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タカトシ「オレはロリコンでドMな人間なんだろう」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:24:38.59 ID:kXFP94u80 [1/65]
スズ「……いきなりの激白ね」
タカトシ「と言うより、周りからそう思われそうで怖いって言うか……」
スズ「ああ、そういうこと」
タカトシ「はぁ……会長達も、もう卒業か……」
スズ「何言ってんのよ。ソレ昨日の話でしょ? ちょっと今更すぎるわよ」
タカトシ「そうなんだけどさ……昨日はほら、副会長して、新しい会長として、色々と仕事に追われてたからさ……。
なんか一日経って、七条先輩と会長がいないこの生徒会室で仕事してると、改めてそうなんだなって思っちゃってさ」
スズ「……確かにそうね。二人だけだと、生徒会室も広く感じるわね」
タカトシ「あの賑やかだった部屋が二人だけだと、なんだか寂しいな……」
スズ「安心なさい。あと一週間もすれば終業式で、そのあと二週間も経たずに入学式。
そしたら生徒会でも新しい人材を入れることになるし、イヤでも賑やかになるわ」
タカトシ「でも、会長や七条先輩のような賑やかさは、もう二度とないんだな……」
スズ「そりゃ……まぁね」
タカトシ「はぁ……」
スズ(津田……やっぱり、会長のことが……)
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:27:39.26 ID:kXFP94u80
スズ(確かに会長は美人だし、頭も良いから好きになるのは分かるんだけど……だったらなんで津田は卒業式の日に告白しなかったって話なのよ。
今もああして会長のこと思うんだったら……あの時、最後の別れ際に告白でもすれば良かったじゃない。
そしたら……そしたら私だって、津田のこと、諦められたのに……)
スズ「全く……そんなに落ち込んでないでほら、さっさと手を動かす。これ終わったら後はほとんど仕事なんてないんだから。
そしたら寂しく感じるこの部屋に来る事もなくなるでしょ」
スズ(と言うか、告白しないからって妙な期待持っちゃって、私ってばバカみたい。
大体私ってば、会長と違って素直じゃないし、会長と違って見た目が子供で中身が大人ぶってるせいで生意気に見えるし……。
確かに頭の良さは会長と変わんない――むしろ上だと思ってるけど、そんなのはなんのプラスにもならないし……っつかこんなこと考えてること自体がバカよね。
全く……天才を自負してるくせにこれじゃダメね。そもそも天才だったら、この想いを忘れさせる方法ぐらい思いつきなさい、って話よね……)
タカトシ「ん……そうか……そう言えば、今年度の仕事はこれで終わりなのか……」
スズ「そうよ。だからキリキリと働きなさい。そしたら気も紛れるでしょ」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:29:39.54 ID:kXFP94u80
~~校門までの帰り道~~
タカトシ「なあ、萩村」
スズ「なに?」
タカトシ「今日の仕事で終わりって事は、これから終業式まで、放課後は自由時間って事だよな?」
スズ「そうよ。んまぁ、終業式の前日には多少の準備があるせいで集まることになるだろうけど、それまでは大丈夫よ。
だから友達と遊んで帰るなり、好きにすればいいわ」
タカトシ「じゃあさ、勉強教えてくれないか?」
スズ「は? 津田が勉強?」
タカトシ「うっわ~……割とマジな顔で言ってきましたよ」
スズ「日頃の行いでしょ」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:31:24.09 ID:kXFP94u80
タカトシ「ともかく、どうかな? やっぱり、一人だと色々と限界があるしさ」
スズ「私は別に構わないけど……なんでまた」
タカトシ「ん……まあ、やっぱり生徒会長になったんだから、今までみたいな成績じゃあ示しがつかないかなって」
スズ「……そんな理由で?」
タカトシ「そ。そんな理由で」
スズ(……ああ、そっか……そう言えば会長の行った大学って、頭良いところだもんね……今のうちから勉強しないと、追いつけないって分かってるんだ……)
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:33:55.53 ID:kXFP94u80
スズ(……なぁんか、事情を知っちゃったらかなり複雑な気分になったな……でも一度構わないって言っちゃったし、今更断れないか……)
スズ「念のため言っておくけど、私はキビシイわよ?」
タカトシ「分かってるよ。一度数学教えてもらったことあったろ? その時から骨身に染みてるよ」
スズ「にも関わらずまたお願いするなんて……津田ってやっぱりドMよね」ニヤリ
タカトシ「自分でもそう思うよ。でも、欲望に忠実なんだなとも思うよ」
スズ「は?」
タカトシ「いや、こっちの話。ともかく頼んだから、また明日」
スズ「ええ。また明日」
スズ(……今更だけど、なんで私と津田の家って逆方向なんだろ……。
……一緒の方向だったら、もっと話しながら帰れたのにな……)
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:35:07.48 ID:kXFP94u80
~~~翌日・登校路~~~
スズ(家が逆方向だけど迎えに行きたいな……でもコトミが入学してからは迎えに行ってないし、今更迎えに行くのもおかしいか……。
何より、特にこれといった用事も無いし。前みたいに服装チェックがあるわけでもないし)
スズ「……早く新学期にならないかなぁ……」
タカトシ「おっす。おはよう、萩村」
スズ「え?」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:36:18.12 ID:kXFP94u80
タカトシ「よ。どうした? 呆然とした表情浮かべて」
スズ「いや……あんたの家と私の家って逆方向でしょ?
それなのになんでこんなところで会うのよ」
タカトシ「いや~……たまには早起きできたからさ。どうせだったら、服装チェックの無い日に萩村を迎えに行って驚かせてやろうと思って。
でもこんな道端で会うとは……服装チェックも無いのに早いんだな」
スズ「まあね。あんたとは違って、私はしっかりと遅刻しないように生活のリズムが出来上がってるし」
タカトシ「手厳しいな、これは」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:37:10.78 ID:kXFP94u80
スズ「で、本当に驚かせるためだけに私のところに来ようとしたの?」
タカトシ「いや~……じつはほら、昨日頼んだ勉強会。あれをさ――」
スズ「なに? もしかして中止にして欲しいの?」
スズ(そんなことになったら……津田と会える時間が減っちゃうな……)
タカトシ「そうじゃなくてさ。萩村の家で出来ないかなと思って」
スズ「は?」
タカトシ「図々しいのは百も承知だけどさ、お願い!」
スズ「はぁ……でもまたなんで?」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:39:00.19 ID:kXFP94u80
タカトシ「いや、頼んどいてなんだけど、家にはコトミがいるだろ? 昨日勉強してる時に邪魔されてさ。
これじゃあ萩村が来ても同じことになるなと思って」
スズ「なるほど。そういうことね」
タカトシ「ああ。で、ダメかな?」
スズ「別に良いわよ。ま、私のお母さんがいるけど、それでも良かったらね」
タカトシ「ありがとう萩村! 恩に着るよ!」
スズ「ふんっ! ま、私の寛容な心に感謝しなさい」
スズ(一度部屋に上げてるから大丈夫よね。
と言うか津田、それだけ会長のために真剣なんだ……ホント、羨ましいな……会長が)
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:40:18.15 ID:kXFP94u80
~~~放課後・萩村家への道~~~
タカトシ「卒業式まで半ドンだから楽で良いね」
スズ「ホントよね。それに生徒会の活動もほとんど終わったし」
タカトシ「昨日言ってた通り、後は終業式前の準備だけだろ?」
スズ「そうよ。だから長い時間勉強できるってわけ」
タカトシ「覚悟は出来てるよ。萩村先生、よろしくお願いしまっす!」
スズ「クスッ、何よソレ」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:41:46.62 ID:kXFP94u80
~~~萩村家・休憩中~~~
タカトシ「ふう~……温かくて甘くておいしい……萩村って紅茶もおいしく淹れられるんだな」
スズ「まあね」
スズ(と言っても、いつか津田に飲んでもらうために必死に練習したんだけど)
タカトシ「はむ。もぐもぐ……うん、このクッキーもおいしい。これって手作り?」
スズ「そうよ。糖分は勉強するのに必要なものだからね。いつも作り置きしてあるのよ」
スズ(ま、本当は今日津田の家に持って行こうと思って昨日作ったやつなんだけど)
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:43:33.25 ID:kXFP94u80
タカトシ「スゴイな萩村は。こうやってお菓子が作れるなんて」
スズ「そう? 女の子なら割と普通よ」
タカトシ「そうか? オレはコトミが作ってるところを一緒に暮らしてきて見たことないんだが……」
スズ「ま、あの子じゃね。むしろ料理してるところが想像できないわ」
タカトシ「そう言えば萩村って料理も出来るんだったな」
スズ「人並みにはね」
タカトシ「それって……やっぱり、留学に備えて?」
スズ「よくそんな話し覚えてたわね」
タカトシ「まぁ、フランス語の勉強してたのが印象に残ってて」
スズ「んまぁ、確かにソレがあるのも事実だけど……それ以上に、やっぱり淑女の嗜みとして当然のことでしょ。家事全般は」
タカトシ「その言葉、是非ともコトミに聞かせてやってくれ」
スズ「言うだけ無駄でしょ。あの子には」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:46:01.96 ID:kXFP94u80
スズ(でもそっか……私が留学するってことは、津田と会えるのも高校までってことか……)
タカトシ「でも萩村、留学って言っても、大学には一応行くんだろ?」
スズ「当然でしょ。入学してすぐにでも留学できる大学に行くのよ」
タカトシ「そっか」
スズ(津田は……私が留学することに対して、何も思わないのかな……?
……思わないか。何を期待してるんだか、私は)
スズ「ほら、そんな話はいいから。そろそろ勉強、再開するわよ」
タカトシ「あ、うん」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:47:39.04 ID:kXFP94u80
~~~始業式・生徒会室~~~
スズ(結局、春休みに入ってもずっと津田と勉強してたな……まあ、楽しかったから良いんだけど。
でもせめて一度ぐらい、私が晩ご飯作ってやれば良かったかも。お母さんの作った晩ご飯なら何度か食べて帰ってたけど……。
……はぁ……披露できる折角のチャンスだったのに、あの時気付けないなんてどうかしてるわ)
タカトシ「おはよう、萩村」
スズ「遅いわよ。呼び出しの時間から五分過ぎてる」
タカトシ「ごめんごめん。でもなんか用事でもあったっけ?
始業式の準備とかは、昨日のうちに済ましたはずだけど?」
スズ「そうね。でも、役員の確保がまだでしょ?」
タカトシ「今からか?」
スズ「当たり前。アンタが生徒会に入った時、とっくに私が会計やってたでしょ?
