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憂「学園祭」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:52:09.35 ID:VOPfvVQp0 [1/68]
憂達が高校三年生になって、早数ヶ月――――……
昼休み 教室
憂「梓ちゃんって、今年はライブやるの? 学園祭で」
梓「まさか。軽音部もつぶれたしね」
憂「そっか、そうだよね……」
梓「学園祭まで、あと二週間くらいかな?」
憂達が高校三年生になって、早数ヶ月――――……
昼休み 教室
憂「梓ちゃんって、今年はライブやるの? 学園祭で」
梓「まさか。軽音部もつぶれたしね」
憂「そっか、そうだよね……」
梓「学園祭まで、あと二週間くらいかな?」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:53:15.50 ID:VOPfvVQp0 [2/68]
憂「うん」
純「何の話?」
憂「梓ちゃんが、学園祭でライブやるかって話だよ」
純「へ? 梓やるの?」
梓「やらないよ。受験勉強で忙しいしね」
純「なーんだ。やらないのか」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:53:54.11 ID:VOPfvVQp0
梓「純だって、受験あるんだから。頑張んなさいよ」
純「わかってるけどさー」
梓「わかってるなら、やった方がいいわよ。あとで浪人しても遅いんだし」
純「うーん、それはそうなんだけどさ」
純「文化祭も最後なわけじゃん?」
純「もっとはっちゃけたいって言うか」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:54:35.17 ID:VOPfvVQp0
憂「私も、かな。思い出くらい作っておきたいし……」
純「あ、そうだ! 私達三人でバンドやらない?」
梓「え?」
純「私はベース、梓はギター、憂は……何やりたい?」
憂「うーん、ギターなら出来るけど……」
梓「ギター二人いてもねぇ」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:55:17.78 ID:VOPfvVQp0
憂「あ、キーボードなら!」
純「じゃあ、憂はキーボード! 完璧じゃん!」
梓「ま、待ってよ! マジでやる気?」
純「もちろん!」
梓「で、でも勉強が……」
純「ねえ、梓。友達と勉強、どっちが大事?」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:55:59.34 ID:VOPfvVQp0
梓「……その質問は卑怯だよ」
純「勉強なんて、いつでも出来るでしょ? でも文化祭は今しかないわけで」
梓「まあ、そうだけど」
純「ね? だからやろうよ、バンド! 私たち三人でさ!」
梓「でも、今からじゃ体育館の使用届けとか……」
純「飛び入り参加OKじゃん!」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:56:46.65 ID:VOPfvVQp0
憂「今からでも学園祭でライブ出来るってこと?」
純「そういうこと!」
梓「でも、練習してないし……」
純「大丈夫! ある程度は指が覚えてるでしょ!」
梓「そ、そうだけど……」
純「けど?」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:57:26.07 ID:VOPfvVQp0
梓「……わかったわよ! やるわよ! バンド!」
純「始めっからそういえばいいのにー」
梓「で? 何の曲弾くの?」
純「うわぁ、早速やる気」
梓「やるんだったら、早めに取り組んだ方がいいでしょ」
純「まあね」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:57:58.53 ID:VOPfvVQp0
梓「で。何の曲やるのよ」
純「うーん、あ! 『U&I』は?」
梓「唯先輩が作った?」
純「うん。そう!」
梓「まあ、いいかもね」
純「あれ? 歌詞ある?」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:58:33.86 ID:VOPfvVQp0
梓「歌詞は……憂、ある?」
憂「うん。お姉ちゃんからもらったんだ、歌詞のコピー」
梓「よかった~」
純「これで、演奏する曲は決まったね」
梓「他に決めることは?」
純(梓、意外とノリノリ?)
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:59:12.16 ID:VOPfvVQp0
憂「あとは……生徒会に参加届け出すくらいかな?」
梓「じゃあ、私が出してくるよ!」
憂「えーと、職員室行ったら参加届けの紙がもらえるから、それにメンバー名とか記入して……」
梓「行ってくる!」
梓は教室から出て行った。
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:59:47.49 ID:VOPfvVQp0
純「お昼休み終わるまでに帰ってくるかなぁ?」
憂「さあ、どうだろ」
純「意外とやる気出てるよね、梓」
憂「ライブ、やりたかったんだね」
純「うん。軽音部もなくなって、暇そうにしてたからね」
憂「今回のライブ成功させてさ、梓ちゃんを喜ばせようよ!」
純「――うん。頑張ろうね」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:00:40.74 ID:VOPfvVQp0
梓「ただいま~」
純憂「はやっ」
梓「なんかすんなりOKされたよ」
憂「へえー」
梓「三年生は優先的に参加できるみたい」
純「ああー、だからか」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:01:30.18 ID:VOPfvVQp0
梓「うん。あ、あとバンド名なんだけど。勝手に決めたから」
純「なににしたの?」
梓「昼時ランチタイム」
純憂「………………」
梓「え? なんか変?」
純「いや、変じゃないけど……ナンセンス?」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:02:22.62 ID:VOPfvVQp0
梓「で、でも、ぴゅあ☆ぴゅあ、とか、ハニースィートティータイム、とかよりは良くない?」
憂「ま、まあ……」
梓「ば、バンド名くらいいいじゃん! 名前なんて飾りで、演奏が大事なんだよ! ね?」
純「まあ、そうだけどね」
梓「でしょ? 演奏頑張ろうよ!」
純「うん、まあ、そうだね! 頑張ろうか!」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:02:59.59 ID:VOPfvVQp0
憂「だね!」
梓「あれ? 私達どこで練習するの?」
純「音楽室は?」
梓「うーん、あそこは器楽部にのっとられたんだよねー」
純「ジャズ研部室、使う?」
梓「え、いいの?」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:03:46.79 ID:VOPfvVQp0
純「うん。多分使わせてもらえると思うよ」
梓「今日の放課後から?」
純「うん。あ、でも楽器持ってきてないじゃん」
梓「あー、そうだった。じゃあ、明日からかな。練習」
純「うん。そうしよっか」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:04:18.34 ID:VOPfvVQp0
****************************************
翌日
放課後 ジャズ研部室
純「と、いうわけでここ使わせてもらうぞ」
二年「あ、どうぞ……」
純「あ、気にしないで練習続けてて。ほら、梓、端っこの方使うぞ」
梓「あ、うん」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:05:29.91 ID:VOPfvVQp0
憂(なんか純ちゃんが格好よくみえるよう!)
