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男の娘「男君って女ちゃんのことが好きなのかな……」

未完
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 01:42:58.50 ID:8N/AJELd0 [1/37]

男の娘「男君って、女ちゃんのことが好きなのかな・・・」

女「なっ・・・、なんで!?」

男の娘「なんとなく・・・。みてればわかるもん」

女「そ、そんなわけないじゃん!やだなぁ、なに言い出すの・・・」

男の娘「・・・いいなぁ、女の子って」

女「・・・あ、あんただって十分女の子だってば」

男の娘「・・・違うもん」グス

女「・・・・・・・・・」

男の娘「・・・じゃあ、ボク行くね」スクッ

女「え・・・。一緒に帰んないの?もうちょっとでアイツも・・・」

男の娘「ううん。ちょっと先生に呼ばれてるんだ。長引くと思うから」

女「えー、でも・・・」

男の娘「・・・二人で、帰りなよ。また明日ね」ガラガラ・・・

女「あ・・・」

・・・ピシャン

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 01:49:09.60 ID:8N/AJELd0

女「・・・・・・・・・」

女「・・・あいつめー」

女(急に何言い出すのよ・・・)

バタバタバタバタ…

女(まったく、どの面下げてそんなこと・・・)

バターン!

男「おっ、あ、あれっ!?お前、ひとり!?」

女「・・・あの子なら、用事だって。職員室」

男「そ、そう?なんの用?だったら、ここで待って・・・」

女「先帰っててって。長引くらしくて」

男「・・・そ、そう。へー・・・、そう・・・」

女「・・・・・・・・・」

男「そっかー、二人かー・・・。そっかー・・・」ズーン・・・

女(・・・コイツのどこが)

女(私のことを好きなのよっ!!)

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 01:59:34.74 ID:8N/AJELd0

女「・・・ごめんねー、私一人でー・・・?」

男「やっ・・・!別にお前に不満があるわけじゃなくてね!?」ギクッ

女「・・・・・・・・・」ジト・・・

男「なんつーか・・・。やっぱみんなで帰ったほうが・・・、楽しいとかそういう・・・」アセアセ

女「・・・ふーん」ガタッ

男「あ、あれ?帰んの?も、もう少しだけ待ってみるのも・・・」

女「・・・べつにー、私は帰るけど。あんたは待ってればー」ヒラヒラ

男「えっ・・・、なに?機嫌悪いの・・・?か、帰る帰る!寂しいこと言うなよー・・・」

女「いーえ、怒ってなどいません」

女(――なああああああ!悔しいいいいいいい!!)

女(同性になら分かる!!そりゃ色恋に勝ち負けはある!!でも待ってよ!!)

女(相手、『男』でしょおおおおお!?)

男「な、なぁ?どうかしたか?顔色・・・」

女「・・・なんでもありませぬ・・・」

女(どうしたらいいわけえええええ!?)

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 02:11:27.93 ID:8N/AJELd0

男「――最近、あいつ呼び出されるよな。なんか悪いことしてんのか?」

女「服装」

男「ああ・・・」

女「生活指導との冷戦が続いてるみたいよ。しつこいよねー」

男「でも、『男子が女子生徒の制服を着用することを禁ずる』って校則はないはずだろ?」

女「でも、『男性が女子生徒の制服を着用して』徘徊してたらそれなりに問題じゃない」

男「なっ・・・!ソレは変態のことだろ!?一緒にすんじゃねぇよ!!」

女「あー、うん・・・、そうね・・・」

男「あいつは好きで着てるだけだっ!!それに、に、に、ににに似合ってんだから良いじゃねぇかっ!!」

女「うんそーだね、ソコ大切だね・・・」

男「だろぉ!?学校は理解が足らなすぎるんだよなぁ、頭が硬くてどうもあいつのことを・・・」ブツブツ

女(またこれだよ・・・。コイツと二人で帰ると、あの子の話ばっかりだよ・・・!!)

女(もしもーし!私と帰ってるんですよー!好きすぎるだろお前・・・!変態野郎!!)

男「・・・やっぱ、昔から見てきた俺達が面倒見てやんねぇと駄目だな、あいつはよ」ニカッ

女「・・・う、うん。そうだねぇー・・・」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 02:18:22.12 ID:8N/AJELd0

――生徒指導室

教師「・・・・・・・・・」

男の娘「・・・・・・・・・」

教師「・・・先生な」

男の娘「・・・・・・・・・」

教師「学ランって、すげぇカッコいいと思うんだよな」

男の娘「・・・・・・・・・」

教師「やっぱあのカッコ良さはさぁ、着てみないと」

男の娘「着ませんよ」

教師「・・・ああー!先生みたいなー!お前のカッコいい学ランすが」

男の娘「着ませんよ」

教師「・・・お前はさぁぁぁぁ!!!」

男の娘「ボ、ボクがなに着ようとボクの勝手じゃないですかぁぁぁ!?」

教師「限度があるだろ馬鹿っ!!逸脱しすぎなんだよ馬鹿っ!!」

男の娘「だ、誰にも迷惑かけてませんもん!!」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 02:26:33.39 ID:8N/AJELd0

――帰り道


男「もうどっからどう見ても女だよなー、ありゃ」

女「もう仕草も完璧に女の子ですよねー」

男「元々肌キレイだなぁ、とは思ってたけどさぁ」

女「あんなに美人さんになるとはねー。どうよ?」

男「どっ、どうよってなんだよ・・・!」

女「いやぁ、男の側からみるとあの子、どうなのかなーと思って」

男「そっ・・・、そんなもんお前・・・。そりゃ、び、美人だし・・・」

女「・・・・・・・・・」

男「・・・こう、仕草がいちいち可愛いし・・・、笑っても可愛いと思うし・・・、なんかいいニオイするし・・・」ブツブツ

女(ゾッコンだこれぇぇぇぇ・・・!)ガーン!

