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御坂「トウマ・・・君?」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 22:29:44.96 ID:CvzSg2ca0
俺、上条当麻は病院の前にいる。
インデックスとの一件で記憶が亡くなってから幾度もお世話になった。
あのカエル顔の先生に変態扱いされそうになる始末だ。

「あの先生、まだいるのかな・・・?」

エントランス前から病院を見上げながらポツリと呟く。

というのも、三沢塾事件などがあった翌年。
俺はちょっとした事情で学園都市から離れた。
行き先は海外がほとんどで、行く先々で戦争が起きた。
そこで俺は科学と魔術との対立が思っていた以上に、
深かったのを実感した。
このままでは、世界中を巻き込む大戦争が起こる。
そうなれば魔術師・能力者関係なく沢山の犠牲者が出てしまう。
それはなんとしても食い止めなければいけない。
そこで俺は二つの勢力を落ち着かせるため、それぞれに属する
グループの一つ一つに交渉をして休戦協定を結ばせた。
そりゃ一人だけってのは無謀だったから、ステイルや土御門、
それから御坂達にも手伝ってもらい。
そしてなにより俺が持つ右手の能力によって、今のところは
勢力間のストレスは少ないものになっている。
・・・何人かの仲間は失ってしまったが。

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 22:31:07.75 ID:CvzSg2ca0
おっと、危うく感傷に浸ってしまうところだった。
これから「あいつ」のお見舞いだってのに、
悲しい顔してちゃいけないな。

そう、今回この「冥土返しのいる病院」に訪れたのは、
いつも通りの入院ではなく、俺の仲間・・・いや、それより
もっと大きな存在になった奴のために来たのだ。
一度戦争巡りから学園都市に帰ってきてから・・・
もう1ヶ月くらい経つのか。

「(あいつ、元気にしてるかなぁ・・・)」

などと心配をしながらエントランスに入っていく。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 22:32:19.73 ID:CvzSg2ca0
受付でソイツのいる病室を教えてもらい、その部屋の前にたどり着こうとしたとき、
中からあの人が出てきた。

「んっ・・・?君は確か・・・」

普通の人に比べて目が離れていて、口も大きめ。良く言えば愛嬌が持てる、
悪く言えばただのカエル顔のおっさんだがこれまで受け持った患者は
ほぼ全て救ってきたというのだ。「冥土返し」という異名も持つほどだが、
とてもそうは見えないし・・・

「ん~、怪我をしているわけではなさそうだし・・・
あっ、さては入院中に目星をつけたナースとこれから・・・」

・・・このような発言を入院する度に聞いた。だから実感がわかない。

「いやいや違いますって。今日はちょっとお見舞いに・・・」

分かってはいた発言とはいえ、やはり聞くと苦笑いが出てしまう。

「・・・なんだ、残念だな」

あの、ものすごいしょんぼりオーラ出されるのやめてくれませんかね・・・?

6 名前:>>5 了解した。もうちょっと頭使ってみる[sage] 投稿日:2010/02/28(日) 22:35:08.92 ID:CvzSg2ca0
今から1ヶ月前。ちょうど俺が学園都市に戻ってきた時の事。
戦争の歯止め役となって以来、俺の行いが
どっかの軍需産業あたりには気に入らなかったらしく行く先々で襲われる
ようになった。
ネセサリウスの連中に援助してもらいつつの交渉の旅だったが、それも限界が
来てしまい。一度学園都市で身を隠したほうが良いという結論の元に俺は
故郷に戻ってきた。
しかし、その故郷でさえも俺の安息を守ってくれなかった。
どうやら学園都市の上層部が俺の妨害していた奴らと手を組んでいたらしい。
考えてみればそれは筋が通る。ここは科学の街。アンチスキルの装備やらは
レベル0、つまり学園都市外の人でも扱える武器。それはすなわち軍用兵器。
ということは・・・そういうことだ。
とはいっても、俺を追っているのはどうやらアンチスキルではない。黄泉川先生
には一度話をしたが、嘘をついているようには見えないほど驚いていたし、何より
装備がアンチスキルとは程遠い。・・・なんというか、そう。軍人ではなく、暗殺専門
という感じが見て取れた。
そういうことで、学園都市の中でも転々とする毎日を過ごしている。あのマンションの
部屋もすでに売り払った。
ちなみにインデックスはこの状況では俺に預けていられないとの命令で、
イギリスに帰っていった。まぁ、狙われているのが俺だけなのに巻き込むわけにも
いかないからな。

7 名前:>>5 了解した。もうちょっと頭使ってみる[] 投稿日:2010/02/28(日) 22:37:22.01 ID:CvzSg2ca0
「はぁ・・・全く気が休まらないな・・・」

今日泊まることにしたホテルのベッドに寝そべりながら愚痴をこぼす。
何せ部屋が一番上の階にあるスイートだ。こんな状況で落ち着けるほど、
この上条さんは優雅な暮らしをしていなかった。
ところで、どうして貧乏学生だった俺がこうしてスパイのような生活が出来るのかというと、
仲間のおかげである。時々実年齢から疑問を感じてしまう声の持ち主である白井が
俺の状況に見かねて経済的な援助をすると言い出した。なんでも、親父さんがどこかのゲーム
会社の重役をやってるらしい。まぁ、御坂を除けば常盤台中学に通うのは裕福な家庭で育った
お嬢様ばかり。特に白井に至っては、あの独特な口調だからな。・・・性癖はこの際置いておこう。

「本当、助けてもらってばかりだな・・・っと」

両足を振り上げ、勢い良く体を起こす。しかし、何もしようがないな・・・。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 22:38:03.15 ID:CvzSg2ca0
と、そこに玄関のドアをノックする音が聞こえた。
昔の俺なら何の迷いもなくドアに向かっていったが、経験がそうはさせてくれない。
同じような状況で、ある時はホテルマン、ある時は宅急便を装って追っ手にやられそうになったからな。
確か、受付には用があるときはコールしてくれと頼んだはず。とすると・・・

