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憂「成長したなぁって、感じるよ」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:10:19.57 ID:jIh+vsM00 [1/93]
夜
平沢家のインターホンを鳴らしたのは、純だった。
憂「あ、純ちゃん」
純「やっほー、憂。元気にしてた?」
憂「うん。あがってあがって~」
純「お邪魔しまーす」
夜
平沢家のインターホンを鳴らしたのは、純だった。
憂「あ、純ちゃん」
純「やっほー、憂。元気にしてた?」
憂「うん。あがってあがって~」
純「お邪魔しまーす」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:11:29.00 ID:jIh+vsM00 [2/93]
憂以外誰もいない平沢家は、どこか広く感じられた。
純「もう慣れた?」
憂「うん。三ヶ月も経ったしね」
唯が一人暮らしを始めて三ヶ月――憂達が高校三年生になってから、三ヶ月が経過した。
一人だけじゃ寂しいんじゃないか、と純は週に三日、こうして平沢家に来ることがあった。
純「はい、今日の差し入れ。ケンタッキーね」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:12:07.54 ID:jIh+vsM00
憂「レッドホットチキン?」
純「うん。好きでしょ? これ」
憂「大好きだよ」
純「よかった」
憂と純はリビングへ入る。
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:12:46.31 ID:jIh+vsM00
憂「待っててね、お茶持ってくるよ」
純「さんきゅ」
憂はぱたぱたと、台所へ向かった。
憂は慣れた手つきで紅茶を淹れ、数分後、純の前に紅茶が運ばれてきた。
純「憂の淹れたお茶は、香りが違うね」
憂「そうかな?」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:13:27.89 ID:jIh+vsM00
純「うん。コクがあるよ」
憂「えへへ」
純「あ、そういえば、もう夏休みだね」
憂「うん。あと四日後だね」
純「また、プール行こうよ」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:14:00.24 ID:jIh+vsM00
憂「いいね。梓ちゃんも誘ってかぁ」
純「うん、三人でプール!」
憂「梓ちゃん、また肌焼けるんだろうね」
純「うん。まっくろけっけになるだろうね」
憂「あ、夏になったらお姉ちゃん、帰って来るんだ」
純「へえ、いつ?」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:14:47.14 ID:jIh+vsM00
憂「うーん、まだ教えてもらってないけど……8月上旬って言ってたよ」
純「久しぶりに会うなー」
憂「うん。今から楽しみでさ、胸がどきどきしてるよ」
純「そっか」
憂「あ、そうそう。模試どうだった?」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:15:23.09 ID:jIh+vsM00
純「私は……まあ、いつもどおりかな。N女はB判だったよ」
憂「へー」
純「憂は?」
憂「私はA判だよ」
純「え、マジ? すごいじゃん!私も頑張らないとなぁ」
憂「今回は調子が良かっただけだよ、たまたま」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:16:03.34 ID:jIh+vsM00
純「それでもすごいよ、おめでとう」
憂「いや~、それほどでも」
純「ねえ、今のうちから夏休みの計画立てない?」
憂「あ、いいね。それ」
純「でしょ? まず一日目はさ……」
そして、夜が更けていく。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:16:56.52 ID:jIh+vsM00
翌日
純が目を覚ましたのは、平沢家のリビングだった。
純「あれ、なんで憂ん家に?」
純「ああ、そうだ……昨日この家に上がって、夏休みの計画立てて……」
純「そのまま寝ちゃったんだ……」
憂「ふわぁあ……? 純ちゃん?」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:17:27.19 ID:jIh+vsM00
純「あ、お早う。憂」
憂「今何時?」
純「えーと、今は……十……時半」
憂「え?」
純「あれ?」
憂「今日って平日だよね」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:18:00.61 ID:jIh+vsM00
純「うん」
憂「学校あるよね?」
純「うん」
憂「今十時半なんだよね?」
純「やばいね」
憂「遅刻したね」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:18:45.68 ID:jIh+vsM00
純「どうしよっか」
憂「うーん、いっそ休もうか?」
純「あ、たまにはいいかもね」
憂「でしょ?」
純「うーん、こうやって平日の昼からのんびりしてるのって、何だか新鮮」
憂「だよねー」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:19:18.20 ID:jIh+vsM00
と、そのとき。二人のお腹がぐうぅぅ、と鳴った。
純「お腹減ったね」
憂「うん。なんか食べに行こうか?」
純「うん。そうしよう」
二人は外に出た。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:19:53.11 ID:jIh+vsM00
街中!
純「どこ行こうか?」
憂「うーん、喫茶店でいいんじゃない?」
純「あの『喫茶・スワロウ』でいいかな?」
憂「うん。そこにしよう」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:20:27.84 ID:jIh+vsM00
スワロウ店内
純「私はチョコパフェがいいな。憂は?」
憂「うーんと、私はジャンボホットケーキで」
店員「かしこまりました」
純「いやー、昨日どこまで計画決めたんだっけ」
憂「十日目くらいまでだと思うよ」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:20:59.37 ID:jIh+vsM00
純「そっか、後はその日その日で行動しようよ」
憂「それもそうだね。いろいろ決めすぎちゃうと、かえって混乱しちゃうかもだし」
純「うん、でしょ」
憂「あーあ、夏休みが待ち遠しいよ」
純「私も。早く学校終わってくれないかな?」
憂「あと、あと二日学校に行けば、夏休みだからね」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:21:43.66 ID:jIh+vsM00
純「うん。でも、まだ二日もあるんだね」
憂「今日入れたら三日だけどね」
純「一年が経つのは早いのに、こういうのは遅く感じない?」
憂「うん。感じる。楽しいときなんて特にね」
純「あー、そうそう。逆にテストのときとかは、時間が遅く流れるんだよね」
憂「理不尽だよね」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:22:29.99 ID:jIh+vsM00
純「うん。たしかに理不尽だね」
店員「お待たせいたしました」
純と憂の前に、パフェとホットケーキが運ばれてきた。
純「あー、脳が糖分欲してるよ。いただきまーす」
純はパフェを食べる。
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:23:51.71 ID:jIh+vsM00
憂「うん、とても美味しそう……」
憂も口にする。
純「ねえ、一口頂戴? 私のもあげるからさ」
憂「いいの?」
純「うん。いいよ」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:24:58.32 ID:jIh+vsM00
憂「じゃあ、はい」
フォークに突き刺したホットケーキの一片を、純の口に近づけてくる。
憂「あーん、して?」
純「あ、あーん」
純の口に入れる。
ムグムグ 純「お、意外とイケる」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:25:33.49 ID:jIh+vsM00
憂「美味しいでしょ?」
純「うん。かなり」
憂「じゃあ、私にパフェ食べさせて」
純「うん。いいよ」
純はスプーンで、パフェをすくう。
純「はい、あーん」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:26:26.54 ID:jIh+vsM00
憂「あーん」
憂の口に入れ込む。
憂「冷たくて美味しい。夏にはぴったりだね」
純「でしょ」
憂「それにしても、今日はやけに暑いね」
純「夏って感じがするね」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:27:04.44 ID:jIh+vsM00
数分後
憂「あー、美味しかった」
純「だね」
憂「まだお昼前かー。暇だねー」
純「どこ行こう?」
憂「ぶらりと、外歩いてみる? 行きたい場所見つかるかもしれないし」
純「そうしよっか」
支払いを終えた二人は、真夏の太陽に照らされている外に出た。