男「かっ、勘違いすんなよ!?あ、あいつは男だろ?分かってる分かってる、俺が一番よく・・・」

女(男だと分かっててこの惚れよう・・・。変態発言かよ・・・)

女(・・・駄目だ私の恋は野郎に負ける・・・、そして好きな人は変態だった・・・)クラッ・・・


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 02:35:29.19 ID:8N/AJELd0

女「・・・さらば・・・、青春の日々・・・」ボソボソ

男「・・・え?なんか言った?」

女「お気になさらず・・・」

男「いやーでも一時はどうなるかと思ったけどよ!随分みんな受け入れてくれるようになったよな!」

女「そりゃ、あんなに堂々と『女の子』されてたらね・・・」

男「それもこれも全部お前のおかげだよなぁ」

女「・・・えー、なんのこと・・・」

男「照れんなよぉー!あいつに化粧とかいろいろ教えてやったの、お前じゃん!?」グリグリ

女「・・・ああー、うん。そんなことも・・・、あったね・・・」

男「・・・あいつが『女の子になりたい』って言ったとき、俺なんにもできなかったからさ」

男「やっぱなんだかんだ一番頼りになるのは、お前だよな!ありがとよっ!!」パンッ!

女「はは・・・」

女(――そう。一番バカなのはこの私・・・)

女(あの『可憐な美少女』を創り出したのは何を隠そうこの私・・・!!)


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 02:43:28.29 ID:8N/AJELd0

男「あいつが今明るく過ごせるのも、お前が色々世話してくれたおかげだもんなー!」

女「・・・い、いじりがいあったもんね・・・」

女(・・・ああ楽しかったさ・・・!)

女(子供のときからお人形さんみたいな顔したあの子を、いろいろ着せ替えるのは楽しかったさ・・・!)

男「あいつも喜んでたもんなー。あの頃から、あいつもう女にしか見えなかったぜ!」

女(だけど神様っ・・・、この仕打ちはあんまりだぜ・・・!)

男「あいつが自分で服選べるようになったときもお前が居てくれたしー」

女(私の大バカやろーっ・・・!!)

男「化粧覚え出したときも、お前が居てくれたもんなぁー」

女「褒めすぎだって・・・」

男「いや本当に感謝してるんだって、俺もあいつも!」

女「あの子はわかるけど、なんでアンタにまで・・・」

男「えぇっ!?だってそりゃ、あの・・・。俺もずっと・・・、心配だったし・・・」ブツブツ

女(過去の道楽が未来の恋心に風穴を空けるだなんて誰が予想しただろうか・・・)ズーン

男「・・・とにかく!感謝してんの!ありがとよっ!!」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 02:53:24.52 ID:8N/AJELd0

――生徒指導室


教師「今日という今日は逃がさんぞっ!!絶対に学ラン着せてやる!!」

男の娘「じゃあボクは乱れた制服で職員室に乱入してやります!!」

教師「待て早まるな!!俺の社会的地位が!!」

男の娘「どうするかは先生しだいですけどね!!」

教師「このアマ・・・、じゃなかった。このヤロウ・・・!!」

カラガラ

女教師「・・・先生?そのくらいで勘弁してあげてくださいよ、女子生徒はあまり残すと・・・」

男の娘「あっ!先生!!助けてください!!」

女教師「あ、あら?あなたはたしか3組のあの・・・」

教師「騙されちゃならんですよ先生!!そいつはれっきとした男でして!!」

男の娘「それを承知の上でボクに迫ってきたんです・・・!」

教師「てめっ・・・!!今日という今日は生かしちゃおけねぇ!!」

女教師「あの・・・、とりあえず早く鍵を締めたいので今日のところは・・・」


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 02:58:14.59 ID:8N/AJELd0

――家前

男「じゃーなー」

女「うん、また明日ね」

男「あいつ朝から呼び出しってことはないよな?」

女「さぁ・・・。でも、そんなことないでしょ普通」

男「そうだよな。じゃあ朝は三人だな!」

女「そ、そうだね」

男「じゃ!また明日の朝!!」

女「おう」

男「~♪」スタスタ

女「・・・はぁ」

女「アレをみて良く、『私のことが好き』だなんて吐かせるもんだ・・・」

女「・・・・・・・・・」

女(・・・あんたのほうが何倍もリードしてるんだけどな・・・)

女(もしかして、気にしてるのは『ソッチ』・・・?)

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 03:06:56.77 ID:8N/AJELd0

――女自宅 部屋

女「・・・ふー、サッパリ」ホカホカ

チカチカ

女「ん?」カチャ

女(メール・・・。あの子からだ・・・)カチカチ

男の娘:ふたりで帰ったのー?

女(か、え、った、よ、っと)カチカチカチ

女「送信」ピ!

女「・・・・・・・・・・」

・・・ブブブブブ

女「・・・返信早っ」カチャ

男の娘:よかったね(*‘∀‘)

女(・・・よくないよー!)

女「・・・ど、う、い、う、意味・・・」カチカチカチ

女(ほんと・・・、どうしちゃったわけ・・・?)ピ!

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 03:17:58.07 ID:8N/AJELd0

女:どういう意味よっ!(笑
  あんたが思ってることなんてないってー!
  それよりアイツ寂しがってたよ!明日は帰れる??

男の娘:またまたぁ( ・∀・)σ
     ごめん、明日も無理かも(´ε`;)
     しつっこいの、先生!

女:なんにもないってばぁー-_-;
  また指導??どうせ今だけだって。
  ファイトー!

男の娘:隠さなくてもいーのにー(´ε`*)
     ありがとー、がんばるよー(・∀・)


女(・・・なんにもないってば・・・、もう・・・)カチカチカチ


女:頑なだなぁ~;
  アイツにはそんな気なっしんぐ( ´×`)
  最悪、無理やり帰ってきちゃえよ!違反してないんだからー!


男の娘:きー使わなくていーのに



女「え・・・」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 03:25:49.67 ID:8N/AJELd0

女:・・・どういういみー?

