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律「さわちゃんに聞いてきた。やっぱり、泊まり込みだってさ」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:51:40.14 ID:GtgG+5ULP [1/63]
軽音部・部室
唯「たっぷりー♪」 じゃーん
律「おーし、休憩。って、外真っ暗じゃないか?」
澪「雨が降るような事は天気予報で言ってたけど。今日はもう、終わりに・・・」
ざざーっ。
紬「滝みたいに降ってきたわよ。大丈夫かしら」
軽音部・部室
唯「たっぷりー♪」 じゃーん
律「おーし、休憩。って、外真っ暗じゃないか?」
澪「雨が降るような事は天気予報で言ってたけど。今日はもう、終わりに・・・」
ざざーっ。
紬「滝みたいに降ってきたわよ。大丈夫かしら」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:52:42.41 ID:GtgG+5ULP
梓「とにかく今日は帰りましょうよ。早くしないと、本当に帰れなく・・・」
がたがたがたっ。
澪「わっ」
律「風も出てきたな。レインコートでもないと、ずぶ濡れになるぞ」
唯「ギー太も濡れちゃうしね。でもいざとなれば、部室に泊まれば良いんだよ」
梓「唯先輩は、すぐそういう事言うんだから」
ぴかぴかっ、ごろごろっ
澪「うわっ」
紬「・・・雷も鳴ってるし、外へは出ない方が良さそうね」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:53:36.76 ID:GtgG+5ULP
1時間経過
唯「止まないね-」
澪「むしろ、どんどんひどくなってるぞ」
律「携帯で天気予報見てるけど、この辺に雷雲が発生してるみたいだな」
梓「ムギ先輩の言う通り、下手に外へ出ると危なそうですね」
律「これは冗談抜きで、泊まり込みになるかもな。ちょっと、職員室で聞いてくるわ」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:54:46.59 ID:GtgG+5ULP
職員室
さわ子「校長先生とも話し合ったんだけど、部活で残ってた子は全員泊まってもらうしかないわね」
律「講堂や体育館に避難するのか?」
さわ子「それが駄目なのよ。ガラスが割れて、雨が吹き込んできてるの。、今は、部室で待ってて頂戴」
律「さわちゃんは?」
さわ子「勿論私も泊まり込みよ」
律「大人は大変だな」
さわ子「だから大人って言うのよ。あなた達、ちゃんと家の人に連絡しなさいよ」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:55:56.92 ID:GtgG+5ULP
軽音部・部室
律「さわちゃんに聞いてきた。やっぱり、泊まり込みだってさ」
紬「お疲れ様。水さえ溜めておけば、一晩くらいならどうにかなりそうね」
律「後は懐中電灯と非常食。それと今の内に、携帯を充電した方が良いな」
唯「りっちゃん、なんか恰好良いね」 ずずー
梓「唯先輩もお茶ばかり飲んでないで、準備して下さい」
唯「え、何やるの?」
梓「窓にテープを貼ります。強度を保てますし、万が一割れた時に破片が飛ぶのを防ぎます」
唯「後は、おへそ隠さないとねー」 ずずー
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:57:24.25 ID:GtgG+5ULP
梓「唯先輩、隙間にも貼って下さいよ」
唯「はーい。すぐ止むと良いね」
梓「確かに準備は大変ですけど、無駄になった方が良いですよ」
唯「本当だよ。・・・外はどうなってるのかな。後で、用水路を見に行こうか」
梓「・・・それだけは、絶対に止めて下さい」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:58:52.19 ID:GtgG+5ULP
和「・・・みんないるわね。これ、学校から非常食の配給」
唯「ありがとー。和ちゃんも、ここに泊まってく?」
和「私は生徒会室に泊まるのよ。そっちの方が広いし、唯達も来る?」
唯「大丈夫。軽音部は、狭いながらも楽しい我が家だよ」
和「唯らしいわね。何かあったら、すぐ連絡しなさいよ」
唯「ありがとー」
律「断って良かったのか?生徒会には絶対、余分の毛布とか非常食が余ってるぞ」
唯「でもそれだと、使いたい人が来た時困るでしょ。私達は何も無くても、みんながいるから大丈夫だよ」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:59:52.16 ID:GtgG+5ULP
律「非常食は小分けにして、必要な分だけ食べるからな。後はお互いの居場所を常に確認する事」 てきぱき
梓「なんだかんだと言って、律先輩は頼りになりますね」
澪「仮にも軽音部の部長だからな」
梓「今、しみじみそれを実感してます」
律「ん、何の話だ?ムギ、校舎の見取り図ってあるか?一応、避難ルートを考え無いとな」
紬「ええ。風向きを考えると、ここの廊下よりもこっちを使った方が安全そうね」
律「分かった。後で一度、ルートを確かめてみるよ」
紬「私は荷物が持ち出せるよう、準備しておくわね」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:01:01.60 ID:GtgG+5ULP
唯「避難?」
紬「万が一の話よ。唯ちゃんも大切な物は、身に付けておいた方が良いわよ。私もキーボードは、職員室に預けてあるから」
唯「私の大切な物は、ギー太と・・・。ああ、トンちゃんをどうしようか?」
紬「今の内に職員室へ運んでおいたら?」
唯「そだね。あずにゃん、手伝ってー」
梓「あ、はい」
唯「トンちゃんさえ無事なら、私はもう何も心配する事無いよ」
梓「唯先輩は気を抜いてないで自分の事も心配して下さいよ」
唯「てへへ、怒られた」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:01:54.31 ID:GtgG+5ULP
校舎1階・廊下
唯「良く見えないけど、水が溜まってきてない?」
梓「冠水してるって事ですか。・・・確かに、そう言われてみると」
唯「よかったね、学校が3階建てで」
梓「確かに平屋だったら、冷や汗を掻いてたかも知れません」
唯「良かった、良かった。本当に、ありがたい話だよ」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:02:44.96 ID:GtgG+5ULP
唯「ただいまー」
梓「ただ今戻りました」
律「おう。それにしても寝るには早いし、どうするよ」
澪「演奏してる場合でも無いな」
紬「トランプする?」
律「そうだな。負けた奴は罰ゲームとか」
澪「え?」
律「リスクを負わないゲームなんて、面白くもなんとも無いだろ」
澪「う、うぅ」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:03:42.33 ID:GtgG+5ULP
律「あぎゃーっ」
澪「弱すぎだ、お前は」
律「もうやらねー。ポーカーなんて、二度とやらねー」
紬「うふふ♪お茶淹れてくるわね・・・。あら?」
フッ
唯「今、少し暗くなったような」
律「梓、懐中電灯の準備。澪は、さわちゃんと和に連絡。停電したらどうするか聞いてくれ」
澪「ああ、分かった」
紬「私は念のために、ガスの元栓を閉めておくわね。暗い中で間違えて触ったら危ないから」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:04:48.98 ID:GtgG+5ULP
唯「りっちゃんって、恰好良いね。ムギちゃんも」
梓「人間、いざって時に本性が現れるんですよ。つまり普段はほわほわしてても、律先輩やムギ先輩の本質はああなんです」
唯「私も普段から、ほわほわしてるよ」
梓「それが唯先輩の本質なんです」
唯「あずにゃん、さりげなくしどい」
梓「そ、そういう意味で言った訳では」
唯「冗談だよ-、あずにゃん♪」
紬「うふふ♪」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:05:57.86 ID:GtgG+5ULP
律「さてと、さすがにそろそろ寝るか。明かり消すぞー」
唯「おー」
澪「拳を振り上げるな」
紬「うふふ♪」
梓「もう、唯先輩は」 くすっ
スッ
