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唯「たんぺん!!」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:10:14.37 ID:kK/7fcSS0 [1/29]
唯「あれ?まだみんな来てないのか」
唯「じゃあちょっとギー太でも……ん?」
唯「なんだろ、このノート……」
パラパラ……
唯「日記?いや詩かな……?まあいいや、みんなが来るまでちょっとだけ……」
唯「あれ?まだみんな来てないのか」
唯「じゃあちょっとギー太でも……ん?」
唯「なんだろ、このノート……」
パラパラ……
唯「日記?いや詩かな……?まあいいや、みんなが来るまでちょっとだけ……」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:10:58.12 ID:kK/7fcSS0 [2/29]
#1
時々自分は寂しい人間だと思う時がある。
軽音部に入って素晴らしい友人に恵まれた。家柄など関係なく普通に接してくれる友人。
それ以上の幸せを願うなんて贅沢かもしれない。だけどあの二人を見るとどうしてもそんな感情が湧いてくる。
「さて、たまには練習でもするか」
「たまにはってなんだよ。毎日しろ」
「あいて!もー澪ったらすぐ殴るんだから……」
「うるさい。お前が悪いんだろ」
軽口を叩いてツッコミが入る。
怒ってるようで本当は怒ってない。
痛そうにしているが本当は痛くない。
どちらも本心は楽しそうにしている。
古くからの付き合いだからこそできるやりとりが目の前で繰り広げられている。
自分にはそんな関係の友人はいない。
とても二人が眩しかった。
澪ちゃんが羨ましかった。
りっちゃんが羨ましかった。
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:11:48.22 ID:kK/7fcSS0
何人たりとも踏み込めない二人だけの領域がとても羨ましかった。
だから私は遠くから微笑む事しか出来なかった。
「ムギちゃんどうかしたの?」
「え?……幼馴染みっていいなぁって」
でもどちらかと言えば澪ちゃんのほうが羨ましいかも。
りっちゃんは気配りができてカッコいいから。
そんなりっちゃんと幼馴染みの澪ちゃんが羨ましかったり。
でも澪ちゃんあってのりっちゃんだと私は思う。
だから今日も二人をみて微笑む。
二人の幸せを願って。
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:13:35.30 ID:kK/7fcSS0
唯「こ、これは……」ゴクリ
唯「誰が書いたんだろ……?」
唯「まだ、他にもある……」
パラパラ……
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:14:24.43 ID:kK/7fcSS0
『律、弦買いたいんだけど一緒にいかないか?』
「オッケー。じゃあ1時間後に澪ん家行くわ」
休日に澪からの誘い。今でこそ普通だが昔の澪を考えると随分変わったと思う。
消極的で自分から何かをする事をあまりしなかった。
自分で言うのもアレだが、澪は私がいなきゃなにもできなかった。
それが今では寧ろ私が引っ張られるような事もしばしば。
「成長したな澪……て保護者かよっ!……てね」
いつかは私がいなくても何でもできるようになっていくんだろう。
私以外の人とも仲良くなって私に頼らず色んな所へ行き色んな事をする。
いつかそうなると分かってはいるが、やはり少し寂しい。
「どうした律、ボーっとして?」
「いや、なんでもない。それより新しいペダルが欲しいなぁ~なんて」
「……自分で買え」
「澪のけちー」
でもそれでいいんだ。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:15:25.78 ID:kK/7fcSS0
「なあ、澪」
澪が本当にどうしようもなく辛くなった時だけ側にいてやる。
「ん?」
それが私の……
「私達、親友だよな?」
親友としての役目なんだろう。
「親友なんて口に出して確認するもんじゃないぞ」
「う、そうだけど……いいじゃんか聞いたって」
しばらく私が拗ねていると澪はコホンと一つ咳払いをし呟いた。
「でもまあ、親友……だと思うぞ……」
顔を真っ赤にして答える澪を見て、しばらくは澪の隣は外せないなと思い笑ってしまった。
これからもよろしくな、澪。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:17:58.02 ID:kK/7fcSS0
唯「律×澪……というべきなのか……」
唯「持ち主は軽音部員に関わりがある人、もしくは軽音部員の誰か……」
パラパラ……
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:20:14.76 ID:kK/7fcSS0
#3
誰もいない部室。いつもいるはずの時間なのに誰もいない。