男の娘:そのまんま

女:気なんて使ってないけど・・・

男の娘:使ってるよー


女「なにこれ・・・、ラチあかない・・・!」


女:・・・ちょっと電話してもよい?

男の娘:だーめ(*´`)
     ごめん寝る、また朝ねー


女「・・・・・・・・・」


女:わたしも寝よ、おやすみノ

男の子:おやすみ~zzz


女「・・・なんだそれ?」パクン


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 03:37:35.65 ID:8N/AJELd0

――久しぶりに夢をみた。
   あそこに居るのは、小さい私たちだ。

   すでにあの子の髪は肩まであって、女の子にしか見えない。
   その綺麗な髪に櫛をいれて、私はウットリした表情をしてる。
   アイツは、私の手があの子の髪をスルスルと結んで行くのを、
   興味深そうにじっと見ている。

   ああそういえば、昔からあんなに可愛かったっけ。
   目を瞑って落ち着きなさそうにモジモジしながら、
   それでも嬉しそうに指を合わせている。
   あの子は三つ編みが好きだった。
   喜び方があんまり可愛くて、得意になって、
   毎日あの子の髪を、いじってたっけ。


ピピピピピピ

女「――んあ」

ピピピ・・・

女「ん・・・、もう朝・・・。んっ・・・!」グイッ

女「・・・はぁ」

女(・・・最近あの子の髪、いじってないなぁ・・・)

女(もう私より上手いもんね・・・)

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 03:42:19.34 ID:8N/AJELd0

――朝 男の家前


男の娘「・・・おはよーう」タタッ

女「おはよ」

男の娘「あれ?まだ出て来てないの?」

女「うん。置いてっちゃおうか」

男の娘「またまたぁ、ダメだよー?そんなんじゃ」

女「・・・昨日の、メールなんだけど、さ」

男の娘「・・・ご、ごめんね。変なこと書いて・・・」

女「え、ううん!違うよ、そうじゃなくてさ・・・」

男の娘「え?」

女「・・・ホントに、あんたが思ってるようなこと、アイツとないから」

男の娘「・・・・・・・・・」

女「・・・分かった?」

男の娘「・・・う、ん。・・・分かった」


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 03:47:12.06 ID:8N/AJELd0

ガチャッ

男「・・・時間大丈夫!?」

女「まだ大丈夫」

男「危ねー・・・。おはよう!」

女「うん」

男の娘「おはよ」

男「あっ、お前昨日大丈夫だったの?またうるさく言われた?」

男の娘「う、うん。まいっちゃうよねー」

女「・・・・・・・・・」

男「なんかあったら言えよな!俺達はどんなときでも力になるって、昨日話してたんだ!なっ!?」

女「ええっ?そんな話だったっけ?」

男「なんだよ、ダメなのかよー」

女「・・・ダメなわけないでしょー。なんかあったら、すぐ言ってよ?」コツン

男の娘「・・・うん。ありがと」

男「うんうん!昔みたいに、いつでも助けてやるからなー!」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 03:54:33.61 ID:8N/AJELd0

男の娘「昨日ごめんね、帰れなくて」

男「な、なに言ってんだよ!しょうがないじゃん」

男の娘「いや、寂しがってたって聞いたからさ・・・」

男「なっ・・・!てめ、余計な・・・」

女「あらあら事実でしょう?」

男「さ、寂しがってなんかいねーよ。ただ、やっぱ、締まんねーからな・・・」

女「うだうだ言ってないで寂しかったって言えばいいじゃん」

男「は、はぁ!?だから寂しくなんかねーってば」

女「またまた」

男の娘「あはは、やっぱり楽しーね」

女「うん・・・?」

男の娘「・・・ごめんね、今日も一緒に帰れなさそうなんだ・・・」

男「そ、そーか・・・」ガクッ

男の娘「ごめんねー、また二人で帰ってて?」

女「・・・う、うん。分かったけど・・・」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 03:59:57.83 ID:8N/AJELd0

男「それにしてもしつこくねーか?俺達からなんか言ってやろーか?」

男の娘「だ、大丈夫だよ・・・」

女「大体私たちにどんな発言力があんのよ」

男「ありまくりだろっ!!いつから一緒にいると思ってんだ!!」

女「なにそれ、保護者代表?」

男「そう、保護者代表」

男の娘「なんかそれ安心するー」

男「だ、だろ?やっぱさー、俺達がついてねーとさ!」

男の娘「・・・うん、ありがと」

女「・・・そういえば、最近あんたの髪いじってないよね」

男の娘「え?」

男「どした、急に」

女「いや・・・。最後にいじったのいつだったかなー、と思って」

男の娘「ちゅ、中学・・・くらい、かな?」

男「ああ、そんくらいかも。そういや全然やらなくなったよな」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 04:06:13.33 ID:8N/AJELd0

女「こんどまたいじらせて」

男の娘「う、うん。わかった・・・」

男「自分でやったほうが上手いんじゃねーの?器用だし」

女「うっさいなぁ、触りたくなるときがあんの!」

男「触ればいいのに。なぁ?」

男の娘「う、うん。そうだよ・・・」

女「じゃあこんど触ろーっと」

女(・・・中学、か。もうそんなに経つんだ)

女(長いなーどうも)

男「今日の100メートル勝負しようぜ!」

男の娘「えー。ボク長距離のほうが・・・」

女(・・・私の初恋は、コイツ)

女(コイツの初恋は、この子?)

