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バッカーノ!×禁書 クロスSS
484 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/08/31(火) 00:16:21.70 ID:f8WmD1g0 [1/10]
人が少ないうちにこっそり投下。書き溜めようか迷ってるSSのプロローグ部分です
クロスものなので苦手な方はご注意を
以下8レス程いただきます
人が少ないうちにこっそり投下。書き溜めようか迷ってるSSのプロローグ部分です
クロスものなので苦手な方はご注意を
以下8レス程いただきます
485 名前:バッカーノ!×禁書 クロスSS 1/8[] 投稿日:2010/08/31(火) 00:18:18.31 ID:f8WmD1g0 [2/10]
学園都市とロシアとの間に起こった戦争に端を発す一連の事件は、当時の学園都市統活理事長、アレイスター・クロウリーの死亡とともに終結した。
かつてない混乱に包まれた学園都市であったが、新たな統活理事長となった親船最中らの尽力により徐々に、だが驚くほど短期間のうちに本来あるべき姿――真っ当な研究都市へと姿を変えていった。
『学園都市の闇』は取り払われたのである。
――そして、時は瞬く間に流れ、アレイスターの死亡後初めての大覇星祭が開催されようとしていた。
486 名前:バッカーノ!×禁書 クロスSS 2/8[] 投稿日:2010/08/31(火) 00:20:17.12 ID:f8WmD1g0 [3/10]
大覇星祭初日の朝。学園都市に無数に存在する何の変哲もない学生寮。その一室で上条当麻は目を覚ました。
ちなみにこの部屋に住んでいるのは彼一人。毎朝朝食を催促してきた一人と一匹は今はもういない。
(……そういや今日から大覇星祭か)
寝ぼけ頭で考えつつ、さて何時だろうかと枕元の時計に頭を向けたところで、
「」
当麻の動きが完全に静止した。目覚まし時計が止まっている。学園都市の製品であり、そう簡単に壊れたりはしないはずなのだが、それでも止まっている。
「……不幸だ」
高校二年生、上条当麻。不幸体質は健在である。
あわてて携帯電話で時刻を確認し、開会式への遅刻が決定済みであることを確認した後、当麻は今度は渾身の叫びを上げんと息を吸い込んだ。
♪~♪~
「……ん?」
タイミング良く、手に持った携帯電話にメールが届き、彼の叫びは不発に終わった。
ああ、吹寄からだ。絶対そうだ。さてどう弁解するか……と恐る恐るメールを開く。しかし予想に反して、メールの送り主は違う人物だった。
487 名前:バッカーノ!×禁書 クロスSS 3/8[] 投稿日:2010/08/31(火) 00:21:45.63 ID:f8WmD1g0
「……」
ローマ字で書かれた文面。メールを読み進める当麻の顔が驚きから笑みへと変化していく。
届いたメールは、しばらく会っていない元同居人が今晩到着することを告げていた。
「ああ、わかったよ」
メールを読み終わり、一言漏らした直後、今度は本当に委員長からメールではなく、電話がかかってきた。
「やべっ」
慌てて電話に出た直後、凛とした声が耳に突き刺さる。
「上条当麻! 貴様今どこで何をやっている!」
「ごめんなさいごめんなさいいいぃぃぃ!」
そのまま弁解という名の平謝りをしつつ、光速で身支度を済ませる。
「とにかく今すぐ向かう! 吹寄本当にごめん!」
返事を待たずに電話を切る。切り際に、にゃははという笑い声が電話口から聞こえた気がしたが、気のせいではないだろう。
寮を飛び出し、開会式の会場へダッシュしつつ、当麻は先ほどのメールを思い返し、考える。
(……とりあえず、帰りにスーパーに寄って帰ろう。機内食だけじゃ絶対足りないだろうしな)
そう、今晩のお客は確実にお腹をすかせてやってくる。当麻はそのことをよく知っている。