「私ですの」

この口癖・・・。やれやれ、噂をすればなんたらだな。
ドアを開けると、先ほど言った救い主が目の前に立っていた。


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 22:38:55.79 ID:CvzSg2ca0
「ご無沙汰しておりますの。」

「よう、元気そうだな・・・白井」

援助を申し出てきたときは、そりゃもうびっくりした。
外見は学園都市を出る前とそれほど変わっていないだろうと思っていたが・・・
たった3年で大人の女性になっていた。
髪はあのツインテールから神裂のようなポニーテール(?)に変わっていて、
服装もあの制服から黒のシャツに白のミニスカート。おまけに黒のハイソックス。
あの時は目を疑ったな。

「しっかし、今のその姿。昔のお前からしたら想像できないな」

「それだけ私も淑女になれたということですの」

皮肉のつもりで言ってみたが、軽くスルー。あの頃は、それこそ目の敵とでも
思わせるくらいぞんざいな態度だったんだが・・・。

「・・・で、今日は一体どうしたんだ?」

「ふふっ、今日は少し昔話でもしようかと思いましてですの」

昔話・・・ねぇ。そういうのは、まだするもんじゃないと思うのは俺だけか?

「・・・まあいいや。とりあえずここじゃなんだ。入ってくれ」

「そうですわね。」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 22:44:40.66 ID:CvzSg2ca0
「ったく、用があるなら連絡ぐらい入れてくれ。声をかけてくれるまで、
マジでヒヤッとしたんだからな。」

「あら、それが助けている人への恩返しの言葉ですの?」

言葉にややトゲがあるが、表情を見た限り怒ってはいない。まぁ、3年間の
俺の状況を知った上で援助してくれたんだから向こうも俺の気持ちの理由も
分かっていてのことだろう。

「で、話って?」

「・・・お姉さまのことですの」

お姉さま、か・・・。こいつにとってのその言葉は、もうアイツしか浮かばないな。
俺がまだ学生だった頃は、いつでも「お姉さまお姉さま」と呟いているぐらいに
アイツのことばっかり考えていたみたいだからな。

「お姉さまのことは、貴方もご存知ですのね?」

「そりゃあ・・・な・・・」

忘れたくても・・・忘れられるかよ。

「その、お姉さまのことで最近噂が」

「なっ?!あいつは!」

白井の言ったことに驚きを隠せず、つい声を荒げてしまう。

「分かっておりますの。ですが少し落ち着きなさい。今の貴方はなるべく隠密に行動しなければならなくて?」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 22:45:22.39 ID:CvzSg2ca0
・・・何も言えなかった。
しかしアイツは・・・アイツはもう・・・。

「先日、この学園都市内で異常な電磁波が記録されましたの。
その地区担当の風紀委員が調べました所、現場には気絶して倒れていた方
がいらして、これは電撃系の能力者による犯行と断定されましたの。
ですが・・・」

白井の説明はこうだ。
その事件を自分たちも調べてみたものの、今この学園都市にいる電撃系の
能力者には少し荷が重過ぎる。なぜなら・・・

「なぜなら・・・犯行で確認された能力レベルは・・・レベル5」

「っ?!」

レベル5・・・超能力者は、この学園都市277万人のうちたったの7人しか
存在していない。その中でも、電撃系の能力者は・・・俺の知っている限り
ただ1人。

「だけど、それには・・・」

「ええ、分かっています。この学園都市の電撃系能力者の頂点とも言える、
『超電磁砲』という異名をとられていた、常盤台中学のエース。」

「・・・御坂美琴は・・・」

「・・・すでにこの世には・・・もう・・・」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/28(日) 22:50:00.75 ID:CvzSg2ca0
それ以上は、白井は口に出さなかった。
いや、出せなかったのだろう。
だって、コイツがあれほど慕っていた「お姉さま」。
御坂美琴は・・・

戦  死  し  て  い  る  の  だ  か  ら  。 

14 名前:>>10 分かった。落とさないよう頑張る[sage] 投稿日:2010/02/28(日) 22:51:27.05 ID:CvzSg2ca0
「・・・ですが、もう亡くなっているとはいえ状況はお姉さまが犯人だとしか
思えな」

「ふざけるな!!御坂はもう死んだんだぞ!!!お前だってそれは分かってるだろ?!」

今までそう思ってた。そう思うしかなかった。なのに・・・なんで今更・・・

「私だって!!」

「っ?!」

「私だって・・・お姉さまはもうずっと亡くなっていると思っていましたわ!
でも・・・心のどこかでまたお姉さまに会えると信じ」

「そんなことあるわけないだろ!!・・・だって、アイツは・・・」

御坂美琴は死んだ。
それは何より、俺が一番分かっている。
だって・・・

「アイツが・・・アイツが寝ちまう瞬間を俺は見届けたんだぞ!!」

「っ?!」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/28(日) 22:52:32.72 ID:CvzSg2ca0
俺が学園都市から離れて翌年。
なんと、ビリビリが俺の元にやってきた。
アイツいわく

「アンタがアタシから逃げられるのかと思ったら、大間違いなんだからね!!」

だそうだ。やれやれ、最初にケンカしてからもう何回も負けてるはずなのに
懲りない奴だな、ホント。でも、今まで戦争という非日常の中、ほとんどの時間を
たった一人で過ごしてきた俺には、この時のビリビリには本当に感謝していた。
まさか、夜遅くにふと目が覚めて涙がこぼれただなんて知られたら、
図に乗られちまってただろうけど。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/28(日) 22:54:22.97 ID:CvzSg2ca0
その時俺はインドにいた。そこから、宗教間での紛争が絶えないアラビア地方の
とある国に向かうためだ。
どうしてそんな所に用があるんだと思うかもしれないが、この紛争には科学側と
魔術側の代理戦争と化しているためだ。
現地で仕入れた情報によると、科学側には学園都市張りのID化された武器やら
一部の能力者が流され、魔術側には少数派集団がこの戦争に勝って
名を上げるために躍起になっているそうだ。そこにどんな思いがあっても、
無関係の人までをも巻き込むなんて俺は許さない。
そういうわけで、俺とビリビリはまず魔術側の交渉をすることにした。
だが・・・その途中でゲリラの襲撃に巻き込まれてしまい、御坂は・・・。
あいつは最期に、俺へこんなことを言っていた。

