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上条「義兄さんと呼べ!」第三部
172 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 22:25:52.52 ID:QHYjeoDO [1/30]
どうも>>1です
待ってた人はお待たせしました。待ってなかった人はゆっくり見ていってね
今回は前回の続きものではなく外伝的なものです。上条さん達は一切出ません
ではではサッカーを見ながら加筆修正を加えつつぬるぬる投下したいと思います
どうも>>1です
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173 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:28:03.67 ID:QHYjeoDO [2/30]
沈利「オラァ! 起きろ帝督!」
垣根「……無理」
沈利「とっとと起きねえと尻の穴増やすぞ!?」
垣根「なんだよ、ご機嫌斜めだな」
沈利「関係ねえんだよおぉぉ! もう朝ご飯の用意は出来てるんだから起きろっつの!」
垣根「皺、増えるぞ?」
沈利「ブチ殺シ確定ネ」シュインシュイン
垣根「おっと危ねえ」バサァ
沈利「あーもうっ!」
垣根「おいおい、俺を殺そうとするなんて酷いじゃねえか」
沈利「どうせ殺せないんだから酷いもなにもないっての」
垣根「ほら、嫁に殺されそうになる可哀想な旦那の気持ちも考えろよ」
沈利「浮気される可哀想な嫁の気持ちも考えろよ」
垣根「だんだよそれ」
沈利「最近帰りが遅いのはそれが理由じゃねえのかよ?」
垣根「なんのことだ」
沈利「え?」
174 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:29:25.19 ID:QHYjeoDO
垣根「浮気なんて人聞きの悪い」
沈利「じゃあなにしてんのよ?」
垣根「ちょっと女と遊んでるだけだ」
沈利「それを浮気だってんだよおおお!」シュインシュイン
垣根「だから危ねえって」バサァ
沈利「……はぁ」
垣根「まさかお前、妬いてんのか?」
沈利「!」
垣根「図星か」
沈利「……だったらなによ」
垣根「まさか俺にそこまでの情を持つとは思わなくてよ」
沈利「悪かったわね」
垣根「悪くはないが、意外だ」
沈利「……私も意外だったわ」
垣根「ま、いいんじゃねえか?」
沈利「なにがよ?」
175 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:31:51.96 ID:QHYjeoDO
垣根「お前の言った通りになってるんだからな」
沈利「……」
垣根「『いっそのこと夫婦にでもなる?』だっけか? それらしくなってきてよ」
沈利「頭に爆弾埋め込まれてなかったらそんなこと言わなかったのに……」
垣根「上の連中も考えたもんだよな。体を再生させる代わりに馬車馬のように働けってんだからな。働かなかったら爆発させるって言うし」
沈利「しかも、私か帝督のどちらかが死んだらもう片方の爆弾が爆発する。面倒なことをしてくれたわ」
垣根「まぁそれで夫婦って選択肢が出てきたことに驚きなんだがな」
沈利「酒のせいよ……」
垣根「惚れちまったのも酒のせいか?」
沈利「そうだといいわね……」
垣根「……。仕方ねえ、女遊びはやめるか」
沈利「最初っからしてんじゃねえぇぇよおおお!!」シュインシュイン
垣根「効かねえって」バサァ
沈利「……なんなのよもう」
垣根「女遊びっつってもあれだぞ? ケバいお姉ちゃん達と酒飲んでるだけだぜ?」
沈利「それでも私にとっては十分浮気に値することよ……」
176 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:34:45.83 ID:QHYjeoDO
垣根「なぁ、なんで俺が朝までにちゃんと帰ってくるか分かるか?」
沈利「……なによ?」
垣根「お前の作るご飯が食べたいからだよ」
沈利「ななっ!?」
垣根「朝に鮭を食わねえとシャケだけにシャキっとしねえんだよ」
沈利「……」
垣根「……悪い」
沈利「分かってるならいいわ。さ、早く食べましょ」
垣根「急に機嫌よくなったな」
沈利「そう? まぁ帝督の気持ちも分かったしね」
垣根「気持ち?」
沈利「私達が一緒に暮らし始めてから、仕事以外では私のご飯食べてくれてるわよね?」
垣根「そうだったか? そうだとしとも、それがどうしたんだ?」
沈利「それってつまり私の作るご飯が好きってことよね?」
垣根「まぁ、そうとも言えるか」
沈利「帝督の方がベタ惚れじゃん」
垣根「……下らねえ」
177 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:36:18.73 ID:QHYjeoDO
沈利「なにが下らないのかにゃーん?」
垣根「うるせえ。さて、起きるか」
沈利「照れてるの?」
垣根「照れてねえ」
沈利「まぁまぁ強がらなくても」
垣根「……沈利」
沈利「な、なに?」ドキッ
垣根「襲うぞ」
沈利「にゃっ!?」
垣根「なんて声挙げてんだ、冗談だ。顔洗ってくる」
沈利「てーいとくぅー」
垣根「あー、俺の洗顔切れてんな。お前の借りるぞ」
沈利「無視すんなっての!」
垣根「あ? なんだ、襲ってほしかったのか?」
沈利「べべべ別にぃ?」
垣根「そうか」
沈利「……」
178 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:39:02.38 ID:QHYjeoDO
垣根「お前今日仕事休みだよな? あ、お茶くれ」
沈利「どうぞ。休みだけど、どうかした?」
垣根「どうも。俺も仕事休みなんだよ。味噌汁頼む」
沈利「はいはい。一日オフが重なるなんて珍しいわね。ご飯お代わりいる?」
垣根「ああ頼む。それでよ、洗顔切れてたろ?」
沈利「そうね」
垣根「買いに行こうかと思ってな」
沈利「行ってらっしゃい」
垣根「……お前は行かないのか?」
沈利「私は別に外に出る用事ないしー」
垣根「わざとやってないか?」
沈利「なにがー?」
垣根「……。一緒に洗顔買いに行かねえか?」
沈利「それだけじゃねぇ」
垣根「ちっ、分かったよ。洗顔買うついでにデートしようぜデート」
沈利「いいよ。全く、初めからそう言えばいいのに」
垣根「うるせえ」
179 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:40:37.40 ID:QHYjeoDO
垣根「ごちそうさま」
沈利「お粗末様でした」
垣根「そういや今日の鮭は一味違ったな。なにかしたか?」
沈利「味付けはいつもと同じだけど、よく気がついたわね」
垣根「毎日鮭食べてれば分かるさ。で、なにが違うんだよ?」
沈利「学園都市の魚介類や野菜類食べ物ってほとんど養殖でしょ? 今日食べた鮭は養殖じゃないのよ」
垣根「ってことは天然か?」
沈利「そうよ。仕事の報酬で何が欲しいかって聞かれたから『天然の鮭』って言ったらほんとにくれたわ」
垣根「ほう。じゃあ俺も次はたまごボーロ一年分とか頼んでみるかな」
沈利「絶対余すわ」
垣根「お前は食べないのか?」
沈利「食べないわよ。あんな子供のお菓子を今更、ねぇ」
垣根「……おい、今なんて言った?」
沈利「え? 食べないって……」
垣根「その後だよ」
沈利「えっと、子供のお菓子を今更?」
垣根「それだよそれ」
180 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:42:06.35 ID:QHYjeoDO
沈利「はい?」
垣根「たまごボーロを馬鹿にすんな」
沈利「別に馬鹿になんて……」
垣根「いや、してた。仮にしてなかったとしてもかなり見下していた」
沈利「はぁ、」
垣根「謝れ」
沈利「は?」
垣根「俺が前に鮭を他の魚と同じにした時、お前三日くらい口聞いてくれなかったじゃねえか」
沈利「あーそういえばそんなこともあったわね」
垣根「幸いにして俺は心が広い男だ。今すぐ謝れば許してやる」
沈利「ごめんね、帝督♪」キャピ
垣根「黙れ、歳を考えろ」
沈利「お前だって同い年じゃねえかよおおお!!」
垣根「論点はそこじゃない。たまごボーロを馬鹿にしたことに誠心誠意謝罪しろ」
沈利「はいはい、めんごめんご」
垣根「……」
181 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:43:38.47 ID:QHYjeoDO
沈利「サーセンシタァ」
垣根「……お前に常識ってものを教えてやるよ」
沈利「やってみろ非常識」
垣根「余裕だ格下」バサァ
沈利「……っ!?」
沈利(こ、この感覚はなに!? まるで体の自由が奪われるような……)
垣根「空気中の成分を変質させた。今のお前は軽い催眠状態になってるはずだ」
沈利「ちっ、未元物質はそんなことまで出来んのかよ」
垣根「本職には及ばないがな」
沈利「くそっ、いやらしい真似をしやがって」
垣根「それを望んでるならしてやるよ、メス豚が」
沈利「」ピク
垣根「だが、まずはたまごボーロの件についての謝罪が最優先事項だ」
沈利「どんだけたまごボーロが好きなんだよてめえは……!?」
垣根「無論、死んでも」
182 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:46:05.94 ID:QHYjeoDO
垣根「さぁ、頭を下げ謝罪するんだ」
沈利「だ、誰が……」ググ
垣根「しぶといな。そうだな、いいことを教えてやろう」
沈利「?」
垣根「催眠状態といっても未元物質なら精々寝ぼけてる状態にしか出来ない」
沈利「……で?」
垣根「寝ぼけてる状態ってのがミソだ。つまり無意識下に働きかければ自ずとその行動を取る可能性が高い」
沈利「やれるもんならやってみろ」
垣根「おい、口の聞き方がなってないぞメス豚が」
沈利「はい。……んがあぁぁっ!?」
垣根「黙れメス豚」
沈利「すみません。……じゃねええぇぇぇ!!」
垣根「メス豚はイマイチみたいだな」
沈利「この野郎……」シュイン
垣根「寝ぼけてる状態で撃ったら家ぶっ壊すだけだぞ」
沈利「ぐっ、」
183 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:47:25.44 ID:QHYjeoDO
垣根「さぁいい子だから俺に謝ってごらん? 沈利ちゃん」
沈利「……うん、ごめんね帝督。……はっ!」
垣根「沈利ちゃんはいい子だなぁ。でも俺はもう一言欲しいんだ。分かるね、沈利ちゃん?」ナデナデ
沈利「えっとね、もうたまごボーロを馬鹿にしない。だから帝督、許して?」ペコリ
垣根「よし、許してやる」
沈利「ほんと!? ありがと、帝督! 大好き!」ダキッ
垣根「……っ!?」
沈利「……。……なんかごめん」
垣根「……いや、いい」
沈利「……」
垣根「……もう解除したから離れられるぞ」
沈利「……うん」スッ
垣根「まぁ、人生色々だよな」
沈利「死にたい……」
垣根「俺はせっかくだから生きたい」
184 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:48:31.98 ID:QHYjeoDO
沈利「ねぇ、これなんてどうかな?」ヒラ
垣根「いいんじゃねえか」
沈利「これは?」ヒラ
垣根「いいんじゃねえか」
沈利「……じゃあこれは?」ヒラ
垣根「いいんじゃねえか」
沈利「ねぇ、ブチ殺していい?」シュイン
垣根「断る」バサァ
沈利「……」
垣根「どうした?」
沈利「真面目に聞いてんのか聞いてないのかハッキリしやがれ!」
垣根「俺はいつだって真面目だ」
沈利「どこが!」
垣根「頭の天辺から足の裏まで」
沈利「その真面目な帝督くゥゥゥンはどうして全部同じ感想なのかにゃーん?」
垣根「どこの一方通行だよお前は」
185 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:50:18.49 ID:QHYjeoDO
沈利「いいから答える!」
垣根「はぁ、そんなの全部いいと思ったからに決まってんじゃねえか」
沈利「そんなありきたりな言い訳……」
垣根「違う。例えばだ、俺がAの服がいいと言ったとする。そしたらお前はAの服を着る」
沈利「当たり前じゃない」
垣根「じゃあ選ばれなかったBやCの服はどうなる?」
沈利「それは、」
垣根「どうするかはお前次第だが、少なくとも俺はBやCの服を着たお前を見る機会はほとんどなくなるだろう。そんなのは嫌だね」
沈利「で、でも気分てものが」
垣根「あのなぁ、沈利」
沈利「な、なによ?」
垣根「俺は沈利と一緒に入られれば満足なの。だから服装なんて二の次でいいんだよ」
沈利「帝督……」
垣根「分かったか? これ以上言わせんな、恥ずかしい」
沈利「……うん」
186 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:51:13.63 ID:QHYjeoDO
垣根「いいから早く選びやがれ」
沈利「ふふふ。じゃあこれにする!」
垣根「いいんじゃねえか」
沈利「うん! さ、着替えるから出て行った出て行った」
垣根「だが断る」
沈利「断れ!」
垣根「はいはい」
沈利「覗かないでね?」
垣根「自分でフラグ建てるとはいい度胸だな」
沈利「建ててない!」
垣根「まぁ後で存分に見てやるから安心しろ」
沈利「~~っ!」
垣根「声にならない叫びとなって♪」
沈利「こみあげる♪」
垣根・沈利「この気持ちはなんだろう♪」
垣根「アホか」
沈利「お前が言うな!」
187 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:52:13.50 ID:QHYjeoDO
垣根「ハンカチは持ったか?」
沈利「持った」
垣根「ティッシュは?」
沈利「持った」
垣根「予備のティッシュは?」
沈利「忘れてた」トテテ
垣根「ったく。……ほら、襟元しっかり」
沈利「あ、うん」
垣根「髪も目立つアホ毛や枝毛は切る」
沈利「それは今からじゃちょっと……」
垣根「財布と携帯は取られやすいところには絶対入れるなよ?」
沈利「……」
垣根「おい、聞いてんのか?」
沈利「母親かてめえは!?」
垣根「沈利ちゃんは可愛いから変な男の人に着いてっちゃ駄目だぞー?」
沈利「きめえ、黙れ。そして弾けて混ざれ」
垣根「沈利ちゃんが有効なのは催眠状態だけか」
沈利「それは忘れて……」
188 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:54:22.97 ID:QHYjeoDO
垣根「しーずりん」
沈利「っ!?」ビクゥ
垣根「そうか、びっくりするほど嬉しかったのか沈利んは」
沈利「ちげええよおっ! 気持ち悪くてびっくりしたんだよおおお!」
垣根「じゃあ、しずちゃん」
沈利「池袋か!」
垣根「しずしずー」
沈利「凄く言いにくいと思うんだけど」
垣根「りんりん」
沈利「原型なくなってきてるし、それに私はパンダか!? つうかもう普通に呼べよ!?」
垣根「あー、うん……そうだな」
沈利「なによ?」
垣根「なんか急に恥ずかしくなってきて……」
沈利「さっきまで普通に呼んでたろ!?」
垣根「いやーほら、面と向かって改めてってとなると……な」
沈利「意味分かんないんだけど」
189 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:55:43.10 ID:QHYjeoDO
垣根「それじゃあ俺の目を見て名前を呼んでみろよ?」ジッ
沈利「そんなのよゆ……っ!?」
垣根「……」ジッ
沈利「……」ドキドキ
沈利(こ、これは予想外に恥ずかしい!)