女(・・・あんたがフツーの女の子だったら良かったのに)

女(私にどうしろって言うのよ、神様)

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 20:29:18.42 ID:8N/AJELd0

――下駄箱


男「・・・なんで俺だけクラス違うんだろーなぁ・・・」

女「それ毎日言ってるよね・・・」

男「なんか・・・毎日・・・思う・・・」トボトボ

女「いい加減慣れてよ・・・」

ガチャ

男の娘「・・・あ」

女「お?」

男の娘「・・・えへへ、また、貰っちゃった・・・」カサ

女「またぁ?モテますなー、今度も一年生?」

男の娘「・・・うん。っぽい」

男「ん?なに?」

女「ラブレター」

男「ま、またかよ・・・」


66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 20:39:16.56 ID:8N/AJELd0

男「とっくに全校生徒にバレてるもんだと思ってたけど・・・」

女「まぁ、人数も多いし仕方ないんじゃないの・・・」

男の娘「・・・・・・・・・」

女「・・・なんだって?」

男の娘「・・・放課後、中庭のところだって」

女「ふーん・・・」

男「こっ・・・、断るのか・・・?」

女「え」

男の娘「え・・・。う、うん。当たり前だよー」

男「そ、そうだよな」ホッ

男の娘「・・・・・・・・・」

女(・・・当たり前)

女(当たり前、ね・・・)

女「・・・余計なこと言わせんな、バカ」ボソッ

男「え・・・」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 20:48:50.79 ID:8N/AJELd0

友「――おい馬鹿っ!お前今日日直だろ!?」

男「げっ!忘れてた・・・!!」

友「おっ!みんなおっはー、相変わらず仲いーね」

女「おっはー」

男の娘「お、おはよ」

友「ったく、女はべらせて登校だなんていいご身分だなぁ、おい!」

男「ばっ・・・!お前うるせーぞ!大体こいつは男だっての!!」

友「はぁ!?そんなもん関係あるかよ!そのへんの女子より断然美人だろうが!!」

男の娘「そ、そんな・・・」

女「お前ケンカ売ってんのか」

友「やーん、誰も女さんのことだなんて言ってな・・・、そんな場合違う!日誌取り行くぞ!!ほらっ!!」

男「ばっ、押すな・・・!じゃあまた後で・・・!」

バタバタバタ・・・

男の娘「・・・あはは。相変わらず面白いよね、あの人」

女「騒がしいだけでしょ・・・、まったく」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 20:54:51.70 ID:8N/AJELd0

男の娘「私たちも教室行こっか」

女「うん・・・」

男の娘「どうかした?」

女「・・・放課後、どうするの?」

男の娘「え?いやぁ、怒られるかもだけど、職員室行く前に中庭行って・・・」

女「そ、そうじゃなくてぇ」

男の娘「・・・・・・・・・」

女「・・・ついて、いこっか」

男の娘「あはは、中学じゃないんだから」

女「でも・・・」

男の娘「・・・大丈夫だよ、断るだけだもん。・・・ほら、教室行こ?」

女「・・・うん」

女(・・・また)

女(また、説明しなきゃいけないのか)

女(・・・イチから、自分で)

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 21:07:29.13 ID:8N/AJELd0

――うえー。男だったのかよ、気持ち悪ぃ。

   その言葉に私は耳を疑った。
   中学生の時。初めてもらったラブレターに戸惑っていたこの子に頼まれて、
   性別について、一緒に説明しについて行った時のことだ。

   なんだそれ、勝手にお前から惚れたくせに。
   この子が男だと分かった瞬間、その態度か。
   カッと頭に血が昇って、振り上げた手をあの子に止められた。

   ソイツが去ったあと、なんで止めたのかと怒鳴る私に、
   あの子は、「悪いのはボクだから」と言って、
   寂しそうに笑った。



キーンコーンカーンコーン・・・

女「・・・んむ」

女(・・・あー、放課後ー・・・?)

女(なんで誰も起こしてくれないの・・・)ゴシゴシ

女「・・・あ」

女(・・・今頃、中庭か・・・)

女「・・・・・・・・・」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 21:13:59.78 ID:8N/AJELd0

ガラガラ・・・

男「・・・あ?なにお前、泣いてんの・・・?」

女「・・・ちょっと、ヤな夢みた・・・」

男「寝てたのかよ・・・」

女「誰も起こしてくんなくてさー」

男「あいつは・・・。ああ、そっかラブレター」

女「声くらいかけてくれても良いのにね」

男「どーせ抜けた顔で寝てたんだろー、気ぃ使って起こさなかったんだろ、あいつのことだ」

女「・・・へーへー」

男「・・・んで?なんの夢?」

女「・・・中学の時の」

男「ああ・・・、あの野郎のときな」

女「・・・なんか、思い出しちゃったみたいで。うへー、今だにムカムカする・・・」

男「アレは俺が後日ぶん殴りに行って解決しただろ?引っ張りすぎなんだよ」

女「解決してねーよ・・・、アンタは話大きくしすぎるんだよいつも・・・」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 21:27:15.78 ID:8N/AJELd0

男「まぁ、そのおかげで和解できたんだから良いじゃん」

女「向こうが思いっきり恐縮してただけでしょ、アレ・・・」

男「・・・いやーでも、色々あったなぁ」

女「なに、急に」

男「いや?やっとさぁ、あいつが笑える環境に整ったなーと思ってさ」

女「・・・色々やってきたしね」

男「色々やってきたしな」

女「いっつも三人で行動してたしね」

男「そうそう、小学校のときなんて思いっきりハブられたりして」

女「あー、アレは結構しんどかったなぁ。宿泊学習の部屋割でモメたり」

男「男部屋か女部屋かだろ?結局男部屋で落ち着いたけど。お前一人で平気だったの?」

女「まぁ平気じゃなかったけど・・・。上手く説き伏せたら逆に一目置かれた」

男「ああ、だから帰ってきてから女子の雰囲気丸くなったのか」

女「私の見えない努力のおかげなのよん」

男「図太いよなぁ、ほんとに」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 21:45:41.17 ID:8N/AJELd0

女「・・・はー。高校は楽でよかった、理解があって助かる」

男「ホントだよなー。いやー、苦労が報われるってもんだ」

女「なに、しみじみと」

男「お前が懐かしいこと言い出すからよー・・・」

ガラッ

男「おっ」

男の娘「・・・あ。た、ただいま?」

女「おかえりー」

男「おかえりー」

男の娘「ふー、とりあえず断ってきたよ」

女「・・・・・・・・・」

男「どうだった?」

男の娘「『男です』って言ったらすごい驚いてたけど、なんか恐縮して帰ってった」

男「そりゃ恐縮するわ」

男の娘「あはは、そーだよね」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 21:51:39.86 ID:8N/AJELd0

