」
律「ッ…、澪てめ…」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 02:49:34.05 ID:5yFUr2Pl0
私は利き腕である左手で殴り返す。
しかも顔をグーでだ。
幼馴染だからって容赦はしてない。
さすがに律は倒れて唸っているだけで立ち上がることはできないみたいだった。
その様子に唯とムギは、急いで律の介抱に向かう。
唯「りっちゃん平気…?」ナデナデ
紬「さすがに腫れちゃってるわね…、ちょっと待っててね」
律「別に痛くねーから平気だ…っ」
澪「…さっき思いっきり痛がってただろ。だから私をぶったんだろ」
皮肉を込めて言ってやる。
律「黙ってろ、澪」
澪「…っ!」
律は一言だけそう言うと、それ以上はもう喋らない。
黙って唯とムギの介抱を受けている。
怒りを込めた瞳で律の方を見ると、鼻から出血していたようだった。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 02:56:27.70 ID:5yFUr2Pl0
対する私も、殴った左手の拳を握ったまま動けない。
律「サンキュ、唯、ムギ。もう大丈夫」
律のその言葉で、唯とムギからは、ふうっと溜め息と似たようなものがでる。
澪「……」
部室に沈黙が走る。
いつもは騒がしい軽音部の部室が、部活動時間中…私達がいるのに
ここまで静かになるなんて凄く珍しいことなんじゃないだろうか。
唯「あ、あのさ!!練習しようよ練習っ!ねっ!!私上手く引けないところがあってぇ…」アセアセッ
「ちょっと澪ちゃんに見てほし…」
律「澪。出て行けよ、もうここに用はないだろ」
唯は立ち尽くしてしまっている私に向けて言葉を発してくれたのだろうけど
律の一言でその台詞を止めた。
澪「…ッ」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 03:04:20.14 ID:5yFUr2Pl0
言う通り帰ってやろうと、自分の鞄を持ち上げる。
紬「澪ちゃん待って、少し話をしましょ…?こんなことで私達が…」
唯「そ、そうだよ!りっちゃんも怒ってないよね!ねー??」
律「…早く出て行け」
ムギと唯はやっぱり私をフォローしてくれているけど、律は私に対して怒りが収まらないみたいだ…
このままここにいても気まずい。
律の顔をこのまま見ているのも辛い。
澪「わかったよ」
あくまで冷静なフリをしていた私だけど、実は全身震えていた。
それが律にバレるのも何だか悔しい気がして、急いで部室を出る。
梓「あ、澪先パ…」
澪「……」
梓「……どうかしたんですか?」
澪「…じゃあな。梓」
部室を出た所で梓と出くわしたが、とても会話しようなんて気は起きなかったので挨拶だけして横切る。
冷静になれたのは暫く後になってからだった。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 03:12:48.74 ID:5yFUr2Pl0
帰りみち!
ど、どうしてこんなことになっちゃったんだ…
でも元はと言えば律が悪いんだ、律が私を叩くから…
…たぶん。
澪「(…ベース部室に忘れた)」
今日は厄日なのかな…。
特に何もないまま自宅に到着。
家に帰った後のことは言うまでもないと思う。
自分の部屋に直行、ベッドにダイブ。
食欲もない。
もしかしたら、と思って携帯を枕の隣に置いておいたけど、鳴ることも震えることもなかった。
もちろん、今日は殆ど眠れなかった。
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 03:22:46.41 ID:5yFUr2Pl0
次の日!
澪「(学校行きたくないな…)」
やっぱり昨日の今日だ。
3学年に上がって同じクラスになってしまったので、通学路で会うのを避けても
嫌でも教室へ辿り着いたら顔を合わせる…。
顔を合わせただけで、また怒りが昇ってきてしまうのではないか。
律に殴り返されてしまうのではないか。
そんな心配をしてしまう。
澪「(休もう…)」ベッドにモゴモゴ
澪母「みーおー、そろそろ起きないと遅刻するわよー」
部屋の入り口のドアの前から声が聞こえた。
ママに何て言うかな。
風邪でいいか。
澪「ちょっと熱っぽいから休むー」
澪母「あら、そうなの。了解了解」
ズル休みなんてする訳ないと思っているのか、ママは大人しく引き下がってくれた。
今だけは日頃の行いが良かったと感謝する。
澪「(昨日あまり眠れなかったし、ちょっと眠気あるな…)」
そう考えて寝返った後は、自然と眠りに落ちれた。
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 04:45:30.64 ID:5yFUr2Pl0
ゆうがた!
澪「(…お腹すいた)」グーキュルキュル
目を覚まして今何時なのかを確認すると、すぐにお腹が鳴った。
やっぱり人間の三大欲求の1つである食欲には勝てないな。
澪「(いい加減起きるか…)」
何か食べ物を…と思って部屋から出ようとすると
携帯が点滅しているのが目についた。
澪「誰からだろう…」ポチポチピッピ
言葉では発してみたが、想像はついている。
そもそも私にメールしてくる相手なんて極少数の人物しかいないのだから。
若干の期待と不安を保ち、携帯を開く。
澪「(メール4件に着信………15件!?)」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 04:51:57.20 ID:5yFUr2Pl0
メールはともかく着信の数には驚いた。
何か緊急の用事でもあったのかな…。悪いことしたな。
そんな事を考えながら着信履歴から見てみる。
澪「(唯に梓…、ムギ。和からもかかってきてるな)」
律からはなし…か。
私は何を期待しているんだろう。
まぁ。昨日の今日で、あんなことした私に律が謝ってくるはずないよな。
澪「(メールはっと…)」ピッピ
8:56
From:平沢 唯
Sub :澪ちゃん?今日お休みなの?
本文なし
澪「(何だこれ。唯の奴サブタイに文書いて本文なしじゃないか)」
何か焦ることでもあったのかな。
…と少し苦笑したのも束の間、2通目のメールを見て私は固まった。
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 05:02:50.59 ID:5yFUr2Pl0
11:20
From: 琴吹 紬
Sub : 澪ちゃん!!
今からでも良いから早くきて!!りっちゃんが澪ちゃんを軽音部から退部させるって!!
凄く怒っちゃってて私じゃ止められないの!!