不思議と思ったが、今日は休みという事を思い出す。
5人(たまに6人)がいない部室とはこんなにも広くて寂しいものなのかとふと思う。
ゆらゆらと揺れながら水中を漂ってみる。
みんなの演奏による振動の心地良さを思い出しながらゆらりゆらりと泳ぐ。
お店にいたころは色々な人が僕を見ていた。老若男女様々な人が僕を見る。
その中で彼女達と出会った。子供のように興味深けにこちらを見ている姿を微笑ましく思った。
トンちゃん。それが彼女達が付けた僕の名前。
チャームポイントの鼻から付けたらしい。
正直名前なんかなんだってよかった。ただ心優しい彼女達と一緒にいられるならそれでいいのだ。
僕の為に色々と施しをしてくれる彼女達には本当に感謝している。
僕は亀だから何もできない。だからせめて元気に泳いで笑って彼女達を癒すのだ。
そろそろ食事の時間だ。
今日は誰が来るのか。
とても楽しみである。
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:23:03.35 ID:kK/7fcSS0
唯「トンちゃんとはまたマニアックな……」
唯「さて、次は誰のお話しかな~」
ペラペラ
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:25:14.72 ID:kK/7fcSS0
#4
「あら、もうこんな時間」
生徒会の仕事もなんとか終わり時計を見ると下校時刻を30分オーバーしていた。
3年の私は卒業のため後輩に引継ぎの準備や行事の書類作成のため最近少し忙しい。
「ちょっと一息ついてから帰ろかな」
戸棚からお茶を取り出し淹れる。香りと共に登る湯気が気分をリラックスさせる。
お茶を啜りながら、そういえば軽音部はどうしたのだろうかと思いを馳せる。
数十分ほどしか演奏が聞こえなかったがいつも通りだと思いクスリと笑う。
――軽音部
唯が変わるきっかけになった部活。
中学の頃までは殆ど私が付きっきりで面倒を見ていた。私の思い出には常に唯がいたほどだ。
高校になってからはあまりない。軽音部という輪に上手く溶けこんでいるようだ。
入学当初は本気で心配していた。
このまま私とばかり一緒にいて憂ちゃんや私ばかりに頼ってしまうのでは?
私と憂ちゃんだけの狭い世界で学生生活を終わらせてしまうのでは?
でもそれは杞憂だった。軽音部に入ると言った時、とても嬉しかったと同時に肩の荷が降りたような感覚だったのを覚えている。
みんなと触れ合い、私もしらない一面もたまに見せるようになった。
人間的に少し成長した唯を見て軽音部には本当に感謝している。
「さて、そろそろ帰ろう」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:26:03.84 ID:kK/7fcSS0
ぬるくなったお茶を飲み干し茶碗を洗って生徒会室から出る。
校門に付くと見慣れた人物がいた。
「あ!のどかちゃんやっときた!」
「唯?どうしたのこんな時間まで」
「たまにはのどかちゃんと帰ろうかなぁと思って」
「ずっと待ってたの!?」
「まあまあ、そんなことはいいから帰ろうよ~」
ずっと軽音部と一緒で私と一緒にいる機会が減ったからだろう。
本人はそこまで考えていないだろうが、無意識に気を効かせた上での行動だろう。
やはり成長したんだなと思う。
「ありがとう」
「いいっていいって。あ、ケーキ食べてこうよ!あの店の新作でね……」
無邪気に笑う唯を見て私も笑顔になれる。
その笑顔でみんなを幸せにしてあげてね。
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:31:39.73 ID:kK/7fcSS0
唯「和ちゃんと私だ……」
唯「なんだか照れるなぁ~」ニヤニヤ
唯「ってあれ?後は真っ白だ……もう終わりなのかな?」
唯「……みんな遅いなぁ。先にお茶飲んでよ」
唯「あれ?お茶がなくなってる。予備のお茶どこにしまったのかな……」ゴソゴソ
唯「……やや!?これはさっきのノートの色違い!?」
唯「しかも『秘密』って書いてある……」ゴクリ
唯「……まだ、みんな来ないよね」そ~
ペラペラ
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:34:15.42 ID:kK/7fcSS0
私は律先輩が嫌いだ
いつもいつも部長らしく率先して練習せず怠けてばかりで。
とにかく嫌いだった。
だから教育が必要だと思った私は放課後、律先輩を呼び出した。
『相談がある』
このメールの一文で簡単にやってきた。実に単純な人だ。
心配そうな顔してこちらの様子を伺う律先輩を見て少しどきっとした。こんな顔もするのかと今さらながら発見した。
だが今はそんな事を知るために呼んだのではない。日頃の鬱憤、方針についてとことん追及するのだ。
最初はおどけたりしてやり過ごそうとしていたが、次第に私の真剣さに気付いて弱気な返事しかしなくなった。
その内に律先輩の目が潤んできた。それを見て再びどきっとした。
頭の隅でもっと見たいと囁いている。怯えた表情の律先輩を見たいと囁いている。
