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暦「うそつきー!」 戦場ヶ原「あらあら仕方が無いわね」5
313 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/09/10(金) 18:34:51.93 ID:HhIjuGso [1/30]
最終譚始めます。
暦「終わった……」
一連の騒動も終わり、僕の長い1年は終わろうとしていた。
明後日には卒業式。
出席日数はギリギリだったが、学期末試験で赤点も無く無事卒業決定。
卒業後は、忍と二人で旅をする。
先日、その打ち合わせをした。
まずは日本国内、全ミスタードーナツを制覇。
というか、ほぼ毎日ドーナツを食べなければならないという事に、僕は少し不満なのだが。
移動手段は車。
冬休みとその前後を活用し、運転免許を取得した。
車は中古だけど、小型の四輪駆動車を購入。
資金?もう今更、説明する事も無いだろう。
で、部屋で必要な荷物を詰め込み、準備中。
必要なモノと言っても最小限なので、特に時間はかからないのだが、思い出の整理までしているものだから、無駄な時間が掛かる。
314 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/09/10(金) 18:36:53.13 ID:HhIjuGso
「お前様、衣類は要らんぞ?」
「ああ、分かってる。ただ、何着かは持っていきたいんだ」
「何故じゃ?」
「忍のデザインが気に入らない時用に」
「何ぃ?まだそんな事を言っておるのかぁ?!」
「嘘だよ、このセーターは火憐が選んでくれたし、持っていきたい」
「相変わらず妹が好きじゃな」
「そりゃ兄妹だからさ」
「兄妹か。儂にもそう呼べるものが居ったな」
初耳だった。
「ふーん」
「ふーんとはなんじゃ?それだけか?」
「いや、別にその事を根掘り葉掘り聞いたところで、どうしようもないし」
「儂の過去を知りたいとは思わんのか?」
「過去か。まぁ、3人に追われ、ボロボロになったお前を助けたところ辺りからの過去だけで十分。それ以上の過去は僕には必要ないよ」
「我があるじ様はやさしいの」
忍は僕の背中にもたれかかり、膝を抱えて座る。
そして、小さな声で語り始めた。
315 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:39:01.43 ID:HhIjuGso
「儂は―――兄者を殺めておる」
一瞬、僕の身体が固まったのを忍は見逃さなかった。
「なぁ、お前様。そんな儂でも好きか?この先、一緒に居られるか?」
続け、畳みかける様に僕に質問を浴びせる。
「ああ。別に、そんな事気にもしない」
僕は忍に対して人間の常識を充てるつもりは無い。
忍―――キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの過去など、
それこそ本にすれば魔法使い少年の本を抜くベストセラーになるだろう。
『普通の』人間には、おとぎ話のような、伝説のような、空想物語。
見てもいない事実は、どれだけ信憑性があっても物語の域を出る事は無い。
それが常識を遥かに超える話であれば、あるほど。
「そうか」
「ああ」
「なら、儂から言う事はもう何も無いわ、かかか」
忍は快活に笑い、立ち上り、僕の机の前に立った。
「儂はこの本を1冊持っていこう」
野球入門の本だった。
「今度、キャッチボールとやらをしてみようぞ?」
笑った。
キャッチボールするのにそんな本を読む必要などない。
でも、本当の意味が分かったから、僕は何も言わなかった。
316 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:40:28.43 ID:HhIjuGso
「なぁ、我があるじ様、前々から思っておったのだが、この古い本に挟んでいるカードはなんじゃ?」
「ん?何?」
忍は僕に昆虫図鑑を見せる。
「どれ?」
本の中ほどに挟まる一枚のカード。
栞となったカードは少しだけその姿を覘かせる。
僕はそのカードをスッと引き抜く。
咄嗟、目頭が熱くなる。
時間が巻き戻される。
胸が苦しくなる。
「お前様、どうした?泣いておるのか?」
ずっと捨てられたと思ったカードが、そこにはあった。
僕が一番大事にしていたポケモンのカード。
ポタポタと床に涙が落ち、小さな池を作る。
「これは何をする物じゃ?」
「ずっと父さんに捨てられたと思ってたカード……」
忍はそのカードを手に取り、透かすように見る。
「ただの紙だが?」
「ああ、タダの紙さ。ただの紙に僕は……」
大事な時間、大事な関係を失ってしまった。
先日、両親に忍を紹介した時の事を思い出した。
『ただ、奥さんはカードとは違う。大事にしろ』
その言葉の意味がやっとわかった。
父さんは、捨てられたと思って責めた僕を、逆に責めはしなかった。
父親の懐の大きさを痛感した。
317 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:41:47.91 ID:HhIjuGso
僕は部屋を飛び出し、リビングへ向かう。
涙ぐみながら飛びこんできた僕を見て、両親は驚く。
「どうしたんだ?暦」
「父さん……ごめん」
「ん?何の話だ?」
「ずっと、ずっと父さんに捨てられたと思ってたカードが―――出てきた」
「そうか、良かったじゃないか」
「捨てられてなんかいなかったのに、僕は―――僕は―――」
「暦、人間誰しも間違いを犯す。その間違いに気付いた時に、謝れる人間か、そうでないか―――それが重要だ」
「でも―――」
「いいんだよ。もう。ほら、嫁さん貰うとかいう奴が親の前で泣くな」
「と、父さん……」
「なぁ暦。僕達はお前を自由奔放に育て過ぎたんじゃないかって心配してたんだが、どうやらそれは無駄な心配だったみたいだ」
「え?」
「妹達の事を含め、自慢の子供だよ、いやもう大人だな暦は。いい大人になった。僕達は間違っていなかった。よくそこまで立派な大人になった」
「父さん……」
「ありがとう」
親に謝ったら、感謝された。
数年間の蟠りが一気に消えた。
元の親子に戻った瞬間だった。
泣くなと言われて我慢していた涙が―――全部一気に出た。
「なぁ、暦。いつでも帰って来たくなったら遠慮しなくていい。ここがお前の家だからな」
318 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:43:16.30 ID:HhIjuGso
翌日、僕は戦場ヶ原に会いに行った。
「やぁ」
「久しぶりね」
「もうすぐ出発でしょ?」
「ああ、卒業式が終わったら、その足で」
「そう……」
「今まで色々有難う」
「何も感謝されるような事はしていないわ」
そう言いながら、戦場ヶ原は首を大きく反らす。
「そっか」
「ええ、そうよ。それに感謝しなきゃならないのは私の方よ」
「いや、そんな事は」
「あなたに受け止められ、思いを返して貰え、誰かに自慢したい秘密を全部見て貰った」
「あ―――」
「だから、それでいいの。ごめんね、色々今まで強い事言って」
「あ、うん」
319 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:44:46.60 ID:HhIjuGso
「それより、旅ってどこに行くの?」
「えっと、ミスタードーナツめぐり」
「はぁ?」
「全国のミスドを廻るんだ」
「そう。本当に阿良々木君は馬鹿ね。そんな馬鹿が選んだ吸血鬼もまた馬鹿ね」
馬鹿馬鹿と言いながらも、戦場ヶ原は楽しそうに話す。
「ねぇ阿良々木君、この街は好き?」
「ああ。忍野曰く辛気臭いらしいけど、僕は好きだ」
「そう、良かった。またいつでも戻って来なさい」
「ああ、そうするよ」
「ちなみに、今度阿良々木君が戻って来た時、この街の男性は全部私の物だから」
「ええー!逆ハーレムかよ!」
「だから、あの馬鹿の吸血鬼に言っておいてくれる?」
「えっと…なんて?」
「私の物に手を出したら承知しないから。だから貴女は阿良々木君だけで一生我慢しなさいと」
「分かった」
戦場ヶ原はベンチからひょいと立ちあがり、歩き始め、また立ち止まる。
「しかし、羽川さんに出し抜かれた上に、吸血鬼にも先を越されていたなんて悔しいわ」
「でも―――」
「そうね、それでも一度は手に入れたわ。忍野さんの50/50のゲームで負けたんだけどね」
「ああ」
「本当にあの人は、したたかだわ。今度会ったら仕返ししなくちゃね」
そういうと、戦場ヶ原は歩きだし、振り向きこういった。
「ありがとう」
僕は戦場ヶ原の姿が見えなくなるまで見送った。
320 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:45:52.58 ID:HhIjuGso