澪「(え…?)」
背筋が凍った。
悪寒がした。
メールの文章を見る限り、これが冗談なんてとても思えない。
というか、ムギはこんなことを言う人間じゃない。
澪「(……)」
メールの着信時間を見る限り、これはまだお昼前のメールだ。
ちなみに現在の時刻は18時30分と言った所だろうか。
今から私が学校へ向かおうとも、このメールの文章を打ち込んで、
私が学校に来るのを期待しているムギには会えない。
手が震える…。
この先のメールを見るのは怖いな…。
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 05:05:46.17 ID:5yFUr2Pl0
15:21
From: 中野 梓
Sub : 無題
今すぐ学校に来てください
本当に風邪引いたわけじゃありませんよね
絶対返事下さい
澪「(梓…)」
昨日は挨拶をしただけで終わってしまった梓からのメール。
きっとあの後、梓は部室に入って唯や律から事情を聞いているんだろうな。
でも昨日の時点でメールをしてこなかったと言うことは、
昨日はそこまで大事にならないと踏んでいたということだろうか。
澪「(返せなくてすまない。梓…。ムギのあのメールを見た後じゃ…)」
どっちにしろ今からじゃ遅いかな、と思いながら次のメールへと進む。
最後のメールの着信時間は…、17時半近く、ついさっきか。
17:26
From:平沢 唯
Sub :無題
大変だよ、りっちゃんが
りっちゃんがー!!
澪「(!?)」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 05:12:51.37 ID:5yFUr2Pl0
突然これは意味がわからないぞ唯…。
前のムギと梓のメールの件とは別なの…か?これは。
4件のメールを見終わって溜め息が出る。
澪「(私は律と喧嘩して、それから一切会話もせず…)」
「(仲直りの機会も与えてもらえずに放課後ティータイムをクビにされたのか)」
さすがにこの仕打ちは酷いんじゃないか。律。
私達の関係ってこんなもんだったのか?
確かに今日休んだのは私が悪いけど、いきなり退部だなんて…。
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 05:18:56.30 ID:5yFUr2Pl0
昨日、寝付く前に何で殴ってしまったんだと反省はした。
けど、私にはそれ以上に律の行動が理解できなかったんだ。
あの時、ぶたれてしまったから私はカッとなってしまった。
口で言ってくれたら…。
澪「(…って、バカか私は。律はやめろって言ってたじゃないか。でも…)」
何故か律は私を絶対にぶたない。そんな気がしていたのに。
もちろん冗談で、とかなら別だけれど。
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 15:53:33.84 ID:5yFUr2Pl0
澪「(はぁ…)」
体が重たい。
グデーン、と言う効果音が似合うような感じで再びベッドに転がる。
凄い喪失感だ。
でも何故だろう、涙は流れてこなかった。
澪「(律…、りつ…)」
今まさに、かけがえのない親友があっさりと消えてしまった。
それと同時に軽音部であることも許されなくなってしまった。
放課後ティータイムにも当然いられない。
何だろうな、今まさにピークを迎えて、一番輝いているはずの花火が、
前触れもなく突然フッと消えてしまった感じ。
澪「(もうヤダ…)」
さすがに勝手すぎる気がしたよ。
律も、私も。
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 15:59:25.49 ID:5yFUr2Pl0
…ふと、思い出す。
澪「(あ…、ベース)」
昨日部室に忘れていったんだったな…。
明日放課後行って気まずい空気になるのも嫌だし、今のうちに回収しちゃおうかな。
時刻は19時になろうとしていた。
澪「(こんな時間に制服に着替えるなんて)」
真っ暗だった部屋に電気をつけ、朝と同じように支度をする。
もう下校時刻は過ぎているから、学校は当然閉まっているだろう。
でも先生はまだいるよな。
忘れ物をした、と言えば部室の鍵だって借りられるはず。
いつもの制服を着こなし、何となく鞄を持った後、静かに部屋を出る。
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:08:40.38 ID:5yFUr2Pl0
澪母「あら…?制服になんて着替えちゃって。これから学校?」
澪「あ…、ちょっと学校に忘れ物したの思い出して…。だいぶ調子も良くなってきたし」
当然、玄関でママに気づかれる。
私は頭の中に用意しておいた言葉を発する。
澪母「でも、これからなんて…。明日にしておいたら?」
澪「明日までに提出する宿題で使うんだ。すぐ帰ってくるよ」
澪母「あらそう…。でももう外は暗いし、気をつけるのよ?」
澪「うん、行ってくる」
言いながら靴を既に履き終えていた私は、最後の言葉とほぼ同時に家を出た。
バタンッ。
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:11:38.92 ID:5yFUr2Pl0
澪「(夜はさすがに冷えるな…)」
マフラー巻いてくればよかったかな。
寒さを飛ばすように、私は早歩きで学校に向かう。
一人で歩いていると、いつも歩いている学校までの道のりが遠く…
そして広く感じた。
澪「(別に毎日律と学校行ってたわけじゃあるまいし何考えてんだ)」クスッ
ちょっとだけ笑みがこぼれた。
別に律に嫌われて、部活を辞めたからといって、もう今後律と会わない訳じゃない。
きっと私が挨拶すれば、不器用ながらも律は『おはよう』って挨拶を返してくれると思う。
寂しくはなるけど…。
澪「(ん。あれは…?)」
もうすぐ学校に到着しそうな所、目視で校門が見える地点まで歩いてくると、
知っている影を見つけた。
澪「唯と…梓…律もムギもいるな…」
部活でこんなに遅くまで残っていたのか…
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:14:13.95 ID:5yFUr2Pl0
でも、正直今顔を合わせるのは辛い。そんな気には、とてもじゃないけどなれない。
…と言うか、会いづらいから今学校に来たわけで…。
私はメールに返事をしてないし、今日は学校を休んでいる。
何より律がいるし…。
明日みんなと会ったら、本当に風邪を引いて寝込んでいたことにしよう。
そんな事を考えていると…
梓「まったく…、律先輩……酷……す」
唯「……あ…はは…でも……」
紬「……唯ちゃ……うふふ……」
会話の一部が少しだけ聞こえてきた。
既に辺りに誰もいないせいか、声が響いているんだ。
でも何だろう。違和感を感じる。
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:16:17.53 ID:5yFUr2Pl0
唯「あずにゃん私お腹空いちゃったよー。アイス買って帰ろうよ~」
梓「帰ったら憂がご飯作って待ってるでしょうに……もう」
律「唯、お前さっき2つも食べてたくせによー」
唯「甘いものは別腹って言うじゃないのさ!りっちゃん!!」
律「えー…?」
紬「今日は宿題もなかったし、もうちょっと遅くなっても良いんじゃないかしら」
え、どうして…。
違和感。違和感だ。
澪「(何だろうコレ…)」
……そっか、みんな笑顔なんだ。
私がいないのに。
私が……。
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:19:55.00 ID:5yFUr2Pl0
澪「(ぅっ…)」
律は私がいなくても、みんなと笑ってる。
…何でそんなに笑ってるんだよ。
やめてくれよ…、そこに私は…、今お前の隣に私はいないんだよ。
そんな顔で笑わないでくれよ…。
これは律に対する怒りなのだろうか。
それとも嫉妬なのだろうか。
澪「(帰ろう…)」グスッ
鼻を啜って気持ちを少しだけ整えた後、私はUターンした。
澪「(もういいよ…)」
Uターンしたからと言って家に帰る気は起きなかった。
誰もいない道を歩いていると、この世界で私は一人ぼっちになっている気がして嫌だった。
別にそんな気はなかったのに、自然と賑やかな場所へと足が進んでいた。
人が多い。多いはずなのに…。
私に話しかける人はいないし、私が話しかける人もいない。
澪「(…そりゃ当然だよな…)」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:22:43.87 ID:5yFUr2Pl0
1分1秒経つ度に、現実を思い知らされる気がした。
そしてどこに向かうこともなく道を歩いていると…
ドンッ!!