唯「・・・あれ、もう消した?」
律「いや。これは停電だな。梓、懐中電灯」
梓「は、はい」 カチッ
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:06:51.12 ID:GtgG+5ULP
律「改めて、電気を消してと・・・。目が慣れるまで危ないな、これは」
澪「うぅ。暗い」
梓「澪先輩が懐中電灯を持ちますか?」
澪「い、いや。我慢出来る」
律「我慢って言うな、我慢って。取りあえずさわちゃんに・・・。ちっ、圏外だ」
紬「私の携帯も。雷雲のせいかしら」
律「停電してるだけだから、大丈夫と言えば大丈夫なんだが。窓際は危ないし、廊下側にみんなで固まろうぜ」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:07:35.45 ID:GtgG+5ULP
紬「澪ちゃん、大丈夫?」 きゅっ
澪「あ、ありがとう。唯と梓も大丈夫か」
唯「大丈夫、大丈夫。ね、あずにゃん」
梓「ええ。それに、明けない夜は無いって言うじゃ無いですか」
澪「大げさだな、梓は。・・・でも、少し気が楽になった。ありがとう、梓」
梓「い、いえ。私はそんな」
唯「あずにゃんは、私の自慢の後輩なんですよー♪」
澪「私の自慢の後輩でもあるからな♪」
梓「い、いや。その、あの」
律「楽しそうだな、おい」
紬「うふふ」♪
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:08:24.59 ID:GtgG+5ULP
紬「さっきよりも風が出てきたみたいね。窓、大丈夫かしら」
律「これだけ距離があれば、割れても破片は飛んでこないだろ」
紬「そうね」
律「さて。寝れるような状況でもないけど、横になりたい奴は横になれよ。梓、平気か?」
唯「あずにゃん、私の膝で寝て良いよ」 ぽんぽん
梓「唯先輩こそ、寝なくて良いんですか?」
唯「私は、あずにゃんの先輩だからね」
梓「・・・はい」 にこ
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:09:24.93 ID:GtgG+5ULP
紬「さっきよりも風が出てきたみたいね。窓、大丈夫かしら」
律「これだけ距離があれば、割れても破片は飛んでこないだろ」
紬「そうね」
律「さて。寝れるような状況でもないけど、横になりたい奴は横になれよ。梓、平気か?」
唯「あずにゃん、私の膝で寝て良いよ」 ぽんぽん
梓「唯先輩こそ、寝なくて良いんですか?」
唯「私は、あずにゃんの先輩だからね」
梓「・・・はい」 にこ
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:10:21.06 ID:GtgG+5ULP
ごごごーっ
梓「風、すごいですね」
唯「りっちゃんのドラム並みかな」
律「おい」」
紬「そのくらいパワフルって事よ♪」
律「ちぇー。おい澪、大丈夫か」
澪「ああ。みんなが一緒だから、平気だよ」
律「よしよし。澪も、少し寝るか」 ぽんぽん
澪「・・・うん」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:11:20.96 ID:GtgG+5ULP
紬「二人とも、寝ちゃったわね」
律「普通なら、もう寝てる時間だしな」
紬「りっちゃんは大丈夫?」
律「澪達が起きたら、順番に寝るか」
紬「そうね。……唯ちゃんもそれで良い?」
唯「うん。気付いたら雨が止んでて、朝になってれば良いんだけどね」
律「そうなるさ。でもって明日は、全員で一緒に寝るんだよ」
紬「うふふ♪そうね」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:12:12.43 ID:GtgG+5ULP
がたがたがたっ、びしびしっ、がたがたがたっ
紬「これは、ちょっとどうなのかしら」
律「寝てる場合じゃないかもな。・・・澪、起きろ。おーい、澪」 ゆさゆさ
唯「あずにゃん、あずにゃん」 ゆさゆさ
梓「・・・おはようございます」
律「礼儀正しいな、おい」
澪「・・・ごめん。本当に寝ちゃってた」
律「いや、それは良いんだが。かなり風が強くなってきた。下手すると、これは・・・」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:13:10.84 ID:GtgG+5ULP
ガシャッ。バリッ、ガシャガシャッ。
澪「うわっ?」
律「やべ、本当に割れたっ」
梓「ギ、ギターが、飛んでっちゃいましたよっ」
唯「で、でも。こ、こにいたら危ないよね」
律「ああ。階段まで一旦出て、取りあえずはそこで待機するか」
紬「・・・澪ちゃんっ?」
律「ムギ、どうした?」
紬「澪ちゃんが、窓際にっ」
律「なにっ?・・・おい澪っ、戻れっ」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:14:11.04 ID:GtgG+5ULP
澪「駄目だっ。ギターが濡れるっ」
唯「澪ちゃんっ、危ないよっ。早く、戻って来てっ」
梓「澪先輩っ。ギターよりも、自分の事を心配して下さいっ」
澪「そんな事、出来る訳が・・・。それ程、濡れてないな」
梓「・・・先輩、ギターを投げて下さいっ」
澪「・・・落とせば壊れるぞっ」
梓「構いませんっ。先輩は、自分の事だけを考えて下さいっ」
澪「分かった・・・。えいっ」
唯「うわっと。・・・ムッタンキャッチッ」
澪「次、行くぞっ」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:15:01.55 ID:GtgG+5ULP
紬「ギー太も、キャッチッ」
梓「エリザベスもっ」
澪「後はドラムと……」
ガシャッ、バリバリッ、ガシャッ
澪「わっ?」
律「くっ、また割れたか。澪ーっ、早く戻ってこいっ」
澪「・・・律っ、ドラムは置いてくぞっ」
律「そんな事構うなっ。私はここにいるっ。だから、お前は戻ってこいっ」
澪「ああっ」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:16:15.70 ID:GtgG+5ULP
澪「くっ、風が強くて」
紬「澪ちゃん、急いでっ。また割れたら危ないわよっ」
澪「分かってる。分かってるけど、雨で前が」
ビューッ、ビュー、ビューッ
澪「うわっ」
律「ちっ」 ダダダッ
紬「りっちゃんっ?」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:17:09.19 ID:GtgG+5ULP
ガシャッ、ガシャッ、ガシャーッ
律「くっ」
澪「律っ」
律「構うなっ。走れっ」
澪「わ、分かったっ」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:18:01.93 ID:GtgG+5ULP
律「はぁ、はぁ、はぁ」
澪「わ、私をかばったから・・・」
律「気にすんな。ちょっと破片がかすめただけで・・・。くっ」
紬「りっちゃん、動かないで。・・・梓ちゃん、懐中電灯を」
梓「は、はい」
紬「膝の上が結構切れてるわね。それ程、深くはないみたいだけど」
澪「ごめん、ごめん。律」
律「だから、気にすんなって。それより、エリザベスが無事で良かったな」
澪「律・・・」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:19:07.54 ID:GtgG+5ULP
紬「何も無いけど、とにかく縛った方が良いわね」
澪「私のハンカチとリボンで」
律「おい、澪」
澪「律は黙ってろっ。・・・これでいいか、ムギ」
紬「多分、大丈夫だと思う。りっちゃん、きつくない?」
律「ああ、ありがとう。しかし、廊下に出てもあまり変わらないな」
紬「風のせいで、ドアが閉まらないのね」
澪「・・・生徒会室まで行こう。そうすれば消毒や包帯もあると思う」
律「でも私はちょっと・・・」
紬「大丈夫よ」 ひょいっ
律「おわっ」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:20:08.37 ID:GtgG+5ULP
律「おい、ムギ。大丈夫か?」
紬「全然平気よ♪ムギちゃんこそ、辛くない?」
律「いや。快適だけどさ」
紬「良かった♪」
澪「梓、懐中電灯を貸してくれ。私が前を歩く」
梓「は、はい」
律「大丈夫か?本当に真っ暗だぞ」
澪「そんな事言ってる場合じゃないだろ。梓、ムギと律の事見ててくれ」
