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男「例えば仮にさ、僕の手首がいきなり無くなるとするじゃない?」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:04:12.55 ID:+Bzj/Qpw0 [1/31]
男「例えば仮にさ、僕の手首がいきなり無くなるとするじゃない?」
女「うん」
男「例えば仮にさ、僕の手首がいきなり無くなるとするじゃない?」
女「うん」
男「そうするとさ、僕きっと思うんだ。嫌だ。困ったなって。あった時は色々出来たのに、もう何も出来ないんじゃないかって」
女「・・・うん」
男「でも手首はもう無くなってしまってる訳じゃない?もうどうしようもないじゃない?
この先考えるべきなのは、手首が無くなった状態でどう過ごしていくかじゃない?
もう本当にどうしようもなければ、その先を前向きに、建設的に考えるべきじゃない?」
女「・・・うん」
男「でも僕は思うんだ。嫌だ。困ったなって。あった時は色々出来たのに、もう何も出来ないんじゃないかって」
女「・・・そうだね」
男「でもおかしくない?もうどうしようもないんだよ?」
女「・・・」
女「・・・・」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:06:48.71 ID:+Bzj/Qpw0
男「じゃあ話を変えよう」
女「私、バカだから難しい話解らないよ」
男「でも聞くんだ。これから話すから」
女「う・・・・うん」
男「じゃあ話すよ?」
男「例えば仮にさ、明日死ぬとするじゃない?」
女「だ、・・・誰が?」
男「君が」
女「・・・・うん」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:09:53.67 ID:+Bzj/Qpw0
男「君はきっと色々考える」
女「・・・そうだね」
男「やり残したことはないか、とか、誰と、どう過ごそう、とか」
女「うん」
男「でも君は死んでしまう。これは確定」
女「う、・・・うん」
男「だけどやっぱり君は考えてしまう。やり残したことはないか、とか、誰と、どう過ごそう、とか」
女「そ、そうだね」
男「?」
女「・・・・?」
男「・・・おかしいと思わない?」
女「え?」
女「・・・・え?」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:12:29.92 ID:+Bzj/Qpw0
男「だってそうじゃない」
女「な、何が?」
男「君は死んでしまうんだよ?明日」
女「うん」
男「明日」
女「わ、わかってるってば」
男「ならなんでやり残したことはないか、なんて考えるの?」
女「そ、それは、死ぬ前に良い気持ちで死にたいかr」
男「でも死んだら何にもないでしょ?」
女「それは・・・・そうだけど・・・」
男「ねえ」
男「手首と似てない?」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:15:07.40 ID:+Bzj/Qpw0
女「ちょっとまって?」
男「話を変えるよ?」
女「まってってば」
男「例えば
女「まって!」
男「・・・・ごめん」
女「手首って、さっき話した事?」
男「そうだよ?」
女「おんなじなの?」
男「?」
女「だから、明日死ぬのと」
男「え?そうじゃない?」
女「よく」
女「・・・よくわかんないよ」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:18:26.46 ID:+Bzj/Qpw0
女「だって逆じゃない?」
男「?」
女「手首がなくなったら、前向きに考えなきゃなのに、後ろ向きになっちゃう」
男「うん」
女「明日死ぬなら、後ろ向きに考えずに、真っ先に何かしようとする」
男「うん」
女「逆じゃないの?」
男「うん」
女「え?」
男「話を戻すよ?」
女「・・・え?」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:21:16.92 ID:+Bzj/Qpw0
男「例えば仮に、の話をしてるよね?」
女「ねえ・・・」
男「してるよね?」
女「・・・うん」
男「してるよね?」
女「・・・してるってば」
男「今この瞬間、例えば仮に、って話をしてる」
女「いい加減にしてよ・・・」
男「?おかしいと思わないの?」
女「・・・・何が?」
男「たらればの話って事だよ?」
女「ねえ・・・だから何が?」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:23:23.77 ID:+Bzj/Qpw0