488 名前:バッカーノ!×禁書 クロスSS 4/8[] 投稿日:2010/08/31(火) 00:23:07.68 ID:f8WmD1g0
「本当にごめんなさい。あなた達に協力を求めるのは私としては反対だったのだけど……」
開会式三十分前、いまや学園都市唯一となった暗部組織のリーダー、土御門元春は、開会式会場へと向かっていた。
「それは一週間前に呼ばれた時にも聞いた。あんたが相変わらず雲川芹亜に弱いってこともな」
電話の向こう――学園都市統活理事長、親船最中から苦笑したような息づかいが漏れる。
「『闇』の排除は彼女の協力なしでは不可能だったとはいえ……年をとってからこんな弱みができるなんてねえ……」
驚くほど短期間での学園都市の再生劇において、雲川芹亜の果たした役割は大きい。
アレイスターの死後、『闇』に精通した彼女を味方につけたことは、親船最中の大きな武器となった。
時には同じく協力者となった貝積継敏の手の者を、時には『グループ』を文字通り「使って」。彼女は学園都市の闇を瞬く間に制圧していった。
その時の恩義から、なんとなく雲川には逆らいにくい親船である。今回の件での『グループ』への協力依頼も雲川の進言であった。
「それで何の用だ。『仕事』の件なら一週間前に説明を受けたはずだが」
「本当にあなた達を使ってしまっていいのかしらと思って」
「だからそれは……」
先ほどの言葉を繰り返そうとした土御門を親船が遮る。
「例えあなた達が元学園都市暗部組織だろうと、私にとって守るべき存在であることには変わりないのよ。
もしも、あなた達が未だに学園都市に縛られているのなら、私にはあなた達を解放する義務があるわ……他の子供たちと同じように」
「……」
489 名前:バッカーノ!×禁書 クロスSS 5/8[] 投稿日:2010/08/31(火) 00:24:34.39 ID:f8WmD1g0
しばしの沈黙。それを破ったのは土御門の方だった。
「余計なお世話だ。俺たちは今更この生き方を変える気はない。それに…」
土御門の話し方がそれまでとガラッと変わった。
「一つ勘違いぜよ。俺たちは別に学園都市に従ってるわけじゃない。もう『ドラゴン』も居ないしにゃー。いうなれば、今の『グループ』は、ただのボランティア団体ぜよ。まあ、あんたの言う『守るべき存在』にもそれなりに守りたいもんはあるってことだにゃー」
「……そう」
一瞬黙った後、親船は言葉を続けた。
「私から言えることはなさそうね。余計な事を言ってごめんなさい。ああ、それと一つ連絡よ。すでに複数の組織が入りこんでるみたい。雲川から連絡があったわ」
親船からのあっさりとした報告に、土御門もこれまたあっさりと答えた。
「ああ、それなら聞いてるぜよ。昨日の内にいくつか潰したにゃー」
「ふふ、相変わらず頼りになるわねあなた達は……でも油断しちゃだめよ。『遺産』を狙う組織はいくつでもあるんだから」
了解と軽く告げ、土御門は電話を切った。目の前に迫った開会式の会場へ向かいつつ、しばし考える。
(……遺産、か。)
稀代の魔術師、アレイスター・クロウリーのこの世への置き土産。存在するのかもわからない代物。手に入れれば世界の支配も夢ではないといわれる。
そんなあやふやなものを狙い、学園都市の警備が薄くなる大覇星祭期間中、いくつもの組織が学園都市にスパイを送り込むことが予想された。
もしかしたら、さらに過激な組織も入り込んでいるかもしれない。
義妹の顔が脳裏に浮かぶ。
(……守ってやるさ)
科学と魔術の元二重スパイ、『Fallere825』土御門元春の長い大覇星祭が始まろうとしていた。
490 名前:バッカーノ!×禁書 クロスSS 6/8[] 投稿日:2010/08/31(火) 00:25:45.79 ID:f8WmD1g0
大覇星祭○日目 とある父兄へのインタビュー
あれ、土御門君じゃないか。久しぶりだね。相変わらず当麻と仲良くしてくれているみたいで嬉しいよ。
……何? この二人に見覚えは? ……ああ、その外国人カップルなら初日にゲートのところで見かけたよ。