純「じゃ、はじめよう」
梓「うん」
純「えーと、あ、忘れてた」
梓「何を?」
純「ボーカル」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:06:04.11 ID:VOPfvVQp0
梓「あ! 誰やるの?」
純「梓やってみる?」
梓「わ、私声には自信がないな」
純「私も。……憂、やってみない?」
憂「え? 私?」
梓「うん、いいね。憂ならきっとうまく歌えるよ」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:06:35.76 ID:VOPfvVQp0
憂「うーん、じゃあ……やってみようかな」
梓「ありがとう! よし、これでボーカルも決まったし、完璧じゃん?」
純「あとは練習するだけだね」
梓「うん。練習頑張ろう! おー!」
純憂「おー!」
二年一同(うるさいなぁ……)
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:07:23.07 ID:VOPfvVQp0
数時間後
梓「今日はここまでにしようか?」
純「うん。そうだね」
憂「ジャズ研の子達、皆帰っちゃったしね」
純「本当だ。あー、鍵取りに行かないと」
梓「え? 何で?」
純「最後に部室を出た人が鍵を閉めることになってるんだよね、ここ」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:07:57.27 ID:VOPfvVQp0
梓「ふーん」
純「じゃ、私取りに行ってくるから」
梓「んー」
純はジャズ研部室から出て行った。
梓「いやー、ギター弾くの久々だけど、思いのほかうまく出来たよ」
憂「私のキーボード、どうだった?」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:09:50.32 ID:VOPfvVQp0
梓「かなりうまいよ。ぶっつけ本番でもいけるんじゃない?」
憂「えへへ」
梓「あーあ、あと一人入ってくれれば、軽音部も廃部にならなくてすんだのにな」
憂「うん……私と純ちゃんが入っても、あと一人足りなかったもんね」
梓「うん。残念だったなぁ」
憂「…………」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:10:43.10 ID:VOPfvVQp0
梓「ま、でもさ。まだ軽音部があったら、こうやって三人でライブする機会なんてなかったわけだから」
憂「そうだね」
梓「こうやって、高校最後の文化祭で、親友とライブやるってのもいいと思うんだ」
憂「……だね」
純「お待たせ」
梓「あ、早いね」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:11:42.18 ID:VOPfvVQp0
純「そう? まあいいや。帰ろう」
憂「ちょっと外、暗いね」
梓「あれ? 鍵はどうするの?」
純「刺したままでいいって」
梓「無用心だね」
純「まあまあ」
ガチャリ
純「よし、帰ろっか」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:12:40.68 ID:VOPfvVQp0
****************************************
翌日からも、梓たちの練習は行われた。
そして、土曜日
梓「今日は学校もあいてないし……どこで練習しようか?」
憂「うーん。私もキーボードないしなぁ」
純「梓、家にキーボードあったりしない?」
梓「あるわけないでしょ」
純「だよね……」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:13:19.73 ID:VOPfvVQp0
憂「じゃあさ、今日は思い切って遊ばない?」
梓「あ、いいね。昨日まで必死に練習してたんだから、今日くらいはいいよね」
純「うん。遊ぼう!」
憂「どこ行こうか?」
梓「あ、この前出来た水族館は?」
純「いいね。そこにしようか」
****************************************
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:14:01.20 ID:VOPfvVQp0
水族館
純「こうやって、友達と水族館行くのって初めてだなぁ」
梓「うん。修学旅行とかでしか行かないからね。水族館って」
純「なんか、幻想的な雰囲気だね」
憂「だね」
梓「あ、亀……トンちゃんみたい」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:15:09.53 ID:VOPfvVQp0
憂「そういえば、トンちゃんってどうしたの?」
梓「紬先輩がひきとってくれてる」
純「あ、私向こうのエイがいるとこ行ってるね」
梓「迷子にならないでね」
純「まさか。子供じゃないんだから」
憂「じゃあ、私は熱帯魚のところ行くね」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:15:56.23 ID:VOPfvVQp0
梓「うん、いってらー」
憂は熱帯魚のスペースに、純はエイやマンタのスペースに向かった。
梓(一人になっちゃったな)
梓(たまにはいいかもね、一人で水族館歩くの)
水族館の中は薄暗く、水槽から放たれる光だけが眩しかった。
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:16:34.08 ID:VOPfvVQp0
梓(あ、クラゲ……)
藻のように漂うその姿に、梓は眼を奪われた。
梓(……可愛い)
梓(…………よく考えたら、クラゲをこうやって、まじまじ見るの初めてだなあ)
クラゲのいる水槽だけは、闇のように暗かった。
代わりに青白い光輝を、クラゲ自身が発していた。
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:17:24.16 ID:VOPfvVQp0
梓(何だかとても、神秘的……)
何分経っただろう。
純「あーずさっ!」
梓「うひゃうっ!」
梓「な、何だ純か。びっくりさせないでよ」
純「いや、何度呼んでも反応なかったんだ」
梓「え? 何度も呼んだ?」
梓「うん。とりつかれたように見入ってたよ」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:17:59.92 ID:VOPfvVQp0
梓「そ、そう……」
純「でもまあ、梓が目を引かれるのも無理はないかもね」
梓「でしょ? こんなに綺麗なんだよ」
純「うん。クラゲって思ったより綺麗だね」
梓「うん――」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:18:32.46 ID:VOPfvVQp0