梓「は、はい」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:21:26.69 ID:GtgG+5ULP
澪「階段濡れてるから、気を付けろ」
紬「了解」
梓「律先輩、痛くないですか」
律「だから少し切れただけだって」
梓「唯先輩も、大丈夫ですか」
唯「へ、平気だよ」 よろよろ
梓「ムッタンは自分で持ちますから。先輩は、ギー太とエリザベスをお願いします」
唯「ご、ごめん。本当、ムギちゃんはすごいねー」
紬「りっちゃんは軽いから♪」
律「照れるな、おい」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:22:42.47 ID:GtgG+5ULP
2F廊下
ざー、ざざー、ざー
梓「ここも、結構窓が割れてますね」
澪「ただ生徒会室へ行くには、ここを抜けるしかないんだよ。ムギ、大丈夫か」
紬「私は平気だけど、りっちゃんが」
律「今更濡れても気にしないさ」
澪「分かった。ムギ、悪いけど、出来るだけ急いでくれ」
紬「了解」
梓「ちょっと待って下さい」 たたたっ
澪「梓っ?」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:23:37.93 ID:GtgG+5ULP
紬「梓ちゃんっ」
梓「ムッタンで割れた所を押さえてますから、今の内に渡って下さい」
澪「悪い、梓・・・。ムギ」
紬「ええ。りっちゃん、行くわよ」
律「ああ。梓・・・、正直済まん」
梓「なんですか、それ」 くすっ
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:24:30.67 ID:GtgG+5ULP
澪「どうにか渡れたか・・・。唯も早くっ」
唯「あ、うん。今行くよ。あずにゃんも早く、向こう側へ」
梓「唯先輩が渡ったら、すぐに行きます・・・。あれ?」
唯「あずにゃん、どうしたの?」
梓「いえ、その。あの。割れた窓を塞いでるギターが」
唯「うん」
梓「・・・ムッタンじゃなくて、ギー太でした」
唯「え?」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:25:20.60 ID:GtgG+5ULP
梓「ご、ごめんなさい。本当に、済みません。済みませんでしたっ」
唯「・・・あずにゃん」
梓「は、はい」 びくっ
唯「・・・ありがとう、あずにゃん♪」 きゅっ
梓「え」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:26:22.44 ID:GtgG+5ULP
唯「あずにゃんが窓を塞いでくれたから、ムギちゃんとりっちゃんは濡れずに渡れたんだよ」
梓「でも、ギー太が」
唯「大丈夫だよ。ギー太も、みんなを守れて嬉しいって言ってるしね」
梓「でも」
唯「ギー太がそう思ってるって事は、私もそう思ってるんだよ。あずにゃん、ありがとうって」
梓「・・・唯先輩っ」 きゅっ
唯「良かった、良かった」 きゅっ
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:27:21.50 ID:GtgG+5ULP
2階・廊下
律「でもそれって、唯が間違えてギー太を渡したんじゃないのか?」
唯「・・・本当、風が強いねー。何も聞こえないよ」
律「この野郎。しかし生徒会室って、結構遠いな」
梓「暗いですし、ゆっくり進んでますからね」
紬「ごめんね、みんな。私がもっと早く歩ければ」
梓「そ、そんな事は全然。私こそ、勝手な事言って済みません」
律「正直済まん」
唯「りっちゃん、そればっかりだね」
梓「本当ですよ」 くすっ
紬「・・・」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:28:16.70 ID:GtgG+5ULP
2~1階・階段踊り場
澪「ちょっと休憩するか」
唯「そだね。雨も吹き込んでこないし、朝までここにいる?」
澪「唯達は濡れてるから、着替えるか体を乾かさないと」
梓「それに、律先輩の怪我もありますし」
律「私は全然平気だけどな。大体私よりも、ムギに聞かないと。・・・ムギ?」
紬「え?」
律「・・・ムギ。これって雨じゃなくて、汗だろ」
紬「私は、平気、だから」 にこ
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:29:07.06 ID:GtgG+5ULP
律「そんな訳あるか。大体無理しすぎたんだよ。いくら何でも、ずっと私を背負って歩ける訳無いだろ」
紬「平気だって。りっちゃん、軽いから」
律「だからって、限度があるよ。・・・ここからは私も歩くから」
紬「りっちゃん。わがまま言わないで」
律「わがまま言ってるのはムギだろっ」
紬「りっちゃんっ」
梓「ふ、二人とも、落ち着いて下さい」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:30:03.38 ID:GtgG+5ULP
律「とにかく私は歩くからな。・・・っと」 よろっ
澪「律っ?」
唯「りっちゃん?」
律「は、はは。演技演技。ずっと背負われてたから、立ちくらみしただけだよ。全然平気だって。・・・くっ」 よろっ
紬「りっちゃん、背中に乗って」
律「平気だって言ってるだろ」
紬「りっちゃん」
律「だから平気だって・・・」
紬「りっちゃん、乗りなさいっ」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:30:51.73 ID:GtgG+5ULP
律「・・・正直、済まん」 ひょい
紬「りっちゃん、そればっかりね」 くす
律「たはは」
紬「うふふ♪」
梓「一時はどうなるかと思いましたが、本当に良かったです」
唯「私も変な汗かいちゃった」
澪「あと少しの辛抱だ。ムギ、律の事頼むぞ」
紬「任せて♪」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:31:48.86 ID:GtgG+5ULP
澪「・・・もうすぐ、職員室だ。ムギ、大丈夫か」
紬「ええ、勿論」
ピロピロピロ♪
律「ん?携帯が・・・。調子が戻ったのかな。あ、さわちゃん?え、なんだって?」
さわ子「ふし・・。しゃ・・・。に・・・」
律「さわちゃん?おい、さわちゃん?」
ツー、ツー、ツー
梓「何だったんですか?」
律「良く聞こえなかったけど、不審者がどうとか」
澪「えっ?」 びくっ
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:32:38.28 ID:GtgG+5ULP
律「はっきりとは聞き取れなかったんだけどな。不審者、逃げてとかなんとか言ってた」
澪「それって、まずくないか?」
律「間違い無く、まずいだろうな」
梓「こんな時なのに、どうして不審者が?」
紬「逆にこんな時だから、かしら。外部の人間が入り込んでも、絶対気付かれないでしょ」
がたがた、がたがたっ
澪「わっ」
梓「ひっ」
律「なんだか、背筋が寒くなってきたぞ」
紬「唯ちゃんは大丈夫?・・・唯ちゃん?」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:33:27.35 ID:GtgG+5ULP
唯「大丈夫だよ」 にこっ
紬「唯、ちゃん?」
唯「私がギー太で、みんなを守るから」
律「おい」
唯「私が一人で犠牲になるつもりは無いよ。そんな事になっても、誰も喜ばないでしょ」
澪「当たり前だ」
唯「だから私はギー太で不審者を倒して、みんなと一緒に朝まで寝るんだよ」
紬「唯ちゃん」
唯「私はギー太がいれば。それにみんながいれば、何だって出来るんだから」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:34:19.84 ID:GtgG+5ULP
梓「そんな訳無いじゃないですか」
唯「あずにゃん?」
梓「先輩一人に任せられる訳無いじゃないですか。・・・唯先輩の背中は、私が守ります」
唯「あずにゃん♪」
梓「大体唯先輩一人では、危なっかしくて見てられません」
唯「たはは。面目ない」
梓「頑張りましょう、先輩」
唯「うん。頼むよ、あずにゃん」
梓「はいっ」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:35:08.27 ID:GtgG+5ULP
1階廊下
唯「私達が前を歩くから、澪ちゃんはライトで照らして」
澪「ああ」
ガタガタ、ガタガタッ