戦場ヶ原と別れた後、神原の家に寄る。
「やぁ、阿良々木先輩!ようこそいらっしゃった。上がって!」
神原のテンションは相変わらず高い。
「おじゃまします」
神原の部屋に入り驚いた。
「なんじゃこりゃ!」
また昔の様に本の山。
「ああ、参考資料をあつめたらこうなった」
「こうなったって…」
殆どが本で埋め尽くされ、空いているのはベッドと机のまえに座布団が2枚。
それ以外は殆ど足の踏み場が無い。
321 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:47:00.56 ID:HhIjuGso
「っと、今日は八九寺はいないのか?」
「え?やだな。幾ら本が多いからって、八九寺ちゃん埋めたりしませんよ、そこに居るじゃないですか?」
神原が指さす机の前に八九寺は居なかった。
が、よく見ると原稿用紙の上でトーンがひとりでに動いている。
見えない。
「どうしたんだ先輩?」
「あ、いや。何でもない」
「何か変だぞ?」
「あ、うん……」
「いつもなら『はちくじー』と抱きつこうとするのに、やっぱり嫁を貰うとなると自粛ですか?」
「いや、そういう訳ではないんだが……」
「何?八九寺ちゃん」
神原が机の方へ向かう。
何やら話し込んでいる様に見える。
「ええー!マジ?うんうん、分かった」
「先輩、もう八九寺ちゃんが見えてないんですね?」
八九寺にはバレていた。
322 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:47:38.63 ID:HhIjuGso
「あ、うん。そうなんだ」
「良かったじゃないですか。と八九寺ちゃんが言ってますよ?」
「そうか」
「あと、ありがとう。って、おうちに届けてくれて」
「うん……」
「あーなんか辛気臭いな。ほら、先輩元気出して」
「ああ」
「さてと……」
神原は足元の本を動かし、道を作る。
「先輩、こちらへ」
僕は神原に招かれ、机の前へ行く。
「ここに八九寺ちゃんがいますから」と僕の手を取り、引いてくれる。
僕には何も見えない。
その存在すら認識できない。
「先輩、今までありがとうって言ってますよ」
「ああ。八九寺、僕こそ今まで楽しい話をありがとう」
神原が僕の手をそっと空中で止める。
「あっ」
「にひー、阿良々木さん、お幸せに」
八九寺の声が聞こえ、手の温かさを僕に伝わる。
そして、消えた。
323 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:48:19.74 ID:HhIjuGso
「ありがとうな」
「いえ、感謝される事は何もしてませんよ、阿良々木先輩」
神原には半殺しにされた事もあった。
それでも僕が胸を張って自慢できる後輩だ。
「神原、頑張れよ」
「先輩こそ。また面白い話のネタを提供してくださいね!」
「なんだネタって!」
「あはは、阿良々木先輩の日常を本にしたら、結構売れてます」
「そうかい」
「印税要りますか?」
「そんなに売れてるの!?」
「ええ、結構、凄く。アニメ化されるかも」
「マジか!まぁ、程々に書いてくれよ」
「はい、程々にですね」
「じゃ、神原。いくわ」
「ええ、お気をつけて!」
324 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:49:21.82 ID:HhIjuGso
僕は家に戻り、夕食を済ませ自室でのんびりしていた。
「コンコン」と口でノックする月火。
「お兄ちゃん、入るねー」
「おお、どうした?」
「お客さん」
「ん?」
「千石ちゃんだよ」
「千石?」
「おじゃまします」
「千石、どうした?」
「うん、ララちゃんと偶然あったので……」
「そうか。で、何?」
「別に用は無いんだけど……」
「そうか、ゆっくりしてけよ」
「あ、あのね暦お兄ちゃん」
「ん?何?」
「もし……もしね―――」
「なんだよ?」
千石は言い辛そうにモジモジとする。
325 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:49:52.66 ID:HhIjuGso
「あの、予約って出来ますか?」
「予約?なんの?」
「暦お兄ちゃんの」
「僕の?」
「はい、暦お兄ちゃんを予約します」
「えーっと……意味が分からないんだけど?」
「あの、だから、その、もしも吸血鬼さんと別れたら……」
本当に千石は純粋だ。
その純粋さが、猪突猛進とさせる。
「ごめんな、千石。予約は受け付けていないんだ」
「そ、そうなんだ」
「ああ、予約は無い。完売した」
「そ、そうなんだ」
「だから、何か違うのを見つけろ」
「でも……」
「それに僕は千石の『お兄ちゃん』だろ?予約なんて要らない。妹として甘えるならいつでもOKだぜ?」
「うん……わかった」
への字口で、ぐっと堪える千石は、涙は見せなかったが、もう限界だった。
326 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:50:46.03 ID:HhIjuGso
「おーい月火、話は終わったから千石を玄関まで送ってやれ」
「ほーい」
「じゃ、千石。いい女になって、カッコいい彼氏を兄ちゃんに紹介してくれよ」
「う、うん」
「それじゃ」
「うん、それじゃ」
「あの、その……」
「ん?何?」
「吸血鬼さん、返品はいつでもお受けしますから!」
千石はそういうと部屋から走って出て行ってしまった。
返品ねぇ、ないだろうな。
返品するぐらいな、食料にされちまうよ。
ま、そうならない様にがんばろっと。
327 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:51:59.09 ID:HhIjuGso
月火が千石を送りに行った後、今度は火憐が来る。
本当にみんな、一斉だな。
「よぉ火憐、元気か?」
「あんまり……」
「なんで?」
「なんでって……」
「ほら、元気がお前の取り柄だろ?もっと元気になれよ」
「なぁ兄ちゃん、本当に行くのか?」
「ん?ああ、行くよ。行ってくるよ」
「どうしても?」
「ああ。これは僕と忍が決めた事だからな」
「そうか。なら仕方が無い」
「まぁ、たまには帰ってくるよ」
「兄ちゃん、なんかずるいよな」
「え?」
「先に大人になってさ」
「それは仕方が無いだろ。お前とは3歳も離れてるんだぜ?」
「でも……」
「いつか火憐も大人になる。何を以て大人になるかはその人それぞれ。僕の場合は親に認められたって事かな」
「……」
「だからって、認めた親を責め立てて、それを取り消しさせようなんて思っちゃいけない」
328 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:53:16.81 ID:HhIjuGso
「え?なんで?なんで分かったの?」
「そりゃ、僕と火憐ちゃんが兄妹だからさ。お前の考えている事ぐらい分かるって」
「なら、今どう思ってるか分かるでしょ?」
「ああ、痛いほど分かる。でも僕は行かなきゃならない。だから―――な?パパとママのの事、頼んだぞ」
火憐はシャツの袖で目を擦ると、大きな声で返事した。
「はい!」と。
「で、兄ちゃん。もう一個お願いがあるんですが……」
「お願いねぇ」
そのお願いも僕には何の事か分かっていた。
僕は立ち上り、火憐のとこへ行きそっと抱き締め、キスした。
火憐は何も言わず、ただ小さく頷いた。
で、いつものようにドアが開く。
「何やってんだー!お前ら!」
今日の月火は過激だ。
「ああ、キスしてた」
今日は開き直った僕。
「あ、あ、あ!」
「アイスピック買いに行くのか?」
「あー、火憐ちゃんだけズルイ!」
月火はドンッと僕に抱きつき、キスしてきた。
「火憐ちゃんだけのお兄ちゃんじゃないんだよ?」
と言いながら。
舌は絡め取られなかったけど、心は少し絡め取られた。
329 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:54:52.18 ID:HhIjuGso
というか、色々心配だな、この二人。
「なぁ、言っとくけどブラコンなんて流行らないぞ?」
二人は示し合わせた様にこう言った。
「実の兄なんて、萌えるだけだろうが!」
またどっかで変な言葉覚えちゃってるよ。
二人は僕に一礼し、部屋から出ていった。
なんだかんだ言いながら、僕はあいつらが好きだし、あいつらも僕の事が好きなんだな。
兄妹って、本当にいいもんだ。
330 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:56:46.32 ID:HhIjuGso
あと1日で、厳密には3月末までは高校生だけど、僕の高校生活は終わる。
やり残した事は無いだろうか?