気付けば無意識に壁に押さえ付けていた。衝撃で頭をぶつけたのか律先輩は顔をしかめている。
それがまた私をそそった。
もっといじめたい。耳元で罵倒した。
もっとイジメたい。髪を引っ張る。
もっと苛めたい。床に押し倒す。
もっと虐めたい。服に手をかける。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:37:14.25 ID:kK/7fcSS0
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18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:39:20.39 ID:kK/7fcSS0
眼下には啜り泣く律先輩と律先輩の服、赤く濡れたドラムスティックがあった。
奇妙な満足感に充たされた私は律先輩を抱き締め耳元で囁いた。
「可愛いかったです。律先輩」
私は律先輩が嫌い“だった”
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:42:03.95 ID:kK/7fcSS0
唯「18きん!!」
唯「ここ、これ、これは……」ドキドキ
唯「あ、あずにゃんがりっちゃんに……」
唯「なんか変な気分だよぉ……」
唯「つ、続きは……」
ペラペラ
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:45:09.37 ID:kK/7fcSS0
普段通りに振る舞う律先輩。“あの事”がまるで嘘のように。
でも嘘ではない。ちゃんと私の携帯に残っているから。それに普段通りを装っても私との会話は少しぎこちない。
だから嘘ではないのだ。
「じゃあ今日はこんなもんにするか」
「おなかすいたー」
部活が終わった。これから帰路につくが今日はあの気分だ。
普段は別になんでもないが月のモノが近くなるとこの衝動が心の奥底から湧いてくる。
あの日から、私はこういう体質になってしまった。
「律先輩」
私に呼び止められて一瞬ビクっとしたがすぐにいつも通りの笑顔で返事をした。
「ちょっと買い物に付き合ってくれませんか?」
「え、あ……ああ、勿論オッケー!で何が欲しいんだ?」
「あー!あずにゃん私も行きたーい!!」
「唯先輩はダメです。ちょっと律先輩と二人だけで行きたい所があるんです」
「そうなんだ~じゃあ、今度連れってってね!じゃあまたね~」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:51:12.35 ID:kK/7fcSS0
笑顔で校門でみんなと別れる。邪魔者はいなくなった。
ふと後ろを見ると不安そうな顔をしている律先輩がいる。
その表情を見てなにかドロドロとした感情が漏れでてくる。
(だめだめ、我慢我慢。もう少し、もう少し我慢したらもっと……もっともっっと……!)
すぐにでも滅茶苦茶にしてしまいたい衝動をなんとか抑えて私は律先輩の手を引いた。
「行きましょ、先輩」
端から見れば仲の良い学生に見えただろう。しかしお互いの表情をよく見ればその異様さがわかる。
欲望を隠しきれていない満面の笑みの少女に手を引かれるのは不安と恐怖で青くなった少女。
さながらシューベルトの『魔王』を連想させる絵だった。
「どうぞゆっくりして行ってください。今日は“親がいない”ので」
両親の不在を強調すると律先輩も察したようで親にメールをしている。
今夜は一日中可愛がろう。
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:52:59.09 ID:kK/7fcSS0
「……梓」
何をしようか考えていると、いつの間にかメールが終わっていたようで律先輩はこちらを見ていた。
「もう……終わりにしてくれないか?梓が私にしたことは誰にも言わないし、部活とかもこれから真面目にやるから……」
私はため息を吐いた。律先輩は何も分かっていない。
先輩の耳元で息を吹きかけるように私は囁いた
「律先輩……『再教育』です……」
普段通りの律先輩があってこそ、今の律先輩がとても可愛く思えるのだ。
いつも唯先輩達とバカやったりして笑顔が絶えない先輩が目に涙を浮かべ恥辱に耐えるのがたまらない。
私は
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:55:58.27 ID:kK/7fcSS0
紬「なにしてるのゆいちゃん」
唯「……!!む、むぎちゃん!?」
紬「ねえそののーとどうしたのなんでゆいちゃんがもってるの」
唯「ここここ、これは……あの、その……!」
紬「ふふふ、私ね……」
『 教 育 』
紬「してみたかったの……」
おしまい
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 15:07:52.21 ID:kK/7fcSS0
ただの短編だけだと見にくいかと思って台本もいれてみた
エロと長編は無理。これが精一杯。
おやすみ