男「起こって無い事、起こるはずがない事の話をしてるってことだよ?」
女「それは分るよ」
男「じゃあなんで解らないの?」
女「何が・・・?」
男「たらればの
女「いい加減にしてよ!」
男「ねえ」
男「手首と一緒だってば」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:27:24.74 ID:+Bzj/Qpw0
女「・・・訳わからないよ」
男「どうしてかな?」
女「私が馬鹿だからよ・・・それでいいでしょもう」
男「どうしてかなー?」
女「あなた、変よ・・・もうやめよう?」
男「どうしてかなー?どうして解らないのかなー?」
女「ねえってば!」
男「どうしてかなどうしてかなどうしてかなどうしてかn」
女「・・・・」
男「ねえ!!!」
女「!」
男「・・・気にならないの?」
男「自分の解らない所」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:29:37.05 ID:+Bzj/Qpw0
女「・・・・」
女「・・・ねえ」
男「?」
女「ちゃんと・・・教えて?」
男「うーん」
女「ね、ねえ」
男「うーーーーーーーーん」
女「ねえ・・・お願い・・・お、教えてよ・・・」
男「うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーmんn」
女「ねえ・・・おねがい・・・よお・・・」
女「おし、えて、よお・・・」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:31:52.03 ID:+Bzj/Qpw0
男「いいよ!!」
女「! あ、ありがと! あ、ありがとう!」
男「いいよ!!!」
女「ありがとお・・・・」
男「じゃあ、ちゃんと聞いてね?」
女「うん・・・うん・・・!」
男「一字一句、聞き逃したら駄目だよ?絶対だよ?」
女「絶対!守る!聞き逃さない!」
男「うん!!!」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:36:58.05 ID:+Bzj/Qpw0
男「じゃあ話すね!」
女「・・・うん!!」
男「例えば仮にさ、k
女「え?」
男「ねえ!!!!!!!!」
女「!!!」
男「聞き逃しちゃ駄目だってば!!!!!!!!!」
女「あ、・・・ご、ごめ
男「ねえったら!!!!!!!!」
女「ど、怒鳴ら・・ない・・・で・・・」
男「駄目だってばあ!!!!!!!」
女「ご、ごめ・・・」
女「ごめ・・んな・・さい・・・ごめ・・・な・・さ」
女「ごめん、な、さい い」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:38:28.46 ID:+Bzj/Qpw0
男「いいよ!!!!!」
女「あ、あり・・」
男「次は駄目だからね!!!」
女「h・・は、1い」
男「うん!!!!」
男「じゃあ戻すね!?」
女「うん・・・!うん・・・・!」
男「例えば仮にさ」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:42:38.51 ID:+Bzj/Qpw0
男「例えば仮に、君が死にたいと思ってしまったとする」
女「・・はい!」
男「そうだな、両親が死んだ事にしよう」
女「・・・や、やだ」
男「もっと!もっとにしよう!君の大切な友だちも親戚も死んだ!」
女「や、です・・やです・・」
男「君はお金もない!どうやって生活したらいいか!そもそももう生活なんて出来ない!!」
女「や、やだ、・・・よ」
男「そんな君の前に沢山の道具がある!!縄にナイフに薬に縄に!」
女「・・・あ、あ、」
男「もちろん!!!」
男「例えば!仮にだよ!!!!」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:44:56.94 ID:+Bzj/Qpw0
男「君はきっとそれら道具の中からひとつ選び、ひとつ、選ぶんだ!!」
女「あ・・・」
男「君なら何を選ぶ!?」
女「く、くすr
男「当然縄だよね!!!!」
女「は、はい!」
男「縄を選ぶ!!」
男「縄を選ぶ!!!!!!!」
男「縄を選ぶんだ。きっとね」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:48:33.60 ID:+Bzj/Qpw0
女「縄・・・たぶん、なわ
男「絶対!!!」
女「は・・・い・・・」
男「それを君は木の枝にかける!!折れる事無い、丈夫な鉄だ!!」
女「木・・?鉄・・・?」
男「そう!!しっかり縛り、絶対ほどけない!!!」
女「ほどけない・・・」
男「そして君は縄のわっか、縄のわっかを首にかけるの!!とうとう!!」