ま、あったところで大した事じゃないんだろうけどね。
「風呂入って寝るか?」
忍に話しかけると返事が無い。
「おーい、忍?」
おかしい。
「忍、ドーナツでも買いに行くか?」
全く返事が無い。
あれ?忍どこ行ったんだろ?
ま、彼女もまた何か旅立つ前にやり残した事でも……
と、いうか妹達とのキスでヤキモチでも焼いたか?
モテル男は辛いな、僕はキメ顔でそういった。
なんてな。
「おーい、忍」
「…・・・・」
「はっ!」
一瞬、僕の背中に冷たい汗が流れた。
僕は、直ぐに携帯を取り出し、電話する。
が、相手は出なかった。
「羽川!」
350 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 23:42:11.83 ID:HhIjuGso
僕はジャージのまま、財布と携帯をポケットにねじ込み、車のカギを握りしめ、階段を滑り落ちる。
「あ、兄ちゃん!どうしたの!」
「ちょっと出掛けてくる」
「もう遅いよ?」
「いや、まだ早い、今なら間に合う!」
「ん?何か知らないけど、楽しそうだし連れてけー」
「火憐ちゃん行くなら、私も!」
「お前ら、家に居ろ!」
「へへー、何か面白そうな事が起きそうだし」
「面白くも何ともねぇよ!」
車庫の車に乗り込み、深呼吸を一回し、僕はエンジンを掛ける。
妹達はちゃっかり、後部座席に座っている。
「シートベルトよし!出発!」
くそったれめ!遊びじゃねえんだ!
僕は車を羽川の自宅へ走らせる。
こんな辛気臭い片田舎の街、夜間の交通量は少ない。
359 名前:351 校正[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 23:50:23.02 ID:HhIjuGso
10分程度で、羽川の住む辺りに到着する。
「確か、この辺だったんだが」
「おう兄ちゃん、住所はどこだ?」
僕は携帯を取り出し、アドレス帳を見る。
羽川はご丁寧に、住所まで入れてあったからな。
「おお、これか。月火ちゃん分かる?」
「えっとね、多分向こうの通りだよ」
流石、街を徘徊するファイヤーシスターズ。
武闘派火憐に、頭脳派月火。
味方につければ、最強だった。
月火に案内された通りで、番地を探しあてる。
表札に「羽川」と有った。
352 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 23:43:31.66 ID:HhIjuGso
僕は深呼吸し、チャイムを鳴らす。
「はーい」と言う声と共に、その重たそうなドアが開く。
「どちらさま?」
うちの母さんぐらいの人が出てきた。
「すみません、夜分遅く。翼さんのクラスメイトの阿良々木と申しますが、翼さんは居られますか?」
「いえ、今は……先程、お友達と逢うと言って、出て行きましたが?」
「どこに行くとか言っていませんでしたか?」
「ええ、直ぐに戻るとだけ……何かありました?」
「いえ、別に。特には無いのですが」
迂闊だった。
僕じゃなく、火憐に行かせれば良かった。
下手な心配をさせたんじゃ?と僕は後悔しつつも、羽川を探す事に脳を切り替える。
「兄ちゃん、どうだった?」
「駄目、居ない」
「羽川の姉さんに何かあったの?」
「ん?ああ、まだ無いとは思うが、多分これからある」
「何がよ?」
「戦争」
「ええ!なにそれ、どういう事?」
「今は説明する暇が無い。とりあえず、掴まっとけ!」
僕は車を出し、あの場所へ向かう。
多分、あそこしかない。
353 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 23:44:45.34 ID:HhIjuGso
20分ほど車を走らせ、廃ビルに到着。
僕は外から声をかける。
「おい、忍いるか?羽川、いるか?」
廃ビルは、何も言わずただそこに佇む。
「おい、二人とも。ここは危険だから、絶対に車から出るなよ」
僕は、一人でビルの中へ。
しかし、誰の気配も感じない。
終わったのか?
いや、終わる筈が無い。
それに、あいつらが闘えばこんな安普請なビル、倒壊する筈。
くそっ!どこに行きやがった!
車に戻ると、車内が仄明るい。
ドアを開けると、火憐と月火がメールをしていた。
「なぁ兄ちゃん、あまり慌てるな。今、私達が探してやってるから」
火憐達は、自分達のネットワークを駆使し、二人を探す。
「お、きたきた!兄ちゃん、本通りへGO!だ」
「こっちも来たよ、金髪さんと黒髪さんが直江津高校付近で歩いてたって」
あ!あそこか!
僕は、また車を走らせる。
354 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 23:45:39.04 ID:HhIjuGso
「兄ちゃん、そろそろ説明してくれてもいいだろ?何が有った?」
「ああ。戦争だって」
「それは聞いた。忍さんと羽川さんが闘うのか?」
「正確には……忍の本性と羽川の魔性が闘うかも知れない」
「ん?」
「うーん?」
二人は声を揃え
「いみわからん」と。
意味なんて分からなくていいよ。
空想話みたいなもんだ。
車を学校の脇に止め、また二人に言いつける。
「いいか、何があっても車から出るな。いいな!」
「えー!なんか楽しそうじゃん?」
「つれてけつれてけ!」
「駄目だ。僕はお前達まで失いたくない。それと、もし車から出たら、二度とキスしてやらない」
「え!」
おまじないは効果的だった。
356 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 23:46:29.79 ID:HhIjuGso
二人は外したシートベルトを締め直し、メールで捜査終了の合図を送る。
「もし、1時間経って僕が帰って来なければ、警察に電話な、いいな」
「サーイエッサー!」
僕は、車から離れ、学校の門をよじ登り、侵入する。
ドン!
足に大きな振動が伝わる。
「間違いない!もう始まってるし!」
僕は急いで校庭を横切り、体育館の方へ向かう。
居た!
そこには真っ白な髪の羽川、ブラック羽川と忍が居た。
「おい、お前ら止めろ!」
止めに入った僕に忍は言う。
「おお、我があるじ様、いいところに来た。今日こそは息の根を止めるので、もう少し血を分けて貰う」
忍はそのまま、僕に吸いつく。
やばい、これ以上は駄目だ!
