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幼馴染「アンタとは絶対付き合わない」 男友編等

265 名前:男友編[] 投稿日:2010/09/23(木) 14:01:26.42 ID:A3yfuK0vO [71/93]
2月か…女友のバイトを手伝って、半年か…。そういえば男と幼馴染は最近めっきり学校に来なくなったな…。

女友「なんか退屈…」

男友「まったくだなぁ…」

退屈ってレベルじゃないな。あいつらそういえば地方からこの高校に来るために一人暮らしだったっけ?てかこの高校は半分くらいがそうなんだけど。じゃ、実家に帰ったのか?

関連
幼馴染「アンタとは絶対付き合わない」
266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 14:03:31.98 ID:A3yfuK0vO [72/93]
だとしたら、俺たちに一報いれてくれてもよかろうに。

男友「はぁ…」

女友「どしたの?」

男友「今日、男の部屋にいってみようかなってさ」

女友「私もいく~」

男友「今日はバイト休みだからな、調度いいな」

267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 14:05:41.96 ID:A3yfuK0vO [73/93]
アパートの階段を登る。何か変だ。幼馴染の部屋は隣らしいけど、誰もいない…。

男の部屋に、人の気配がした。


ノック

出た

男「おう、久しぶり」

268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 14:07:39.64 ID:A3yfuK0vO [74/93]
男友「おうじゃねーよ、学校サボりすぎだろ…」

男「ま、入ってくれ」

断る理由もないからお邪魔する。
男は3人分のコップをもって、テーブルに置いた。

男「まず、二人に謝りたいことがあるんだ」

269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 14:10:47.92 ID:A3yfuK0vO [75/93]
女友「え…」

男友「…!」

男「ごめん…今まで…言えなくて…」

幼馴染ちゃんがガン?いや、なにより重要なのは死んだこと。もういないということ。

男友「………」

親友を疑ったのは初めてかもしれない。何故言わなかったのかと。何故最期を俺たちにも看取らせてくれなかったのかと。

震える右手。

俺は必死だった。

270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 14:16:56.47 ID:A3yfuK0vO [76/93]
女友は子供のように大泣きしている。まぁこいつは子供だが。

怒りと悲しみの懸命にこらえ、尋ねた。

男友「お前は、どうすんの?」

男「俺は実家に帰って、医者の勉強をすることにした。向こうの高校でな」

そっか…予想通りだな。

男「あいつがガンで死んだなら、ガンの治療の技術をさらに進歩させる、そんな医者になりたい」
男「どうだ、単純だろ」

否定はしない。

本当はひきとめたい。
だが、これはこいつの選んだルートだから、邪魔する必要もない。

男友「わかった…元気でな…!」

男「あぁ…!」

俺達らアパートをあとにした

271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 14:20:04.74 ID:A3yfuK0vO [77/93]
男友「いい加減泣きやめよ…」

女友「だって…だってぇ…!」

やれやれ…俺だって泣きたいわ。明日も学校だ。家に帰って大泣きして、それでも明日は来るのだ。

俺は帰った

273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 14:23:45.36 ID:A3yfuK0vO [78/93]
翌日、先生からの軽い男と幼馴染に関する報告を受けたあと、いつものように授業をうけた。

『トントン』

肩を叩かれた。

女「男友君って、男くんの親友だったわよね…かわいそうに…」

うん…気持ちはありがたいよ?

俺の席の後ろにはお世辞にも可愛いとか、スリムだとはいえない女が座っていた。

274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 14:26:56.07 ID:A3yfuK0vO [79/93]
女「そうそう、男友君、今日私、新しいカフェに行くんだぁ」

…それで?

男友「うん」

女「男友くんも一緒にどうかなぁ…て、キャッ」

お前がもうちょっと上品だったらよかったんだが…

男友「すまん!今日はバイトがあるんだっ!!」

女「えぇっ…」

バイトがあるし、俺には女友もいる。くだらぬまやかしに惑わされる俺ではない!

275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 14:31:11.10 ID:A3yfuK0vO [80/93]
女友「今日はスーパーだなぁ」

男友「俺はバーガーショップだよ」

女友「うぅ…なんか本当にゴメンなさい…手伝ってもらって…」

男友「おいおい、それ言い続けて半年だぞ?」

男友「ごめんなさい、よりありがとうの方がありがたい」

女友「じゃ…ありがとうっ!」

男友「おうっ」

バイトは楽ではないが、充実している。

276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 14:33:11.13 ID:A3yfuK0vO [81/93]
俺はレジをしていた。料理あんまり得意じゃないし。

男友「はい、次のお客様ー」

男友「…え…」

男友「お前、新しいカフェに行くんじゃ…」

女「気が変わったの…ふふっ」

なにこれこわい

278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 14:38:23.64 ID:A3yfuK0vO [82/93]
ふぅ…今日のバイトは終わった。女友を迎えに行くとしよう。
男友「お疲れ様でしたー!」

今日は早めに終わったから、向こうはまだ終わってないかもな。

女「男くん…」

!!

男友「いつから…?」

女「ずっと終わるの待ってたの…一緒に帰りましょ?」

こいつが可愛かったら俺の意思は揺らいでいたんだが…

その体型でハンバーガー食うからますますだな…
これは言う訳にはいかない。仮にも相手は女の子だ。

男友「お、俺寄るとこあるから!」

女「一緒に行くわ!」

ふざけんな!

279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 14:41:50.34 ID:A3yfuK0vO [83/93]
俺の足は結構速いんだ!邪眼の力を舐めるなよ!!

走る俺。遠退く武威…いや、女。

ふぅ…マいたか…。結局女友のスーパーに早めについたな。

女友「どーしたの?そんなにゼェゼェ言って」

男友「もう終わったのか?」

女友「うんっ待たせてごめんね」

男友「いえいえ」

はぁ…疲れた…

280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 14:45:40.84 ID:A3yfuK0vO [84/93]
そういえば昔を思い出す

男「お前ってモテるよな?」

男友「喧嘩売ってんの?」

男「いやいや冗談じゃなくて、先週も女さんに告白されてたな」

男友「あぁ…あの人はしつこいからな…もう12回目だよ」

男「………」



思い出すなぁ。友人からモテるとか言われたらちょっと本気にしてしまう。

女友「見て、ケーキもらって来たのっえへへ」

男友「お、マジか」

二人で食べることにした。

281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 14:50:37.02 ID:A3yfuK0vO [85/93]
翌日
学校

また肩を叩かれた。無視する理由はないので応答

男友「な、何?」

女「男友君走るのはやいよぉ~ひどぉい」

ひどいのはお前の…ゲフンゲフン

女「いっこ聞きたいんだけどぉ~」

男友「何よ?」

女「なんで学校からの帰り道、女友ちゃんと一緒なの?」

あ、マズいな。クラスには一応秘密だった。

男友「たまたまだよ。帰る方向一緒なだけさ」

女「よかったぁ、私、浮気だと勘違いしちゃった!」


………へ?

283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 14:53:18.69 ID:A3yfuK0vO [86/93]
浮気って?

男友「どういうこと?」

女「やぁねぇ、アタシ達のことよ」


やだ…この子大勘違いしてる……!!

女「浮気はダメよ?」


あぁ、俺は女友一筋だ…!お前じゃないかんね!!

男友「……」

何かがマズい

284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 14:57:01.95 ID:A3yfuK0vO [87/93]
帰り道

男友「助けてくれ…」

女友「どーしたの?」

男友「女さんに最近からまれてだなぁ…」

女友「うんうん」

男友「やだなぁ…あの人しつこいんだもん…」

男友「やばいな…」

女友「私のこと…キライになっちゃう……の…?」

男友「違う違う泣くな泣くな」

女友「なーんだ」

こっちもこっちで対応が読めないなぁ

285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 14:59:30.03 ID:A3yfuK0vO [88/93]
男友「ハッ」

後ろを振り向く

電柱

女さん…お腹…お腹ハミでてる…。

女友「あーっ女さんだ!!」

あっバカ!!

女「ふふっ…バレちゃ仕方ないわね…」

バレバレだからね、仕方なくないからね

286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 15:04:00.01 ID:A3yfuK0vO [89/93]
女「単刀直入に言うわ…」

な…なんだ?

女「私の男友くんに近づかないでちょうだい!!」

うああああああああっ!!何言ってんだこいつ!!

女友「…えっ!?」ガーン

お前もお前で真に受けるな!!

女友「そんな…そんなぁ…」ガクッ

男友「お…おいおい…」

女「ふふっこんなおチビで貧相な体の女はほっといて行きましょ」

お前は豊満すぎるんだよ。お腹が。

女友「うわぁあああん…!!」

どうしろってんだ…

287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 15:12:41.71 ID:A3yfuK0vO [90/93]
言うべきか…いや、言うしかない!!