澪「痛っ…つ」
誰かとぶつかった。
やっぱり人通りが激しい所はダメだな。
考え事もできやしない。
そろそろ帰ろう。結局何も食べてないし…。
「おい。謝れよ。てめーからぶつかってきたんだろ」
澪「……」
何だろうこの人は。
「聞いてんのか?おい」
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:28:03.51 ID:5yFUr2Pl0
澪「……さい…」
私からぶつかってなんかいないよ。
今は貴方からぶつかってきたんだ。
確かに考え事はしてたけど、前はちゃんと見て歩いてたんだ。
澪「……るさい…」
「あ?てめー、ブツブツ何言って…」
あー…、もう…
知らない奴と話すのは嫌なのに…
律だったら何て返すのかな、こういう時。
澪「…うるさい!!!!」
「…………あ?」
…つい、大声を出してしまった。
律のこと考えちゃったからかな。
知り合い相手でもないのに。
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:32:16.56 ID:5yFUr2Pl0
「…てめぇ、ちょっとこっちへ来いよ」
澪「…え…、ぁっ!」
ここで私は初めて相手の姿を見た。
私より20cm近くは背が高くて、髪は茶髪で大柄で…
露出した右肩にはタトゥーのようなものがついていて、
片手には大きめの黒いリュックサックを持っていた。
澪「や、やめ……痛っ…」
「……」
凄い力だ。これが男の人の力なのか。
とても私なんかでは逆らえない。
もちろん抵抗はしていた。
しかも結構暴れていたつもり。
でも誰もこっちに気づいてくれない。
私の姿が誰にも見えていないのだろうか?
そんなことも考えてしまう。
抵抗はしていたものの、恐怖で悲鳴をあげることもできず、
私はあっという間に誰も来ないような路地裏に連れていかれてしまった。
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:36:55.65 ID:5yFUr2Pl0
澪「…や、やだっやだやだ…!!」
男が制服の中へ手をまさぐる。
片手で私の両腕を掴む。
男は片手、私は両手だと言うのに、男の手は少しも開く気がしない。
だから上半身と下半身で精一杯抵抗する。
澪「離せ…!!離せっ!!離して!!!」
「うっせーな…」
ドサッ!
澪「あぐっ!!」
男が私の足を引っ掛けた。
簡単に転んでしまう。
澪「…な、何…っ」
そして男は私に馬乗りになると、先程手に持っていたリュックサックを、
私の顔が包むように押し付ける。
その男の押し付ける力に私は呼吸ができなくなる。
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:39:08.50 ID:5yFUr2Pl0
たまらなくなって暴れるが、両手を掴まれている上に馬乗りになられているのでは
私の力では全く歯が立たなかった。
「暴れんな。このまま殺すぞ」
澪「…ゥッ…ムぐぅ……ッ」
本当に息ができない。
苦しい。このままじゃ死んじゃう。
助けて、助けて。
ふと頭に、つい昨日喧嘩してしまった親友の名前が浮かんだ。
でもその親友はもういないんだ。
私は捨てられたんだ……。
何かを諦めるように、私は抵抗をやめた。
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:45:27.82 ID:5yFUr2Pl0
「……わかればいいんだよ」
男は先程のリュックサックから太い紐のようなものを取り出す。
何でそんなもの持っているんだ。と言う言葉は、頭の中では浮かんでいたけど
ガクガクと震えている私の口からは発せられなかった。
男は慣れた手つきで私の両手首を縛る。
もうどうにもならない。
澪「……」
「…よく見ると中々いいじゃねーか。運悪いと思ってたら今日はついてるな」
澪「……」
「何か喋れよ。元はと言えばお前が悪いんだ」
澪「…解いて」
「あ?」
私の一言で男の目つきが変わる。
「人にお願いする時は敬語、だろ?」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:48:44.02 ID:5yFUr2Pl0
澪「……」
こんな最低な事する奴に…
でも私は最後の望みにかけて言葉を発する。
どうせ助けてくれるなんてことはない。そんなのわかってるけど…
澪「助けて…ください」
「まぁ無理なんだけどさ」
澪「……」
ほらね…。
予想通りだ。
男はもう1本、両手首を縛ったのと同じ紐を取り出すと、私の口を塞いだ。
これから何をされるのか。
それを考えると震えが止まらない。
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:52:00.43 ID:5yFUr2Pl0
澪「う…」
片手は胸へ、片手はまだ殆ど触ったことがない場所へと、男の手が移動する。
こういう行為を知らない訳じゃない。
でもしたことないし、する相手もいない。
そしてこの行為は、好きな人同士ですることだ。
こんな男の手が私の体を這い回っているかと思うと吐き気がする。
澪「…ぅ……」
男はあっという間に私の衣類を剥がす。
「ガキなのに中々大きいな」
私に吸い付く。舐める。転がす。
澪「うっ…ぐぅ…っあぅ…」
自然と声が零れてしまう。
男の行為に屈したわけではない。ないんだけど…。
「へへ。所詮女だってことだな。お前も」
澪「……」
男が何を思ってそう言ったのかはわからない。
けど何故か、その言葉に凄く腹が立った。
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:55:36.49 ID:5yFUr2Pl0
澪「(もう…)」
男が私の下半身を弄る。
体に、今まで感じたことのない刺激が走る。
澪「んっ…うっ…うう…」
「もう少し…か」
私はもう男を見ていなかった。
自分が今何をされているのか、想像もしたくなかった。
澪「ふぅ…ふぅ…」
カチャカチャと音がする。
少しだけ見てみると、男が下半身を露出させていた。
あぁ、その音だったのか…と何故か私は納得した。
今の時点ではそれだけだった。
澪「はぁ…っ、はぁ…っ」
私が荒い呼吸を整えていると、男が近づいてくる。
私の守らなきゃいけない部分に、何か大きなものが当たる。
「入れるぞ」
澪「(……え?)」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 17:00:10.75 ID:5yFUr2Pl0
……。
澪「いっ!??!?!ゥッ!!!!」
メリメリッ…!!私の体からそんな音が聞こえた気がした。
深くは考えたくない。
考えたくないけど、これは多分…。
そして男が気づく。
「初めてだったのか…お前」
澪「ぅっ…!!うっ…!!」
悪いか…。
悪いかよう…。
何だか心までも泣かされてしまった気分だ。
挿入して暫く経ってから、男がゆっくりと、それでいて力強く動く。
澪「いぅッ…!!ゥ…!」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 17:06:48.07 ID:5yFUr2Pl0
痛い!!痛い!!