あれは、始業式の日にスカウトされたからなのよ。人数が足りない時は、新入生の中から成績が良い人を勧誘することが出来るの。
尤も、本人がやりたくないって言えばやらなくても良いんだけど」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:48:51.35 ID:kXFP94u80
タカトシ「なるほどな……それは知らなかった」
スズ「ま、去年はあんたも会長も七条先輩もいたから、余裕は無かったけどなんとか回ってからね。
正直、あんたがあの時入らなかったら副会長も探すことになるところだったのよ」
タカトシ「へぇ~……」
スズ「ホント、面倒くさいことしなくて済むんだから、去年の会長には感謝しないとね」
スズ(津田と出会うきっかけにもなれたしね)
タカトシ「分かった。それで、どのクラスのなんて人なんだ?」
スズ「もう調べてあるし記憶もしてあるから大丈夫よ、ついてきなさい」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:50:49.01 ID:kXFP94u80
~~~1年D組前・廊下~~~
スズ「えっと……あなたがトップ合格した子ね?」
後輩「は、はい……えっと……生徒会の方々が、どうかされましたか?」
タカトシ「え? どうして俺達のことを……」
スズ「アンタもう忘れたの? 入学式の時に私達も壇上に立ったじゃない」
タカトシ「ああ、そう言えば」
スズ「全く……生徒会長なんだからしっかりしなさいよね」
タカトシ「ははっ、ごめんごめん」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:51:58.44 ID:kXFP94u80
スズ「それで、今日来たのは話があるからなの」
後輩「話、ですか?」
スズ「そう。津田」
タカトシ「え? オレ?」
スズ「アンタが会長でしょ? しっかりしなさい」
タカトシ「ああ、そっか……えっと……じつは、君に生徒会に入って欲しくて……」
後輩「生徒会に、ですか?」
タカトシ「うん。ほら、入学式の時に見てくれたなら分かるだろうけど、今二人しかいなくてね。
出来れば協力して欲しいかな、って」
後輩「でも……放課後の時間がなくなるのは……」
タカトシ「そっか……確かにそうだよね」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:53:41.91 ID:kXFP94u80
タカトシ「学校での拘束時間も増えるし、正直、内申点が増えること以外は、特にこれといったメリットは無いのかもね」
スズ「ちょっと津田――」
タカトシ「でもさ、やり甲斐のある仕事なのは確かなんだ。
生徒会が無ければ、イベントが上手く回らない。
言ってしまえば、オレたちが、生徒達皆が楽しく学校に来られるような環境を作る、って事なんだ。
確かに楽しい保証は無い。
辛くない保証も無い。
けれども、良かったと思わせられる保証はある。
自信もある」
後輩「…………」
タカトシ「何より、生徒会で無いと分からない楽しさがあるのも事実なんだ。
そりゃ、生徒会で無いと分からない楽しさより、友達と一緒の方が分かる楽しさの方が、楽しいかもしれない。
どっちが良いかは一概に言い切れないけれど……でもオレ達は、君の力を頼りにしたいと思ってる。貸して欲しいと思ってる。
……でもま、無理強いはしないよ。
オレの場合は半ばムリヤリだったけど、ソレを君に押し付けるつもりも無いしね」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:55:51.49 ID:kXFP94u80
後輩「……津田会長は、どうなんですか?」
タカトシ「オレ? んまぁ、そうだな……去年の会長には振り回されたし、書記の人にもさらに振り回されたし、会計の萩村には迷惑掛けっぱなしで……正直、楽しかったなんて思う余裕、無かったよ」
後輩「え?」
タカトシ「でもま、こうして会長を引き継いで、仕事とか、色々なことを会長の立場になってやってみると……会長はスゴかったんだなって実感できるし、ソレに追いつきたいとも思えるようになった。
そうなってくると、去年は割りと楽しかったんだなって、今では思えるよ」
スズ「…………」
後輩「…………」
タカトシ「だけど、オレは去年の会長のように余裕がある訳じゃないからね。
同じかそれ以上の楽しさを他人に与えられるか、って思うと、不安で仕方ないんだけどね」
後輩「……そうですか」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:01:00.19 ID:kXFP94u80
キーンコーンカーンコーン
タカトシ「あっ」
スズ「予鈴ね。全く、アンタが時間通りに来てたらもう少し話できたのに」
タカトシ「ごめんごめん。それじゃあ君、良かった考えとい――」
後輩「いえ! あのっ……! 私、生徒会に入ります!」
タカトシ「えっ? 良いの? なんか結構長く勝手に話しちゃったから、強制されてると思ってない?」
後輩「いえ、そんなことは……」
スズ「止めなさい。そういう物言いがまたその子を追い詰めることになるんだから」
タカトシ「ああ、そっか……」
スズ「大体、さっきから話し聞いてたら、何かムリヤリ入れようとしてる感じがプンプンするのよね。アンタの話」
タカトシ「ゴメン……」
スズ「だからあなたも、今即決する必要は無いわ。
出来ないなら出来ないで構わないんだし、言い方は悪いけど代わりだっているんだか――」
後輩「いえ、私にやらせてください」
タカトシ「……え?」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:05:47.92 ID:kXFP94u80
スズ「良かったわね。入ってくれて」
タカトシ「う~ん……だけどなんでオレの話で入る気になったんだろ。
今思い返してみれば、萩村に言われた通り、ちょっとムリヤリな感じがしてた気がするんだけど……」
スズ「さあ?」
スズ(たぶん、アンタが話してるときの表情でしょうね。
ウソをついてるようでも、勧誘に必死になってるようでもない、自然体の表情だったから……。
……素直なところ、か……ある意味、会長とは似てるのかな……?
私も似たような理由で生徒会に入った訳だし)
スズ「ともかく、次は始業式よ。頭切り替えて、ちゃんと壇上に立って話す言葉、考えてきた?」
タカトシ「もちろん。むしろ今年は作りやすかった方なんじゃない?」
スズ「え?」
タカトシ「だって男女共学化を完璧に果たしただろ?」
スズ「そう言えばそうね」
タカトシ「だから、歴代に比べれば余裕余裕」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:07:36.15 ID:kXFP94u80
~~~講堂・始業式~~~
タカトシ「~~~~~~」
スズ(ホント、見事なまでのスピーチね……一昨年の今頃は、私みたいにこうして壇上に立ってるだけ緊張してたって言うのに……)
タカトシ「~~~~~~」
スズ(にしても……私ってばどうして津田のことが好きになったんだっけ?
なんか、気が付いたら好きになってたような気がするんだけど……理由とかキッカケとかあっても良いはずなんだけどなぁ……)
タカトシ「~~~~~~」
スズ(……まあ、さり気なく優しかったりするし、そういうのが重なったのかもしれないわね。
決して……決してツッコミが上手いからなんて理由じゃないはず!)
タカトシ「~~~~~~」
スズ(……って言うか今にして思えば、会長が卒業してから津田がツッコんでるところ見てないかも。
まぁ、ボケ役とか天然とかがいなくなったから当然か。
……さすがに私がボケる訳にもいかないし)
タカトシ「それでは一年生の皆さん、楽しい学園生活が送れますよう願っています。
そして我々生徒会も、そのお手伝いが出来るように努力いたします」
パチパチパチパチ
スズ(あっ、終わりか)
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:09:45.26 ID:kXFP94u80
~~~放課後・生徒会室~~~
タカトシ「ふう~……緊張した~~~……」
スズ「そう? 割と平然としているように見えたけど」
タカトシ「見かけだけはね。大体オレが緊張してるバレたら、新入生の皆を不安にさせちゃうからね」
スズ「ふ~ん……なぁんだ、ちゃんと会長出来てんじゃん」
タカトシ「萩村のサポートあってこそだよ」
スズ「私、今回は特に何もして無いけど?」
タカトシ「傍にいるだけで安心するって事」
スズ「……なに恥ずかしいこと言ってんのよ」
タカトシ「え? そう? やっぱり友人が近くにいると安心する、って意味なんだけど」
スズ「言い方が悪いってこと」
スズ(全く……何勘違いしてんだか、私は)
コンコン
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:12:04.97 ID:kXFP94u80
後輩B「失礼します」
タカトシ「ん? キミは?」
後輩B「一年生です。実は、先程の話を聞いて、生徒会に入れてもらいたいと思いまして……」
スズ「え?」
後輩B「あの……ダメ、でしたか?」
タカトシ「まさか! 大歓迎だよ! なあ萩村!」
スズ「もちろん! これで人数揃ったわ!」
後輩B「え? 人数が揃ったと言うのは?」
後輩「あの……」
後輩B「はい?」
後輩「すいません。えっと……今朝呼び出されたから来たんですけど……どうかしましたか?」
タカトシ「ううん! どうもしないよ!
ただね、この場にいる四人が、今年の生徒会メンバーに決まったってだけの話!」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:13:58.67 ID:kXFP94u80
スズ(一時は懸念したものだけど……意外にあっさりと見つかったわね。
ま、これで心配事の一つは減ったから良いか……。
……って言うか、また津田一人が男子っていう状況だけど……しかも入ってきた二人共私より身長高いし……。
……一年生の癖に……。
ま、津田は会長が好きだからどうってことはないんだろうけど。
……なんだか悲しくなってくるわね、自分で思ってて)
タカトシ「どうかしたの? 萩村!」
スズ「別に。ただ、これから残りの一年間、受験勉強もしながら頑張らないとなって思ってだけ」
タカトシ「確かにそうだよな! これから、色々と忙しくなりそうだ!」
スズ「嬉しいのは分かるけど、アンタさっきからノリとテンションがウザい。……全く」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:15:47.38 ID:kXFP94u80
~~~期末テスト・結果発表~~~
スズ「……あれ?」
スズ(津田の順位が上がってる……前まで二十位になんてかすりもしなかったのに、一七位……)
タカトシ「おっ、萩村は相変わらず一位か」
スズ「あ、津田。でもあんただって成績伸びてるじゃない。ほらコレ」
タカトシ「ああ~……でも、まだまだだよ。目標までには程遠い」
スズ(確かに、会長に追いつこうと思ったらまだまだだけど……この成長率は凄まじいわね)
タカトシ「それで萩村、良かったら夏休みも勉強、教えてくれない?」
スズ「え?」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:17:13.54 ID:kXFP94u80
スズ「良いけど……でもアンタ、去年夏休みの宿題で苦労してたじゃない。大丈夫なの?」
タカトシ「大丈夫だよ。宿題なら一人でも片付けられるし、それよりももっと勉強したいんだ」
スズ「そう……」
スズ(そんなに会長に追いつきたいのか……なんかもう、色々と諦めたいな……でも諦めきれないなんて……私って、本当に天才なんだろうか……?)
スズ「ま、分かったわ。さすがに夏休みだと毎日とはいかないけれど、極力私の家で見てあげる」
タカトシ「ありがとう! 萩村」
スズ「別に良いわよ。生徒会長がいつまでもこんな順位じゃ、生徒達に示しがつかないものね」
タカトシ「よろしくお願いします」
スズ「それよりもほら、親睦会でもある海水浴の日程とか、決めるわよ」
タカトシ「ああ、そうだな」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:18:16.07 ID:kXFP94u80
~~~夏休み・最後の日~~~
タカトシ「おはよう、萩村。久しぶり」
スズ「おはよう。久しぶり、って言ってもたった一週間程度でしょ?