女「ひ・・・」
男「絶対ほどけないんだ!!!!」
男「ぜっっったいに!!!!!」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:53:12.78 ID:+Bzj/Qpw0
女「や・・・」
男「絶対折れないし、絶対ほどけない!!」
女「や、や・・・だ・・」
男「何!?聞こえない!!そして君は!!!」
女「や・・・!だ、だ・・・・!!」
男「首を、体を!!!」
女「やだ!!!!やだ!!!!!」
男「聞こえないってば!!!!体が宙に浮く!!!」
女「やめて!!!!やめて!!!!!」
男「首が、体が!!!! 命が!!!!!」
女「いやあああああああああああああああああ!!!!!!」
男「なんで!!!!!!!!!!!」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:56:52.60 ID:+Bzj/Qpw0
女「あ・・・・」
女「ああ・・・・あ」
男「ねえ、」
女「・・・・あ・・・」
男「なんで?」
男「君は死ぬしかなかったんじゃないの?」
男「もう何にも頼れずに、希望も無くて」
男「君は死ぬしかなかったはずじゃないの?」
女「なん・・・・で?」
男「なのになんで?」
女「・・・なん・・・で?」
女「なん、で、」
男「そう」
男「例えば、そう。仮に」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:59:14.43 ID:+Bzj/Qpw0
男「一緒だって、わかった?」
女「・・・・・」
男「全ては、仮にだ。安心して」
女「あ、・・・ああ」
男「君は選んだんだ」
男「どうしようもなく、どうしようもなく、どうしようもなくなった時」
男「それでも嫌だ、って。選んだんだ」
男「選んだんだよ」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:01:27.60 ID:+Bzj/Qpw0
女「・・・・」
女「・・・・そっか」
男「うん」
女「嫌だったんだ」
男「・・・そうだね」
女「手首が無くなった時も、明日死ぬって決まった時も、死ぬしかなくなってしまった時も」
男「うん」
女「嫌、 だったんだ」
男「・・・・」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:04:06.99 ID:+Bzj/Qpw0
女「私、やっぱり馬鹿だったんだ」
男「だから、・・・昔から、そう言ってたじゃない」
女「私馬鹿だったけど」
男「うん」
女「ちょっと遅かったけど」
男「そんなことないよ」
女「わかって、」
男「・・・うん」
女「解って、よかったあ」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:06:53.24 ID:+Bzj/Qpw0
女「ごめんね?」
男「なにも」
女「時間、かかっちゃってさ」
男「馬鹿なんだからさ、しょうがないよ」
女「ふふ・・・酷いな。でもごめん、ね?」
男「なにも、だよ」
女「・・・ねえ」
男「うん?」
女「ありがとう」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:09:08.40 ID:+Bzj/Qpw0
看護師「やっと、ですね」
男「はい」
看護師「・・・・やっと、でしたね」
男「・・・・はい」
看護師「○○さん、全部、
男「はい・・・」
看護師「戻って、これましたねえ」
男「・・・・・・・・はい」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:10:39.73 ID:+Bzj/Qpw0
男「全部って訳じゃ、ないかもです」
看護師「全部、ですよ」
男「そう、ですかね・・・」
看護師「あなたも、10年間」
男「?」
看護師「よく、頑張ったわね」
男「はは・・・・」
男「なにも、です」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:15:50.55 ID:+Bzj/Qpw0
男「気付いたのは、彼女です」
男「例えば仮に、死んでしまう絶望が、立て続けに起こったとして」
男「誰が、彼女の様な行動をして、彼女の様になってしまう事を、非難できたでしょう」
看護師「そうですね・・・」
男「でも彼女は、たまたま運がよく助かって、けれどたまたまそのせいで心を止めて、」
男「けれど彼女は、自分で気付いて、戻ってきたんです」
看護師「けれど彼女だけでは無理だったでしょう」
男「僕は」
男「僕は、当時何もしてあげられませんでしたから」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:19:25.38 ID:+Bzj/Qpw0