もう嫌だ!!痛い!!
「我慢しろ。ちょっと経てばマシになるかもな」
なるわけない!!
どれだけ痛いかわかってるのか!?
貫かれてるのはこっちなんだよ!!
もうやめてよお願いだから…!
このままじゃ壊れちゃうよ…!!
「そろそろ…」
澪「…ィ!!ひぃっ!!うっ…!!?」
「うっ…」
澪「うぅぅあぁァああぁっ!!!」
私の悲鳴と共に、お腹の中に何かが入ってくるのを感じた。
…結局、私は男が達するまで、痛み以外の感覚は生まれなかった。
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 17:11:47.01 ID:5yFUr2Pl0
……。
澪「う…」
いつから眠ってしまっていたのだろうか。
私は全裸のまま転がされていた。
周りを見ても誰もいない。
澪「……」
制服と下着はすぐ近くに折りたたんであった。
何となく持ってきていた鞄もそこに置いてある。
さっきの男がやったんだろうか。
ポツポツ…
澪「あ…」
雨だ。
この雨で、汚れた体を洗い流してくれないかな。
澪「無理だよな…、そんなの」
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 17:19:03.13 ID:5yFUr2Pl0
もう何も考えられない。
律を失って、軽音部を失って…
でも律は…、みんなは笑ってて…。
そうだよ、律は私なんかいなくてもやっていけるんだ。
もう高校3年生なんだ。
だから今回の事は、神様が私に、いい加減律離れしろって言うメッセージでもあったんだよ。
思えば。
小学生の頃、全校生徒の前での作文の発表を律に手伝ってもらってから
私はいつも、何かする時には律と一緒だった気がする。
依存していたのは私の方だけだったわけだ。
そう思ったら自然と再び瞼が落ちそうになる。
瞼が閉じる寸前、携帯の着信ランプが点滅していたけど
もう見る気になれなかった。
澪なんて死んじゃえばいいのに おわり
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 18:25:12.82 ID:5yFUr2Pl0
そしていつもの放課後ティータイム
澪「」
律「……」
唯「……」
梓「……」
紬「うふふふふ」
律「…おいムギ!なんだよこの話!!伏線貼りまくっといて色々放置かよ!!」ダーン!!!
澪「」プルプルプル…。
唯「よくわからなかったけど中々面白かったよ、ムギちゃん!!」
紬「うふふ。ありがとう、ちょっと描写入れすぎちゃったかなって思ったんだけどね」
律「これ、初日以降はドッキリなわけだろ?あたしの」
紬「えぇ、そうよ~」
律「てか大体11時20分に澪に退部どうこうってメールおかしいだろ。授業中じゃねーか」
紬「メールは全部りっちゃんが送ってる設定よ??」
律「って全部あたしなのかよっ!!」
136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 18:27:52.56 ID:5yFUr2Pl0
唯「夕方の私のメール意味不明だったもんね。『りっちゃんが!りっちゃんが~!』って」
梓「あれは律先輩が、なかなか澪先輩が学校に来ないから痺れを切らして送ったんですよね…」
「それで午後7時くらいまで澪先輩が来るのを待ってたけど、結局全然こなくて帰ろうとしたら」
律「見事に澪に見られる…と」
紬「奇跡的でしょ?」
律「ま、まぁ100歩譲ってそこまではいい……けどさ」
「何でその後澪がレイプされてんだよ!??!しかもポッと出の男に!!!」
紬「あれ、斉藤だけどね」
律「………おい」
梓「…だから行為が終わったあと律儀に制服とか折りたたんで置いてたんですね」
澪「ぅっ…ぅっ…」グスグス
唯「み、澪ちゃんが泣いた!!泣いたよー!!!」
137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 18:32:12.38 ID:5yFUr2Pl0
澪「り、りつぅ…。。律は…」
律「う!?あ、あぁー!はいはいっ!あたしは澪のことぶったりしないし、退部なんかにさせたりしないよ!」
「大体前に言ったろ?あたしら5人で放課後ティータイムって!」
唯「そうそう!誰か1人欠けてもいけないんだよね!!りっちゃんっ!」
律「あ、あああ当たり前だよ!」
澪「……りつぅううううっ!!!」抱きっ
律「あたしらは、これから大学へ行っても、社会人になってもずっと一緒さっ!」
「だから澪…、泣くなって!な?」
澪「う…うん…。でももし…」
律「…ん?」
澪「もし、もし私が変な男に連れていかれそうになったら…」
律「安心しろよ。あたしがどこにいてもかけつけてやるからさ」
澪「律ぅ…///」
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 18:34:47.96 ID:5yFUr2Pl0 [45/45]
唯「2人とも相変わらず仲がいいよね~」
紬「(この展開が見たくて、SSを書いてみたなんて言えないわっ!!)」フーッフーッ
梓「…ムギ先輩鼻息が荒いですよ……」
和「(…携帯の着信でしか登場してない私にも何か触れてよ…)」
本当に終わり。
律が怒ったような声をあげて、いつもとは違う表情で私を見ている…。
でも私は、この程度の事で律が怒る訳ないって知ってるんだ。
何年一緒にいるんだと思ってるんだよ、バカ律。
律「いい加減にしろよ。いつもいつもポカポカポカポカ」
「あたしを何だと思ってるんだよ澪は」
澪「(あ、まさか律、これもジョーク?)」
律「こっちにも非があるのはわかってるから、毎回黙って笑って返してやってたk…」
澪「そ、そうやって私を騙そうとしても無駄だっ!!」ゴチンッ
唯「わっ…」
紬「み、澪ちゃん…?」
律「…痛っ…」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 02:32:20.74 ID:5yFUr2Pl0
?何だろう。
律の様子がおかしい。
叩いた後頭部を押さえて本当に痛そうにしてる。
でもこの辺りで「バレたかーっ!やっぱり澪は騙されないかー!」なんて言ってくるんだろ?
わかってるんだよ。
律「お前…いい加減にしろよ」
澪「律?」
律は後頭部を押さえていた右手を下ろして、親の仇を見るような瞳をして私を睨む。
…そして。
パチーーンっ!!