男友「俺の彼女は女友だ!!」

女友「ふぇ?」

女「なっ!!?」

何故驚く!?

女「私…は?」

お前はただのクラスメイトDだ

男友「彼女じゃない!!」

言えた!!言えた!!

女友「男友……本当??」

男友「こんなところで嘘言ってどうすんだ。ホラ、行くぞ」ギュッ

女友「う…うんっ…///」

振り返ると女さんが呆然と立ち尽くしていた。
なんかかわいそうな気もするが、時にはガツンと言ってやったほうがいい。さ、バイトバイト。


女「いいえ…男友くんには私が必要なんだから…アハハハハ……」ボソッ

288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 15:20:16.51 ID:A3yfuK0vO [91/93]
バイト終了!
さ、迎えにいくか

女「……」

男友「コ…コンチャース…」

女「今日は逃がさない…」

ヒイッ

男友「…やだなぁ…逃げるってなんだよ…」

女「女友さんのところへ?」

男友「うっ…」

女「やっぱり…ふふっまぁいいわ、行きなさい…」

な…なんだ?無事に行けるみたいだな。よかったよかった

289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 15:24:40.20 ID:A3yfuK0vO [92/93]
男友「はぁ…」

女友「?」

男友「なんでもないよ」

女友「ふぅん」

いやいや、こいつを不安にするわけにはいくまい。

そう思って、さっきのことは黙っておいた。

291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/23(木) 15:32:31.67 ID:A3yfuK0vO [93/93]
翌日
学校

『とんとん』

またか…

男友「何?」

女「ふふ…これ見て…」

左手に包帯?なんだ?邪王炎殺拳の使い手か?

女「昨日男友に冷たくされたから…切っちゃった…フフッ」

リストカットですかマジパネェッス

男友「へ…へぇ…」

もうやだこの人…

356 名前:またせたな![] 投稿日:2010/09/24(金) 21:27:55.29 ID:82e6UgdjO [3/30]
休み時間
女友「ねーね」

男友「ん?」

女友「卒業したら、どうすんの?」

男友「まぁ…とりあえず大学かな」

女友「やっぱり」

男友「お前は?」

女友「ぁ…ぇ…」

あ…しまったな。俺がこいつのバイトを手伝ってる理由を忘れてた。
男友「ご…ごめん…」

女友「んーん、気にしちゃダメ」

んなこと言ってもだな…

女友「あ、そろそろ授業だね」

男友「なぁ」
女友「ん?」

男友「なんで進路のこと…聞いたんだ?」
女友「…私に歩幅合わせるつもりじゃなくてよかったってことっ!」
あぁ、なるほど…。

358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 21:31:02.48 ID:82e6UgdjO [4/30]
授業

『トントン』

………
『トントン』
……無視だ…無視……

女「男友くん」

くっ…

男友「な、何?」

女「さっき女友ちゃんと何話してたの?」

くっ…

男友「はは、なんでもない世間話だよ」

女「嘘。しらばっくれないで」

うっ

女「女の子に嘘は通じないんだから。」
こいつは…やるな……

360 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 21:32:46.16 ID:82e6UgdjO [5/30]
女「何?」

男友「あ…今授業中だから…」クルッ

うまい…ファインプレーだ俺!!



放課後

女「で?」

男友「ん?」

361 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 21:34:48.90 ID:82e6UgdjO [6/30]
女「さっきの話…」

男友「おおっと、バイトの時間だ!すまんな!」

なんかごめん…

あれ?追ってこないな…



教室


女「いいわ、女友さんが貴方を束縛してるんでしょ…今助けてあげるから…ふふ…」

362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 21:38:27.64 ID:82e6UgdjO [7/30]
帰り道

女友「どーしたの?最近」

男友「あぁ…ちょっとな…」

女友「疲れてるの?いいよ?休んでも。体壊したら大変だよ!!」
女友「もともと私の事だから…」
女友「だからさ、」

男友「疲れてる訳じゃないんですなぁ…」

女友「…?」

男友「大丈夫、俺はまだまだバリバリだから!」

女友「そっ…か…」

364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 21:52:31.30 ID:82e6UgdjO [8/30]
男友「じゃ、俺はバイトするから…」

女友「無理しちゃ…ダメだよ?」

男友「わかってる」

体には殆ど疲れはない。慣れって凄いな。ただ、精神的な疲れがなぁ…ただ一人の猛烈なアプローチで…

365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 21:58:25.94 ID:82e6UgdjO [9/30]
バイト中

女友「はーいっ次のお客さまーっ?」

女「………」

女友「女さんっ?」

女友「どーしたのさっ偶然だねっ!」

女「本当…おめでたい頭してるわね」
女「ちょっときて」グイ

女友「いたた…ちょっとダメだよっ…バイト中なんだか…」

店長「友達かい?今日は元々早く閉める予定だったから、行っておいで。青春だねぇ」

女「なるほど…店長公認よ?」

女友「うぅ…行けばいいんでしょ…」

366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 22:09:03.37 ID:82e6UgdjO [10/30]
女友「どーしたの?こんなところに呼び出してさ」

女「単刀直入に言うわ…貴女は男友くんに愛されてない!」
女友「ふぇえ!?」ガーン

女友「ぅ…そんなぁ…」ガクッ

女「ひざまづいてる場合じゃないわよ?」

女「男友くんがいずれここに迎えにくるわよね」

女友「う…うん…」

女「貴女が店にいないって知ったら、男友はきっとそのまま帰るわ!探しもせずにね!」

女友(う…たしかに帰りそー…)

367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 22:16:03.23 ID:82e6UgdjO [11/30]
女「ほら…来たわよ…」

女友「うぅ…」

女「私達は向こうからじゃ遠くて見えないから、ここなら安心ね」

女友「男友…」




女「ほら!店長にいないって聞いたとたん、見た?回れ右したわよ!?」

女友「あぁう…そんなぁ…」


368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 22:18:49.03 ID:82e6UgdjO [12/30]
ふぅ…こっちは終わったからさっさと迎えに行ってやるか。
あれ?いない。

店長「何のようかね?」

男友「あの…女友って奴を…」

店長「あぁ、あの子なら女の子とどこかに行ったよ。引っ張られてる感じだったが」

…嫌な予感しかしない。




捜すか!

369 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 22:28:02.61 ID:82e6UgdjO [13/30]
女「聞いたわよ?貴女ビンボーで男友くんに手伝わせてるんだって?」

女友「う…」

女「かわいそうよねーこんなお荷物背負わされて…しかもこんなチビでまな板体型で…」

女友「ぅ…ぅ…」グスッ

女「こんどは泣きマネ?もしかして男友くんに近づいたのは手伝わせるために…」

女友「違うもんッ!!」

女「っ」

女友「違う!!違うよぉッ!!」

女友「…ッ」ダッ

女「ッ!…まっ待ちなさい!」

372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 22:35:54.35 ID:82e6UgdjO [14/30]
男友「はぁ…はぁ…どこに行った」

男友「あの野郎…見つけたら瞬獄殺喰らわせてやる…」

男友「ええい何処だ」


交差点


女友「ハァ…ハァ…」タッタッタッ

女「待ちなさい!」ドスッドスッドス

女友「ハァ…ハァ…」ピタ…


男友「……」

男友「うぬの拳…見せてみよ…!」

男友「たくっ…心配かけさせやがって」スタスタ

『プップーーーーッ!!』

女友「男友ッ!来ちゃダメッ!!!」

男友「わわっ」

『ドンッ!』

373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 22:39:33.62 ID:82e6UgdjO [15/30]
病院

男友「いやー…」

女友「ばか…」

いやーまいった。両足骨折で車イスとか笑えねーよ…。

女友「両足骨折で済んだからよかったんだよ?もしかしたら…」

男友「はいはいごめんなさいね」

早く治して手伝ってやらんとな…

女「男友くん!?大丈夫!?」

……入院期間が延びそうだな…

374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 22:45:26.66 ID:82e6UgdjO [16/30]
女「…まだいたの…」

女友「な…なにさ!」

?状況が読めん…

女「男友くんを好き勝手使った揚句、こんな大ケガまで…」

女友「使ったなんて…そんな…」

??え?

375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 22:50:10.70 ID:82e6UgdjO [17/30]
『キィ…キィ…』

女の子に押してもらうって結構恥ずかしいな…。

男友「さっきのは何の話だ?女さんがやたら意味深な口調で『いずれわかるわ、本当に相応しいのはどちらか』みたいなこと言ってたけど…」

女友「…」
女友「ね、外行っていい?」

男友「ん?あぁ」

376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 22:57:01.12 ID:82e6UgdjO [18/30]
風が結構気持ちいいな…

男友「ふぅ…結構久しぶりに外出た気分だな…」

女友「ね…男友…」

男友「ん?」

女友「私のこと…」
女友「好き…?」

これはこれは…。でもこうして聞かれて、答えるにはやっぱり気恥ずかしいな…。
俺はそのままの気持ちを伝えることにした。

男友「い、言わせんな恥ずかしい…」

女友「そ…そっか…そうだよね…」

ん?