唯「まだ、風が強いね」
梓「割れた窓から入り込んだんでしょうか」
唯「あずにゃん、油断しちゃ駄目だよ」
梓「はいっ」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:36:11.80 ID:GtgG+5ULP
澪「本当に不審者がいるのか?」
紬「ただこれだけ暗いと、仮にいても気付かないわね」
澪「・・・ムギ。いざって時は走ってもらうぞ」
紬「任せて♪」
律「正直済まん」
澪「馬鹿」 くすっ
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:37:22.44 ID:GtgG+5ULP
ぺた、ぺた、ぺた
律「・・・変な音しないか?」
紬「確かに、何か聞こえるわね」
澪「後ろ、か。・・・ライトで届く範囲にはいないみたいだな」
紬「唯ちゃん、前に誰かいる?」
唯「ちょっと見えないね。・・・ああ、携帯を」 ぱかっ
梓「こちらも、誰もいませんね」
ぺた、ぺた、ぺた
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:38:22.99 ID:GtgG+5ULP
唯「音は、するね」
梓「先輩」
唯「大丈夫だよ、あずにゃん。手、出して」
梓「は、はい」
唯「大丈夫、だからね」 きゅ
梓「はい」 きゅ
ぺた、ぺた、ぺた
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:39:13.94 ID:GtgG+5ULP
紬「走る?」
澪「いや。迂闊に動く方が危ないかも知れない。一度止まって、何なのかを確かめよう」
ぺた、ぺた、ぺた、ぺた、ぺた
紬「・・・近付いて来てるわね」
澪「・・・後ろだ。ライトの範囲に入った。足が見える。・・・それと、血の付いた角材か?」
唯「任せて。あずにゃんっ」
梓「はいっ」
ぺた、ぺた、ぺた、ぺた、ぺたっ
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:40:03.79 ID:GtgG+5ULP
紬「……近いわよ」
律「澪」
澪「もう少し、もう少し。もう少し」
ぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺた
律「澪っ」
澪「え、えいっ」 ぴかっ
?「ぎゃーっ」
唯「だーっ」 だだだっ
梓「唯先輩っ」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:40:54.27 ID:GtgG+5ULP
唯「覚悟しろっ」 ぶんっ
梓「ゆ、唯先輩っ。危ないっ」
唯「情け無用っ」 ぶんぶんっ
?「ひゃーっ」
梓「唯先輩っ、止めて下さいっ」 はしっ
唯「あずにゃん、止めないでっ。ここで倒さないと、私達が・・・」
梓「よ、良く見て下さいっ」
唯「見てって、そんなの不審者・・・。あれ?」
梓「・・・そういう事です」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:41:44.70 ID:GtgG+5ULP
職員室
唯「・・・つくづく、申し訳ありませんでした」
さわ子「冗談じゃないわよ。ここをかすめたわよ、ここを」
唯「たはは。だってりっちゃんが、不審者とかいうから、つい」
さわ子「不審者?無事に校舎から出られるのなら、帰って良いわよって言っただけじゃない」
律「正直、済まん」
澪「腰が抜けたよ、今更」
紬「私も、もう限界」 くす
澪「全くだ」 くす
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:42:41.10 ID:GtgG+5ULP
梓「雨、もう止んでたんですね」
さわ子「今は風だけよ。父兄が迎えに来た子から、順に帰って行ってるわ」
唯「そですか」
さわ子「全く。連絡付かないから人が迎えに行ったのに。ここをギターが、すーって。すーって」
唯「だって、ぺたぺた音がするんだもん」
さわ子「ずぶ濡れだったんだから仕方ないでしょ。大体赤い傘を、どうして角材と見間違う訳」
澪「その、あの。色々、混乱してまして」
梓「と、とにかく、無事で何よりです」
さわ子「まあ、そういう事にしておくわ。りっちゃんの傷も軽いし、縫う程でもないでしょ」
律「・・・」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:43:36.20 ID:GtgG+5ULP
さわ子「とにかくあなた達、家の人に・・・。ちょっと聞いて、無いわね全然」
唯「ういー♪」 すかー
梓「背中ですよ、お腹じゃないですよ」 すかー
澪「お化け、お化け出ないよな」 すかー
紬「りっちゃん、結構重いかも♪」 すかー
律「正直、済まん」 すかー
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:44:29.46 ID:GtgG+5ULP
和「山中先生、後は唯達と連絡が取れれば・・・。これは、一体」
さわ子「私が知りたいわよ」 くすっ
和「唯達が無事なら、全員安否が確認出来ました」 ふぁー
さわ子「ご苦労様。真鍋さんも休んだら」
和「・・・では、失礼して」 もぞもぞ
唯「和ちゃーん♪」 すかー
和「全く、唯ったら♪」 すかー
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:45:21.66 ID:GtgG+5ULP
さわ子「えー。毛布は、と」 ふさっ
唯「ありがとー」 すかー
さわ子「あーあ。私も疲れたわよ」 もぞもぞ
唯「キャサリーン♪」 すかー
さわ子「私だって、私なりに頑張ってるのよ-」 すかー
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:46:13.57 ID:GtgG+5ULP
翌日・放課後、軽音部
律「言葉がないな」
澪「まずは、割れたガラスを片付けるか。危ないから、慎重にな」
梓「はい」
唯「りっちゃんとムギちゃんは休んでて良いよ。私達でやるからね」
紬「正直済まん」
律「あ、この野郎」
紬「一度言ってみたかったの♪」
律「全く」 くすっ
唯、澪、梓「あはは」
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:47:03.07 ID:GtgG+5ULP
澪「取りあえず、ガラスは片付いたか」
梓「ドラムも、それ程濡れてませんね。風の吹く向きと逆にあったみたいです」
律「どっちにしろ怪我してるし、しばらくは乾かしておくさ」
唯「ギー太もひなたぼっこさせないとね」
梓「ムッタン、隣良いですか?」
唯「勿論、大歓迎だよ♪」 にこっ
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:47:56.00 ID:GtgG+5ULP
澪「終わってみれば、大した事は起きてなかったんだよな」
紬「そうかも知れないわね」 くすくす
澪「・・・私、恥ずかしい事言ってなかったか?」
紬「全然。むしろ恰好良かったわよ」
澪「ぐっ」
律「いざって時は、人間おかしくなるものさ」
澪「反論出来ん」
律「冗談だよ、冗談。昨日はありがとう」 撫で撫で
澪「ん」 こくり
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:48:47.32 ID:GtgG+5ULP
唯「楽器がこれだと演奏も出来ないし、今日はどうする?」
梓「困りましたね」
律「確かに、な」
紬「うーん」
澪「お茶にするか」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:49:51.08 ID:GtgG+5ULP
律「澪らしくない台詞だな」
澪「変か?」
唯「全然。これぞ軽音部って台詞だよ」
澪「軽音部?」
唯「そう。桜が丘高校高校軽音部は、やっぱりこうでなくちゃ」
梓「なんですか、それ」 くす
紬「うふふ♪」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:50:49.14 ID:GtgG+5ULP
律「だったら、昨日の澪発言集を再現して盛り上がろうぜー」
澪「調子に乗るな」 ぺた
律「正直済まん」
澪「やっぱりそれか」 くすっ
唯、紬、梓「あはは」
終わり
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:51:44.79 ID:GtgG+5ULP [63/63]