いや、仕事柄人の顔を覚えるのは得意なんだけどね、この二人は早々忘れないよ。
初日の朝にね、妻と学園都市に到着したんだ。とりあえず、ホテルに荷物を置きに行こうかなって言ってた時にその二人を見た。
いや、とにかく目立ってたよ。父兄でごった返してたゲート周辺でも、一目で見つけられるくらいだった。
とりあえず、人目を引いてたのは彼らの恰好だね。その三枚目の男が、シルクハットにタキシード、
その美人さん……目が怖いよ詩菜さん、女性は真っ赤なドレスを着てた。
それだけじゃ、ただの浮いた格好なんだけど、二人ともその上からおそろいのはっぴを着てたね。
うん、はっぴ。背中に『誠』って書かれたやつ。
でもね、そこまでは人目を引いてたといっても周囲の人たちがチラチラ見る程度だったんだ。
私たちもそんなもんだった。変わった外国人がいるなぁって程度でね。
本格的に周りの目が彼らに集まったのは、彼らが話し始めてからだった。
491 名前:バッカーノ!×禁書 クロスSS 7/8[] 投稿日:2010/08/31(火) 00:27:54.09 ID:f8WmD1g0
火ぶたを切ったのは男の方だったかな。
「着いたぞミリア! ここが学園都市だ!」
日本語だったよ。うん。凄く流暢な。それで、その美人さん……ごめんなさい詩菜さん、女の人も日本語で返してた。
「アイザックすっごぉーい!」
そこで私も含め、周りの人たちが一斉に彼らの方を見たんだけど、構わず彼らは話し続けてた。
「じゃあここが世界一科学が発展してる場所なんだね、アイザック!」
「ああそうさミリア! きっとそこにある車だってロボットに変形するし、R2-D2やC-3POがそこら辺を散歩してるんだ!」
「わぁ! 見てみてアイザック、ロボットの上に箒を持ったメイドさんが座ってる! 」
「さすが学園都市だ!」
「最先端だね!」
「だがミリア、学園都市がすごいのは科学技術だけじゃないんだぜ」
「わぁ、アイザック博識ぃ! それでそれで、いったいなにがすごいの?」
「聞いて驚くなよミリア……なんと学園都市に住んでいる人間は、みんな凄腕の手品師なんだ。あっという間に瞬間移動したり、手から炎
や電気を出したりするらしい」
「すごいすごい! わたし人体切断ショーとか人体再生マジックは見たことあるけど、体から電気を出す手品は初めてだよ!」
「だが…………残念だミリア。今回の俺たちには手品を楽しんでいる余裕はないらしい。今回の俺たちの目的は……」
「極秘任務、だね」
「そうだ。だから俺たちは絶対に目立ってはいけない。その『遺産』というやつを手に入れなければならないからな」
「ロニーの頼みだもんね」
「そうだ。だから俺たちはどんなに見事なマジックを見たとしても、歓声一つ飛ばすことが出来ないんだ……」
「うぅ……」
492 名前:バッカーノ!×禁書 クロスSS 8/8[] 投稿日:2010/08/31(火) 00:29:16.65 ID:f8WmD1g0
「まてまて! そんな悲しそうな顔をするなミリア!」
「だって手品師の人に拍手もできないなんて……」
「ううむ…………待てよミリア。だったら、静かに拍手して静かに声援を送ればいいんじゃないか?」
「名案だね!」
「しかもだミリア。今日から一週間、なんと学園都市はお祭りらしい」
「わぁ! パレードだね! カーニバルだね! 盆踊りだね!」
「だから……静かに楽しもうぜ!」
「静かに……だね! アイザック!」
「しまったミリア! そこでもらったガイドによると、もう開会式まで時間がないぞ!」
「わぁ! 大変だよ!」
「いくぞミリア!」
「うん! アイザック!」
……丸聞こえだよって声掛けてあげようかなぁって迷ってたんだけど、二人でスタジアムとは反対方向に走って行っちゃったから声を掛
けそびれてしまってね……いや、詩菜さん決して! 決して下心なんかないから! 本当だから!
……その後は見てないなぁ。でも、一度見たら忘れられないような二人組だから、きっといろいろな人が覚えてると思うよ?