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:27:57.58 ID:jIh+vsM00
街中
憂「うーん、暑いね」
純「もうすっかり夏って感じだね」
憂「まったくだよ」
と、その時、純の携帯がヴーヴーと振動した。
純「あ、メール」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:30:25.44 ID:jIh+vsM00
憂「誰から?」
純「梓から……何々、『二人ともサボり?』だって」
憂「そうだよって返信しとけば?」
純「写真も添付しようか? 私と憂の二人の写真とってさ」
憂「いいね、撮ろう!」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:31:09.33 ID:jIh+vsM00
****************************************
学校 休み時間
梓「あ、メール帰ってきた」
梓「純からだ。『そうだよ』って、やっぱ憂も一緒なんだ。いいなぁ」
梓「私も休めばよかった」
梓「はぁ……」
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32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:32:19.21 ID:jIh+vsM00
純「それにしても、本当に暇だねー」
憂「うん。学校行く方が、案外楽しいかもね」
純「かもね」
憂「あ、そうだ。純ちゃん。水着買わない?」
純「いいかも。駅前の店、結構品揃えいいからさ、そこにしない?」
憂「うん。そうしよっか」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:33:10.20 ID:jIh+vsM00
駅前、水着店
純「私たち、補導されたりしないかな?」
憂「大丈夫だよ、きっと」
純「そうかもね……あ、この水色の水着、かっこよくない?」
憂「うん、素敵! あーでも、純ちゃんにしたらちょっと地味じゃない?」
純「そうかなー」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:33:58.03 ID:jIh+vsM00
憂「うん。そうだよ」
純「じゃあさ、私はどんなのが似合うと思う? 憂?」
憂「うーんとね、あ、このオレンジ色の何てどうかな?」
純「うわー、背中がぱっくり開いてるよ」
憂「なんか大胆で良くない?」
純「憂がそう言うなら……買ってみようかな」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:34:49.35 ID:jIh+vsM00
純「憂は何にするの?」
憂「私は――……純ちゃんに決めてほしいな」
純「私? 私でいいなら、うん、まぁ」
憂「じゃあ、お願いするね」
純「うーん、憂に合う水着かぁ」
憂「どんなのがあるかな?」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:35:38.89 ID:jIh+vsM00
純「あ、この白のビキニなんてどうかな? 純白って感じで」
憂「純ちゃんが似合うと思うなら、買うよ」
純「似合うよ。だって憂だもの」
憂「えへへ、ありがと」
純「じゃあ、買おっか」
憂「うん」
二人はレジに向かった。
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:36:42.89 ID:jIh+vsM00
街中
純「今何時?」
憂「1時」
純「うーん、そろそろ帰ろうか?」
憂「え、もう少しだけ遊びたいな」
純「うー、じゃあどこで?」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:37:20.57 ID:jIh+vsM00
憂「えーっと、特には思いつかないんだけどさ」
憂「こうやって二人で歩きながら、談笑でもしていたいなって」
純「なるほど。いいかもね」
憂「うん」
純「あ、そういえばさ――」
会話が始まった。
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:38:01.36 ID:jIh+vsM00
夜
平沢家
純「あー、ずっと歩きっぱなしだったから、足が痛いよ」
憂「私もー」
純「ま、楽しかったからよしとするかな」
憂「うん。そうだね」
純「じゃ、私は家に帰るよ。お母さんも心配してるだろうしさ」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:39:00.20 ID:jIh+vsM00
憂「夜帰りだね」
純「いやー、今日ばかりは大目玉を食らいそうな気がするよ」
憂「私もついてこっか?」
純「ううん、いいよ」
純「じゃ、明日また学校で」
憂「うん。ばいばい」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:39:45.67 ID:jIh+vsM00
純は平沢家の玄関から出て行く。
憂「……あーあ、なんか寂しいなー」
憂「うーん、もう少し話してたかったけど」
憂「ま、いいや。ご飯作ろう」
憂は台所へと向かった。
足取りは軽い。
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:40:31.96 ID:jIh+vsM00
夏休み当日
駅前
純「ごめん、おくれちゃったー」
憂「いいよ。私たちも今来たとこ。ね、梓ちゃん?」
梓「うん」
純「何だ、よかった。早くプール行こう?」
憂「うん、行こっか」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:41:04.00 ID:jIh+vsM00
市民プール
梓「あれ、純のも憂のも、新しい水着?」
憂「うん。この前買ったんだ」
純「へへー、似合ってるでしょ」
梓「うん。意外と可愛く見えるよ」
憂「えへへ」
梓「あ、私ウォータースライダーやりたいな」
純「あ、私も」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:41:47.63 ID:jIh+vsM00
ウォータースライダー
梓「じゃあ、行ってくるね」
憂「うん」
梓は一気に、ウォータースライダーを滑る。
純「じゃあ、次。私行くね」
憂「いってらっしゃい」
純が滑った後、数秒して憂も滑る。
真下のプールに、どぼん、と落ちる。
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:42:27.77 ID:jIh+vsM00
憂「ぷはっ、楽しいね」
純「うん。童心に帰った気がするよ」
梓「なーに、言ってるの。まだ子供じゃない」
純「高校三年生はもう立派な大人じゃない?」
梓「そうかなぁ?」
純「そうだよ。ただ選挙権がないだけでさ」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:43:23.58 ID:jIh+vsM00
憂「ねえ、次は流れるプール行かない?」
純「あ、いいね」
流れるプール、温水プール、ジャグジー式プール、と様々なプールで遊んだころ、時刻は正午を過ぎていた。
憂「お腹減ったね。何か食べない?」
純「いいね。あ、焼きそば買ってくるよ」
梓「私、ちょっと休んでる。私の分も買ってきてー」
純「もう、しょうがないなあ」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:44:02.31 ID:jIh+vsM00
数分後
梓「お、いいにおい」
純「お待たせ。はい、梓の分」
梓「サンキュー」
憂「こういうところで食べる焼きそばって、格別だよね」
純「うん、わかるわかる」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:44:44.19 ID:jIh+vsM00
梓「あーあ、もう肌焼けちゃったよ」
憂「明日になったら元に戻るんだからいいじゃん」
梓「ま、そうなんだけどね」
純「そういえばさ、唯先輩たちいつ帰ってくるの?」
憂「八月一日って言ってた」
純「あ、じゃあさ、その日憂ん家で焼肉でもしようよ!」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:45:20.21 ID:jIh+vsM00
梓「あ、いいね、それ」
純「でしょ?」
梓「澪先輩や律先輩も誘ってかぁ、何だか騒がしくなりそう」
純「うん。でも楽しみだなー」
憂「久しぶりに会えるからね」
和「あら、憂じゃない」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:46:08.03 ID:jIh+vsM00
憂「和ちゃん!」
和「素が出てるわよ」
憂「あ」
和「梓ちゃんも。もう夏休みなの?」
梓「あ、はい」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:46:59.54 ID:jIh+vsM00
和「えーと、そっちの子は……」
純「あ、鈴木純っていいます」
和「そう。純ちゃんね」
憂「和さん。もう帰ってきてたんですか」
和「ええ。うちの大学、夏休みがはやいの」
梓「へえ、いいなあ」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:48:12.86 ID:jIh+vsM00
和「そういや、憂たちは志望大学決めたの?」
憂「あ、はい。みんなN女です」
和「そう。頑張ってね」
梓「あれ? 和先輩一人ですか?」