忍は18歳から22歳ぐらいまで成長する。
「ほう、吸血鬼らしくなったにゃ」
ブラック羽川がニヤリと笑う。
360 名前:356 続き[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 23:57:43.34 ID:HhIjuGso
「これで俺の勝ちだにゃん」
「何をいう!お前に勝ちなどありはせん」
「ほっほー、おい吸血鬼、今すぐ俺を殺してみやがれ。お前の最愛のあるじの前で、あるじの親友と『その子』をな!」
「止めろ、忍」
忍は、拳を握りそこで佇む。
「おい、早くしろ。俺は機嫌が悪いんでな、今日は」
倒置法で怒りを顕わにする猫。
「のぅ我があるじ様よ、儂は今、四面楚歌じゃ。このままでは儂が死んでしまうが?」
「別に闘う理由なんてないだろ!」
「理由?理由なら有るわい。あるじ様の子を宿すなど言語道断、儂は認めぬ」
「にゃら、俺にも理由が出来た。俺のご主人様の最愛にゃる人に手をだしやがって!」
一触即発の危機だった。
今、この二人を止められるのは……
多分僕。
しかし、生きて帰れる保証なんてどこにもない。
でも、止めなきゃならない。
「忍、止めろ!」
僕はそ忍の前に立ちはだかる。
361 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/11(土) 00:00:03.13 ID:dO0fq0go [1/11]
次の瞬間、忍ではなく猫が僕を襲う。
忍は「すまん、お前様」と僕を蹴り飛ばす。
「ぐはっ!」
内蔵が破裂し、骨が砕ける。
そのまま、僕は20m以上飛ばされ、体育館の扉に打ちつけられる。
徐々に出血は止まり、体が回復するのは分かる。
それでも、かなりボロボロで直ぐには動けない。
そして、僕の目の前で忍と猫が闘っている。
共にエナジードレインの怪異。
猫が忍の腕を取り、忍も猫に噛みつく。
ただ、二人が制止しているようだが、そこでは気が光の速さで交換されている。
「猫、そろそろ諦めたらどうだ?」
「にゃに・・をいうか、お前こそ諦めろ」
「五月蠅い、黙れ!」
猫の腹部に蹴りを入れる。
猫はそのまま、体育館の壁にクレーターを作る。
「お前、今日は絶対に[ピーーー]からにゃ!」
362 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/11(土) 00:01:05.62 ID:dO0fq0go [2/11]
猫も忍にパンチを浴びせる。
「ふん、そんな猫パンチ、儂に通用するか!」
追っかけ、猫の腕を掴み、地面に叩きつける。
終わりそうにない、壮絶な戦いが目の前で繰り広げられる。
が、猫が不利。
10歳の忍にすら勝てなかった猫。
幾ら頑張っても、20代の忍には勝てない。
少しずつ、形勢は不利になる。
多分、もう決着は付く。
でもそれじゃダメなんだ。
僕は誰も失わず、誰か一人を選ぶんだ。
選べたら、それでいい。
死んだら死んだで、いいじゃないか。
『いつ死ぬか分からない恐怖より、いつ[ピーーー]るか分からない恐怖』
「今なら、[ピーーー]る気がするわ」
少し回復した体を立ち上げ、二人の元へ歩く。
取っ組み合いの二人の間に、自分の身体を落とす。
「なぁ、お前ら。どうしても止めないなら、僕の屍を乗り越えてから行けよ」
僕はそのまま、猫を抱きしめた。
363 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/11(土) 00:02:26.19 ID:dO0fq0go [3/11]
背中に忍の視線を痛いほど受けながら。
「さぁ、全部吸ってしまえ。吸いつくせ、僕がいなければ、ストレスも溜らないだろ?」
が、猫は微動だにしない。
「くぅ、おい人間、何を今更いうかにゃ?そういう覚悟はもっと早くにするべきだろ」
「ん?意味わかんねえよ。もういいわ、好きにしろよ猫。いや、羽川」
猫の動きが完全に止まる。
「なぁ、羽川、まだ諦めがつかないか?」
「お、俺様は御主人ではにゃい!」
「違うだろ、お前は羽川なんだよ」
「にゃんでそんなこというかな?」
「僕は気付いたんだ。ストレスで猫がでるなんて嘘っぱちだって」
「お前様、それはどういう事だ?」
忍が僕に質問する。
「簡単な事さ、羽川は器用な人間でな。自分の感情なんてどうとでもコントロールする人間なんだ。その上、そんじょそこらの怪異が中に入ったところで、そいつごと飲み込むのが羽川なんだよ」
「何?なら、その猫は……」
「ああ、羽川の意思で呼び出す事も消す事も可能」
「なんと!」
364 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/11(土) 00:04:59.06 ID:dO0fq0go [4/11]
「今日だって、家を出た時は羽川で、ここで猫になったんだろ?お前を見て暴れるならその場で猫が出るよ」
「なるほどのぉ」
「僕が襲われた時、こいつは言った『何もしてないさ、ただご主人様に呼ばれただけにゃ』と」(>>64)
「ありえねぇよな。今までなら勝手に出てくるだけ。でも、最後に見た時こいつは言ったんだ。呼ばれたと。だから―――姿こそ猫だが、意識は羽川のまま。猫が羽川に飲まれたんだよ」
「うむ、どうりで気持ち悪い奴と思った訳だ」
「そうさ、本気になりゃ忍だって飲まれたかも知れないぜ?」
「なんだ、ばれてたのか。いつ気が付いた?」
「気付いたのはさっき、情報は色々」
「ふーん、そんなにヒントが有ったかしら?」
「有り過ぎた。戦場ヶ原はお前を、お前自身を怪異だと言ったし、忍は気持ち悪いと言った。
何より、体育倉庫でブラまで外して覚悟を決めたのに何もしなかった僕を、体育倉庫で襲っちゃうんだからな。
春先の残念無念を引き摺ってたんだろ?襲うなら、自宅で寝込みを襲えば良い。猫身でな。」
365 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/11(土) 00:05:55.57 ID:dO0fq0go [5/11]
「あーあ、本当に、阿良々木君は何でも知ってるのね?」
「何でもはしらねぇよ、知ってるのは忍と羽川の胸のサイズだけだ」
「あっそ、この期に及んで冗談まで言うなんて。私の負けだわ」
「じゃ、悪いけどこの喧嘩、終わりにしてくれるかな?」
「ええ、いいわ」
「それから、忍。一つお願いを聞いてくれ」
「なんじゃ?我があるじ様よ」
「僕はいつ[ピーーー]るか分からないけど、ずっとお前と居る。だから、羽川のお腹の子は、こっち側、人間世界への未練、忘れ形見だと思って、認めてくれ」
「……御意である」
「あと、お前普通の言葉もしゃべれるよな?」
「ああ、それがどうした」
「出来れば、普段はそっちの方がいいぞ」
「そ、そうか?」
「ああ、そっちの方が断然可愛い」
「う、お、ああ、わかたっよ」
「ああ、いいな、それ」
じゃ、撤収!
366 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/11(土) 00:06:59.37 ID:dO0fq0go [6/11]
後日談と言うか、これ後日譚だよね?のオチ。
羽川は猫の姿のまま、帰って行った。
忍は僕のそばで、僕が回復するのを待っていた。
が、体の回復に結構長い時間を掛けてしまった。
で、気付いたら、校門前にパトカーの大群。
きっかり1時間で警察に電話したうちの妹達。
警官が駆け付ければ、体育館の壁と扉が破壊され、校庭がひび割れ、僕が大の字で寝てた。
勿論、忍は影の中に隠れる。
誰が考えても、僕の仕業。
然しながら、人間が壊したと思えないと言う事で、一応僕は不問となったが……
伝説は残ったらしい。
「阿良々木が化け物と戦ったらしい」と言う伝説。
リーク元は分かったるけど、今回も不問。
ただ、卒業生はとんでもない体育館で卒業する事となった。
式も無事終わり、僕は忍と旅へ。
みんな、見送りに来てくれた。
僕の元彼女、元彼女の後輩、僕の妹1号2号3号、見えないけど迷子の子、そして―――
阿良々木暦の忘れ形見をいつまでも抱えなければならない人。
「みんな、今までありがとう」
ちなみに、これはあとで知ったのだが、忘れ形見の養育費はずっと忍が送っていた。
367 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/11(土) 00:09:07.67 ID:dO0fq0go [7/11]
「さて、全店制覇にいってくるね~」と忍。
ちなみに、VUカットガラスだと体が焼けないから、車の中は安全らしい。
と、言いつつも長袖パーカーにサングラスを着用する忍。
もう何が何だか……ご都合主義の極みだな
街を出て、海岸線の国道を走り、一路大阪へ。
ミスド1号店があるらしい。
ふと、走りながら左手方向を見たら、ヒッチハイカーがいた。
サイケデリックなアロハシャツに無精ひげ。
停まった僕の顔も見ず、こう言った。
「悪いねぇ、どこか面白そうな話がある街まで乗せてよ」と。
いきなり僕と忍の二人旅は……「終わった!」
おわり。
368 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/11(土) 00:09:52.06 ID:dO0fq0go [8/11]