垣根「どうした?」ジッ
沈利「べ、別に?」
垣根「なら早くしろよ」ジッ
沈利「うん……」
沈利(すーはー。大丈夫、ただ名前を呼ぶだけ。て、い、と、くの四文字を呼ぶだけ。大丈夫大丈夫)
垣根「……」ジッ
沈利「ちぇ、てーとく……」
垣根「噛んだな。ああ、間違いない。噛んだな」
沈利「大事なことなので二回言いましたってかあ!?」
垣根「そんなところだ」
沈利「~~っ!」
190 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:57:16.60 ID:QHYjeoDO
沈利「て、帝督こそ私の目を見て名前呼べるの?」
垣根「どうだろうな」
沈利「さぁ!」バッ
垣根「……あー、」
沈利「さぁ早く!」ギラッ
垣根「……なんか恨みでもあるのか?」
沈利「え?」
垣根「睨むなよ……」
沈利「ご、ごめん」
垣根「ほら、顔上げろよ沈利」
沈利「うん……え?」
垣根「どうした?」
沈利「今、名前……」
垣根「言ったぞ」
沈利「そうだけど……」
垣根「目も見て言ったぞ」
沈利「でも、なんだかだってだって!」ジタバタ
垣根「だってなんだもんってか」
191 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:58:16.63 ID:QHYjeoDO
沈利「てか、帝督ってそんなキャラだったっけ?」
垣根「なんの話だ?」
沈利「なんていうか、好きな子に悪戯する男子みたい」
垣根「……いつもと同じだ」
沈利「ふーん?」
垣根「なんだよ?」
沈利「べっつにー」
垣根「言えよ。気になるだろ」
沈利「そ。じゃあまずはいつもより口数が多い」
垣根「たまたまだ」
沈利「割と私に触れてくる」
垣根「気のせいだ」
沈利「デートに誘った」
垣根「ものは言いよう」
沈利「ご飯を楽しみにしてくれる」
垣根「いつものことだ」
沈利「帝督にとってはいつも楽しみなのかにゃーん?」
垣根「……まぁな」
192 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:00:11.17 ID:QHYjeoDO
沈利「私のご飯食べないとシャキッとしないんだっけ?」
垣根「ああ、そうだよ。ったく、結局なにが言いたいんだよ?」
沈利「素直じゃないよね」
垣根「……俺はいつでも素直だ」
沈利「帝督もツンデレか」
垣根「素直クールと言ってくれ」
沈利「あー、私デレかぁ」
垣根「爆弾埋め込まれてメルヘン脳になっちまったのか?」
沈利「羽には劣るわよ」
垣根「心配すんな、自覚はある」
沈利「ねぇ、いつから私に惚れたの?」
垣根「さあな」
沈利「教えてくれたっていいじゃん」
垣根「……高校生かよ、歳を考えろ歳を」
沈利「てーいとくぅ」シュインシュイン
垣根「こっから先は常識は通用しねえってなあ!」バサァ
193 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:01:58.35 ID:QHYjeoDO
沈利「はぁ、はぁ……」
垣根「……まぁ、さっきのは俺が悪かった」
沈利「悪かったと思うならちゃんと質問に答えなさいよ」
垣根「えー」
沈利「いいから答える!」
垣根「分かったよ」
沈利「……」ゴクリ
垣根「いつからか……俺らが暗部のツートップになって一緒に仕事する機会が多くなってきてからだな。だから具体的にいつなんて分からねえ」
沈利「それって結構前じゃない」
垣根「そうだな」
沈利「じゃあさ、私のどこに惚れたの?」
垣根「『いつ』という質問にはちゃんと答えたぞ」
沈利「この際だからいいじゃーん、教えてよー」ブンブン
垣根「人の袖を掴んでブンブンすんな。中学生か。さすがに無理があるぞ」
沈利「垣根くゥゥゥゥゥゥン!!」シュインシュイン
垣根「お前も垣根だろう」バサァ
194 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:04:28.27 ID:QHYjeoDO
沈利「……」
垣根「これから出掛けんのに体力持つのか?」
沈利「てめえのせいだっつーの……」
垣根「今回も俺が悪かったみたいだな」
沈利「そう思うなら質問に答えやがれ」
垣根「ふむ。どこに惚れたかだったか? そうだな。類は友を呼ぶってやつだろうな」
沈利「類友?」
垣根「お前も分かるだろ? 闇に生きる人間が『日遊び』出来るはずがねえのを。そしてその『日遊び』は敵対する奴らに利用されるのを」
沈利「そりゃあ」
垣根「だからだよ。お前は同じ側に生きる人間だし、第一位と俺と浜面だったか? 以外には負けそうにないしな」
沈利「そう……。ねぇぐ、具体的な場所は?」
垣根「具体的?」
沈利「例えば顔がタイプだとか」
垣根「特にはないな」
沈利「はぁ!?」
垣根「なんだよ?」
195 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:05:47.98 ID:QHYjeoDO
沈利「……」
垣根「これから出掛けんのに体力持つのか?」
沈利「てめえのせいだっつーの……」
垣根「今回も俺が悪かったみたいだな」
沈利「そう思うなら質問に答えやがれ」
垣根「ふむ。どこに惚れたかだったか? そうだな、類は友を呼ぶってやつだろうな」
沈利「類友?」
垣根「お前も分かるだろ? 闇に生きる人間が『日遊び』出来るはずがねえのを。そしてその『日遊び』は敵対する奴らに利用されるのを」
沈利「そりゃあ」
垣根「だからだよ。お前は同じ側に生きる人間だし、第一位と俺と浜面だったか? 以外には負けそうにないしな」
沈利「そう……。ねぇぐ、具体的な箇所は?」
垣根「具体的?」
沈利「例えば顔がタイプだとか」
垣根「特にはないな」
沈利「はぁ!?」
垣根「なんだよ?」
196 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:07:16.49 ID:QHYjeoDO
沈利「同じような境遇だったら誰でも良かったってのかよ!?」
垣根「誰もそうは言ってないだろ」
沈利「じゃあなんなんだよ!?」
垣根「はぁ、まずはそのヒステリックはどうにかなんないのかよ」
沈利「ああっ!?」
垣根「さっきも言ったろ、俺は沈利と居られれば満足なんだよ」
沈利「そ、そうなんだろうけど……!」
垣根「沈利のどこかが好みだから沈利を好きになったんじゃねえんだよ。いい加減理解しやがれ」
沈利「ごめん……なさい……」
垣根「くそっ、恥ずかしいこと言わせんな」
沈利「にへへ……」
垣根「次はお前の番だ」
沈利「え!?」
垣根「等価交換の原則だ」
沈利「~~っ!」
197 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:08:42.65 ID:QHYjeoDO
垣根「さぁ答えやがれ」
沈利「でも……」
垣根「また催眠状態にでもするか……」
沈利「それだけはやめて!」
垣根「なら早く答えやがれ」
沈利「うっ、えーっと、いつから惚れたかだっけ?」
垣根「そうだ」
沈利「確か鮭のことで喧嘩した後から、かな?」
垣根「マジか」
沈利「うん。あの時、時間があれば私のところにきて言い訳だとか期限直そうとしようとしてたじゃない?」
垣根「ああ」
沈利「それでこの男には心を許しても良いのかなあって思って」
垣根「……そうか」
沈利「今にして思えばその時から帝督は私に惚れてた訳だからあの行動には納得出来るわ」
垣根「……ふん」
沈利「照れてるの?」
垣根「照れてねえ」
198 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:10:19.07 ID:QHYjeoDO
沈利「へー?」
垣根「いいから次を答えろよ」
沈利「ほんとに素直じゃないわね。次はどこに惚れたか、ね。まず単純に格好いいわよね」
垣根「そりゃどうも」
沈利「後は……うん、帝督と同じ理由かな」
垣根「類友か」
沈利「うん。それで酒のせいもあると思うんだけど、一緒に居られるなら居たいなあと思ったらあんなこと口走ってた」
垣根「まぁそれがあったから今の俺があるんだがな」
沈利「どういうこと?」
垣根「お前が俺に一方通じゃねえ、一方的にそう思ってるって雰囲気しとけばデレを隠せるかと思ってな」
沈利「今となっては意味をなしてないけどね」
垣根「うるせえ」
沈利「素直じゃないのね」
垣根・沈利「うるせえ」
垣根「?」
沈利「たーんじゅん」
垣根「うる、黙れ」
199 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:11:42.25 ID:QHYjeoDO
沈利「帝督ってこんなに可愛かったけー?」
垣根「……沈利」
沈利「んー?」
垣根「犯すぞ」
沈利「んにゃっ!?」
垣根「冗談だ」
沈利「目がマジだったんだけど……」
垣根「訂正。半分冗談だ」
沈利「半分?」
垣根「今までセフレ扱いみたいで正直すまなかった」
沈利「あ、改めて言われるとなんか恥ずかしいんだけど……」
垣根「ほんとは毎日でもしたいんだが、どうやら素直じゃないみたいで中々手を出せなかったんだよ」
沈利「ほんと男って奴は……」
垣根「だがお互いの気持ちが分かった今はそんなのは関係ねえ」
沈利「そ、そうだね」
垣根「覚悟しろよ」
沈利「うん……!」
200 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:13:01.59 ID:QHYjeoDO
垣根「さて、そろそろ出掛けるか」
沈利「え、あ、うん」
垣根「なんだ、行かねえのか?」
沈利「行くっての!」
垣根「行き先をベッドに変更するか……」
沈利「へにゃ!?」
垣根「冗談だ」
沈利「……」
垣根「あー沈利、ちょっとこっち向け」
沈利「え、なに? んんっ!? ……ぁぅ」
垣根「……後でもっとしてやるから今はこれで我慢しろ」
沈利「……うん」
垣根「さ、そんな赤い顔してねえで行くぞ」
沈利「帝督」
垣根「あ?」
沈利「こっち向いて」
垣根「断る」
沈利「顔真っ赤だから無理か」
垣根「うるせえ」
201 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 23:18:10.44 ID:QHYjeoDO [30/30]
はい上条さん達は一切出ませんでした。俺得なので突っ込んだら負けです
次の投下は諸事情で携帯が止まるかもしれないのまた間があくかもです
次の話はどうしよう。なんか家電がめっさ人気みたいだし…でもそろそろ通行止めと電磁殺し成分が足りない(主に俺が)だろうし…脳内のネタ帳を文章化する能力がほしい
211 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/06/24(木) 10:54:53.41 ID:SStp8sDO [1/8]
――とある一室――
上条「おい、その話は本当なのか?」
理事員「はい」
上条「なんであの話が通るんだよ!?」
理事員「あちらとこちらでは系統が違いますから……」
上条「それにしたっておかしいだろ!?」
理事員「す、すみません」
上条「……いや、俺こそすまん。お前は悪くないってのにな」
理事員「いえ……」
上条「とにかくこの話は放っておくことは出来ない」
理事員「はい」
上条「詳しい話を聞きに行ってくる」
理事員「大丈夫でしょうか?」
上条「なにがだ?」
理事員「相手は学園都市の利益を一番に考えてます。それを盾にされたらいくら上条さんでも……」
上条「そんなのやってみなきゃ分からないだろ?」
理事員「そうですが……」
上条「心配すんなよ。それじゃ行ってくる」
212 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/24(木) 10:56:41.78 ID:SStp8sDO [2/8]
上条「理事会融合派の上条当麻だ。ここを通してもらいたい」
係員「少々お待ちくださいませ」
上条「……」
係員「はい。はい。分かりました」
上条「どうにかなりそうか?」
係員「はい。時間がないので手短にとのことです」
上条「分かった。すまないな」
――ガチャ
船瀬「ようこそ、上条君」
上条「どういうつもりだ船瀬」
船瀬「いきなりなんの話だね? それに私は君よりずっと年上なんだから敬語くらい使ったらどうなんだ?」
上条「……。あの話を通すとは一体どういうつもりなんですか?」
船瀬「やれば出来るじゃないか」
上条「……」ギリッ
船瀬「そう睨むなんじゃない。さて、あの話とはなんの話だ?」
上条「誤魔化すつもりですか? 私達が全力で反対したあの計画のことです」
船瀬「ああ、あれのことか」
上条「そうです」
船瀬「超能力者育成計画<レベル5グロウ>か」
213 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/24(木) 10:57:50.17 ID:SStp8sDO [3/8]
上条「私達は全力で反対し、その計画は白紙に戻されたはずです」
船瀬「そうだ。我々は二度と戦争を起こすまいと、魔術側に関連のある君達の過半数の賛成がなければ能力者に関わる計画は遂行出来ない」
上条「それが分かっていながら何故!?」
船瀬「学園都市の利益だめだよ」
上条「っ!」
船瀬「確かにお互いのバランスを取るのは必要なことだ。だがここは学園都市なのだよ。学園都市の人間が学園都市の利益を考えてなにが悪い?」
上条「それはもう聞き飽きました! それを分かった上で私達は計画に反対したんです!」
船瀬「……時間だ。これ以上の議論は後日予定を組んで話し合おう」
上条「逃げるつもりですか!?」
船瀬「逃げる? そうだな、出来ることならば逃げたいものだ」
上条「なにを……?」
船瀬「時間が取れないお詫びにいいことを教えてやろう」
上条「いいこと?」
船瀬「我々は白紙に戻された計画を通したはずだったが思わぬ横槍が入った」
上条「横槍?」
船瀬「暗部組織の一つである『スクウェア』に計画を強奪されたのだ」
上条「な、何故それを早く言わないんです!?」
214 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/24(木) 10:58:41.41 ID:SStp8sDO [4/8]