男「彼女がああなってから、やっと動き出せた」
男「あんなに好きだったって言うのに。ああなってから、やっとです」
男「仮に僕が何かしたとして、それは」
男「きっかけを、やっと作ってあげられただけです」
看護師「ふふ・・・あの時の泣き虫の子が」
看護師「・・・ねえ?」
男「?」
看護師「・・・ありがとう」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:28:27.55 ID:+Bzj/Qpw0
男「・・・・」
男「例えば仮に」
男「僕があの時に戻れたとしましょう」
看護師「・・・・ええ」
男「きっと僕は、それでも彼女に何も、出来なかったでしょう」
看護師「・・・そうかもしれませんね・・・」
男「けど、実際、例えば仮に、なんて、彼女のを取り戻すために使った方便で」
男「たらればの話なんて、ひとつも無いのでしょうね。きっと」
男「きっとあるのは、起こっていく、起こっていった事実だけだ」
看護師「・・・・」
看護師「・・・先生。着きました」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:31:56.88 ID:+Bzj/Qpw0
男「き、緊張するなあ」
看護師「もう彼女も、大丈夫ですよ。起こった事、現状を説明しましたそして」
看護師「そして彼女は、それをきちんと受け止められましたから」
男「・・・ありがとうございます」
看護師「彼女が、言ってましたよ、s
男「待った」
看護師「?」
男「その先は、」
男「・・・・僕が、自分で聞いてきます」
看護師「・・・・ふふ。」
看護師「そう、ね」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:35:57.39 ID:+Bzj/Qpw0
看護師「先生、さっきおっしゃいましたよね?」
男「?」
看護師「例えば仮になんて無くて、ただの方便だって」
男「・・・・そうですね」
看護師「けどきっと、それは同時に希望でもあると思います」
男「そう・・・かな?」
看護師「そうですとも」
看護師「だから、例えば仮に、この扉の向こうで」
看護師「彼女が笑っていたなら、それは幸せなことだと思いません?よっと」
男「!」
男「・・・・ええ」
男「・・・・それは、
男「それは、素敵ですね」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:36:27.46 ID:+Bzj/Qpw0
異常
お終いです
ではさようなら
女「・・・うん」
男「でも手首はもう無くなってしまってる訳じゃない?もうどうしようもないじゃない?
この先考えるべきなのは、手首が無くなった状態でどう過ごしていくかじゃない?
もう本当にどうしようもなければ、その先を前向きに、建設的に考えるべきじゃない?」
女「・・・うん」
男「でも僕は思うんだ。嫌だ。困ったなって。あった時は色々出来たのに、もう何も出来ないんじゃないかって」
女「・・・そうだね」
男「でもおかしくない?もうどうしようもないんだよ?」
女「・・・」
女「・・・・」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:06:48.71 ID:+Bzj/Qpw0
男「じゃあ話を変えよう」
女「私、バカだから難しい話解らないよ」
男「でも聞くんだ。これから話すから」
女「う・・・・うん」
男「じゃあ話すよ?」
男「例えば仮にさ、明日死ぬとするじゃない?」
女「だ、・・・誰が?」
男「君が」
女「・・・・うん」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:09:53.67 ID:+Bzj/Qpw0
男「君はきっと色々考える」
女「・・・そうだね」
男「やり残したことはないか、とか、誰と、どう過ごそう、とか」
女「うん」
男「でも君は死んでしまう。これは確定」
女「う、・・・うん」
男「だけどやっぱり君は考えてしまう。やり残したことはないか、とか、誰と、どう過ごそう、とか」
女「そ、そうだね」
男「?」
女「・・・・?」
男「・・・おかしいと思わない?」
女「え?」
女「・・・・え?」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:12:29.92 ID:+Bzj/Qpw0
男「だってそうじゃない」
女「な、何が?」
男「君は死んでしまうんだよ?明日」
女「うん」
男「明日」
女「わ、わかってるってば」
男「ならなんでやり残したことはないか、なんて考えるの?」