女友「私なんか…ただのお荷物だもんね…手伝ってもらって…なんで気付かなかったんだろ…えへへ…」

男友「な…何を…」

女友「ごめん…今までごめんね…!」ダッ

…なんか勘違いされた。

379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 23:02:12.76 ID:82e6UgdjO [19/30]
病室

なんか俺が空気読めてなかったみたいだな…。でもどっかのケータイ小説みたいに『俺も愛してる!』とかは言えないわけで。

『ガチャ』

女「…男友くん…ふふ…」


いた。俺より空気が読めない奴が…

381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 23:09:28.49 ID:82e6UgdjO [20/30]
女「女友さんは?」

男友「なんか…帰った…」

女「そう。ふふ」

女「入院中の男の人ってタマっちゃうらしいわね?」

な…なんだ?

女「ナースの代わりに私がやってあげる…ふふっ」

そこから何が始まるんです?
やめろ!皮がぶ厚い顔を近づけるのは!!

女「女友さんはこんなことしてくれないでしょ」

男友「いや…してもらいたくない…(お前には」

女「あの子もやっと自分の身をわきまえて消えてくれたみたいだし…」

身をわきまえて…?

男友「おい、どういうことだ」

383 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 23:14:31.19 ID:82e6UgdjO [21/30]
女「男友くん、あの子に散々コキ使われてたでしょ?」
女「だから私が助けてあげたのよ。貴方を」

…コキ使われてた?

女「あの子は貴方を利用するために、貴方に近づいたのよ?今回貴方がバイトできないと知ったとたん帰ったじゃない。あの子は残忍な女ね…」



女「だから私と」
男友「ちょっと黙っててもらえる?」

女「…え?」

男友「こんなペタペタした足音は珍しい」


『ガララッ』

385 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 23:20:37.43 ID:82e6UgdjO [22/30]
女友「……」

女「なによ!出ていきなさいよ!」

男友「どーぞいらっしゃい」

女「なっ…」

女友「これ……お見舞いの…」

こういう時って、やっぱりその場で開けるのが礼儀なのか。
そう思って開けた。

中にはメロンが入っていた。

男友「お…おぉ…」

女友「余計なこと…しちゃったかな…」ビクビク

男友「そーだなー袋にレシートが入っちゃってるな」

女友「あッ!?」

こんなに高いの買っちゃって…

男友「今日…晩メシは?」

女友「だ、大丈夫だよ!店長さんからパンの耳…もらったからさっ」

387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 23:27:04.33 ID:82e6UgdjO [23/30]
男友「ばーか、パンの耳で腹が膨れるか。晩メシ、看護師の人にお願いするからさ、二人分用意してもらえるように」

女「こ…こんなの…私はもっといいお見舞いの品を…!」

男友「悪いな、俺は病院食とこのメロンでお腹いっぱいになりそうだ」
男友「やっぱりこいつしか無理だね。悪いけど」

女友「ぁ…///」

女「…ッ!!」

『ガララッ』
『バタンッ!!』

女友「怒っ…ちゃった…」
女友「病院食って元々数が決まってるんじゃないの…?」

男友「大丈夫だよ、余りくらい用意してるでしょ」

393 名前:やめてくれ…心がボッキンしそうだ[] 投稿日:2010/09/24(金) 23:33:21.83 ID:82e6UgdjO [24/30]
男友「デザートはメロンですか」

女友「う…うん…」

男友「はい、お前の分」

女友「いいの!?」

男友「お前が買ってきたんだろが」

男友「あと…俺、言葉にするのは恥ずかしいからさ」
男友「ペンと紙貸して」

女友「あ…うん…」

男友「…前の質問の答えなんだけど…」カキカキ

男友「これでいいかな」ピラッ


女友「……」
女友「うんッ……!」



fin

397 名前:少女編 本編から8年後[] 投稿日:2010/09/24(金) 23:39:23.30 ID:82e6UgdjO [25/30]
正直死にたいです。

今は病院にいます。
腰から下の感覚がありません。目は…ほとんど見えません…。

『コンコン』

誰ですか?

とりあえず
少女「どうぞ」

と言ってみました。

入って来たのはドクターでした。

友達なんか来るはずありません。

398 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 23:42:04.59 ID:82e6UgdjO [26/30]
ドクター「どう?」

少女「昨日と同じです」

気分はすぐれませんが。

ドクター「気分は?」

少女「…昨日と同じです」

ドクター「そうか…」

何か書いてる音。

そっか、記録以外に私と話すことも理由もありませんからね。

399 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 23:45:31.97 ID:82e6UgdjO [27/30]
ドクター「はい、体温計」

少女「普通はこういうのは、看護師さんがやるんじゃないんですか…?」

ドクター「まぁね、でも一応主治医っていうか…担当だから、できるだけ直接見ておきたい」

声だけの会話は味気がありません

ドクター「目は?」

少女「…見えません…」

ドクター「はいよ」

403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 23:52:00.50 ID:82e6UgdjO [28/30]
ドクターは聞いてきました。

ドクター「いくつだっけ?」

少女「…17です…」

ドクター「なるほど…原因はまだ教えてくれないのか?」

少女「…すみません」

ドクター「いや、いい、いい」

いじめで、クラスメイトに高い窓辺から落とされました。
言いたくない。
ただの転落ということにしています。院内では。

404 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 23:54:46.80 ID:82e6UgdjO [29/30]
ドクター「じゃ、今日は遅いから、もうおやすみ」

少女「おやすみなさい」

結局、何かを書いている音しかしませんでした。
きっと、医者なんて患者を金づるとしか見てないんでしょう?

疲れたから寝ました

407 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/24(金) 23:58:39.60 ID:82e6UgdjO [30/30]


看護師「朝よ…起きてね」

少女「…んむ…」

結構寝付きはよかったみたいです。

看護師「はい、体温はかるからね」

またですか。異常があるのは下半身と目なのに、なんで熱を?

ドクター「熱はかられるの嫌そうだな、あはは」

ドクターがログインしました。

408 名前:文体が全てじゃない(キリリィッ![] 投稿日:2010/09/25(土) 00:05:12.29 ID:GOPbmWwyO [1/100]
ドクター「熱が出ると、神経に異常が出るかもしれないんだぞ?そしたら、もっと不自由になるんだぞ」

納得。

看護師「…うん、多分体温は異常ないです」

ドクター「ありがと」

ドクター「なんというか、目はともかくとして、麻痺も完全ではないにしろ、回復は出来そうなんだよね」

少女「何回も聞いてます」

ドクター「そうだっけ?」

そういえばこの人、私のところにいつも居ます。

少女「他の患者さんは?」

ドクター「診てるよ?よっぽど酷いときは」

私もその一人ですか。

411 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 00:10:17.48 ID:GOPbmWwyO [2/100]
看護師「この先生はこんな歳でスゴイのよ?天才とかなんとか業界ですごいんだから」

ドクター「そういう事本人の前で言わないの!意識しちゃうでしょうが」

そ…そうなんですか…。ん?『この歳』?

少女「ドクターって…いくつなんですか?」

ドクター「26」

若い…!そんな歳でメスを持たせてもらえる事すら珍しいのに。

看護師「医学部首席でしたっけ?」

ドクター「忘れた」

ちょっと尊敬しようと思いました。

413 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 00:13:54.25 ID:GOPbmWwyO [3/100]
ドクター「たまには外出ますか」

外か…気乗りしません…。

少女「いいです」

ドクター「ほら、車イス乗った乗った」

少女「うぁッ!?ちょっと!降ろしてください!」

ドクター「このまま担いでってやろうか」

少女「降ろしてください!」

414 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 00:18:32.77 ID:GOPbmWwyO [4/100]
波の音

結局連れてこられました。

ドクター「いやー…浜風がいいねぇ」

寒いです。

腕は動くので、車イスは自分でも操縦できますよ。

ドクター「どこいく?」

少女「海なんて見ても…そもそも見えませんし…」

ドクター「ばか、男は海に風を求めるんだ」

少女「私は女です」

ドクター「そのまま、あと1、2メートルいけば溝にはまるぞ」

うっ…

415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 00:23:29.77 ID:GOPbmWwyO [5/100]
ドクター「お前はまだ一人じゃ危ないからな、最初は助けてもらいなさいよ」

少女「うっ…はい…」

ドクターが意外に若いと知って、ちょっとは話しやすくなりました。

それがどうしたと言うんでしょうか。今日はもう寝ます。

417 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 00:27:59.05 ID:GOPbmWwyO [6/100]