「純粋に人を助けたい気持ち・・・ずっと・・・持ち・・・続けて・・・なさ 」

死因は爆発の衝撃を諸に食らってしまったこと。幸運・・・なんだろうか分からないが、
俺は奇跡的に打撲で済んだが・・・代わりに大切な仲間、いやそれ以上の人を
失った。
この時ほど、自分の不幸を呪った事はない。それまでにも、俺を助けてくれた
人達の何人かは犠牲になったが、ここまでの悲しみは・・・ないといえばなかった。
だって、じゃじゃ馬ではあったけどアイツとの仲は悪くはなかったんだぜ?

ふざけんなよ・・・何が戦争をやめさせるだ!!!仲間一人救えない奴が。何だ?
世界を救うだ?冗談もいい加減にしろよ!!!
御坂を失ってからの俺はしばらく自暴自棄になっていたが、あいつが遺してくれた
言葉の思いをもう一度考え直して再び戦地に向かった。

19 名前:>>17 分かった。支援thx[] 投稿日:2010/02/28(日) 23:02:04.26 ID:CvzSg2ca0
「・・・そうでしたの。そのようなことがあったと知らずに私は・・・」

「気にするな。別に白井が悪いわけじゃない」

「ですが・・・」

「もう、気にするな。」

でないと・・・俺はまたアイツの死で押し潰される。
だから、今はほかの事を考えさせてくれ。

俺の思いが通じたのか、白井は一度口を閉ざした。
おそらく、御坂が俺の所に行こうとした時にこいつも猛反対したんだろう。それでも
止められなかった自分の責任、とか考えているのかもしれない。


20 名前:>>18 ㌧㌧[] 投稿日:2010/02/28(日) 23:07:09.09 ID:CvzSg2ca0
「とりあえず、その『ミサカミコト』を探そう。今はそれだけだ」

暗い雰囲気を吹き飛ばすため、俺は話を変えてみた。

「分かりましたわ。ですが、一度風紀委員の方に出向いていただきたいんですの」

「出向くって言ったって、俺が街中に出たら・・・」

「大丈夫です。きちんと風紀委員の方から護衛を出しますので。さすがに連中も
街中で、複数を相手に仕掛けてくるとは思えませんもの」

「・・・それもそうか」

ずっと戦地にいたせいか、なんだか少し嫌な予感がしなくもないがここは白井の言うことに従おう。

「では、私はパトロールがあるのでこれで」

「あぁ、気をつけてな」

その言葉に白井は微笑んだ。だが次の瞬間、とんでもないことを言ってくれた。

「あぁそうそう、殿方一人がこのような広い部屋にいると退屈でしょうし・・・
こちらから護衛と称して若い女の子にお世話をさせましょうか?
・・・ストレス発散と運動もかねて」

「い、いいから!!とっとと行ってくれ!!!」

予想もしなかった言葉に思わず声が上ずってしまった。ちくしょう。。。
俺の反応を見てクスリと嫌らしく笑ってくれた白井はそのままテレポートでどこかに消えていった。
いくら戦場を巡ったとはいえ、まだまだ上条さんはウブな男の子なんだからな・・・まったく。

21 名前:そろそろ鳥つけとこう ◆FMYPc6cKQE [sage] 投稿日:2010/02/28(日) 23:09:35.93 ID:CvzSg2ca0
翌日、ホテルのチェックアウトを済ませてエントランスから出ると右腕に緑色の腕章をつけた
学生が待ち構えていた。

「上条当麻さんですね。白井先輩からの指示であなたを第一七七支部にまでお送りします」

「おぉ、ご苦労さん」

あいつの名前が出たので、とりあえず肩の力を抜いた。
しかし、あの白井にも後輩が、ねぇ・・・。あの時はあの性癖もあって色々と心配だったが、
どうやら心配し損じたみたいだな。・・・御坂が聞いたらなんて言うだろうな?
・・・やめよう。こういうことを考えただけで腹が立ってくる。

「・・・どうかしましたか?急に」

「あ・・・あぁ、ごめんごめん。ちょっと、昔のことを思い出しちまってな・・・」

「は、はぁ・・・」

いかんいかん。不幸属性の上条さんですけど、それを他人にまで押し付けるのは良くないな。
それにしても、はじめてみる顔だな・・・って当然か。3年間ここにはいないんだから、その間に
入ってきた奴の顔なんて分かるわけがない。

「で、昨日白井さんから聞いた妙な噂の話なんだけど・・・」

「はい。それじゃあ移動中にお話しますね」

22 名前: ◆FMYPc6cKQE [sage] 投稿日:2010/02/28(日) 23:10:57.93 ID:CvzSg2ca0
新米風紀委員さんの話によると。
例の電磁波事件の犯人さんは、白井が帰った後にもまた同じような犯行を行ったらしい。
前の事件と比較しても、同じ時間帯・同じ手口・同じ格好をした被害者というらしいのだが・・・

「その事件の被害者の服装が全く同じなんだけど、その服装はこれまで学園都市では
見たことのないものだと」

「はい。アンチスキルの戦闘服に似ているようにも見えるのですが、特別な理由がない限り
アンチスキルは出動はしませんので」

「う~ん・・・要するに、今回の事件にはアンチスキルのような公的な何かにも関係してる
んじゃないかってことか?」

「おっしゃるとおりです。」

だとしたら、それこそアンチスキルじゃないけど
風紀委員じゃない所が扱った方が良いんじゃないか?
・・・いや、そんなよわっちい物じゃないもんな風紀委員は。

「着きました、こちらです」

23 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/02/28(日) 23:12:37.84 ID:CvzSg2ca0
と、給湯室から一人女の人が出てきた。
・・・うわぁ、すっげぇ美人。