時間が無くて、ちょっと端折り過ぎた感が強過ぎる。
今回、sagaなしの理由は読み手解釈でお願いします。
369 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/11(土) 00:11:29.70 ID:dO0fq0go [9/11]
ま、気が向けばだけど、書き直す事もありけり
ちょい、沈んだので再掲
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「staple stable」
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西尾維新・アニプレックス・シャフト
*この物語はフィクション(SS)であり、実在する書籍と設定や性格が多少異なる事があります
*作者には校正してくれる編集さんがいませんので、たまに敬が抜けたり等の誤植がありますが、お許しください
*スレタイは殆ど関係ないと言うか、一番最後です
最終譚始めます。
暦「終わった……」
一連の騒動も終わり、僕の長い1年は終わろうとしていた。
明後日には卒業式。
出席日数はギリギリだったが、学期末試験で赤点も無く無事卒業決定。
卒業後は、忍と二人で旅をする。
先日、その打ち合わせをした。
まずは日本国内、全ミスタードーナツを制覇。
というか、ほぼ毎日ドーナツを食べなければならないという事に、僕は少し不満なのだが。
移動手段は車。
冬休みとその前後を活用し、運転免許を取得した。
車は中古だけど、小型の四輪駆動車を購入。
資金?もう今更、説明する事も無いだろう。
で、部屋で必要な荷物を詰め込み、準備中。
必要なモノと言っても最小限なので、特に時間はかからないのだが、思い出の整理までしているものだから、無駄な時間が掛かる。
314 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/09/10(金) 18:36:53.13 ID:HhIjuGso
「お前様、衣類は要らんぞ?」
「ああ、分かってる。ただ、何着かは持っていきたいんだ」
「何故じゃ?」
「忍のデザインが気に入らない時用に」
「何ぃ?まだそんな事を言っておるのかぁ?!」
「嘘だよ、このセーターは火憐が選んでくれたし、持っていきたい」
「相変わらず妹が好きじゃな」
「そりゃ兄妹だからさ」
「兄妹か。儂にもそう呼べるものが居ったな」
初耳だった。
「ふーん」
「ふーんとはなんじゃ?それだけか?」
「いや、別にその事を根掘り葉掘り聞いたところで、どうしようもないし」
「儂の過去を知りたいとは思わんのか?」
「過去か。まぁ、3人に追われ、ボロボロになったお前を助けたところ辺りからの過去だけで十分。それ以上の過去は僕には必要ないよ」
「我があるじ様はやさしいの」
忍は僕の背中にもたれかかり、膝を抱えて座る。
そして、小さな声で語り始めた。
315 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:39:01.43 ID:HhIjuGso
「儂は―――兄者を殺めておる」
一瞬、僕の身体が固まったのを忍は見逃さなかった。
「なぁ、お前様。そんな儂でも好きか?この先、一緒に居られるか?」
続け、畳みかける様に僕に質問を浴びせる。
「ああ。別に、そんな事気にもしない」
僕は忍に対して人間の常識を充てるつもりは無い。
忍―――キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの過去など、
それこそ本にすれば魔法使い少年の本を抜くベストセラーになるだろう。
『普通の』人間には、おとぎ話のような、伝説のような、空想物語。
見てもいない事実は、どれだけ信憑性があっても物語の域を出る事は無い。
それが常識を遥かに超える話であれば、あるほど。
「そうか」
「ああ」
「なら、儂から言う事はもう何も無いわ、かかか」
忍は快活に笑い、立ち上り、僕の机の前に立った。
「儂はこの本を1冊持っていこう」
野球入門の本だった。
「今度、キャッチボールとやらをしてみようぞ?」
笑った。
キャッチボールするのにそんな本を読む必要などない。
でも、本当の意味が分かったから、僕は何も言わなかった。
316 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:40:28.43 ID:HhIjuGso
「なぁ、我があるじ様、前々から思っておったのだが、この古い本に挟んでいるカードはなんじゃ?」
「ん?何?」
忍は僕に昆虫図鑑を見せる。
「どれ?」
本の中ほどに挟まる一枚のカード。
栞となったカードは少しだけその姿を覘かせる。
僕はそのカードをスッと引き抜く。
咄嗟、目頭が熱くなる。
時間が巻き戻される。
胸が苦しくなる。
「お前様、どうした?泣いておるのか?」
ずっと捨てられたと思ったカードが、そこにはあった。
僕が一番大事にしていたポケモンのカード。
ポタポタと床に涙が落ち、小さな池を作る。
「これは何をする物じゃ?」
「ずっと父さんに捨てられたと思ってたカード……」
忍はそのカードを手に取り、透かすように見る。
「ただの紙だが?」
「ああ、タダの紙さ。ただの紙に僕は……」
大事な時間、大事な関係を失ってしまった。
先日、両親に忍を紹介した時の事を思い出した。
『ただ、奥さんはカードとは違う。大事にしろ』
その言葉の意味がやっとわかった。
父さんは、捨てられたと思って責めた僕を、逆に責めはしなかった。
父親の懐の大きさを痛感した。
317 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:41:47.91 ID:HhIjuGso
僕は部屋を飛び出し、リビングへ向かう。
涙ぐみながら飛びこんできた僕を見て、両親は驚く。
「どうしたんだ?暦」
「父さん……ごめん」
「ん?何の話だ?」
「ずっと、ずっと父さんに捨てられたと思ってたカードが―――出てきた」
「そうか、良かったじゃないか」
「捨てられてなんかいなかったのに、僕は―――僕は―――」
「暦、人間誰しも間違いを犯す。その間違いに気付いた時に、謝れる人間か、そうでないか―――それが重要だ」
「でも―――」
「いいんだよ。もう。ほら、嫁さん貰うとかいう奴が親の前で泣くな」
「と、父さん……」
「なぁ暦。僕達はお前を自由奔放に育て過ぎたんじゃないかって心配してたんだが、どうやらそれは無駄な心配だったみたいだ」
「え?」
「妹達の事を含め、自慢の子供だよ、いやもう大人だな暦は。いい大人になった。僕達は間違っていなかった。よくそこまで立派な大人になった」
「父さん……」
「ありがとう」
親に謝ったら、感謝された。
数年間の蟠りが一気に消えた。
元の親子に戻った瞬間だった。
泣くなと言われて我慢していた涙が―――全部一気に出た。
「なぁ、暦。いつでも帰って来たくなったら遠慮しなくていい。ここがお前の家だからな」
318 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:43:16.30 ID:HhIjuGso
翌日、僕は戦場ヶ原に会いに行った。
「やぁ」
「久しぶりね」
「もうすぐ出発でしょ?」
「ああ、卒業式が終わったら、その足で」
「そう……」
「今まで色々有難う」
「何も感謝されるような事はしていないわ」
そう言いながら、戦場ヶ原は首を大きく反らす。
「そっか」
「ええ、そうよ。それに感謝しなきゃならないのは私の方よ」
「いや、そんな事は」
「あなたに受け止められ、思いを返して貰え、誰かに自慢したい秘密を全部見て貰った」
「あ―――」
「だから、それでいいの。ごめんね、色々今まで強い事言って」
「あ、うん」
319 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:44:46.60 ID:HhIjuGso
「それより、旅ってどこに行くの?」
「えっと、ミスタードーナツめぐり」
「はぁ?」
「全国のミスドを廻るんだ」
「そう。本当に阿良々木君は馬鹿ね。そんな馬鹿が選んだ吸血鬼もまた馬鹿ね」
馬鹿馬鹿と言いながらも、戦場ヶ原は楽しそうに話す。
「ねぇ阿良々木君、この街は好き?」
「ああ。忍野曰く辛気臭いらしいけど、僕は好きだ」
「そう、良かった。またいつでも戻って来なさい」
「ああ、そうするよ」
「ちなみに、今度阿良々木君が戻って来た時、この街の男性は全部私の物だから」
「ええー!逆ハーレムかよ!」
「だから、あの馬鹿の吸血鬼に言っておいてくれる?」
「えっと…なんて?」
「私の物に手を出したら承知しないから。だから貴女は阿良々木君だけで一生我慢しなさいと」
「分かった」
戦場ヶ原はベンチからひょいと立ちあがり、歩き始め、また立ち止まる。
「しかし、羽川さんに出し抜かれた上に、吸血鬼にも先を越されていたなんて悔しいわ」
「でも―――」
「そうね、それでも一度は手に入れたわ。忍野さんの50/50のゲームで負けたんだけどね」
「ああ」
