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梓「夏祭り」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:33:07.17 ID:jIh+vsM00 [1/64]
夜
中野家
梓「あ、電話。純からだ」
梓「何だろ、こんな時間に」
ガチャ
純『あ、梓? 夏祭り行かない?』
梓「えー、もう受験生だよ、私たち。もう少しまじめに勉強して……」
夜
中野家
梓「あ、電話。純からだ」
梓「何だろ、こんな時間に」
ガチャ
純『あ、梓? 夏祭り行かない?』
梓「えー、もう受験生だよ、私たち。もう少しまじめに勉強して……」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:34:09.30 ID:jIh+vsM00
純『高校生最後の夏なんだからさ、存分に遊ばないと!』
梓「……まあ、そうかもしれないけど」
純『勉強ばっかに根詰めてたら、頭がパンクしちゃうよ。ね?』
梓「……たまにはいいかも、ね」
純『でしょ? じゃあ決まり! 神社で待ってるねー』
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:34:52.40 ID:jIh+vsM00
梓「ああ、神社のお祭りね」
純『うん』
梓「わかった。行くから待っててね」
純『了解!』
プッ
梓「じゃあ、着替えようかな……ジャージ姿で行くのもアレだしね」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:35:36.54 ID:jIh+vsM00
三十分後
神社 境内
梓「お待たせ」
純「やほー、梓。来ないかと思ったよ」
梓「まさか。一度した約束は、守るたちなのよ。私」
純「えへ、よかったー」
梓「あれ、純一人だけ?」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:36:07.25 ID:jIh+vsM00
純「うん。そだよ」
梓「憂は?」
純「唯先輩と一緒にいちゃいちゃしてるって」
梓「ああ、明日で唯先輩、帰っちゃうからね」
純「うん」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:37:07.07 ID:jIh+vsM00
梓「もう、来年までは会えないのかな……唯先輩達と」
純「今生の別れじゃあるまいし。大学寮に帰るだけでしょ」
梓「ま、そうなんだけどね」
純「じゃあ、行こうよ。お祭り」
梓「何か、純と二人だけっての初めてな気がする」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:38:06.32 ID:jIh+vsM00
純「そうだっけ?」
梓「うん。あまり覚えない」
純「言われて見るとそうかも」
梓「でしょ?」
純「いっつも憂がいたからね」
梓「うん」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:39:03.29 ID:jIh+vsM00
純「ま、いいじゃんいいじゃん。二人っきりってのもテンション上がらない?」
梓「上がるね」
純「夏祭りってさ、すごく興奮するんだよね」
梓「わかる気がする」
純「周りの喧騒っての? そういうのに囲まれてるとさ、テンションだだ上がりでさ」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:40:00.63 ID:jIh+vsM00
梓「うんうん」
純「やる気みたいのがみなぎってくるの!」
梓「あるある!」
純「あ、早く行かないと!」
梓「うん。行こっか!」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:41:04.11 ID:jIh+vsM00
夏祭り会場
純「うわー、人で一杯」
梓「人に酔いそうだね」
梓「なんか、お金とか落としそう」
梓「純、気をつけてね」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:41:50.71 ID:jIh+vsM00
純「うん、大丈夫だって。あ、金魚すくいしない?」
梓「うん。いいね」
純「おッちゃん、網ちょうだい!」
屋台の主人「あいよ」
純「よーし、五匹とるぞ!」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:42:24.29 ID:jIh+vsM00
数秒後
純「……網破れた」
梓「純、金魚すくいへタだねえ」
純「ち、違うよ! 今回は手元が狂ったんだよ!」
純「次こそは!」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:43:05.25 ID:jIh+vsM00
数秒後
純「また破けた……」
梓「はは。私にやらせて。もっとうまく出来るよ」
純「な、じゃあやってみてよ!」
梓「いいよ、驚かないでね?」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:43:59.12 ID:jIh+vsM00
数秒後
梓「こういうのが出来ても、将来生きていけないわけで」
純「ほーら、やっぱり出来なかったじゃん」
梓「いや、私は別に? こういうところで才能が開花しても嬉しくないし?」
純「負け惜しみにしか聞こえないよ」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:44:50.33 ID:jIh+vsM00
梓「いや、そういうんじゃなくてね。実際問題……」