「・・・?どうしたの?さっきから私のことジロジロ見て」

「っ?!い、いやぁ、なんでも・・・ないっす」

いかん。ついうっかり見惚れてしまった。だぁもう、こういうことするから
いらない疑問を持たれるんだろうが。

「固法先輩。あまりその方と触れ合いますと、食われますわよ?
・・・それとも、それが目的で」

「そんなわけないでしょ。初めて会った人に好意を抱くほど、
私は落ちぶれてなんかいないわ」

24 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/02/28(日) 23:14:29.22 ID:CvzSg2ca0
この人は、固法美偉という人らしい。
らしいというのは、今白井からざっと紹介をされて初めて知ったからだ。
なんでも、高校時代にこの第一七七支部の風紀委員として活動していて
今は地元の大学生だそうだ。
それにしても、今が薄着のシーズンなんだろうけどこの人のボディラインが
ものすごく際立った格好をしてらっしゃる。・・・この姿を見た男子諸君は
全員が誘ってるんじゃないかと勘違いしてしまうところなのだが

「ごめんなさい。彼氏とか、そういうのはちょっと苦手だから」

あっさり断られてしまった。まぁしょうがないか。
こちとら色気なんて全く関係ない世界にしばらくいたんだからな。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/28(日) 23:16:48.43 ID:CvzSg2ca0
・・・ん?ちょっと待てよ?

「でも、今風紀委員じゃない固法さんがどうしてここに?」

「あぁ。長い休みになると、こうしてここでくつろいでるのよ。
まだまだ出来の悪い後輩がちゃんと仕事をしているのか確かめるのも
兼ねてね」

「固法先輩も相変わらず手厳しいですの・・・」

「もう冗談よ。でも白井さんって暴走する所があるから、
ちょっと心配なのよね」

「初春のような後輩を複数持つと、そうそう命を張るような行為は
出来なくなりますの」

白井は座っていた椅子によりかかり、天井を見上げながらつぶやいた。

「あらあら。ここに来たときの貴方に言ってあげたいわね」

・・・なんというか、風紀委員も大変なんだなぁ。

「ところで上条さん。ここにきていただいた理由は他でもありません。
例の電磁波事件に関することですの」

「あぁ、それなら護衛に来てくれた子に聞いたよ。なんでも、
同一犯の可能性が高いんだけど被害者の詳細が全く見えてこない
んだろ?」

「その通りですの」

26 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/02/28(日) 23:18:50.33 ID:CvzSg2ca0
白井の話はこうだ。
襲われた被害者の詳細を調べようと、初春って子に頼んで書庫を
調べたそうだがデータには一切なし。スキルアウトの可能性も考えた
ものの、アンチスキルに似た格好をしている事から考えてその線は
なし。だがこの学園都市において、外からの不法侵入はほぼ無理
と言っていい。
もしかして、魔術側からの刺客か?しかし、今までの行動からして
能力者一人に絞って狙う理由が見つからない。

「なあ。とりあえず、その被害者の服装を見せてくれないか?」

「ちょっと待って。風紀委員でもない貴方がどうして事件を知ろうとしてるの?」

すかさず固法さんからの突っ込みが入る。
そりゃそうか。俺とは初対面だし、この様子じゃ白井は
俺の事情について話してはいないようだしな。

「まあまあ固法先輩。この方は昔、私や初春の間では『事故発信』
(トラブルメーカー)と呼ばれるくらいに事件に巻き込まれていた方ですの。
今回の事も彼に関係しているかもしれませんから、念のためにですのよ」

ぼかしを入れつつ、白井がフォローを入れてくれた。
・・・しかし、事故発信ってなんだよ?
そりゃ昔から色々と首突っ込んでは巻き込まれ、だったけどそこまで
とはなぁ・・・。
はぁ、不幸だ・・・。

27 名前:書き溜めなくなってきたorz ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/02/28(日) 23:20:10.22 ID:CvzSg2ca0
「ふぅん・・・。それなら良いかな」

とりあえず固法さんもそれで引き下がってくれた。

「では、少々お待ちくださいまし。・・・初春」

「はい。今事件現場の写真を探している所です」

積まれた段ボール箱の向こうから、飴玉のような甘ったるい声が聞こえた。
どうやら、そこに白井が言っていたウイハルという子がいるようだ。声は
さっき言ったとおりだが、なかなかな切れ者みたいだな。

28 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/02/28(日) 23:27:11.60 ID:CvzSg2ca0
「白井さん、見つけました」

白井の呼びかけから数十分経った頃、あの声が再び支部に響いた。
呼びかけに応じて、白井がダンボールの向こう側に歩いていった。

「ところで、上条君・・・だっけ?」

白井の方に目を向けていたとき、ふと俺に声がかかる。固法さんだ。

「はい、なんでしょうか?」

「あなた、なんだか事情がありそうだけど一体どうしたの?事故発信の
噂は私も聞いてたけど、ある時からぱったり話にならなかったじゃない。
一体何があったの?」

やばい、感付かれてるか。ってか、俺の『異名』を知ってたんですか、貴方も。

「あぁ・・・その前に・・・なぜ貴方の顔がこんなに近くに見えるんでせうか?」

「そんなことどうだって良いじゃない!それより、今は私の質問に答えなさい!」

「いやぁ、答えたいのは山々なんですが・・・」

だ、ダメだ。どうしても視線が下のほうに行ってしまう・・・だぁ!!ダメだダメだ!!
これ以上変な誤解を上条さんはして欲しくはないんですよ!!!