船瀬「言ったところでなにかが出来るか? 相手はアレイスターが実権を握っていると言われる暗部組織最大勢力の一つなのだぞ?」
上条「それは……!」
船瀬「残念ながらこれ以上話す時間はない。私は出掛けなければならないのだ」
上条「……分かりました」
船瀬「ではまた有意義な時間を」スタスタ
――ガチャン
上条(あんな計画が実行されたら学園都市はまた混乱に晒されるぞ? ちくしょう……)
上条「皆川ちょっといいか?」
皆川「はい、なんでしょう?」
上条「あの計画を洗い直したい。関連する資料を出来る限り集めてくれ」
皆川「分かりました」
上条「それともう一つ」
皆川「はい?」
上条「この計画に関することは俺達の間だけにしてほしい。無闇に広げたくないんだ」
皆川「上条さんが仰るのであれば」
上条「悪いな。そして気をつけてほしい」
皆川「気をつける?」
上条「暗部が動いている」
皆川「っ!? わ、分かりました」
215 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/24(木) 11:00:09.23 ID:SStp8sDO [5/8]
学園都市の上層部は現在、大きく三つに別れている。理事会の融合派と保守派。それとアレイスターが実権を握っていると言われる暗部組織の三つである。
融合派とは、上条当麻を筆頭に、科学側だけではなく魔術側の意見や人員を取り入れ二度と戦争を起こすまいと活発に動いている派閥である。理事員の皆川智子(みながわさとこ)は魔術側の人間である。
保守派とは、船瀬弥谷(ふなせやた)を筆頭に、従来のように学園都市は独自に先を進むべきだとし、学園都市の利益を最優先にしている派閥である。
構図の上では両派閥は敵対関係にこそあるが、二度と戦争を起こしてはならないとの見解は一致しており、両派閥とも相手に対し一定の理解は示している。
現在の暗部組織は過去のものとは違いほぼ完全に独立し、派閥や科学魔術に関わらず学園都市の損益を優先して動いている。
その実権を握っていると言われるのがアレイスターであるが真相は定かではない。最大勢力の一つに『スクウェア』という組織が確認されている。
融合派は魔術側と手を取り合い、保守派は学園都市の発展の為に、暗部は必要悪として現在はこの三つの上層部により学園都市は構成されている。
216 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/24(木) 11:01:14.03 ID:SStp8sDO [6/8]
超能力者育成計画<レベル5グロウ>
レベル5にもっとも近いとされるレベル4に対し特殊な実験を行い、レベル5として覚醒を促す計画である。これを暗部組織の一つスクウェアが強奪した。
学園都市の世間一般の認識では、過去の戦争により七人しかいないレベル5の内、四人が死亡又は行方不明とされている。現状は下記の通りである。
第一位の一方通行は行方不明
第二位の垣根帝督は戦争で死亡
第三位の御坂美琴は繰り上げ第一位に
第四位の麦野沈利は戦争で死亡
第五位の心理掌握は繰り上げ第二位に
第六位は繰り上げ第三位に
第七位の削板軍破は行方不明
これにより学園都市のブランド力低下で発展が伸び悩むと考えた保守派は、ブランド力の回復と新たな利益源を求め超能力者育成計画を発案するも、融合派の多数の反対で計画は白紙にされた。
その後、別の方向での話し合いが持たれるはずだったが保守派の独断で計画は実行に移されることになる。
上条当麻がそれに気がついた時は既に遅く、船瀬には撒かれ、スクウェアに計画を強奪された後だった。
217 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/24(木) 11:02:01.87 ID:SStp8sDO [7/8]
上条『すまん、今日は仕事で帰れそうにない』
美琴「なにかあったの?」
上条『いや、会議が長引いて今日中に終わりそうにないんだよ』
美琴「うん分かった。いつ頃帰れるの?」
上条『会議終わっての色々だから、……多分朝くらいになると思う』
美琴「分かった。当麻の分のご飯は残しておくね」
上条『悪いな。それじゃあな』
美琴「うんじゃあね」
一通「お義兄さンはなンだって?」
美琴「会議が長引いて帰れそうにないんだって」
打止「いつ帰ってくるの?」
美琴「明日の朝らしいわよ」
一通「浮気でもしてンじゃねェのかァ?」
美琴「当麻はそんなことしない! ……わよ」
打止「お姉様の気持ち、良く分かるよ」
一通「あァ? 俺がいつ浮気したってンだよ?」
打止「あの人に、あの人に、あの人に……」
一通「全部仕事関係の人間じゃねェか」
打止「でもあの人達の目はハンターの目だった……」
一通「意味分かんねェ」
美琴「所謂、女の勘ってやつよ」
一通「そうですかァ……」
219 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:19:54.51 ID:WS/TEMDO [1/13]
――翌朝――
上条「ただいまっと」
一通「おゥ、お疲れさン」
上条「あれ? 一方通行だけか?」
一通「打ち止め達ならついさっき出て行ったぜ」
上条「すれ違いかー」
一通「まァ俺もそろそろ出掛けるンだけどよ」
上条「どこに行くんだ?」
一通「仕事だよ仕事」
上条「そうか。なぁ一つ聞きたいことがあるんだけど、時間は大丈夫か?」
一通「面倒な話じゃなかったらなァ」
上条「助かるよ」
一通「でェ、改まって聞きたいことってなンだよ?」
上条「暗部組織――」
一通「……!」
上条「――スクウェアって名前に聞き覚えはあるか」
一通「……いや、ねェな」
220 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:21:05.94 ID:WS/TEMDO [2/13]
上条「そうか……」
一通「少なくとも俺がいた時はなかったはずだ。義兄さンも知らねェとなると出来たのは割と最近だろうな」
上条「……分かった」
一通「一体なにがあった?」
上条「悪い、これは話せないことなんだ」
一通「また厄介事かァ?」
上条「そんなところだ。まだなんにも起きてないけどな」
一通「『まだ』かよ」
上条「……ああ」
一通「チッ」
上条「すまん」
一通「打ち止め達は知らない方がいいンだよな?」
上条「そうだな」
一通「それじゃあ今の話は忘れてやンよ」
上条「あぁ、助かるよ」
一通「そンじゃあ行ってくる」
上条「気をつけろよー」
一通「誰に言ってンだよ」
221 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:22:39.04 ID:WS/TEMDO [3/13]
――とある研究所――
美琴(結局当麻とすれ違っちゃったなぁ)
研究員「――!」
美琴(連絡も取れなかったしまさか本当に浮気!?)
研究員「所長!」
美琴「なによ!?」
研究員「ひっ!?」
美琴「あ、ごめんなさい! ちょっと考えごとしてて気が立ってて……」
研究員「あー、まぁそうだろうと思いましたよ……」
美琴「あはは、ごめんね。それでどうしたの?」
研究員「先月分のデータの集計が終わりました」
美琴「ありがと。そこに置いといてくれる?」
研究員「分かりました」
美琴「いいデータが取れてるといいんだけどねぇ」
研究員「そうですね。そうすれば能力開発を効果的且つ的効率的に進められますしね」
美琴「そうよ。まるで化け物を作るかのような今までのやり方は見直されなければならないのよ」
研究員「所長……」
222 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:24:19.59 ID:WS/TEMDO [4/13]
打止「目が疲れたー」
研究員「目薬いりますか?」
打止「いるー」
研究員「はいどうぞ」
打止「ありがと。……うわわっなにこれ!?」
研究員「どうしました?」
打止「なんか目がスカイラブハリケーン!」
研究員「すいません、全っ然分からないです」
打止「なんかとにかくすっごい染みるの!」
研究員「そういう目薬ですから」
打止「ううっ、あなたよくこんなの使ってられるね……」
研究員「確かに刺激は強いですけど、それが逆に病みつきなってしまいまして」
打止「えー? でも目はすっきりした! さ、仕事仕事っと」
研究員「? 副所長、このファイルはなんですか?」
打止「これはファイルに不正アクセスがあった時に作られるバックアップファイル……」
研究員「不正アクセスって!?」
打止「……やられたみたい。お姉さじゃなくて、すぐ所長に連絡して」
研究員「は、はい!」
223 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:28:32.38 ID:WS/TEMDO [5/13]
美琴「不正アクセスのあったファイルは全てシステムスキャンのデータみたいね」
打止「それもレベル4のデータばかり……」
美琴「それだけじゃない。私達の研究データも抜かれてるわ」
研究員「レベル4と私達の研究データ……この二つをどうするつもりなんでしょう?」
美琴「利用するに決まってるでしょ」
打止「どうやって利用する気なのかな?」
美琴「それは分からないわ。ただこの二つをピンポイントにデータを抜いたってことは、それを利用できるそれなりの組織であることは間違いないわね」
研究員「ライバル関係の組織ですかね」
美琴「そう考えるのが妥当ね」
打止「下位個体達はどうしよう?」
美琴「あの子達も関わってるからそれとなく伝えておいた方がいいわね」
打止「分かった!」
研究員「私達はどうしましょう?」
美琴「足跡を見つけることが優先。そして他の妙な動きを見逃さないこと」
研究員「分かりました」
美琴「さ、ここで足踏みしてる時間はないわよ! 分かったらとっとと動く!」
打止「うん!」
研究員「はい!」
美琴(レベル4に私達の研究……レベル5でも生み出そうっていうの? 一体これ以上なんのために?)
224 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:33:49.09 ID:WS/TEMDO [6/13]
――とある病院――
医者「ちょっと遅刻だね?」
一通「10分はセーフだろ」
医者「……とにかく来てくれて助かったね」
一通「先生が直接俺を呼び出すなンて珍しいな」
医者「今回はちょっと特殊なケースでね」
一通「特殊?」
医者「そう。単純な外傷やそれに伴ったものなら僕でも治せるんだけどね。今回ばかりは僕に理解できないものがあってね」
一通「そいつは厄介そうな仕事だな」
医者「今も意識が戻らないんだね」
一通「……その患者はどこにいる?」
医者「ついてくるといいね」
225 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:39:29.19 ID:WS/TEMDO [7/13]
――病室――
一通「こいつァ……一体?」
医者「驚いたろう? 傷口が治らないんだね」
一通「……」
医者「もちろん手は尽くしたんだね。幸いにしてそこ以外にそういった傷がないから大事には至ってないんだね」
一通「そこで俺の出番て訳か」
医者「そうだね」
一通「ちょっと診させてもらうぜェ」スッ
一通(確かに切った切られたような傷じゃねェな。……これはなンだ? 僅かだが傷口に俺の解析をすり抜けるものがあるな。原因はこいつか?)
一通(……俺のフィルターに当てはまらねェだと? これだけを解析、演算……っ!? な、なンだよこの物質は? 有り得ねェぞ……)
医者「どうかしたかね?」
一通「いや、もう少し待ってくれ」
一通(傷口全体からこの物質を排除、血流操作、正常。やっぱりあれが原因か)
一通「終わったぜ。後は普通に縫合すればすぐ治るはずだァ」
医者「すまない、伝えておくんだね。結局、原因はなんだったんだい?」
一通「傷口全体に恐らくこの世にはねェ微量な物質が付着していた。それが治療の邪魔をしてたンだよ」
医者「この世にはない……?」
一通「あァ。だから先生の手にも負えなかったンだ」
226 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:44:30.97 ID:WS/TEMDO [8/13]
医者「ふむ、それは困ったね」
一通「その割には随分と冷静じゃねェか」
医者「これでも君の何倍も生きてるからね、こんなことは沢山経験してきてるんだね」
一通「そうかよ。そンでこの患者はなにがあって運ばれて来たンだ?」
医者「スキルアウト相手に喧嘩をしてたらしいね」
一通「喧嘩ァ? 喧嘩でこンな変な傷を負ったてのかァ?」
医者「詳しい話は意識が戻ってから聞くしかないね。そのスキルアウト達は逃げてしまったようだからね」
一通「多分、スキルアウトを追っても意味はねェよ」
医者「どういうことだね?」
一通「傷口にこンなことが出来ンのは能力者か魔術師くらいだ」
医者「言われてみればだね」
一通「更に追求すると俺のフィルターに傷口の物質は当てはまらなかった」
医者「物質、と言うことは能力者の仕業だね。……もしかして君はその能力者に心当たりがあるんじゃないのかい?」
一通「あァ。こンな真似が出来るは恐らくあいつしかいねェ」
医者「それは誰だね?」
一通「未元物質の垣根帝督。俺に次ぐ第二位の超能力者だよ」
227 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:45:25.62 ID:WS/TEMDO [9/13]
――とある一室――
船瀬「VIPルームにいれるのはありがたいのだが、私はいつまでここにいればいいのかね?」
沈利「……」
船瀬「もう一晩経っているのだが? 仕事も残ってるから早く帰りたいのだがね」
沈利「……ちょっと黙っててくれない? 眉間に穴を空けるわよ?」
船瀬「おー怖い怖い。これが第四位の原子崩しか」
沈利「さんをつけろよ凸助野郎おおおッ!!」
――ブンッ
船瀬「うぐっ! こほっこほっ! ……鳩尾に蹴りを入れられるくらいなら眉間に穴を空けられた方がマシだったのだが」
沈利「黙れってんだよおおおッ!!」
――ブンッ
船瀬「ぶっ! ……私の綺麗な顔に傷をいれるなんて酷いではないか。め、る、と、だ、う、なー、さん」
沈利「もういい……テメェは体中を穴だらけにして跡形も残さねーからなぁッ!!」シュインシュイン
船瀬「……」ニッ
――バサァッ!