31 名前:HD整理してたらまだあった[] 投稿日:2010/09/19(日) 15:49:09.53 ID:kK/7fcSS0
唯「うぅ……汚されちゃったよぉ」
唯「今日はもう帰ろう……」
唯「あ、教室に忘れ物してた……」
32 名前:HD整理してたらまだあった[] 投稿日:2010/09/19(日) 15:51:43.82 ID:kK/7fcSS0
教室
唯「あったあった……」
唯「…………和ちゃんの机にノート」
唯「この流れは絶対あれだよね……」
唯「でも気になる……それに和ちゃんなら平気だよね?」
ペラペラ
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 16:03:30.39 ID:kK/7fcSS0
今日もライブが終わった。
よく見る常連客ばかりで新鮮味がない。
活動から2~3年くらいは時代の波に乗れたのか、オリコンでも上位に入るほどの人気バンドだった。
これなら武道館も夢じゃない。そう思って浮かれていた時期もあった。
しかし飽き易い国民性なのか、次第にファンは減っていき、今では普通のインディーズバンドだ。
それでもレコ発で地方に遠征できるほどは売れてるからまだ運がいいほうだろう。
活動初期のようにバイトと両立しなければならないほどお金に困っているわけではない。
月に4、5回のライブ。たまに見ない顔もいるがほとんど常連ばかりの観客。
――マンネリ気味
そんな感情が私、田井中律の中に最近湧いてきている。
だらだらと、うだつの上がらない日々に当初の目標も消えかかる。
「どうした律、疲れたのか?」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 16:07:06.65 ID:kK/7fcSS0
親友が顔を覗き込む。私はハッとなって顔を上げた。
この真面目な親友、秋山澪は本当は大学卒業後、普通に就職して安定した将来を望んでいた。
だが私が無理に引き止めた。この放課後ティータイムを、軽音部を発足させた当初からの夢を叶えるため。
そうなのだ。私は澪の、いや、メンバー全員の将来を背負っているのだ。
だからこんな所で燻ってる暇はないのだ。
「いや、なんでも。それより早く打ち上げいこうぜ!」
「「「カンパーイ!!」」」
もうすっかり飲み慣れたビールを一気に飲み干す。
バンドマンにはタバコは付き物のようで辺りは煙で充満している。
私も一時期カッコつけでタバコを吸っていた時期もあった。
でも吸い始めて明らかに体力が持たなくなったのですぐにやめた。
なにより味に慣れなかったのが一番の要因だ。ハッキリ言って不味かった。
そんな昔話に思いを馳せていると向かいにいた別のバンドの人が話しをふってきた。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 16:10:56.59 ID:kK/7fcSS0
「HTTのリーダーって田井中さんだっけ?」
「ああそうですけど」
「今度俺達の企画あるんだけど出る?」
話しによるとそこそこでかいハコで無料のライブをするらしい。
金のない奴らも楽しめるようにということで出てきた企画だった。
彼の顔はとても輝いていた。
テレビに出ている売れるために歌っている、歌わされているアーティストにはない。
そこにはドでかいバックはなく、金儲けの匂いのしない。
それこそ文化祭のような手作りで、純粋にバンドも客も楽しませようとしている。
あの時の私達の顔だった。
私達はいつから変わったんだろう。
夢を追うのは悪いことじゃない。夢がなきゃ歩けないから。
でもその夢のためならどうなってもいいのか?そうではない。
なんで音楽を始めたのか?
それを思い出させてくれた目の前の彼に感謝した。
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 16:13:03.65 ID:kK/7fcSS0
某日
「今日のりっちゃん楽しそうね」
「なんだか学生の頃みたいですね」
「私もなんだか楽しくなってきちゃったよ~」
「なんだか久しぶりだな、こういう感覚」
「よーしいくぞー!!今日はとことん楽しむぞー!」
その日の光景はよく覚えている。
初めての場所なのに見覚えがあった。
あの講堂だった。
新勧、学園祭で演奏したあの講堂。
すべてがキラキラ輝いていた。
まだ見ぬ武道館よりも、それはそれはずっと綺麗に見えた。
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 16:13:47.79 ID:kK/7fcSS0
放課後ティータイム『武道館でお茶会LIVE』DVD~特典映像~
(一部抜粋)
――初めての武道館ですけどどうでしたか?
実はここでするのが夢だったんですよ。でも別に夢の舞台だ~っていう意識はなかったですね。
いつも通りでしたね。澪が緊張しまくりだし(笑)ムギはお茶汲んで唯はボケーッと、で梓はギターの練習。
あー昔から変わってないじゃんって。じゃあ昔と同じようにとにかく楽しもうって(笑)
――今後の活動は?