女「・・・・・・・・・」

男「あれ?もう帰れんの?」

男の娘「や、これから職員室。先帰ってて」

男「そ、そうか・・・」

男の娘「ごめんねー」

女「う、ううん」

男の娘「・・・じゃ、行ってくる」

男「お、おう・・・。なんかあったら言えよ!」

男の娘「そればっかり・・・、分かってるよ。じゃね」

男「おう」

ガラガラ・・・、ピシャン

男「・・・んじゃ、帰るかー」

女「・・・あ、ごめんちょっとトイレ」

男「ん?そう?」

女「ちょい待っててー・・・」スタスタ・・・

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 21:55:32.41 ID:8N/AJELd0

ピシャン

女「・・・おーい」

男の娘「・・・あれ?どうしたの?」

女「んーん、トイレ」

男の娘「そう・・・」

女「・・・大、丈夫?」

男の娘「ん?なにが?」

女「いや、別に・・・」

男の娘「・・・・・・・・・」

女「・・・・・・・・・」

男の娘「・・・ふふ。ボク、もう昔みたいに弱くないよ」

女「・・・そ、そう」

男の娘「自分のことを説明するのも怖くないし、ちゃんと断れる」

男の娘「・・・二人とも、心配しすぎー」

女「・・・そう、かな。はは・・・」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:01:37.85 ID:8N/AJELd0

男の娘「うん」

女「そ、そうだよね。やだ私まで。アイツにつられてさぁ」

男の娘「・・・・・・・・・」

女「うん、なら良かった」

男の娘「・・・大丈夫、だけど」

女「え?」

男の娘「今日みたいなときってさ」

男の娘「・・・自分が『どっち』なのか、分かんなくなっちゃうよね」

女「・・・っ」

男の娘「・・・ん。ごめん、今のナシ。あは」

女「は・・・」

男の娘「・・・ほんと、大丈夫だから。心配しないで、ね?」

女「ちょ、ちょっと待ってよ、それって・・・」

男の娘「・・・じゃあボク、急ぐから。また明日ね」タッ

女「待っ・・・」

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/24(火) 22:08:53.53 ID:8N/AJELd0

女(・・・・・・・・・)

女(・・・えぇー・・・)

女(・・・なにが大丈夫なんだよ・・・)

女「・・・わかんないよ」

男「・・・あれ。終わった?」

女「なっ、なんで!?」

男「え?いや、別に教室で待ってなくてもいいかなって。ほれ荷物」

女「あ、ありがとう・・・」

男「ほら帰ろうぜー。二人だけどなー」ブツブツ

女「・・・・・・・・・」

女(・・・大丈夫って、なに)

女「だったらもっと、大丈夫そうな顔してよ・・・」ボソッ

男「ん?なんか言った?」

女「・・・・・・・・・」

男「・・・?変な奴だなぁ」

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 22:05:04.24 ID:hyxnZGmP0 [2/14]

――帰り道

女「・・・・・・・・・」

男「・・・浮かない顔してんね」

女「・・・まぁねー」

男「やっぱ心配だよなー」

女「・・・・・・・・・」

男「・・・さすがにしつこすぎるもんな。やっぱ、俺達からなんか言ったほうが・・・」

女「・・・はぁー」

男「え?どした?」

女「・・・んーん。アンタのそういうとこ、ほんと助かるなーと思って」

男「だろ?やっぱさぁ、頼りになるのは俺なんだよな!」

女「そーだねー・・・」

女(・・・そういう単純なところ好きよー)

男「うーん。やっぱ指導三日目となると、怪しすぎるよなー・・・」

女「・・・単純に意地の問題じゃないの?あの子のあしらい方にも問題あるんだよ、きっと」

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 22:12:40.93 ID:hyxnZGmP0 [3/14]

――生徒指導室

教師「・・・フッフッフ」

男の娘「・・・・・・・・・」

教師「今日こそ逃がさんぞ・・・。先生は本気だからな、学ランを用意してやったぜ・・・!!」

男の娘「・・・・・・・・・」

教師「どうした!観念して声も出ないか!え!?ようやく俺の勝ちが・・・」

男の娘「・・・・・・・・・」

教師「・・・お、おい。なんかあったか・・・?」

男の娘「・・・別に」

教師「そうか・・・?なんつーか、張り合いがないっつーか・・・」

教師「・・・とにかく!いきなり学校に着てこいとは言わんから、とりあえずここで着るってことでどうだ?」

男の娘「・・・着せてください」

教師「は」

男の娘「・・・着たことがないので、着せて下さい」

教師「・・・ええー・・・」

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 22:20:30.31 ID:hyxnZGmP0 [4/14]

――帰り道

男「なんであいつのせいになるんだよ!」

女「せい、っていうか・・・。あの子、頑固なところあるからさぁ」

女「てきとーに反省してますアピールすれば良いところを、『断固着ません』って言ってると思うんだよ」

男「・・・なにも間違ってないだろ?」

女「間違ってるとかじゃなくて・・・。着る着ないじゃなくて、言い方があるでしょって話」

男「・・・わかんねーなぁ・・・。したい格好をしてるんだから、堂々としてりゃいいじゃねーか」

女「だから、堂々としてる結果で指導が長引いてるんだって」

男「じゃああいつ、間違ってねーよな」

女「うん。まぁ、間違ってはいない、かな・・・」

男「なぁんだ、じゃあ良いじゃん」

女「ま、そのかわり一緒に帰れる日が少なくなってるわけだけど・・・」

男「・・・うーん・・・?え、じゃあ俺はどうすれば・・・」ブツブツ

女(必死に考えてる・・・。アホだな・・・)

女(・・・ほんと、必死だよねアンタは。あの子のことに)