228 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:48:40.51 ID:WS/TEMDO [10/13]
沈利「っ!?」
垣根「落ち着け。この男にはまだ利用価値がある」
船瀬「……ッ」
沈利「そうだったわね……。ごめん、ちょっと頭を冷やしてくる」スタスタ
垣根「おい、勝手に死のうとしてんじゃねえよ」
船瀬「なんのことか分からないのだが。その前に君もスクウェアの一人なのか? 見たところリーダーかね?」
垣根「そうだ。スクウェアのリーダーの垣根帝督だ」
船瀬「垣根だと!? 今朝、原子崩しと聞いて残りの寿命分驚いたと思っていたんだが……」
垣根「いい機会だからその生死の常識は捨てるんだな」
船瀬「……それが良さそうだ。さて、リーダーの方が話は出来るように感じるのだが」
垣根「余計な話は聞かねえぞ」
船瀬「それはリーダーが判断することじゃないのかね?」
垣根「ああ、そうだな」
船瀬「ではでは。私はいつまでここにいればいいのかね?」
垣根「利用価値がなくなるまでだ」
229 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:50:30.72 ID:WS/TEMDO [11/13]
船瀬「超能力者育成計画の全情報の提供、理事会の目くらまし、そして昨日から今朝にかけて行ったハッキング。もう十分だと思うがね」
垣根「お前はそうなんだろうが俺らにはまだ利用価値があんだよ」
船瀬「ほう?」
垣根「保守派と融合派が争ってるだけでこっちとしては動きやすい。だからお前を死なせる訳にはいかねえんだよ」
船瀬「生かしてくれるのかね? それはありがたい話だね」
垣根「あいつを挑発して死のうとしてたくせによく言うな」
船瀬「!」
垣根「学園都市の利益を最優先して、後に混乱を招くことを先に死んで詫びようとでも思ったのか?」
船瀬「……」
垣根「甘えよ。ティラミスにあんこ乗っけて蜂蜜塗るくらい甘えよ。こっちはそれくらい分かってんだよ。死んで終わらそうなんて甘えこと考えてんじゃねえ」
船瀬「一度死んだ人間が言うと説得力があるのだが」
垣根「ああ、自覚はある」
230 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:52:49.01 ID:WS/TEMDO [12/13]
一通「ただいまァ……っつっても今日は一人か」
一通「義兄さンは仕事、打ち止め達も産業スパイが入ったとかで残業」
一通「晩飯は久しぶりにファミレスにでも行くかァ」
――――
一通「……」スタスタ
黒子「あら、あなたは一方通行さんではございませんの?」
一通「黒子かァ」
黒子「文字じゃ伝わらないでしょうけれど、今ホクロって言いましたわよね!?」
一通「気のせいじゃねェのか?」
黒子「気のせいではございませんの! ……ところで私のお姉様'sはどこでございますの?」
一通「てめェのじゃねェ。打ち止め達なら残業だ。ちなみに義兄さンも仕事だ」
黒子「義兄さん、ですの?」
一通「な、なンでもねェ!」
黒子「ほぉー?」
一通「ぐっ……俺はこれから晩飯食べに行くンだから着いて来ンな」
黒子「実は私もこれから晩御飯でしたの」ニヤニヤ
一通「チッ……着いて来やがれ」
黒子「はいですの!」
237 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:30:15.13 ID:5sqUjQDO [2/12]
一通「……」スタスタ
黒子「……」スタスタ
一通「おい、お前なンか悪いことでもしたのか?」
黒子「んまっ! なんて失礼な!」
一通「じゃあ、なンで後を付けられてンだよ?」
黒子「私に心辺りはありませんの。あなた絡みではなくて?」
一通「お前と会うまでは別になンもなかったンだがなァ」
黒子「……」
一通「……」
黒子「では、撒きますので捕まって下さいまし」
一通「ほらよ」
黒子「では」
――ビュン
??「……」
238 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:30:51.45 ID:5sqUjQDO [3/12]
――とあるファミレス――
一通「便利な能力だよなァ」
黒子「なかなか演算が難しいですのよ?」
一通「11次元だったかァ? ンなもン無意識でも演算出来ンだろ」
黒子「ありえませんの……」
一通「そうかァ? 気がついたら反射の設定に組み込ンでたぞ」
黒子「そんな簡単に出来るなら黒子はとっくにお姉様と同じレベル5ですの」
一通「そういやあのショタコンも似たようなことを言ってたなァ」
黒子「ショタコン……ですの?」
一通「いや、こっちの話だ」
店員「ご注文はお決まりでしょうか?」
一通「コーヒー、ブラックで。それとこれ」
店員「かしこまりました」
黒子「私はこれとベンティアドショットヘーゼルバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソーススランバチップチョコレートクリームフラペチーノで」
一通「ベンティアドショットセー……なンだ?」
黒子「ベンティアドショットヘーゼルバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソーススランバチップチョコレートクリームフラペチーノ、ですの」
店員「かしこまりました」
一通「理解した……だとォ……?」
239 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:31:22.35 ID:5sqUjQDO [4/12]
黒子「どうかなさいました?」
一通「いやいやあンなのメニューにねェだろ!? ってかなンであの店員は普通に了承してンだよ!?」
黒子「なにせ店員ですので」
一通「ど、どういう……?」
黒子「全てのSSにおいて店員はの唯一無二の絶対の存在ですの。それは学園都市も例外ではありませんの」
一通「SSってなンだよ!?」
黒子「……はぁ」
一通「なンだよ……?」
黒子「あなた、消されますわよ?」
一通「これ以上突っ込ンだら俺のパーソナルリアリティが揺らぎそうだぜェ……」
黒子「それでよろしいですの。では、そろそろ黒子にも教えて欲しいですの」
一通「なにをだよ?」
黒子「もちろん『義兄さん』と呼び始めた理由をですの」
一通「……ェー」
黒子「あー、万が一にでも私のお姉様を『義姉さン』などと呼んでる場合には全黒子が総力をあなたを潰しにかかりますわよ?」
一通(テレポートしてェ)
240 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:31:42.65 ID:5sqUjQDO [5/12]
――とある一室――
上条「船瀬の居場所は分かったか?」
皆川「いえ。出掛けた先で泊まると連絡したきり消息が掴めてません」
上条「んー、嫌な予感しかしないな……」
皆川「雨でも降ってくれれば私の魔術が活きるのですが……」
上条「霊体だったっけ?」
皆川「はい。水を媒介して霊体を生み出す霊媒術です」
上条「水の他にはなにがあるんだ?」
皆川「他には火や鉄、電気など様々ですね。私は水が専門ですけど」
上条「便利だなよぁ。俺も霊媒師になれないかな?」
皆川「上条さんがですか!?」
上条「え、なんか変か?」
皆川「上条さんが霊媒術を身に付けたら私の居場所がなくなっちゃいます……」
上条「そんな寂しいこと言うなよ……」
皆川「え?」
上条「皆川がいなくなったら誰が俺の代わりに頭を使うんだよ?」
皆川「……」
241 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:32:29.43 ID:5sqUjQDO [6/12]
上条「学のない俺が仕事出来てるのは皆川のおかげなんだぞ? 頼りにしてるんだからそんな寂しいこと言うなよ」
皆川「……はぁ」
上条「どうした?」
皆川「いえ、なにも」
上条「なんだよ、気になるだろ」
皆川「上条さんは上条さんと言うことでした」
上条「な、なんでそんなに不機嫌になってるんでせうか?」
皆川「教えてあげません」
上条「そこをなんとか……!」
皆川「お腹が空きました」
上条「はい?」
皆川「お腹が空いて来ちゃいました」
上条「……よし、船瀬も見付からないし今のうちに飯でも食べに行くか!」
皆川「それで許してあげます」
上条「なんかよく分かんないけどありがとな!」
皆川(分かんないんだ……)
242 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:33:10.56 ID:5sqUjQDO [7/12]
――とある職場――
佐天「ねぇ初春」
初春「なんですか佐天さん?」
佐天「手からマックポークが出る能力とかに目覚めないかなぁ?」
初春「え、えー? なんですかその能力……」
佐天「ほら美味しいし、小腹空いた時に食べられるっていいと思わない!?」
初春「そうかもですけど、欲望だだ漏れですよ?」
佐天「あれ、バレた?」
初春「バレバレ愉快ですよ佐天さん」
佐天「でもさぁ、マックポークが出せる能力と初春の原子稼働<メルトアップ>があれば原価設備不要で儲け放題だよ!」
初春「そんな卑しいことに能力を使っちゃ駄目ですよ佐天さん!」
佐天「分かってるってー。でもあの魔法瓶だった初春がレベル4だもんなぁ」
初春「誰が花瓶ですか!」
佐天「え、誰もそんなこと言ってないよ?」
初春「え? あぅ、すいません。なんか変な電波を受信してしまいました」
佐天「変な初春」
243 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:33:44.89 ID:5sqUjQDO [8/12]
初春「今日は久しぶりにどこかよって行きませんか?」
佐天「お、いいねぇ。よーし、お姉さんお酒飲んじゃうぞー!」
初春「程々にしてくださいよ?」
佐天「頼りにしてるよ初春!」
初春「酔いつぶれること前提ですか!?」
佐天「駄目なの?」
初春「駄目です!」
佐天「うーいはるー」
初春「駄目なものは駄目です!」
佐天「ちぇ。まぁ二人で飲んでもあれだもんね」
初春「御坂さん達と飲みたいですね」
佐天「上条さんだよ初春」
初春「そうでした! どうも癖が抜けなくて困っちゃいます」
佐天「私も名字変わりたいなぁ……」
初春「私もです……」
佐天「よし初春! 私達、結婚しよう!」
初春「ええーっ!?」
佐天「大丈夫! 日本じゃ結婚出来なくてもオランダなら出来るから!」
初春「お、落ち着いて下さい佐天さん!」
佐天「今すぐパスポート取って来ぉい!」
初春「そんな急に無理ですよ!」
244 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:34:18.20 ID:5sqUjQDO [9/12]
――とある研究所――
美琴「見つけた、足跡!」
打止「お姉様ほんと!?」
美琴「ええ。まさか外からのアクセスじゃないとは思わなかったわ」
打止「外からじゃないってどういうこと?」
美琴「正規のルートでアクセスして、その後わざと不正アクセスしたようにしたのよ」
打止「正規のルートなのになんでそんな必要があるのかな? まるで誰かに発見してほしいみたい……」
美琴「そう、それよ」
打止「へ?」
美琴「不正アクセスにした際の法則性を見つけたのよ。そしてその法則性を読み取ると……『――ホテルに監禁されている船瀬』って一文が出来上がるのよ」
打止「フナセ……ふなせ……船瀬……船瀬って理事会の!?」
美琴「そうよ。外じゃなく中。それも中の中でど真ん中ストライクね」
打止「当麻お義兄さんが忙しかった理由ってそれかな?」
美琴「でしょうね……。あんの馬鹿、また厄介事を……」ビリビリ
打止「うわわ、お姉様落ち着いて! 当麻お義兄さんだって詳しいことが分かってたらお姉様に教えてるはずだよ!」
美琴「う、確かに……」
245 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:35:10.60 ID:5sqUjQDO [10/12]
打止「当麻お義兄さんと連絡は?」
美琴「昼過ぎに『今日も遅くなる』って連絡があったきり繋がらない……」
打止「お姉様、『当麻エナジー』が足りてないの?」
美琴「うん……」
打止(うわぁ……黒子お姉ちゃんみたいになってる……)
美琴「打ち止めは足りてるの?」
打止「なにが?」
美琴「『一方通行エナジー』が」
打止「え、足りてるんじゃないかな? 私は昨日も今日も普通に会ってるから」
美琴「ずるい」
打止「そんなこと言われてもー」
美琴「……。……よし、決めた!」
打止「もしかして当麻お義兄さんに会いに行くの?」
美琴「違うわ」
打止「へ?」
美琴「足腰に電気流して動けなくさせに行くのよ」
打止(それって会いに行くのとどう違うのかなー?)
美琴「さぁ皆の者! 馬を引け、丘に向かうぞ!」
打止「う、馬? ……あ、車ね。手配してくるから待ってて!」
246 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:35:55.08 ID:5sqUjQDO [11/12]
美琴「あ、行き先は理事会本部じゃないからね?」
打止「へ? 違うの?」
美琴「だって連絡が取れないのよ? きっと当麻は船瀬さんのとこに行ってるはずよ」
打止「……そうかな?」
美琴「そうよ! だから私も――ホテルに行って当麻に会うんだから!」
打止(結局のところは会いたいんだね……)
美琴「あ、打ち止めはここで待機ね。なにかあるとも限らないから」
打止「うん」
美琴「それと、」
打止「?」
美琴「念のため、妹達にいつでも動けるように連絡してくれる? どうも臭うのよね」
打止「いいけど……どうして?」
美琴「当麻が絡んでるからってのもあるんだけど、抜かれたデータがデータだけにしね……」
打止「うん、分かった」
美琴「それじゃ行ってくるわ」
打止「気をつけてね!」
美琴「大丈夫よ。現在、学園都市第一位に任せなさい!」
打止(あの人が聞いたら怒るんだろうなー)
247 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:37:28.29 ID:5sqUjQDO [12/12]
一方通行と黒子に忍び寄る影は一体!?
初春がレベル4!?
そしてその能力の原子稼働<メルトアップ>とは!?
皆川の霊媒師としての力は如何に!?
結婚してもスルーされる美琴は当麻エナジーを無事補給出来るのか!?
麦のんに蹴られた羨まゲフンゲフン船瀬は果たして!?
とある夫婦の超能力者<レベル5>、7月11日公開予定!