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
また多様な突っ込みも頂き、ありがとうございます。
突っ込みどころ満載。かつ澪が言っているように、大した事は起きてないんですけどね。
ただそれは、終わったからこそ言える事なのでしょう。
またテーマとしては、「いざという時はみんな恰好良い」でした。
梓「とにかく今日は帰りましょうよ。早くしないと、本当に帰れなく・・・」
がたがたがたっ。
澪「わっ」
律「風も出てきたな。レインコートでもないと、ずぶ濡れになるぞ」
唯「ギー太も濡れちゃうしね。でもいざとなれば、部室に泊まれば良いんだよ」
梓「唯先輩は、すぐそういう事言うんだから」
ぴかぴかっ、ごろごろっ
澪「うわっ」
紬「・・・雷も鳴ってるし、外へは出ない方が良さそうね」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:53:36.76 ID:GtgG+5ULP
1時間経過
唯「止まないね-」
澪「むしろ、どんどんひどくなってるぞ」
律「携帯で天気予報見てるけど、この辺に雷雲が発生してるみたいだな」
梓「ムギ先輩の言う通り、下手に外へ出ると危なそうですね」
律「これは冗談抜きで、泊まり込みになるかもな。ちょっと、職員室で聞いてくるわ」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:54:46.59 ID:GtgG+5ULP
職員室
さわ子「校長先生とも話し合ったんだけど、部活で残ってた子は全員泊まってもらうしかないわね」
律「講堂や体育館に避難するのか?」
さわ子「それが駄目なのよ。ガラスが割れて、雨が吹き込んできてるの。、今は、部室で待ってて頂戴」
律「さわちゃんは?」
さわ子「勿論私も泊まり込みよ」
律「大人は大変だな」
さわ子「だから大人って言うのよ。あなた達、ちゃんと家の人に連絡しなさいよ」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:55:56.92 ID:GtgG+5ULP
軽音部・部室
律「さわちゃんに聞いてきた。やっぱり、泊まり込みだってさ」
紬「お疲れ様。水さえ溜めておけば、一晩くらいならどうにかなりそうね」
律「後は懐中電灯と非常食。それと今の内に、携帯を充電した方が良いな」
唯「りっちゃん、なんか恰好良いね」 ずずー
梓「唯先輩もお茶ばかり飲んでないで、準備して下さい」
唯「え、何やるの?」
梓「窓にテープを貼ります。強度を保てますし、万が一割れた時に破片が飛ぶのを防ぎます」
唯「後は、おへそ隠さないとねー」 ずずー
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:57:24.25 ID:GtgG+5ULP
梓「唯先輩、隙間にも貼って下さいよ」
唯「はーい。すぐ止むと良いね」
梓「確かに準備は大変ですけど、無駄になった方が良いですよ」
唯「本当だよ。・・・外はどうなってるのかな。後で、用水路を見に行こうか」
梓「・・・それだけは、絶対に止めて下さい」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:58:52.19 ID:GtgG+5ULP
和「・・・みんないるわね。これ、学校から非常食の配給」
唯「ありがとー。和ちゃんも、ここに泊まってく?」
和「私は生徒会室に泊まるのよ。そっちの方が広いし、唯達も来る?」
唯「大丈夫。軽音部は、狭いながらも楽しい我が家だよ」
和「唯らしいわね。何かあったら、すぐ連絡しなさいよ」
唯「ありがとー」
律「断って良かったのか?生徒会には絶対、余分の毛布とか非常食が余ってるぞ」
唯「でもそれだと、使いたい人が来た時困るでしょ。私達は何も無くても、みんながいるから大丈夫だよ」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 14:59:52.16 ID:GtgG+5ULP
律「非常食は小分けにして、必要な分だけ食べるからな。後はお互いの居場所を常に確認する事」 てきぱき
梓「なんだかんだと言って、律先輩は頼りになりますね」
澪「仮にも軽音部の部長だからな」
梓「今、しみじみそれを実感してます」
律「ん、何の話だ?ムギ、校舎の見取り図ってあるか?一応、避難ルートを考え無いとな」
紬「ええ。風向きを考えると、ここの廊下よりもこっちを使った方が安全そうね」
律「分かった。後で一度、ルートを確かめてみるよ」
紬「私は荷物が持ち出せるよう、準備しておくわね」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:01:01.60 ID:GtgG+5ULP
唯「避難?」
紬「万が一の話よ。唯ちゃんも大切な物は、身に付けておいた方が良いわよ。私もキーボードは、職員室に預けてあるから」
唯「私の大切な物は、ギー太と・・・。ああ、トンちゃんをどうしようか?」
紬「今の内に職員室へ運んでおいたら?」
唯「そだね。あずにゃん、手伝ってー」
梓「あ、はい」
唯「トンちゃんさえ無事なら、私はもう何も心配する事無いよ」
梓「唯先輩は気を抜いてないで自分の事も心配して下さいよ」
唯「てへへ、怒られた」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:01:54.31 ID:GtgG+5ULP
校舎1階・廊下
唯「良く見えないけど、水が溜まってきてない?」
梓「冠水してるって事ですか。・・・確かに、そう言われてみると」
唯「よかったね、学校が3階建てで」
梓「確かに平屋だったら、冷や汗を掻いてたかも知れません」
唯「良かった、良かった。本当に、ありがたい話だよ」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:02:44.96 ID:GtgG+5ULP
唯「ただいまー」
梓「ただ今戻りました」
律「おう。それにしても寝るには早いし、どうするよ」
澪「演奏してる場合でも無いな」
紬「トランプする?」
律「そうだな。負けた奴は罰ゲームとか」
澪「え?」
律「リスクを負わないゲームなんて、面白くもなんとも無いだろ」
澪「う、うぅ」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:03:42.33 ID:GtgG+5ULP
律「あぎゃーっ」
澪「弱すぎだ、お前は」
律「もうやらねー。ポーカーなんて、二度とやらねー」
紬「うふふ♪お茶淹れてくるわね・・・。あら?」
フッ
唯「今、少し暗くなったような」
律「梓、懐中電灯の準備。澪は、さわちゃんと和に連絡。停電したらどうするか聞いてくれ」
澪「ああ、分かった」
紬「私は念のために、ガスの元栓を閉めておくわね。暗い中で間違えて触ったら危ないから」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:04:48.98 ID:GtgG+5ULP
唯「りっちゃんって、恰好良いね。ムギちゃんも」
梓「人間、いざって時に本性が現れるんですよ。つまり普段はほわほわしてても、律先輩やムギ先輩の本質はああなんです」
唯「私も普段から、ほわほわしてるよ」
梓「それが唯先輩の本質なんです」
唯「あずにゃん、さりげなくしどい」
梓「そ、そういう意味で言った訳では」
唯「冗談だよ-、あずにゃん♪」
紬「うふふ♪」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:05:57.86 ID:GtgG+5ULP
律「さてと、さすがにそろそろ寝るか。明かり消すぞー」
唯「おー」
澪「拳を振り上げるな」
紬「うふふ♪」
梓「もう、唯先輩は」 くすっ
スッ
唯「・・・あれ、もう消した?」
律「いや。これは停電だな。梓、懐中電灯」
梓「は、はい」 カチッ
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:06:51.12 ID:GtgG+5ULP
律「改めて、電気を消してと・・・。目が慣れるまで危ないな、これは」
澪「うぅ。暗い」
梓「澪先輩が懐中電灯を持ちますか?」
澪「い、いや。我慢出来る」
律「我慢って言うな、我慢って。取りあえずさわちゃんに・・・。ちっ、圏外だ」
紬「私の携帯も。雷雲のせいかしら」