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 22:26:16.33 ID:hyxnZGmP0 [5/14]

女「・・・結局、妥協するかしないかってこと」

男「え?」

女「妥協して、ほとぼりが覚めるまで自分のしたいことを我慢するか・・・」

女「自分の主張を貫き通すか、ってこと。あの子が」

男「・・・・・・・・・」

女「・・・アンタは、どっちが良いわけ?」

女(あの子のことになると、すごく必死だ)

女(それはすごく嬉しくて)

女(・・・たまに、辛いよ)

男「・・・んなもん、決まってるだろ。昔から言ってることだ」

女「でしょ?」

男「そんなもんに屈することねーよ、あいつはあいつのしたいようにするべきだ」

女「・・・じゃあ、アンタは我慢だね。あの子と一緒に帰るの」

男「あ・・・、ああ、そうだなぁ・・・。はぁ・・・」

女「・・・・・・・・・」

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 22:33:14.48 ID:hyxnZGmP0 [6/14]

――生徒指導室

教師「・・・お前、下着どうしてんの?」

男の娘「セクハラです」

教師「男相手にセクハラなんてするかよ・・・!単純に興味だよ!」

男の娘「・・・普通ですけど」

教師「え・・・、どう普通なの?普通に女の子なの?普通に男の子なの・・・?」

男の娘「いいから早く脱がしてくださいよ」

教師「脱がすのは勘弁していただきたいんですが・・・」

男の娘「着せたいんでしょ?学ラン」

教師「・・・ぐ」

教師「・・・こいつは男こいつは男こいつは男こいつは男・・・」ブツブツブツブツ

・・・スッ

男の娘「・・・んっ」ピク

・・・ガラガラ

女教師「また居残り指導ですか?女子は残すなとあれほ・・・ど・・・」

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 22:43:15.88 ID:hyxnZGmP0 [7/14]

教師「誤解です」スクッ

女教師「・・・えええええ援交ーっ」

教師「違う援交じゃない!淫行・・・違うっ!!淫行でもないです!誤解ですっ!!」

女教師「大丈夫!?どこの子!?なにされたの・・・!?」

男の娘「・・・あ、先生・・・」

教師「先生誤解です、よく見てください!!こいつは男です!!」

女教師「・・・だ、男子生徒に・・・!?」ワナワナ

教師「俺の信頼の無さー!!」

男の娘「・・・先生、助かりました・・・」

女教師「良かった・・・!まだなにもされていないのね・・・?」

教師「先生、その良かったってのは『学ランを着させられなくて良かった』ですからねっ!?」

女教師「・・・前々から怪しいとは思っていたんですよ・・・!」ワナワナ

教師「あんた俺のことなんて目で見てやがったんだ!!」

女教師「不潔な・・・!あなたみたいな人は学校に置いておけません!これは一刻も早く処分を・・・」

男の娘「・・・生徒帰りまーす。お疲れ様でしたー」ガラガラ・・・

140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 23:21:27.41 ID:hyxnZGmP0 [10/14]

――女自宅 部屋

女「・・・・・・・・・」ゴロン

女(・・・メールは、無し)パクン

女「・・・あたりまえ、かぁ?」

女「・・・・・・・・・」

女(・・・『自分がどっちなのか』・・・)

女(私、あの時即答できなかった・・・)

女(・・・・・・・・・)

女「・・・じゃあ、なんて言えば良かったわけ」

女「・・・・・・・・・」

女(・・・私は『どっち』だったら良いんだろう)

女(あの子がちゃんと『女』だったら?あの子がちゃんと『男』だったら?)

女(・・・私は、アイツと付き合えた?)

女(・・・・・・・・・)

女「・・・カッコ悪」

141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 23:39:56.17 ID:hyxnZGmP0 [11/14]

――翌朝 男の家前


女「・・・はぁ、はぁ」ゼェゼェ

男「・・・遅い」

女「き、昨日のアンタほどじゃないよ」

男「だから今日は俺が早起きしたんじゃねーか!」

男の娘「ほんと、今日早かったよね」

男「・・・おまえらどうかしたのか?二人揃って珍しいな」

女「え?」

男の娘「えへへ、実はボクも・・・、ちょっと寝坊」

女「・・・なんだー、一人だけ遅くなって申し訳ない気持ちだった・・・」

男「まぁ一番遅かったのはお前だけどな」

女「分かってるよ!で、差はどんくらいだったの!?」

男の娘「いや、一分位だって」

女「ほとんどタイじゃん・・・!!」


142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 23:46:10.44 ID:hyxnZGmP0 [12/14]

男「ほら、早く学校行くぞ!遅刻するぜ!」

女「ぐ・・・!む、無性に悔しい・・・!アイツにあんなこと言われるなんて・・・!!」

男「ふはははは!たまには早起きもしてみるもんだな!!」

女「くそ・・・、明日五時に起きてやる・・・」

男の娘「それ早すぎ・・・」

男「・・・で、おまえ今日はどーなんだ?放課後」

男の娘「え・・・。ああー、たぶん大丈夫、かな」

男「本当かっ!?」

女「・・・大丈夫なの?」

男の娘「うん。なんかグダグダしたし、きっと向こうも諦めるよ」

女「きっとって・・・」

男「じゃ、じゃあ教室で待っててくれよ!久しぶりだなー、三人で帰んの!」

女「そんな久しぶりってほどでもないでしょー。今週入って最初くらいじゃん」

男「それだって十分長いんだっての!」

男の娘「あはは、楽しみだねー」

143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 23:49:56.64 ID:hyxnZGmP0 [13/14]

――学校 下駄箱

ザワザワ ザワザワ

男「・・・ん?なんか騒がしくね?」

女「本当だ。なんかあったのかな」

男の娘「なんだろ・・・」

ピタッ

女「・・・!」

ヒソヒソ ヒソヒソ

男の娘「・・・っ」ビクッ

男「・・・おい」

女「しっ。・・・黙ってて」

ヒソヒソ ヒソヒソ

女(・・・なんだ?なにがあったの?)