同時上映、浜面のアイテム育成物語もお楽しみに!
前売り券を持参の方には人気アニメ、魔法少女。姫りんの特製ストラップをプレゼント
嘘予告一度やってみたかったんですすいません
沈利「オラァ! 起きろ帝督!」
垣根「……無理」
沈利「とっとと起きねえと尻の穴増やすぞ!?」
垣根「なんだよ、ご機嫌斜めだな」
沈利「関係ねえんだよおぉぉ! もう朝ご飯の用意は出来てるんだから起きろっつの!」
垣根「皺、増えるぞ?」
沈利「ブチ殺シ確定ネ」シュインシュイン
垣根「おっと危ねえ」バサァ
沈利「あーもうっ!」
垣根「おいおい、俺を殺そうとするなんて酷いじゃねえか」
沈利「どうせ殺せないんだから酷いもなにもないっての」
垣根「ほら、嫁に殺されそうになる可哀想な旦那の気持ちも考えろよ」
沈利「浮気される可哀想な嫁の気持ちも考えろよ」
垣根「だんだよそれ」
沈利「最近帰りが遅いのはそれが理由じゃねえのかよ?」
垣根「なんのことだ」
沈利「え?」
174 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:29:25.19 ID:QHYjeoDO
垣根「浮気なんて人聞きの悪い」
沈利「じゃあなにしてんのよ?」
垣根「ちょっと女と遊んでるだけだ」
沈利「それを浮気だってんだよおおお!」シュインシュイン
垣根「だから危ねえって」バサァ
沈利「……はぁ」
垣根「まさかお前、妬いてんのか?」
沈利「!」
垣根「図星か」
沈利「……だったらなによ」
垣根「まさか俺にそこまでの情を持つとは思わなくてよ」
沈利「悪かったわね」
垣根「悪くはないが、意外だ」
沈利「……私も意外だったわ」
垣根「ま、いいんじゃねえか?」
沈利「なにがよ?」
175 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:31:51.96 ID:QHYjeoDO
垣根「お前の言った通りになってるんだからな」
沈利「……」
垣根「『いっそのこと夫婦にでもなる?』だっけか? それらしくなってきてよ」
沈利「頭に爆弾埋め込まれてなかったらそんなこと言わなかったのに……」
垣根「上の連中も考えたもんだよな。体を再生させる代わりに馬車馬のように働けってんだからな。働かなかったら爆発させるって言うし」
沈利「しかも、私か帝督のどちらかが死んだらもう片方の爆弾が爆発する。面倒なことをしてくれたわ」
垣根「まぁそれで夫婦って選択肢が出てきたことに驚きなんだがな」
沈利「酒のせいよ……」
垣根「惚れちまったのも酒のせいか?」
沈利「そうだといいわね……」
垣根「……。仕方ねえ、女遊びはやめるか」
沈利「最初っからしてんじゃねえぇぇよおおお!!」シュインシュイン
垣根「効かねえって」バサァ
沈利「……なんなのよもう」
垣根「女遊びっつってもあれだぞ? ケバいお姉ちゃん達と酒飲んでるだけだぜ?」
沈利「それでも私にとっては十分浮気に値することよ……」
176 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:34:45.83 ID:QHYjeoDO
垣根「なぁ、なんで俺が朝までにちゃんと帰ってくるか分かるか?」
沈利「……なによ?」
垣根「お前の作るご飯が食べたいからだよ」
沈利「ななっ!?」
垣根「朝に鮭を食わねえとシャケだけにシャキっとしねえんだよ」
沈利「……」
垣根「……悪い」
沈利「分かってるならいいわ。さ、早く食べましょ」
垣根「急に機嫌よくなったな」
沈利「そう? まぁ帝督の気持ちも分かったしね」
垣根「気持ち?」
沈利「私達が一緒に暮らし始めてから、仕事以外では私のご飯食べてくれてるわよね?」
垣根「そうだったか? そうだとしとも、それがどうしたんだ?」
沈利「それってつまり私の作るご飯が好きってことよね?」
垣根「まぁ、そうとも言えるか」
沈利「帝督の方がベタ惚れじゃん」
垣根「……下らねえ」
177 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:36:18.73 ID:QHYjeoDO
沈利「なにが下らないのかにゃーん?」
垣根「うるせえ。さて、起きるか」
沈利「照れてるの?」
垣根「照れてねえ」
沈利「まぁまぁ強がらなくても」
垣根「……沈利」
沈利「な、なに?」ドキッ
垣根「襲うぞ」
沈利「にゃっ!?」
垣根「なんて声挙げてんだ、冗談だ。顔洗ってくる」
沈利「てーいとくぅー」
垣根「あー、俺の洗顔切れてんな。お前の借りるぞ」
沈利「無視すんなっての!」
垣根「あ? なんだ、襲ってほしかったのか?」
沈利「べべべ別にぃ?」
垣根「そうか」
沈利「……」
178 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:39:02.38 ID:QHYjeoDO
垣根「お前今日仕事休みだよな? あ、お茶くれ」
沈利「どうぞ。休みだけど、どうかした?」
垣根「どうも。俺も仕事休みなんだよ。味噌汁頼む」
沈利「はいはい。一日オフが重なるなんて珍しいわね。ご飯お代わりいる?」
垣根「ああ頼む。それでよ、洗顔切れてたろ?」
沈利「そうね」
垣根「買いに行こうかと思ってな」
沈利「行ってらっしゃい」
垣根「……お前は行かないのか?」
沈利「私は別に外に出る用事ないしー」
垣根「わざとやってないか?」
沈利「なにがー?」
垣根「……。一緒に洗顔買いに行かねえか?」
沈利「それだけじゃねぇ」
垣根「ちっ、分かったよ。洗顔買うついでにデートしようぜデート」
沈利「いいよ。全く、初めからそう言えばいいのに」
垣根「うるせえ」
179 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:40:37.40 ID:QHYjeoDO
垣根「ごちそうさま」
沈利「お粗末様でした」
垣根「そういや今日の鮭は一味違ったな。なにかしたか?」
沈利「味付けはいつもと同じだけど、よく気がついたわね」
垣根「毎日鮭食べてれば分かるさ。で、なにが違うんだよ?」
沈利「学園都市の魚介類や野菜類食べ物ってほとんど養殖でしょ? 今日食べた鮭は養殖じゃないのよ」
垣根「ってことは天然か?」
沈利「そうよ。仕事の報酬で何が欲しいかって聞かれたから『天然の鮭』って言ったらほんとにくれたわ」
垣根「ほう。じゃあ俺も次はたまごボーロ一年分とか頼んでみるかな」
沈利「絶対余すわ」
垣根「お前は食べないのか?」
沈利「食べないわよ。あんな子供のお菓子を今更、ねぇ」
垣根「……おい、今なんて言った?」
沈利「え? 食べないって……」
垣根「その後だよ」
沈利「えっと、子供のお菓子を今更?」
垣根「それだよそれ」
180 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:42:06.35 ID:QHYjeoDO
沈利「はい?」
垣根「たまごボーロを馬鹿にすんな」
沈利「別に馬鹿になんて……」
垣根「いや、してた。仮にしてなかったとしてもかなり見下していた」
沈利「はぁ、」
垣根「謝れ」
沈利「は?」
垣根「俺が前に鮭を他の魚と同じにした時、お前三日くらい口聞いてくれなかったじゃねえか」
沈利「あーそういえばそんなこともあったわね」
垣根「幸いにして俺は心が広い男だ。今すぐ謝れば許してやる」
沈利「ごめんね、帝督♪」キャピ
垣根「黙れ、歳を考えろ」
沈利「お前だって同い年じゃねえかよおおお!!」
垣根「論点はそこじゃない。たまごボーロを馬鹿にしたことに誠心誠意謝罪しろ」
沈利「はいはい、めんごめんご」
垣根「……」
181 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:43:38.47 ID:QHYjeoDO
沈利「サーセンシタァ」
垣根「……お前に常識ってものを教えてやるよ」
沈利「やってみろ非常識」
垣根「余裕だ格下」バサァ
沈利「……っ!?」
沈利(こ、この感覚はなに!? まるで体の自由が奪われるような……)
垣根「空気中の成分を変質させた。今のお前は軽い催眠状態になってるはずだ」
沈利「ちっ、未元物質はそんなことまで出来んのかよ」
垣根「本職には及ばないがな」
沈利「くそっ、いやらしい真似をしやがって」
垣根「それを望んでるならしてやるよ、メス豚が」
沈利「」ピク
垣根「だが、まずはたまごボーロの件についての謝罪が最優先事項だ」
沈利「どんだけたまごボーロが好きなんだよてめえは……!?」
垣根「無論、死んでも」
182 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:46:05.94 ID:QHYjeoDO
垣根「さぁ、頭を下げ謝罪するんだ」
沈利「だ、誰が……」ググ
垣根「しぶといな。そうだな、いいことを教えてやろう」
沈利「?」
垣根「催眠状態といっても未元物質なら精々寝ぼけてる状態にしか出来ない」
沈利「……で?」
垣根「寝ぼけてる状態ってのがミソだ。つまり無意識下に働きかければ自ずとその行動を取る可能性が高い」
沈利「やれるもんならやってみろ」
垣根「おい、口の聞き方がなってないぞメス豚が」
沈利「はい。……んがあぁぁっ!?」
垣根「黙れメス豚」
沈利「すみません。……じゃねええぇぇぇ!!」
垣根「メス豚はイマイチみたいだな」
沈利「この野郎……」シュイン
垣根「寝ぼけてる状態で撃ったら家ぶっ壊すだけだぞ」
沈利「ぐっ、」
183 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:47:25.44 ID:QHYjeoDO
垣根「さぁいい子だから俺に謝ってごらん? 沈利ちゃん」
沈利「……うん、ごめんね帝督。……はっ!」
垣根「沈利ちゃんはいい子だなぁ。でも俺はもう一言欲しいんだ。分かるね、沈利ちゃん?」ナデナデ
沈利「えっとね、もうたまごボーロを馬鹿にしない。だから帝督、許して?」ペコリ
垣根「よし、許してやる」
沈利「ほんと!? ありがと、帝督! 大好き!」ダキッ
垣根「……っ!?」
沈利「……。……なんかごめん」
垣根「……いや、いい」
沈利「……」
垣根「……もう解除したから離れられるぞ」
沈利「……うん」スッ
垣根「まぁ、人生色々だよな」
沈利「死にたい……」
垣根「俺はせっかくだから生きたい」
184 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:48:31.98 ID:QHYjeoDO
沈利「ねぇ、これなんてどうかな?」ヒラ
垣根「いいんじゃねえか」
沈利「これは?」ヒラ
垣根「いいんじゃねえか」
沈利「……じゃあこれは?」ヒラ
垣根「いいんじゃねえか」
沈利「ねぇ、ブチ殺していい?」シュイン
垣根「断る」バサァ
沈利「……」
垣根「どうした?」
沈利「真面目に聞いてんのか聞いてないのかハッキリしやがれ!」
垣根「俺はいつだって真面目だ」
沈利「どこが!」
垣根「頭の天辺から足の裏まで」
沈利「その真面目な帝督くゥゥゥンはどうして全部同じ感想なのかにゃーん?」
垣根「どこの一方通行だよお前は」
185 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:50:18.49 ID:QHYjeoDO
沈利「いいから答える!」
垣根「はぁ、そんなの全部いいと思ったからに決まってんじゃねえか」
沈利「そんなありきたりな言い訳……」
垣根「違う。例えばだ、俺がAの服がいいと言ったとする。そしたらお前はAの服を着る」
沈利「当たり前じゃない」
垣根「じゃあ選ばれなかったBやCの服はどうなる?」
沈利「それは、」
垣根「どうするかはお前次第だが、少なくとも俺はBやCの服を着たお前を見る機会はほとんどなくなるだろう。そんなのは嫌だね」
沈利「で、でも気分てものが」
垣根「あのなぁ、沈利」
沈利「な、なによ?」
垣根「俺は沈利と一緒に入られれば満足なの。だから服装なんて二の次でいいんだよ」
沈利「帝督……」
垣根「分かったか? これ以上言わせんな、恥ずかしい」
沈利「……うん」
186 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:51:13.63 ID:QHYjeoDO
垣根「いいから早く選びやがれ」
沈利「ふふふ。じゃあこれにする!」
垣根「いいんじゃねえか」
沈利「うん! さ、着替えるから出て行った出て行った」
垣根「だが断る」
沈利「断れ!」
垣根「はいはい」
沈利「覗かないでね?」
垣根「自分でフラグ建てるとはいい度胸だな」
沈利「建ててない!」
垣根「まぁ後で存分に見てやるから安心しろ」
沈利「~~っ!」
垣根「声にならない叫びとなって♪」
沈利「こみあげる♪」
垣根・沈利「この気持ちはなんだろう♪」
垣根「アホか」
沈利「お前が言うな!」
187 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:52:13.50 ID:QHYjeoDO
垣根「ハンカチは持ったか?」
沈利「持った」
垣根「ティッシュは?」
沈利「持った」
垣根「予備のティッシュは?」
沈利「忘れてた」トテテ
垣根「ったく。……ほら、襟元しっかり」
沈利「あ、うん」
垣根「髪も目立つアホ毛や枝毛は切る」
沈利「それは今からじゃちょっと……」
垣根「財布と携帯は取られやすいところには絶対入れるなよ?」
沈利「……」
垣根「おい、聞いてんのか?」
沈利「母親かてめえは!?」
垣根「沈利ちゃんは可愛いから変な男の人に着いてっちゃ駄目だぞー?」
沈利「きめえ、黙れ。そして弾けて混ざれ」
垣根「沈利ちゃんが有効なのは催眠状態だけか」
沈利「それは忘れて……」
188 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:54:22.97 ID:QHYjeoDO
垣根「しーずりん」
沈利「っ!?」ビクゥ
垣根「そうか、びっくりするほど嬉しかったのか沈利んは」
沈利「ちげええよおっ! 気持ち悪くてびっくりしたんだよおおお!」
垣根「じゃあ、しずちゃん」
沈利「池袋か!」
垣根「しずしずー」
沈利「凄く言いにくいと思うんだけど」
垣根「りんりん」
沈利「原型なくなってきてるし、それに私はパンダか!? つうかもう普通に呼べよ!?」
垣根「あー、うん……そうだな」
沈利「なによ?」
垣根「なんか急に恥ずかしくなってきて……」
沈利「さっきまで普通に呼んでたろ!?」
垣根「いやーほら、面と向かって改めてってとなると……な」
沈利「意味分かんないんだけど」
189 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:55:43.10 ID:QHYjeoDO
垣根「それじゃあ俺の目を見て名前を呼んでみろよ?」ジッ
沈利「そんなのよゆ……っ!?」
垣根「……」ジッ
沈利「……」ドキドキ
沈利(こ、これは予想外に恥ずかしい!)