看護師「起きてー」

少女「んむ…」

看護師「はい体温計」

少女「はい」

理屈を知ったので体温計を脇に挟みます。

体温計を計り終えて、しばらく本を読んでいると、昼になりました。

ドクターはまだ来ません

418 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 00:32:19.76 ID:GOPbmWwyO [7/100]
少女「すみません、ドクターは…」

看護師「あぁ、あの人は友人の結婚式に行ったわよ」

看護師「『やっとかよ』とか言いながら、結構楽しみにしてたみたいで」

へぇ…結婚式に出席するのは結構社会人的なことだと思ってました。

看護師「まぁ、明後日には帰るかな?」

明後日ですか…

419 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 00:35:41.97 ID:GOPbmWwyO [8/100]
翌日

暇。いつも暇ですが、今日は特に。私を突き飛ばした男の子の母親がお見舞いに来ました。

なんと言っていいかわかりませんでした。
でもドクターに原因がバレないから、タイミングはよかったです。

明日か…

420 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 00:38:40.86 ID:GOPbmWwyO [9/100]


この部屋は患者は私一人なので、夜は静かです。

看護師さんがたまに様子を見にきてくれました

看護師「母さんは?」


こればっかりは答えようがありません。

とりあえず家にいるんじゃないでしょうか

421 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 00:43:25.17 ID:GOPbmWwyO [10/100]
翌日

ドクターが帰ってきました。

ドクター「お土産は買ってきた。だが引き出物は渡さん」

だれも引き出物が欲しいとは…
とりあえずお土産はいただきました

看護師「どうでした?」

ドクター「あぁ、緊張したね。友人代表スピーチ…」

嬉しそうに話してましたが、一瞬寂しそうな声を見せたのを覚えてます。

424 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 00:54:26.80 ID:GOPbmWwyO [12/100]
大きなサイレンが聞こえました。

看護師「急患!かなり重傷です!!」

ドクター「!」
ドクター「わかった!!状態を簡単に言ってくれ!すぐに行く!!」

私と話しているときでした。少し大きな声を出したのでビックリしました。

ドクター「…わかった、とりあえず……」

あんな真剣な声、聞いたことありません。いつもフザけた話し方なのに

426 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 00:59:27.34 ID:GOPbmWwyO [13/100]
3時間?4時間?とにかく長い時間の後、ドクターは戻って来ました。

ドクター「ふぃーっ…」

いつもの声でした。

少女「どうだったんですか?」

ドクター「あぁ、ヤバかったな。あとちょっと遅れてたらってトコ」

患者にそんな事言っていいんでしょうか。いや聞いたのは私だけど。

ドクター「そういやお前のママさんパパさん見ないな…最近…」

いつもの事です。気にするだけ…無駄だから…

429 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 01:09:41.15 ID:GOPbmWwyO [14/100]
一時退院の許可がおりました。
下ろしたのはドクターです。

『たまには遊んでおいで』との事です。

両親が迎えに来た車に乗りました。

後部座席で振り返ると、ドクターが手を振っている、そんな気がしました。

もうすぐ家に着きます。

病院に居たかった

431 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 01:12:27.15 ID:GOPbmWwyO [15/100]
一時退院ということで、退屈しないように音楽プレイヤー、その他に必要な服なんかを揃えました。

そして、夜、病院に長くいたせいか、自分の部屋ではかえって寝られませんでした。

その時、聞こえました。耳はいいから。

432 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 01:15:58.82 ID:GOPbmWwyO [16/100]
「これ以上、アレを病院に行かせるの!?治療費だってバカにならないじゃない!」

「しかしだなぁ、社長の俺にも世間の目というものが」

「施設にでも預ければいいじゃないの!」

「施設の金だって馬鹿にならんぞ?親がいるというのなら」

…………

もう…聞きたくない…。

433 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 01:27:10.64 ID:GOPbmWwyO [17/100]
何日か後、病院に戻ることになりました。ドクターの声を真っ先に探しました。

ドクター「お、久しぶり」

車椅子に乗せてもらわず、おんぶされて運ばれました。

ドクター「あれ?もっと背中に柔らかい感触期待してたんだけど…期待はずれか?」

私は両手は動きます。

ドクター「痛い!!こら!殴るな!」

435 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 01:31:09.09 ID:GOPbmWwyO [18/100]
ベッドに入って、またあの日々を繰り返します。

両親の会話を聞いてしまった。両親にすら愛されてなかったことを再認識しました。

処方された薬を飲まずに隠し、貯めこみました。そんな日々が3ヶ月…

436 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 01:34:35.75 ID:GOPbmWwyO [19/100]
3ヶ月後



もう頃合いです。一気に薬の封を開けます。

水が…ない…。

しまった。さっき全部飲んで、看護師さんに頼むのを忘れてました。

もう1本どこかにないか、机、鞄、手さぐりで調べました。


「水か?水なら持ってきたぞ」

ドクターの声

438 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 01:42:33.55 ID:GOPbmWwyO [20/100]
少女「え…」

ドクター「水欲しいんだろ?フタ開いてるから気をつけろよ」

なんで?

ドクター「薬はちゃんと決められたペースで飲んでくれた方が助かるなぁ」
ドクター「一気に飲んだところで一気によくなるわけじゃないぞ?それどころか…」

『バシャッ』

少女「ハァ…ハァ…」

私がやろうとしたこと…わかってるくせに…!!死のうとしてたこと、知ってるくせに…!!そんなとぼけた言い方…!

ドクター「こらこら、濡れちゃったじゃんか」

少女「何も知らない癖に!!!」

少女「なんで…死なせてくれないの……?」

439 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 01:49:06.53 ID:GOPbmWwyO [21/100]
ドクター「なんでって…」
ドクター「死んでほしくないからだろ」

それはどういう意味ですか…!?お金のため!?世間の目のため!?

わずかに残った水をまたかけました

ドクター「うっ2回目は卑怯だぞお前…!」

少女「ふざけないでよ!!」

少女「私は…」
少女「もう…ただの…」

少女「いらない人間なんですから…」グスッ

440 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 01:56:09.18 ID:GOPbmWwyO [22/100]
ドクター「ここでドラマならお前のほっぺを平手打ちすんだろーな」

何を呑気に…

ドクター「そういえば、前に聞いてきたっけ?なんで医者になったか」

そういえば、いつも答えてくれなかった

ドクター「いいだろ、お前だけに特別に教えてやろう」

給料がいいから…?世間では勝ちとされる職だから…?

ドクター「好きな子が…死んじゃったんだ」

え…

441 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 02:02:09.66 ID:GOPbmWwyO [23/100]
ドクター「いやぁ、悔しかったね。悲しかったね」
ドクター「ひと月くらい、死んでしまったことにただひたすら頭かかえてたんだけどさ…」

ドクター「あの薮医者野郎、俺だったら治して見せるって思ってさ」
ドクター「別にガン専門じゃなくて、医者になってその分野の難病を治したかった」

少女「………」

ドクター「まぁ、結局今の科になっちゃったけどね」


443 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 02:09:55.78 ID:GOPbmWwyO [24/100]
そういってドクターは足元の布団をめくった

ドクター「足」

少女「へ?」

ドクター「足動かしてごらんなさいませ」

グイ

!!!!!

爪先が上を向いた

ドクター「よしよし、一時的なもんだからな、そろそろだとは思ってた」

少女「あ…ああ……」

ドクター「医療に過度の期待はしない方がいいぞ。薬で死ぬなんてなかなか出来ないからな」

ドクター「明日はリハビリの説明するから、今日は寝なさいな」


少女「………」

わけがわからない。考えている間に、寝てしまっていた。

444 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 02:11:26.06 ID:GOPbmWwyO [25/100]
今日はちょっと出張もあったから体力の限界なんだぜ。

明日は休みもらったから、明日書く!

ごめ、おやすみ

459 名前:おはよう[] 投稿日:2010/09/25(土) 09:57:15.86 ID:GOPbmWwyO [26/100]
今日はドクターがリハビリの説明、導入を教えてくれるそうです。

ドクター「いいか、まだ動かせるって言っても足首くらいだからな。立つのはまだまだだ」

ドクター「ま、軽く動かそう、今日は」

ドクターはそういって私の足を持って

少女「ひゃッ!?」ビクッ

ドクター「ん?お前足弱いのか?」

う…

ドクター「そりゃそりゃ」

少女「痛い痛い痛い!!足裏のツボ押さないでください!!」

ドクター「よし、とりあえず感覚は戻ってきてるみたいだな」

…そういえば…

462 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 10:11:05.26 ID:GOPbmWwyO [27/100]
その日を境に、私の足はだんだん動くようになってきました。

足の自分で大きく開いたり、足の指先までは動かすことは無理でしたが、半年経つころには膝を充分に曲げられるようになりました。


ドクター「よし、そろそろリハビリかな」

ドクター「歩けるようになるかもよ」

私…が…?