純「何かの本で読んだんだけどさ。ベニクラゲって死なないらしいよ」
梓「へえ、そんなクラゲいるんだ」
純「うん。死ねないクラゲなんだって」
梓「死ねない、か」
純「可愛そうだよね。死にたくても死ねないなんて」
梓「かもね」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:19:03.90 ID:VOPfvVQp0
純「――ねえ、もし私が死んだらさ、泣いてくれる?」
梓「何? いきなり」
純「何となく、感傷的になったんだよ」
梓「そういうのは感傷的って言うの?」
純「私の中では言うよ。それで、梓は泣いてくれる? 私が死んだら」
梓「純が死んだってわかったら、私は泣くでしょうね。だから誰にも知られずに死んでね、そのときは」
純「そんな死に方あるの?」
梓「死なないでって言ってるんだよ」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:20:42.48 ID:VOPfvVQp0
純「……そっか」
梓「それにしても、クラゲって見ていても飽きないね」
純「だね」
梓「ねえ、純」
純「ん?」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:21:48.87 ID:VOPfvVQp0
梓「今回のライブ、成功させようね」
純「うん」
梓「怒涛の拍手もらえるようなさ、演奏しようよ」
純「うん」
梓「ずーっと記憶に残るようなさ、そんなライブにしようね」
純「うん」
梓「ライブ終わったらさ、最高だったねーって笑えるようにさ」
純「うん――絶対」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:22:27.48 ID:VOPfvVQp0
梓「私、嬉しくて泣くかもしれないけど、その時はよろしくね」
純「そのときは、梓の涙拭いてあげるよ」
梓「純も泣いてるんじゃない?」
純「かもね」
憂「あ、ここにいたんだ。梓ちゃんたち」
梓「憂。もう見終わったの?」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:23:17.95 ID:VOPfvVQp0
憂「うん。あ、クラゲ?」
梓「うん。クラゲ」
憂「綺麗だね、宝石みたいに輝いて」
梓「でしょ」
憂「ああ、何かロマンティック」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:24:06.90 ID:VOPfvVQp0
梓「わかる、現実味がなくなるよね」
憂「うん」
三人はクラゲの水槽を見やる。
一緒に仲良く並びながら。
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:24:55.04 ID:VOPfvVQp0
月曜日
梓「来週だよね、学園祭」
純「うん。もう時間もないし、頑張って練習しよう!」
憂「だね! 頑張るぞー!」
純憂梓「おー!」
ジャズ研部員(やかましいなぁ……)
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:25:41.01 ID:VOPfvVQp0
火曜日
純「昨日は全部出来なかったね」
梓「うん。だから今日は通してやってみようか」
憂「それがいいね」
純「よーっし、1、2、1、2、3、4!」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:26:13.98 ID:VOPfvVQp0
水曜日
梓「あー、日に日に胃が痛くなるなぁ」
憂「緊張しちゃうね、どうも」
純「不安だよね、いくら練習しても」
憂「うん。成功させたいね」
梓「だね。今日も練習頑張ろう!」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:27:10.65 ID:VOPfvVQp0
木曜日
憂「あとすこし!」
梓「ああー! どきどきする!」
純「もう、勉強なんか手につかないよー」
梓「うん。受験生なのにね」
純「ま、学園祭終わったら頑張ればいいよ! それまでは目下、ライブのことだけ考えよう!」
憂「うん!」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:27:59.42 ID:VOPfvVQp0
金曜日
梓「いよいよ来週だね」
憂「うん。私達がやれることはやったし、――成功するよ」
純「うん。絶対ね」
梓「じゃあ、今日は最後の確認程度に練習しよっか」
憂「だね。変に根詰めて、体調崩してもなんだしね」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:28:47.54 ID:VOPfvVQp0
そして――文化祭当日
舞台裏
純(どうしよう……かなり緊張してる)
純(心臓もバクバクしてるし、手もかなり汗かいてる)
純「憂、緊張するね」
憂「うん、かなり」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:29:27.92 ID:VOPfvVQp0
純「いやー、トチらないか心配だよ」
憂「だよね」
梓「な、なーに辛気く、臭い顔してるの」
純「梓は平気なの?」
梓「も、もちろガッ ……舌噛んだ」
純「やっぱ緊張してるのね」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:29:57.72 ID:VOPfvVQp0
梓「……うん。そりゃあね」
純「緊張しない方がおかしいよね」
梓「でも、純たちがいるから、すこし心強いかな」
純「え?」
梓「すこしだけどね。すこし」
純「……正直じゃないなあ。かなりって言えばいいのに」
梓「個人の感覚よ」
純「確かに」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:30:50.57 ID:VOPfvVQp0
アナウンス『それでは、昼時ランチタイムの……』
純「始まるね」
梓「いよいよだね」
憂「絶対、成功させようね」
純梓「――うん」
そして、舞台の幕が開いた。
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:31:46.78 ID:VOPfvVQp0
幾百の視線は、総てステージにいる三人に向けられていた。
期待と好奇の入り混じった視線を、三人は感じていた。
憂「あ、皆さん、こんにちわー!」
憂がMCを始める。
憂「えーと、私達は……」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:32:22.72 ID:VOPfvVQp0
憂のMCが、体育館にいる全員の耳に響く。
衆人環視に晒されながらも、憂の声は震えることなく轟く。