女「そ、それは、死ぬ前に良い気持ちで死にたいかr」
男「でも死んだら何にもないでしょ?」
女「それは・・・・そうだけど・・・」
男「ねえ」
男「手首と似てない?」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:15:07.40 ID:+Bzj/Qpw0
女「ちょっとまって?」
男「話を変えるよ?」
女「まってってば」
男「例えば
女「まって!」
男「・・・・ごめん」
女「手首って、さっき話した事?」
男「そうだよ?」
女「おんなじなの?」
男「?」
女「だから、明日死ぬのと」
男「え?そうじゃない?」
女「よく」
女「・・・よくわかんないよ」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:18:26.46 ID:+Bzj/Qpw0
女「だって逆じゃない?」
男「?」
女「手首がなくなったら、前向きに考えなきゃなのに、後ろ向きになっちゃう」
男「うん」
女「明日死ぬなら、後ろ向きに考えずに、真っ先に何かしようとする」
男「うん」
女「逆じゃないの?」
男「うん」
女「え?」
男「話を戻すよ?」
女「・・・え?」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:21:16.92 ID:+Bzj/Qpw0
男「例えば仮に、の話をしてるよね?」
女「ねえ・・・」
男「してるよね?」
女「・・・うん」
男「してるよね?」
女「・・・してるってば」
男「今この瞬間、例えば仮に、って話をしてる」
女「いい加減にしてよ・・・」
男「?おかしいと思わないの?」
女「・・・・何が?」
男「たらればの話って事だよ?」
女「ねえ・・・だから何が?」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:23:23.77 ID:+Bzj/Qpw0
男「起こって無い事、起こるはずがない事の話をしてるってことだよ?」
女「それは分るよ」
男「じゃあなんで解らないの?」
女「何が・・・?」
男「たらればの
女「いい加減にしてよ!」
男「ねえ」
男「手首と一緒だってば」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:27:24.74 ID:+Bzj/Qpw0
女「・・・訳わからないよ」
男「どうしてかな?」
女「私が馬鹿だからよ・・・それでいいでしょもう」
男「どうしてかなー?」
女「あなた、変よ・・・もうやめよう?」
男「どうしてかなー?どうして解らないのかなー?」
女「ねえってば!」
男「どうしてかなどうしてかなどうしてかなどうしてかn」
女「・・・・」
男「ねえ!!!」
女「!」
男「・・・気にならないの?」
男「自分の解らない所」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:29:37.05 ID:+Bzj/Qpw0
女「・・・・」
女「・・・ねえ」
男「?」
女「ちゃんと・・・教えて?」
男「うーん」
女「ね、ねえ」
男「うーーーーーーーーん」
女「ねえ・・・お願い・・・お、教えてよ・・・」
男「うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーmんn」
女「ねえ・・・おねがい・・・よお・・・」
女「おし、えて、よお・・・」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:31:52.03 ID:+Bzj/Qpw0
男「いいよ!!」
女「! あ、ありがと! あ、ありがとう!」
男「いいよ!!!」
女「ありがとお・・・・」
男「じゃあ、ちゃんと聞いてね?」
女「うん・・・うん・・・!」
男「一字一句、聞き逃したら駄目だよ?絶対だよ?」
女「絶対!守る!聞き逃さない!」
男「うん!!!」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:36:58.05 ID:+Bzj/Qpw0
男「じゃあ話すね!」
女「・・・うん!!」
男「例えば仮にさ、k
女「え?」
男「ねえ!!!!!!!!」
女「!!!」
男「聞き逃しちゃ駄目だってば!!!!!!!!!」
女「あ、・・・ご、ごめ
男「ねえったら!!!!!!!!」
女「ど、怒鳴ら・・ない・・・で・・・」
男「駄目だってばあ!!!!!!!」
女「ご、ごめ・・・」
女「ごめ・・んな・・さい・・・ごめ・・・な・・さ」
女「ごめん、な、さい い」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:38:28.46 ID:+Bzj/Qpw0