それまでずっとあんたの家か私の家で勉強してたじゃない」
タカトシ「はは、確かに」
スズ「それじゃ、後輩達はもう講堂に行ってくれてるから、私達もさっさと行くわよ」
タカトシ「分かった」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:19:52.68 ID:kXFP94u80
タカトシ「……はぁ……もう二学期の始まりか……夏休みって長いようで短いよな」
スズ「そうね。ま、あんたにしては有意義な夏休みだったでしょ?」
タカトシ「ずっと勉強漬けだったのがか?」
スズ「受験生らしい夏休みでしょ? 三年生だからこその醍醐味よ」
タカトシ「……確かにそうかもしれないけど……」
スズ(ま、私としては、登校日とか生徒会の用事以外で津田と会えてたから、勉強の名目があったとしても有意義な夏休みだったんだけどね)
タカトシ「それでもやっぱり、一日ぐらいは萩村と遊びに出かけても良かったかもな」
スズ「……受験生らしくないこと言わないの」
タカトシ「もしかして萩村、照れてる?」
スズ「照れてない」
タカトシ「う~ん……最近は鈍く無くなったと思ったんだけどなぁ……」
スズ(それなら私の気持ちに気付きな――いや、気付かれても困るだけか……なんて乙女チック回路に出来上がってんだ、私は)
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:21:23.43 ID:kXFP94u80
~~~文化祭~~~
スズ「はあ……準備に結構手間取ったわね……」
タカトシ「やっぱり、去年の会長と七条先輩はスゴいよ。
これだけの仕事量を辛そうな表情一つも見せずやってみせてたんだから」
スズ「そうね。……そう言えば、一年生達はどうしてるの?」
タカトシ「見回りだよ。オレもそろそろ、ミスコンの司会に行かないと」
スズ「ん? アレって新聞部が主催してなかったっけ?」
タカトシ「今年の新聞部は畑先輩みたいに積極的な人がいないみたいで……代わりにオレに、って頼みに来たんだ」
スズ「それでアンタ、断らなかったの?」
タカトシ「困ってる人を見てると、やっぱり断れなくてね」
スズ「自分で仕事増やしてどうすんのよ……」
スズ(それじゃあ一緒に文化祭周れないし……まぁ、そういう優しいところが津田らしいんだけど)
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:22:34.99 ID:kXFP94u80
シノ「やあ、萩村」
スズ「あれ? 会長。来てくれたんですか」
シノ「元・会長だ。今はただの天草シノだよ」
スズ「それでも、私と津田にとって、会長は会長のままですよ」
シノ「んまぁ、それなら呼びやすいように呼べばいい。
それで、その津田はどこだ? まさか会長だっていうのにサボってるのか?」
スズ「まさか。新聞部が開催しているミスコンに司会のお手伝いですよ」
シノ「ほお~……あの津田がなぁ……」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:23:36.61 ID:kXFP94u80
シノ「新入生は入ったのか?」
スズ「もちろんです。今は二人で見回りに行ってくれてますよ」
シノ「そうか。ちゃんと生徒会が引き継がれていて、安心したぞ」
スズ「そういう会長は一人ですか?」
シノ「いや、アリアも来ている。ただちょっとはぐれてしまってな」
スズ「そうですか。それは好都合です」
シノ「好都合?」
スズ「はい。実はちょっと、会長と二人きりでお話がしたいと思ってましたので」
シノ「ふむ……なら場所を移動するか」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:25:11.78 ID:kXFP94u80
シノ「そう言えば萩村は、どこの大学に行くつもりなんだ?」
スズ「? どうしたんですか? 突然?」
シノ「いや、ふと気になってな。私達のところには来ないんだろ?」
スズ「ええ。会長達のところじゃあ、入学したその年に留学が出来ませんから」
シノ「そこまで留学に拘る必要もないと思うんだが……」
スズ「それが、私のしたいことなんですよ」
シノ「そうか……それなら仕方が無いな」
スズ「ええ。だから大学は、あそこにしようかと思ってます」
シノ「あそこって……私達の進路を聞いてきた時に、萩村が言っていた大学か?」
スズ「ええ」
シノ「それは……結構レベルが高いな……」
スズ「会長たちのところと変わりませんよ」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:26:49.65 ID:kXFP94u80
シノ「よしっ、裏庭のここなら、人も来ないし静かだろう。
それで、話って言うのはなんだ? 生徒会の仕事で分からないこと、なんてもので、移動には応じないだろ?」
スズ「……その前に、ちょっと思ったことなんですが、会長って少し変わりましたね」
シノ「そうか? ……いや、そうだろうな。
昔みたいにはしゃぎ続けることが出来なくなった。
昔は津田がツッコんでくれていたから、私のボケも成り立って楽しかったんだが……大学だと、昔のノリはアリアとしか出来なくなってな」
スズ「まぁ、今の方が落ち着いていて、私は好きですよ?」
シノ「そうだな……当時は萩村も、私のボケを拾ってくれることは無かったもんな」
スズ「元々下ネタって苦手なんです」
シノ「萩村らしいな」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:27:57.93 ID:kXFP94u80
スズ「それにしても……それだけ津田のことを大切に思ってたなら、どうして告白しなかったんですか?」
シノ「告白?」
スズ「はい。卒業式の日にでも言えば良かったじゃないですか。好きですって」
シノ「……萩村は、何か勘違いをしているようだな」
スズ「え?」
シノ「私は別に、津田のことは好きじゃないぞ?」
スズ「……え?」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:29:58.71 ID:kXFP94u80
シノ「いや、好きと言えば好きなんだが……それは、アリアや萩村に抱いてるのと同じ気持ちだ。決して恋愛感情ではない」
スズ「そんな……」
スズ(それじゃあ津田は……なんのために頑張ってるの……?)
シノ「それで、話は終わりか?」
スズ「え? ま、まぁ、終わりです……」
シノ「そうか。それじゃあ私はアリアを探すとしよう。
と言うより、これだけの話だと、あの場でしても良かったな」
スズ「そう、ですね……」
スズ(これ“だけ”……私にとっては報われない恋の話なのに……会長にとっては、その程度の認識なんだ……)
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:31:40.06 ID:kXFP94u80
シノ「ふむ……そうだな、萩村。一つ元会長からのお話だ」
スズ「……はい?」
シノ「お前はもっと、自分に自信を持っても良いと思うぞ」
スズ「……これ以上にですか?」
シノ「ああ。それ以上にだ」
スズ「それって、ただのイヤな奴になりません?」
シノ「そうだな……まぁ、今と同じベクトルの自信ばかり過剰になったら、確かにイヤな奴だ。
だがお前なら、今と同じじゃない、自信をつけるべきベクトルぐらい、すぐに分かるだろ」
スズ「そんなの……分かりませんよ」
シノ「分かるはずだ。そしたらお前は、もっと輝くだろうしな」
スズ「…………」
シノ「それじゃ、今度こそ行くよ。
萩村、まだ全て回ってないが、先に言わせてもらおう。
楽しい文化祭を、ありがとう」
スズ「あっ……」
スズ(結局……色々と聞きそびれちゃったな……)
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:32:53.79 ID:kXFP94u80
シノ「全く……萩村の奴は……」
シノ(何が悲しくて、私はこんなことを言ってるのだろうな……。
本当は、津田に告白したくてしたくて仕方が無かったって言うのに……。
……でも、無理だろう……だって、津田の気持ちは――)
アリア「シノちゃん」
シノ「アリア? なんだ、もしかして見てたのか?」
アリア「ええ。シノちゃんを探してたら、偶然スズちゃんと話してるところを見つけちゃって」
シノ「そうか……」
アリア「……本当のこと、言わなくて良いの?」
シノ「言ったらそれまでだ。それにこれは、私などが口に出す問題じゃない」
アリア「……私は、そうでもないと思うけど……だってシノちゃんは、津田くんのために我慢を――」
シノ「アリア、そこまでだ」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:33:41.80 ID:kXFP94u80
シノ「私が自分で決めたことだ。だから、あいつ等を私の我侭に巻き込む必要は無い」
アリア「我侭だなんて、そんな……」
シノ「いいや、我侭さ。
自分の気持ちも打ち明けられない、そんな情けない自分を正当化しようとしてる、そんな我侭なのさ」
アリア「…………」
シノ「それよりもほら、津田のところに行くぞ。どうやらミスコンの司会をしているみたいなんだ」
アリア「……あらそう。それはとっても楽しそうね」
シノ「ああ。アイツの司会っぷりを観に行こうじゃないか!」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:34:12.60 ID:kXFP94u80
スズ(私が自信を持つべきところ……それって一体どこだろう?
……私ってば頭の良さ以外、なんの取り得もないはずなんだけど……それなのに、他に自信を持つべきものって……?)
スズ「……分かるはず無い、か……」
スズ(昔っからそうだけど……本当、会長の考えてることって分からないな……)
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:35:25.66 ID:kXFP94u80
~~~文化祭・数日後~~~
ムツミ「タカトシく~ん」
タカトシ「ああ、三葉。どうしたんだ?」
ムツミ「えへへ~……ちょっと教えて欲しいところがあってね」
タカトシ「あれ? でも三葉って推薦もらってるんじゃ……」
ムツミ「期末テストでだよ~」
タカトシ「ああ、なるほど……」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:36:20.74 ID:kXFP94u80
スズ(……そう言えば、三葉も津田のこと好きなのかな……? なんかそんな感じするし……むしろ文化祭が終わってから妙に仲が良いような気もするし……)
スズ「…………」
スズ(……今更だけど、思い返してみればそんな場面が何度もあった気が……。
……う~ん……ってことは、卒業間近で自分の気持ちに気付いたってパターンなのかな……?)