「えっ?どうして下のほうをチラチラと・・・っ?!!!」

次の瞬間、俺は宙に浮いていた。・・・妙に左頬が痺れながら。

29 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/02/28(日) 23:39:55.07 ID:CvzSg2ca0

「あいててて・・・さすがに、元とはいえ風紀委員のビンタは効いたなぁ」

「また貴方の『恋愛始動』(フラグメイク)の能力が発動したんですのね。
全く懲りませんこと」

・・・一体何を言いたいのかよく分からんので、聞かなかったことにしよう。

「ところで、写真の方はどうなってるんだ?」

「今、初春が印刷してますの。紙媒体にしたほうが良いかと思いまして」

「ふ~ん」

別に画像を見せてくれるだけでも良いんだが・・・まぁ、それは心の中にしまっておこう。

34 名前:>>33 今更だけど、前スレからの移動乙 ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 00:06:09.30 ID:DZzEN/Oj0
画像は事件現場の様子だ。男か女かは分からないが、数人が少し黒焦げになって
倒れている。衣類の損傷が激しいのと、画像が少し粗いせいかはっきりとは見えない。

「ん~・・・これでは少し分かりづらいですの」

「すいません。でも、担当支部からもらったのがこれだったので・・・」

「仕方ありませんの。上条さん、これどう思いますの?」

「どうって言われても・・・はっきり見えないから何とも言えないなぁ」

「そう、ですわよねぇ・・・」

どうやら、空振りだったようだな。

35 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 00:16:59.89 ID:DZzEN/Oj0

「あぁ、それと支部からのメールにこんな伝言がついてました」

ウイハルさんがふと声を上げた。

「伝言?一体なんと書かれてましたの?」

「えっと・・・

『被害者の背中に英語で「パトリオッツ」と書かれていた』

そうです。これってどういう意味ですかね?」

・・・今、なんて言った?

「パトリオッツ・・・ですの?えっと、日本語では」

「『愛国者たち』」

「えっ?」

俺の一言に、目の前の二人がこちらに向いた。

そうだ、思い出した。
背中に「パトリオッツ」と書かれたユニフォーム。アンチスキルと似ているわけだ。
あいつらは・・・あいつらは・・・

「あいつらは・・・俺を狙ってる集団だ!!!」

                                       -第1部・完-

36 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 00:39:05.54 ID:DZzEN/Oj0
「?!」

俺の事情を知る白井が、俺からの予想外の言葉に立ち上がった。
一方ういはるさんは、何のことか分からず慌てた様子を見せている。

「ちょっと待って!上条君が狙われているってどういうこと?!」

先ほどの会話が気になっていたのだろう。
給湯室で、来客用のコーヒーを作っていた固法さんがこちらの話に加わってきた。

「あぁ、その・・・」

しまった・・・。奴らの名前が挙がってしまったために、ついカッとなっちまった。

「・・・お言葉ですが・・・。もうこれ以上隠し続けるのは・・・」

・・・さすがにもう隠すのは無理、か。仕方ない。
そう判断した俺は、二人にもこれまでのいきさつを話した。


「なるほど、かくかくしかじか・・・というわけですね」

「その言葉を実際に口にする人をはじめてみましたの・・・」

真剣に聞いていた初春さんの言葉に、白井は苦笑いしていた。

「なるほどね・・・。ネットで『日本人が戦争を止めるなんてバカな真似してるぞwww』
ていうのを見たことがあるけど、それが貴方だったとはね・・・」

・・・今、固法さんの素顔を見てしまった気がするが、気にしないでおこう。

37 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 00:47:16.88 ID:DZzEN/Oj0
ちょっと訂正

>>36

>日本人が戦争を止めるなんてバカな真似してるぞwww



>戦争を止めるなんてバカな真似してる日本人がいるぞwww


上じゃ、俺達全員がバカにされてるようになっちまうからかえてみた。

39 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 00:57:26.26 ID:DZzEN/Oj0
>>38

ノープロブレムだ
これから見てもらえればそれでいいさ

41 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 01:00:04.73 ID:DZzEN/Oj0
>>40

インビジブルさんおつ

でも、出番があるかどうか分からないんだww

42 名前:さて、再開するか ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 01:07:00.68 ID:DZzEN/Oj0


      愛      国      者      た     ち  


俺を追い回している連中の名前だ。
俺が戦争の交渉を始めてすぐ、何者かに狙われるようになった。武器も持たず、
ましてこれといった能力もない俺はそいつらから逃げることしか出来なかった。
前に書いたとおり、土御門達に助けてもらってなんとか凌いできたが・・・
そいつらによって何人かは犠牲になった。・・・御坂もそのうちの一人だ。
愛国精神あふれるような名前ではあるが、その実態は全く違う。
ゲリラやテロは当たり前。俺だけを消すためだけに、繁華街で銃を乱射してきた
こともあった。

43 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 01:08:50.44 ID:DZzEN/Oj0
それだけなら紛争地帯でのレジスタンスも同じようなことはしていたが本当に
こいつらの憎い所は、それをこの学園都市においてもやってきたことだ。
戦争に紛れ込んでの活動はもちろん許せないが、それ以前にこの街での活動
がもっと許せない!!