垣根「どうした?」ジッ
沈利「べ、別に?」
垣根「なら早くしろよ」ジッ
沈利「うん……」
沈利(すーはー。大丈夫、ただ名前を呼ぶだけ。て、い、と、くの四文字を呼ぶだけ。大丈夫大丈夫)
垣根「……」ジッ
沈利「ちぇ、てーとく……」
垣根「噛んだな。ああ、間違いない。噛んだな」
沈利「大事なことなので二回言いましたってかあ!?」
垣根「そんなところだ」
沈利「~~っ!」
190 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:57:16.60 ID:QHYjeoDO
沈利「て、帝督こそ私の目を見て名前呼べるの?」
垣根「どうだろうな」
沈利「さぁ!」バッ
垣根「……あー、」
沈利「さぁ早く!」ギラッ
垣根「……なんか恨みでもあるのか?」
沈利「え?」
垣根「睨むなよ……」
沈利「ご、ごめん」
垣根「ほら、顔上げろよ沈利」
沈利「うん……え?」
垣根「どうした?」
沈利「今、名前……」
垣根「言ったぞ」
沈利「そうだけど……」
垣根「目も見て言ったぞ」
沈利「でも、なんだかだってだって!」ジタバタ
垣根「だってなんだもんってか」
191 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 22:58:16.63 ID:QHYjeoDO
沈利「てか、帝督ってそんなキャラだったっけ?」
垣根「なんの話だ?」
沈利「なんていうか、好きな子に悪戯する男子みたい」
垣根「……いつもと同じだ」
沈利「ふーん?」
垣根「なんだよ?」
沈利「べっつにー」
垣根「言えよ。気になるだろ」
沈利「そ。じゃあまずはいつもより口数が多い」
垣根「たまたまだ」
沈利「割と私に触れてくる」
垣根「気のせいだ」
沈利「デートに誘った」
垣根「ものは言いよう」
沈利「ご飯を楽しみにしてくれる」
垣根「いつものことだ」
沈利「帝督にとってはいつも楽しみなのかにゃーん?」
垣根「……まぁな」
192 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:00:11.17 ID:QHYjeoDO
沈利「私のご飯食べないとシャキッとしないんだっけ?」
垣根「ああ、そうだよ。ったく、結局なにが言いたいんだよ?」
沈利「素直じゃないよね」
垣根「……俺はいつでも素直だ」
沈利「帝督もツンデレか」
垣根「素直クールと言ってくれ」
沈利「あー、私デレかぁ」
垣根「爆弾埋め込まれてメルヘン脳になっちまったのか?」
沈利「羽には劣るわよ」
垣根「心配すんな、自覚はある」
沈利「ねぇ、いつから私に惚れたの?」
垣根「さあな」
沈利「教えてくれたっていいじゃん」
垣根「……高校生かよ、歳を考えろ歳を」
沈利「てーいとくぅ」シュインシュイン
垣根「こっから先は常識は通用しねえってなあ!」バサァ
193 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:01:58.35 ID:QHYjeoDO
沈利「はぁ、はぁ……」
垣根「……まぁ、さっきのは俺が悪かった」
沈利「悪かったと思うならちゃんと質問に答えなさいよ」
垣根「えー」
沈利「いいから答える!」
垣根「分かったよ」
沈利「……」ゴクリ
垣根「いつからか……俺らが暗部のツートップになって一緒に仕事する機会が多くなってきてからだな。だから具体的にいつなんて分からねえ」
沈利「それって結構前じゃない」
垣根「そうだな」
沈利「じゃあさ、私のどこに惚れたの?」
垣根「『いつ』という質問にはちゃんと答えたぞ」
沈利「この際だからいいじゃーん、教えてよー」ブンブン
垣根「人の袖を掴んでブンブンすんな。中学生か。さすがに無理があるぞ」
沈利「垣根くゥゥゥゥゥゥン!!」シュインシュイン
垣根「お前も垣根だろう」バサァ
194 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:04:28.27 ID:QHYjeoDO
沈利「……」
垣根「これから出掛けんのに体力持つのか?」
沈利「てめえのせいだっつーの……」
垣根「今回も俺が悪かったみたいだな」
沈利「そう思うなら質問に答えやがれ」
垣根「ふむ。どこに惚れたかだったか? そうだな。類は友を呼ぶってやつだろうな」
沈利「類友?」
垣根「お前も分かるだろ? 闇に生きる人間が『日遊び』出来るはずがねえのを。そしてその『日遊び』は敵対する奴らに利用されるのを」
沈利「そりゃあ」
垣根「だからだよ。お前は同じ側に生きる人間だし、第一位と俺と浜面だったか? 以外には負けそうにないしな」
沈利「そう……。ねぇぐ、具体的な場所は?」
垣根「具体的?」
沈利「例えば顔がタイプだとか」
垣根「特にはないな」
沈利「はぁ!?」
垣根「なんだよ?」
195 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:05:47.98 ID:QHYjeoDO
沈利「……」
垣根「これから出掛けんのに体力持つのか?」
沈利「てめえのせいだっつーの……」
垣根「今回も俺が悪かったみたいだな」
沈利「そう思うなら質問に答えやがれ」
垣根「ふむ。どこに惚れたかだったか? そうだな、類は友を呼ぶってやつだろうな」
沈利「類友?」
垣根「お前も分かるだろ? 闇に生きる人間が『日遊び』出来るはずがねえのを。そしてその『日遊び』は敵対する奴らに利用されるのを」
沈利「そりゃあ」
垣根「だからだよ。お前は同じ側に生きる人間だし、第一位と俺と浜面だったか? 以外には負けそうにないしな」
沈利「そう……。ねぇぐ、具体的な箇所は?」
垣根「具体的?」
沈利「例えば顔がタイプだとか」
垣根「特にはないな」
沈利「はぁ!?」
垣根「なんだよ?」
196 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:07:16.49 ID:QHYjeoDO
沈利「同じような境遇だったら誰でも良かったってのかよ!?」
垣根「誰もそうは言ってないだろ」
沈利「じゃあなんなんだよ!?」
垣根「はぁ、まずはそのヒステリックはどうにかなんないのかよ」
沈利「ああっ!?」
垣根「さっきも言ったろ、俺は沈利と居られれば満足なんだよ」
沈利「そ、そうなんだろうけど……!」
垣根「沈利のどこかが好みだから沈利を好きになったんじゃねえんだよ。いい加減理解しやがれ」
沈利「ごめん……なさい……」
垣根「くそっ、恥ずかしいこと言わせんな」
沈利「にへへ……」
垣根「次はお前の番だ」
沈利「え!?」
垣根「等価交換の原則だ」
沈利「~~っ!」
197 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:08:42.65 ID:QHYjeoDO
垣根「さぁ答えやがれ」
沈利「でも……」
垣根「また催眠状態にでもするか……」
沈利「それだけはやめて!」
垣根「なら早く答えやがれ」
沈利「うっ、えーっと、いつから惚れたかだっけ?」
垣根「そうだ」
沈利「確か鮭のことで喧嘩した後から、かな?」
垣根「マジか」
沈利「うん。あの時、時間があれば私のところにきて言い訳だとか期限直そうとしようとしてたじゃない?」
垣根「ああ」
沈利「それでこの男には心を許しても良いのかなあって思って」
垣根「……そうか」
沈利「今にして思えばその時から帝督は私に惚れてた訳だからあの行動には納得出来るわ」
垣根「……ふん」
沈利「照れてるの?」
垣根「照れてねえ」
198 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:10:19.07 ID:QHYjeoDO
沈利「へー?」
垣根「いいから次を答えろよ」
沈利「ほんとに素直じゃないわね。次はどこに惚れたか、ね。まず単純に格好いいわよね」
垣根「そりゃどうも」
沈利「後は……うん、帝督と同じ理由かな」
垣根「類友か」
沈利「うん。それで酒のせいもあると思うんだけど、一緒に居られるなら居たいなあと思ったらあんなこと口走ってた」
垣根「まぁそれがあったから今の俺があるんだがな」
沈利「どういうこと?」
垣根「お前が俺に一方通じゃねえ、一方的にそう思ってるって雰囲気しとけばデレを隠せるかと思ってな」
沈利「今となっては意味をなしてないけどね」
垣根「うるせえ」
沈利「素直じゃないのね」
垣根・沈利「うるせえ」
垣根「?」
沈利「たーんじゅん」
垣根「うる、黙れ」
199 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:11:42.25 ID:QHYjeoDO
沈利「帝督ってこんなに可愛かったけー?」
垣根「……沈利」
沈利「んー?」
垣根「犯すぞ」
沈利「んにゃっ!?」
垣根「冗談だ」
沈利「目がマジだったんだけど……」
垣根「訂正。半分冗談だ」
沈利「半分?」
垣根「今までセフレ扱いみたいで正直すまなかった」
沈利「あ、改めて言われるとなんか恥ずかしいんだけど……」
垣根「ほんとは毎日でもしたいんだが、どうやら素直じゃないみたいで中々手を出せなかったんだよ」
沈利「ほんと男って奴は……」
垣根「だがお互いの気持ちが分かった今はそんなのは関係ねえ」
沈利「そ、そうだね」
垣根「覚悟しろよ」
沈利「うん……!」
200 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 23:13:01.59 ID:QHYjeoDO
垣根「さて、そろそろ出掛けるか」
沈利「え、あ、うん」
垣根「なんだ、行かねえのか?」
沈利「行くっての!」
垣根「行き先をベッドに変更するか……」
沈利「へにゃ!?」
垣根「冗談だ」
沈利「……」
垣根「あー沈利、ちょっとこっち向け」
沈利「え、なに? んんっ!? ……ぁぅ」
垣根「……後でもっとしてやるから今はこれで我慢しろ」
沈利「……うん」
垣根「さ、そんな赤い顔してねえで行くぞ」
沈利「帝督」
垣根「あ?」
沈利「こっち向いて」
垣根「断る」
沈利「顔真っ赤だから無理か」
垣根「うるせえ」
201 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/06/22(火) 23:18:10.44 ID:QHYjeoDO [30/30]
はい上条さん達は一切出ませんでした。俺得なので突っ込んだら負けです
次の投下は諸事情で携帯が止まるかもしれないのまた間があくかもです
次の話はどうしよう。なんか家電がめっさ人気みたいだし…でもそろそろ通行止めと電磁殺し成分が足りない(主に俺が)だろうし…脳内のネタ帳を文章化する能力がほしい
211 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/06/24(木) 10:54:53.41 ID:SStp8sDO [1/8]
――とある一室――
上条「おい、その話は本当なのか?」
理事員「はい」
上条「なんであの話が通るんだよ!?」
理事員「あちらとこちらでは系統が違いますから……」
上条「それにしたっておかしいだろ!?」
理事員「す、すみません」
上条「……いや、俺こそすまん。お前は悪くないってのにな」
理事員「いえ……」
上条「とにかくこの話は放っておくことは出来ない」
理事員「はい」
上条「詳しい話を聞きに行ってくる」
理事員「大丈夫でしょうか?」
上条「なにがだ?」
理事員「相手は学園都市の利益を一番に考えてます。それを盾にされたらいくら上条さんでも……」
上条「そんなのやってみなきゃ分からないだろ?」
理事員「そうですが……」
上条「心配すんなよ。それじゃ行ってくる」
212 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/24(木) 10:56:41.78 ID:SStp8sDO [2/8]
上条「理事会融合派の上条当麻だ。ここを通してもらいたい」
係員「少々お待ちくださいませ」
上条「……」
係員「はい。はい。分かりました」
上条「どうにかなりそうか?」
係員「はい。時間がないので手短にとのことです」
上条「分かった。すまないな」
――ガチャ
船瀬「ようこそ、上条君」
上条「どういうつもりだ船瀬」
船瀬「いきなりなんの話だね? それに私は君よりずっと年上なんだから敬語くらい使ったらどうなんだ?」
上条「……。あの話を通すとは一体どういうつもりなんですか?」
船瀬「やれば出来るじゃないか」
上条「……」ギリッ
船瀬「そう睨むなんじゃない。さて、あの話とはなんの話だ?」
上条「誤魔化すつもりですか? 私達が全力で反対したあの計画のことです」
船瀬「ああ、あれのことか」
上条「そうです」
船瀬「超能力者育成計画<レベル5グロウ>か」
213 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/24(木) 10:57:50.17 ID:SStp8sDO [3/8]
上条「私達は全力で反対し、その計画は白紙に戻されたはずです」
船瀬「そうだ。我々は二度と戦争を起こすまいと、魔術側に関連のある君達の過半数の賛成がなければ能力者に関わる計画は遂行出来ない」
上条「それが分かっていながら何故!?」
船瀬「学園都市の利益だめだよ」
上条「っ!」
船瀬「確かにお互いのバランスを取るのは必要なことだ。だがここは学園都市なのだよ。学園都市の人間が学園都市の利益を考えてなにが悪い?」
上条「それはもう聞き飽きました! それを分かった上で私達は計画に反対したんです!」
船瀬「……時間だ。これ以上の議論は後日予定を組んで話し合おう」
上条「逃げるつもりですか!?」
船瀬「逃げる? そうだな、出来ることならば逃げたいものだ」
上条「なにを……?」
船瀬「時間が取れないお詫びにいいことを教えてやろう」
上条「いいこと?」
船瀬「我々は白紙に戻された計画を通したはずだったが思わぬ横槍が入った」
上条「横槍?」
船瀬「暗部組織の一つである『スクウェア』に計画を強奪されたのだ」
上条「な、何故それを早く言わないんです!?」
214 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/24(木) 10:58:41.41 ID:SStp8sDO [4/8]