スズ「…………」
スズ(……ま、私には関係ないか……そう、関係の無いことなんだ……)
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:37:43.10 ID:kXFP94u80
~~~期末テスト・結果発表~~~
スズ(津田が二位……私の足元にまで上ってきてる……それだけ会長のことが好きなんだろうけど……でも会長は、津田のことは何とも思ってなくて……)
スズ「はあぁ~……」
スズ(津田本人に言うべきじゃないんだろうけど……でも言って上げた方が良いような気もするし……)
スズ「……どうしたら良いんだろ……」
タカトシ「なにが?」
スズ「うおっ!」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:38:25.03 ID:kXFP94u80
タカトシ「な、何もそんなに驚かなくても……」
スズ「いきなり隣に立たれてたらさすがにビビるわ!」
タカトシ「いやでも、順位見に来てるんなら当然じゃないか?」
スズ「当然じゃないわよ。
っつか、アンタは身長高いんだから、何も一番前に来る必要なくない? って誰が小さいかっ!」
タカトシ「いや、オレ何も言ってないし」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:39:47.97 ID:kXFP94u80
タカトシ「おっ、ようやく萩村に追いついてきたな」
スズ「確かにね。でも、私を追い抜くことなんて出来ないわよ」
タカトシ「だろうけど、今年だけでここまで追いつけたんだから、オレからしてみれば上等だよ」
スズ「なによ、こんなところで向上心を捨てるつもり?」
タカトシ「そんなつもりはないけど……でも、第一目標に、ようやく到達したから……これで挑戦できるよ」
スズ「何に?」
タカトシ「それは……まぁ、お楽しみにってことで」
スズ「?」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:41:11.66 ID:kXFP94u80
~~~冬休み明け・放課後~~~
スズ「ふぅ……」
スズ(まさか前回の期末テストの出来が良かったからって推薦がもらえるなんてね……受験なんて面倒くさいことしなくて済んで良かったわ。
……ま、これも生徒会のおかげなんだけど。
内申点やら色々と加味されたおかげで、あの大学の推薦が取れたんだものね)
タカトシ「遅れた~!」
スズ「あれ? 津田どうしたの?」
タカトシ「いやどうしたも何も、生徒会の仕事だよ」
スズ「そうじゃなくて、アンタまだ私と違って大学決まってないんでしょ?」
タカトシ「決まってないも何も、受験自体が基本的にまだなんだけどね」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:42:23.68 ID:kXFP94u80
タカトシ「萩村みたいに、前々から成績が良かったわけじゃないからね。
一般入試は受けないといけないけれど、行くべき大学は決まってるよ」
スズ「だったら生徒会に来てないで勉強してなさいよ。アンタの代わりは私がやるし。
と言うか、冬休み前に、ある程度後輩に引き継いだでしょ?」
タカトシ「そうだけど……それでも会長は生徒会に来てたし、それならオレも来てないと」
スズ(あ……そっか……今までだって会長に追いつくために頑張ってきたんだもんね。
だったら会長がしてたことをしない訳にはいかないか……)
スズ「はぁ……そこまで言うんなら、言っても無駄なんでしょ?」
タカトシ「ごめん」
スズ「謝る必要は無いわよ。ただ、生徒会が終わったら、私と勉強するわよ」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:43:15.55 ID:kXFP94u80
タカトシ「え? 良いの?」
スズ「良いも何も、そうしてないと色々と追いつけなくなるでしょ」
タカトシ「うん……だからその申し出は、正直ありがたいんだけど……」
スズ「だったら大人しく一緒に勉強しなさい」
タカトシ「そっか……ありがとう、萩村」
スズ「お礼を言う必要もないわよ」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:45:26.20 ID:kXFP94u80
スズ「そう言えば、どこの大学受けるの?」
タカトシ「それは……秘密」
スズ「何でよ」
タカトシ「レベルが高すぎて、萩村に無茶だって言われるとヘコむからだよ」
スズ「そんなこと言わないわよ」
タカトシ「だろうね。でも、出来れば言わずに頑張りたいんだ。
そしたら、受かった時に自慢できるし、落ちた時は無かった事に出来るだろ?」
スズ「そんなマイナス思考でどうするのよ」
タカトシ「それがオレだよ」
スズ「あっそ」
スズ(……まぁ、大学名言ったら会長のところとおんなじだってバレて、会長のために頑張ってるってこともバレちゃうもんね。
それって津田にしてみれ言い辛いことだろうし。
……なんか、聞きようによってはストーカーみたいだし)
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:49:24.33 ID:kXFP94u80
~~~卒業式~~~
スズ(なんだかんだ言って早かったわね、今年は。
……後輩達への挨拶も済ませたし、クラスメイトとも済ませた。
写真だって撮りまくったし、文集の裏への書き込みも沢山したしされた。
後は……津田に軽く挨拶でもして帰ろうかな。
告白は……しなくて良いか。
したってどうせ、無駄なんだし。
津田を、困らせるだけだし……)
スズ「…………」キョロキョロ
スタスタスタ
スズ(……にしても、津田はどこにいるんだろ?
もしかしてもう帰っちゃったのかな?
……それならそれで良いか。諦めもつくし)
ムツミ「あのっ、タカトシくん!」
スズ「ん?」
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:51:13.44 ID:kXFP94u80
ムツミ「好きです! 付き合ってください!」
スズ(あっ……三葉……)
スズ「…………」
スタスタスタ
スズ(見なかったことにしよう……そして、このまま帰ろう。
だって、会長のことをずっと思い続けてる津田は断るだろうし……そうなると、友人の三葉が悲しむところを見ることになる。
……それに万一告白を受けるところを見たって、私が悲しくなるだけだし……)
スズ「だから私は、何も見なかったのだ」
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:52:10.95 ID:kXFP94u80
~~~帰り道~~~
スズ(はぁ……でもこれで、私の高校生活も終わりか……儚いものだったな……。
……でもま、片思いで終わる学生生活なんて、物語の終わりみたいで、結構充実してたのかも)
スズ「…………」
スズ(……何言ってんだか、私は。
そもそも、この片思いが実ってたところで……私は留学するんだし。
すぐに離れ離れになるんだから、これで良かったのよ。
私にも、津田にも)
スズ「そう……これで……」
スズ(だから……)
スズ「私の体……涙なんて……流さないで……」
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:54:10.83 ID:kXFP94u80
タカトシ「萩村~!」
スズ「っ!」ゴシゴシ
タカトシ「待ってくれ! 萩村!」
スズ「津田……なんで……!」
タカトシ「はぁ、はぁ、はぁ……お、追いついた……全く、勝手に帰るなって……」
スズ「か、帰るなも何も、私の自由でしょ!?」
タカトシ「そうなんだけど、三年間ずっと生徒会で一緒だったんだから、挨拶の一つぐらいあっても良いだろ?」
スズ「……無理に決まってるじゃない。そうしようと思ったら、三葉とあんたの告白現場に出くわしたんだから」
タカトシ「えっ……? 見てた、のか……?」
スズ「最後までは見てないけどね。二人の姿を見かけたから、挨拶せずに帰ったのよ。
どうせあのまま、二人仲良く帰ると思ってたしね」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:55:18.44 ID:kXFP94u80
タカトシ「でもオレ……その、三葉の告白……断ったんだ」
スズ「知ってるわよ」
タカトシ「え? でも最後まで見てないって……」
スズ「見てないけど、断るだろうって思ってたの。
だってあんた、ずっと会長のために頑張ってきたものね」
タカトシ「会長……?」
スズ「ええ。会長に追いつくために勉強して、会長に追いつくために生徒会長として働いて、会長に追いつくために頑張ってきたんでしょ?
好きな人のためなら必死になれる。あんたってそういう人間に見えるもの」
タカトシ「そうだな……確かにオレってば、好きな人のためなら必死になれる人間だったみたいだ。
だってこんなにも、頑張れたんだもんな」
スズ「でしょ? だから――」
タカトシ「でもそれは、会長じゃない」
スズ「え?」
タカトシ「オレが頑張ってこれたのは……萩村のおかげ、なんだ」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:55:49.23 ID:kXFP94u80
スズ「……えっ?」
タカトシ「オレ、萩村のことが、好きだ」
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:58:24.92 ID:kXFP94u80
スズ「な……なんで……」
タカトシ「ずっと、萩村のために頑張ってきた。勉強も、生徒会長も、大学受験も、何もかも」
スズ「そ……そんなの、ウソよ……」
タカトシ「ウソじゃない。オレは、萩村のことが好きだ」
スズ「だって私……津田に好かれるところなんて……見た目もこんなだし、生意気だし……」
タカトシ「それが、萩村の良いところだよ。
……本当、なんてオレはロリコンでドMな人間なんだろう、って自分でも思うよ」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:59:54.17 ID:kXFP94u80
スズ(やだ……嬉しすぎて……涙が……!)
タカトシ「いつも頑張ってる萩村を見てたら、好きになってた。
低い身長を気にしながらも、他人に頼ることなく自分で解決しようとしてる萩村を見てたら、惹かれてた。
そしてオレも、それぐらい頑張ろうって思えてた。
……オレにとって、萩村は、特別な人間なんだ」
スズ(涙が……抑えきれない……!)ポロポロ
タカトシ「確かに、人によってはそれが生意気に見えるのかもしれない。
でもオレの目には、頑張ってる、尊敬できる人間に見えてたんだ。
それなのに、時たま見せる怖がりなところとか、子供っぽいところとか……そういう全てに、オレは惹かれてたんだ。尊敬してたんだ」
スズ(ヤダ……止まら……ない……!)ポロポロ
タカトシ「だから、フられたって良い。
でも、言いたい。言わせて欲しい。
オレは、萩村スズのことが、大好きだ。
どうかオレと、付き合って欲しい」
スズ「…………はい……!」ポロポロ
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 16:01:43.13 ID:kXFP94u80
タカトシ「良かった……」ギュッ…
スズ「あっ……」
タカトシ「本当、良かった……ああ~……メチャクチャ緊張した~……」
スズ「……でも……津田」
タカトシ「ん?」
スズ「私、すぐに留学しちゃうよ? それでも良いの?」
タカトシ「ああ~……大丈夫。その辺りは大丈夫なんだ」
スズ「え?」
タカトシ「だってオレも、萩村と同じ大学に行くから」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 16:03:49.73 ID:kXFP94u80
スズ「…………え?」
タカトシ「そんで、萩村と一緒に留学する。だからフランス語とかこれから教えて欲し――」
スズ「ちょっ、ちょっと待って! 涙が引っ込むぐらいビックリだわ!」ガバッ!
タカトシ「ちょ、どうしたの急に!」
スズ「どうしたもこうしたも無いわよ! 私そんなの聞いてないわよ! って言うか、あんたに私の大学教えてつもりもないし!」
タカトシ「それはほら、会長に聞いて」
スズ(……文化祭の時かぁ……!)