そして、憂のMCが終わると同時、体育館内の静寂が強まり――。
憂「それじゃあ聞いてください! 『U&I』!!」
――演奏が始まった。
その激しい旋律は、或いは聖歌の様でもあった。
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:33:55.60 ID:VOPfvVQp0
”君がいないと何も出来ないよ
君のご飯が食べたいよ
もし君が帰ってきたら
とびっきりの笑顔で
抱き着くよ”
客席が沸き立つ。
梓のギターが激しさを増す。
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:35:52.21 ID:VOPfvVQp0
”君がいないと謝れないよ
君の声が聞きたいよ
君の笑顔が見れれば
それだけでいいんだよ
君がそばにいるだけで
いつも勇気もらってた
いつまででも
一緒にいたい
この気持ちを伝えたいよ ”
歓喜と驚喜と声援が、客席から聞こえる。
スポットライトを浴びた三人の演奏は続く。
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:38:19.59 ID:VOPfvVQp0
”晴れの日にも雨の日も
きみはそばにいてくれた
目を閉じれば
君の笑顔
輝いてる
君がいないと何もわからないよ
砂糖と醤油はどこだっけ
もし君が帰ってきたら
びっくりさせようと思ったのにな”
天上の天歌のような歌声が、その滑らかな韻律が、体育館にいる人々の心を奪う。
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:40:12.33 ID:VOPfvVQp0
歌詞は続く。
客席にいるしべ手の人が圧倒され、感動に震える。
優雅なメロディが、人の魂を飲み込む。
高揚が伝わってくる。
興奮が伝わってくる。
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:41:24.32 ID:VOPfvVQp0
” 思いよ
届け ”
憂「ありがとう――っ!!!」
憂の科白が終わった瞬間
体育館を吹き飛ばすほどの拍手の豪雨が、三人に浴びせられた。
少しばかり眩しいスポットライトの中で、
憂達は静かな達成感をおぼえていた。
and more…
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:42:03.84 ID:VOPfvVQp0
エピローグ 祭りの後に
憂「学園祭、終わっちゃったね」
三人はジャズ研部室にいた。
三人以外誰もいないそこは、いやに静かだった。
純「うん。終わっちゃった……」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:42:42.25 ID:VOPfvVQp0
梓「……虚無感がひどいね」
純「心にぽっかり穴が開いたみたい」
梓「陳腐な表現だね」
純「でも、本当にそんな感じ」
純「好きなドラマが終わっちゃったときよりも寂しい感じ」
憂「……これで、最後だもんね」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:43:48.30 ID:VOPfvVQp0
梓「……うん」
純「泣いても笑っても、最後、か」
梓「……おかしいな、泣きそうだよ」
純「もう泣いてるじゃん。梓」
梓「そういう純こそ、泣いてるよ?」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:44:30.18 ID:VOPfvVQp0
純「え? 本当?」
純は目元をぬぐう。
純「本当だ……泣いてる」
憂「あはは、純ちゃん泣き虫だな~」
純「……憂もね」
三人全員の声は、震えていた。
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:45:05.91 ID:VOPfvVQp0
梓「――成功したよね? ライブ」
純「うん。した」
憂「大成功だよ」
梓「楽しかったよね? ライブ」
憂「うん」
純「楽しかったね」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:46:02.84 ID:VOPfvVQp0
梓「また……出来るかな?」
純「…………」
憂「…………」
純「……出来るよ、きっと」
梓「いつ?」
純「大学行ったらさ、また、皆で出来るよ」
梓「その時は――」
純「もちろん、唯先輩達と一緒にさ」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:46:55.38 ID:VOPfvVQp0
梓「……よかった」
純「ねえ。笑おうよ」
梓「え?」
純「だって、泣いてばっかじゃつまらないよ。笑おう」
梓「……うん」
憂「そうだね」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:47:46.59 ID:VOPfvVQp0
純「ほら、皆もっとスマイルスマイル!」
梓「こう、かな?」
純「そうそう、いい笑顔!」
梓「私、ちゃんと笑えてる?」
純「うん。あ、でも待ってね」
梓「え?」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:48:32.42 ID:VOPfvVQp0
梓がきょとんとしていると、純がハンカチを取出して、梓の目をこしこしと拭いた。
純「笑顔に涙は似合わないよ」
梓「そう、だね」
純「ほら、憂も笑って!」
憂「う、うん」
純「――うん。やっぱ皆、笑顔の方がいいよ!」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:49:17.00 ID:VOPfvVQp0
梓「笑顔浮かべてると、何だか自然に楽しくなってくるね」
純「うん。楽しくなってくるんじゃなくて、楽しいんだよ」
梓「だね」
純「ねえ、皆。打ち上げ行かない?」
梓「え?」
純「今日のライブの打ち上げ。ね?」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:50:01.13 ID:VOPfvVQp0
憂「いいね。カラオケにする?」
純「うん。食べて飲んで歌って、遊ぼうよ!!」
梓「そうしよっか」
純「決まりね! じゃあ、行こう!」
憂梓「うん!」
いつかまた、ライブを三人で出来るよう、今日という日を忘れないでおこう。
口には出さずとも、誰もがそう思っていた。
fin
憂「うん」
純「何の話?」
憂「梓ちゃんが、学園祭でライブやるかって話だよ」
純「へ? 梓やるの?」
梓「やらないよ。受験勉強で忙しいしね」
純「なーんだ。やらないのか」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:53:54.11 ID:VOPfvVQp0