船瀬「言ったところでなにかが出来るか? 相手はアレイスターが実権を握っていると言われる暗部組織最大勢力の一つなのだぞ?」
上条「それは……!」
船瀬「残念ながらこれ以上話す時間はない。私は出掛けなければならないのだ」
上条「……分かりました」
船瀬「ではまた有意義な時間を」スタスタ
――ガチャン
上条(あんな計画が実行されたら学園都市はまた混乱に晒されるぞ? ちくしょう……)
上条「皆川ちょっといいか?」
皆川「はい、なんでしょう?」
上条「あの計画を洗い直したい。関連する資料を出来る限り集めてくれ」
皆川「分かりました」
上条「それともう一つ」
皆川「はい?」
上条「この計画に関することは俺達の間だけにしてほしい。無闇に広げたくないんだ」
皆川「上条さんが仰るのであれば」
上条「悪いな。そして気をつけてほしい」
皆川「気をつける?」
上条「暗部が動いている」
皆川「っ!? わ、分かりました」
215 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/24(木) 11:00:09.23 ID:SStp8sDO [5/8]
学園都市の上層部は現在、大きく三つに別れている。理事会の融合派と保守派。それとアレイスターが実権を握っていると言われる暗部組織の三つである。
融合派とは、上条当麻を筆頭に、科学側だけではなく魔術側の意見や人員を取り入れ二度と戦争を起こすまいと活発に動いている派閥である。理事員の皆川智子(みながわさとこ)は魔術側の人間である。
保守派とは、船瀬弥谷(ふなせやた)を筆頭に、従来のように学園都市は独自に先を進むべきだとし、学園都市の利益を最優先にしている派閥である。
構図の上では両派閥は敵対関係にこそあるが、二度と戦争を起こしてはならないとの見解は一致しており、両派閥とも相手に対し一定の理解は示している。
現在の暗部組織は過去のものとは違いほぼ完全に独立し、派閥や科学魔術に関わらず学園都市の損益を優先して動いている。
その実権を握っていると言われるのがアレイスターであるが真相は定かではない。最大勢力の一つに『スクウェア』という組織が確認されている。
融合派は魔術側と手を取り合い、保守派は学園都市の発展の為に、暗部は必要悪として現在はこの三つの上層部により学園都市は構成されている。
216 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/24(木) 11:01:14.03 ID:SStp8sDO [6/8]
超能力者育成計画<レベル5グロウ>
レベル5にもっとも近いとされるレベル4に対し特殊な実験を行い、レベル5として覚醒を促す計画である。これを暗部組織の一つスクウェアが強奪した。
学園都市の世間一般の認識では、過去の戦争により七人しかいないレベル5の内、四人が死亡又は行方不明とされている。現状は下記の通りである。
第一位の一方通行は行方不明
第二位の垣根帝督は戦争で死亡
第三位の御坂美琴は繰り上げ第一位に
第四位の麦野沈利は戦争で死亡
第五位の心理掌握は繰り上げ第二位に
第六位は繰り上げ第三位に
第七位の削板軍破は行方不明
これにより学園都市のブランド力低下で発展が伸び悩むと考えた保守派は、ブランド力の回復と新たな利益源を求め超能力者育成計画を発案するも、融合派の多数の反対で計画は白紙にされた。
その後、別の方向での話し合いが持たれるはずだったが保守派の独断で計画は実行に移されることになる。
上条当麻がそれに気がついた時は既に遅く、船瀬には撒かれ、スクウェアに計画を強奪された後だった。
217 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/24(木) 11:02:01.87 ID:SStp8sDO [7/8]
上条『すまん、今日は仕事で帰れそうにない』
美琴「なにかあったの?」
上条『いや、会議が長引いて今日中に終わりそうにないんだよ』
美琴「うん分かった。いつ頃帰れるの?」
上条『会議終わっての色々だから、……多分朝くらいになると思う』
美琴「分かった。当麻の分のご飯は残しておくね」
上条『悪いな。それじゃあな』
美琴「うんじゃあね」
一通「お義兄さンはなンだって?」
美琴「会議が長引いて帰れそうにないんだって」
打止「いつ帰ってくるの?」
美琴「明日の朝らしいわよ」
一通「浮気でもしてンじゃねェのかァ?」
美琴「当麻はそんなことしない! ……わよ」
打止「お姉様の気持ち、良く分かるよ」
一通「あァ? 俺がいつ浮気したってンだよ?」
打止「あの人に、あの人に、あの人に……」
一通「全部仕事関係の人間じゃねェか」
打止「でもあの人達の目はハンターの目だった……」
一通「意味分かんねェ」
美琴「所謂、女の勘ってやつよ」
一通「そうですかァ……」
219 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:19:54.51 ID:WS/TEMDO [1/13]
――翌朝――
上条「ただいまっと」
一通「おゥ、お疲れさン」
上条「あれ? 一方通行だけか?」
一通「打ち止め達ならついさっき出て行ったぜ」
上条「すれ違いかー」
一通「まァ俺もそろそろ出掛けるンだけどよ」
上条「どこに行くんだ?」
一通「仕事だよ仕事」
上条「そうか。なぁ一つ聞きたいことがあるんだけど、時間は大丈夫か?」
一通「面倒な話じゃなかったらなァ」
上条「助かるよ」
一通「でェ、改まって聞きたいことってなンだよ?」
上条「暗部組織――」
一通「……!」
上条「――スクウェアって名前に聞き覚えはあるか」
一通「……いや、ねェな」
220 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:21:05.94 ID:WS/TEMDO [2/13]
上条「そうか……」
一通「少なくとも俺がいた時はなかったはずだ。義兄さンも知らねェとなると出来たのは割と最近だろうな」
上条「……分かった」
一通「一体なにがあった?」
上条「悪い、これは話せないことなんだ」
一通「また厄介事かァ?」
上条「そんなところだ。まだなんにも起きてないけどな」
一通「『まだ』かよ」
上条「……ああ」
一通「チッ」
上条「すまん」
一通「打ち止め達は知らない方がいいンだよな?」
上条「そうだな」
一通「それじゃあ今の話は忘れてやンよ」
上条「あぁ、助かるよ」
一通「そンじゃあ行ってくる」
上条「気をつけろよー」
一通「誰に言ってンだよ」
221 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:22:39.04 ID:WS/TEMDO [3/13]
――とある研究所――
美琴(結局当麻とすれ違っちゃったなぁ)
研究員「――!」
美琴(連絡も取れなかったしまさか本当に浮気!?)
研究員「所長!」
美琴「なによ!?」
研究員「ひっ!?」
美琴「あ、ごめんなさい! ちょっと考えごとしてて気が立ってて……」
研究員「あー、まぁそうだろうと思いましたよ……」
美琴「あはは、ごめんね。それでどうしたの?」
研究員「先月分のデータの集計が終わりました」
美琴「ありがと。そこに置いといてくれる?」
研究員「分かりました」
美琴「いいデータが取れてるといいんだけどねぇ」
研究員「そうですね。そうすれば能力開発を効果的且つ的効率的に進められますしね」
美琴「そうよ。まるで化け物を作るかのような今までのやり方は見直されなければならないのよ」
研究員「所長……」
222 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:24:19.59 ID:WS/TEMDO [4/13]
打止「目が疲れたー」
研究員「目薬いりますか?」
打止「いるー」
研究員「はいどうぞ」
打止「ありがと。……うわわっなにこれ!?」
研究員「どうしました?」
打止「なんか目がスカイラブハリケーン!」
研究員「すいません、全っ然分からないです」
打止「なんかとにかくすっごい染みるの!」
研究員「そういう目薬ですから」
打止「ううっ、あなたよくこんなの使ってられるね……」
研究員「確かに刺激は強いですけど、それが逆に病みつきなってしまいまして」
打止「えー? でも目はすっきりした! さ、仕事仕事っと」
研究員「? 副所長、このファイルはなんですか?」
打止「これはファイルに不正アクセスがあった時に作られるバックアップファイル……」
研究員「不正アクセスって!?」
打止「……やられたみたい。お姉さじゃなくて、すぐ所長に連絡して」
研究員「は、はい!」
223 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:28:32.38 ID:WS/TEMDO [5/13]
美琴「不正アクセスのあったファイルは全てシステムスキャンのデータみたいね」
打止「それもレベル4のデータばかり……」
美琴「それだけじゃない。私達の研究データも抜かれてるわ」
研究員「レベル4と私達の研究データ……この二つをどうするつもりなんでしょう?」
美琴「利用するに決まってるでしょ」
打止「どうやって利用する気なのかな?」
美琴「それは分からないわ。ただこの二つをピンポイントにデータを抜いたってことは、それを利用できるそれなりの組織であることは間違いないわね」
研究員「ライバル関係の組織ですかね」
美琴「そう考えるのが妥当ね」
打止「下位個体達はどうしよう?」
美琴「あの子達も関わってるからそれとなく伝えておいた方がいいわね」
打止「分かった!」
研究員「私達はどうしましょう?」
美琴「足跡を見つけることが優先。そして他の妙な動きを見逃さないこと」
研究員「分かりました」
美琴「さ、ここで足踏みしてる時間はないわよ! 分かったらとっとと動く!」
打止「うん!」
研究員「はい!」
美琴(レベル4に私達の研究……レベル5でも生み出そうっていうの? 一体これ以上なんのために?)
224 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:33:49.09 ID:WS/TEMDO [6/13]
――とある病院――
医者「ちょっと遅刻だね?」
一通「10分はセーフだろ」
医者「……とにかく来てくれて助かったね」
一通「先生が直接俺を呼び出すなンて珍しいな」
医者「今回はちょっと特殊なケースでね」
一通「特殊?」
医者「そう。単純な外傷やそれに伴ったものなら僕でも治せるんだけどね。今回ばかりは僕に理解できないものがあってね」
一通「そいつは厄介そうな仕事だな」
医者「今も意識が戻らないんだね」
一通「……その患者はどこにいる?」
医者「ついてくるといいね」
225 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:39:29.19 ID:WS/TEMDO [7/13]
――病室――
一通「こいつァ……一体?」
医者「驚いたろう? 傷口が治らないんだね」
一通「……」
医者「もちろん手は尽くしたんだね。幸いにしてそこ以外にそういった傷がないから大事には至ってないんだね」
一通「そこで俺の出番て訳か」
医者「そうだね」
一通「ちょっと診させてもらうぜェ」スッ
一通(確かに切った切られたような傷じゃねェな。……これはなンだ? 僅かだが傷口に俺の解析をすり抜けるものがあるな。原因はこいつか?)
一通(……俺のフィルターに当てはまらねェだと? これだけを解析、演算……っ!? な、なンだよこの物質は? 有り得ねェぞ……)
医者「どうかしたかね?」
一通「いや、もう少し待ってくれ」
一通(傷口全体からこの物質を排除、血流操作、正常。やっぱりあれが原因か)
一通「終わったぜ。後は普通に縫合すればすぐ治るはずだァ」
医者「すまない、伝えておくんだね。結局、原因はなんだったんだい?」
一通「傷口全体に恐らくこの世にはねェ微量な物質が付着していた。それが治療の邪魔をしてたンだよ」
医者「この世にはない……?」
一通「あァ。だから先生の手にも負えなかったンだ」
226 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:44:30.97 ID:WS/TEMDO [8/13]
医者「ふむ、それは困ったね」
一通「その割には随分と冷静じゃねェか」
医者「これでも君の何倍も生きてるからね、こんなことは沢山経験してきてるんだね」
一通「そうかよ。そンでこの患者はなにがあって運ばれて来たンだ?」
医者「スキルアウト相手に喧嘩をしてたらしいね」
一通「喧嘩ァ? 喧嘩でこンな変な傷を負ったてのかァ?」
医者「詳しい話は意識が戻ってから聞くしかないね。そのスキルアウト達は逃げてしまったようだからね」
一通「多分、スキルアウトを追っても意味はねェよ」
医者「どういうことだね?」
一通「傷口にこンなことが出来ンのは能力者か魔術師くらいだ」
医者「言われてみればだね」
一通「更に追求すると俺のフィルターに傷口の物質は当てはまらなかった」
医者「物質、と言うことは能力者の仕業だね。……もしかして君はその能力者に心当たりがあるんじゃないのかい?」
一通「あァ。こンな真似が出来るは恐らくあいつしかいねェ」
医者「それは誰だね?」
一通「未元物質の垣根帝督。俺に次ぐ第二位の超能力者だよ」
227 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:45:25.62 ID:WS/TEMDO [9/13]
――とある一室――
船瀬「VIPルームにいれるのはありがたいのだが、私はいつまでここにいればいいのかね?」
沈利「……」
船瀬「もう一晩経っているのだが? 仕事も残ってるから早く帰りたいのだがね」
沈利「……ちょっと黙っててくれない? 眉間に穴を空けるわよ?」
船瀬「おー怖い怖い。これが第四位の原子崩しか」
沈利「さんをつけろよ凸助野郎おおおッ!!」
――ブンッ
船瀬「うぐっ! こほっこほっ! ……鳩尾に蹴りを入れられるくらいなら眉間に穴を空けられた方がマシだったのだが」
沈利「黙れってんだよおおおッ!!」
――ブンッ
船瀬「ぶっ! ……私の綺麗な顔に傷をいれるなんて酷いではないか。め、る、と、だ、う、なー、さん」
沈利「もういい……テメェは体中を穴だらけにして跡形も残さねーからなぁッ!!」シュインシュイン
船瀬「……」ニッ
――バサァッ!