「・・・ちょっと良いかしら?」

ふと、固法さんが口を開いた。

47 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 01:15:09.80 ID:DZzEN/Oj0
>>44

元ネタが分からんがワロタ


49 名前:>>47 スマソ 気を取り直して>>43より ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 01:22:37.96 ID:DZzEN/Oj0
「それだけの無法集団がこの街で暴れまわっているのなら、風紀委員はもちろん
アンチスキルにだって情報は入ってくるはずよ?」

「確かに、最近私達が出動するような事件はありませんからね」

初春さんもそれに頷いた。

「それは、私が彼にバックアップをかけているからですの」

俺がどう答えていいか悩んでいる時に、白井が割って入ってきた。

「バックアップ?」

「はい。この方がこの学園都市に戻ってきたのは今から1ヶ月前。その直後に
私の所にやってきて私に援助を求めてきましたの。いきなり何を言い出すのか
分からず、気が動転してしまいましたがお姉さまのs」

「白井!!!」

・・・気がついたら大声を上げていた。

50 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 01:31:30.24 ID:DZzEN/Oj0
だって、アイツの・・・御坂のことだけは2人に話していなかったからだ。
・・・正確には出来なかったといった方が良いのだろうが。

「あ、あの・・・御坂さんがどうなったんですか?」

初春さんが恐る恐るといった感じに聞いて来た。
しかし、俺にそれを答えることは・・・できなかった。

「・・・なんでもありませんの。とにかく、事情を話してくれた上条さんを無下にする
ことも出来ませんので私は彼に安全な寝床を提供することにしましたの」

昨日の俺の話を思い出したんだろうかは分からないが、白井も話を反らしてくれた。

「そう・・・そうだったの・・・」

疑問を投げかけてきた固法さんも、どうやら納得してくれたようだった。

「えっと・・・とにかく!!そういう連中がなんでこういう事件に巻き込まれているかが
不思議なんですよねぇ~・・・アハハハハ・・・」

場の重い空気に耐え切れず、思い切って空元気を出してみた。
戦場でずっと気が沈んでいた気がしたから、せめてこの学園都市の中では少しでも
明るくいたい。そんな思いからだった。

51 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 01:44:32.60 ID:DZzEN/Oj0
と、そこに・・・

「こんちわ~っ。初春いる~?」

俺にとってはありがたい雰囲気の女の子が、支部のドアを開けてきた。

「あっ、佐天さんっ」

呼びかけられた初春さんがそれに答える。

「おっす。さぁ~て、今日はどんな・・・色・・・」

突然やってきたサテンという女の子の語尾が小さくなっていった。

「はぁ~、佐天さん。ここは馴れ合いの場ではなくてですの。」

「まぁまぁ、そう固いことを言わないの」

白井のため息交じりの言葉に、固法さんがすかさずフォローする。
・・・本当に、風紀委員って大変なんだなぁ・・・。

52 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 01:56:10.01 ID:DZzEN/Oj0
新たに入ってきたこの名前は、佐天涙子という。元気なのは俺にとっても、この場に
とっても良いことなのではあるが・・・さっきから後頭部にものすごいプレッシャーを
感じるのですが、気のせいでせうか?

「上条当麻さん、というんですね。これからもよろしくお願いしますね!」

・・・あの、佐天さん?その明るさは良いことなんですけど・・・。
白井からは不気味な笑みを浮かべられるし、固法さんからは逆に睨まれるし、初春
さんに至っては・・・なんか黒いオーラが見えるんですけど・・・。
・・・はぁ、不幸だ・・・。


55 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 02:28:04.05 ID:DZzEN/Oj0
それから白井と固法さんと相談した結果、これからあの電磁波事件と同じようなことが
起こりそうになったらすぐ連絡してくれることになった。
ということで、男子がただ1人の場にさすがにいづらくなってきた上条さんはここで退散
しましたとさ。

それから、白井に教えてもらったホテルに向かっていたのだが・・・。
やれやれ、またか・・・。
ずっと命の保障が出来ないところにいたせいか、
ちょっとした違和感にも感付くようになっていた。

どうやら、つけられているようだな・・・。

数は・・・3人。真後ろにいるため、どういう格好をしているかはさすがに確認できないが
見通しの良い通りを歩いているんだから、変な格好ではないことは確かだ。まぁこんな
所で仕掛けてくるほど連中もアホではない。
紛争地帯ではまるで過激派のような奴らだったが、ここに来てからはそのような振る舞いを
一切行わない。なんというか、カメレオンに追い掛け回されている気分だな。
しょうがない、あれやるか。
そう思い至った俺は、通りから路地裏に向かって走った。

56 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 02:44:47.99 ID:DZzEN/Oj0
路地裏に入ってからももちろん全速力。
どうやら尾行していた連中もここに入ってきたようだな。
さて、ここは学園都市。あれだけ逃げ回っていたこともあり、路地裏のどこを曲がればいいか
は一応頭に入っている。とりあえず、クネクネ曲がってかく乱させるとしますか。
俺は路地裏という路地裏を駆け回り、なんとかあの3人からまくことが出来た。
やれやれ、撃ってこないだけマシとはいえこれだけしつこく追い回されるのも嫌になってくるな。
まぁ、今日はなんとかなったんだからよしとしよう。
この日1日はなんとか切り抜けられた。
・・・そのはずだったが、1発の銃声がその幻想をぶち殺してくれた。

57 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 03:07:59.19 ID:DZzEN/Oj0
弾は、息が切れて座り込んでいた俺の足元に当たった。

ついに手段を選ばなくなってきやがったか。

「いよう、交渉人。いや、今は逃亡犯とでも呼んだほうがいいか」

挑発の後に気味悪く笑い出す男。その手には、拳銃が握られていた。

ちっ、相手が能力者でも魔術師でもないから手の出しようがないな。

弾が当たらないよう、俺は身を翻して近くの荷物の裏に隠れた。
が、直後。俺の頬に何かがかする。
当たった所に手を当てると、手には血がにじんでいた。

「隠れたって無駄だ。こちらには跳弾というものがあるんだからな」

跳弾。
拳銃の弾は発射された後なんらかの物体に衝突したら、大抵は弾が破壊されてしまう。
しかし、中には衝突の角度が浅かったりすると、弾は破壊されずにその角度を保って反射をする。
それによって建物などに隠れていても体に弾が命中してしまうことがある。
俺はそれで死んでいく奴を何人も見てきたが、跳弾というものは狙って出来るものではない。

「くそっ」

「ハッハ、今のはただの偶然だとでも思っているのか」

男がそう言った直後、火薬の爆発音と共にまた俺の頬に弾がかすった。

「だから、言ってるだろう?今のその傷は偶然なんかじゃないってな」

58 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 03:38:46.84 ID:DZzEN/Oj0
どうやら俺を追っていた連中は相当ヤバいらしい。
これならまだ、昔のように能力者の集団に追い掛け回されたほうがいい。だが今を見てみろ。
相手は1人とはいえ、確実に・・・俺を殺そうとしている。

「いつまで隠れているつもりだ!隠れていたって仕留めることはできるんだぞ?」

・・・不幸、だな。

俺はついに諦め、両手を上げて立ち上がり男の前に姿を見せた。

「ふっ。聞き分けのいい奴だ。」

通りからの光のせいか、男の顔は良く見えない。だが、笑ったような気がする。

「さぁ、地獄への切符だ!ありがたくもらっておけ!!」

くそっ、ここまでか・・・。俺にはまだ、やることが残ってるのに・・・!