ドクター「明日から、始めよう」

少女「はいっ!」

明日が楽しみでした

463 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 10:19:42.09 ID:GOPbmWwyO [28/100]
次の日、看護師さんが部屋に来ました。
看護師「さ、今からリハビリよ。車椅子に乗りましょ」

車椅子を押してもらい、着いたのはトレーニングルームみたいな場所。

看護師「さ、まず足を動かせるようにね、1、2のテンポで動かしてね。1、2…」

あれ?いきなり立つ練習をするもんだと思っていましたが。

看護師「はいはい、ほら、ちゃんと持っててあげるから」

看護師「1、2、1、2」

少女「………」

足をこんなに単純に動かすことも、少し難しいことでした。

464 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 10:24:20.57 ID:GOPbmWwyO [29/100]
今日のリハビリが終わり、病室に戻り、一眠りすると

ドクター「お…寝てるのか」

ドクターの声が聞こえました。

ドクター「どうだった?」

少女「まだ…立つ練習はしないんですか?」

ドクター「ばかもの、どのくらいの期間足動かしてないと思ってんだ」
ドクター「足の筋肉は衰え放題、今日の奴でもキツかった筈だぞ?」

少女「で、でも…」

ドクター「焦る必要なんかないさ、立って歩けるようにはなる」

少女「……」

なんか納得いかない…

465 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 10:33:01.91 ID:GOPbmWwyO [30/100]
足を動かすことを数日やると、座った状態では足を結構動かすことができるようになりました。

看護師「明日から立つ練習してもよさそうね」

きた!!

やっと、やっと立てる。

目はあいかわらず回復にはいたりません…。

467 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 10:36:51.16 ID:GOPbmWwyO [31/100]
次の日、リハビリの部屋に連れてもらうと

ドクター「よし、今日から本番だな。まずは単純に立つ練習だ」

ドクター「立てるか?」

あ…れ…?
こんなに力いっぱい立とうとしてるのに、立っているのはドクターの腕力のおかげ…

そんな…

看護師「最初はこんなものよ、ガッカリしないの」

うぅ…

468 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 10:44:43.48 ID:GOPbmWwyO [32/100]
立つ練習は難しかった…。そう落ち込んでいる日々の中にドクターの世間話(主に友人について)は聞いていて飽きませんでした。

その人達には最近子供もできたそうで。

ドクター「あの幼児体型、子供産むのに大変だったろうに。」

ドクターは楽しそうでした。

私の過去、今の状況にはわざと触れなかったんだと思います。
多分、私がこんなケガをした本当の原因も勘づいているのかも知れない…。

470 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 10:52:50.53 ID:GOPbmWwyO [33/100]
ドクター「そろそろリハビリの時間だな、行くぞ」

そういって、いつものようにルームで立つ練習をしました。

そのころにはドクターの手を借りてはいたものの、立つことができるようになっていました。



ドクターの手は…あったかかった。

471 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 11:02:18.33 ID:GOPbmWwyO [34/100]
ドクター「目が見えるようになるかもですよ」

えっ

ドクター「なんか海外とか行って色々面倒だけど…」

目が見える…?

ドクターは私の両親と話をしていました。病院を車椅子でうろついていたときに、偶然聞こえた会話です。

「ありがたいんですが、その…治療費は…」

ドクター「そこがネックなんですよ、だいたい、僕の予想ですが…」

「そ、そんなに!?」

ドクター「えぇ、金額からして、並たいていの物ではないので、ご本人には黙ってますが…」

「あの子は知らないんですね?」

ドクター「はい」


今、知りましたから。

472 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 11:11:36.70 ID:GOPbmWwyO [35/100]
ドクター「どうします?今すぐ決める必要はありませんが…」

「じゃ…この話はなかったことに…」


…やっぱり……

ドクター「…」
ドクター「今決める必要はありませんよ?じっくり考えてそれから娘さんのためにですね…」

「私達にそんな余裕はありません!!」

ドクター「…」
ドクター「ま、じっくり考えてくださいね」


部屋に戻ることにしました。

474 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 11:22:04.47 ID:GOPbmWwyO [36/100]
病室には看護師さんが置いてくれた花瓶に花があります。

両親とはほとんど顔をあわせていません。

私は窓からクラスメイト達に落とされました。

学校の先生が寄せ書きを持ってきてくれることがありましたが、書いてあることばは皆同じ

『がんばってね』

とだけでした。


別に、寄せ書きに色んな事を書いて欲しかったわけじゃない。
目が見えて欲しいわけじゃない。

なのに涙がとまりませんでした

476 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 11:32:56.34 ID:GOPbmWwyO [37/100]
ドクターの声を聞くことは最近少なくなりました。

少女「ドクターは…」

看護師「さぁ…あの人は重傷患者しかみないから、最近病院の外に出ることが多くて…」

なんてマイペースな医者…

看護師「でも腕は確かよ?海外の医療チームにもオファーが来てるとか」

そ、そんなに…!?

看護師「まぁ、すぐにアナタのところに来るわよ」

そうだといいんですが。

479 名前:ちがうよ[] 投稿日:2010/09/25(土) 12:04:44.09 ID:GOPbmWwyO [38/100]
ドクターは今日も来てくれませんでした。

看護師「あの人相当忙しいみたいで…」

本当なんですか?

その次の日、ドクターの声が部屋で聞こえました。

480 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 12:07:56.42 ID:GOPbmWwyO [39/100]
ドクター「おっす、調子はどうだ?」

少女「今ではなんとか歩けるようになりました」

ドクター「マジか!それはおめでとう」
ドクター「退院も近いなー」

退…院…

またあの家に戻るの?

少女「ドクターは最近忙しいんですか?」

ドクター「んーまぁな、もうすぐ終わるけど」

483 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 12:19:39.22 ID:GOPbmWwyO [40/100]
リハビリでは、わざとモタつきました。退院を延ばすために。
看護師さんには少し申し訳ないです。

ドクターは今日も来ません。
来たときのドクターの声は、相当な疲れが感じられました。

忙しいというのは本当なんでしょう。
私は心配でした。ドクターがこのまま遠くに行ってしまいそうで。

484 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 12:22:34.63 ID:GOPbmWwyO [41/100]
それから、3ヶ月とちょっと後

看護師「ふふ、知ってるのよ?わざとリハビリ遅らせてるでしょ」

少女「…ごめんなさい…」

看護師「あはは、いいのいいの」

看護師「ドクター、来月には海外に行くそうよ」

え…………

485 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 12:30:02.05 ID:GOPbmWwyO [42/100]
看護師「ドクターのところにいたいから退院延ばしてたのは知ってたけど」

うっ…

看護師「あ、赤くなったー」

少女「は、話を続けてください」

看護師「うん、最近忙しかったのもそのせいなのかなって…」

看護師「今のうちに、後悔がないようにね」


そんな…ドクターが本当に遠くに行ってしまう…

486 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 12:40:59.08 ID:GOPbmWwyO [43/100]
ドクター「久しぶり」

ドクターの声が聞こえました。

少女「海外に行くんですね」
『おめでとうございます』は、言えませんでした。

ドクター「お前もくるか?」

へ?

ドクター「目、治るかもよ?」

少女「で、でも!お金が…!」

ドクター「金ならあるぞ?」

え?

ドクター「いやぁ、最近顔出さなかったのは、募金でもやってたんだよ」

看護師「なんか騙したみたいでごめんなさいね」

ドクター「俺はいつも募金集める余裕はないからさ、色んな人に手伝ってもらってた」

看護師「男友と女友って人にもですか?」

ドクター「あの二人は育児で忙しそうだから、黙っておいた」

看護師「もう…貴方が体調崩したら意味ないじゃないですか…」

487 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 12:50:07.49 ID:GOPbmWwyO [44/100]
少女「…でも…」

ドクター「行かないのか?行かないならなんか俺が不正募金したみたいになるんだが…」

ドクター「ま、一種の押し付けみたいなもんだから、行かなくてもいいんだが」

看護師「お金は?」

ドクター「俺のポケットマネーになる」

看護師「最低」

本当に迷った。こんなに自分のために何かしてもらった事はありませんでした。遠慮すべきなのか、受け取るべきなのか。




ドクターの顔を見てみたかった。

少女「本当に…お願いして…いいんですか…?」

ドクター「よっしゃ決まり」

491 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 12:58:51.92 ID:GOPbmWwyO [45/100]
1ヶ月後、海外に行きました。