じゃあ土御門君、これからも当麻をよろしく。私たちは最終日までいるつもりだから、また会えるといいね。
――こうして学園都市開設以来、最大のイレギュラー達は意気揚々と学園都市へ『侵入』した。
――ちなみに、彼らにそのような自覚は、全く、ない。
493 名前:バッカーノ!×禁書 クロスSS [] 投稿日:2010/08/31(火) 00:31:46.80 ID:f8WmD1g0 [10/10]
こんな感じです
駄文サーセン。初SSです
これって、需要あるんですかね?それが知りたくて投下しました
文の書き方に対する指摘も大歓迎です
学園都市とロシアとの間に起こった戦争に端を発す一連の事件は、当時の学園都市統活理事長、アレイスター・クロウリーの死亡とともに終結した。
かつてない混乱に包まれた学園都市であったが、新たな統活理事長となった親船最中らの尽力により徐々に、だが驚くほど短期間のうちに本来あるべき姿――真っ当な研究都市へと姿を変えていった。
『学園都市の闇』は取り払われたのである。
――そして、時は瞬く間に流れ、アレイスターの死亡後初めての大覇星祭が開催されようとしていた。
486 名前:バッカーノ!×禁書 クロスSS 2/8[] 投稿日:2010/08/31(火) 00:20:17.12 ID:f8WmD1g0 [3/10]
大覇星祭初日の朝。学園都市に無数に存在する何の変哲もない学生寮。その一室で上条当麻は目を覚ました。
ちなみにこの部屋に住んでいるのは彼一人。毎朝朝食を催促してきた一人と一匹は今はもういない。
(……そういや今日から大覇星祭か)
寝ぼけ頭で考えつつ、さて何時だろうかと枕元の時計に頭を向けたところで、
「」
当麻の動きが完全に静止した。目覚まし時計が止まっている。学園都市の製品であり、そう簡単に壊れたりはしないはずなのだが、それでも止まっている。
「……不幸だ」
高校二年生、上条当麻。不幸体質は健在である。
あわてて携帯電話で時刻を確認し、開会式への遅刻が決定済みであることを確認した後、当麻は今度は渾身の叫びを上げんと息を吸い込んだ。
♪~♪~
「……ん?」
タイミング良く、手に持った携帯電話にメールが届き、彼の叫びは不発に終わった。
ああ、吹寄からだ。絶対そうだ。さてどう弁解するか……と恐る恐るメールを開く。しかし予想に反して、メールの送り主は違う人物だった。
487 名前:バッカーノ!×禁書 クロスSS 3/8[] 投稿日:2010/08/31(火) 00:21:45.63 ID:f8WmD1g0
「……」
ローマ字で書かれた文面。メールを読み進める当麻の顔が驚きから笑みへと変化していく。
届いたメールは、しばらく会っていない元同居人が今晩到着することを告げていた。
「ああ、わかったよ」
メールを読み終わり、一言漏らした直後、今度は本当に委員長からメールではなく、電話がかかってきた。
「やべっ」
慌てて電話に出た直後、凛とした声が耳に突き刺さる。
「上条当麻! 貴様今どこで何をやっている!」
「ごめんなさいごめんなさいいいぃぃぃ!」
そのまま弁解という名の平謝りをしつつ、光速で身支度を済ませる。
「とにかく今すぐ向かう! 吹寄本当にごめん!」
返事を待たずに電話を切る。切り際に、にゃははという笑い声が電話口から聞こえた気がしたが、気のせいではないだろう。
寮を飛び出し、開会式の会場へダッシュしつつ、当麻は先ほどのメールを思い返し、考える。
(……とりあえず、帰りにスーパーに寄って帰ろう。機内食だけじゃ絶対足りないだろうしな)
そう、今晩のお客は確実にお腹をすかせてやってくる。当麻はそのことをよく知っている。
488 名前:バッカーノ!×禁書 クロスSS 4/8[] 投稿日:2010/08/31(火) 00:23:07.68 ID:f8WmD1g0
「本当にごめんなさい。あなた達に協力を求めるのは私としては反対だったのだけど……」
開会式三十分前、いまや学園都市唯一となった暗部組織のリーダー、土御門元春は、開会式会場へと向かっていた。
「それは一週間前に呼ばれた時にも聞いた。あんたが相変わらず雲川芹亜に弱いってこともな」