女(・・・でも、この視線はまさしく・・・)

男の娘「・・・・・・・・・」

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/25(水) 23:58:05.37 ID:hyxnZGmP0 [14/14]

友「・・・おいっ、お前ら・・・!」ダッ

男「・・・よぉ。なぁお前、これって一体・・・」

女「お、おはよう・・・」

男の娘「・・・・・・・・・」

友「その様子だと、誰も今朝のニュース見てねーだろ」ゼェゼェ

男「ニュース?そんなもん・・・」

男の娘「・・・っ」

女「なっ・・・、なにかあったの!?」

友「まぁ、ここじゃなんだから。ちょっとこっちに・・・」

男「おい!まどろっこしいぞ、早く・・・」

女「黙ってってば!・・・行きましょ?」

男の娘「・・・・・・・・・」コクン

友「・・・堂々としてりゃいいんだ。君に関係ある話じゃないんだから」スタスタ

男の娘「・・・え」

ヒソヒソ ヒソヒソ・・・

149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/26(木) 00:08:28.76 ID:1fH6OMQM0 [1/12]

――学校 一階 倉庫前

友「・・・この辺なら人目につかねぇかな」

男「・・・なぁ」

友「分かってる。ちゃんと話すから」

女「・・・そのニュースと、私たちが変な目で見られてることが関係あるの?」

男の娘「・・・っ!」ビクッ

男「・・・・・・・・・」

友「・・・人による。俺は、関係あるわけねーと思ってる」

男「おいっ!まどろっこしいぞ、分かるように言えよ!!」ガシッ

女「・・・やめてよっ!この人がなにかしたわけじゃないでしょ!?まずはちゃんと話を・・・」

友「・・・焦んのもわかるよ。ごめんな、俺もどこから話していいかわかんねぇんだ」

女「・・・とりあえず、今朝のニュースってやつ」

友「・・・落ち着いて聞けよ」

男「・・・・・・・・・」グッ

友「隣町で、ウチのセーラー服を着た中年男性が、公然わいせつ罪で捕まった」

151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/26(木) 00:15:54.30 ID:1fH6OMQM0 [2/12]

女「・・・は」

男「・・・あ?」

友「それが、今朝一番のニュースで流れた。テレビだ」

男「ちょ・・・、ちょっ・・・と、待てよ・・・。は・・・?」

友「・・・正直何をしたから捕まったかまでは明らかになってない」

女「・・・意味、わかんないんだけど」

友「分かってんのは、ソイツが女装してパクられたこと。ソイツが容疑を否認していること。それから・・・」

男「・・・・・・・・・」

女「・・・・・・・・・」


友「・・・ソイツが捕まるときに、『俺が何を着ようと俺の勝手だ』って言ったことだ」



男の娘「―――ッ」


友「・・・面白がってかどーかは知らねーけど、番組ではこのセリフを取り上げた」

友「んで、それをどこぞの評論家が痛烈に批判した、らしい。そこまでは直接確認できなかった」

154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/26(木) 00:24:17.16 ID:1fH6OMQM0 [3/12]

男「・・・待てよ」

友「制服の入手経路は不明。どこぞのOGから流れたって説が有力で・・・」

男「ちょっと待てって言ってんだよッ!!」ガシッ

友「っ!」

女「・・・やめな」

男「それじゃ、アレか・・・?みんな、そのニュースみて・・・、それで・・・?」

友「・・・・・・・・・」

男「・・それでさっき『俺達』は、あんな目で見られたってのかッ!?おいッ!!」

女「やめろって言ってんだよっ!!!」バシッ!

男「ああ!?お前分かってんのかこの状況っ・・・!?」

女「少なくともこの人は悪くないでしょ!?八つ当たりしてんじゃねーよっ!!」

男「・・・っ!・・・悪ぃ」スッ

友「・・・いや、平気。気持ちは分かるわ。げほっ」

女(・・・なんだ、これ)

女(なんだこれなんだこれなんだこれ・・・っ!!)

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/26(木) 00:34:09.92 ID:1fH6OMQM0 [4/12]

女(は・・・?変態がひとり捕まっただけでしょ・・・?隣町で?だからなに・・・?)

女(・・・だからなんなんだよっ!!だから、だから・・・、え?それでなんだよ・・・)

友「・・・俺が来たときにには既に校内中の話題になってた。ただでさえウチの制服だったし」

女「・・・名前まで、出たわけ」

友「『近隣の県立高校』っていったらウチくらいだ。周辺住民なら誰でもわかる」

男「・・・くそっ!」ガンッ!

友「すぐに連絡いれりゃ良かったんだ。嫌な予感はしたんだけど・・・」

友「・・・まさか本当にコッチに火の粉がくると思わなかった。俺の判断ミスだ。ほんと、スマン・・・」

女「そんな・・・」


男の娘「・・・そんなこと、ないよ」


男「!」

女「・・・っ」

友「・・・あ」

男の娘「・・・君は、十分味方してくれたよ。ありがと」

156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/26(木) 00:40:28.49 ID:1fH6OMQM0 [5/12]

友「・・・・・・・・・」

女「・・・ね、ねぇ?」

男の娘「・・・早く教室行こう。チャイムなるよ」

男「・・・っ!冗談だろ!?お前・・・!」

友「い、いまからでも帰れば大丈夫だって!」

男の娘「・・・・・・・・・」

友「こ、こんなもん、みんな本気で悪意があるわけじゃない。すぐに収まる!だから今は・・・」

男の娘「・・・そういうわけにもいかないって」

女「なっ、なに意地になってんの・・・!?そうだよ!たまにはサボろう!」

女「別に、一日くらいサボタージュしても平気だって!私たち成績悪いわけじゃないし、それに・・・」

男の娘「・・・こんな理由で、休めないよ」

女「・・・っ」

男の娘「ねぇ。教室行こ?ボクなら、大丈夫だからさ・・・」


男の娘「・・・悪いのは全部、ボクなんだから」


159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/26(木) 00:49:02.31 ID:1fH6OMQM0 [6/12]

女(――っ)

友「・・・・・・・・・」

男「・・・・・・・・・」

女(・・・なんで)

女(・・・なんでそんなに悲しそうに笑うの・・・?)