和「うん。懐かしくなっちゃってね。一人よ」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:48:59.66 ID:jIh+vsM00
梓「あの、彼氏とかできたんですか?」
和「まさか。私には縁遠い話よ」
和「そうそう、唯たちはいつ帰ってくるの?」
憂「お姉ちゃんは八月一日です」
和「そう。何かするの?」
憂「あ、焼肉パーティなんか開こうかなーって」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:49:35.80 ID:jIh+vsM00
和「いいわね。私も行っていい?」
憂「あ、はい。もちろんです!」
和「ありがとう」
和「あ、ごめんね。お昼ごはん邪魔して。じゃあね、また今度」
憂「あ、はい」
和の姿が、やがて見えなくなる。
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:50:15.54 ID:jIh+vsM00
憂「和さん、来てたんだね」
梓「うん、意外」
純「私の名前、覚えてもらえたかなー」
憂「記憶力いいから大丈夫だよ、きっと」
梓「和先輩って、大学どこ行ったの?」
憂「N女より偏差値が高かったと思うよ」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:50:57.38 ID:jIh+vsM00
梓「あ、早稲田とか?」
憂「ううん。国立だから……東工大とかかな」
純「すご! エリートじゃん」
憂「うん、なんか差を感じちゃうよね」
梓「……ま、いいじゃん! それより食べようよ、冷めちゃう」
憂「そうだね、焼きそば食べようか」
三人は焼きそばをずずず、と口にする。
しょっぱい。
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:51:35.21 ID:jIh+vsM00
****************************************
同日 夕方
帰り道
梓「あー! 楽しかった! 久々に体動かした気がするよ」
憂「うん。ここ最近勉強漬けだったからね」
純「やっぱ、受験生って大変なんだなー」
梓「うん。去年先輩達も、大変だったんだろうね」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:52:08.59 ID:jIh+vsM00
純「あーあ、やだやだ」
憂「でもさ、努力はやった分だけ報われるって言うじゃん。合格するためだって思えば、全然苦にならないよ」
純「そうは言ってもなー」
梓「あれ? 明日ってどこ行くんだっけ?」
憂「明日は動物園だった気がするよ」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:52:42.48 ID:jIh+vsM00
純「つーかさ、遊んでて大丈夫なんだろうか」
梓「休むことも大切だよ」
憂「うん。それに、10月くらいになってくると、もう遊べないんだから」
純「あー、そうだよね」
純(受験生、か……)
純(大変だなぁ、もう)
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:53:12.07 ID:jIh+vsM00
純「大学生になったら、何か変わるのかな?」
憂「え?」
梓「変わる、かぁ……あまり変わらないと思うけど」
純「そっか」
憂「私は、変わらないで欲しいな」
純「へ?」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:53:51.19 ID:jIh+vsM00
憂「だって。変わっちゃったら皆でこうして遊ぶことが、出来なくなるかもしれないでしょ?」
梓「あー、うん。そうかも」
憂「私ね、たまに思うんだけど。ずっと高校生のままでいたいなって」
純「あ、わかる。こうやって、三人でずっとさ、高校生活をエンジョイしてたいよね」
憂「うん。ずっと」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:55:07.85 ID:jIh+vsM00
T=田井中 H=平沢 A=秋山 N=中野 K=琴吹
梓「……なんか、どんどん大人になりたくないって気分が増してくるよ」
純「梓、ピーターパンみたい」
憂「うーん、でも、梓ちゃんの言うことわかる気がする」
梓「でしょ?」
憂「でも、大人にならなきゃいけないんだよねぇ」
梓「……うん」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:55:46.24 ID:jIh+vsM00
純「理不尽だね」
梓「理不尽、か。確かにそうだね」
憂「うん」
憂(時間って酷いなあ。いやでも私たちを大人にさせようとするんだから)
憂(皆といられるこの時間を楽しまないと!)
憂「そういえばさ――」
そうして、三人の会話は続いた。
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:56:27.60 ID:jIh+vsM00
****************************************
八月一日
駅前
梓「唯先輩達はいつここに来るの?」
憂「9:00ごろって言ってたよ」
純「今何時?」
梓「八時半」
純「もう少しか、たのしみだなぁ」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:57:22.96 ID:jIh+vsM00
三十分後
憂「そろそろ来るよ」
梓「なんか、私どきどきしてきた!」
純「テンションあがるね」
と、憂の後ろから声が聞こえた。
唯「ひっさびさ~、皆元気にしてた?」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:58:22.35 ID:jIh+vsM00
憂は振り向く。
憂「――お姉ちゃん!」
律「よっ、憂ちゃん。それに梓も」
梓「律先輩!」
律「あれ、えーと、そちらの方は……」
純「鈴木純、です」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:59:01.06 ID:jIh+vsM00
律「ああ、そうそう」
澪「何だか、懐かしいな」
紬「本当ね」
澪「まだ一人暮らしを始めて、半年も経ってないのに。十年ぶりに帰って気がする」
紬「私も。郷愁ってこんな感じなんでしょうね」
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:59:34.09 ID:jIh+vsM00
唯「逢いたかったよ、うい!」
憂「私もだよ! お姉ちゃん!」
二人は頬をすり寄せ合う。
律「やっぱ二人は、こうじゃなくちゃ」
梓「あいかわらずですね」
律「梓の胸もだな」
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:00:03.38 ID:jIh+vsM00
梓「り、律先輩もじゃないですか!」
律「へへー、私はカップが一つ上がったのだよ!」
梓「く、くやしい! なんか負けた気がする!」
律「そういえば。梓、志望校どこにしたんだ?」
梓「私は――私も、N女です」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:00:38.13 ID:jIh+vsM00
律「お、私の後輩になるのか!」
梓「そういうことになりますね」
律「じゃあ、今のうちに言っておくかな」
梓「? 何をです?」
律「大学でもよろしく。梓」
梓「――はい、律先輩」
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:01:17.01 ID:jIh+vsM00
純「……私空気?」
紬「大丈夫よ、自信もって」
純「は、はい」
紬「いかに扱いが酷くても、皆に尽くす気持ちだけは忘れちゃ駄目よ」
純「は、はい!」
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:01:59.53 ID:jIh+vsM00
平沢家
憂「お姉ちゃん達のために、焼肉用意したんだよ!」
唯「うわー、美味しそう! 流石うい!」
憂「えへへ、照れちゃうな~」
律(よく出来た妹だよなー)
憂「まだお昼前だけど、もう食べようよ! ね?」
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:02:45.63 ID:jIh+vsM00
唯「うん、食べよう食べよう!」
澪「焼肉かぁ、このごろ食べてないな」
紬「一人暮らしの時は、ずっと切り詰めてたものね」
澪「うん。あ、でも、また太っちゃうな」
紬「本当ね」
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:03:38.77 ID:jIh+vsM00
ピンポーン
憂「あ、お客さんだ! 出てくるね」
憂は玄関を開ける。
和「皆、もう来てる?」
憂「うん!」
和「そう。じゃああがらせてね」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:04:16.24 ID:jIh+vsM00
憂「お姉ちゃん! 和ちゃん来たよ!」
和「人の前では和ちゃんって呼ばない方がいいわよ」
憂「えへへ、ごめんごめん」
唯「あー、和ちゃん! こっちこっち」
和「うん。久しぶりね、唯」
唯「うん。本当に久々だよ! 大学生活どうだった?」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:04:58.95 ID:jIh+vsM00
和「順調よ」
唯「そっか、よかった」
和「そっちは?」
唯「私も順調だよ。何せ皆がいるからね!」フンス!