「本当にあの人は、したたかだわ。今度会ったら仕返ししなくちゃね」
そういうと、戦場ヶ原は歩きだし、振り向きこういった。
「ありがとう」
僕は戦場ヶ原の姿が見えなくなるまで見送った。
320 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:45:52.58 ID:HhIjuGso
戦場ヶ原と別れた後、神原の家に寄る。
「やぁ、阿良々木先輩!ようこそいらっしゃった。上がって!」
神原のテンションは相変わらず高い。
「おじゃまします」
神原の部屋に入り驚いた。
「なんじゃこりゃ!」
また昔の様に本の山。
「ああ、参考資料をあつめたらこうなった」
「こうなったって…」
殆どが本で埋め尽くされ、空いているのはベッドと机のまえに座布団が2枚。
それ以外は殆ど足の踏み場が無い。
321 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:47:00.56 ID:HhIjuGso
「っと、今日は八九寺はいないのか?」
「え?やだな。幾ら本が多いからって、八九寺ちゃん埋めたりしませんよ、そこに居るじゃないですか?」
神原が指さす机の前に八九寺は居なかった。
が、よく見ると原稿用紙の上でトーンがひとりでに動いている。
見えない。
「どうしたんだ先輩?」
「あ、いや。何でもない」
「何か変だぞ?」
「あ、うん……」
「いつもなら『はちくじー』と抱きつこうとするのに、やっぱり嫁を貰うとなると自粛ですか?」
「いや、そういう訳ではないんだが……」
「何?八九寺ちゃん」
神原が机の方へ向かう。
何やら話し込んでいる様に見える。
「ええー!マジ?うんうん、分かった」
「先輩、もう八九寺ちゃんが見えてないんですね?」
八九寺にはバレていた。
322 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:47:38.63 ID:HhIjuGso
「あ、うん。そうなんだ」
「良かったじゃないですか。と八九寺ちゃんが言ってますよ?」
「そうか」
「あと、ありがとう。って、おうちに届けてくれて」
「うん……」
「あーなんか辛気臭いな。ほら、先輩元気出して」
「ああ」
「さてと……」
神原は足元の本を動かし、道を作る。
「先輩、こちらへ」
僕は神原に招かれ、机の前へ行く。
「ここに八九寺ちゃんがいますから」と僕の手を取り、引いてくれる。
僕には何も見えない。
その存在すら認識できない。
「先輩、今までありがとうって言ってますよ」
「ああ。八九寺、僕こそ今まで楽しい話をありがとう」
神原が僕の手をそっと空中で止める。
「あっ」
「にひー、阿良々木さん、お幸せに」
八九寺の声が聞こえ、手の温かさを僕に伝わる。
そして、消えた。
323 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:48:19.74 ID:HhIjuGso
「ありがとうな」
「いえ、感謝される事は何もしてませんよ、阿良々木先輩」
神原には半殺しにされた事もあった。
それでも僕が胸を張って自慢できる後輩だ。
「神原、頑張れよ」
「先輩こそ。また面白い話のネタを提供してくださいね!」
「なんだネタって!」
「あはは、阿良々木先輩の日常を本にしたら、結構売れてます」
「そうかい」
「印税要りますか?」
「そんなに売れてるの!?」
「ええ、結構、凄く。アニメ化されるかも」
「マジか!まぁ、程々に書いてくれよ」
「はい、程々にですね」
「じゃ、神原。いくわ」
「ええ、お気をつけて!」
324 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:49:21.82 ID:HhIjuGso
僕は家に戻り、夕食を済ませ自室でのんびりしていた。
「コンコン」と口でノックする月火。
「お兄ちゃん、入るねー」
「おお、どうした?」
「お客さん」
「ん?」
「千石ちゃんだよ」
「千石?」
「おじゃまします」
「千石、どうした?」
「うん、ララちゃんと偶然あったので……」
「そうか。で、何?」
「別に用は無いんだけど……」
「そうか、ゆっくりしてけよ」
「あ、あのね暦お兄ちゃん」
「ん?何?」
「もし……もしね―――」
「なんだよ?」
千石は言い辛そうにモジモジとする。
325 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:49:52.66 ID:HhIjuGso
「あの、予約って出来ますか?」
「予約?なんの?」
「暦お兄ちゃんの」
「僕の?」
「はい、暦お兄ちゃんを予約します」
「えーっと……意味が分からないんだけど?」
「あの、だから、その、もしも吸血鬼さんと別れたら……」
本当に千石は純粋だ。
その純粋さが、猪突猛進とさせる。
「ごめんな、千石。予約は受け付けていないんだ」
「そ、そうなんだ」
「ああ、予約は無い。完売した」
「そ、そうなんだ」
「だから、何か違うのを見つけろ」
「でも……」
「それに僕は千石の『お兄ちゃん』だろ?予約なんて要らない。妹として甘えるならいつでもOKだぜ?」
「うん……わかった」
への字口で、ぐっと堪える千石は、涙は見せなかったが、もう限界だった。
326 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:50:46.03 ID:HhIjuGso
「おーい月火、話は終わったから千石を玄関まで送ってやれ」
「ほーい」
「じゃ、千石。いい女になって、カッコいい彼氏を兄ちゃんに紹介してくれよ」
「う、うん」
「それじゃ」
「うん、それじゃ」
「あの、その……」
「ん?何?」
「吸血鬼さん、返品はいつでもお受けしますから!」
千石はそういうと部屋から走って出て行ってしまった。
返品ねぇ、ないだろうな。
返品するぐらいな、食料にされちまうよ。
ま、そうならない様にがんばろっと。
327 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:51:59.09 ID:HhIjuGso
月火が千石を送りに行った後、今度は火憐が来る。
本当にみんな、一斉だな。
「よぉ火憐、元気か?」
「あんまり……」
「なんで?」
「なんでって……」
「ほら、元気がお前の取り柄だろ?もっと元気になれよ」
「なぁ兄ちゃん、本当に行くのか?」
「ん?ああ、行くよ。行ってくるよ」
「どうしても?」
「ああ。これは僕と忍が決めた事だからな」
「そうか。なら仕方が無い」
「まぁ、たまには帰ってくるよ」
「兄ちゃん、なんかずるいよな」
「え?」
「先に大人になってさ」
「それは仕方が無いだろ。お前とは3歳も離れてるんだぜ?」
「でも……」
「いつか火憐も大人になる。何を以て大人になるかはその人それぞれ。僕の場合は親に認められたって事かな」
「……」
「だからって、認めた親を責め立てて、それを取り消しさせようなんて思っちゃいけない」
328 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:53:16.81 ID:HhIjuGso
「え?なんで?なんで分かったの?」
「そりゃ、僕と火憐ちゃんが兄妹だからさ。お前の考えている事ぐらい分かるって」
「なら、今どう思ってるか分かるでしょ?」
「ああ、痛いほど分かる。でも僕は行かなきゃならない。だから―――な?パパとママのの事、頼んだぞ」
火憐はシャツの袖で目を擦ると、大きな声で返事した。
「はい!」と。
「で、兄ちゃん。もう一個お願いがあるんですが……」
「お願いねぇ」
そのお願いも僕には何の事か分かっていた。
僕は立ち上り、火憐のとこへ行きそっと抱き締め、キスした。
火憐は何も言わず、ただ小さく頷いた。
で、いつものようにドアが開く。
「何やってんだー!お前ら!」
今日の月火は過激だ。
「ああ、キスしてた」
今日は開き直った僕。
「あ、あ、あ!」
「アイスピック買いに行くのか?」
「あー、火憐ちゃんだけズルイ!」
月火はドンッと僕に抱きつき、キスしてきた。
「火憐ちゃんだけのお兄ちゃんじゃないんだよ?」
と言いながら。
舌は絡め取られなかったけど、心は少し絡め取られた。
329 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:54:52.18 ID:HhIjuGso
というか、色々心配だな、この二人。
「なぁ、言っとくけどブラコンなんて流行らないぞ?」
二人は示し合わせた様にこう言った。
「実の兄なんて、萌えるだけだろうが!」
またどっかで変な言葉覚えちゃってるよ。
二人は僕に一礼し、部屋から出ていった。
なんだかんだ言いながら、僕はあいつらが好きだし、あいつらも僕の事が好きなんだな。
兄妹って、本当にいいもんだ。
330 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 18:56:46.32 ID:HhIjuGso
あと1日で、厳密には3月末までは高校生だけど、僕の高校生活は終わる。
やり残した事は無いだろうか?