律「停電してるだけだから、大丈夫と言えば大丈夫なんだが。窓際は危ないし、廊下側にみんなで固まろうぜ」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:07:35.45 ID:GtgG+5ULP
紬「澪ちゃん、大丈夫?」 きゅっ
澪「あ、ありがとう。唯と梓も大丈夫か」
唯「大丈夫、大丈夫。ね、あずにゃん」
梓「ええ。それに、明けない夜は無いって言うじゃ無いですか」
澪「大げさだな、梓は。・・・でも、少し気が楽になった。ありがとう、梓」
梓「い、いえ。私はそんな」
唯「あずにゃんは、私の自慢の後輩なんですよー♪」
澪「私の自慢の後輩でもあるからな♪」
梓「い、いや。その、あの」
律「楽しそうだな、おい」
紬「うふふ」♪
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:08:24.59 ID:GtgG+5ULP
紬「さっきよりも風が出てきたみたいね。窓、大丈夫かしら」
律「これだけ距離があれば、割れても破片は飛んでこないだろ」
紬「そうね」
律「さて。寝れるような状況でもないけど、横になりたい奴は横になれよ。梓、平気か?」
唯「あずにゃん、私の膝で寝て良いよ」 ぽんぽん
梓「唯先輩こそ、寝なくて良いんですか?」
唯「私は、あずにゃんの先輩だからね」
梓「・・・はい」 にこ
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:09:24.93 ID:GtgG+5ULP
紬「さっきよりも風が出てきたみたいね。窓、大丈夫かしら」
律「これだけ距離があれば、割れても破片は飛んでこないだろ」
紬「そうね」
律「さて。寝れるような状況でもないけど、横になりたい奴は横になれよ。梓、平気か?」
唯「あずにゃん、私の膝で寝て良いよ」 ぽんぽん
梓「唯先輩こそ、寝なくて良いんですか?」
唯「私は、あずにゃんの先輩だからね」
梓「・・・はい」 にこ
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:10:21.06 ID:GtgG+5ULP
ごごごーっ
梓「風、すごいですね」
唯「りっちゃんのドラム並みかな」
律「おい」」
紬「そのくらいパワフルって事よ♪」
律「ちぇー。おい澪、大丈夫か」
澪「ああ。みんなが一緒だから、平気だよ」
律「よしよし。澪も、少し寝るか」 ぽんぽん
澪「・・・うん」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:11:20.96 ID:GtgG+5ULP
紬「二人とも、寝ちゃったわね」
律「普通なら、もう寝てる時間だしな」
紬「りっちゃんは大丈夫?」
律「澪達が起きたら、順番に寝るか」
紬「そうね。……唯ちゃんもそれで良い?」
唯「うん。気付いたら雨が止んでて、朝になってれば良いんだけどね」
律「そうなるさ。でもって明日は、全員で一緒に寝るんだよ」
紬「うふふ♪そうね」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:12:12.43 ID:GtgG+5ULP
がたがたがたっ、びしびしっ、がたがたがたっ
紬「これは、ちょっとどうなのかしら」
律「寝てる場合じゃないかもな。・・・澪、起きろ。おーい、澪」 ゆさゆさ
唯「あずにゃん、あずにゃん」 ゆさゆさ
梓「・・・おはようございます」
律「礼儀正しいな、おい」
澪「・・・ごめん。本当に寝ちゃってた」
律「いや、それは良いんだが。かなり風が強くなってきた。下手すると、これは・・・」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:13:10.84 ID:GtgG+5ULP
ガシャッ。バリッ、ガシャガシャッ。
澪「うわっ?」
律「やべ、本当に割れたっ」
梓「ギ、ギターが、飛んでっちゃいましたよっ」
唯「で、でも。こ、こにいたら危ないよね」
律「ああ。階段まで一旦出て、取りあえずはそこで待機するか」
紬「・・・澪ちゃんっ?」
律「ムギ、どうした?」
紬「澪ちゃんが、窓際にっ」
律「なにっ?・・・おい澪っ、戻れっ」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:14:11.04 ID:GtgG+5ULP
澪「駄目だっ。ギターが濡れるっ」
唯「澪ちゃんっ、危ないよっ。早く、戻って来てっ」
梓「澪先輩っ。ギターよりも、自分の事を心配して下さいっ」
澪「そんな事、出来る訳が・・・。それ程、濡れてないな」
梓「・・・先輩、ギターを投げて下さいっ」
澪「・・・落とせば壊れるぞっ」
梓「構いませんっ。先輩は、自分の事だけを考えて下さいっ」
澪「分かった・・・。えいっ」
唯「うわっと。・・・ムッタンキャッチッ」
澪「次、行くぞっ」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:15:01.55 ID:GtgG+5ULP
紬「ギー太も、キャッチッ」
梓「エリザベスもっ」
澪「後はドラムと……」
ガシャッ、バリバリッ、ガシャッ
澪「わっ?」
律「くっ、また割れたか。澪ーっ、早く戻ってこいっ」
澪「・・・律っ、ドラムは置いてくぞっ」
律「そんな事構うなっ。私はここにいるっ。だから、お前は戻ってこいっ」
澪「ああっ」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:16:15.70 ID:GtgG+5ULP
澪「くっ、風が強くて」
紬「澪ちゃん、急いでっ。また割れたら危ないわよっ」
澪「分かってる。分かってるけど、雨で前が」
ビューッ、ビュー、ビューッ
澪「うわっ」
律「ちっ」 ダダダッ
紬「りっちゃんっ?」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:17:09.19 ID:GtgG+5ULP
ガシャッ、ガシャッ、ガシャーッ
律「くっ」
澪「律っ」
律「構うなっ。走れっ」
澪「わ、分かったっ」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:18:01.93 ID:GtgG+5ULP
律「はぁ、はぁ、はぁ」
澪「わ、私をかばったから・・・」
律「気にすんな。ちょっと破片がかすめただけで・・・。くっ」
紬「りっちゃん、動かないで。・・・梓ちゃん、懐中電灯を」
梓「は、はい」
紬「膝の上が結構切れてるわね。それ程、深くはないみたいだけど」
澪「ごめん、ごめん。律」
律「だから、気にすんなって。それより、エリザベスが無事で良かったな」
澪「律・・・」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:19:07.54 ID:GtgG+5ULP
紬「何も無いけど、とにかく縛った方が良いわね」
澪「私のハンカチとリボンで」
律「おい、澪」
澪「律は黙ってろっ。・・・これでいいか、ムギ」
紬「多分、大丈夫だと思う。りっちゃん、きつくない?」
律「ああ、ありがとう。しかし、廊下に出てもあまり変わらないな」
紬「風のせいで、ドアが閉まらないのね」
澪「・・・生徒会室まで行こう。そうすれば消毒や包帯もあると思う」
律「でも私はちょっと・・・」
紬「大丈夫よ」 ひょいっ
律「おわっ」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:20:08.37 ID:GtgG+5ULP
律「おい、ムギ。大丈夫か?」
紬「全然平気よ♪ムギちゃんこそ、辛くない?」
律「いや。快適だけどさ」
紬「良かった♪」
澪「梓、懐中電灯を貸してくれ。私が前を歩く」
梓「は、はい」
律「大丈夫か?本当に真っ暗だぞ」
澪「そんな事言ってる場合じゃないだろ。梓、ムギと律の事見ててくれ」
梓「は、はい」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:21:26.69 ID:GtgG+5ULP
澪「階段濡れてるから、気を付けろ」
紬「了解」
梓「律先輩、痛くないですか」
律「だから少し切れただけだって」
梓「唯先輩も、大丈夫ですか」
唯「へ、平気だよ」 よろよろ
梓「ムッタンは自分で持ちますから。先輩は、ギー太とエリザベスをお願いします」
唯「ご、ごめん。本当、ムギちゃんはすごいねー」
紬「りっちゃんは軽いから♪」