澪「あぐっ!!」
唯「りっちゃんっ!?」
さっきまで額を押さえていた律の右手は私の頬を叩いた。
まさか律に叩かれるはずはないと思っていた私は、衝撃で床に倒れてしまう。
澪「う…ぐっ…」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 02:41:02.85 ID:5yFUr2Pl0
私はショックで右手を頬に当てたまま動けない。
もちろん痛さもあった。
けれどそれ以上に、律に叩かれたという現実に精神的ショックを感じてた。
さらに同時に律に対して怒りも湧き上がる。
紬「ふ、2人ともまぁまぁおさえて…、お茶飲みましょ?」
澪「律、私はいつも軽く叩いてやっていたんだぞ。お前今…」
律「本気ではたいたよ、今までの仕返しも含めてな。あースッキリした」
その言葉に思わず利き腕である左手が震えた。
涙も溢れてきたけれど、それが律に叩かれたショックなのか痛みなのかわからない。
澪「そっか、律…、本気でやったのか…」
律「それがなんd…」バコッ!!!
バタッ!!
紬「きゃっ…」
唯「澪ちゃん!?グーはダメだよグーはっ!!」
律「ッ…、澪てめ…」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 02:49:34.05 ID:5yFUr2Pl0
私は利き腕である左手で殴り返す。
しかも顔をグーでだ。
幼馴染だからって容赦はしてない。
さすがに律は倒れて唸っているだけで立ち上がることはできないみたいだった。
その様子に唯とムギは、急いで律の介抱に向かう。
唯「りっちゃん平気…?」ナデナデ
紬「さすがに腫れちゃってるわね…、ちょっと待っててね」
律「別に痛くねーから平気だ…っ」
澪「…さっき思いっきり痛がってただろ。だから私をぶったんだろ」
皮肉を込めて言ってやる。
律「黙ってろ、澪」
澪「…っ!」
律は一言だけそう言うと、それ以上はもう喋らない。
黙って唯とムギの介抱を受けている。
怒りを込めた瞳で律の方を見ると、鼻から出血していたようだった。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 02:56:27.70 ID:5yFUr2Pl0
対する私も、殴った左手の拳を握ったまま動けない。
律「サンキュ、唯、ムギ。もう大丈夫」
律のその言葉で、唯とムギからは、ふうっと溜め息と似たようなものがでる。
澪「……」
部室に沈黙が走る。
いつもは騒がしい軽音部の部室が、部活動時間中…私達がいるのに
ここまで静かになるなんて凄く珍しいことなんじゃないだろうか。
唯「あ、あのさ!!練習しようよ練習っ!ねっ!!私上手く引けないところがあってぇ…」アセアセッ
「ちょっと澪ちゃんに見てほし…」
律「澪。出て行けよ、もうここに用はないだろ」
唯は立ち尽くしてしまっている私に向けて言葉を発してくれたのだろうけど
律の一言でその台詞を止めた。
澪「…ッ」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 03:04:20.14 ID:5yFUr2Pl0
言う通り帰ってやろうと、自分の鞄を持ち上げる。
紬「澪ちゃん待って、少し話をしましょ…?こんなことで私達が…」
唯「そ、そうだよ!りっちゃんも怒ってないよね!ねー??」
律「…早く出て行け」
ムギと唯はやっぱり私をフォローしてくれているけど、律は私に対して怒りが収まらないみたいだ…
このままここにいても気まずい。
律の顔をこのまま見ているのも辛い。
澪「わかったよ」
あくまで冷静なフリをしていた私だけど、実は全身震えていた。
それが律にバレるのも何だか悔しい気がして、急いで部室を出る。
梓「あ、澪先パ…」
澪「……」
梓「……どうかしたんですか?」
澪「…じゃあな。梓」
部室を出た所で梓と出くわしたが、とても会話しようなんて気は起きなかったので挨拶だけして横切る。
冷静になれたのは暫く後になってからだった。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 03:12:48.74 ID:5yFUr2Pl0
帰りみち!
ど、どうしてこんなことになっちゃったんだ…
でも元はと言えば律が悪いんだ、律が私を叩くから…
…たぶん。
澪「(…ベース部室に忘れた)」
今日は厄日なのかな…。
特に何もないまま自宅に到着。
家に帰った後のことは言うまでもないと思う。
自分の部屋に直行、ベッドにダイブ。
食欲もない。
もしかしたら、と思って携帯を枕の隣に置いておいたけど、鳴ることも震えることもなかった。
もちろん、今日は殆ど眠れなかった。
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 03:22:46.41 ID:5yFUr2Pl0
次の日!
澪「(学校行きたくないな…)」
やっぱり昨日の今日だ。
3学年に上がって同じクラスになってしまったので、通学路で会うのを避けても
嫌でも教室へ辿り着いたら顔を合わせる…。
顔を合わせただけで、また怒りが昇ってきてしまうのではないか。
律に殴り返されてしまうのではないか。
そんな心配をしてしまう。
澪「(休もう…)」ベッドにモゴモゴ
澪母「みーおー、そろそろ起きないと遅刻するわよー」
部屋の入り口のドアの前から声が聞こえた。
ママに何て言うかな。
風邪でいいか。
澪「ちょっと熱っぽいから休むー」
澪母「あら、そうなの。了解了解」
ズル休みなんてする訳ないと思っているのか、ママは大人しく引き下がってくれた。
今だけは日頃の行いが良かったと感謝する。
澪「(昨日あまり眠れなかったし、ちょっと眠気あるな…)」
そう考えて寝返った後は、自然と眠りに落ちれた。
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 04:45:30.64 ID:5yFUr2Pl0
ゆうがた!
澪「(…お腹すいた)」グーキュルキュル
目を覚まして今何時なのかを確認すると、すぐにお腹が鳴った。
やっぱり人間の三大欲求の1つである食欲には勝てないな。
澪「(いい加減起きるか…)」
何か食べ物を…と思って部屋から出ようとすると
携帯が点滅しているのが目についた。
澪「誰からだろう…」ポチポチピッピ
言葉では発してみたが、想像はついている。
そもそも私にメールしてくる相手なんて極少数の人物しかいないのだから。
若干の期待と不安を保ち、携帯を開く。
澪「(メール4件に着信………15件!?)」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 04:51:57.20 ID:5yFUr2Pl0
メールはともかく着信の数には驚いた。
何か緊急の用事でもあったのかな…。悪いことしたな。
そんな事を考えながら着信履歴から見てみる。
澪「(唯に梓…、ムギ。和からもかかってきてるな)」
律からはなし…か。
私は何を期待しているんだろう。
まぁ。昨日の今日で、あんなことした私に律が謝ってくるはずないよな。
澪「(メールはっと…)」ピッピ
8:56
From:平沢 唯
Sub :澪ちゃん?今日お休みなの?