ま、あったところで大した事じゃないんだろうけどね。
「風呂入って寝るか?」
忍に話しかけると返事が無い。
「おーい、忍?」
おかしい。
「忍、ドーナツでも買いに行くか?」
全く返事が無い。
あれ?忍どこ行ったんだろ?
ま、彼女もまた何か旅立つ前にやり残した事でも……
と、いうか妹達とのキスでヤキモチでも焼いたか?
モテル男は辛いな、僕はキメ顔でそういった。
なんてな。
「おーい、忍」
「…・・・・」
「はっ!」
一瞬、僕の背中に冷たい汗が流れた。
僕は、直ぐに携帯を取り出し、電話する。
が、相手は出なかった。
「羽川!」
350 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 23:42:11.83 ID:HhIjuGso
僕はジャージのまま、財布と携帯をポケットにねじ込み、車のカギを握りしめ、階段を滑り落ちる。
「あ、兄ちゃん!どうしたの!」
「ちょっと出掛けてくる」
「もう遅いよ?」
「いや、まだ早い、今なら間に合う!」
「ん?何か知らないけど、楽しそうだし連れてけー」
「火憐ちゃん行くなら、私も!」
「お前ら、家に居ろ!」
「へへー、何か面白そうな事が起きそうだし」
「面白くも何ともねぇよ!」
車庫の車に乗り込み、深呼吸を一回し、僕はエンジンを掛ける。
妹達はちゃっかり、後部座席に座っている。
「シートベルトよし!出発!」
くそったれめ!遊びじゃねえんだ!
僕は車を羽川の自宅へ走らせる。
こんな辛気臭い片田舎の街、夜間の交通量は少ない。
359 名前:351 校正[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 23:50:23.02 ID:HhIjuGso
10分程度で、羽川の住む辺りに到着する。
「確か、この辺だったんだが」
「おう兄ちゃん、住所はどこだ?」
僕は携帯を取り出し、アドレス帳を見る。
羽川はご丁寧に、住所まで入れてあったからな。
「おお、これか。月火ちゃん分かる?」
「えっとね、多分向こうの通りだよ」
流石、街を徘徊するファイヤーシスターズ。
武闘派火憐に、頭脳派月火。
味方につければ、最強だった。
月火に案内された通りで、番地を探しあてる。
表札に「羽川」と有った。
352 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 23:43:31.66 ID:HhIjuGso
僕は深呼吸し、チャイムを鳴らす。
「はーい」と言う声と共に、その重たそうなドアが開く。
「どちらさま?」
うちの母さんぐらいの人が出てきた。
「すみません、夜分遅く。翼さんのクラスメイトの阿良々木と申しますが、翼さんは居られますか?」
「いえ、今は……先程、お友達と逢うと言って、出て行きましたが?」
「どこに行くとか言っていませんでしたか?」
「ええ、直ぐに戻るとだけ……何かありました?」
「いえ、別に。特には無いのですが」
迂闊だった。
僕じゃなく、火憐に行かせれば良かった。
下手な心配をさせたんじゃ?と僕は後悔しつつも、羽川を探す事に脳を切り替える。
「兄ちゃん、どうだった?」
「駄目、居ない」
「羽川の姉さんに何かあったの?」
「ん?ああ、まだ無いとは思うが、多分これからある」
「何がよ?」
「戦争」
「ええ!なにそれ、どういう事?」
「今は説明する暇が無い。とりあえず、掴まっとけ!」
僕は車を出し、あの場所へ向かう。
多分、あそこしかない。
353 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 23:44:45.34 ID:HhIjuGso
20分ほど車を走らせ、廃ビルに到着。
僕は外から声をかける。
「おい、忍いるか?羽川、いるか?」
廃ビルは、何も言わずただそこに佇む。
「おい、二人とも。ここは危険だから、絶対に車から出るなよ」
僕は、一人でビルの中へ。
しかし、誰の気配も感じない。
終わったのか?
いや、終わる筈が無い。
それに、あいつらが闘えばこんな安普請なビル、倒壊する筈。
くそっ!どこに行きやがった!
車に戻ると、車内が仄明るい。
ドアを開けると、火憐と月火がメールをしていた。
「なぁ兄ちゃん、あまり慌てるな。今、私達が探してやってるから」
火憐達は、自分達のネットワークを駆使し、二人を探す。
「お、きたきた!兄ちゃん、本通りへGO!だ」
「こっちも来たよ、金髪さんと黒髪さんが直江津高校付近で歩いてたって」
あ!あそこか!
僕は、また車を走らせる。
354 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 23:45:39.04 ID:HhIjuGso
「兄ちゃん、そろそろ説明してくれてもいいだろ?何が有った?」
「ああ。戦争だって」
「それは聞いた。忍さんと羽川さんが闘うのか?」
「正確には……忍の本性と羽川の魔性が闘うかも知れない」
「ん?」
「うーん?」
二人は声を揃え
「いみわからん」と。
意味なんて分からなくていいよ。
空想話みたいなもんだ。
車を学校の脇に止め、また二人に言いつける。
「いいか、何があっても車から出るな。いいな!」
「えー!なんか楽しそうじゃん?」
「つれてけつれてけ!」
「駄目だ。僕はお前達まで失いたくない。それと、もし車から出たら、二度とキスしてやらない」
「え!」
おまじないは効果的だった。
356 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 23:46:29.79 ID:HhIjuGso
二人は外したシートベルトを締め直し、メールで捜査終了の合図を送る。
「もし、1時間経って僕が帰って来なければ、警察に電話な、いいな」
「サーイエッサー!」
僕は、車から離れ、学校の門をよじ登り、侵入する。
ドン!
足に大きな振動が伝わる。
「間違いない!もう始まってるし!」
僕は急いで校庭を横切り、体育館の方へ向かう。
居た!
そこには真っ白な髪の羽川、ブラック羽川と忍が居た。
「おい、お前ら止めろ!」
止めに入った僕に忍は言う。
「おお、我があるじ様、いいところに来た。今日こそは息の根を止めるので、もう少し血を分けて貰う」
忍はそのまま、僕に吸いつく。
やばい、これ以上は駄目だ!