両親には軽い連絡をしたあと、ドクター自腹の旅行という名目で。

もちろん病院にはちゃんとした話をしたそうで。

某国の空港

ドクター「お、結構歩けるようになったじゃん」

リハビリでは手は抜いていましたが、治るのは早かったようです。

ドクター「ほら、こっち。肩掴んだほうが見えない子は安心すんだっけ?」

ドクターの肩を持ちました。

たしかに安心しました。

492 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 13:03:21.81 ID:GOPbmWwyO [46/100]
ドクター「うわ…うちの病院とは比べものにならないくらいデケェ…」

病院についたみたいです。

ドクターと誰かが、そばで英語を話しています。
そんなにペラペラ話せたんだ…。

ドクター「よし、行くぞ」

私はドクターの腕につかまりました。

494 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 13:10:11.07 ID:GOPbmWwyO [47/100]
ドクター「じゃ、頑張れよ」

少女「ふぇ?」

ドクター「ふぇ?じゃねーよ。俺は目は管轄外だからなぁ」

ドクター「それに、元々チームの会議があるからここに来たわけで…」

そうだった…ドクターはもう…

ドクター「頑張るんだぞ?」

少女「…うん……」

495 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 13:14:57.30 ID:GOPbmWwyO [48/100]
注射が打たれました。医師さんたちが英語でやりとりしています。

ドクターの声が聞こえない。

不安で、その中で、意識がぼんやりしていきました。

ドクター、今何してるんでしょうか…


……


497 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 13:21:15.37 ID:GOPbmWwyO [49/100]
気がつくと、ベッドに寝ていました。

ドクター「お」

目に布が巻かれています。煩わしい。

ドクター「あ、それとるなよ。せめて3日間は。見えるまで時間がかかるからな」


少女「手術は?」

ドクター「成功したみたいだな。レポートを読むかぎり」

成功…よかった…。目が見える事は嬉しかった。

でもなにより、ドクターや色んな人の募金が無駄にならなかったことが1番嬉しかった。

499 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 13:32:25.55 ID:GOPbmWwyO [50/100]
少女「ドクター」

ドクター「ん?」

少女「会議…どうだったんですか?」

ドクター「あぁ…まぁ一日で全部決まることじゃないからな」

そうですか…。
ドクターには好きな人がいて、その人は亡くなったんだっけ…。

なんでこんな事急に思い出すんだろ…。

もう一度寝ることしました。

501 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 13:39:29.64 ID:GOPbmWwyO [51/100]
数日後、包帯をとっていいとの許しが出たので、とりました。

目が…開かない…

瞼がひっついちゃっています。

指を使ったら開きました。

眩しい…
眩しい…


白い布?指?


ドクター「見えるか?」

ドクターの…顔…。

503 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 13:45:59.86 ID:GOPbmWwyO [52/100]
ぼやけてます。はっきり見えません。

ドクター「これは?」

少女「指」

ドクター「いやそうじゃなくて、立てている指の本数を言ってくれ」

少女「2」

ドクター「これは?」

少女「4」

ドクター「よし…見えるみたいだな」

ドクター「おめでとう!」


手術は終わりました。私は日本に帰ります。ドクターはチームに入ることになったようです。

ドクターは日本に帰りません。

なぜか涙が出てきます。

目が回復して嬉しいだけなのか、それとも…

504 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 13:50:02.32 ID:GOPbmWwyO [53/100]
ドクター「はは、そうかそうか、目が回復して泣くってドラマでよくある展開だよなぁ」

なんでドクターは笑っているんですか。

ドクター「回復したんだぞ?見えるんだぞ?」


なんで私は泣いているんですか。


看護師さんがこちらに迎えに来てくれるそうです。

私は来週には帰るそうです。

ドクターは…?

505 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 13:59:00.19 ID:GOPbmWwyO [54/100]
数日たった後、ドクターは突拍子もないことを言いました。

ドクター「あぁそうだ、お前にとって『海は見るもの』だったよな」

そんな1年以上前の事…

ドクター「よし、行くか」

少女「…うん…」


海は綺麗でした。

隣にドクターがいます。

看護師さんのあの言葉を思い出しました。

『後悔のないようにね』

私は決めました。

506 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 14:05:06.89 ID:GOPbmWwyO [55/100]
少女「ド、ドクターっ」

ドクター「ん?」

少女「私…私…」

言葉が出てきません。混乱してます。私。

少女「ドクター…が……」








少女「ドクターが好き…です…」

508 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 14:15:21.46 ID:GOPbmWwyO [56/100]
ドクター「おやおや、嬉しいねぇ」

少女「でも…」

ドクター「ん?」

少女「ドクターは…今でも…」

亡くなった人には勝てないよ…だから

少女「自分の気持ち、伝えただけで…それだけです…」

ドクター「……」
ドクター「そっか」

ドクター「ま、俺なんかより、もっといい人がわんさかいるからね。お前に俺はもったいない。」

少女「そ、そういうわけじゃ…」

ドクター「俺みたいなモンにピッタリなのは、あのバカくらいでいいよ…」

ドクター「お前はもっとスペックが高い人に必要とされる筈だ」

ドクターは…悲しそうな顔をしていました。

509 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 14:21:38.19 ID:GOPbmWwyO [57/100]
ドクター「あの時、もうちょっと医療が進歩してたら…て今でも思うね」

空港での別れ際にドクターが言いました。

ドクター「あいつが俺なら、多分日本にお前と一緒に帰るだろうけど、俺、バカだから」

看護師「では、男さん、今までありがとうございました」

ドクター「名前で呼ぶなよー。じゃ、ありがとね。」

少女「ドクター…」

ドクター「お前ならきっと…。……おっと、もう時間だ、それじゃ!」

少女「…。ドクター……」

ドクターが私の事をどう思っていたのか、最後までわかりませんでした。
でも、後悔はしてません。ドクターに本心を伝えられて…伝わってよかったです。

510 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 14:27:50.76 ID:GOPbmWwyO [58/100]
日本
病院
看護師「今日で退院ね…」

少女「はい」

看護師「あなたがいて色々と、楽しかったわよ?そんな顔しないの」

少女「…うん…」

看護師「これから…どうするの?」

少女「…看護学校に通おうかと。」

看護師「あら、看護師になるの?」

少女「はい…父にも母にも…私は必要なかったみたいで…」

少女「でも、ドクターは私を大切に…」

少女「今度は私がドクターをサポートしたいんです…勉強して海外に渡るのは大変だと思いますけど…」

看護師「…」

少女「いつか絶対に…」

看護師「そっか、頑張りなさいよっ!」

少女「はいっ!」
fin

523 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 15:34:14.79 ID:GOPbmWwyO [59/100]
幼馴染 幼女時代

幼馴染 生還

さぁ選べ

533 名前:生還√[] 投稿日:2010/09/25(土) 16:19:38.68 ID:GOPbmWwyO [60/100]
病院

医師「あなたが、幼馴染さんの付き添いの方ですか?」

男「はい…そうですが…」

医師「大事なお話があります」

大事な話?病状が悪化したとか?

とにかくついていくことにした。


医師「これを見てください」

見せられたのはレントゲンかX線だか、よくある写真だった。

536 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 16:27:26.35 ID:GOPbmWwyO [61/100]
医師「実は…幼馴染さんのことですが…」

写真なんか見たところで素人にはわからないんだ。早く言ってくれ!
余命が短くなるとかか?

医師「摘出手術が上手くいけば…ガンが治る可能性が…」

…え?

男「も、もう一度…」

医師「ガンは治るかもしれません」

医師「不思議です…殆ど手がつけられなかったガン細胞が消えています。あとはこの核になるところを除けば…」

男「本当ですか!?」

医師「海外でも、似たような事例が多々あります。細胞に『消えろ』と念じ続けると、ガンが消えるという…奇跡みたいなものです」

医師「おそらく、ここ何ヶ月かの間に、とても楽しいことがあったのでしょう」

先生はにっこり笑った。

余命とされる2月になろうとしていた時期のことだった

537 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 16:32:17.87 ID:GOPbmWwyO [62/100]
手術は早いほうがいいらしい。

男「あいつには、伝えたほうが?」

医師「是非。精神がプラスになるに越したことはないので」

俺は病室に駆けた。

『ガララッ』

幼馴染「わっビックリした。何よ、そんなに慌てて」

男「…お前の…ガンさ…」

幼馴染「やだ、ガンの話はやめて最後まで楽しもうって約束したじゃない」

男「治る…かも…」

幼馴染「…えっ…?」


鳥のさえずりと少年野球のかけ声が外から聞こえた

538 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 16:41:47.45 ID:GOPbmWwyO [63/100]
幼馴染「へ…へぇ…そうなんだ…」

あれ?反応が薄い

男「反応薄くない?」

幼馴染「いや、だって冗談でしょ?」

男「本当だ。ちょっと先生呼んでくるから待ってろ」

まだ信じてないらしい。
―――
――

医師「本当です」

幼馴染「…」



幼馴染「キャーーーーーーーッ!!!」

み…耳が…!!!