どうしようもなくなった俺は瞼を力いっぱい閉じた。

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/01(月) 04:00:54.11 ID:DZzEN/Oj0
しかし、発砲音が聞こえない。弾が俺の体のどこかに、かすることもない。

一体どうしたんだ?

代わりに聞こえてきたのは、先ほどまで余裕でいた男の、断末魔。
その声が聞こえ、何が起こっているのか目を開けてみると。

ありえない光景だった。
まず、男の右腕が切り落とされていた。
地面に落ちていた腕には、俺を殺すために用意されていた拳銃が握られていた。
次に、その男の前・・・つまり、俺と男の間に立っていた一人の女の子。
見覚えがあった。
ルーズソックスに、ミニスカ。ベージュ色のカーディガンにオレンジ色の髪。
そして、彼女の右腕にあるもの。
・・・どうやって作ったかは分からないが、日本刀の形をした武器が握られていた。

「くっ!!邪魔が入った、また会おう!!」

予想外の人物が出現したことで混乱したのだろうか、男はそのまま通りへ走り
去っていった。
残されたのは、俺と・・・女の子。

「ウソ・・・だろ・・・?」

なんでお前がいるんだ・・・。

「  ウ  ソ  だ  と  言  っ  て  く  れ  よ  、  御  坂  っ  -----!!」


                                       -第2部・完-

60 名前:鳥付け忘れたorz ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 04:03:02.53 ID:DZzEN/Oj0
しばらく書き溜める作業に入りやす

しかしこれ、思った以上に長くなってしまうかもしれんorz

64 名前:第3部 ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 05:46:37.88 ID:DZzEN/Oj0
あれからすぐ、風紀委員が駆けつけてきた。その理由も、例の電磁波が検出
されたことにより、だそうだ。
そりゃそうさ・・・なんたって俺は、アイツを・・・
死んだはずの御坂美琴をこの目で確かに見たからな。
白井から初めてこの事件を聞いた時は、考えたくもなかった。
アイツは死んだ。だって、俺がその瞬間を見届けてやったんだ。
その死んだ奴が今更現れてもらっても信じられるはずがない。
死んだ奴が蘇ったとでも言うのか?馬鹿馬鹿しい。
魔術という物は確かに存在する事は十分分かっているが、まさか死者蘇生の
術があるとでも言うのか?

ふざけんな・・・ふざけんじゃねぇ・・・

「そんな話聞きたくもねぇよ!!!」

「ひゃう?!」

アイツが今戻ってきたところで・・・一体何になるってんだ・・・

「・・・あ、ああああの・・・上条・・・さん?」

声をかけられてふと前を見る。そこには、怖いものを見るような目の初春さんがいた。

「あっ・・・ごめん。いきなり大声出しちゃって」

「い、いえいえいえ!そんな滅相もない!」

「じゃ、じゃあ取調べをさせていただきますね」


65 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 05:49:56.53 ID:DZzEN/Oj0
「ハァー」

ホテルのベッドにうつぶせになり、ためいきをつく。
取調べはすんなりと終わったものの、最後まで初春さんの目は
怯えたものだった。それを見た佐天さんには、思いっきし睨まれる
始末。

「不幸・・・だな」

ため息混じりに呟く。いや、分かってる。これは不幸なんかじゃない。突然御坂が現れた
ことに動揺した俺が悪い。分かってはいても、やるせなくなる。

「不幸を唱えるのは結構ですが、まずは自分を変えることが一番では
ないですの?」

突然の他人の声に、思わず体を返して起き上がる。
と、ベッドの前には白井が立っていた。

「なんだ、白井か・・・。おどかすなよ・・・」

「・・・それが貴方のご挨拶ですの?全く相変わらずですこと」

「・・・で、その白井さんがこの不幸体質の上条さんに何用なのでせうか?」

心配させまいと少し冗談を言ってみる。
その言葉に白井はなんともいえないといった表情を浮かべていた。

「そうですわね。ここに来た理由は、貴方への説教ではありませんの。
・・・例の事件について、新しい情報が入りましたの」

66 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 05:51:09.86 ID:DZzEN/Oj0
それによると、感知した電磁波の数値は、やはりレベル5級の物らしい。
そして被害者、つまり俺を殺そうとした男の正体は、どうやら書庫のデータ
に記述されていない者だそうだ。

「つまり、外部から侵入してきた奴の犯行の可能性が高い、っていうのか?」

「そうです。スキルアウトの話も浮かびましたが、この学園都市内で武器を
所持できるのはアンチスキルのみ。もちろん、どこからかの横領の可能性も
否定は出来ませんが」

「でも、スキルアウトって言ったら前に大勢が捕まったんじゃなかったのか?」

これも、白井から聞いた話だ。
俺が学園都市から発ってすぐ。名前は忘れたが
スキルアウトの集団が武装蜂起するとの情報が入り、
その前にアンチスキル主体の元で一斉摘発が行われた。
それにより、その集団にいたスキルアウトは全員逮捕されたそうだ。