純「わかったから、次行くよ」
梓「次何するの?」
純「射的でもしよっか」
梓「あ、射的は得意なんだ!」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:45:26.57 ID:jIh+vsM00
射的終了後
梓「へへーん。どうよ! キャラメル二個!」
梓「あれ? 純は何もないの?」
純「くぅ! 何も言い返せない!」
梓「へへー、射的は得意なんだ」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:46:17.16 ID:jIh+vsM00
純「おかしい、銃身が曲がってたのよ、あれ」
梓「負けを認めなさい、純」
純「悔しい! マジで!」
純「じゃ、じゃあさ、型抜きしようよ! あれなら負けないよ!」
梓「いいけど、泣かないことね!」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:47:02.04 ID:jIh+vsM00
型抜き終了後
純「嘘だ……あと一センチくらいだったのに……なんであそこで割れる?」
梓「経験の差ね」
純「くー! 悔しい!」
梓「まあまあ、負けて悔しいのはわかるから」
純「うー! うー!」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:47:49.73 ID:jIh+vsM00
梓「あ、りんごアメ食べない?」
純「……いいけど」
梓「じゃ、買おうよ」
純「うん」
純「りんごアメ、二つください」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:48:29.46 ID:jIh+vsM00
屋台のおっさん「600円ね」
純(一個300円? 高すぎない?)
純「はい、600円」
屋台のおっさん「毎度」
純「はい、どうぞ」
梓「ありがと、純」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:49:15.34 ID:jIh+vsM00
純「うーん、甘すぎる」
梓「それがいいんじゃない」
純「私辛党なんだよね」
梓「え? いらないならちょーだい!」
純「やだよ! 私のだもん!」
梓「えー! けちー」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:49:59.75 ID:jIh+vsM00
純「それはそうと、次何する?」
梓「くじ引きとか?」
純「あれってはずれしかはいってないんだよ。一回もあたったことないもん」
梓「うーん、じゃあ食べまくる?」
純「いいね! そうしよっか」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:50:56.91 ID:jIh+vsM00
梓「まずは焼きとうもろこしね」
純「その後は焼き鳥、綿アメ!」
梓「焼きそば、チョコバナナ!」
純「いいねえ、じゃあ、早速買いに行こうよ!」
梓「うん!」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:51:51.19 ID:jIh+vsM00
数分後
純「全部買ったけど……どこで食べよっか」
梓「あ、あそこの石段のところでいいんじゃない?」
純「あ、そうだね。そこにしよっか」
梓「じゃあ、早く行こう。溶けちゃうよ、チョコ」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:53:04.30 ID:jIh+vsM00
石段
梓「食べきれるかな?」
純「大丈夫だよ! 明日から頭にカロリー使うんだから。今のうちに蓄えないと!」
梓「そうだね。では」
純梓「いただきまーす!」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:54:01.64 ID:jIh+vsM00
純「うーん、やっぱり綿アメおいしい!」
梓「辛党じゃなかったの?」
純「綿アメは別格だよ」
梓「ふーん、あ、焼きとうもろこし美味しい」
純「去年唯先輩さ、リスみたいにそれ、食べてなかった?」
梓「ああ、げっ歯類みたいにね」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:55:11.94 ID:jIh+vsM00
純「あれは笑ったな~」
梓「あれ、憂直伝の食べ方らしいよ」
純「へー、平沢家ではあーやって焼きとうもろこし食べるんだ」
梓「うん。憂がやってる姿想像したらおっかしくてさー」
純「あー、確かに」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:56:03.30 ID:jIh+vsM00
梓「実際、あーやって食べる方が難しいよね」
純「だね」
純「チョコバナナは……普通だなぁ」
梓「あ、焼き鳥はうまい! いいね、このタレ」
純「あ、本当だ。すごい美味!」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:57:00.43 ID:jIh+vsM00
梓「憂も誘えばよかったねー」
純「本当だね」
梓「憂と一緒に食べたら、あの食べ方見れたかな?」
純「あー、みれたかもね。つくづく惜しいことをした!」
梓「来年は誘おうね!」
純「うん。来年は――」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:58:04.13 ID:jIh+vsM00
純(来年、か)
純(私たち、大学生になってるんだ)
純(想像できないなぁ)
純(来年、また来れるかな?)