539 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 16:45:23.06 ID:GOPbmWwyO [64/100]
医師「お、落ち着いてください!」

幼馴染「本当!?本当なんですね!?」

幼馴染「ラッキィーーーーッ!!」

ラッキーってお前…あと俺の鼓膜が…

幼馴染「ほら、アンタも喜んだら!?ほら!!」

医師「お…落ち着いて…」

男「ま…話を聞こう」

幼馴染「あ…ごめんなさい…」

医師「では手術の説明をいたします」


そうだ、ご両親も呼ぶとするか。

541 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 16:52:04.41 ID:GOPbmWwyO [65/100]
その日の夜、ご両親に電話をかけた。

明日には飛んでくるらしい。

病室

幼馴染「ねぇ、男」
男「ん?」

幼馴染「明日のことなんだけどさ」

男「手術か?」

幼馴染「…うん…」

幼馴染「正直…怖い…かも…」

男「死ぬ覚悟してた奴が何をいまさら」

幼馴染「もうバカ…。一旦あげて落とされるのが1番怖いのよ?」

まぁ…わからんでもない。

その夜は、幼馴染はすぐに寝てしまった。

542 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 16:57:18.90 ID:GOPbmWwyO [66/100]
翌日

手術だ。
できることなら、手術室まで行きたかったが、ここからは医師、幼馴染だけの闘いらしい。

できれば一緒に闘いたかった。患者として闘うのは勘弁。

俺も医者だったら、幼馴染と一緒に闘えただろうなぁ。

手術室の扉の前の椅子に座る。

色んな事を思いだしてしまう。

545 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 17:07:57.24 ID:GOPbmWwyO [67/100]
そういえば、幼馴染は物ごころつく前から一緒だった

『ピンポーン』

幼馴染『男くーん!』

男『なーにー?』

幼馴染『いっしょにあそぼー』

男『うん、いーよー!!』


こんな日々だったな、毎日

546 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 17:12:27.51 ID:GOPbmWwyO [68/100]
そういえば、幼稚園も一緒だった。当然か。

幼馴染『はやくあそぼーよー!』

男『ちょっとまってよ、ぼくいまネンドやってるんだから』

幼馴染『おそとでサッカーしたいよー』

男『もー、しかたないなー』


いやー…この時から振り回されてたのか、俺。これはまいった。

547 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 17:27:21.56 ID:GOPbmWwyO [69/100]
小学生のときなんか…ん?

幼馴染父「幼馴染のようすは!?」

男「今、手術中で…」

幼馴染母「そう…よかった…希望が見えたわね…あなた…」

幼馴染父「あぁ…」
幼馴染父「男くん…連絡までさせてスマンかったなぁ…」

男「いえ…きっとあいつも喜びますよ」

幼馴染母「お願い…どうか成功して…」

どうやら、俺にも神に祈ることしかできないようだ。

548 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 17:34:22.78 ID:GOPbmWwyO [70/100]
幼馴染父「君には本当に世話をかけた…」

男「いえ…あいつの決意の上で…」



そんな問答をくりかえして4時間…手術室の手術中のライトが消えた

549 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 17:44:38.32 ID:GOPbmWwyO [71/100]
医師「…」

男「ど、どうなりました!?」

医師「……」

幼馴染父「なんとか言ったらどうだ!」
幼馴染母「あの子…大丈夫ですよね!?」

医師「……」

―――
――

病室

幼馴染「綺麗サッパリ」

男「本当に?」

幼馴染「あの先生、あぁいうジョーク好きみたいよ。悪趣味よねぇ」

男「………」

おいおい

552 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 17:53:05.16 ID:GOPbmWwyO [72/100]
男「お前…これからどうするんだ?」

幼馴染「何が?」

男「ここにいるのか、実家に帰るのか」

幼馴染「あぁ、父さんに聞いたら、お前の自由だって言われた」

男「どうすんの?」

幼馴染「とりあえず、ここにいようかなっ…て…」

男「そっか…」

受験勉強も入試もすっぽかしたから、一浪は確定だな、そういえば…。

幼馴染「大学か…」

俺の将来には、医師というものが視野の大部分を陣どっていた。

男「医学部…か…」

幼馴染「行くの?」

男「…多分ね」

退院は近い

553 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 17:59:50.94 ID:GOPbmWwyO [73/100]
幼馴染は寝ている。

ご両親もつきっきりで看取り、俺の疲れの具合を指摘されたが、自宅に帰ったところで落ち着いて眠れる筈もない。

ご両親は俺と幼馴染のファーストコンタクトを覚えていた。

俺はもう忘れてた。まぁ無理もないか

555 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 18:05:30.94 ID:GOPbmWwyO [74/100]
俺の両親と幼馴染の両親は、子供がほぼ同じ時期に生まれたので、祝いあい、対面させた。

ここまでは自然な流れだ。

だが、ここで、二人は喧嘩を始めたらしい。
問題はただの赤ん坊らしい喧嘩ではなかったことらしい。

二人とも泣かないし、譲らない。

そこでなんと立ち上がったらしい。始めは俺。その次に負けじと立ち上がったのが幼馴染らしい。

両親たちは共々驚いたと。

今、隣通しで暮らしている俺と幼馴染だが、もしかするとその喧嘩の延長線上のことなのかもしれない。

557 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 18:21:26.74 ID:GOPbmWwyO [75/100]
幼馴染は無事退院した。
念のため、定期的に検査には行くそうで。

とりあえず、幼馴染の部屋で復活祭をした。
ご両親、幼馴染、俺の4人で騒いだ。

親父さんは酒飲んで泣いた

お袋さんは豪勢な料理を作ってくれた

幼馴染は笑ってた

男は嬉しかった。

558 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 18:39:10.01 ID:GOPbmWwyO [76/100]
翌日、ご両親は帰ってしまうらしい。

幼馴染「もう少しいたらいいのに…」

幼馴染父「じゃ、幼馴染をよろしくな…」

男「あ、はい」

幼馴染母「若いからって二人でハメ外しすぎちゃ駄目よ?」

幼馴染「なっ…///」

ご両親は笑顔で帰っていった。

男「学校はいつから行く?」

幼馴染「明日じゃ駄目?」

男「大丈夫なのか?」

幼馴染「うん、大丈夫!」


明日から学校か。長いこと行ってないから行きにくい。

561 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 18:49:25.80 ID:GOPbmWwyO [77/100]
学校

男「おはよ」

男友「おっ!?」

幼馴染「おはよっ」

女友「あッ!?」

男友「久しぶりだなぁ、お前ら…」

男「いやいや久しぶりってレベルじゃないよね、ホント」

女「男友くん…」ノソッ

男「…?また女さんに付きまとわれてんのか?」

男友「ま、まぁな…1年の時とは比べものにならん粘着度だ…」

女友「久しぶりっ」

幼馴染「うん、久しぶり」

女友「どーしたのさ、今まで休んでて」

それは聞くなよお前…!

562 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 18:58:00.40 ID:GOPbmWwyO [78/100]
幼馴染「ん、里帰り」

よし

男友「お前は?」

男「俺もだよ」

男友「なんだそうか」

男「そうだよ」


授業のベルが鳴った
これは懐かしい

563 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 19:07:20.77 ID:GOPbmWwyO [79/100]
授業中

1番後ろの席は全体を見回すことができ、たいへんよろしい。

女さんが執拗に男友に話しかけていること。

女友が教科書の陰で内職(本当の意味で)をしていること。

幼馴染が寝ていること。


うん、寝よう

565 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 19:15:25.22 ID:GOPbmWwyO [80/100]
帰り道

男「そういえば学校から一緒に帰るのは初めてか」

幼馴染「そうねぇ」

男「うー…ん…」

会話のネタが早々に尽きた。
今日はバイトの日だっけか。

男「俺今日バイトあった。そういえば」

幼馴染「客として行ってあげようか?そしたらアンタが『いらっしゃいませー』って」

男「うん、やめとこうな」

仕方なくバイト先に走る。



バイト先


男「危なかった、遅刻するとこ…」

男友「ん?」

男「お?」

566 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 19:21:10.65 ID:GOPbmWwyO [81/100]
男友「なんだ?お前も金欠か?」

男「奇遇ですなぁ、同じ職場とは…お前いたっけ?俺は結構長いんだけど、ここでバイトして」

男友「あぁ…最近だ」

男「女友の手伝いだっけ?確か」

男友「あぁ、お前らには迷惑かけたくないから、気にする必要はないぞ」

男「でもさ…」

男友「いやぁ、気持ちはありがたいんだけど、逆に申し訳なくてさ」

男「そっか…わかった。でも困った時は言えよ」

男友「あぁ」

568 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 19:27:36.91 ID:GOPbmWwyO [82/100]
女「………」

男友「い…いらっしゃいませ…」

男「女…さん……」

なんか雰囲気がヤバいなこの人
ヤンデレっぽい雰囲気

この子が可愛かったら一つのジャンルとして成り立っていたのに

女「男友くん…」

男友「は、はい」

女「……ふふ……」

おい、帰ったぞ

男「なんだあの子」

男友「うん…大丈夫だと思う…多分」

569 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 19:45:15.02 ID:GOPbmWwyO [83/100]
アパート
男「ふぅ…疲れた…」
『コンコン』

だいたい誰かは予想がついた。
男「どーぞ」

幼馴染「……」ガチャ

男「何?」

幼馴染「今日、何の日か知ってる?」

なんだこいつ、薮から棒に
男「…なに?」

幼馴染「ケーキぶつけんぞこの野郎」

ケーキ…あっ!!