228 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:48:40.51 ID:WS/TEMDO [10/13]
沈利「っ!?」
垣根「落ち着け。この男にはまだ利用価値がある」
船瀬「……ッ」
沈利「そうだったわね……。ごめん、ちょっと頭を冷やしてくる」スタスタ
垣根「おい、勝手に死のうとしてんじゃねえよ」
船瀬「なんのことか分からないのだが。その前に君もスクウェアの一人なのか? 見たところリーダーかね?」
垣根「そうだ。スクウェアのリーダーの垣根帝督だ」
船瀬「垣根だと!? 今朝、原子崩しと聞いて残りの寿命分驚いたと思っていたんだが……」
垣根「いい機会だからその生死の常識は捨てるんだな」
船瀬「……それが良さそうだ。さて、リーダーの方が話は出来るように感じるのだが」
垣根「余計な話は聞かねえぞ」
船瀬「それはリーダーが判断することじゃないのかね?」
垣根「ああ、そうだな」
船瀬「ではでは。私はいつまでここにいればいいのかね?」
垣根「利用価値がなくなるまでだ」
229 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:50:30.72 ID:WS/TEMDO [11/13]
船瀬「超能力者育成計画の全情報の提供、理事会の目くらまし、そして昨日から今朝にかけて行ったハッキング。もう十分だと思うがね」
垣根「お前はそうなんだろうが俺らにはまだ利用価値があんだよ」
船瀬「ほう?」
垣根「保守派と融合派が争ってるだけでこっちとしては動きやすい。だからお前を死なせる訳にはいかねえんだよ」
船瀬「生かしてくれるのかね? それはありがたい話だね」
垣根「あいつを挑発して死のうとしてたくせによく言うな」
船瀬「!」
垣根「学園都市の利益を最優先して、後に混乱を招くことを先に死んで詫びようとでも思ったのか?」
船瀬「……」
垣根「甘えよ。ティラミスにあんこ乗っけて蜂蜜塗るくらい甘えよ。こっちはそれくらい分かってんだよ。死んで終わらそうなんて甘えこと考えてんじゃねえ」
船瀬「一度死んだ人間が言うと説得力があるのだが」
垣根「ああ、自覚はある」
230 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/25(金) 00:52:49.01 ID:WS/TEMDO [12/13]
一通「ただいまァ……っつっても今日は一人か」
一通「義兄さンは仕事、打ち止め達も産業スパイが入ったとかで残業」
一通「晩飯は久しぶりにファミレスにでも行くかァ」
――――
一通「……」スタスタ
黒子「あら、あなたは一方通行さんではございませんの?」
一通「黒子かァ」
黒子「文字じゃ伝わらないでしょうけれど、今ホクロって言いましたわよね!?」
一通「気のせいじゃねェのか?」
黒子「気のせいではございませんの! ……ところで私のお姉様'sはどこでございますの?」
一通「てめェのじゃねェ。打ち止め達なら残業だ。ちなみに義兄さンも仕事だ」
黒子「義兄さん、ですの?」
一通「な、なンでもねェ!」
黒子「ほぉー?」
一通「ぐっ……俺はこれから晩飯食べに行くンだから着いて来ンな」
黒子「実は私もこれから晩御飯でしたの」ニヤニヤ
一通「チッ……着いて来やがれ」
黒子「はいですの!」
237 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:30:15.13 ID:5sqUjQDO [2/12]
一通「……」スタスタ
黒子「……」スタスタ
一通「おい、お前なンか悪いことでもしたのか?」
黒子「んまっ! なんて失礼な!」
一通「じゃあ、なンで後を付けられてンだよ?」
黒子「私に心辺りはありませんの。あなた絡みではなくて?」
一通「お前と会うまでは別になンもなかったンだがなァ」
黒子「……」
一通「……」
黒子「では、撒きますので捕まって下さいまし」
一通「ほらよ」
黒子「では」
――ビュン
??「……」
238 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:30:51.45 ID:5sqUjQDO [3/12]
――とあるファミレス――
一通「便利な能力だよなァ」
黒子「なかなか演算が難しいですのよ?」
一通「11次元だったかァ? ンなもン無意識でも演算出来ンだろ」
黒子「ありえませんの……」
一通「そうかァ? 気がついたら反射の設定に組み込ンでたぞ」
黒子「そんな簡単に出来るなら黒子はとっくにお姉様と同じレベル5ですの」
一通「そういやあのショタコンも似たようなことを言ってたなァ」
黒子「ショタコン……ですの?」
一通「いや、こっちの話だ」
店員「ご注文はお決まりでしょうか?」
一通「コーヒー、ブラックで。それとこれ」
店員「かしこまりました」
黒子「私はこれとベンティアドショットヘーゼルバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソーススランバチップチョコレートクリームフラペチーノで」
一通「ベンティアドショットセー……なンだ?」
黒子「ベンティアドショットヘーゼルバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソーススランバチップチョコレートクリームフラペチーノ、ですの」
店員「かしこまりました」
一通「理解した……だとォ……?」
239 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:31:22.35 ID:5sqUjQDO [4/12]
黒子「どうかなさいました?」
一通「いやいやあンなのメニューにねェだろ!? ってかなンであの店員は普通に了承してンだよ!?」
黒子「なにせ店員ですので」
一通「ど、どういう……?」
黒子「全てのSSにおいて店員はの唯一無二の絶対の存在ですの。それは学園都市も例外ではありませんの」
一通「SSってなンだよ!?」
黒子「……はぁ」
一通「なンだよ……?」
黒子「あなた、消されますわよ?」
一通「これ以上突っ込ンだら俺のパーソナルリアリティが揺らぎそうだぜェ……」
黒子「それでよろしいですの。では、そろそろ黒子にも教えて欲しいですの」
一通「なにをだよ?」
黒子「もちろん『義兄さん』と呼び始めた理由をですの」
一通「……ェー」
黒子「あー、万が一にでも私のお姉様を『義姉さン』などと呼んでる場合には全黒子が総力をあなたを潰しにかかりますわよ?」
一通(テレポートしてェ)
240 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:31:42.65 ID:5sqUjQDO [5/12]
――とある一室――
上条「船瀬の居場所は分かったか?」
皆川「いえ。出掛けた先で泊まると連絡したきり消息が掴めてません」
上条「んー、嫌な予感しかしないな……」
皆川「雨でも降ってくれれば私の魔術が活きるのですが……」
上条「霊体だったっけ?」
皆川「はい。水を媒介して霊体を生み出す霊媒術です」
上条「水の他にはなにがあるんだ?」
皆川「他には火や鉄、電気など様々ですね。私は水が専門ですけど」
上条「便利だなよぁ。俺も霊媒師になれないかな?」
皆川「上条さんがですか!?」
上条「え、なんか変か?」
皆川「上条さんが霊媒術を身に付けたら私の居場所がなくなっちゃいます……」
上条「そんな寂しいこと言うなよ……」
皆川「え?」
上条「皆川がいなくなったら誰が俺の代わりに頭を使うんだよ?」
皆川「……」
241 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:32:29.43 ID:5sqUjQDO [6/12]
上条「学のない俺が仕事出来てるのは皆川のおかげなんだぞ? 頼りにしてるんだからそんな寂しいこと言うなよ」
皆川「……はぁ」
上条「どうした?」
皆川「いえ、なにも」
上条「なんだよ、気になるだろ」
皆川「上条さんは上条さんと言うことでした」
上条「な、なんでそんなに不機嫌になってるんでせうか?」
皆川「教えてあげません」
上条「そこをなんとか……!」
皆川「お腹が空きました」
上条「はい?」
皆川「お腹が空いて来ちゃいました」
上条「……よし、船瀬も見付からないし今のうちに飯でも食べに行くか!」
皆川「それで許してあげます」
上条「なんかよく分かんないけどありがとな!」
皆川(分かんないんだ……)
242 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:33:10.56 ID:5sqUjQDO [7/12]
――とある職場――
佐天「ねぇ初春」
初春「なんですか佐天さん?」
佐天「手からマックポークが出る能力とかに目覚めないかなぁ?」
初春「え、えー? なんですかその能力……」
佐天「ほら美味しいし、小腹空いた時に食べられるっていいと思わない!?」
初春「そうかもですけど、欲望だだ漏れですよ?」
佐天「あれ、バレた?」
初春「バレバレ愉快ですよ佐天さん」
佐天「でもさぁ、マックポークが出せる能力と初春の原子稼働<メルトアップ>があれば原価設備不要で儲け放題だよ!」
初春「そんな卑しいことに能力を使っちゃ駄目ですよ佐天さん!」
佐天「分かってるってー。でもあの魔法瓶だった初春がレベル4だもんなぁ」
初春「誰が花瓶ですか!」
佐天「え、誰もそんなこと言ってないよ?」
初春「え? あぅ、すいません。なんか変な電波を受信してしまいました」
佐天「変な初春」
243 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:33:44.89 ID:5sqUjQDO [8/12]
初春「今日は久しぶりにどこかよって行きませんか?」
佐天「お、いいねぇ。よーし、お姉さんお酒飲んじゃうぞー!」
初春「程々にしてくださいよ?」
佐天「頼りにしてるよ初春!」
初春「酔いつぶれること前提ですか!?」
佐天「駄目なの?」
初春「駄目です!」
佐天「うーいはるー」
初春「駄目なものは駄目です!」
佐天「ちぇ。まぁ二人で飲んでもあれだもんね」
初春「御坂さん達と飲みたいですね」
佐天「上条さんだよ初春」
初春「そうでした! どうも癖が抜けなくて困っちゃいます」
佐天「私も名字変わりたいなぁ……」
初春「私もです……」
佐天「よし初春! 私達、結婚しよう!」
初春「ええーっ!?」
佐天「大丈夫! 日本じゃ結婚出来なくてもオランダなら出来るから!」
初春「お、落ち着いて下さい佐天さん!」
佐天「今すぐパスポート取って来ぉい!」
初春「そんな急に無理ですよ!」
244 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:34:18.20 ID:5sqUjQDO [9/12]
――とある研究所――
美琴「見つけた、足跡!」
打止「お姉様ほんと!?」
美琴「ええ。まさか外からのアクセスじゃないとは思わなかったわ」
打止「外からじゃないってどういうこと?」
美琴「正規のルートでアクセスして、その後わざと不正アクセスしたようにしたのよ」
打止「正規のルートなのになんでそんな必要があるのかな? まるで誰かに発見してほしいみたい……」
美琴「そう、それよ」
打止「へ?」
美琴「不正アクセスにした際の法則性を見つけたのよ。そしてその法則性を読み取ると……『――ホテルに監禁されている船瀬』って一文が出来上がるのよ」
打止「フナセ……ふなせ……船瀬……船瀬って理事会の!?」
美琴「そうよ。外じゃなく中。それも中の中でど真ん中ストライクね」
打止「当麻お義兄さんが忙しかった理由ってそれかな?」
美琴「でしょうね……。あんの馬鹿、また厄介事を……」ビリビリ
打止「うわわ、お姉様落ち着いて! 当麻お義兄さんだって詳しいことが分かってたらお姉様に教えてるはずだよ!」
美琴「う、確かに……」
245 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:35:10.60 ID:5sqUjQDO [10/12]
打止「当麻お義兄さんと連絡は?」
美琴「昼過ぎに『今日も遅くなる』って連絡があったきり繋がらない……」
打止「お姉様、『当麻エナジー』が足りてないの?」
美琴「うん……」
打止(うわぁ……黒子お姉ちゃんみたいになってる……)
美琴「打ち止めは足りてるの?」
打止「なにが?」
美琴「『一方通行エナジー』が」
打止「え、足りてるんじゃないかな? 私は昨日も今日も普通に会ってるから」
美琴「ずるい」
打止「そんなこと言われてもー」
美琴「……。……よし、決めた!」
打止「もしかして当麻お義兄さんに会いに行くの?」
美琴「違うわ」
打止「へ?」
美琴「足腰に電気流して動けなくさせに行くのよ」
打止(それって会いに行くのとどう違うのかなー?)
美琴「さぁ皆の者! 馬を引け、丘に向かうぞ!」
打止「う、馬? ……あ、車ね。手配してくるから待ってて!」
246 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:35:55.08 ID:5sqUjQDO [11/12]
美琴「あ、行き先は理事会本部じゃないからね?」
打止「へ? 違うの?」
美琴「だって連絡が取れないのよ? きっと当麻は船瀬さんのとこに行ってるはずよ」
打止「……そうかな?」
美琴「そうよ! だから私も――ホテルに行って当麻に会うんだから!」
打止(結局のところは会いたいんだね……)
美琴「あ、打ち止めはここで待機ね。なにかあるとも限らないから」
打止「うん」
美琴「それと、」
打止「?」
美琴「念のため、妹達にいつでも動けるように連絡してくれる? どうも臭うのよね」
打止「いいけど……どうして?」
美琴「当麻が絡んでるからってのもあるんだけど、抜かれたデータがデータだけにしね……」
打止「うん、分かった」
美琴「それじゃ行ってくるわ」
打止「気をつけてね!」
美琴「大丈夫よ。現在、学園都市第一位に任せなさい!」
打止(あの人が聞いたら怒るんだろうなー)
247 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 09:37:28.29 ID:5sqUjQDO [12/12]
一方通行と黒子に忍び寄る影は一体!?
初春がレベル4!?
そしてその能力の原子稼働<メルトアップ>とは!?
皆川の霊媒師としての力は如何に!?
結婚してもスルーされる美琴は当麻エナジーを無事補給出来るのか!?
麦のんに蹴られた羨まゲフンゲフン船瀬は果たして!?
とある夫婦の超能力者<レベル5>、7月11日公開予定!
同時上映、浜面のアイテム育成物語もお楽しみに!
前売り券を持参の方には人気アニメ、魔法少女。姫りんの特製ストラップをプレゼント
嘘予告一度やってみたかったんですすいません
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