梓「――どうしたの? 純」
純「ううん。なんでもない」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:59:01.52 ID:jIh+vsM00
梓「あ! 花火!」
純「え? どこどこ?」
梓「向こう向こう! ほら!」
純「あ、本当だ!」
梓「行ってみようよ、あっち!」
純「え、ちょっとまっt――
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:00:01.34 ID:jIh+vsM00
純が制止するより早く、梓は純の手を引いて走り出していた。
梓「早く早く!」
純「わかったから! 手を離して!」
梓「あ、ごめんごめん」
純「もー、せっかちだなぁ」
梓「えへへ」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:00:47.48 ID:jIh+vsM00
純「歩いていこうよ。なくなるわけでもないし、ここからでも見えるし」
梓「そうしよっか」
純「あー、でもいきなり引っ張られるんで驚いたよ」
梓「どっか怪我した?」
純「ううん。大丈夫」
梓「よかった」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:01:32.51 ID:jIh+vsM00
けたましい音を立てて、花火が燃え盛る。
赤、青、緑。様々な色の花が、夜空を彩る。
梓「綺麗だね」
純「うん、とても」
自然に感想がもれる。
梓「でも、花火って何か寂しくならない?」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:02:24.61 ID:jIh+vsM00
純「え?」
梓「すぐに終わっちゃうところとかさ、何か寂しいな」
純「あー、わかるかもしれない」
梓「ま、だから綺麗なんだけどね。一瞬で終わっちゃうから」
純「――だよね」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:03:14.21 ID:jIh+vsM00
梓「夏、終わっちゃうね」
純「そんな感じがするね」
梓「あーあ、本格的に受験勉強やらないとなー」
純「悪夢のような日々だね」
梓「まったく」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:04:00.69 ID:jIh+vsM00
純「ま、それで大学は入れるんなら、お安いものなのかな?」
梓「落ちたら悲惨だね」
純「浪人は嫌だなー」
梓「なのにお祭りなんか行ってるんだからね」
純「ま、今日くらいは休んでもいいんじゃない?」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:05:02.44 ID:jIh+vsM00
純「明日から本気出すし」
梓「明日もそれ言わないでよ」
純「どんどん上乗せしてくんだ」
梓「いまに破産するよ」
純「そうかな?」
梓「多分ね」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:05:58.75 ID:jIh+vsM00
純「でもさー、不安になってくるなー。受かるかどうか」
梓「いくら勉強しても、そればかりはね」
純「もー、大学も義務教育にして欲しいな」
梓「だったら楽だよね」
純「でしょ? 将来偉くなって、大学も義務教育にするんだ!」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:06:52.83 ID:jIh+vsM00
梓「応援してるよ」
純「私が偉くなって……そのときは、梓を秘書にしてあげるね」
梓「夢のような話だね」
純「まあね、確かに」
でもさ、と純は語を継ぐ。
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:07:46.07 ID:jIh+vsM00
純「子供のうちしか、夢は見られないんだよ」
純「今のうちに夢見といた方が得じゃない?」
梓「あと二年しか、夢を見られないのかー」
純「大人になったら、今度は夢を叶えるんだ」
梓「なるほどー」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:08:42.29 ID:jIh+vsM00
純「あ、花火もクライマックスに近づいてきたね」
梓「本当だ。どんどん大きくなってるからね」
純「あーあ、もう終わっちゃうよ。私の安息」
梓「まあね。でもさ、受験終わったら毎日がパラダイスじゃない?」
純「まだ半年もあるよ……」
梓「あ、本当だ」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:09:13.21 ID:jIh+vsM00