梓「純だって、受験あるんだから。頑張んなさいよ」
純「わかってるけどさー」
梓「わかってるなら、やった方がいいわよ。あとで浪人しても遅いんだし」
純「うーん、それはそうなんだけどさ」
純「文化祭も最後なわけじゃん?」
純「もっとはっちゃけたいって言うか」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:54:35.17 ID:VOPfvVQp0
憂「私も、かな。思い出くらい作っておきたいし……」
純「あ、そうだ! 私達三人でバンドやらない?」
梓「え?」
純「私はベース、梓はギター、憂は……何やりたい?」
憂「うーん、ギターなら出来るけど……」
梓「ギター二人いてもねぇ」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:55:17.78 ID:VOPfvVQp0
憂「あ、キーボードなら!」
純「じゃあ、憂はキーボード! 完璧じゃん!」
梓「ま、待ってよ! マジでやる気?」
純「もちろん!」
梓「で、でも勉強が……」
純「ねえ、梓。友達と勉強、どっちが大事?」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:55:59.34 ID:VOPfvVQp0
梓「……その質問は卑怯だよ」
純「勉強なんて、いつでも出来るでしょ? でも文化祭は今しかないわけで」
梓「まあ、そうだけど」
純「ね? だからやろうよ、バンド! 私たち三人でさ!」
梓「でも、今からじゃ体育館の使用届けとか……」
純「飛び入り参加OKじゃん!」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:56:46.65 ID:VOPfvVQp0
憂「今からでも学園祭でライブ出来るってこと?」
純「そういうこと!」
梓「でも、練習してないし……」
純「大丈夫! ある程度は指が覚えてるでしょ!」
梓「そ、そうだけど……」
純「けど?」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:57:26.07 ID:VOPfvVQp0
梓「……わかったわよ! やるわよ! バンド!」
純「始めっからそういえばいいのにー」
梓「で? 何の曲弾くの?」
純「うわぁ、早速やる気」
梓「やるんだったら、早めに取り組んだ方がいいでしょ」
純「まあね」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:57:58.53 ID:VOPfvVQp0
梓「で。何の曲やるのよ」
純「うーん、あ! 『U&I』は?」
梓「唯先輩が作った?」
純「うん。そう!」
梓「まあ、いいかもね」
純「あれ? 歌詞ある?」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:58:33.86 ID:VOPfvVQp0
梓「歌詞は……憂、ある?」
憂「うん。お姉ちゃんからもらったんだ、歌詞のコピー」
梓「よかった~」
純「これで、演奏する曲は決まったね」
梓「他に決めることは?」
純(梓、意外とノリノリ?)
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:59:12.16 ID:VOPfvVQp0
憂「あとは……生徒会に参加届け出すくらいかな?」
梓「じゃあ、私が出してくるよ!」
憂「えーと、職員室行ったら参加届けの紙がもらえるから、それにメンバー名とか記入して……」
梓「行ってくる!」
梓は教室から出て行った。
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 21:59:47.49 ID:VOPfvVQp0
純「お昼休み終わるまでに帰ってくるかなぁ?」
憂「さあ、どうだろ」
純「意外とやる気出てるよね、梓」
憂「ライブ、やりたかったんだね」
純「うん。軽音部もなくなって、暇そうにしてたからね」
憂「今回のライブ成功させてさ、梓ちゃんを喜ばせようよ!」
純「――うん。頑張ろうね」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:00:40.74 ID:VOPfvVQp0
梓「ただいま~」
純憂「はやっ」
梓「なんかすんなりOKされたよ」
憂「へえー」
梓「三年生は優先的に参加できるみたい」
純「ああー、だからか」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:01:30.18 ID:VOPfvVQp0
梓「うん。あ、あとバンド名なんだけど。勝手に決めたから」
純「なににしたの?」
梓「昼時ランチタイム」
純憂「………………」
梓「え? なんか変?」
純「いや、変じゃないけど……ナンセンス?」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:02:22.62 ID:VOPfvVQp0
梓「で、でも、ぴゅあ☆ぴゅあ、とか、ハニースィートティータイム、とかよりは良くない?」
憂「ま、まあ……」
梓「ば、バンド名くらいいいじゃん! 名前なんて飾りで、演奏が大事なんだよ! ね?」
純「まあ、そうだけどね」
梓「でしょ? 演奏頑張ろうよ!」
純「うん、まあ、そうだね! 頑張ろうか!」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:02:59.59 ID:VOPfvVQp0
憂「だね!」
梓「あれ? 私達どこで練習するの?」
純「音楽室は?」
梓「うーん、あそこは器楽部にのっとられたんだよねー」
純「ジャズ研部室、使う?」
梓「え、いいの?」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:03:46.79 ID:VOPfvVQp0
純「うん。多分使わせてもらえると思うよ」
梓「今日の放課後から?」
純「うん。あ、でも楽器持ってきてないじゃん」
梓「あー、そうだった。じゃあ、明日からかな。練習」
純「うん。そうしよっか」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:04:18.34 ID:VOPfvVQp0
****************************************
翌日
放課後 ジャズ研部室
純「と、いうわけでここ使わせてもらうぞ」
二年「あ、どうぞ……」
純「あ、気にしないで練習続けてて。ほら、梓、端っこの方使うぞ」
梓「あ、うん」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:05:29.91 ID:VOPfvVQp0
憂(なんか純ちゃんが格好よくみえるよう!)