和「何よりだわ」
唯「えへへ~」
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:06:04.69 ID:jIh+vsM00
純「私また空気?」
憂「大丈夫だよ。みんなはしゃいじゃってるだけだよ」
純「はしゃぎっぷりが尋常じゃないね」
憂「でも、すぐに落ち着くと思うよ。その後焼肉食べようよ」
純「うん」
憂「みんなさ、再開が懐かしくて、テンションがあがりっぱなしなんだろうね」
純「来年は、私たちもあの中に加わるのかな?」
憂「うん。きっと」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:07:02.76 ID:jIh+vsM00
純「……大学生か」
憂「遠い未来のことじゃなくなってきたね」
純「中学生のころは、もっと後のことだったんだけどね」
憂「うん――、成長したなぁって、感じるよ」
純「確かに、ね」
憂は未だ騒がしい室内を見て、楽しそうに微笑んだ。
終わり
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:24:04.11 ID:jIh+vsM00
番外編 祭り
律「なあ、澪。夏祭りやってるんだってよ。行かないか?」
澪「え? ここでか?」
律「ああ。折角帰ってきたんだ。楽しもうぜ」
澪「――そうするか」
律「じゃ、行こうぜ」
澪「ああ」
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:25:04.92 ID:jIh+vsM00
神社
澪「ああ、神社の夏祭りか」
律「うん。あ、チョコバナナ買わないか?」
澪「昨日焼肉食べたばっかしだからなぁ……」
律「大丈夫だって、太ってもどうせすぐ痩せるだろ」
澪「……ま、一本くらいは」
律「じゃ、買ってくるから待ってて」
澪「うん」
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:25:50.38 ID:jIh+vsM00
数分後
律「お待たせ」
澪「サンキュー、律」
律「ああ」
澪と律は二人、チョコバナナを食べる。
澪「何でも懐かしく感じられるな……」
律「そうだな」
澪「私たち、いつ大学寮に戻るんだっけ?」
律「明後日」
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:26:44.26 ID:jIh+vsM00
澪「明日はどこ行くんだ?」
律「さあな」
澪「――正月に、また来れるかな」
律「ああ。来れるさ」
澪「そうか」
律「そうだ」
祭りの騒々しさが、どこか二人には心地よかった。
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:27:23.80 ID:jIh+vsM00
律「梓、N女志望してるんだって」
澪「本当か? うれしいな」
律「また、五人集まったらさ、HTTとして活動しようぜ」
澪「武道館行ったり」
律「ライブとか。駅前で」
澪「夢が広がるな」
律「ああ」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:28:09.03 ID:jIh+vsM00
と、その時。どーん、と花火が上がった。
律「へえ、今日は花火もあったのか」
澪「知ってて誘ったのか?」
律「いや。偶然」
澪「ついてるな。私たち」
律「そうだな」
どぅん、どぅん、どぉぅん。花火が空を舞う。
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:28:54.91 ID:jIh+vsM00
澪「聡はどうしてるんだ?」
律「男子高行ってるよ」
澪「男子高かー」
律「軽音楽部入ってるんだってよ」
澪「楽器は?」
律「ドラム」
澪「律の弟らしいな」
律「私に憧れてるらしい。やめとけってな」
澪「まったくだ」
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:29:36.17 ID:jIh+vsM00
律「なあ、明日は水族館にでも行かないか? 二人で」
澪「唯たちは?」
律「二人だけでいいよ。新鮮だろ?」
澪「まあな。大学にいたときは、ずっと四人で行動してたからな」
律「ああ。今もこうやって二人きりでいるけど、結構新鮮だぞ」
澪「だな」
律と澪は、花火を眺める。
律「綺麗だな。まさに夏って感じだ」
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:30:07.51 ID:jIh+vsM00
澪「なあ」
律「? 何だ?」
澪「来年も、二人でこうやって花火見ないか?」
律「来年だけじゃなく、ずっとそうしようぜ」
澪「ああ。十年後も、ずっと」
律「約束だぞ」
澪「ああ。律の方こそ破るなよ」
律「もちろんだ」
律と澪は、花火を見る。
肩を並べて、花火を見る。
終わり
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:46:22.15 ID:jIh+vsM00
番外編 花火
平沢家
深夜
憂「お姉ちゃん、起きてる?」
唯「うん。起きてるよ」
憂「今日、楽しかった?」
唯「うん。焼肉も食べれて、すごく楽しかったよ」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:47:24.45 ID:jIh+vsM00
憂「そっか。よかった」
唯「何? こんな時間に。私の部屋に」
憂「あのさ、花火しない?」
唯「花火?」
憂「うん。買ってるんだ。やろうよ」
唯「わかった。着替えるよ」
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:48:39.88 ID:jIh+vsM00
>>113 キスもセックスもないというのに百合とな
庭先
唯「お待たせ」
憂「お姉ちゃん、早く早く」
唯「うん」
憂「はい、これ」
と、憂は花火を渡してきた。
唯「うん。ありがとう」
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:49:20.74 ID:jIh+vsM00
憂「火、つけるよ」
唯「うん」
シュバァァァ と音を立てて、緑色の焔を輝かせる。
憂「綺麗だね」
唯「うん。とても」
やがて火は消える。
憂「じゃあ、次はこれね」
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:50:00.16 ID:jIh+vsM00
唯「ちょっと煙臭いね」
憂「うん」
憂はまた花火を手渡す。
火をつける。
耀めいて、やがて火が消える。
その繰り返し。
三十分ほど過ぎたころ。
憂「あ、もう花火なくなってきちゃった」
119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:50:41.33 ID:jIh+vsM00
唯「うーん、残念。でも、たのしかったね」
憂「うん。あ、待って……線香花火が二本あったよ」
唯「それで最後?」
憂「うん」
唯「そっか。残念だけどまあ、いいや。どっちが先に消えるか、競争しよう!」
憂「うん!」
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:51:40.42 ID:jIh+vsM00
唯と憂のもつ線香花火に、火がつけられる。
ぱちぱち、と音と共に小さく燃え盛る。
唯「終わりって感じがするね」
憂「そうだね」
唯「ねえ、憂」
憂「何?」
唯「お正月にも来るからさ、そのときもよろしく」
憂「うん。歓迎するよ」
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:52:28.34 ID:jIh+vsM00
唯「そして来年は憂がN女に来るのかぁ……、待ち遠しいなぁ」
憂「私も。絶対行くから、待っててね」
唯「うん。もちろん」
憂「あ、消えちゃった」
火の玉がぽとり、と地に落ちる。
唯「あ、私のも」
憂「終わっちゃったね」
唯「うん。でも、楽しかったよ」
憂「そうだね」
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:53:27.25 ID:jIh+vsM00
唯「ああ、そうだ。ねえ、憂」
憂「何? お姉ちゃん」
唯「大学でもよろしくね」
憂「――うん! よろしく、お姉ちゃん」
暗闇の中でもわかるほど、憂の顔は笑顔になった。
花火よりも綺麗な笑みに、唯はすこし見惚れてしまった。
終わり
126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/12(日) 13:16:28.46 ID:jIh+vsM00 [93/93]
書くの忘れてた
おしまい。
憂以外誰もいない平沢家は、どこか広く感じられた。
純「もう慣れた?」
憂「うん。三ヶ月も経ったしね」
唯が一人暮らしを始めて三ヶ月――憂達が高校三年生になってから、三ヶ月が経過した。
一人だけじゃ寂しいんじゃないか、と純は週に三日、こうして平沢家に来ることがあった。
純「はい、今日の差し入れ。ケンタッキーね」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:12:07.54 ID:jIh+vsM00