数十分後
梓「花火、終わったねー」
純「うん。帰ろうか」
梓「うん。帰ろう」
二人は神社を出た。
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:10:00.92 ID:jIh+vsM00
純「お祭りの騒がしさがさ、まだ耳に残ってるよ」
梓「うん。いきなり静かになったから、耳がきーんってなる」
純「耳鳴りみたいだね」
梓「そうだね」
純「明日には直ってるだろうけどさ」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:10:55.41 ID:jIh+vsM00
静寂に包まれた夜の道は、なんだかとても気味が悪い。
純「なんか、怖くなってきちゃった」
梓「不気味だよね」
純「ねえ、手繋がない?」
梓「うん。繋ごっか」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:11:57.67 ID:jIh+vsM00
純「あー。手、繋いでると何か安心するよ」
梓「確かにね」
純「明日で、唯先輩たちともお別れかぁ」
梓「しんみりとする話題、ふってこないでよ」
純「でもさ、むなしくない?」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:13:18.15 ID:jIh+vsM00
梓「うん、むなしいって言うか、寂しいかな?」
純「あーあ、これといったこと何も出来なかったなー」
梓「そうかな? 楽しんでくれたと思うよ」
純「そうかな?」
梓「そうだよ。それにさ」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:14:04.66 ID:jIh+vsM00
純「何?」
梓「唯先輩達にとって、私達と再開できたことが何よりも嬉しいんだと思うよ」
純「……うん」
純「そうかもね」
梓はつい、と空を見上げる。
溢れんばかりの星空。
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:14:59.76 ID:jIh+vsM00
梓「夏っぽい夜空だね」
純「あ、本当だ」
梓「あ、あれ火星じゃない?」
純「あの赤いの?」
梓「うん」
純「ああ、火星だね」
梓「何か、イイね」
純「うん。何かね」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:16:35.18 ID:jIh+vsM00
梓「――ねえ、純」
純「何? 梓」
梓「来年も、また来ようね」
純「今度は、皆で」
梓「うん。皆で――」
空を見ながら二人は、ゆっくりと歩いていく。
より長く一緒にいられるよう、ゆっくりと歩いていく。
梓の手の暖かさに、純はひたっていたかった。
終わり
純『高校生最後の夏なんだからさ、存分に遊ばないと!』
梓「……まあ、そうかもしれないけど」
純『勉強ばっかに根詰めてたら、頭がパンクしちゃうよ。ね?』
梓「……たまにはいいかも、ね」
純『でしょ? じゃあ決まり! 神社で待ってるねー』
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:34:52.40 ID:jIh+vsM00
梓「ああ、神社のお祭りね」
純『うん』
梓「わかった。行くから待っててね」
純『了解!』
プッ
梓「じゃあ、着替えようかな……ジャージ姿で行くのもアレだしね」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:35:36.54 ID:jIh+vsM00
三十分後
神社 境内
梓「お待たせ」
純「やほー、梓。来ないかと思ったよ」
梓「まさか。一度した約束は、守るたちなのよ。私」
純「えへ、よかったー」
梓「あれ、純一人だけ?」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:36:07.25 ID:jIh+vsM00
純「うん。そだよ」
梓「憂は?」
純「唯先輩と一緒にいちゃいちゃしてるって」
梓「ああ、明日で唯先輩、帰っちゃうからね」
純「うん」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:37:07.07 ID:jIh+vsM00
梓「もう、来年までは会えないのかな……唯先輩達と」
純「今生の別れじゃあるまいし。大学寮に帰るだけでしょ」
梓「ま、そうなんだけどね」
純「じゃあ、行こうよ。お祭り」
梓「何か、純と二人だけっての初めてな気がする」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:38:06.32 ID:jIh+vsM00