純「じゃ、はじめよう」
梓「うん」
純「えーと、あ、忘れてた」
梓「何を?」
純「ボーカル」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:06:04.11 ID:VOPfvVQp0
梓「あ! 誰やるの?」
純「梓やってみる?」
梓「わ、私声には自信がないな」
純「私も。……憂、やってみない?」
憂「え? 私?」
梓「うん、いいね。憂ならきっとうまく歌えるよ」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:06:35.76 ID:VOPfvVQp0
憂「うーん、じゃあ……やってみようかな」
梓「ありがとう! よし、これでボーカルも決まったし、完璧じゃん?」
純「あとは練習するだけだね」
梓「うん。練習頑張ろう! おー!」
純憂「おー!」
二年一同(うるさいなぁ……)
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:07:23.07 ID:VOPfvVQp0
数時間後
梓「今日はここまでにしようか?」
純「うん。そうだね」
憂「ジャズ研の子達、皆帰っちゃったしね」
純「本当だ。あー、鍵取りに行かないと」
梓「え? 何で?」
純「最後に部室を出た人が鍵を閉めることになってるんだよね、ここ」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:07:57.27 ID:VOPfvVQp0
梓「ふーん」
純「じゃ、私取りに行ってくるから」
梓「んー」
純はジャズ研部室から出て行った。
梓「いやー、ギター弾くの久々だけど、思いのほかうまく出来たよ」
憂「私のキーボード、どうだった?」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:09:50.32 ID:VOPfvVQp0
梓「かなりうまいよ。ぶっつけ本番でもいけるんじゃない?」
憂「えへへ」
梓「あーあ、あと一人入ってくれれば、軽音部も廃部にならなくてすんだのにな」
憂「うん……私と純ちゃんが入っても、あと一人足りなかったもんね」
梓「うん。残念だったなぁ」
憂「…………」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:10:43.10 ID:VOPfvVQp0
梓「ま、でもさ。まだ軽音部があったら、こうやって三人でライブする機会なんてなかったわけだから」
憂「そうだね」
梓「こうやって、高校最後の文化祭で、親友とライブやるってのもいいと思うんだ」
憂「……だね」
純「お待たせ」
梓「あ、早いね」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:11:42.18 ID:VOPfvVQp0
純「そう? まあいいや。帰ろう」
憂「ちょっと外、暗いね」
梓「あれ? 鍵はどうするの?」
純「刺したままでいいって」
梓「無用心だね」
純「まあまあ」
ガチャリ
純「よし、帰ろっか」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:12:40.68 ID:VOPfvVQp0
****************************************
翌日からも、梓たちの練習は行われた。
そして、土曜日
梓「今日は学校もあいてないし……どこで練習しようか?」
憂「うーん。私もキーボードないしなぁ」
純「梓、家にキーボードあったりしない?」
梓「あるわけないでしょ」
純「だよね……」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:13:19.73 ID:VOPfvVQp0
憂「じゃあさ、今日は思い切って遊ばない?」
梓「あ、いいね。昨日まで必死に練習してたんだから、今日くらいはいいよね」
純「うん。遊ぼう!」
憂「どこ行こうか?」
梓「あ、この前出来た水族館は?」
純「いいね。そこにしようか」
****************************************
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:14:01.20 ID:VOPfvVQp0
水族館
純「こうやって、友達と水族館行くのって初めてだなぁ」
梓「うん。修学旅行とかでしか行かないからね。水族館って」
純「なんか、幻想的な雰囲気だね」
憂「だね」
梓「あ、亀……トンちゃんみたい」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:15:09.53 ID:VOPfvVQp0
憂「そういえば、トンちゃんってどうしたの?」
梓「紬先輩がひきとってくれてる」
純「あ、私向こうのエイがいるとこ行ってるね」
梓「迷子にならないでね」
純「まさか。子供じゃないんだから」
憂「じゃあ、私は熱帯魚のところ行くね」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:15:56.23 ID:VOPfvVQp0
梓「うん、いってらー」
憂は熱帯魚のスペースに、純はエイやマンタのスペースに向かった。
梓(一人になっちゃったな)
梓(たまにはいいかもね、一人で水族館歩くの)
水族館の中は薄暗く、水槽から放たれる光だけが眩しかった。
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:16:34.08 ID:VOPfvVQp0
梓(あ、クラゲ……)
藻のように漂うその姿に、梓は眼を奪われた。
梓(……可愛い)
梓(…………よく考えたら、クラゲをこうやって、まじまじ見るの初めてだなあ)
クラゲのいる水槽だけは、闇のように暗かった。
代わりに青白い光輝を、クラゲ自身が発していた。
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:17:24.16 ID:VOPfvVQp0
梓(何だかとても、神秘的……)
何分経っただろう。
純「あーずさっ!」
梓「うひゃうっ!」
梓「な、何だ純か。びっくりさせないでよ」
純「いや、何度呼んでも反応なかったんだ」
梓「え? 何度も呼んだ?」
梓「うん。とりつかれたように見入ってたよ」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:17:59.92 ID:VOPfvVQp0
梓「そ、そう……」
純「でもまあ、梓が目を引かれるのも無理はないかもね」
梓「でしょ? こんなに綺麗なんだよ」
純「うん。クラゲって思ったより綺麗だね」
梓「うん――」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:18:32.46 ID:VOPfvVQp0