憂「レッドホットチキン?」
純「うん。好きでしょ? これ」
憂「大好きだよ」
純「よかった」
憂と純はリビングへ入る。
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:12:46.31 ID:jIh+vsM00
憂「待っててね、お茶持ってくるよ」
純「さんきゅ」
憂はぱたぱたと、台所へ向かった。
憂は慣れた手つきで紅茶を淹れ、数分後、純の前に紅茶が運ばれてきた。
純「憂の淹れたお茶は、香りが違うね」
憂「そうかな?」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:13:27.89 ID:jIh+vsM00
純「うん。コクがあるよ」
憂「えへへ」
純「あ、そういえば、もう夏休みだね」
憂「うん。あと四日後だね」
純「また、プール行こうよ」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:14:00.24 ID:jIh+vsM00
憂「いいね。梓ちゃんも誘ってかぁ」
純「うん、三人でプール!」
憂「梓ちゃん、また肌焼けるんだろうね」
純「うん。まっくろけっけになるだろうね」
憂「あ、夏になったらお姉ちゃん、帰って来るんだ」
純「へえ、いつ?」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:14:47.14 ID:jIh+vsM00
憂「うーん、まだ教えてもらってないけど……8月上旬って言ってたよ」
純「久しぶりに会うなー」
憂「うん。今から楽しみでさ、胸がどきどきしてるよ」
純「そっか」
憂「あ、そうそう。模試どうだった?」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:15:23.09 ID:jIh+vsM00
純「私は……まあ、いつもどおりかな。N女はB判だったよ」
憂「へー」
純「憂は?」
憂「私はA判だよ」
純「え、マジ? すごいじゃん!私も頑張らないとなぁ」
憂「今回は調子が良かっただけだよ、たまたま」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:16:03.34 ID:jIh+vsM00
純「それでもすごいよ、おめでとう」
憂「いや~、それほどでも」
純「ねえ、今のうちから夏休みの計画立てない?」
憂「あ、いいね。それ」
純「でしょ? まず一日目はさ……」
そして、夜が更けていく。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:16:56.52 ID:jIh+vsM00
翌日
純が目を覚ましたのは、平沢家のリビングだった。
純「あれ、なんで憂ん家に?」
純「ああ、そうだ……昨日この家に上がって、夏休みの計画立てて……」
純「そのまま寝ちゃったんだ……」
憂「ふわぁあ……? 純ちゃん?」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:17:27.19 ID:jIh+vsM00
純「あ、お早う。憂」
憂「今何時?」
純「えーと、今は……十……時半」
憂「え?」
純「あれ?」
憂「今日って平日だよね」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:18:00.61 ID:jIh+vsM00
純「うん」
憂「学校あるよね?」
純「うん」
憂「今十時半なんだよね?」
純「やばいね」
憂「遅刻したね」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:18:45.68 ID:jIh+vsM00
純「どうしよっか」
憂「うーん、いっそ休もうか?」
純「あ、たまにはいいかもね」
憂「でしょ?」
純「うーん、こうやって平日の昼からのんびりしてるのって、何だか新鮮」
憂「だよねー」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:19:18.20 ID:jIh+vsM00
と、そのとき。二人のお腹がぐうぅぅ、と鳴った。
純「お腹減ったね」
憂「うん。なんか食べに行こうか?」
純「うん。そうしよう」
二人は外に出た。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:19:53.11 ID:jIh+vsM00
街中!
純「どこ行こうか?」
憂「うーん、喫茶店でいいんじゃない?」
純「あの『喫茶・スワロウ』でいいかな?」
憂「うん。そこにしよう」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:20:27.84 ID:jIh+vsM00
スワロウ店内
純「私はチョコパフェがいいな。憂は?」
憂「うーんと、私はジャンボホットケーキで」
店員「かしこまりました」
純「いやー、昨日どこまで計画決めたんだっけ」
憂「十日目くらいまでだと思うよ」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:20:59.37 ID:jIh+vsM00
純「そっか、後はその日その日で行動しようよ」
憂「それもそうだね。いろいろ決めすぎちゃうと、かえって混乱しちゃうかもだし」
純「うん、でしょ」
憂「あーあ、夏休みが待ち遠しいよ」
純「私も。早く学校終わってくれないかな?」
憂「あと、あと二日学校に行けば、夏休みだからね」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:21:43.66 ID:jIh+vsM00
純「うん。でも、まだ二日もあるんだね」
憂「今日入れたら三日だけどね」
純「一年が経つのは早いのに、こういうのは遅く感じない?」
憂「うん。感じる。楽しいときなんて特にね」
純「あー、そうそう。逆にテストのときとかは、時間が遅く流れるんだよね」
憂「理不尽だよね」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:22:29.99 ID:jIh+vsM00
純「うん。たしかに理不尽だね」
店員「お待たせいたしました」
純と憂の前に、パフェとホットケーキが運ばれてきた。
純「あー、脳が糖分欲してるよ。いただきまーす」
純はパフェを食べる。
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:23:51.71 ID:jIh+vsM00
憂「うん、とても美味しそう……」
憂も口にする。
純「ねえ、一口頂戴? 私のもあげるからさ」
憂「いいの?」
純「うん。いいよ」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:24:58.32 ID:jIh+vsM00
憂「じゃあ、はい」
フォークに突き刺したホットケーキの一片を、純の口に近づけてくる。
憂「あーん、して?」
純「あ、あーん」
純の口に入れる。
ムグムグ 純「お、意外とイケる」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:25:33.49 ID:jIh+vsM00
憂「美味しいでしょ?」
純「うん。かなり」
憂「じゃあ、私にパフェ食べさせて」
純「うん。いいよ」
純はスプーンで、パフェをすくう。
純「はい、あーん」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:26:26.54 ID:jIh+vsM00
憂「あーん」
憂の口に入れ込む。
憂「冷たくて美味しい。夏にはぴったりだね」
純「でしょ」
憂「それにしても、今日はやけに暑いね」
純「夏って感じがするね」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:27:04.44 ID:jIh+vsM00
数分後
憂「あー、美味しかった」
純「だね」
憂「まだお昼前かー。暇だねー」
純「どこ行こう?」
憂「ぶらりと、外歩いてみる? 行きたい場所見つかるかもしれないし」
純「そうしよっか」
支払いを終えた二人は、真夏の太陽に照らされている外に出た。
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:27:57.58 ID:jIh+vsM00
街中
憂「うーん、暑いね」
純「もうすっかり夏って感じだね」
憂「まったくだよ」
と、その時、純の携帯がヴーヴーと振動した。
純「あ、メール」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:30:25.44 ID:jIh+vsM00
憂「誰から?」
純「梓から……何々、『二人ともサボり?』だって」
憂「そうだよって返信しとけば?」
純「写真も添付しようか? 私と憂の二人の写真とってさ」
憂「いいね、撮ろう!」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:31:09.33 ID:jIh+vsM00
****************************************
学校 休み時間