本文なし
澪「(何だこれ。唯の奴サブタイに文書いて本文なしじゃないか)」
何か焦ることでもあったのかな。
…と少し苦笑したのも束の間、2通目のメールを見て私は固まった。
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 05:02:50.59 ID:5yFUr2Pl0
11:20
From: 琴吹 紬
Sub : 澪ちゃん!!
今からでも良いから早くきて!!りっちゃんが澪ちゃんを軽音部から退部させるって!!
凄く怒っちゃってて私じゃ止められないの!!
澪「(え…?)」
背筋が凍った。
悪寒がした。
メールの文章を見る限り、これが冗談なんてとても思えない。
というか、ムギはこんなことを言う人間じゃない。
澪「(……)」
メールの着信時間を見る限り、これはまだお昼前のメールだ。
ちなみに現在の時刻は18時30分と言った所だろうか。
今から私が学校へ向かおうとも、このメールの文章を打ち込んで、
私が学校に来るのを期待しているムギには会えない。
手が震える…。
この先のメールを見るのは怖いな…。
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 05:05:46.17 ID:5yFUr2Pl0
15:21
From: 中野 梓
Sub : 無題
今すぐ学校に来てください
本当に風邪引いたわけじゃありませんよね
絶対返事下さい
澪「(梓…)」
昨日は挨拶をしただけで終わってしまった梓からのメール。
きっとあの後、梓は部室に入って唯や律から事情を聞いているんだろうな。
でも昨日の時点でメールをしてこなかったと言うことは、
昨日はそこまで大事にならないと踏んでいたということだろうか。
澪「(返せなくてすまない。梓…。ムギのあのメールを見た後じゃ…)」
どっちにしろ今からじゃ遅いかな、と思いながら次のメールへと進む。
最後のメールの着信時間は…、17時半近く、ついさっきか。
17:26
From:平沢 唯
Sub :無題
大変だよ、りっちゃんが
りっちゃんがー!!
澪「(!?)」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 05:12:51.37 ID:5yFUr2Pl0
突然これは意味がわからないぞ唯…。
前のムギと梓のメールの件とは別なの…か?これは。
4件のメールを見終わって溜め息が出る。
澪「(私は律と喧嘩して、それから一切会話もせず…)」
「(仲直りの機会も与えてもらえずに放課後ティータイムをクビにされたのか)」
さすがにこの仕打ちは酷いんじゃないか。律。
私達の関係ってこんなもんだったのか?
確かに今日休んだのは私が悪いけど、いきなり退部だなんて…。
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 05:18:56.30 ID:5yFUr2Pl0
昨日、寝付く前に何で殴ってしまったんだと反省はした。
けど、私にはそれ以上に律の行動が理解できなかったんだ。
あの時、ぶたれてしまったから私はカッとなってしまった。
口で言ってくれたら…。
澪「(…って、バカか私は。律はやめろって言ってたじゃないか。でも…)」
何故か律は私を絶対にぶたない。そんな気がしていたのに。
もちろん冗談で、とかなら別だけれど。
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 15:53:33.84 ID:5yFUr2Pl0
澪「(はぁ…)」
体が重たい。
グデーン、と言う効果音が似合うような感じで再びベッドに転がる。
凄い喪失感だ。
でも何故だろう、涙は流れてこなかった。
澪「(律…、りつ…)」
今まさに、かけがえのない親友があっさりと消えてしまった。
それと同時に軽音部であることも許されなくなってしまった。
放課後ティータイムにも当然いられない。
何だろうな、今まさにピークを迎えて、一番輝いているはずの花火が、
前触れもなく突然フッと消えてしまった感じ。
澪「(もうヤダ…)」
さすがに勝手すぎる気がしたよ。
律も、私も。
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 15:59:25.49 ID:5yFUr2Pl0
…ふと、思い出す。
澪「(あ…、ベース)」
昨日部室に忘れていったんだったな…。
明日放課後行って気まずい空気になるのも嫌だし、今のうちに回収しちゃおうかな。
時刻は19時になろうとしていた。
澪「(こんな時間に制服に着替えるなんて)」
真っ暗だった部屋に電気をつけ、朝と同じように支度をする。
もう下校時刻は過ぎているから、学校は当然閉まっているだろう。
でも先生はまだいるよな。
忘れ物をした、と言えば部室の鍵だって借りられるはず。
いつもの制服を着こなし、何となく鞄を持った後、静かに部屋を出る。
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:08:40.38 ID:5yFUr2Pl0
澪母「あら…?制服になんて着替えちゃって。これから学校?」
澪「あ…、ちょっと学校に忘れ物したの思い出して…。だいぶ調子も良くなってきたし」
当然、玄関でママに気づかれる。
私は頭の中に用意しておいた言葉を発する。
澪母「でも、これからなんて…。明日にしておいたら?」
澪「明日までに提出する宿題で使うんだ。すぐ帰ってくるよ」
澪母「あらそう…。でももう外は暗いし、気をつけるのよ?」
澪「うん、行ってくる」
言いながら靴を既に履き終えていた私は、最後の言葉とほぼ同時に家を出た。
バタンッ。
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:11:38.92 ID:5yFUr2Pl0
澪「(夜はさすがに冷えるな…)」
マフラー巻いてくればよかったかな。
寒さを飛ばすように、私は早歩きで学校に向かう。
一人で歩いていると、いつも歩いている学校までの道のりが遠く…
そして広く感じた。
澪「(別に毎日律と学校行ってたわけじゃあるまいし何考えてんだ)」クスッ
ちょっとだけ笑みがこぼれた。
別に律に嫌われて、部活を辞めたからといって、もう今後律と会わない訳じゃない。
きっと私が挨拶すれば、不器用ながらも律は『おはよう』って挨拶を返してくれると思う。
寂しくはなるけど…。
澪「(ん。あれは…?)」
もうすぐ学校に到着しそうな所、目視で校門が見える地点まで歩いてくると、
知っている影を見つけた。
澪「唯と…梓…律もムギもいるな…」
部活でこんなに遅くまで残っていたのか…
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:14:13.95 ID:5yFUr2Pl0
でも、正直今顔を合わせるのは辛い。そんな気には、とてもじゃないけどなれない。
…と言うか、会いづらいから今学校に来たわけで…。
私はメールに返事をしてないし、今日は学校を休んでいる。
何より律がいるし…。
明日みんなと会ったら、本当に風邪を引いて寝込んでいたことにしよう。
そんな事を考えていると…
梓「まったく…、律先輩……酷……す」
唯「……あ…はは…でも……」
紬「……唯ちゃ……うふふ……」
会話の一部が少しだけ聞こえてきた。
既に辺りに誰もいないせいか、声が響いているんだ。
でも何だろう。違和感を感じる。
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:16:17.53 ID:5yFUr2Pl0
唯「あずにゃん私お腹空いちゃったよー。アイス買って帰ろうよ~」
梓「帰ったら憂がご飯作って待ってるでしょうに……もう」
律「唯、お前さっき2つも食べてたくせによー」
唯「甘いものは別腹って言うじゃないのさ!りっちゃん!!」
律「えー…?」
紬「今日は宿題もなかったし、もうちょっと遅くなっても良いんじゃないかしら」
え、どうして…。
違和感。違和感だ。
澪「(何だろうコレ…)」
……そっか、みんな笑顔なんだ。
私がいないのに。
私が……。
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:19:55.00 ID:5yFUr2Pl0
澪「(ぅっ…)」
律は私がいなくても、みんなと笑ってる。
…何でそんなに笑ってるんだよ。
やめてくれよ…、そこに私は…、今お前の隣に私はいないんだよ。
そんな顔で笑わないでくれよ…。
これは律に対する怒りなのだろうか。
それとも嫉妬なのだろうか。
澪「(帰ろう…)」グスッ
鼻を啜って気持ちを少しだけ整えた後、私はUターンした。
澪「(もういいよ…)」
Uターンしたからと言って家に帰る気は起きなかった。
誰もいない道を歩いていると、この世界で私は一人ぼっちになっている気がして嫌だった。
別にそんな気はなかったのに、自然と賑やかな場所へと足が進んでいた。
人が多い。多いはずなのに…。
私に話しかける人はいないし、私が話しかける人もいない。
澪「(…そりゃ当然だよな…)」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:22:43.87 ID:5yFUr2Pl0
1分1秒経つ度に、現実を思い知らされる気がした。
そしてどこに向かうこともなく道を歩いていると…
ドンッ!!