律「照れるな、おい」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:22:42.47 ID:GtgG+5ULP
2F廊下
ざー、ざざー、ざー
梓「ここも、結構窓が割れてますね」
澪「ただ生徒会室へ行くには、ここを抜けるしかないんだよ。ムギ、大丈夫か」
紬「私は平気だけど、りっちゃんが」
律「今更濡れても気にしないさ」
澪「分かった。ムギ、悪いけど、出来るだけ急いでくれ」
紬「了解」
梓「ちょっと待って下さい」 たたたっ
澪「梓っ?」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:23:37.93 ID:GtgG+5ULP
紬「梓ちゃんっ」
梓「ムッタンで割れた所を押さえてますから、今の内に渡って下さい」
澪「悪い、梓・・・。ムギ」
紬「ええ。りっちゃん、行くわよ」
律「ああ。梓・・・、正直済まん」
梓「なんですか、それ」 くすっ
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:24:30.67 ID:GtgG+5ULP
澪「どうにか渡れたか・・・。唯も早くっ」
唯「あ、うん。今行くよ。あずにゃんも早く、向こう側へ」
梓「唯先輩が渡ったら、すぐに行きます・・・。あれ?」
唯「あずにゃん、どうしたの?」
梓「いえ、その。あの。割れた窓を塞いでるギターが」
唯「うん」
梓「・・・ムッタンじゃなくて、ギー太でした」
唯「え?」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:25:20.60 ID:GtgG+5ULP
梓「ご、ごめんなさい。本当に、済みません。済みませんでしたっ」
唯「・・・あずにゃん」
梓「は、はい」 びくっ
唯「・・・ありがとう、あずにゃん♪」 きゅっ
梓「え」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:26:22.44 ID:GtgG+5ULP
唯「あずにゃんが窓を塞いでくれたから、ムギちゃんとりっちゃんは濡れずに渡れたんだよ」
梓「でも、ギー太が」
唯「大丈夫だよ。ギー太も、みんなを守れて嬉しいって言ってるしね」
梓「でも」
唯「ギー太がそう思ってるって事は、私もそう思ってるんだよ。あずにゃん、ありがとうって」
梓「・・・唯先輩っ」 きゅっ
唯「良かった、良かった」 きゅっ
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:27:21.50 ID:GtgG+5ULP
2階・廊下
律「でもそれって、唯が間違えてギー太を渡したんじゃないのか?」
唯「・・・本当、風が強いねー。何も聞こえないよ」
律「この野郎。しかし生徒会室って、結構遠いな」
梓「暗いですし、ゆっくり進んでますからね」
紬「ごめんね、みんな。私がもっと早く歩ければ」
梓「そ、そんな事は全然。私こそ、勝手な事言って済みません」
律「正直済まん」
唯「りっちゃん、そればっかりだね」
梓「本当ですよ」 くすっ
紬「・・・」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:28:16.70 ID:GtgG+5ULP
2~1階・階段踊り場
澪「ちょっと休憩するか」
唯「そだね。雨も吹き込んでこないし、朝までここにいる?」
澪「唯達は濡れてるから、着替えるか体を乾かさないと」
梓「それに、律先輩の怪我もありますし」
律「私は全然平気だけどな。大体私よりも、ムギに聞かないと。・・・ムギ?」
紬「え?」
律「・・・ムギ。これって雨じゃなくて、汗だろ」
紬「私は、平気、だから」 にこ
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:29:07.06 ID:GtgG+5ULP
律「そんな訳あるか。大体無理しすぎたんだよ。いくら何でも、ずっと私を背負って歩ける訳無いだろ」
紬「平気だって。りっちゃん、軽いから」
律「だからって、限度があるよ。・・・ここからは私も歩くから」
紬「りっちゃん。わがまま言わないで」
律「わがまま言ってるのはムギだろっ」
紬「りっちゃんっ」
梓「ふ、二人とも、落ち着いて下さい」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:30:03.38 ID:GtgG+5ULP
律「とにかく私は歩くからな。・・・っと」 よろっ
澪「律っ?」
唯「りっちゃん?」
律「は、はは。演技演技。ずっと背負われてたから、立ちくらみしただけだよ。全然平気だって。・・・くっ」 よろっ
紬「りっちゃん、背中に乗って」
律「平気だって言ってるだろ」
紬「りっちゃん」
律「だから平気だって・・・」
紬「りっちゃん、乗りなさいっ」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:30:51.73 ID:GtgG+5ULP
律「・・・正直、済まん」 ひょい
紬「りっちゃん、そればっかりね」 くす
律「たはは」
紬「うふふ♪」
梓「一時はどうなるかと思いましたが、本当に良かったです」
唯「私も変な汗かいちゃった」
澪「あと少しの辛抱だ。ムギ、律の事頼むぞ」
紬「任せて♪」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:31:48.86 ID:GtgG+5ULP
澪「・・・もうすぐ、職員室だ。ムギ、大丈夫か」
紬「ええ、勿論」
ピロピロピロ♪
律「ん?携帯が・・・。調子が戻ったのかな。あ、さわちゃん?え、なんだって?」
さわ子「ふし・・。しゃ・・・。に・・・」
律「さわちゃん?おい、さわちゃん?」
ツー、ツー、ツー
梓「何だったんですか?」
律「良く聞こえなかったけど、不審者がどうとか」
澪「えっ?」 びくっ
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:32:38.28 ID:GtgG+5ULP
律「はっきりとは聞き取れなかったんだけどな。不審者、逃げてとかなんとか言ってた」
澪「それって、まずくないか?」
律「間違い無く、まずいだろうな」
梓「こんな時なのに、どうして不審者が?」
紬「逆にこんな時だから、かしら。外部の人間が入り込んでも、絶対気付かれないでしょ」
がたがた、がたがたっ
澪「わっ」
梓「ひっ」
律「なんだか、背筋が寒くなってきたぞ」
紬「唯ちゃんは大丈夫?・・・唯ちゃん?」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:33:27.35 ID:GtgG+5ULP
唯「大丈夫だよ」 にこっ
紬「唯、ちゃん?」
唯「私がギー太で、みんなを守るから」
律「おい」
唯「私が一人で犠牲になるつもりは無いよ。そんな事になっても、誰も喜ばないでしょ」
澪「当たり前だ」
唯「だから私はギー太で不審者を倒して、みんなと一緒に朝まで寝るんだよ」
紬「唯ちゃん」
唯「私はギー太がいれば。それにみんながいれば、何だって出来るんだから」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:34:19.84 ID:GtgG+5ULP
梓「そんな訳無いじゃないですか」
唯「あずにゃん?」
梓「先輩一人に任せられる訳無いじゃないですか。・・・唯先輩の背中は、私が守ります」
唯「あずにゃん♪」
梓「大体唯先輩一人では、危なっかしくて見てられません」
唯「たはは。面目ない」
梓「頑張りましょう、先輩」
唯「うん。頼むよ、あずにゃん」
梓「はいっ」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:35:08.27 ID:GtgG+5ULP
1階廊下
唯「私達が前を歩くから、澪ちゃんはライトで照らして」
澪「ああ」
ガタガタ、ガタガタッ
唯「まだ、風が強いね」
梓「割れた窓から入り込んだんでしょうか」
唯「あずにゃん、油断しちゃ駄目だよ」
梓「はいっ」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:36:11.80 ID:GtgG+5ULP
澪「本当に不審者がいるのか?」
紬「ただこれだけ暗いと、仮にいても気付かないわね」
澪「・・・ムギ。いざって時は走ってもらうぞ」
紬「任せて♪」
律「正直済まん」
澪「馬鹿」 くすっ