タカトシ「だからまぁ、会長以外には誰にも言わなかったかな。萩村と同じ大学目指してるだなんて」
スズ「なんで……!」
タカトシ「いやだって、こうして告白してOKもらえたから良いものの、もしダメだったら同じ大学に通ってるって知ってるだけで気まずくなるだろ? だから言わなかったんだよ」
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 16:05:31.78 ID:kXFP94u80
スズ「そんなの……!」
タカトシ「フられたら、どうせ萩村は一人で留学することになるし、そしたら大学に行ってても会うことは無いし……。
あの大学自体は卒業するだけで箔がつくから、別に目標がなかったオレとしても、良い目標になったし……」
スズ「なんなの……じゃあ、あんたが必死に、この一年間勉強を頑張ってたのって……」
タカトシ「うん。全部このため。萩村に追いつくため」
スズ「……っ!」
タカトシ「言っただろ? 萩村のために勉強を頑張ってきたって。
それに、萩村が目標で、尊敬してる対象で、そのおかげで頑張れたって」
スズ「っ……! ……全く……!」ギュッ
タカトシ「あっ」
スズ「嬉しいこと、言ってくれるじゃない……!」
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 16:06:06.85 ID:kXFP94u80
スズ(そうか……文化祭の時会長が言ってたのは、このことなんだ……私がもっと自信を持ってもいいもの……それは――)
スズ「――日頃の頑張り、か」
タカトシ「?」
スズ「なぁんでも。ただね――」バッ
スズ「――留学のための勉強、スパルタだから、覚悟しておきなさいっ」ニコッ
終わり
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/20(月) 16:07:56.46 ID:kXFP94u80
二回目のスレ立て初めての生徒会役員共
下ネタ無しツッコミ無しなのは1が書けないから
でもスズが可愛くて可愛くて書きたくて書きたくて堪らなかったから書いた
今にして思えば反省している
ファンにとっては面白くも何とも無いものだったと思う
本当に申し訳ない
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/20(月) 16:10:36.45 ID:kXFP94u80
それでも支援してくれた人ありがとう
今度はアドバイス通り苗字で書く
…書く気が起きればだが
なんせ初めてのスレ立てで書いたやつより出来が悪い…
あと、半ドンに関してはゴメン
マジジェネレーションギャップだよね
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 18:11:17.99 ID:l9RkyCrd0
乙
ところで、原作では何か知らんが季節は一周したのに学年はそのままだったよな
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 18:39:05.96 ID:kXFP94u80 [65/65]
>>109
一年間の出来事を季節に合わせて小出しにしていってるんだよ、きっと
スズ「……いきなりの激白ね」
タカトシ「と言うより、周りからそう思われそうで怖いって言うか……」
スズ「ああ、そういうこと」
タカトシ「はぁ……会長達も、もう卒業か……」
スズ「何言ってんのよ。ソレ昨日の話でしょ? ちょっと今更すぎるわよ」
タカトシ「そうなんだけどさ……昨日はほら、副会長して、新しい会長として、色々と仕事に追われてたからさ……。
なんか一日経って、七条先輩と会長がいないこの生徒会室で仕事してると、改めてそうなんだなって思っちゃってさ」
スズ「……確かにそうね。二人だけだと、生徒会室も広く感じるわね」
タカトシ「あの賑やかだった部屋が二人だけだと、なんだか寂しいな……」
スズ「安心なさい。あと一週間もすれば終業式で、そのあと二週間も経たずに入学式。
そしたら生徒会でも新しい人材を入れることになるし、イヤでも賑やかになるわ」
タカトシ「でも、会長や七条先輩のような賑やかさは、もう二度とないんだな……」
スズ「そりゃ……まぁね」
タカトシ「はぁ……」
スズ(津田……やっぱり、会長のことが……)
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:27:39.26 ID:kXFP94u80
スズ(確かに会長は美人だし、頭も良いから好きになるのは分かるんだけど……だったらなんで津田は卒業式の日に告白しなかったって話なのよ。
今もああして会長のこと思うんだったら……あの時、最後の別れ際に告白でもすれば良かったじゃない。
そしたら……そしたら私だって、津田のこと、諦められたのに……)
スズ「全く……そんなに落ち込んでないでほら、さっさと手を動かす。これ終わったら後はほとんど仕事なんてないんだから。
そしたら寂しく感じるこの部屋に来る事もなくなるでしょ」
スズ(と言うか、告白しないからって妙な期待持っちゃって、私ってばバカみたい。
大体私ってば、会長と違って素直じゃないし、会長と違って見た目が子供で中身が大人ぶってるせいで生意気に見えるし……。
確かに頭の良さは会長と変わんない――むしろ上だと思ってるけど、そんなのはなんのプラスにもならないし……っつかこんなこと考えてること自体がバカよね。
全く……天才を自負してるくせにこれじゃダメね。そもそも天才だったら、この想いを忘れさせる方法ぐらい思いつきなさい、って話よね……)
タカトシ「ん……そうか……そう言えば、今年度の仕事はこれで終わりなのか……」
スズ「そうよ。だからキリキリと働きなさい。そしたら気も紛れるでしょ」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:29:39.54 ID:kXFP94u80
~~校門までの帰り道~~
タカトシ「なあ、萩村」
スズ「なに?」
タカトシ「今日の仕事で終わりって事は、これから終業式まで、放課後は自由時間って事だよな?」
スズ「そうよ。んまぁ、終業式の前日には多少の準備があるせいで集まることになるだろうけど、それまでは大丈夫よ。
だから友達と遊んで帰るなり、好きにすればいいわ」
タカトシ「じゃあさ、勉強教えてくれないか?」
スズ「は? 津田が勉強?」
タカトシ「うっわ~……割とマジな顔で言ってきましたよ」
スズ「日頃の行いでしょ」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:31:24.09 ID:kXFP94u80
タカトシ「ともかく、どうかな? やっぱり、一人だと色々と限界があるしさ」
スズ「私は別に構わないけど……なんでまた」
タカトシ「ん……まあ、やっぱり生徒会長になったんだから、今までみたいな成績じゃあ示しがつかないかなって」
スズ「……そんな理由で?」
タカトシ「そ。そんな理由で」
スズ(……ああ、そっか……そう言えば会長の行った大学って、頭良いところだもんね……今のうちから勉強しないと、追いつけないって分かってるんだ……)
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:33:55.53 ID:kXFP94u80
スズ(……なぁんか、事情を知っちゃったらかなり複雑な気分になったな……でも一度構わないって言っちゃったし、今更断れないか……)
スズ「念のため言っておくけど、私はキビシイわよ?」
タカトシ「分かってるよ。一度数学教えてもらったことあったろ? その時から骨身に染みてるよ」
スズ「にも関わらずまたお願いするなんて……津田ってやっぱりドMよね」ニヤリ
タカトシ「自分でもそう思うよ。でも、欲望に忠実なんだなとも思うよ」
スズ「は?」
タカトシ「いや、こっちの話。ともかく頼んだから、また明日」
スズ「ええ。また明日」
スズ(……今更だけど、なんで私と津田の家って逆方向なんだろ……。
……一緒の方向だったら、もっと話しながら帰れたのにな……)
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:35:07.48 ID:kXFP94u80
~~~翌日・登校路~~~
スズ(家が逆方向だけど迎えに行きたいな……でもコトミが入学してからは迎えに行ってないし、今更迎えに行くのもおかしいか……。
何より、特にこれといった用事も無いし。前みたいに服装チェックがあるわけでもないし)
スズ「……早く新学期にならないかなぁ……」
タカトシ「おっす。おはよう、萩村」
スズ「え?」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:36:18.12 ID:kXFP94u80
タカトシ「よ。どうした? 呆然とした表情浮かべて」
スズ「いや……あんたの家と私の家って逆方向でしょ?
それなのになんでこんなところで会うのよ」
タカトシ「いや~……たまには早起きできたからさ。どうせだったら、服装チェックの無い日に萩村を迎えに行って驚かせてやろうと思って。
でもこんな道端で会うとは……服装チェックも無いのに早いんだな」
スズ「まあね。あんたとは違って、私はしっかりと遅刻しないように生活のリズムが出来上がってるし」
タカトシ「手厳しいな、これは」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:37:10.78 ID:kXFP94u80
スズ「で、本当に驚かせるためだけに私のところに来ようとしたの?」
タカトシ「いや~……じつはほら、昨日頼んだ勉強会。あれをさ――」
スズ「なに? もしかして中止にして欲しいの?」
スズ(そんなことになったら……津田と会える時間が減っちゃうな……)
タカトシ「そうじゃなくてさ。萩村の家で出来ないかなと思って」
スズ「は?」
タカトシ「図々しいのは百も承知だけどさ、お願い!」
スズ「はぁ……でもまたなんで?」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:39:00.19 ID:kXFP94u80
タカトシ「いや、頼んどいてなんだけど、家にはコトミがいるだろ? 昨日勉強してる時に邪魔されてさ。
これじゃあ萩村が来ても同じことになるなと思って」
スズ「なるほど。そういうことね」
タカトシ「ああ。で、ダメかな?」
スズ「別に良いわよ。ま、私のお母さんがいるけど、それでも良かったらね」
タカトシ「ありがとう萩村! 恩に着るよ!」
スズ「ふんっ! ま、私の寛容な心に感謝しなさい」
スズ(一度部屋に上げてるから大丈夫よね。
と言うか津田、それだけ会長のために真剣なんだ……ホント、羨ましいな……会長が)
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:40:18.15 ID:kXFP94u80
~~~放課後・萩村家への道~~~
タカトシ「卒業式まで半ドンだから楽で良いね」
スズ「ホントよね。それに生徒会の活動もほとんど終わったし」
タカトシ「昨日言ってた通り、後は終業式前の準備だけだろ?」
スズ「そうよ。だから長い時間勉強できるってわけ」
タカトシ「覚悟は出来てるよ。萩村先生、よろしくお願いしまっす!」
スズ「クスッ、何よソレ」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:41:46.62 ID:kXFP94u80
~~~萩村家・休憩中~~~
タカトシ「ふう~……温かくて甘くておいしい……萩村って紅茶もおいしく淹れられるんだな」
スズ「まあね」
スズ(と言っても、いつか津田に飲んでもらうために必死に練習したんだけど)
タカトシ「はむ。もぐもぐ……うん、このクッキーもおいしい。これって手作り?」
スズ「そうよ。糖分は勉強するのに必要なものだからね。いつも作り置きしてあるのよ」
スズ(ま、本当は今日津田の家に持って行こうと思って昨日作ったやつなんだけど)
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:43:33.25 ID:kXFP94u80
タカトシ「スゴイな萩村は。こうやってお菓子が作れるなんて」
スズ「そう? 女の子なら割と普通よ」
タカトシ「そうか? オレはコトミが作ってるところを一緒に暮らしてきて見たことないんだが……」
スズ「ま、あの子じゃね。むしろ料理してるところが想像できないわ」
タカトシ「そう言えば萩村って料理も出来るんだったな」
スズ「人並みにはね」
タカトシ「それって……やっぱり、留学に備えて?」
スズ「よくそんな話し覚えてたわね」
タカトシ「まぁ、フランス語の勉強してたのが印象に残ってて」
スズ「んまぁ、確かにソレがあるのも事実だけど……それ以上に、やっぱり淑女の嗜みとして当然のことでしょ。家事全般は」
タカトシ「その言葉、是非ともコトミに聞かせてやってくれ」
スズ「言うだけ無駄でしょ。あの子には」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:46:01.96 ID:kXFP94u80
スズ(でもそっか……私が留学するってことは、津田と会えるのも高校までってことか……)
タカトシ「でも萩村、留学って言っても、大学には一応行くんだろ?」
スズ「当然でしょ。入学してすぐにでも留学できる大学に行くのよ」
タカトシ「そっか」
スズ(津田は……私が留学することに対して、何も思わないのかな……?
……思わないか。何を期待してるんだか、私は)
スズ「ほら、そんな話はいいから。そろそろ勉強、再開するわよ」
タカトシ「あ、うん」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:47:39.04 ID:kXFP94u80
~~~始業式・生徒会室~~~
スズ(結局、春休みに入ってもずっと津田と勉強してたな……まあ、楽しかったから良いんだけど。
でもせめて一度ぐらい、私が晩ご飯作ってやれば良かったかも。お母さんの作った晩ご飯なら何度か食べて帰ってたけど……。
……はぁ……披露できる折角のチャンスだったのに、あの時気付けないなんてどうかしてるわ)
タカトシ「おはよう、萩村」
スズ「遅いわよ。呼び出しの時間から五分過ぎてる」
タカトシ「ごめんごめん。でもなんか用事でもあったっけ?
始業式の準備とかは、昨日のうちに済ましたはずだけど?」
スズ「そうね。でも、役員の確保がまだでしょ?」
タカトシ「今からか?」
スズ「当たり前。アンタが生徒会に入った時、とっくに私が会計やってたでしょ?