純「そうだっけ?」
梓「うん。あまり覚えない」
純「言われて見るとそうかも」
梓「でしょ?」
純「いっつも憂がいたからね」
梓「うん」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:39:03.29 ID:jIh+vsM00
純「ま、いいじゃんいいじゃん。二人っきりってのもテンション上がらない?」
梓「上がるね」
純「夏祭りってさ、すごく興奮するんだよね」
梓「わかる気がする」
純「周りの喧騒っての? そういうのに囲まれてるとさ、テンションだだ上がりでさ」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:40:00.63 ID:jIh+vsM00
梓「うんうん」
純「やる気みたいのがみなぎってくるの!」
梓「あるある!」
純「あ、早く行かないと!」
梓「うん。行こっか!」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:41:04.11 ID:jIh+vsM00
夏祭り会場
純「うわー、人で一杯」
梓「人に酔いそうだね」
梓「なんか、お金とか落としそう」
梓「純、気をつけてね」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:41:50.71 ID:jIh+vsM00
純「うん、大丈夫だって。あ、金魚すくいしない?」
梓「うん。いいね」
純「おッちゃん、網ちょうだい!」
屋台の主人「あいよ」
純「よーし、五匹とるぞ!」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:42:24.29 ID:jIh+vsM00
数秒後
純「……網破れた」
梓「純、金魚すくいへタだねえ」
純「ち、違うよ! 今回は手元が狂ったんだよ!」
純「次こそは!」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:43:05.25 ID:jIh+vsM00
数秒後
純「また破けた……」
梓「はは。私にやらせて。もっとうまく出来るよ」
純「な、じゃあやってみてよ!」
梓「いいよ、驚かないでね?」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:43:59.12 ID:jIh+vsM00
数秒後
梓「こういうのが出来ても、将来生きていけないわけで」
純「ほーら、やっぱり出来なかったじゃん」
梓「いや、私は別に? こういうところで才能が開花しても嬉しくないし?」
純「負け惜しみにしか聞こえないよ」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:44:50.33 ID:jIh+vsM00
梓「いや、そういうんじゃなくてね。実際問題……」
純「わかったから、次行くよ」
梓「次何するの?」
純「射的でもしよっか」
梓「あ、射的は得意なんだ!」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:45:26.57 ID:jIh+vsM00
射的終了後
梓「へへーん。どうよ! キャラメル二個!」
梓「あれ? 純は何もないの?」
純「くぅ! 何も言い返せない!」
梓「へへー、射的は得意なんだ」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:46:17.16 ID:jIh+vsM00
純「おかしい、銃身が曲がってたのよ、あれ」
梓「負けを認めなさい、純」
純「悔しい! マジで!」
純「じゃ、じゃあさ、型抜きしようよ! あれなら負けないよ!」
梓「いいけど、泣かないことね!」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:47:02.04 ID:jIh+vsM00
型抜き終了後
純「嘘だ……あと一センチくらいだったのに……なんであそこで割れる?」
梓「経験の差ね」
純「くー! 悔しい!」
梓「まあまあ、負けて悔しいのはわかるから」
純「うー! うー!」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:47:49.73 ID:jIh+vsM00
梓「あ、りんごアメ食べない?」
純「……いいけど」
梓「じゃ、買おうよ」
純「うん」
純「りんごアメ、二つください」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:48:29.46 ID:jIh+vsM00
屋台のおっさん「600円ね」
純(一個300円? 高すぎない?)