梓「あ、メール帰ってきた」
梓「純からだ。『そうだよ』って、やっぱ憂も一緒なんだ。いいなぁ」
梓「私も休めばよかった」
梓「はぁ……」
****************************************
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:32:19.21 ID:jIh+vsM00
純「それにしても、本当に暇だねー」
憂「うん。学校行く方が、案外楽しいかもね」
純「かもね」
憂「あ、そうだ。純ちゃん。水着買わない?」
純「いいかも。駅前の店、結構品揃えいいからさ、そこにしない?」
憂「うん。そうしよっか」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:33:10.20 ID:jIh+vsM00
駅前、水着店
純「私たち、補導されたりしないかな?」
憂「大丈夫だよ、きっと」
純「そうかもね……あ、この水色の水着、かっこよくない?」
憂「うん、素敵! あーでも、純ちゃんにしたらちょっと地味じゃない?」
純「そうかなー」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:33:58.03 ID:jIh+vsM00
憂「うん。そうだよ」
純「じゃあさ、私はどんなのが似合うと思う? 憂?」
憂「うーんとね、あ、このオレンジ色の何てどうかな?」
純「うわー、背中がぱっくり開いてるよ」
憂「なんか大胆で良くない?」
純「憂がそう言うなら……買ってみようかな」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:34:49.35 ID:jIh+vsM00
純「憂は何にするの?」
憂「私は――……純ちゃんに決めてほしいな」
純「私? 私でいいなら、うん、まぁ」
憂「じゃあ、お願いするね」
純「うーん、憂に合う水着かぁ」
憂「どんなのがあるかな?」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:35:38.89 ID:jIh+vsM00
純「あ、この白のビキニなんてどうかな? 純白って感じで」
憂「純ちゃんが似合うと思うなら、買うよ」
純「似合うよ。だって憂だもの」
憂「えへへ、ありがと」
純「じゃあ、買おっか」
憂「うん」
二人はレジに向かった。
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:36:42.89 ID:jIh+vsM00
街中
純「今何時?」
憂「1時」
純「うーん、そろそろ帰ろうか?」
憂「え、もう少しだけ遊びたいな」
純「うー、じゃあどこで?」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:37:20.57 ID:jIh+vsM00
憂「えーっと、特には思いつかないんだけどさ」
憂「こうやって二人で歩きながら、談笑でもしていたいなって」
純「なるほど。いいかもね」
憂「うん」
純「あ、そういえばさ――」
会話が始まった。
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:38:01.36 ID:jIh+vsM00
夜
平沢家
純「あー、ずっと歩きっぱなしだったから、足が痛いよ」
憂「私もー」
純「ま、楽しかったからよしとするかな」
憂「うん。そうだね」
純「じゃ、私は家に帰るよ。お母さんも心配してるだろうしさ」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:39:00.20 ID:jIh+vsM00
憂「夜帰りだね」
純「いやー、今日ばかりは大目玉を食らいそうな気がするよ」
憂「私もついてこっか?」
純「ううん、いいよ」
純「じゃ、明日また学校で」
憂「うん。ばいばい」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:39:45.67 ID:jIh+vsM00
純は平沢家の玄関から出て行く。
憂「……あーあ、なんか寂しいなー」
憂「うーん、もう少し話してたかったけど」
憂「ま、いいや。ご飯作ろう」
憂は台所へと向かった。
足取りは軽い。
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:40:31.96 ID:jIh+vsM00
夏休み当日
駅前
純「ごめん、おくれちゃったー」
憂「いいよ。私たちも今来たとこ。ね、梓ちゃん?」
梓「うん」
純「何だ、よかった。早くプール行こう?」
憂「うん、行こっか」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:41:04.00 ID:jIh+vsM00
市民プール
梓「あれ、純のも憂のも、新しい水着?」
憂「うん。この前買ったんだ」
純「へへー、似合ってるでしょ」
梓「うん。意外と可愛く見えるよ」
憂「えへへ」
梓「あ、私ウォータースライダーやりたいな」
純「あ、私も」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:41:47.63 ID:jIh+vsM00
ウォータースライダー
梓「じゃあ、行ってくるね」
憂「うん」
梓は一気に、ウォータースライダーを滑る。
純「じゃあ、次。私行くね」
憂「いってらっしゃい」
純が滑った後、数秒して憂も滑る。
真下のプールに、どぼん、と落ちる。
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:42:27.77 ID:jIh+vsM00
憂「ぷはっ、楽しいね」
純「うん。童心に帰った気がするよ」
梓「なーに、言ってるの。まだ子供じゃない」
純「高校三年生はもう立派な大人じゃない?」
梓「そうかなぁ?」
純「そうだよ。ただ選挙権がないだけでさ」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:43:23.58 ID:jIh+vsM00
憂「ねえ、次は流れるプール行かない?」
純「あ、いいね」
流れるプール、温水プール、ジャグジー式プール、と様々なプールで遊んだころ、時刻は正午を過ぎていた。
憂「お腹減ったね。何か食べない?」
純「いいね。あ、焼きそば買ってくるよ」
梓「私、ちょっと休んでる。私の分も買ってきてー」
純「もう、しょうがないなあ」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:44:02.31 ID:jIh+vsM00
数分後
梓「お、いいにおい」
純「お待たせ。はい、梓の分」
梓「サンキュー」
憂「こういうところで食べる焼きそばって、格別だよね」
純「うん、わかるわかる」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:44:44.19 ID:jIh+vsM00
梓「あーあ、もう肌焼けちゃったよ」
憂「明日になったら元に戻るんだからいいじゃん」
梓「ま、そうなんだけどね」
純「そういえばさ、唯先輩たちいつ帰ってくるの?」
憂「八月一日って言ってた」
純「あ、じゃあさ、その日憂ん家で焼肉でもしようよ!」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:45:20.21 ID:jIh+vsM00
梓「あ、いいね、それ」
純「でしょ?」
梓「澪先輩や律先輩も誘ってかぁ、何だか騒がしくなりそう」
純「うん。でも楽しみだなー」
憂「久しぶりに会えるからね」
和「あら、憂じゃない」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:46:08.03 ID:jIh+vsM00
憂「和ちゃん!」
和「素が出てるわよ」
憂「あ」
和「梓ちゃんも。もう夏休みなの?」
梓「あ、はい」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:46:59.54 ID:jIh+vsM00
和「えーと、そっちの子は……」
純「あ、鈴木純っていいます」
和「そう。純ちゃんね」
憂「和さん。もう帰ってきてたんですか」
和「ええ。うちの大学、夏休みがはやいの」
梓「へえ、いいなあ」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:48:12.86 ID:jIh+vsM00
和「そういや、憂たちは志望大学決めたの?」
憂「あ、はい。みんなN女です」
和「そう。頑張ってね」
梓「あれ? 和先輩一人ですか?」
和「うん。懐かしくなっちゃってね。一人よ」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:48:59.66 ID:jIh+vsM00
梓「あの、彼氏とかできたんですか?」
和「まさか。私には縁遠い話よ」
和「そうそう、唯たちはいつ帰ってくるの?」
憂「お姉ちゃんは八月一日です」
和「そう。何かするの?」
憂「あ、焼肉パーティなんか開こうかなーって」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:49:35.80 ID:jIh+vsM00