あれは、始業式の日にスカウトされたからなのよ。人数が足りない時は、新入生の中から成績が良い人を勧誘することが出来るの。
尤も、本人がやりたくないって言えばやらなくても良いんだけど」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:48:51.35 ID:kXFP94u80
タカトシ「なるほどな……それは知らなかった」
スズ「ま、去年はあんたも会長も七条先輩もいたから、余裕は無かったけどなんとか回ってからね。
正直、あんたがあの時入らなかったら副会長も探すことになるところだったのよ」
タカトシ「へぇ~……」
スズ「ホント、面倒くさいことしなくて済むんだから、去年の会長には感謝しないとね」
スズ(津田と出会うきっかけにもなれたしね)
タカトシ「分かった。それで、どのクラスのなんて人なんだ?」
スズ「もう調べてあるし記憶もしてあるから大丈夫よ、ついてきなさい」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:50:49.01 ID:kXFP94u80
~~~1年D組前・廊下~~~
スズ「えっと……あなたがトップ合格した子ね?」
後輩「は、はい……えっと……生徒会の方々が、どうかされましたか?」
タカトシ「え? どうして俺達のことを……」
スズ「アンタもう忘れたの? 入学式の時に私達も壇上に立ったじゃない」
タカトシ「ああ、そう言えば」
スズ「全く……生徒会長なんだからしっかりしなさいよね」
タカトシ「ははっ、ごめんごめん」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:51:58.44 ID:kXFP94u80
スズ「それで、今日来たのは話があるからなの」
後輩「話、ですか?」
スズ「そう。津田」
タカトシ「え? オレ?」
スズ「アンタが会長でしょ? しっかりしなさい」
タカトシ「ああ、そっか……えっと……じつは、君に生徒会に入って欲しくて……」
後輩「生徒会に、ですか?」
タカトシ「うん。ほら、入学式の時に見てくれたなら分かるだろうけど、今二人しかいなくてね。
出来れば協力して欲しいかな、って」
後輩「でも……放課後の時間がなくなるのは……」
タカトシ「そっか……確かにそうだよね」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:53:41.91 ID:kXFP94u80
タカトシ「学校での拘束時間も増えるし、正直、内申点が増えること以外は、特にこれといったメリットは無いのかもね」
スズ「ちょっと津田――」
タカトシ「でもさ、やり甲斐のある仕事なのは確かなんだ。
生徒会が無ければ、イベントが上手く回らない。
言ってしまえば、オレたちが、生徒達皆が楽しく学校に来られるような環境を作る、って事なんだ。
確かに楽しい保証は無い。
辛くない保証も無い。
けれども、良かったと思わせられる保証はある。
自信もある」
後輩「…………」
タカトシ「何より、生徒会で無いと分からない楽しさがあるのも事実なんだ。
そりゃ、生徒会で無いと分からない楽しさより、友達と一緒の方が分かる楽しさの方が、楽しいかもしれない。
どっちが良いかは一概に言い切れないけれど……でもオレ達は、君の力を頼りにしたいと思ってる。貸して欲しいと思ってる。
……でもま、無理強いはしないよ。
オレの場合は半ばムリヤリだったけど、ソレを君に押し付けるつもりも無いしね」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 14:55:51.49 ID:kXFP94u80
後輩「……津田会長は、どうなんですか?」
タカトシ「オレ? んまぁ、そうだな……去年の会長には振り回されたし、書記の人にもさらに振り回されたし、会計の萩村には迷惑掛けっぱなしで……正直、楽しかったなんて思う余裕、無かったよ」
後輩「え?」
タカトシ「でもま、こうして会長を引き継いで、仕事とか、色々なことを会長の立場になってやってみると……会長はスゴかったんだなって実感できるし、ソレに追いつきたいとも思えるようになった。
そうなってくると、去年は割りと楽しかったんだなって、今では思えるよ」
スズ「…………」
後輩「…………」
タカトシ「だけど、オレは去年の会長のように余裕がある訳じゃないからね。
同じかそれ以上の楽しさを他人に与えられるか、って思うと、不安で仕方ないんだけどね」
後輩「……そうですか」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:01:00.19 ID:kXFP94u80
キーンコーンカーンコーン
タカトシ「あっ」
スズ「予鈴ね。全く、アンタが時間通りに来てたらもう少し話できたのに」
タカトシ「ごめんごめん。それじゃあ君、良かった考えとい――」
後輩「いえ! あのっ……! 私、生徒会に入ります!」
タカトシ「えっ? 良いの? なんか結構長く勝手に話しちゃったから、強制されてると思ってない?」
後輩「いえ、そんなことは……」
スズ「止めなさい。そういう物言いがまたその子を追い詰めることになるんだから」
タカトシ「ああ、そっか……」
スズ「大体、さっきから話し聞いてたら、何かムリヤリ入れようとしてる感じがプンプンするのよね。アンタの話」
タカトシ「ゴメン……」
スズ「だからあなたも、今即決する必要は無いわ。
出来ないなら出来ないで構わないんだし、言い方は悪いけど代わりだっているんだか――」
後輩「いえ、私にやらせてください」
タカトシ「……え?」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:05:47.92 ID:kXFP94u80
スズ「良かったわね。入ってくれて」
タカトシ「う~ん……だけどなんでオレの話で入る気になったんだろ。
今思い返してみれば、萩村に言われた通り、ちょっとムリヤリな感じがしてた気がするんだけど……」
スズ「さあ?」
スズ(たぶん、アンタが話してるときの表情でしょうね。
ウソをついてるようでも、勧誘に必死になってるようでもない、自然体の表情だったから……。
……素直なところ、か……ある意味、会長とは似てるのかな……?
私も似たような理由で生徒会に入った訳だし)
スズ「ともかく、次は始業式よ。頭切り替えて、ちゃんと壇上に立って話す言葉、考えてきた?」
タカトシ「もちろん。むしろ今年は作りやすかった方なんじゃない?」
スズ「え?」
タカトシ「だって男女共学化を完璧に果たしただろ?」
スズ「そう言えばそうね」
タカトシ「だから、歴代に比べれば余裕余裕」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:07:36.15 ID:kXFP94u80
~~~講堂・始業式~~~
タカトシ「~~~~~~」
スズ(ホント、見事なまでのスピーチね……一昨年の今頃は、私みたいにこうして壇上に立ってるだけ緊張してたって言うのに……)
タカトシ「~~~~~~」
スズ(にしても……私ってばどうして津田のことが好きになったんだっけ?
なんか、気が付いたら好きになってたような気がするんだけど……理由とかキッカケとかあっても良いはずなんだけどなぁ……)
タカトシ「~~~~~~」
スズ(……まあ、さり気なく優しかったりするし、そういうのが重なったのかもしれないわね。
決して……決してツッコミが上手いからなんて理由じゃないはず!)
タカトシ「~~~~~~」
スズ(……って言うか今にして思えば、会長が卒業してから津田がツッコんでるところ見てないかも。
まぁ、ボケ役とか天然とかがいなくなったから当然か。
……さすがに私がボケる訳にもいかないし)
タカトシ「それでは一年生の皆さん、楽しい学園生活が送れますよう願っています。
そして我々生徒会も、そのお手伝いが出来るように努力いたします」
パチパチパチパチ
スズ(あっ、終わりか)
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:09:45.26 ID:kXFP94u80
~~~放課後・生徒会室~~~
タカトシ「ふう~……緊張した~~~……」
スズ「そう? 割と平然としているように見えたけど」
タカトシ「見かけだけはね。大体オレが緊張してるバレたら、新入生の皆を不安にさせちゃうからね」
スズ「ふ~ん……なぁんだ、ちゃんと会長出来てんじゃん」
タカトシ「萩村のサポートあってこそだよ」
スズ「私、今回は特に何もして無いけど?」
タカトシ「傍にいるだけで安心するって事」
スズ「……なに恥ずかしいこと言ってんのよ」
タカトシ「え? そう? やっぱり友人が近くにいると安心する、って意味なんだけど」
スズ「言い方が悪いってこと」
スズ(全く……何勘違いしてんだか、私は)
コンコン
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:12:04.97 ID:kXFP94u80
後輩B「失礼します」
タカトシ「ん? キミは?」
後輩B「一年生です。実は、先程の話を聞いて、生徒会に入れてもらいたいと思いまして……」
スズ「え?」
後輩B「あの……ダメ、でしたか?」
タカトシ「まさか! 大歓迎だよ! なあ萩村!」
スズ「もちろん! これで人数揃ったわ!」
後輩B「え? 人数が揃ったと言うのは?」
後輩「あの……」
後輩B「はい?」
後輩「すいません。えっと……今朝呼び出されたから来たんですけど……どうかしましたか?」
タカトシ「ううん! どうもしないよ!
ただね、この場にいる四人が、今年の生徒会メンバーに決まったってだけの話!」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:13:58.67 ID:kXFP94u80
スズ(一時は懸念したものだけど……意外にあっさりと見つかったわね。
ま、これで心配事の一つは減ったから良いか……。
……って言うか、また津田一人が男子っていう状況だけど……しかも入ってきた二人共私より身長高いし……。
……一年生の癖に……。
ま、津田は会長が好きだからどうってことはないんだろうけど。
……なんだか悲しくなってくるわね、自分で思ってて)
タカトシ「どうかしたの? 萩村!」
スズ「別に。ただ、これから残りの一年間、受験勉強もしながら頑張らないとなって思ってだけ」
タカトシ「確かにそうだよな! これから、色々と忙しくなりそうだ!」
スズ「嬉しいのは分かるけど、アンタさっきからノリとテンションがウザい。……全く」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:15:47.38 ID:kXFP94u80
~~~期末テスト・結果発表~~~
スズ「……あれ?」
スズ(津田の順位が上がってる……前まで二十位になんてかすりもしなかったのに、一七位……)
タカトシ「おっ、萩村は相変わらず一位か」
スズ「あ、津田。でもあんただって成績伸びてるじゃない。ほらコレ」
タカトシ「ああ~……でも、まだまだだよ。目標までには程遠い」
スズ(確かに、会長に追いつこうと思ったらまだまだだけど……この成長率は凄まじいわね)
タカトシ「それで萩村、良かったら夏休みも勉強、教えてくれない?」
スズ「え?」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:17:13.54 ID:kXFP94u80
スズ「良いけど……でもアンタ、去年夏休みの宿題で苦労してたじゃない。大丈夫なの?」
タカトシ「大丈夫だよ。宿題なら一人でも片付けられるし、それよりももっと勉強したいんだ」
スズ「そう……」
スズ(そんなに会長に追いつきたいのか……なんかもう、色々と諦めたいな……でも諦めきれないなんて……私って、本当に天才なんだろうか……?)
スズ「ま、分かったわ。さすがに夏休みだと毎日とはいかないけれど、極力私の家で見てあげる」
タカトシ「ありがとう! 萩村」
スズ「別に良いわよ。生徒会長がいつまでもこんな順位じゃ、生徒達に示しがつかないものね」
タカトシ「よろしくお願いします」
スズ「それよりもほら、親睦会でもある海水浴の日程とか、決めるわよ」
タカトシ「ああ、そうだな」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:18:16.07 ID:kXFP94u80
~~~夏休み・最後の日~~~
タカトシ「おはよう、萩村。久しぶり」
スズ「おはよう。久しぶり、って言ってもたった一週間程度でしょ?