今までと一緒で(笑)もともとふわふわしたバンドなんで楽しくのんびりやってきます。
おわり
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 16:16:15.00 ID:kK/7fcSS0 [29/29]
誰もいないだろうけど今度こそおわり
さよなら
#1
時々自分は寂しい人間だと思う時がある。
軽音部に入って素晴らしい友人に恵まれた。家柄など関係なく普通に接してくれる友人。
それ以上の幸せを願うなんて贅沢かもしれない。だけどあの二人を見るとどうしてもそんな感情が湧いてくる。
「さて、たまには練習でもするか」
「たまにはってなんだよ。毎日しろ」
「あいて!もー澪ったらすぐ殴るんだから……」
「うるさい。お前が悪いんだろ」
軽口を叩いてツッコミが入る。
怒ってるようで本当は怒ってない。
痛そうにしているが本当は痛くない。
どちらも本心は楽しそうにしている。
古くからの付き合いだからこそできるやりとりが目の前で繰り広げられている。
自分にはそんな関係の友人はいない。
とても二人が眩しかった。
澪ちゃんが羨ましかった。
りっちゃんが羨ましかった。
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:11:48.22 ID:kK/7fcSS0
何人たりとも踏み込めない二人だけの領域がとても羨ましかった。
だから私は遠くから微笑む事しか出来なかった。
「ムギちゃんどうかしたの?」
「え?……幼馴染みっていいなぁって」
でもどちらかと言えば澪ちゃんのほうが羨ましいかも。
りっちゃんは気配りができてカッコいいから。
そんなりっちゃんと幼馴染みの澪ちゃんが羨ましかったり。
でも澪ちゃんあってのりっちゃんだと私は思う。
だから今日も二人をみて微笑む。
二人の幸せを願って。
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:13:35.30 ID:kK/7fcSS0
唯「こ、これは……」ゴクリ
唯「誰が書いたんだろ……?」
唯「まだ、他にもある……」
パラパラ……
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:14:24.43 ID:kK/7fcSS0
『律、弦買いたいんだけど一緒にいかないか?』
「オッケー。じゃあ1時間後に澪ん家行くわ」
休日に澪からの誘い。今でこそ普通だが昔の澪を考えると随分変わったと思う。
消極的で自分から何かをする事をあまりしなかった。
自分で言うのもアレだが、澪は私がいなきゃなにもできなかった。
それが今では寧ろ私が引っ張られるような事もしばしば。
「成長したな澪……て保護者かよっ!……てね」
いつかは私がいなくても何でもできるようになっていくんだろう。
私以外の人とも仲良くなって私に頼らず色んな所へ行き色んな事をする。
いつかそうなると分かってはいるが、やはり少し寂しい。
「どうした律、ボーっとして?」
「いや、なんでもない。それより新しいペダルが欲しいなぁ~なんて」
「……自分で買え」
「澪のけちー」
でもそれでいいんだ。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:15:25.78 ID:kK/7fcSS0
「なあ、澪」
澪が本当にどうしようもなく辛くなった時だけ側にいてやる。
「ん?」
それが私の……
「私達、親友だよな?」
親友としての役目なんだろう。
「親友なんて口に出して確認するもんじゃないぞ」
「う、そうだけど……いいじゃんか聞いたって」
しばらく私が拗ねていると澪はコホンと一つ咳払いをし呟いた。
「でもまあ、親友……だと思うぞ……」
顔を真っ赤にして答える澪を見て、しばらくは澪の隣は外せないなと思い笑ってしまった。
これからもよろしくな、澪。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:17:58.02 ID:kK/7fcSS0
唯「律×澪……というべきなのか……」
唯「持ち主は軽音部員に関わりがある人、もしくは軽音部員の誰か……」
パラパラ……
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:20:14.76 ID:kK/7fcSS0
#3
誰もいない部室。いつもいるはずの時間なのに誰もいない。
不思議と思ったが、今日は休みという事を思い出す。
5人(たまに6人)がいない部室とはこんなにも広くて寂しいものなのかとふと思う。
ゆらゆらと揺れながら水中を漂ってみる。
みんなの演奏による振動の心地良さを思い出しながらゆらりゆらりと泳ぐ。
お店にいたころは色々な人が僕を見ていた。老若男女様々な人が僕を見る。
その中で彼女達と出会った。子供のように興味深けにこちらを見ている姿を微笑ましく思った。
トンちゃん。それが彼女達が付けた僕の名前。
チャームポイントの鼻から付けたらしい。