澪「痛っ…つ」
誰かとぶつかった。
やっぱり人通りが激しい所はダメだな。
考え事もできやしない。
そろそろ帰ろう。結局何も食べてないし…。
「おい。謝れよ。てめーからぶつかってきたんだろ」
澪「……」
何だろうこの人は。
「聞いてんのか?おい」
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:28:03.51 ID:5yFUr2Pl0
澪「……さい…」
私からぶつかってなんかいないよ。
今は貴方からぶつかってきたんだ。
確かに考え事はしてたけど、前はちゃんと見て歩いてたんだ。
澪「……るさい…」
「あ?てめー、ブツブツ何言って…」
あー…、もう…
知らない奴と話すのは嫌なのに…
律だったら何て返すのかな、こういう時。
澪「…うるさい!!!!」
「…………あ?」
…つい、大声を出してしまった。
律のこと考えちゃったからかな。
知り合い相手でもないのに。
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:32:16.56 ID:5yFUr2Pl0
「…てめぇ、ちょっとこっちへ来いよ」
澪「…え…、ぁっ!」
ここで私は初めて相手の姿を見た。
私より20cm近くは背が高くて、髪は茶髪で大柄で…
露出した右肩にはタトゥーのようなものがついていて、
片手には大きめの黒いリュックサックを持っていた。
澪「や、やめ……痛っ…」
「……」
凄い力だ。これが男の人の力なのか。
とても私なんかでは逆らえない。
もちろん抵抗はしていた。
しかも結構暴れていたつもり。
でも誰もこっちに気づいてくれない。
私の姿が誰にも見えていないのだろうか?
そんなことも考えてしまう。
抵抗はしていたものの、恐怖で悲鳴をあげることもできず、
私はあっという間に誰も来ないような路地裏に連れていかれてしまった。
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:36:55.65 ID:5yFUr2Pl0
澪「…や、やだっやだやだ…!!」
男が制服の中へ手をまさぐる。
片手で私の両腕を掴む。
男は片手、私は両手だと言うのに、男の手は少しも開く気がしない。
だから上半身と下半身で精一杯抵抗する。
澪「離せ…!!離せっ!!離して!!!」
「うっせーな…」
ドサッ!
澪「あぐっ!!」
男が私の足を引っ掛けた。
簡単に転んでしまう。
澪「…な、何…っ」
そして男は私に馬乗りになると、先程手に持っていたリュックサックを、
私の顔が包むように押し付ける。
その男の押し付ける力に私は呼吸ができなくなる。
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:39:08.50 ID:5yFUr2Pl0
たまらなくなって暴れるが、両手を掴まれている上に馬乗りになられているのでは
私の力では全く歯が立たなかった。
「暴れんな。このまま殺すぞ」
澪「…ゥッ…ムぐぅ……ッ」
本当に息ができない。
苦しい。このままじゃ死んじゃう。
助けて、助けて。
ふと頭に、つい昨日喧嘩してしまった親友の名前が浮かんだ。
でもその親友はもういないんだ。
私は捨てられたんだ……。
何かを諦めるように、私は抵抗をやめた。
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:45:27.82 ID:5yFUr2Pl0
「……わかればいいんだよ」
男は先程のリュックサックから太い紐のようなものを取り出す。
何でそんなもの持っているんだ。と言う言葉は、頭の中では浮かんでいたけど
ガクガクと震えている私の口からは発せられなかった。
男は慣れた手つきで私の両手首を縛る。
もうどうにもならない。
澪「……」
「…よく見ると中々いいじゃねーか。運悪いと思ってたら今日はついてるな」
澪「……」
「何か喋れよ。元はと言えばお前が悪いんだ」
澪「…解いて」
「あ?」
私の一言で男の目つきが変わる。
「人にお願いする時は敬語、だろ?」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:48:44.02 ID:5yFUr2Pl0
澪「……」
こんな最低な事する奴に…
でも私は最後の望みにかけて言葉を発する。
どうせ助けてくれるなんてことはない。そんなのわかってるけど…
澪「助けて…ください」
「まぁ無理なんだけどさ」
澪「……」
ほらね…。
予想通りだ。
男はもう1本、両手首を縛ったのと同じ紐を取り出すと、私の口を塞いだ。
これから何をされるのか。
それを考えると震えが止まらない。
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:52:00.43 ID:5yFUr2Pl0
澪「う…」
片手は胸へ、片手はまだ殆ど触ったことがない場所へと、男の手が移動する。
こういう行為を知らない訳じゃない。
でもしたことないし、する相手もいない。
そしてこの行為は、好きな人同士ですることだ。
こんな男の手が私の体を這い回っているかと思うと吐き気がする。
澪「…ぅ……」
男はあっという間に私の衣類を剥がす。
「ガキなのに中々大きいな」
私に吸い付く。舐める。転がす。
澪「うっ…ぐぅ…っあぅ…」
自然と声が零れてしまう。
男の行為に屈したわけではない。ないんだけど…。
「へへ。所詮女だってことだな。お前も」
澪「……」
男が何を思ってそう言ったのかはわからない。
けど何故か、その言葉に凄く腹が立った。
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 16:55:36.49 ID:5yFUr2Pl0
澪「(もう…)」
男が私の下半身を弄る。
体に、今まで感じたことのない刺激が走る。
澪「んっ…うっ…うう…」
「もう少し…か」
私はもう男を見ていなかった。
自分が今何をされているのか、想像もしたくなかった。
澪「ふぅ…ふぅ…」
カチャカチャと音がする。
少しだけ見てみると、男が下半身を露出させていた。
あぁ、その音だったのか…と何故か私は納得した。
今の時点ではそれだけだった。
澪「はぁ…っ、はぁ…っ」
私が荒い呼吸を整えていると、男が近づいてくる。
私の守らなきゃいけない部分に、何か大きなものが当たる。
「入れるぞ」
澪「(……え?)」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 17:00:10.75 ID:5yFUr2Pl0
……。
澪「いっ!??!?!ゥッ!!!!」
メリメリッ…!!私の体からそんな音が聞こえた気がした。
深くは考えたくない。
考えたくないけど、これは多分…。
そして男が気づく。
「初めてだったのか…お前」
澪「ぅっ…!!うっ…!!」
悪いか…。
悪いかよう…。
何だか心までも泣かされてしまった気分だ。
挿入して暫く経ってから、男がゆっくりと、それでいて力強く動く。
澪「いぅッ…!!ゥ…!」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 17:06:48.07 ID:5yFUr2Pl0
痛い!!痛い!!