それまでずっとあんたの家か私の家で勉強してたじゃない」
タカトシ「はは、確かに」
スズ「それじゃ、後輩達はもう講堂に行ってくれてるから、私達もさっさと行くわよ」
タカトシ「分かった」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:19:52.68 ID:kXFP94u80
タカトシ「……はぁ……もう二学期の始まりか……夏休みって長いようで短いよな」
スズ「そうね。ま、あんたにしては有意義な夏休みだったでしょ?」
タカトシ「ずっと勉強漬けだったのがか?」
スズ「受験生らしい夏休みでしょ? 三年生だからこその醍醐味よ」
タカトシ「……確かにそうかもしれないけど……」
スズ(ま、私としては、登校日とか生徒会の用事以外で津田と会えてたから、勉強の名目があったとしても有意義な夏休みだったんだけどね)
タカトシ「それでもやっぱり、一日ぐらいは萩村と遊びに出かけても良かったかもな」
スズ「……受験生らしくないこと言わないの」
タカトシ「もしかして萩村、照れてる?」
スズ「照れてない」
タカトシ「う~ん……最近は鈍く無くなったと思ったんだけどなぁ……」
スズ(それなら私の気持ちに気付きな――いや、気付かれても困るだけか……なんて乙女チック回路に出来上がってんだ、私は)
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:21:23.43 ID:kXFP94u80
~~~文化祭~~~
スズ「はあ……準備に結構手間取ったわね……」
タカトシ「やっぱり、去年の会長と七条先輩はスゴいよ。
これだけの仕事量を辛そうな表情一つも見せずやってみせてたんだから」
スズ「そうね。……そう言えば、一年生達はどうしてるの?」
タカトシ「見回りだよ。オレもそろそろ、ミスコンの司会に行かないと」
スズ「ん? アレって新聞部が主催してなかったっけ?」
タカトシ「今年の新聞部は畑先輩みたいに積極的な人がいないみたいで……代わりにオレに、って頼みに来たんだ」
スズ「それでアンタ、断らなかったの?」
タカトシ「困ってる人を見てると、やっぱり断れなくてね」
スズ「自分で仕事増やしてどうすんのよ……」
スズ(それじゃあ一緒に文化祭周れないし……まぁ、そういう優しいところが津田らしいんだけど)
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:22:34.99 ID:kXFP94u80
シノ「やあ、萩村」
スズ「あれ? 会長。来てくれたんですか」
シノ「元・会長だ。今はただの天草シノだよ」
スズ「それでも、私と津田にとって、会長は会長のままですよ」
シノ「んまぁ、それなら呼びやすいように呼べばいい。
それで、その津田はどこだ? まさか会長だっていうのにサボってるのか?」
スズ「まさか。新聞部が開催しているミスコンに司会のお手伝いですよ」
シノ「ほお~……あの津田がなぁ……」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:23:36.61 ID:kXFP94u80
シノ「新入生は入ったのか?」
スズ「もちろんです。今は二人で見回りに行ってくれてますよ」
シノ「そうか。ちゃんと生徒会が引き継がれていて、安心したぞ」
スズ「そういう会長は一人ですか?」
シノ「いや、アリアも来ている。ただちょっとはぐれてしまってな」
スズ「そうですか。それは好都合です」
シノ「好都合?」
スズ「はい。実はちょっと、会長と二人きりでお話がしたいと思ってましたので」
シノ「ふむ……なら場所を移動するか」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:25:11.78 ID:kXFP94u80
シノ「そう言えば萩村は、どこの大学に行くつもりなんだ?」
スズ「? どうしたんですか? 突然?」
シノ「いや、ふと気になってな。私達のところには来ないんだろ?」
スズ「ええ。会長達のところじゃあ、入学したその年に留学が出来ませんから」
シノ「そこまで留学に拘る必要もないと思うんだが……」
スズ「それが、私のしたいことなんですよ」
シノ「そうか……それなら仕方が無いな」
スズ「ええ。だから大学は、あそこにしようかと思ってます」
シノ「あそこって……私達の進路を聞いてきた時に、萩村が言っていた大学か?」
スズ「ええ」
シノ「それは……結構レベルが高いな……」
スズ「会長たちのところと変わりませんよ」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:26:49.65 ID:kXFP94u80
シノ「よしっ、裏庭のここなら、人も来ないし静かだろう。
それで、話って言うのはなんだ? 生徒会の仕事で分からないこと、なんてもので、移動には応じないだろ?」
スズ「……その前に、ちょっと思ったことなんですが、会長って少し変わりましたね」
シノ「そうか? ……いや、そうだろうな。
昔みたいにはしゃぎ続けることが出来なくなった。
昔は津田がツッコんでくれていたから、私のボケも成り立って楽しかったんだが……大学だと、昔のノリはアリアとしか出来なくなってな」
スズ「まぁ、今の方が落ち着いていて、私は好きですよ?」
シノ「そうだな……当時は萩村も、私のボケを拾ってくれることは無かったもんな」
スズ「元々下ネタって苦手なんです」
シノ「萩村らしいな」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:27:57.93 ID:kXFP94u80
スズ「それにしても……それだけ津田のことを大切に思ってたなら、どうして告白しなかったんですか?」
シノ「告白?」
スズ「はい。卒業式の日にでも言えば良かったじゃないですか。好きですって」
シノ「……萩村は、何か勘違いをしているようだな」
スズ「え?」
シノ「私は別に、津田のことは好きじゃないぞ?」
スズ「……え?」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:29:58.71 ID:kXFP94u80
シノ「いや、好きと言えば好きなんだが……それは、アリアや萩村に抱いてるのと同じ気持ちだ。決して恋愛感情ではない」
スズ「そんな……」
スズ(それじゃあ津田は……なんのために頑張ってるの……?)
シノ「それで、話は終わりか?」
スズ「え? ま、まぁ、終わりです……」
シノ「そうか。それじゃあ私はアリアを探すとしよう。
と言うより、これだけの話だと、あの場でしても良かったな」
スズ「そう、ですね……」
スズ(これ“だけ”……私にとっては報われない恋の話なのに……会長にとっては、その程度の認識なんだ……)
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:31:40.06 ID:kXFP94u80
シノ「ふむ……そうだな、萩村。一つ元会長からのお話だ」
スズ「……はい?」
シノ「お前はもっと、自分に自信を持っても良いと思うぞ」
スズ「……これ以上にですか?」
シノ「ああ。それ以上にだ」
スズ「それって、ただのイヤな奴になりません?」
シノ「そうだな……まぁ、今と同じベクトルの自信ばかり過剰になったら、確かにイヤな奴だ。
だがお前なら、今と同じじゃない、自信をつけるべきベクトルぐらい、すぐに分かるだろ」
スズ「そんなの……分かりませんよ」
シノ「分かるはずだ。そしたらお前は、もっと輝くだろうしな」
スズ「…………」
シノ「それじゃ、今度こそ行くよ。
萩村、まだ全て回ってないが、先に言わせてもらおう。
楽しい文化祭を、ありがとう」
スズ「あっ……」
スズ(結局……色々と聞きそびれちゃったな……)
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:32:53.79 ID:kXFP94u80
シノ「全く……萩村の奴は……」
シノ(何が悲しくて、私はこんなことを言ってるのだろうな……。
本当は、津田に告白したくてしたくて仕方が無かったって言うのに……。
……でも、無理だろう……だって、津田の気持ちは――)
アリア「シノちゃん」
シノ「アリア? なんだ、もしかして見てたのか?」
アリア「ええ。シノちゃんを探してたら、偶然スズちゃんと話してるところを見つけちゃって」
シノ「そうか……」
アリア「……本当のこと、言わなくて良いの?」
シノ「言ったらそれまでだ。それにこれは、私などが口に出す問題じゃない」
アリア「……私は、そうでもないと思うけど……だってシノちゃんは、津田くんのために我慢を――」
シノ「アリア、そこまでだ」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:33:41.80 ID:kXFP94u80
シノ「私が自分で決めたことだ。だから、あいつ等を私の我侭に巻き込む必要は無い」
アリア「我侭だなんて、そんな……」
シノ「いいや、我侭さ。
自分の気持ちも打ち明けられない、そんな情けない自分を正当化しようとしてる、そんな我侭なのさ」
アリア「…………」
シノ「それよりもほら、津田のところに行くぞ。どうやらミスコンの司会をしているみたいなんだ」
アリア「……あらそう。それはとっても楽しそうね」
シノ「ああ。アイツの司会っぷりを観に行こうじゃないか!」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:34:12.60 ID:kXFP94u80
スズ(私が自信を持つべきところ……それって一体どこだろう?
……私ってば頭の良さ以外、なんの取り得もないはずなんだけど……それなのに、他に自信を持つべきものって……?)
スズ「……分かるはず無い、か……」
スズ(昔っからそうだけど……本当、会長の考えてることって分からないな……)
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:35:25.66 ID:kXFP94u80
~~~文化祭・数日後~~~
ムツミ「タカトシく~ん」
タカトシ「ああ、三葉。どうしたんだ?」
ムツミ「えへへ~……ちょっと教えて欲しいところがあってね」
タカトシ「あれ? でも三葉って推薦もらってるんじゃ……」
ムツミ「期末テストでだよ~」
タカトシ「ああ、なるほど……」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:36:20.74 ID:kXFP94u80
スズ(……そう言えば、三葉も津田のこと好きなのかな……? なんかそんな感じするし……むしろ文化祭が終わってから妙に仲が良いような気もするし……)
スズ「…………」
スズ(……今更だけど、思い返してみればそんな場面が何度もあった気が……。
……う~ん……ってことは、卒業間近で自分の気持ちに気付いたってパターンなのかな……?)