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:37:22.44 ID:GtgG+5ULP
ぺた、ぺた、ぺた
律「・・・変な音しないか?」
紬「確かに、何か聞こえるわね」
澪「後ろ、か。・・・ライトで届く範囲にはいないみたいだな」
紬「唯ちゃん、前に誰かいる?」
唯「ちょっと見えないね。・・・ああ、携帯を」 ぱかっ
梓「こちらも、誰もいませんね」
ぺた、ぺた、ぺた
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:38:22.99 ID:GtgG+5ULP
唯「音は、するね」
梓「先輩」
唯「大丈夫だよ、あずにゃん。手、出して」
梓「は、はい」
唯「大丈夫、だからね」 きゅ
梓「はい」 きゅ
ぺた、ぺた、ぺた
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:39:13.94 ID:GtgG+5ULP
紬「走る?」
澪「いや。迂闊に動く方が危ないかも知れない。一度止まって、何なのかを確かめよう」
ぺた、ぺた、ぺた、ぺた、ぺた
紬「・・・近付いて来てるわね」
澪「・・・後ろだ。ライトの範囲に入った。足が見える。・・・それと、血の付いた角材か?」
唯「任せて。あずにゃんっ」
梓「はいっ」
ぺた、ぺた、ぺた、ぺた、ぺたっ
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:40:03.79 ID:GtgG+5ULP
紬「……近いわよ」
律「澪」
澪「もう少し、もう少し。もう少し」
ぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺた
律「澪っ」
澪「え、えいっ」 ぴかっ
?「ぎゃーっ」
唯「だーっ」 だだだっ
梓「唯先輩っ」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:40:54.27 ID:GtgG+5ULP
唯「覚悟しろっ」 ぶんっ
梓「ゆ、唯先輩っ。危ないっ」
唯「情け無用っ」 ぶんぶんっ
?「ひゃーっ」
梓「唯先輩っ、止めて下さいっ」 はしっ
唯「あずにゃん、止めないでっ。ここで倒さないと、私達が・・・」
梓「よ、良く見て下さいっ」
唯「見てって、そんなの不審者・・・。あれ?」
梓「・・・そういう事です」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:41:44.70 ID:GtgG+5ULP
職員室
唯「・・・つくづく、申し訳ありませんでした」
さわ子「冗談じゃないわよ。ここをかすめたわよ、ここを」
唯「たはは。だってりっちゃんが、不審者とかいうから、つい」
さわ子「不審者?無事に校舎から出られるのなら、帰って良いわよって言っただけじゃない」
律「正直、済まん」
澪「腰が抜けたよ、今更」
紬「私も、もう限界」 くす
澪「全くだ」 くす
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:42:41.10 ID:GtgG+5ULP
梓「雨、もう止んでたんですね」
さわ子「今は風だけよ。父兄が迎えに来た子から、順に帰って行ってるわ」
唯「そですか」
さわ子「全く。連絡付かないから人が迎えに行ったのに。ここをギターが、すーって。すーって」
唯「だって、ぺたぺた音がするんだもん」
さわ子「ずぶ濡れだったんだから仕方ないでしょ。大体赤い傘を、どうして角材と見間違う訳」
澪「その、あの。色々、混乱してまして」
梓「と、とにかく、無事で何よりです」
さわ子「まあ、そういう事にしておくわ。りっちゃんの傷も軽いし、縫う程でもないでしょ」
律「・・・」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:43:36.20 ID:GtgG+5ULP
さわ子「とにかくあなた達、家の人に・・・。ちょっと聞いて、無いわね全然」
唯「ういー♪」 すかー
梓「背中ですよ、お腹じゃないですよ」 すかー
澪「お化け、お化け出ないよな」 すかー
紬「りっちゃん、結構重いかも♪」 すかー
律「正直、済まん」 すかー
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:44:29.46 ID:GtgG+5ULP
和「山中先生、後は唯達と連絡が取れれば・・・。これは、一体」
さわ子「私が知りたいわよ」 くすっ
和「唯達が無事なら、全員安否が確認出来ました」 ふぁー
さわ子「ご苦労様。真鍋さんも休んだら」
和「・・・では、失礼して」 もぞもぞ
唯「和ちゃーん♪」 すかー
和「全く、唯ったら♪」 すかー
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:45:21.66 ID:GtgG+5ULP
さわ子「えー。毛布は、と」 ふさっ
唯「ありがとー」 すかー
さわ子「あーあ。私も疲れたわよ」 もぞもぞ
唯「キャサリーン♪」 すかー
さわ子「私だって、私なりに頑張ってるのよ-」 すかー
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:46:13.57 ID:GtgG+5ULP
翌日・放課後、軽音部
律「言葉がないな」
澪「まずは、割れたガラスを片付けるか。危ないから、慎重にな」
梓「はい」
唯「りっちゃんとムギちゃんは休んでて良いよ。私達でやるからね」
紬「正直済まん」
律「あ、この野郎」
紬「一度言ってみたかったの♪」
律「全く」 くすっ
唯、澪、梓「あはは」
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:47:03.07 ID:GtgG+5ULP
澪「取りあえず、ガラスは片付いたか」
梓「ドラムも、それ程濡れてませんね。風の吹く向きと逆にあったみたいです」
律「どっちにしろ怪我してるし、しばらくは乾かしておくさ」
唯「ギー太もひなたぼっこさせないとね」
梓「ムッタン、隣良いですか?」
唯「勿論、大歓迎だよ♪」 にこっ
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:47:56.00 ID:GtgG+5ULP
澪「終わってみれば、大した事は起きてなかったんだよな」
紬「そうかも知れないわね」 くすくす
澪「・・・私、恥ずかしい事言ってなかったか?」
紬「全然。むしろ恰好良かったわよ」
澪「ぐっ」
律「いざって時は、人間おかしくなるものさ」
澪「反論出来ん」
律「冗談だよ、冗談。昨日はありがとう」 撫で撫で
澪「ん」 こくり
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:48:47.32 ID:GtgG+5ULP
唯「楽器がこれだと演奏も出来ないし、今日はどうする?」
梓「困りましたね」
律「確かに、な」
紬「うーん」
澪「お茶にするか」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:49:51.08 ID:GtgG+5ULP
律「澪らしくない台詞だな」
澪「変か?」
唯「全然。これぞ軽音部って台詞だよ」
澪「軽音部?」
唯「そう。桜が丘高校高校軽音部は、やっぱりこうでなくちゃ」
梓「なんですか、それ」 くす
紬「うふふ♪」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:50:49.14 ID:GtgG+5ULP
律「だったら、昨日の澪発言集を再現して盛り上がろうぜー」
澪「調子に乗るな」 ぺた
律「正直済まん」
澪「やっぱりそれか」 くすっ
唯、紬、梓「あはは」
終わり
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/11(土) 15:51:44.79 ID:GtgG+5ULP [63/63]
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
また多様な突っ込みも頂き、ありがとうございます。
突っ込みどころ満載。かつ澪が言っているように、大した事は起きてないんですけどね。
ただそれは、終わったからこそ言える事なのでしょう。
またテーマとしては、「いざという時はみんな恰好良い」でした。
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