忍は18歳から22歳ぐらいまで成長する。
「ほう、吸血鬼らしくなったにゃ」
ブラック羽川がニヤリと笑う。
360 名前:356 続き[sage] 投稿日:2010/09/10(金) 23:57:43.34 ID:HhIjuGso
「これで俺の勝ちだにゃん」
「何をいう!お前に勝ちなどありはせん」
「ほっほー、おい吸血鬼、今すぐ俺を殺してみやがれ。お前の最愛のあるじの前で、あるじの親友と『その子』をな!」
「止めろ、忍」
忍は、拳を握りそこで佇む。
「おい、早くしろ。俺は機嫌が悪いんでな、今日は」
倒置法で怒りを顕わにする猫。
「のぅ我があるじ様よ、儂は今、四面楚歌じゃ。このままでは儂が死んでしまうが?」
「別に闘う理由なんてないだろ!」
「理由?理由なら有るわい。あるじ様の子を宿すなど言語道断、儂は認めぬ」
「にゃら、俺にも理由が出来た。俺のご主人様の最愛にゃる人に手をだしやがって!」
一触即発の危機だった。
今、この二人を止められるのは……
多分僕。
しかし、生きて帰れる保証なんてどこにもない。
でも、止めなきゃならない。
「忍、止めろ!」
僕はそ忍の前に立ちはだかる。
361 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/11(土) 00:00:03.13 ID:dO0fq0go [1/11]
次の瞬間、忍ではなく猫が僕を襲う。
忍は「すまん、お前様」と僕を蹴り飛ばす。
「ぐはっ!」
内蔵が破裂し、骨が砕ける。
そのまま、僕は20m以上飛ばされ、体育館の扉に打ちつけられる。
徐々に出血は止まり、体が回復するのは分かる。
それでも、かなりボロボロで直ぐには動けない。
そして、僕の目の前で忍と猫が闘っている。
共にエナジードレインの怪異。
猫が忍の腕を取り、忍も猫に噛みつく。
ただ、二人が制止しているようだが、そこでは気が光の速さで交換されている。
「猫、そろそろ諦めたらどうだ?」
「にゃに・・をいうか、お前こそ諦めろ」
「五月蠅い、黙れ!」
猫の腹部に蹴りを入れる。
猫はそのまま、体育館の壁にクレーターを作る。
「お前、今日は絶対に[ピーーー]からにゃ!」
362 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/11(土) 00:01:05.62 ID:dO0fq0go [2/11]
猫も忍にパンチを浴びせる。
「ふん、そんな猫パンチ、儂に通用するか!」
追っかけ、猫の腕を掴み、地面に叩きつける。
終わりそうにない、壮絶な戦いが目の前で繰り広げられる。
が、猫が不利。
10歳の忍にすら勝てなかった猫。
幾ら頑張っても、20代の忍には勝てない。
少しずつ、形勢は不利になる。
多分、もう決着は付く。
でもそれじゃダメなんだ。
僕は誰も失わず、誰か一人を選ぶんだ。
選べたら、それでいい。
死んだら死んだで、いいじゃないか。
『いつ死ぬか分からない恐怖より、いつ[ピーーー]るか分からない恐怖』
「今なら、[ピーーー]る気がするわ」
少し回復した体を立ち上げ、二人の元へ歩く。
取っ組み合いの二人の間に、自分の身体を落とす。
「なぁ、お前ら。どうしても止めないなら、僕の屍を乗り越えてから行けよ」
僕はそのまま、猫を抱きしめた。
363 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/11(土) 00:02:26.19 ID:dO0fq0go [3/11]
背中に忍の視線を痛いほど受けながら。
「さぁ、全部吸ってしまえ。吸いつくせ、僕がいなければ、ストレスも溜らないだろ?」
が、猫は微動だにしない。
「くぅ、おい人間、何を今更いうかにゃ?そういう覚悟はもっと早くにするべきだろ」
「ん?意味わかんねえよ。もういいわ、好きにしろよ猫。いや、羽川」
猫の動きが完全に止まる。
「なぁ、羽川、まだ諦めがつかないか?」
「お、俺様は御主人ではにゃい!」
「違うだろ、お前は羽川なんだよ」
「にゃんでそんなこというかな?」
「僕は気付いたんだ。ストレスで猫がでるなんて嘘っぱちだって」
「お前様、それはどういう事だ?」
忍が僕に質問する。
「簡単な事さ、羽川は器用な人間でな。自分の感情なんてどうとでもコントロールする人間なんだ。その上、そんじょそこらの怪異が中に入ったところで、そいつごと飲み込むのが羽川なんだよ」
「何?なら、その猫は……」
「ああ、羽川の意思で呼び出す事も消す事も可能」
「なんと!」
364 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/11(土) 00:04:59.06 ID:dO0fq0go [4/11]
「今日だって、家を出た時は羽川で、ここで猫になったんだろ?お前を見て暴れるならその場で猫が出るよ」
「なるほどのぉ」
「僕が襲われた時、こいつは言った『何もしてないさ、ただご主人様に呼ばれただけにゃ』と」(>>64)
「ありえねぇよな。今までなら勝手に出てくるだけ。でも、最後に見た時こいつは言ったんだ。呼ばれたと。だから―――姿こそ猫だが、意識は羽川のまま。猫が羽川に飲まれたんだよ」
「うむ、どうりで気持ち悪い奴と思った訳だ」
「そうさ、本気になりゃ忍だって飲まれたかも知れないぜ?」
「なんだ、ばれてたのか。いつ気が付いた?」
「気付いたのはさっき、情報は色々」
「ふーん、そんなにヒントが有ったかしら?」
「有り過ぎた。戦場ヶ原はお前を、お前自身を怪異だと言ったし、忍は気持ち悪いと言った。
何より、体育倉庫でブラまで外して覚悟を決めたのに何もしなかった僕を、体育倉庫で襲っちゃうんだからな。
春先の残念無念を引き摺ってたんだろ?襲うなら、自宅で寝込みを襲えば良い。猫身でな。」
365 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/11(土) 00:05:55.57 ID:dO0fq0go [5/11]
「あーあ、本当に、阿良々木君は何でも知ってるのね?」
「何でもはしらねぇよ、知ってるのは忍と羽川の胸のサイズだけだ」
「あっそ、この期に及んで冗談まで言うなんて。私の負けだわ」
「じゃ、悪いけどこの喧嘩、終わりにしてくれるかな?」
「ええ、いいわ」
「それから、忍。一つお願いを聞いてくれ」
「なんじゃ?我があるじ様よ」
「僕はいつ[ピーーー]るか分からないけど、ずっとお前と居る。だから、羽川のお腹の子は、こっち側、人間世界への未練、忘れ形見だと思って、認めてくれ」
「……御意である」
「あと、お前普通の言葉もしゃべれるよな?」
「ああ、それがどうした」
「出来れば、普段はそっちの方がいいぞ」
「そ、そうか?」
「ああ、そっちの方が断然可愛い」
「う、お、ああ、わかたっよ」
「ああ、いいな、それ」
じゃ、撤収!
366 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/11(土) 00:06:59.37 ID:dO0fq0go [6/11]
後日談と言うか、これ後日譚だよね?のオチ。
羽川は猫の姿のまま、帰って行った。
忍は僕のそばで、僕が回復するのを待っていた。
が、体の回復に結構長い時間を掛けてしまった。
で、気付いたら、校門前にパトカーの大群。
きっかり1時間で警察に電話したうちの妹達。
警官が駆け付ければ、体育館の壁と扉が破壊され、校庭がひび割れ、僕が大の字で寝てた。
勿論、忍は影の中に隠れる。
誰が考えても、僕の仕業。
然しながら、人間が壊したと思えないと言う事で、一応僕は不問となったが……
伝説は残ったらしい。
「阿良々木が化け物と戦ったらしい」と言う伝説。
リーク元は分かったるけど、今回も不問。
ただ、卒業生はとんでもない体育館で卒業する事となった。
式も無事終わり、僕は忍と旅へ。
みんな、見送りに来てくれた。
僕の元彼女、元彼女の後輩、僕の妹1号2号3号、見えないけど迷子の子、そして―――
阿良々木暦の忘れ形見をいつまでも抱えなければならない人。
「みんな、今までありがとう」
ちなみに、これはあとで知ったのだが、忘れ形見の養育費はずっと忍が送っていた。
367 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/11(土) 00:09:07.67 ID:dO0fq0go [7/11]
「さて、全店制覇にいってくるね~」と忍。
ちなみに、VUカットガラスだと体が焼けないから、車の中は安全らしい。
と、言いつつも長袖パーカーにサングラスを着用する忍。
もう何が何だか……ご都合主義の極みだな
街を出て、海岸線の国道を走り、一路大阪へ。
ミスド1号店があるらしい。
ふと、走りながら左手方向を見たら、ヒッチハイカーがいた。
サイケデリックなアロハシャツに無精ひげ。
停まった僕の顔も見ず、こう言った。
「悪いねぇ、どこか面白そうな話がある街まで乗せてよ」と。
いきなり僕と忍の二人旅は……「終わった!」
おわり。
368 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/11(土) 00:09:52.06 ID:dO0fq0go [8/11]
時間が無くて、ちょっと端折り過ぎた感が強過ぎる。
今回、sagaなしの理由は読み手解釈でお願いします。
369 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/11(土) 00:11:29.70 ID:dO0fq0go [9/11]
ま、気が向けばだけど、書き直す事もありけり
ちょい、沈んだので再掲
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「staple stable」
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西尾維新・アニプレックス・シャフト
*この物語はフィクション(SS)であり、実在する書籍と設定や性格が多少異なる事があります
*作者には校正してくれる編集さんがいませんので、たまに敬が抜けたり等の誤植がありますが、お許しください
*スレタイは殆ど関係ないと言うか、一番最後です
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