スズ「…………」
スズ(……ま、私には関係ないか……そう、関係の無いことなんだ……)
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:37:43.10 ID:kXFP94u80
~~~期末テスト・結果発表~~~
スズ(津田が二位……私の足元にまで上ってきてる……それだけ会長のことが好きなんだろうけど……でも会長は、津田のことは何とも思ってなくて……)
スズ「はあぁ~……」
スズ(津田本人に言うべきじゃないんだろうけど……でも言って上げた方が良いような気もするし……)
スズ「……どうしたら良いんだろ……」
タカトシ「なにが?」
スズ「うおっ!」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:38:25.03 ID:kXFP94u80
タカトシ「な、何もそんなに驚かなくても……」
スズ「いきなり隣に立たれてたらさすがにビビるわ!」
タカトシ「いやでも、順位見に来てるんなら当然じゃないか?」
スズ「当然じゃないわよ。
っつか、アンタは身長高いんだから、何も一番前に来る必要なくない? って誰が小さいかっ!」
タカトシ「いや、オレ何も言ってないし」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:39:47.97 ID:kXFP94u80
タカトシ「おっ、ようやく萩村に追いついてきたな」
スズ「確かにね。でも、私を追い抜くことなんて出来ないわよ」
タカトシ「だろうけど、今年だけでここまで追いつけたんだから、オレからしてみれば上等だよ」
スズ「なによ、こんなところで向上心を捨てるつもり?」
タカトシ「そんなつもりはないけど……でも、第一目標に、ようやく到達したから……これで挑戦できるよ」
スズ「何に?」
タカトシ「それは……まぁ、お楽しみにってことで」
スズ「?」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:41:11.66 ID:kXFP94u80
~~~冬休み明け・放課後~~~
スズ「ふぅ……」
スズ(まさか前回の期末テストの出来が良かったからって推薦がもらえるなんてね……受験なんて面倒くさいことしなくて済んで良かったわ。
……ま、これも生徒会のおかげなんだけど。
内申点やら色々と加味されたおかげで、あの大学の推薦が取れたんだものね)
タカトシ「遅れた~!」
スズ「あれ? 津田どうしたの?」
タカトシ「いやどうしたも何も、生徒会の仕事だよ」
スズ「そうじゃなくて、アンタまだ私と違って大学決まってないんでしょ?」
タカトシ「決まってないも何も、受験自体が基本的にまだなんだけどね」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:42:23.68 ID:kXFP94u80
タカトシ「萩村みたいに、前々から成績が良かったわけじゃないからね。
一般入試は受けないといけないけれど、行くべき大学は決まってるよ」
スズ「だったら生徒会に来てないで勉強してなさいよ。アンタの代わりは私がやるし。
と言うか、冬休み前に、ある程度後輩に引き継いだでしょ?」
タカトシ「そうだけど……それでも会長は生徒会に来てたし、それならオレも来てないと」
スズ(あ……そっか……今までだって会長に追いつくために頑張ってきたんだもんね。
だったら会長がしてたことをしない訳にはいかないか……)
スズ「はぁ……そこまで言うんなら、言っても無駄なんでしょ?」
タカトシ「ごめん」
スズ「謝る必要は無いわよ。ただ、生徒会が終わったら、私と勉強するわよ」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:43:15.55 ID:kXFP94u80
タカトシ「え? 良いの?」
スズ「良いも何も、そうしてないと色々と追いつけなくなるでしょ」
タカトシ「うん……だからその申し出は、正直ありがたいんだけど……」
スズ「だったら大人しく一緒に勉強しなさい」
タカトシ「そっか……ありがとう、萩村」
スズ「お礼を言う必要もないわよ」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:45:26.20 ID:kXFP94u80
スズ「そう言えば、どこの大学受けるの?」
タカトシ「それは……秘密」
スズ「何でよ」
タカトシ「レベルが高すぎて、萩村に無茶だって言われるとヘコむからだよ」
スズ「そんなこと言わないわよ」
タカトシ「だろうね。でも、出来れば言わずに頑張りたいんだ。
そしたら、受かった時に自慢できるし、落ちた時は無かった事に出来るだろ?」
スズ「そんなマイナス思考でどうするのよ」
タカトシ「それがオレだよ」
スズ「あっそ」
スズ(……まぁ、大学名言ったら会長のところとおんなじだってバレて、会長のために頑張ってるってこともバレちゃうもんね。
それって津田にしてみれ言い辛いことだろうし。
……なんか、聞きようによってはストーカーみたいだし)
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:49:24.33 ID:kXFP94u80
~~~卒業式~~~
スズ(なんだかんだ言って早かったわね、今年は。
……後輩達への挨拶も済ませたし、クラスメイトとも済ませた。
写真だって撮りまくったし、文集の裏への書き込みも沢山したしされた。
後は……津田に軽く挨拶でもして帰ろうかな。
告白は……しなくて良いか。
したってどうせ、無駄なんだし。
津田を、困らせるだけだし……)
スズ「…………」キョロキョロ
スタスタスタ
スズ(……にしても、津田はどこにいるんだろ?
もしかしてもう帰っちゃったのかな?
……それならそれで良いか。諦めもつくし)
ムツミ「あのっ、タカトシくん!」
スズ「ん?」
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:51:13.44 ID:kXFP94u80
ムツミ「好きです! 付き合ってください!」
スズ(あっ……三葉……)
スズ「…………」
スタスタスタ
スズ(見なかったことにしよう……そして、このまま帰ろう。
だって、会長のことをずっと思い続けてる津田は断るだろうし……そうなると、友人の三葉が悲しむところを見ることになる。
……それに万一告白を受けるところを見たって、私が悲しくなるだけだし……)
スズ「だから私は、何も見なかったのだ」
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:52:10.95 ID:kXFP94u80
~~~帰り道~~~
スズ(はぁ……でもこれで、私の高校生活も終わりか……儚いものだったな……。
……でもま、片思いで終わる学生生活なんて、物語の終わりみたいで、結構充実してたのかも)
スズ「…………」
スズ(……何言ってんだか、私は。
そもそも、この片思いが実ってたところで……私は留学するんだし。
すぐに離れ離れになるんだから、これで良かったのよ。
私にも、津田にも)
スズ「そう……これで……」
スズ(だから……)
スズ「私の体……涙なんて……流さないで……」
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:54:10.83 ID:kXFP94u80
タカトシ「萩村~!」
スズ「っ!」ゴシゴシ
タカトシ「待ってくれ! 萩村!」
スズ「津田……なんで……!」
タカトシ「はぁ、はぁ、はぁ……お、追いついた……全く、勝手に帰るなって……」
スズ「か、帰るなも何も、私の自由でしょ!?」
タカトシ「そうなんだけど、三年間ずっと生徒会で一緒だったんだから、挨拶の一つぐらいあっても良いだろ?」
スズ「……無理に決まってるじゃない。そうしようと思ったら、三葉とあんたの告白現場に出くわしたんだから」
タカトシ「えっ……? 見てた、のか……?」
スズ「最後までは見てないけどね。二人の姿を見かけたから、挨拶せずに帰ったのよ。
どうせあのまま、二人仲良く帰ると思ってたしね」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:55:18.44 ID:kXFP94u80
タカトシ「でもオレ……その、三葉の告白……断ったんだ」
スズ「知ってるわよ」
タカトシ「え? でも最後まで見てないって……」
スズ「見てないけど、断るだろうって思ってたの。
だってあんた、ずっと会長のために頑張ってきたものね」
タカトシ「会長……?」
スズ「ええ。会長に追いつくために勉強して、会長に追いつくために生徒会長として働いて、会長に追いつくために頑張ってきたんでしょ?
好きな人のためなら必死になれる。あんたってそういう人間に見えるもの」
タカトシ「そうだな……確かにオレってば、好きな人のためなら必死になれる人間だったみたいだ。
だってこんなにも、頑張れたんだもんな」
スズ「でしょ? だから――」
タカトシ「でもそれは、会長じゃない」
スズ「え?」
タカトシ「オレが頑張ってこれたのは……萩村のおかげ、なんだ」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:55:49.23 ID:kXFP94u80
スズ「……えっ?」
タカトシ「オレ、萩村のことが、好きだ」
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:58:24.92 ID:kXFP94u80
スズ「な……なんで……」
タカトシ「ずっと、萩村のために頑張ってきた。勉強も、生徒会長も、大学受験も、何もかも」
スズ「そ……そんなの、ウソよ……」
タカトシ「ウソじゃない。オレは、萩村のことが好きだ」
スズ「だって私……津田に好かれるところなんて……見た目もこんなだし、生意気だし……」
タカトシ「それが、萩村の良いところだよ。
……本当、なんてオレはロリコンでドMな人間なんだろう、って自分でも思うよ」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 15:59:54.17 ID:kXFP94u80
スズ(やだ……嬉しすぎて……涙が……!)
タカトシ「いつも頑張ってる萩村を見てたら、好きになってた。
低い身長を気にしながらも、他人に頼ることなく自分で解決しようとしてる萩村を見てたら、惹かれてた。
そしてオレも、それぐらい頑張ろうって思えてた。
……オレにとって、萩村は、特別な人間なんだ」
スズ(涙が……抑えきれない……!)ポロポロ
タカトシ「確かに、人によってはそれが生意気に見えるのかもしれない。
でもオレの目には、頑張ってる、尊敬できる人間に見えてたんだ。
それなのに、時たま見せる怖がりなところとか、子供っぽいところとか……そういう全てに、オレは惹かれてたんだ。尊敬してたんだ」
スズ(ヤダ……止まら……ない……!)ポロポロ
タカトシ「だから、フられたって良い。
でも、言いたい。言わせて欲しい。
オレは、萩村スズのことが、大好きだ。
どうかオレと、付き合って欲しい」
スズ「…………はい……!」ポロポロ
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 16:01:43.13 ID:kXFP94u80
タカトシ「良かった……」ギュッ…
スズ「あっ……」
タカトシ「本当、良かった……ああ~……メチャクチャ緊張した~……」
スズ「……でも……津田」
タカトシ「ん?」
スズ「私、すぐに留学しちゃうよ? それでも良いの?」
タカトシ「ああ~……大丈夫。その辺りは大丈夫なんだ」
スズ「え?」
タカトシ「だってオレも、萩村と同じ大学に行くから」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 16:03:49.73 ID:kXFP94u80
スズ「…………え?」
タカトシ「そんで、萩村と一緒に留学する。だからフランス語とかこれから教えて欲し――」
スズ「ちょっ、ちょっと待って! 涙が引っ込むぐらいビックリだわ!」ガバッ!
タカトシ「ちょ、どうしたの急に!」
スズ「どうしたもこうしたも無いわよ! 私そんなの聞いてないわよ! って言うか、あんたに私の大学教えてつもりもないし!」
タカトシ「それはほら、会長に聞いて」
スズ(……文化祭の時かぁ……!)
タカトシ「だからまぁ、会長以外には誰にも言わなかったかな。萩村と同じ大学目指してるだなんて」
スズ「なんで……!」
タカトシ「いやだって、こうして告白してOKもらえたから良いものの、もしダメだったら同じ大学に通ってるって知ってるだけで気まずくなるだろ? だから言わなかったんだよ」
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 16:05:31.78 ID:kXFP94u80
スズ「そんなの……!」
タカトシ「フられたら、どうせ萩村は一人で留学することになるし、そしたら大学に行ってても会うことは無いし……。
あの大学自体は卒業するだけで箔がつくから、別に目標がなかったオレとしても、良い目標になったし……」
スズ「なんなの……じゃあ、あんたが必死に、この一年間勉強を頑張ってたのって……」
タカトシ「うん。全部このため。萩村に追いつくため」
スズ「……っ!」
タカトシ「言っただろ? 萩村のために勉強を頑張ってきたって。
それに、萩村が目標で、尊敬してる対象で、そのおかげで頑張れたって」
スズ「っ……! ……全く……!」ギュッ
タカトシ「あっ」
スズ「嬉しいこと、言ってくれるじゃない……!」
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 16:06:06.85 ID:kXFP94u80
スズ(そうか……文化祭の時会長が言ってたのは、このことなんだ……私がもっと自信を持ってもいいもの……それは――)
スズ「――日頃の頑張り、か」
タカトシ「?」
スズ「なぁんでも。ただね――」バッ
スズ「――留学のための勉強、スパルタだから、覚悟しておきなさいっ」ニコッ
終わり
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/20(月) 16:07:56.46 ID:kXFP94u80
二回目のスレ立て初めての生徒会役員共
下ネタ無しツッコミ無しなのは1が書けないから
でもスズが可愛くて可愛くて書きたくて書きたくて堪らなかったから書いた
今にして思えば反省している
ファンにとっては面白くも何とも無いものだったと思う
本当に申し訳ない
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/20(月) 16:10:36.45 ID:kXFP94u80
それでも支援してくれた人ありがとう
今度はアドバイス通り苗字で書く
…書く気が起きればだが
なんせ初めてのスレ立てで書いたやつより出来が悪い…
あと、半ドンに関してはゴメン
マジジェネレーションギャップだよね
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 18:11:17.99 ID:l9RkyCrd0
乙
ところで、原作では何か知らんが季節は一周したのに学年はそのままだったよな
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 18:39:05.96 ID:kXFP94u80 [65/65]
>>109
一年間の出来事を季節に合わせて小出しにしていってるんだよ、きっと
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コメント
No title
ト然もss書いてもらえるくらいにまで出世したんだな・・・
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