純「はい、600円」
屋台のおっさん「毎度」
純「はい、どうぞ」
梓「ありがと、純」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:49:15.34 ID:jIh+vsM00
純「うーん、甘すぎる」
梓「それがいいんじゃない」
純「私辛党なんだよね」
梓「え? いらないならちょーだい!」
純「やだよ! 私のだもん!」
梓「えー! けちー」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:49:59.75 ID:jIh+vsM00
純「それはそうと、次何する?」
梓「くじ引きとか?」
純「あれってはずれしかはいってないんだよ。一回もあたったことないもん」
梓「うーん、じゃあ食べまくる?」
純「いいね! そうしよっか」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:50:56.91 ID:jIh+vsM00
梓「まずは焼きとうもろこしね」
純「その後は焼き鳥、綿アメ!」
梓「焼きそば、チョコバナナ!」
純「いいねえ、じゃあ、早速買いに行こうよ!」
梓「うん!」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:51:51.19 ID:jIh+vsM00
数分後
純「全部買ったけど……どこで食べよっか」
梓「あ、あそこの石段のところでいいんじゃない?」
純「あ、そうだね。そこにしよっか」
梓「じゃあ、早く行こう。溶けちゃうよ、チョコ」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:53:04.30 ID:jIh+vsM00
石段
梓「食べきれるかな?」
純「大丈夫だよ! 明日から頭にカロリー使うんだから。今のうちに蓄えないと!」
梓「そうだね。では」
純梓「いただきまーす!」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:54:01.64 ID:jIh+vsM00
純「うーん、やっぱり綿アメおいしい!」
梓「辛党じゃなかったの?」
純「綿アメは別格だよ」
梓「ふーん、あ、焼きとうもろこし美味しい」
純「去年唯先輩さ、リスみたいにそれ、食べてなかった?」
梓「ああ、げっ歯類みたいにね」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:55:11.94 ID:jIh+vsM00
純「あれは笑ったな~」
梓「あれ、憂直伝の食べ方らしいよ」
純「へー、平沢家ではあーやって焼きとうもろこし食べるんだ」
梓「うん。憂がやってる姿想像したらおっかしくてさー」
純「あー、確かに」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:56:03.30 ID:jIh+vsM00
梓「実際、あーやって食べる方が難しいよね」
純「だね」
純「チョコバナナは……普通だなぁ」
梓「あ、焼き鳥はうまい! いいね、このタレ」
純「あ、本当だ。すごい美味!」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:57:00.43 ID:jIh+vsM00
梓「憂も誘えばよかったねー」
純「本当だね」
梓「憂と一緒に食べたら、あの食べ方見れたかな?」
純「あー、みれたかもね。つくづく惜しいことをした!」
梓「来年は誘おうね!」
純「うん。来年は――」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:58:04.13 ID:jIh+vsM00
純(来年、か)
純(私たち、大学生になってるんだ)
純(想像できないなぁ)
純(来年、また来れるかな?)
梓「――どうしたの? 純」
純「ううん。なんでもない」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 20:59:01.52 ID:jIh+vsM00
梓「あ! 花火!」
純「え? どこどこ?」
梓「向こう向こう! ほら!」
純「あ、本当だ!」
梓「行ってみようよ、あっち!」
純「え、ちょっとまっt――
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:00:01.34 ID:jIh+vsM00
純が制止するより早く、梓は純の手を引いて走り出していた。
梓「早く早く!」
純「わかったから! 手を離して!」
梓「あ、ごめんごめん」
純「もー、せっかちだなぁ」
梓「えへへ」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:00:47.48 ID:jIh+vsM00
純「歩いていこうよ。なくなるわけでもないし、ここからでも見えるし」
梓「そうしよっか」
純「あー、でもいきなり引っ張られるんで驚いたよ」
梓「どっか怪我した?」
純「ううん。大丈夫」
梓「よかった」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:01:32.51 ID:jIh+vsM00
けたましい音を立てて、花火が燃え盛る。
赤、青、緑。様々な色の花が、夜空を彩る。
梓「綺麗だね」
純「うん、とても」
自然に感想がもれる。
梓「でも、花火って何か寂しくならない?」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:02:24.61 ID:jIh+vsM00
純「え?」
梓「すぐに終わっちゃうところとかさ、何か寂しいな」
純「あー、わかるかもしれない」
梓「ま、だから綺麗なんだけどね。一瞬で終わっちゃうから」