和「いいわね。私も行っていい?」
憂「あ、はい。もちろんです!」
和「ありがとう」
和「あ、ごめんね。お昼ごはん邪魔して。じゃあね、また今度」
憂「あ、はい」
和の姿が、やがて見えなくなる。
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:50:15.54 ID:jIh+vsM00
憂「和さん、来てたんだね」
梓「うん、意外」
純「私の名前、覚えてもらえたかなー」
憂「記憶力いいから大丈夫だよ、きっと」
梓「和先輩って、大学どこ行ったの?」
憂「N女より偏差値が高かったと思うよ」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:50:57.38 ID:jIh+vsM00
梓「あ、早稲田とか?」
憂「ううん。国立だから……東工大とかかな」
純「すご! エリートじゃん」
憂「うん、なんか差を感じちゃうよね」
梓「……ま、いいじゃん! それより食べようよ、冷めちゃう」
憂「そうだね、焼きそば食べようか」
三人は焼きそばをずずず、と口にする。
しょっぱい。
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:51:35.21 ID:jIh+vsM00
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同日 夕方
帰り道
梓「あー! 楽しかった! 久々に体動かした気がするよ」
憂「うん。ここ最近勉強漬けだったからね」
純「やっぱ、受験生って大変なんだなー」
梓「うん。去年先輩達も、大変だったんだろうね」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:52:08.59 ID:jIh+vsM00
純「あーあ、やだやだ」
憂「でもさ、努力はやった分だけ報われるって言うじゃん。合格するためだって思えば、全然苦にならないよ」
純「そうは言ってもなー」
梓「あれ? 明日ってどこ行くんだっけ?」
憂「明日は動物園だった気がするよ」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:52:42.48 ID:jIh+vsM00
純「つーかさ、遊んでて大丈夫なんだろうか」
梓「休むことも大切だよ」
憂「うん。それに、10月くらいになってくると、もう遊べないんだから」
純「あー、そうだよね」
純(受験生、か……)
純(大変だなぁ、もう)
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:53:12.07 ID:jIh+vsM00
純「大学生になったら、何か変わるのかな?」
憂「え?」
梓「変わる、かぁ……あまり変わらないと思うけど」
純「そっか」
憂「私は、変わらないで欲しいな」
純「へ?」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:53:51.19 ID:jIh+vsM00
憂「だって。変わっちゃったら皆でこうして遊ぶことが、出来なくなるかもしれないでしょ?」
梓「あー、うん。そうかも」
憂「私ね、たまに思うんだけど。ずっと高校生のままでいたいなって」
純「あ、わかる。こうやって、三人でずっとさ、高校生活をエンジョイしてたいよね」
憂「うん。ずっと」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:55:07.85 ID:jIh+vsM00
T=田井中 H=平沢 A=秋山 N=中野 K=琴吹
梓「……なんか、どんどん大人になりたくないって気分が増してくるよ」
純「梓、ピーターパンみたい」
憂「うーん、でも、梓ちゃんの言うことわかる気がする」
梓「でしょ?」
憂「でも、大人にならなきゃいけないんだよねぇ」
梓「……うん」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:55:46.24 ID:jIh+vsM00
純「理不尽だね」
梓「理不尽、か。確かにそうだね」
憂「うん」
憂(時間って酷いなあ。いやでも私たちを大人にさせようとするんだから)
憂(皆といられるこの時間を楽しまないと!)
憂「そういえばさ――」
そうして、三人の会話は続いた。
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:56:27.60 ID:jIh+vsM00
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八月一日
駅前
梓「唯先輩達はいつここに来るの?」
憂「9:00ごろって言ってたよ」
純「今何時?」
梓「八時半」
純「もう少しか、たのしみだなぁ」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:57:22.96 ID:jIh+vsM00
三十分後
憂「そろそろ来るよ」
梓「なんか、私どきどきしてきた!」
純「テンションあがるね」
と、憂の後ろから声が聞こえた。
唯「ひっさびさ~、皆元気にしてた?」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:58:22.35 ID:jIh+vsM00
憂は振り向く。
憂「――お姉ちゃん!」
律「よっ、憂ちゃん。それに梓も」
梓「律先輩!」
律「あれ、えーと、そちらの方は……」
純「鈴木純、です」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:59:01.06 ID:jIh+vsM00
律「ああ、そうそう」
澪「何だか、懐かしいな」
紬「本当ね」
澪「まだ一人暮らしを始めて、半年も経ってないのに。十年ぶりに帰って気がする」
紬「私も。郷愁ってこんな感じなんでしょうね」
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 11:59:34.09 ID:jIh+vsM00
唯「逢いたかったよ、うい!」
憂「私もだよ! お姉ちゃん!」
二人は頬をすり寄せ合う。
律「やっぱ二人は、こうじゃなくちゃ」
梓「あいかわらずですね」
律「梓の胸もだな」
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:00:03.38 ID:jIh+vsM00
梓「り、律先輩もじゃないですか!」
律「へへー、私はカップが一つ上がったのだよ!」
梓「く、くやしい! なんか負けた気がする!」
律「そういえば。梓、志望校どこにしたんだ?」
梓「私は――私も、N女です」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:00:38.13 ID:jIh+vsM00
律「お、私の後輩になるのか!」
梓「そういうことになりますね」
律「じゃあ、今のうちに言っておくかな」
梓「? 何をです?」
律「大学でもよろしく。梓」
梓「――はい、律先輩」
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:01:17.01 ID:jIh+vsM00
純「……私空気?」
紬「大丈夫よ、自信もって」
純「は、はい」
紬「いかに扱いが酷くても、皆に尽くす気持ちだけは忘れちゃ駄目よ」
純「は、はい!」
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:01:59.53 ID:jIh+vsM00
平沢家
憂「お姉ちゃん達のために、焼肉用意したんだよ!」
唯「うわー、美味しそう! 流石うい!」
憂「えへへ、照れちゃうな~」
律(よく出来た妹だよなー)
憂「まだお昼前だけど、もう食べようよ! ね?」
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:02:45.63 ID:jIh+vsM00
唯「うん、食べよう食べよう!」
澪「焼肉かぁ、このごろ食べてないな」
紬「一人暮らしの時は、ずっと切り詰めてたものね」
澪「うん。あ、でも、また太っちゃうな」
紬「本当ね」
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:03:38.77 ID:jIh+vsM00
ピンポーン
憂「あ、お客さんだ! 出てくるね」
憂は玄関を開ける。
和「皆、もう来てる?」
憂「うん!」
和「そう。じゃああがらせてね」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:04:16.24 ID:jIh+vsM00
憂「お姉ちゃん! 和ちゃん来たよ!」
和「人の前では和ちゃんって呼ばない方がいいわよ」
憂「えへへ、ごめんごめん」
唯「あー、和ちゃん! こっちこっち」
和「うん。久しぶりね、唯」
唯「うん。本当に久々だよ! 大学生活どうだった?」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:04:58.95 ID:jIh+vsM00
和「順調よ」
唯「そっか、よかった」
和「そっちは?」
唯「私も順調だよ。何せ皆がいるからね!」フンス!