幼馴染「アンタの誕生日じゃないの、しっかりしなさいよね」

男「あぁ…」

忘れてた 最近大変だったから

幼馴染「ケーキ作ったの。食べる?」

男「じゃ、お言葉に甘えて…」
いただいた。

570 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 19:49:07.66 ID:GOPbmWwyO [84/100]
男「今日はなんかこんな遅くに…ありがと」

幼馴染「年に一度だから助かったわ。これが毎日だとアレだったけど」

幼馴染「それじゃ、明日早いし」

男「はいよ」

幼馴染「おやすみ!」

男「おやすみ」

『バタン』


幼馴染がなかなかどうしてこんなにデレるとは…。引っ越す前…中学の時は本当に俺のこと嫌いなんじゃないかと思ってたけど。

573 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 20:00:00.66 ID:GOPbmWwyO [85/100]
寝る前に、またも色々昔のことを思いだした

小学生の時

幼馴染『今日から小学生だねっ』

男『そーだねー』

幼馴染『クラス一緒だといいねー』

男『そーだねー』

帰り道

幼馴染『一緒にかえろー!』

男『うんっ今いくよ!!』


あの時は勉強とか考えなくて、とても楽しかった

574 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 20:03:15.73 ID:GOPbmWwyO [86/100]
小学4年のときくらいに、初めてバレンタインチョコをもらった

幼馴染『あのさ、これ、ママと一緒に作ったのっ!食べてー!』

男『わ、ありがとう!!』

いやぁ……誰にだってこんな黄金時代はあったんだろうけど、あの時が眩しくて、なかなか直視できない。

576 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 20:14:41.06 ID:GOPbmWwyO [87/100]
小学5年

いじめっ子『お前、幼馴染のこと好きだろ!』

男『ち、ちげーし!!』

いじめっ子『だったら証拠見せてみろよ!』

男『わ…わかったよ!見せるよ…』

帰り道

幼馴染『男ー!一緒に帰…』

男『やだ』

幼馴染『…?』
幼馴染『な、なんで…?』

男『いやなもんは嫌だ!』

幼馴染『どーしたの?怒ってるの?』

男『お…お前なんか嫌いだ!!』

幼馴染『…ッ…』
幼馴染『……』ダッ…

あの時、帰ったら一日中隣から泣き声が聞こえたっけ…悪いことしたなぁ…
そろそろ寝よう

577 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 20:25:51.55 ID:GOPbmWwyO [88/100]


『コンコン』

幼馴染「起きてる?」

男「あぁ、ちょっと待ってろ」

『ガチャ』

幼馴染「…寝癖」

男「あっ」

幼馴染「アンタが身嗜みを気にしたところで急にモテる訳ないし、行こ」

男「うるせーほっとけ」

幼馴染「はいはい」

男「…ごめん」

幼馴染「?何が?」

男「いや、すごい大昔のこと」

幼馴染「なんか気持ちわるいなぁ…」

気持ち悪くてわるかったな…

578 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 20:36:20.14 ID:GOPbmWwyO [89/100]
そういえば、卒業式が近い

幼馴染「どしたの?ボーッとして…」

男「いやぁ、もうすぐ浪人生活が始まるんだなって」

幼馴染「大学、医学部だっけ?」

男「そ、医者になるの」

幼馴染「ふぅん」

男「お前はどうすんの?」

幼馴染「私?私は…」
幼馴染「考え中…」

男「おいおい」

幼馴染「だってまさかガンが治るとは思ってなかったもん!」

うん、その通りですね

581 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 21:00:29.44 ID:GOPbmWwyO [90/100]


583 名前:サル解除だな[] 投稿日:2010/09/25(土) 21:06:17.43 ID:GOPbmWwyO [91/100]
卒業式

早いな…学校を休んでた時間が長かっただけに、あまり感慨は深くない。

男友「お前とはもう、お別れだな」

男「そうだな…」
男「女さんは振り切ったのか?」

男友「あぁ」

男「そっか…」


女友「幼馴染ちゃんっ」

幼馴染「あっ女友ちゃん」

女友「これで…これで…バイバイになっちゃうけど…なっちゃうけどぉ…」

幼馴染「あはは、泣いてちゃ何言ってるか、わからないわよ…?」

女友「ずっと、友達だよ?いつか結婚したらさ、式には呼んでね…?」

幼馴染「結婚…か…」
幼馴染「うん、女友もねっ」

女友「うんっ」

585 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 21:24:55.83 ID:GOPbmWwyO [92/100]
さて、いよいよ浪人生活が始まる
その前に聞いておきたいことがあったんだ。

男「お前は…どうすんの…?」

幼馴染「…先生にでもなろうかなって」

先生?

幼馴染「アンタは医療の先生になるんでしょ?」
幼馴染「だったら私は学校の先生になる」

幼馴染「でも、全然勉強してなかったから、今、教育大学に入るのは無理…かな…?」

男「うん、無理」

幼馴染「はっきり言うな!!」

男「痛い!!」

男「俺ももう一年勉強するからさ、一緒に勉強すればいいんじゃないか?」

幼馴染「…」

男「同じ立場だぞ?」

幼馴染「…負けないからね。絶対に…!!」

588 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 21:34:54.56 ID:GOPbmWwyO [93/100]
中学の時の幼馴染は凶暴だった

幼馴染『おはよ』

男『お、おはよ』

幼馴染『なによ!ついてこないでよ!!』

男『いやいや、家隣だから学校に行く方向同じでしょうが』

幼馴染『う…うるさい』ダッ

男『なんなんだ…』

590 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 21:36:53.93 ID:GOPbmWwyO [94/100]
バレンタイン

幼馴染『はい』

男『お、ありがと』

幼馴染『義理だからね』

男『う、うん』

幼馴染『変な勘違いはやめてよねっ!私は義理って言ったからねっ!』

男『わっわかったよ』

幼馴染『…ばかっ…』

男『なんなんだ……』

592 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 21:40:11.12 ID:GOPbmWwyO [95/100]
ある日

幼馴染『ねぇ…』

男『ん?』

幼馴染『もし…自分が、もの凄い病気患っちゃってさ、もう…余命3、4年って言われたら、どうする』

男『ものすごい病気って?』

幼馴染『ガン…とか…』

男『まぁ、その時はやりたいことやってから、満足したら消えるかな』

幼馴染『……』

幼馴染『…そっか…そうだよね…』

男『なんなんだ…』

595 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 21:43:15.93 ID:GOPbmWwyO [96/100]
幼馴染『え!?引っ越すの!?』

男『まぁね、そこの高校に行きたいんだ』

幼馴染『どう…して…も…』

男『…え?』

幼馴染『……』
幼馴染『…行けばいいじゃない…』

男『うん…行くんだけど…なんで泣い』

幼馴染『ッ!』
幼馴染『もう…アンタなんか何処にでも行っちゃえ!!!バカーーッ!!』


男『なんなんだ……』

596 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 21:48:09.11 ID:GOPbmWwyO [97/100]
はぁ…昔のことって結構覚えてるもんなのか…

看護師「男さん!」

男「ん?」

看護師「急患です!!」
看護師「女の子です。教室の窓から転落して…打ちどころが悪かったみたいで意識不明…」

男「わかった!今行く!!」

男「俺…この治療終わったら…あいつと結婚するんだ…」

看護師「フラグ立ててないで早く!!」

fin

603 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 22:15:39.44 ID:GOPbmWwyO [98/100]
もう…ない…何故なら!お試し●が…ッ明日切れてしまうからだ…ッ!

609 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 22:22:43.63 ID:GOPbmWwyO [99/100]
まぁ、生還編掘り下げすぎるとどっちがメインかわかんなくなるからなぁ…

610 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/25(土) 22:24:48.04 ID:GOPbmWwyO [100/100]
てことで俺はおしまい。誰かが妄想垂れるもよし。このまま落とすもよし。

読んでくれて、ありがとう。

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