正直名前なんかなんだってよかった。ただ心優しい彼女達と一緒にいられるならそれでいいのだ。
僕の為に色々と施しをしてくれる彼女達には本当に感謝している。
僕は亀だから何もできない。だからせめて元気に泳いで笑って彼女達を癒すのだ。
そろそろ食事の時間だ。
今日は誰が来るのか。
とても楽しみである。
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:23:03.35 ID:kK/7fcSS0
唯「トンちゃんとはまたマニアックな……」
唯「さて、次は誰のお話しかな~」
ペラペラ
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:25:14.72 ID:kK/7fcSS0
#4
「あら、もうこんな時間」
生徒会の仕事もなんとか終わり時計を見ると下校時刻を30分オーバーしていた。
3年の私は卒業のため後輩に引継ぎの準備や行事の書類作成のため最近少し忙しい。
「ちょっと一息ついてから帰ろかな」
戸棚からお茶を取り出し淹れる。香りと共に登る湯気が気分をリラックスさせる。
お茶を啜りながら、そういえば軽音部はどうしたのだろうかと思いを馳せる。
数十分ほどしか演奏が聞こえなかったがいつも通りだと思いクスリと笑う。
――軽音部
唯が変わるきっかけになった部活。
中学の頃までは殆ど私が付きっきりで面倒を見ていた。私の思い出には常に唯がいたほどだ。
高校になってからはあまりない。軽音部という輪に上手く溶けこんでいるようだ。
入学当初は本気で心配していた。
このまま私とばかり一緒にいて憂ちゃんや私ばかりに頼ってしまうのでは?
私と憂ちゃんだけの狭い世界で学生生活を終わらせてしまうのでは?
でもそれは杞憂だった。軽音部に入ると言った時、とても嬉しかったと同時に肩の荷が降りたような感覚だったのを覚えている。
みんなと触れ合い、私もしらない一面もたまに見せるようになった。
人間的に少し成長した唯を見て軽音部には本当に感謝している。
「さて、そろそろ帰ろう」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:26:03.84 ID:kK/7fcSS0
ぬるくなったお茶を飲み干し茶碗を洗って生徒会室から出る。
校門に付くと見慣れた人物がいた。
「あ!のどかちゃんやっときた!」
「唯?どうしたのこんな時間まで」
「たまにはのどかちゃんと帰ろうかなぁと思って」
「ずっと待ってたの!?」
「まあまあ、そんなことはいいから帰ろうよ~」
ずっと軽音部と一緒で私と一緒にいる機会が減ったからだろう。
本人はそこまで考えていないだろうが、無意識に気を効かせた上での行動だろう。
やはり成長したんだなと思う。
「ありがとう」
「いいっていいって。あ、ケーキ食べてこうよ!あの店の新作でね……」
無邪気に笑う唯を見て私も笑顔になれる。
その笑顔でみんなを幸せにしてあげてね。
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:31:39.73 ID:kK/7fcSS0
唯「和ちゃんと私だ……」
唯「なんだか照れるなぁ~」ニヤニヤ
唯「ってあれ?後は真っ白だ……もう終わりなのかな?」
唯「……みんな遅いなぁ。先にお茶飲んでよ」
唯「あれ?お茶がなくなってる。予備のお茶どこにしまったのかな……」ゴソゴソ
唯「……やや!?これはさっきのノートの色違い!?」
唯「しかも『秘密』って書いてある……」ゴクリ
唯「……まだ、みんな来ないよね」そ~
ペラペラ
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:34:15.42 ID:kK/7fcSS0
私は律先輩が嫌いだ
いつもいつも部長らしく率先して練習せず怠けてばかりで。
とにかく嫌いだった。
だから教育が必要だと思った私は放課後、律先輩を呼び出した。
『相談がある』
このメールの一文で簡単にやってきた。実に単純な人だ。
心配そうな顔してこちらの様子を伺う律先輩を見て少しどきっとした。こんな顔もするのかと今さらながら発見した。
だが今はそんな事を知るために呼んだのではない。日頃の鬱憤、方針についてとことん追及するのだ。
最初はおどけたりしてやり過ごそうとしていたが、次第に私の真剣さに気付いて弱気な返事しかしなくなった。
その内に律先輩の目が潤んできた。それを見て再びどきっとした。
頭の隅でもっと見たいと囁いている。怯えた表情の律先輩を見たいと囁いている。
気付けば無意識に壁に押さえ付けていた。衝撃で頭をぶつけたのか律先輩は顔をしかめている。
それがまた私をそそった。
もっといじめたい。耳元で罵倒した。
もっとイジメたい。髪を引っ張る。
もっと苛めたい。床に押し倒す。
もっと虐めたい。服に手をかける。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:37:14.25 ID:kK/7fcSS0