男の娘「・・・ね、ほら」

女(ダメだよ、そんなの)

女(・・・やめてよ・・・)

友「・・・俺たちの学年は付き合い長いから、比較的大丈夫なはずだ」ヒソッ

女「え・・・」

男「・・・学年には俺の顔利かせられるはず。俺たちの関係はみんな知ってるからな」ヒソヒソ

友「問題は移動教室とか休み時間。野次馬が集まる可能性もある。そんときに、一人にさせないこと」ヒソヒソ

女「・・・・・・・・・」

男「・・・俺は、こんなときに側にいてやれない」

男「無責任承知で言うけど・・・。あいつのこと、まかせてもいいか」

161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/26(木) 00:56:24.56 ID:1fH6OMQM0 [7/12]

男の娘「・・・・・・・・・」

女「・・・私のこと、舐めるんじゃないわよ」ボソッ

男「え?」

女「そんなもん、まかされなくたって私の役目よ」

女「・・・何年あの子の側にいると思ってんの?」

女(そんなふざけた連中、指一本だって届かせやしない)

女(・・・私が必ず、守ってみせる)

男「・・・お前がいると、安心だわ」

女「今更気づいたわけ?遅いんだけど」

友「新しい情報とかのリークはまかせて。全体の噂の把握も、俺たちがやる」

女「うん」

友「君は、あの子の側に居ることだけを考えてくれ。そういう感じで、今日は動こう」

女「・・・ありがとうね。なんか、巻き込んじゃって」

友「・・・巻き込んでくれるくらいがありがたいのよ」

友「君たちの関係は、羨ましいからね」

163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/26(木) 01:04:09.70 ID:1fH6OMQM0 [8/12]

――教室

ヒソヒソ ヒソヒソ

女(くそっ。ああは言ってたけど、やっぱ噂は噂だな。みんな話題にする)

女(・・・テレビのニュースってのが痛いな。くそっ、なんでこんな日に寝坊してんだ私は)

男の娘「・・・・・・・・・」

女「・・・あんたは、胸をはってればいいの」

男の娘「・・・え」

女「あんたに落ち度なんてこれっぽっちもありゃしないわ」

男の娘「・・・・・・・・・」

女「今回はどっかの馬鹿のせいで規模が大きいだけ」

女「・・・こんなの、ずっと一緒に戦ってきたことじゃないの」

男の娘「・・・うん」

女「経験上、少し長丁場になるかもしれないけど・・・」

女「これまではまだしも、今回は完っ全にとばっちりでしょ?気にするほうがおかしいよ」

男の娘「・・・うん。そう、だね」

164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/26(木) 01:10:23.17 ID:1fH6OMQM0 [9/12]

――昼休み

キーンコーンカーンコーン…

女(・・・ふー。流石に、授業中は大丈夫みたいね)

女(まさか授業中にまで話す奴はいないし。・・・まぁ、手紙は回ってるかもだけど・・・)

女(・・・あとは学校裏サイトとか、そっちが気になる。私得意じゃないからどうしようかな)

女(まぁとりあえず、学年は大丈夫ね。アイツと私のニラみも効いてるみたいだし、教室も・・・)

ガラッ

担任「・・・あー、ちょっといいか」

女「っ!?」

男の娘「・・・はい」

担任「・・・生徒指導の先生がお前を呼んでる。職員室に来い、だそうだ」

男の娘「・・・っ。分かりました」

ザワザワ ザワザワ

女(なっ・・・、なんでこんな時に!?こんな時だから!?)

女「・・・せ、先生っ!!」

165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/26(木) 01:14:09.02 ID:1fH6OMQM0 [10/12]

担任「・・・どうした」

女「・・・私も、行きます」

男の娘「・・・だ、大丈夫、だよ」

女「行かせて、ください。心配です」

担任「・・・・・・・・・」

ザワザワ ザワザワ

担任「・・・行って突っぱねられたら、素直に帰ってこいよ」

女「はい」

男の娘「・・・えっと」

女「大丈夫ー!さっさと行って、済ませてこよ?」

男の娘「・・・う、うん・・・」

女「・・・『あの件』ですか」ボソボソ

担任「・・・どの件だろうな」ボソボソ

女「・・・とぼけないでくださいよ」ボソボソ

担任「・・・・・・・・・」

169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/26(木) 01:20:26.80 ID:1fH6OMQM0 [11/12]

担任「・・・俺は、お前はいかないほうがいいと思うぞ」ボソッ

女「は・・・?」

担任「心配だからなんて理由で、首突っ込むなってことだよ」ボソボソ

女「・・・・・・・・・」

担任「・・・俺は、一つのいい機会なんじゃないかって思う」ボソボソ

担任「人間はな、決断しなきゃいけないときがあるんだ」ボソボソ

女「・・・・・・・・・」

男の娘「・・・・・・・・・」トコトコ

女「・・・言ってる意味が分かりかねますが、一つだけ訂正を」ボソッ

担任「ん?」

女「首を突っ込むもなにも、私は昔っから当事者ですよ」ボソボソ

担任「・・・・・・・・・」

女「・・・失礼します」・・・バタン

担任「・・・・・・・・・」

担任(・・・若いんだよなぁ・・・)

172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/26(木) 01:32:09.44 ID:1fH6OMQM0 [12/12]
と、とりあえずキリが良い・・・はず・・・寝ます
ホントつきあわせて申しわけない、ぶっちゃけ二日もあれば終わる内容なのに・・・
ダラダラというかまったりというか、そういうつもりでお願いします・・・
土曜前にモリモリ書く!それまでに終わればもっといい!!おやすみ!!

ここでスレ落ちだす

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