男「いいよ!!!!!」
女「あ、あり・・」
男「次は駄目だからね!!!」
女「h・・は、1い」
男「うん!!!!」
男「じゃあ戻すね!?」
女「うん・・・!うん・・・・!」
男「例えば仮にさ」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:42:38.51 ID:+Bzj/Qpw0
男「例えば仮に、君が死にたいと思ってしまったとする」
女「・・はい!」
男「そうだな、両親が死んだ事にしよう」
女「・・・や、やだ」
男「もっと!もっとにしよう!君の大切な友だちも親戚も死んだ!」
女「や、です・・やです・・」
男「君はお金もない!どうやって生活したらいいか!そもそももう生活なんて出来ない!!」
女「や、やだ、・・・よ」
男「そんな君の前に沢山の道具がある!!縄にナイフに薬に縄に!」
女「・・・あ、あ、」
男「もちろん!!!」
男「例えば!仮にだよ!!!!」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:44:56.94 ID:+Bzj/Qpw0
男「君はきっとそれら道具の中からひとつ選び、ひとつ、選ぶんだ!!」
女「あ・・・」
男「君なら何を選ぶ!?」
女「く、くすr
男「当然縄だよね!!!!」
女「は、はい!」
男「縄を選ぶ!!」
男「縄を選ぶ!!!!!!!」
男「縄を選ぶんだ。きっとね」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:48:33.60 ID:+Bzj/Qpw0
女「縄・・・たぶん、なわ
男「絶対!!!」
女「は・・・い・・・」
男「それを君は木の枝にかける!!折れる事無い、丈夫な鉄だ!!」
女「木・・?鉄・・・?」
男「そう!!しっかり縛り、絶対ほどけない!!!」
女「ほどけない・・・」
男「そして君は縄のわっか、縄のわっかを首にかけるの!!とうとう!!」
女「ひ・・・」
男「絶対ほどけないんだ!!!!」
男「ぜっっったいに!!!!!」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:53:12.78 ID:+Bzj/Qpw0
女「や・・・」
男「絶対折れないし、絶対ほどけない!!」
女「や、や・・・だ・・」
男「何!?聞こえない!!そして君は!!!」
女「や・・・!だ、だ・・・・!!」
男「首を、体を!!!」
女「やだ!!!!やだ!!!!!」
男「聞こえないってば!!!!体が宙に浮く!!!」
女「やめて!!!!やめて!!!!!」
男「首が、体が!!!! 命が!!!!!」
女「いやあああああああああああああああああ!!!!!!」
男「なんで!!!!!!!!!!!」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:56:52.60 ID:+Bzj/Qpw0
女「あ・・・・」
女「ああ・・・・あ」
男「ねえ、」
女「・・・・あ・・・」
男「なんで?」
男「君は死ぬしかなかったんじゃないの?」
男「もう何にも頼れずに、希望も無くて」
男「君は死ぬしかなかったはずじゃないの?」
女「なん・・・・で?」
男「なのになんで?」
女「・・・なん・・・で?」
女「なん、で、」
男「そう」
男「例えば、そう。仮に」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 17:59:14.43 ID:+Bzj/Qpw0
男「一緒だって、わかった?」
女「・・・・・」
男「全ては、仮にだ。安心して」
女「あ、・・・ああ」
男「君は選んだんだ」
男「どうしようもなく、どうしようもなく、どうしようもなくなった時」
男「それでも嫌だ、って。選んだんだ」
男「選んだんだよ」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:01:27.60 ID:+Bzj/Qpw0
女「・・・・」
女「・・・・そっか」
男「うん」
女「嫌だったんだ」
男「・・・そうだね」
女「手首が無くなった時も、明日死ぬって決まった時も、死ぬしかなくなってしまった時も」
男「うん」
女「嫌、 だったんだ」
男「・・・・」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:04:06.99 ID:+Bzj/Qpw0
女「私、やっぱり馬鹿だったんだ」
男「だから、・・・昔から、そう言ってたじゃない」
女「私馬鹿だったけど」
男「うん」
女「ちょっと遅かったけど」
男「そんなことないよ」
女「わかって、」
男「・・・うん」