純「――だよね」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:03:14.21 ID:jIh+vsM00
梓「夏、終わっちゃうね」
純「そんな感じがするね」
梓「あーあ、本格的に受験勉強やらないとなー」
純「悪夢のような日々だね」
梓「まったく」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:04:00.69 ID:jIh+vsM00
純「ま、それで大学は入れるんなら、お安いものなのかな?」
梓「落ちたら悲惨だね」
純「浪人は嫌だなー」
梓「なのにお祭りなんか行ってるんだからね」
純「ま、今日くらいは休んでもいいんじゃない?」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:05:02.44 ID:jIh+vsM00
純「明日から本気出すし」
梓「明日もそれ言わないでよ」
純「どんどん上乗せしてくんだ」
梓「いまに破産するよ」
純「そうかな?」
梓「多分ね」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:05:58.75 ID:jIh+vsM00
純「でもさー、不安になってくるなー。受かるかどうか」
梓「いくら勉強しても、そればかりはね」
純「もー、大学も義務教育にして欲しいな」
梓「だったら楽だよね」
純「でしょ? 将来偉くなって、大学も義務教育にするんだ!」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:06:52.83 ID:jIh+vsM00
梓「応援してるよ」
純「私が偉くなって……そのときは、梓を秘書にしてあげるね」
梓「夢のような話だね」
純「まあね、確かに」
でもさ、と純は語を継ぐ。
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:07:46.07 ID:jIh+vsM00
純「子供のうちしか、夢は見られないんだよ」
純「今のうちに夢見といた方が得じゃない?」
梓「あと二年しか、夢を見られないのかー」
純「大人になったら、今度は夢を叶えるんだ」
梓「なるほどー」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:08:42.29 ID:jIh+vsM00
純「あ、花火もクライマックスに近づいてきたね」
梓「本当だ。どんどん大きくなってるからね」
純「あーあ、もう終わっちゃうよ。私の安息」
梓「まあね。でもさ、受験終わったら毎日がパラダイスじゃない?」
純「まだ半年もあるよ……」
梓「あ、本当だ」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:09:13.21 ID:jIh+vsM00
数十分後
梓「花火、終わったねー」
純「うん。帰ろうか」
梓「うん。帰ろう」
二人は神社を出た。
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:10:00.92 ID:jIh+vsM00
純「お祭りの騒がしさがさ、まだ耳に残ってるよ」
梓「うん。いきなり静かになったから、耳がきーんってなる」
純「耳鳴りみたいだね」
梓「そうだね」
純「明日には直ってるだろうけどさ」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:10:55.41 ID:jIh+vsM00
静寂に包まれた夜の道は、なんだかとても気味が悪い。
純「なんか、怖くなってきちゃった」
梓「不気味だよね」
純「ねえ、手繋がない?」
梓「うん。繋ごっか」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:11:57.67 ID:jIh+vsM00
純「あー。手、繋いでると何か安心するよ」
梓「確かにね」
純「明日で、唯先輩たちともお別れかぁ」
梓「しんみりとする話題、ふってこないでよ」
純「でもさ、むなしくない?」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:13:18.15 ID:jIh+vsM00
梓「うん、むなしいって言うか、寂しいかな?」
純「あーあ、これといったこと何も出来なかったなー」
梓「そうかな? 楽しんでくれたと思うよ」
純「そうかな?」
梓「そうだよ。それにさ」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:14:04.66 ID:jIh+vsM00
純「何?」
梓「唯先輩達にとって、私達と再開できたことが何よりも嬉しいんだと思うよ」
純「……うん」
純「そうかもね」
梓はつい、と空を見上げる。
溢れんばかりの星空。
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:14:59.76 ID:jIh+vsM00
梓「夏っぽい夜空だね」
純「あ、本当だ」
梓「あ、あれ火星じゃない?」
純「あの赤いの?」
梓「うん」
純「ああ、火星だね」
梓「何か、イイね」
純「うん。何かね」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 21:16:35.18 ID:jIh+vsM00
梓「――ねえ、純」
純「何? 梓」
梓「来年も、また来ようね」
純「今度は、皆で」
梓「うん。皆で――」
空を見ながら二人は、ゆっくりと歩いていく。
より長く一緒にいられるよう、ゆっくりと歩いていく。
梓の手の暖かさに、純はひたっていたかった。
終わり
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