67 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 06:06:35.82 ID:DZzEN/Oj0
「そうです。それに、その集団に武器を横領していたグループもこちらの
調査で判明し、関係者は全て逮捕されておりますの。さらに、この事件を教訓に
武器の横領を防ぐために所持している人にしか使用できないようそれぞれの
武器に固定のIDコードを入力するようになりましたの」

「他の誰かに勝手に使われないようにするため、か。なんだかどこかで聞いた
ことがある話だな」

「そうですわね。学園都市での武器IDチェックが、今では世界中の兵器に
応用されていますもの」

管理された兵器で戦争をする。俺が各国を飛び回っているときも、ある時を
境にそんな風になっていった。

どこかで誰かが言ってたっけ。

『戦争は変わった』

って。

「じゃあ俺を殺そうとした奴は、一体どうやってここにきて、どうやって武器を
持ち込んだんだ?」

「そこが・・・謎ですわね」

68 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 06:10:24.09 ID:DZzEN/Oj0
それからしばらく沈黙が続いた。先にそれを破ったのは、白井だった。

「とにかく、事件の情報はこんな所ですの。」

「あ、あぁ。分かった、わざわざ来てもらってすまないな。メールしてくれれば
済んだ話なのに・・・」

「お姉さまの事は、私にも関係ありますの。ですから、お姉さまが認めた
殿方がそのような状態では私も気が気ではありませんの」

「えっ?それってどういう」

「では、私はパトロールがありますのでこれで」

そういうと、白井はお得意のテレポートで姿を消した。
お姉さまが・・・認めた・・・殿方?

「いったいなんのこっちゃですか」

でも、白井が来てくれたおかげで少しだけ気分が晴れた気がする。

「しっかし、なんというか。貧乏学生だった上条さんに、
ここはやっぱり落ち着かない所ですな」

なんて愚痴がこぼれちまうくらいに。

69 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 06:12:36.97 ID:DZzEN/Oj0
眠くなってきたんで寝ることにするお

でも、明日から合宿で3日間家をあけるから絶対に終わらないorz

どうしてこうなった(AA略

72 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 07:20:22.78 ID:DZzEN/Oj0
寝るとか宣言したのに、未だに宣ブラ立ち上げてるゆとりです(

>>70

気になる・・・だと・・・?
ここまで来たんだから、完結はするぜ
とてつもなく長い目でみてくんなまし

>>71

保守はしなくておk
このスレだけで終わらせる自信ないんで・・・

75 名前:>>73 反省してマース ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 08:47:58.14 ID:DZzEN/Oj0
慣れないながらも高級なベッドで休んだ翌日。
出歩きこう・・・と思っていたが、援助的な交際実施中の白井から

『まだ貴方を狙った犯人は捕まっておりませんから、じっとしているですの』

というモーニングコール。

やれやれ、気分転換しようかと思っていたんだが。

しかし、自分の命はもちろん他人にまで危険な目に合わせるわけには
いかないので、素直に従うことにした。

「とはいっても、暇だなぁ」

ベッドに寝ながら、テレビ鑑賞をしていたもののさすがに飽きてきた。
あの忌々しい大食いシスター、イン・・・(なんだっけ?)がうちに転がりこんで
から特にそうだったが、貧乏生活を過ごしてきた上条さんには
携帯のWebサイトを見たり、携帯ゲーム機を買う余裕など一切ないわけです。
あの部屋にいた頃は、色んな物があって退屈はしなかったがそれも全部
売却済み。この街から出る時に上層部からそれなりのアフターケアが
あったものの、それをあてにできるはずもなく。
今はテレビを消し、ただぼ~っと天井を見上げている。

76 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 09:31:35.71 ID:DZzEN/Oj0
と、携帯が震え出した。

「もしもし?」

『ご無沙汰しています、』

神裂だった。

「あぁ、久しぶりだな。どうしたんだ?」

『あの・・・今よろしければそちらに向かいたいのですが』

「かまわねぇけど、なんで?」

『えっ・・・?えぇっと、それは・・・その・・・』

神裂らしくない、しどろもどろな話し方。なにかあったのか?

「まぁいいや。」

そう切り出し、ホテル名とこの部屋の番号を彼女に伝えました。

『わ、分かりました。・・・それではすぐに向かいます・・・ごしゅじ・・・』

最後の方が聞き取れないまま、電話は切れた。
#mik・・・な~んか嫌な予感がするのはなぜでせうか?

77 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 09:32:28.02 ID:DZzEN/Oj0
電話から30分後。
フロントから来客の知らせが届いた。

『昼間からお楽しみのようですね。』

と、最後にニヤニヤしたような口調で言っていたが・・・
ますます嫌な予感が強まる。

そして、部屋の玄関がノックされた。
神裂だから、俺の命が危ないとかそういうことはないとは思うが、
やはり気になってしまう。だが考えていても埒が明かないので、
玄関ドアを開けてみる。

「よう、久しぶり・・・だ・・・・」

ドアを開けて、目の前にいたのは確かに神裂だった。
しかし、いつもの格好とは程遠い。
そしてさらに、こんなことをのたまいやがった。

「あ、愛と魔術の堕天使エロメイド・・・さ・・・サルヴァーレ・カオリン・・・降臨・・・」

79 名前: ◆FMYPc6cKQE [] 投稿日:2010/03/01(月) 09:48:49.80 ID:DZzEN/Oj0
「だ・・・堕天使エロメイド・・・」

これはなんだ?
夢か?現実なのか?
いや、夢に決まってる。神裂がこんな格好をするわけがない。
夢・・・なのか?

夢・・・

夢だったら・・・

俺は神になれる!!

「じゃあ、エロメイドさんこっちにいらっしゃい!!」

「えっ、ちょっと・・・えぇぇぇぇぇぇぇ?!」

俺は強引にメイドさんを部屋に引きづりこんだ。

やることは・・・ひとつしかない!!!


                                        完



コメント

No title

何この急展開

シリアス展開どこいったしwwwww

No title

続きはないの?w

No title

続き結構気になる、というかスレタイ回収してn(ry

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