女「解って、よかったあ」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:06:53.24 ID:+Bzj/Qpw0
女「ごめんね?」
男「なにも」
女「時間、かかっちゃってさ」
男「馬鹿なんだからさ、しょうがないよ」
女「ふふ・・・酷いな。でもごめん、ね?」
男「なにも、だよ」
女「・・・ねえ」
男「うん?」
女「ありがとう」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:09:08.40 ID:+Bzj/Qpw0
看護師「やっと、ですね」
男「はい」
看護師「・・・・やっと、でしたね」
男「・・・・はい」
看護師「○○さん、全部、
男「はい・・・」
看護師「戻って、これましたねえ」
男「・・・・・・・・はい」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:10:39.73 ID:+Bzj/Qpw0
男「全部って訳じゃ、ないかもです」
看護師「全部、ですよ」
男「そう、ですかね・・・」
看護師「あなたも、10年間」
男「?」
看護師「よく、頑張ったわね」
男「はは・・・・」
男「なにも、です」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:15:50.55 ID:+Bzj/Qpw0
男「気付いたのは、彼女です」
男「例えば仮に、死んでしまう絶望が、立て続けに起こったとして」
男「誰が、彼女の様な行動をして、彼女の様になってしまう事を、非難できたでしょう」
看護師「そうですね・・・」
男「でも彼女は、たまたま運がよく助かって、けれどたまたまそのせいで心を止めて、」
男「けれど彼女は、自分で気付いて、戻ってきたんです」
看護師「けれど彼女だけでは無理だったでしょう」
男「僕は」
男「僕は、当時何もしてあげられませんでしたから」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:19:25.38 ID:+Bzj/Qpw0
男「彼女がああなってから、やっと動き出せた」
男「あんなに好きだったって言うのに。ああなってから、やっとです」
男「仮に僕が何かしたとして、それは」
男「きっかけを、やっと作ってあげられただけです」
看護師「ふふ・・・あの時の泣き虫の子が」
看護師「・・・ねえ?」
男「?」
看護師「・・・ありがとう」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:28:27.55 ID:+Bzj/Qpw0
男「・・・・」
男「例えば仮に」
男「僕があの時に戻れたとしましょう」
看護師「・・・・ええ」
男「きっと僕は、それでも彼女に何も、出来なかったでしょう」
看護師「・・・そうかもしれませんね・・・」
男「けど、実際、例えば仮に、なんて、彼女のを取り戻すために使った方便で」
男「たらればの話なんて、ひとつも無いのでしょうね。きっと」
男「きっとあるのは、起こっていく、起こっていった事実だけだ」
看護師「・・・・」
看護師「・・・先生。着きました」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:31:56.88 ID:+Bzj/Qpw0
男「き、緊張するなあ」
看護師「もう彼女も、大丈夫ですよ。起こった事、現状を説明しましたそして」
看護師「そして彼女は、それをきちんと受け止められましたから」
男「・・・ありがとうございます」
看護師「彼女が、言ってましたよ、s
男「待った」
看護師「?」
男「その先は、」
男「・・・・僕が、自分で聞いてきます」
看護師「・・・・ふふ。」
看護師「そう、ね」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:35:57.39 ID:+Bzj/Qpw0
看護師「先生、さっきおっしゃいましたよね?」
男「?」
看護師「例えば仮になんて無くて、ただの方便だって」
男「・・・・そうですね」
看護師「けどきっと、それは同時に希望でもあると思います」
男「そう・・・かな?」
看護師「そうですとも」
看護師「だから、例えば仮に、この扉の向こうで」
看護師「彼女が笑っていたなら、それは幸せなことだと思いません?よっと」
男「!」
男「・・・・ええ」
男「・・・・それは、
男「それは、素敵ですね」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 18:36:27.46 ID:+Bzj/Qpw0
異常
お終いです
ではさようなら
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