純「何かの本で読んだんだけどさ。ベニクラゲって死なないらしいよ」
梓「へえ、そんなクラゲいるんだ」
純「うん。死ねないクラゲなんだって」
梓「死ねない、か」
純「可愛そうだよね。死にたくても死ねないなんて」
梓「かもね」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:19:03.90 ID:VOPfvVQp0
純「――ねえ、もし私が死んだらさ、泣いてくれる?」
梓「何? いきなり」
純「何となく、感傷的になったんだよ」
梓「そういうのは感傷的って言うの?」
純「私の中では言うよ。それで、梓は泣いてくれる? 私が死んだら」
梓「純が死んだってわかったら、私は泣くでしょうね。だから誰にも知られずに死んでね、そのときは」
純「そんな死に方あるの?」
梓「死なないでって言ってるんだよ」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:20:42.48 ID:VOPfvVQp0
純「……そっか」
梓「それにしても、クラゲって見ていても飽きないね」
純「だね」
梓「ねえ、純」
純「ん?」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:21:48.87 ID:VOPfvVQp0
梓「今回のライブ、成功させようね」
純「うん」
梓「怒涛の拍手もらえるようなさ、演奏しようよ」
純「うん」
梓「ずーっと記憶に残るようなさ、そんなライブにしようね」
純「うん」
梓「ライブ終わったらさ、最高だったねーって笑えるようにさ」
純「うん――絶対」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:22:27.48 ID:VOPfvVQp0
梓「私、嬉しくて泣くかもしれないけど、その時はよろしくね」
純「そのときは、梓の涙拭いてあげるよ」
梓「純も泣いてるんじゃない?」
純「かもね」
憂「あ、ここにいたんだ。梓ちゃんたち」
梓「憂。もう見終わったの?」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:23:17.95 ID:VOPfvVQp0
憂「うん。あ、クラゲ?」
梓「うん。クラゲ」
憂「綺麗だね、宝石みたいに輝いて」
梓「でしょ」
憂「ああ、何かロマンティック」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:24:06.90 ID:VOPfvVQp0
梓「わかる、現実味がなくなるよね」
憂「うん」
三人はクラゲの水槽を見やる。
一緒に仲良く並びながら。
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:24:55.04 ID:VOPfvVQp0
月曜日
梓「来週だよね、学園祭」
純「うん。もう時間もないし、頑張って練習しよう!」
憂「だね! 頑張るぞー!」
純憂梓「おー!」
ジャズ研部員(やかましいなぁ……)
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:25:41.01 ID:VOPfvVQp0
火曜日
純「昨日は全部出来なかったね」
梓「うん。だから今日は通してやってみようか」
憂「それがいいね」
純「よーっし、1、2、1、2、3、4!」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:26:13.98 ID:VOPfvVQp0
水曜日
梓「あー、日に日に胃が痛くなるなぁ」
憂「緊張しちゃうね、どうも」
純「不安だよね、いくら練習しても」
憂「うん。成功させたいね」
梓「だね。今日も練習頑張ろう!」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:27:10.65 ID:VOPfvVQp0
木曜日
憂「あとすこし!」
梓「ああー! どきどきする!」
純「もう、勉強なんか手につかないよー」
梓「うん。受験生なのにね」
純「ま、学園祭終わったら頑張ればいいよ! それまでは目下、ライブのことだけ考えよう!」
憂「うん!」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:27:59.42 ID:VOPfvVQp0
金曜日
梓「いよいよ来週だね」
憂「うん。私達がやれることはやったし、――成功するよ」
純「うん。絶対ね」
梓「じゃあ、今日は最後の確認程度に練習しよっか」
憂「だね。変に根詰めて、体調崩してもなんだしね」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:28:47.54 ID:VOPfvVQp0
そして――文化祭当日
舞台裏
純(どうしよう……かなり緊張してる)
純(心臓もバクバクしてるし、手もかなり汗かいてる)
純「憂、緊張するね」
憂「うん、かなり」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:29:27.92 ID:VOPfvVQp0
純「いやー、トチらないか心配だよ」
憂「だよね」
梓「な、なーに辛気く、臭い顔してるの」
純「梓は平気なの?」
梓「も、もちろガッ ……舌噛んだ」
純「やっぱ緊張してるのね」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:29:57.72 ID:VOPfvVQp0
梓「……うん。そりゃあね」
純「緊張しない方がおかしいよね」
梓「でも、純たちがいるから、すこし心強いかな」
純「え?」
梓「すこしだけどね。すこし」
純「……正直じゃないなあ。かなりって言えばいいのに」
梓「個人の感覚よ」
純「確かに」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:30:50.57 ID:VOPfvVQp0
アナウンス『それでは、昼時ランチタイムの……』
純「始まるね」
梓「いよいよだね」
憂「絶対、成功させようね」
純梓「――うん」
そして、舞台の幕が開いた。
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:31:46.78 ID:VOPfvVQp0
幾百の視線は、総てステージにいる三人に向けられていた。
期待と好奇の入り混じった視線を、三人は感じていた。
憂「あ、皆さん、こんにちわー!」
憂がMCを始める。
憂「えーと、私達は……」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:32:22.72 ID:VOPfvVQp0