もう嫌だ!!痛い!!
「我慢しろ。ちょっと経てばマシになるかもな」
なるわけない!!
どれだけ痛いかわかってるのか!?
貫かれてるのはこっちなんだよ!!
もうやめてよお願いだから…!
このままじゃ壊れちゃうよ…!!
「そろそろ…」
澪「…ィ!!ひぃっ!!うっ…!!?」
「うっ…」
澪「うぅぅあぁァああぁっ!!!」
私の悲鳴と共に、お腹の中に何かが入ってくるのを感じた。
…結局、私は男が達するまで、痛み以外の感覚は生まれなかった。
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 17:11:47.01 ID:5yFUr2Pl0
……。
澪「う…」
いつから眠ってしまっていたのだろうか。
私は全裸のまま転がされていた。
周りを見ても誰もいない。
澪「……」
制服と下着はすぐ近くに折りたたんであった。
何となく持ってきていた鞄もそこに置いてある。
さっきの男がやったんだろうか。
ポツポツ…
澪「あ…」
雨だ。
この雨で、汚れた体を洗い流してくれないかな。
澪「無理だよな…、そんなの」
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 17:19:03.13 ID:5yFUr2Pl0
もう何も考えられない。
律を失って、軽音部を失って…
でも律は…、みんなは笑ってて…。
そうだよ、律は私なんかいなくてもやっていけるんだ。
もう高校3年生なんだ。
だから今回の事は、神様が私に、いい加減律離れしろって言うメッセージでもあったんだよ。
思えば。
小学生の頃、全校生徒の前での作文の発表を律に手伝ってもらってから
私はいつも、何かする時には律と一緒だった気がする。
依存していたのは私の方だけだったわけだ。
そう思ったら自然と再び瞼が落ちそうになる。
瞼が閉じる寸前、携帯の着信ランプが点滅していたけど
もう見る気になれなかった。
澪なんて死んじゃえばいいのに おわり
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 18:25:12.82 ID:5yFUr2Pl0
そしていつもの放課後ティータイム
澪「」
律「……」
唯「……」
梓「……」
紬「うふふふふ」
律「…おいムギ!なんだよこの話!!伏線貼りまくっといて色々放置かよ!!」ダーン!!!
澪「」プルプルプル…。
唯「よくわからなかったけど中々面白かったよ、ムギちゃん!!」
紬「うふふ。ありがとう、ちょっと描写入れすぎちゃったかなって思ったんだけどね」
律「これ、初日以降はドッキリなわけだろ?あたしの」
紬「えぇ、そうよ~」
律「てか大体11時20分に澪に退部どうこうってメールおかしいだろ。授業中じゃねーか」
紬「メールは全部りっちゃんが送ってる設定よ??」
律「って全部あたしなのかよっ!!」
136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 18:27:52.56 ID:5yFUr2Pl0
唯「夕方の私のメール意味不明だったもんね。『りっちゃんが!りっちゃんが~!』って」
梓「あれは律先輩が、なかなか澪先輩が学校に来ないから痺れを切らして送ったんですよね…」
「それで午後7時くらいまで澪先輩が来るのを待ってたけど、結局全然こなくて帰ろうとしたら」
律「見事に澪に見られる…と」
紬「奇跡的でしょ?」
律「ま、まぁ100歩譲ってそこまではいい……けどさ」
「何でその後澪がレイプされてんだよ!??!しかもポッと出の男に!!!」
紬「あれ、斉藤だけどね」
律「………おい」
梓「…だから行為が終わったあと律儀に制服とか折りたたんで置いてたんですね」
澪「ぅっ…ぅっ…」グスグス
唯「み、澪ちゃんが泣いた!!泣いたよー!!!」
137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 18:32:12.38 ID:5yFUr2Pl0
澪「り、りつぅ…。。律は…」
律「う!?あ、あぁー!はいはいっ!あたしは澪のことぶったりしないし、退部なんかにさせたりしないよ!」
「大体前に言ったろ?あたしら5人で放課後ティータイムって!」
唯「そうそう!誰か1人欠けてもいけないんだよね!!りっちゃんっ!」
律「あ、あああ当たり前だよ!」
澪「……りつぅううううっ!!!」抱きっ
律「あたしらは、これから大学へ行っても、社会人になってもずっと一緒さっ!」
「だから澪…、泣くなって!な?」
澪「う…うん…。でももし…」
律「…ん?」
澪「もし、もし私が変な男に連れていかれそうになったら…」
律「安心しろよ。あたしがどこにいてもかけつけてやるからさ」
澪「律ぅ…///」
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/29(水) 18:34:47.96 ID:5yFUr2Pl0 [45/45]
唯「2人とも相変わらず仲がいいよね~」
紬「(この展開が見たくて、SSを書いてみたなんて言えないわっ!!)」フーッフーッ
梓「…ムギ先輩鼻息が荒いですよ……」
和「(…携帯の着信でしか登場してない私にも何か触れてよ…)」
本当に終わり。
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