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18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:39:20.39 ID:kK/7fcSS0
眼下には啜り泣く律先輩と律先輩の服、赤く濡れたドラムスティックがあった。
奇妙な満足感に充たされた私は律先輩を抱き締め耳元で囁いた。
「可愛いかったです。律先輩」
私は律先輩が嫌い“だった”
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:42:03.95 ID:kK/7fcSS0
唯「18きん!!」
唯「ここ、これ、これは……」ドキドキ
唯「あ、あずにゃんがりっちゃんに……」
唯「なんか変な気分だよぉ……」
唯「つ、続きは……」
ペラペラ
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:45:09.37 ID:kK/7fcSS0
普段通りに振る舞う律先輩。“あの事”がまるで嘘のように。
でも嘘ではない。ちゃんと私の携帯に残っているから。それに普段通りを装っても私との会話は少しぎこちない。
だから嘘ではないのだ。
「じゃあ今日はこんなもんにするか」
「おなかすいたー」
部活が終わった。これから帰路につくが今日はあの気分だ。
普段は別になんでもないが月のモノが近くなるとこの衝動が心の奥底から湧いてくる。
あの日から、私はこういう体質になってしまった。
「律先輩」
私に呼び止められて一瞬ビクっとしたがすぐにいつも通りの笑顔で返事をした。
「ちょっと買い物に付き合ってくれませんか?」
「え、あ……ああ、勿論オッケー!で何が欲しいんだ?」
「あー!あずにゃん私も行きたーい!!」
「唯先輩はダメです。ちょっと律先輩と二人だけで行きたい所があるんです」
「そうなんだ~じゃあ、今度連れってってね!じゃあまたね~」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:51:12.35 ID:kK/7fcSS0
笑顔で校門でみんなと別れる。邪魔者はいなくなった。
ふと後ろを見ると不安そうな顔をしている律先輩がいる。
その表情を見てなにかドロドロとした感情が漏れでてくる。
(だめだめ、我慢我慢。もう少し、もう少し我慢したらもっと……もっともっっと……!)
すぐにでも滅茶苦茶にしてしまいたい衝動をなんとか抑えて私は律先輩の手を引いた。
「行きましょ、先輩」
端から見れば仲の良い学生に見えただろう。しかしお互いの表情をよく見ればその異様さがわかる。
欲望を隠しきれていない満面の笑みの少女に手を引かれるのは不安と恐怖で青くなった少女。
さながらシューベルトの『魔王』を連想させる絵だった。
「どうぞゆっくりして行ってください。今日は“親がいない”ので」
両親の不在を強調すると律先輩も察したようで親にメールをしている。
今夜は一日中可愛がろう。
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:52:59.09 ID:kK/7fcSS0
「……梓」
何をしようか考えていると、いつの間にかメールが終わっていたようで律先輩はこちらを見ていた。
「もう……終わりにしてくれないか?梓が私にしたことは誰にも言わないし、部活とかもこれから真面目にやるから……」
私はため息を吐いた。律先輩は何も分かっていない。
先輩の耳元で息を吹きかけるように私は囁いた
「律先輩……『再教育』です……」
普段通りの律先輩があってこそ、今の律先輩がとても可愛く思えるのだ。
いつも唯先輩達とバカやったりして笑顔が絶えない先輩が目に涙を浮かべ恥辱に耐えるのがたまらない。
私は
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 14:55:58.27 ID:kK/7fcSS0
紬「なにしてるのゆいちゃん」
唯「……!!む、むぎちゃん!?」
紬「ねえそののーとどうしたのなんでゆいちゃんがもってるの」
唯「ここここ、これは……あの、その……!」
紬「ふふふ、私ね……」
『 教 育 』
紬「してみたかったの……」
おしまい
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 15:07:52.21 ID:kK/7fcSS0
ただの短編だけだと見にくいかと思って台本もいれてみた
エロと長編は無理。これが精一杯。
おやすみ
31 名前:HD整理してたらまだあった[] 投稿日:2010/09/19(日) 15:49:09.53 ID:kK/7fcSS0
唯「うぅ……汚されちゃったよぉ」
唯「今日はもう帰ろう……」
唯「あ、教室に忘れ物してた……」
32 名前:HD整理してたらまだあった[] 投稿日:2010/09/19(日) 15:51:43.82 ID:kK/7fcSS0
教室
唯「あったあった……」
唯「…………和ちゃんの机にノート」
唯「この流れは絶対あれだよね……」