憂のMCが、体育館にいる全員の耳に響く。
衆人環視に晒されながらも、憂の声は震えることなく轟く。
そして、憂のMCが終わると同時、体育館内の静寂が強まり――。
憂「それじゃあ聞いてください! 『U&I』!!」
――演奏が始まった。
その激しい旋律は、或いは聖歌の様でもあった。
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:33:55.60 ID:VOPfvVQp0
”君がいないと何も出来ないよ
君のご飯が食べたいよ
もし君が帰ってきたら
とびっきりの笑顔で
抱き着くよ”
客席が沸き立つ。
梓のギターが激しさを増す。
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:35:52.21 ID:VOPfvVQp0
”君がいないと謝れないよ
君の声が聞きたいよ
君の笑顔が見れれば
それだけでいいんだよ
君がそばにいるだけで
いつも勇気もらってた
いつまででも
一緒にいたい
この気持ちを伝えたいよ ”
歓喜と驚喜と声援が、客席から聞こえる。
スポットライトを浴びた三人の演奏は続く。
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:38:19.59 ID:VOPfvVQp0
”晴れの日にも雨の日も
きみはそばにいてくれた
目を閉じれば
君の笑顔
輝いてる
君がいないと何もわからないよ
砂糖と醤油はどこだっけ
もし君が帰ってきたら
びっくりさせようと思ったのにな”
天上の天歌のような歌声が、その滑らかな韻律が、体育館にいる人々の心を奪う。
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:40:12.33 ID:VOPfvVQp0
歌詞は続く。
客席にいるしべ手の人が圧倒され、感動に震える。
優雅なメロディが、人の魂を飲み込む。
高揚が伝わってくる。
興奮が伝わってくる。
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:41:24.32 ID:VOPfvVQp0
” 思いよ
届け ”
憂「ありがとう――っ!!!」
憂の科白が終わった瞬間
体育館を吹き飛ばすほどの拍手の豪雨が、三人に浴びせられた。
少しばかり眩しいスポットライトの中で、
憂達は静かな達成感をおぼえていた。
and more…
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:42:03.84 ID:VOPfvVQp0
エピローグ 祭りの後に
憂「学園祭、終わっちゃったね」
三人はジャズ研部室にいた。
三人以外誰もいないそこは、いやに静かだった。
純「うん。終わっちゃった……」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:42:42.25 ID:VOPfvVQp0
梓「……虚無感がひどいね」
純「心にぽっかり穴が開いたみたい」
梓「陳腐な表現だね」
純「でも、本当にそんな感じ」
純「好きなドラマが終わっちゃったときよりも寂しい感じ」
憂「……これで、最後だもんね」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:43:48.30 ID:VOPfvVQp0
梓「……うん」
純「泣いても笑っても、最後、か」
梓「……おかしいな、泣きそうだよ」
純「もう泣いてるじゃん。梓」
梓「そういう純こそ、泣いてるよ?」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:44:30.18 ID:VOPfvVQp0
純「え? 本当?」
純は目元をぬぐう。
純「本当だ……泣いてる」
憂「あはは、純ちゃん泣き虫だな~」
純「……憂もね」
三人全員の声は、震えていた。
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:45:05.91 ID:VOPfvVQp0
梓「――成功したよね? ライブ」
純「うん。した」
憂「大成功だよ」
梓「楽しかったよね? ライブ」
憂「うん」
純「楽しかったね」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:46:02.84 ID:VOPfvVQp0
梓「また……出来るかな?」
純「…………」
憂「…………」
純「……出来るよ、きっと」
梓「いつ?」
純「大学行ったらさ、また、皆で出来るよ」
梓「その時は――」
純「もちろん、唯先輩達と一緒にさ」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:46:55.38 ID:VOPfvVQp0
梓「……よかった」
純「ねえ。笑おうよ」
梓「え?」
純「だって、泣いてばっかじゃつまらないよ。笑おう」
梓「……うん」
憂「そうだね」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:47:46.59 ID:VOPfvVQp0
純「ほら、皆もっとスマイルスマイル!」
梓「こう、かな?」
純「そうそう、いい笑顔!」
梓「私、ちゃんと笑えてる?」
純「うん。あ、でも待ってね」
梓「え?」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:48:32.42 ID:VOPfvVQp0
梓がきょとんとしていると、純がハンカチを取出して、梓の目をこしこしと拭いた。
純「笑顔に涙は似合わないよ」
梓「そう、だね」
純「ほら、憂も笑って!」
憂「う、うん」
純「――うん。やっぱ皆、笑顔の方がいいよ!」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:49:17.00 ID:VOPfvVQp0
梓「笑顔浮かべてると、何だか自然に楽しくなってくるね」
純「うん。楽しくなってくるんじゃなくて、楽しいんだよ」
梓「だね」
純「ねえ、皆。打ち上げ行かない?」
梓「え?」
純「今日のライブの打ち上げ。ね?」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/13(月) 22:50:01.13 ID:VOPfvVQp0
憂「いいね。カラオケにする?」
純「うん。食べて飲んで歌って、遊ぼうよ!!」
梓「そうしよっか」
純「決まりね! じゃあ、行こう!」
憂梓「うん!」
いつかまた、ライブを三人で出来るよう、今日という日を忘れないでおこう。
口には出さずとも、誰もがそう思っていた。
fin
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