電話の向こう――学園都市統活理事長、親船最中から苦笑したような息づかいが漏れる。
「『闇』の排除は彼女の協力なしでは不可能だったとはいえ……年をとってからこんな弱みができるなんてねえ……」
驚くほど短期間での学園都市の再生劇において、雲川芹亜の果たした役割は大きい。
アレイスターの死後、『闇』に精通した彼女を味方につけたことは、親船最中の大きな武器となった。
時には同じく協力者となった貝積継敏の手の者を、時には『グループ』を文字通り「使って」。彼女は学園都市の闇を瞬く間に制圧していった。
その時の恩義から、なんとなく雲川には逆らいにくい親船である。今回の件での『グループ』への協力依頼も雲川の進言であった。
「それで何の用だ。『仕事』の件なら一週間前に説明を受けたはずだが」
「本当にあなた達を使ってしまっていいのかしらと思って」
「だからそれは……」
先ほどの言葉を繰り返そうとした土御門を親船が遮る。
「例えあなた達が元学園都市暗部組織だろうと、私にとって守るべき存在であることには変わりないのよ。
もしも、あなた達が未だに学園都市に縛られているのなら、私にはあなた達を解放する義務があるわ……他の子供たちと同じように」
「……」
489 名前:バッカーノ!×禁書 クロスSS 5/8[] 投稿日:2010/08/31(火) 00:24:34.39 ID:f8WmD1g0
しばしの沈黙。それを破ったのは土御門の方だった。
「余計なお世話だ。俺たちは今更この生き方を変える気はない。それに…」
土御門の話し方がそれまでとガラッと変わった。
「一つ勘違いぜよ。俺たちは別に学園都市に従ってるわけじゃない。もう『ドラゴン』も居ないしにゃー。いうなれば、今の『グループ』は、ただのボランティア団体ぜよ。まあ、あんたの言う『守るべき存在』にもそれなりに守りたいもんはあるってことだにゃー」
「……そう」
一瞬黙った後、親船は言葉を続けた。
「私から言えることはなさそうね。余計な事を言ってごめんなさい。ああ、それと一つ連絡よ。すでに複数の組織が入りこんでるみたい。雲川から連絡があったわ」
親船からのあっさりとした報告に、土御門もこれまたあっさりと答えた。
「ああ、それなら聞いてるぜよ。昨日の内にいくつか潰したにゃー」
「ふふ、相変わらず頼りになるわねあなた達は……でも油断しちゃだめよ。『遺産』を狙う組織はいくつでもあるんだから」
了解と軽く告げ、土御門は電話を切った。目の前に迫った開会式の会場へ向かいつつ、しばし考える。
(……遺産、か。)
稀代の魔術師、アレイスター・クロウリーのこの世への置き土産。存在するのかもわからない代物。手に入れれば世界の支配も夢ではないといわれる。
そんなあやふやなものを狙い、学園都市の警備が薄くなる大覇星祭期間中、いくつもの組織が学園都市にスパイを送り込むことが予想された。
もしかしたら、さらに過激な組織も入り込んでいるかもしれない。
義妹の顔が脳裏に浮かぶ。
(……守ってやるさ)
科学と魔術の元二重スパイ、『Fallere825』土御門元春の長い大覇星祭が始まろうとしていた。
490 名前:バッカーノ!×禁書 クロスSS 6/8[] 投稿日:2010/08/31(火) 00:25:45.79 ID:f8WmD1g0
大覇星祭○日目 とある父兄へのインタビュー
あれ、土御門君じゃないか。久しぶりだね。相変わらず当麻と仲良くしてくれているみたいで嬉しいよ。
……何? この二人に見覚えは? ……ああ、その外国人カップルなら初日にゲートのところで見かけたよ。
いや、仕事柄人の顔を覚えるのは得意なんだけどね、この二人は早々忘れないよ。
初日の朝にね、妻と学園都市に到着したんだ。とりあえず、ホテルに荷物を置きに行こうかなって言ってた時にその二人を見た。
いや、とにかく目立ってたよ。父兄でごった返してたゲート周辺でも、一目で見つけられるくらいだった。
とりあえず、人目を引いてたのは彼らの恰好だね。その三枚目の男が、シルクハットにタキシード、
その美人さん……目が怖いよ詩菜さん、女性は真っ赤なドレスを着てた。
それだけじゃ、ただの浮いた格好なんだけど、二人ともその上からおそろいのはっぴを着てたね。