和「何よりだわ」
唯「えへへ~」
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:06:04.69 ID:jIh+vsM00
純「私また空気?」
憂「大丈夫だよ。みんなはしゃいじゃってるだけだよ」
純「はしゃぎっぷりが尋常じゃないね」
憂「でも、すぐに落ち着くと思うよ。その後焼肉食べようよ」
純「うん」
憂「みんなさ、再開が懐かしくて、テンションがあがりっぱなしなんだろうね」
純「来年は、私たちもあの中に加わるのかな?」
憂「うん。きっと」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:07:02.76 ID:jIh+vsM00
純「……大学生か」
憂「遠い未来のことじゃなくなってきたね」
純「中学生のころは、もっと後のことだったんだけどね」
憂「うん――、成長したなぁって、感じるよ」
純「確かに、ね」
憂は未だ騒がしい室内を見て、楽しそうに微笑んだ。
終わり
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:24:04.11 ID:jIh+vsM00
番外編 祭り
律「なあ、澪。夏祭りやってるんだってよ。行かないか?」
澪「え? ここでか?」
律「ああ。折角帰ってきたんだ。楽しもうぜ」
澪「――そうするか」
律「じゃ、行こうぜ」
澪「ああ」
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:25:04.92 ID:jIh+vsM00
神社
澪「ああ、神社の夏祭りか」
律「うん。あ、チョコバナナ買わないか?」
澪「昨日焼肉食べたばっかしだからなぁ……」
律「大丈夫だって、太ってもどうせすぐ痩せるだろ」
澪「……ま、一本くらいは」
律「じゃ、買ってくるから待ってて」
澪「うん」
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:25:50.38 ID:jIh+vsM00
数分後
律「お待たせ」
澪「サンキュー、律」
律「ああ」
澪と律は二人、チョコバナナを食べる。
澪「何でも懐かしく感じられるな……」
律「そうだな」
澪「私たち、いつ大学寮に戻るんだっけ?」
律「明後日」
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:26:44.26 ID:jIh+vsM00
澪「明日はどこ行くんだ?」
律「さあな」
澪「――正月に、また来れるかな」
律「ああ。来れるさ」
澪「そうか」
律「そうだ」
祭りの騒々しさが、どこか二人には心地よかった。
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:27:23.80 ID:jIh+vsM00
律「梓、N女志望してるんだって」
澪「本当か? うれしいな」
律「また、五人集まったらさ、HTTとして活動しようぜ」
澪「武道館行ったり」
律「ライブとか。駅前で」
澪「夢が広がるな」
律「ああ」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:28:09.03 ID:jIh+vsM00
と、その時。どーん、と花火が上がった。
律「へえ、今日は花火もあったのか」
澪「知ってて誘ったのか?」
律「いや。偶然」
澪「ついてるな。私たち」
律「そうだな」
どぅん、どぅん、どぉぅん。花火が空を舞う。
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:28:54.91 ID:jIh+vsM00
澪「聡はどうしてるんだ?」
律「男子高行ってるよ」
澪「男子高かー」
律「軽音楽部入ってるんだってよ」
澪「楽器は?」
律「ドラム」
澪「律の弟らしいな」
律「私に憧れてるらしい。やめとけってな」
澪「まったくだ」
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:29:36.17 ID:jIh+vsM00
律「なあ、明日は水族館にでも行かないか? 二人で」
澪「唯たちは?」
律「二人だけでいいよ。新鮮だろ?」
澪「まあな。大学にいたときは、ずっと四人で行動してたからな」
律「ああ。今もこうやって二人きりでいるけど、結構新鮮だぞ」
澪「だな」
律と澪は、花火を眺める。
律「綺麗だな。まさに夏って感じだ」
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:30:07.51 ID:jIh+vsM00
澪「なあ」
律「? 何だ?」
澪「来年も、二人でこうやって花火見ないか?」
律「来年だけじゃなく、ずっとそうしようぜ」
澪「ああ。十年後も、ずっと」
律「約束だぞ」
澪「ああ。律の方こそ破るなよ」
律「もちろんだ」
律と澪は、花火を見る。
肩を並べて、花火を見る。
終わり
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:46:22.15 ID:jIh+vsM00
番外編 花火
平沢家
深夜
憂「お姉ちゃん、起きてる?」
唯「うん。起きてるよ」
憂「今日、楽しかった?」
唯「うん。焼肉も食べれて、すごく楽しかったよ」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:47:24.45 ID:jIh+vsM00
憂「そっか。よかった」
唯「何? こんな時間に。私の部屋に」
憂「あのさ、花火しない?」
唯「花火?」
憂「うん。買ってるんだ。やろうよ」
唯「わかった。着替えるよ」
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:48:39.88 ID:jIh+vsM00
>>113 キスもセックスもないというのに百合とな
庭先
唯「お待たせ」
憂「お姉ちゃん、早く早く」
唯「うん」
憂「はい、これ」
と、憂は花火を渡してきた。
唯「うん。ありがとう」
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:49:20.74 ID:jIh+vsM00
憂「火、つけるよ」
唯「うん」
シュバァァァ と音を立てて、緑色の焔を輝かせる。
憂「綺麗だね」
唯「うん。とても」
やがて火は消える。
憂「じゃあ、次はこれね」
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:50:00.16 ID:jIh+vsM00
唯「ちょっと煙臭いね」
憂「うん」
憂はまた花火を手渡す。
火をつける。
耀めいて、やがて火が消える。
その繰り返し。
三十分ほど過ぎたころ。
憂「あ、もう花火なくなってきちゃった」
119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:50:41.33 ID:jIh+vsM00
唯「うーん、残念。でも、たのしかったね」
憂「うん。あ、待って……線香花火が二本あったよ」
唯「それで最後?」
憂「うん」
唯「そっか。残念だけどまあ、いいや。どっちが先に消えるか、競争しよう!」
憂「うん!」
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:51:40.42 ID:jIh+vsM00
唯と憂のもつ線香花火に、火がつけられる。
ぱちぱち、と音と共に小さく燃え盛る。
唯「終わりって感じがするね」
憂「そうだね」
唯「ねえ、憂」
憂「何?」
唯「お正月にも来るからさ、そのときもよろしく」
憂「うん。歓迎するよ」
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:52:28.34 ID:jIh+vsM00
唯「そして来年は憂がN女に来るのかぁ……、待ち遠しいなぁ」
憂「私も。絶対行くから、待っててね」
唯「うん。もちろん」
憂「あ、消えちゃった」
火の玉がぽとり、と地に落ちる。
唯「あ、私のも」
憂「終わっちゃったね」
唯「うん。でも、楽しかったよ」
憂「そうだね」
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/12(日) 12:53:27.25 ID:jIh+vsM00
唯「ああ、そうだ。ねえ、憂」
憂「何? お姉ちゃん」
唯「大学でもよろしくね」
憂「――うん! よろしく、お姉ちゃん」
暗闇の中でもわかるほど、憂の顔は笑顔になった。
花火よりも綺麗な笑みに、唯はすこし見惚れてしまった。
終わり
126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/12(日) 13:16:28.46 ID:jIh+vsM00 [93/93]
書くの忘れてた
おしまい。
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