唯「でも気になる……それに和ちゃんなら平気だよね?」
ペラペラ
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 16:03:30.39 ID:kK/7fcSS0
今日もライブが終わった。
よく見る常連客ばかりで新鮮味がない。
活動から2~3年くらいは時代の波に乗れたのか、オリコンでも上位に入るほどの人気バンドだった。
これなら武道館も夢じゃない。そう思って浮かれていた時期もあった。
しかし飽き易い国民性なのか、次第にファンは減っていき、今では普通のインディーズバンドだ。
それでもレコ発で地方に遠征できるほどは売れてるからまだ運がいいほうだろう。
活動初期のようにバイトと両立しなければならないほどお金に困っているわけではない。
月に4、5回のライブ。たまに見ない顔もいるがほとんど常連ばかりの観客。
――マンネリ気味
そんな感情が私、田井中律の中に最近湧いてきている。
だらだらと、うだつの上がらない日々に当初の目標も消えかかる。
「どうした律、疲れたのか?」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 16:07:06.65 ID:kK/7fcSS0
親友が顔を覗き込む。私はハッとなって顔を上げた。
この真面目な親友、秋山澪は本当は大学卒業後、普通に就職して安定した将来を望んでいた。
だが私が無理に引き止めた。この放課後ティータイムを、軽音部を発足させた当初からの夢を叶えるため。
そうなのだ。私は澪の、いや、メンバー全員の将来を背負っているのだ。
だからこんな所で燻ってる暇はないのだ。
「いや、なんでも。それより早く打ち上げいこうぜ!」
「「「カンパーイ!!」」」
もうすっかり飲み慣れたビールを一気に飲み干す。
バンドマンにはタバコは付き物のようで辺りは煙で充満している。
私も一時期カッコつけでタバコを吸っていた時期もあった。
でも吸い始めて明らかに体力が持たなくなったのですぐにやめた。
なにより味に慣れなかったのが一番の要因だ。ハッキリ言って不味かった。
そんな昔話に思いを馳せていると向かいにいた別のバンドの人が話しをふってきた。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 16:10:56.59 ID:kK/7fcSS0
「HTTのリーダーって田井中さんだっけ?」
「ああそうですけど」
「今度俺達の企画あるんだけど出る?」
話しによるとそこそこでかいハコで無料のライブをするらしい。
金のない奴らも楽しめるようにということで出てきた企画だった。
彼の顔はとても輝いていた。
テレビに出ている売れるために歌っている、歌わされているアーティストにはない。
そこにはドでかいバックはなく、金儲けの匂いのしない。
それこそ文化祭のような手作りで、純粋にバンドも客も楽しませようとしている。
あの時の私達の顔だった。
私達はいつから変わったんだろう。
夢を追うのは悪いことじゃない。夢がなきゃ歩けないから。
でもその夢のためならどうなってもいいのか?そうではない。
なんで音楽を始めたのか?
それを思い出させてくれた目の前の彼に感謝した。
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 16:13:03.65 ID:kK/7fcSS0
某日
「今日のりっちゃん楽しそうね」
「なんだか学生の頃みたいですね」
「私もなんだか楽しくなってきちゃったよ~」
「なんだか久しぶりだな、こういう感覚」
「よーしいくぞー!!今日はとことん楽しむぞー!」
その日の光景はよく覚えている。
初めての場所なのに見覚えがあった。
あの講堂だった。
新勧、学園祭で演奏したあの講堂。
すべてがキラキラ輝いていた。
まだ見ぬ武道館よりも、それはそれはずっと綺麗に見えた。
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 16:13:47.79 ID:kK/7fcSS0
放課後ティータイム『武道館でお茶会LIVE』DVD~特典映像~
(一部抜粋)
――初めての武道館ですけどどうでしたか?
実はここでするのが夢だったんですよ。でも別に夢の舞台だ~っていう意識はなかったですね。
いつも通りでしたね。澪が緊張しまくりだし(笑)ムギはお茶汲んで唯はボケーッと、で梓はギターの練習。
あー昔から変わってないじゃんって。じゃあ昔と同じようにとにかく楽しもうって(笑)
――今後の活動は?
今までと一緒で(笑)もともとふわふわしたバンドなんで楽しくのんびりやってきます。
おわり
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 16:16:15.00 ID:kK/7fcSS0 [29/29]
誰もいないだろうけど今度こそおわり
さよなら
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