うん、はっぴ。背中に『誠』って書かれたやつ。
でもね、そこまでは人目を引いてたといっても周囲の人たちがチラチラ見る程度だったんだ。
私たちもそんなもんだった。変わった外国人がいるなぁって程度でね。
本格的に周りの目が彼らに集まったのは、彼らが話し始めてからだった。
491 名前:バッカーノ!×禁書 クロスSS 7/8[] 投稿日:2010/08/31(火) 00:27:54.09 ID:f8WmD1g0
火ぶたを切ったのは男の方だったかな。
「着いたぞミリア! ここが学園都市だ!」
日本語だったよ。うん。凄く流暢な。それで、その美人さん……ごめんなさい詩菜さん、女の人も日本語で返してた。
「アイザックすっごぉーい!」
そこで私も含め、周りの人たちが一斉に彼らの方を見たんだけど、構わず彼らは話し続けてた。
「じゃあここが世界一科学が発展してる場所なんだね、アイザック!」
「ああそうさミリア! きっとそこにある車だってロボットに変形するし、R2-D2やC-3POがそこら辺を散歩してるんだ!」
「わぁ! 見てみてアイザック、ロボットの上に箒を持ったメイドさんが座ってる! 」
「さすが学園都市だ!」
「最先端だね!」
「だがミリア、学園都市がすごいのは科学技術だけじゃないんだぜ」
「わぁ、アイザック博識ぃ! それでそれで、いったいなにがすごいの?」
「聞いて驚くなよミリア……なんと学園都市に住んでいる人間は、みんな凄腕の手品師なんだ。あっという間に瞬間移動したり、手から炎
や電気を出したりするらしい」
「すごいすごい! わたし人体切断ショーとか人体再生マジックは見たことあるけど、体から電気を出す手品は初めてだよ!」
「だが…………残念だミリア。今回の俺たちには手品を楽しんでいる余裕はないらしい。今回の俺たちの目的は……」
「極秘任務、だね」
「そうだ。だから俺たちは絶対に目立ってはいけない。その『遺産』というやつを手に入れなければならないからな」
「ロニーの頼みだもんね」
「そうだ。だから俺たちはどんなに見事なマジックを見たとしても、歓声一つ飛ばすことが出来ないんだ……」
「うぅ……」
492 名前:バッカーノ!×禁書 クロスSS 8/8[] 投稿日:2010/08/31(火) 00:29:16.65 ID:f8WmD1g0
「まてまて! そんな悲しそうな顔をするなミリア!」
「だって手品師の人に拍手もできないなんて……」
「ううむ…………待てよミリア。だったら、静かに拍手して静かに声援を送ればいいんじゃないか?」
「名案だね!」
「しかもだミリア。今日から一週間、なんと学園都市はお祭りらしい」
「わぁ! パレードだね! カーニバルだね! 盆踊りだね!」
「だから……静かに楽しもうぜ!」
「静かに……だね! アイザック!」
「しまったミリア! そこでもらったガイドによると、もう開会式まで時間がないぞ!」
「わぁ! 大変だよ!」
「いくぞミリア!」
「うん! アイザック!」
……丸聞こえだよって声掛けてあげようかなぁって迷ってたんだけど、二人でスタジアムとは反対方向に走って行っちゃったから声を掛
けそびれてしまってね……いや、詩菜さん決して! 決して下心なんかないから! 本当だから!
……その後は見てないなぁ。でも、一度見たら忘れられないような二人組だから、きっといろいろな人が覚えてると思うよ?
じゃあ土御門君、これからも当麻をよろしく。私たちは最終日までいるつもりだから、また会えるといいね。
――こうして学園都市開設以来、最大のイレギュラー達は意気揚々と学園都市へ『侵入』した。
――ちなみに、彼らにそのような自覚は、全く、ない。
493 名前:バッカーノ!×禁書 クロスSS [] 投稿日:2010/08/31(火) 00:31:46.80 ID:f8WmD1g0 [10/10]
こんな感じです
駄文サーセン。初SSです
これって、需要あるんですかね?それが知りたくて投下しました
文の書き方に対する指摘も大歓迎です
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