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唯「もしも、あの時…」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:07:27.87 ID:J6LL9gI2O [1/40]
和「あ、もう帰るの?唯」
唯「うん、和ちゃんは?」
和「私は生徒会があるから…」
唯「そっかぁ、じゃあまた明日ね!」
和「うん、またね」
唯「ばいばい!」
和「あ、もう帰るの?唯」
唯「うん、和ちゃんは?」
和「私は生徒会があるから…」
唯「そっかぁ、じゃあまた明日ね!」
和「うん、またね」
唯「ばいばい!」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:14:06.90 ID:J6LL9gI2O [2/40]
~放課後の学校~
ガヤガヤ
生徒「ね~今日どっか寄ってこーよー」
生徒「いいね、何か食べてこ」
生徒「帰りにプリクラ撮ろ~」
ガヤガヤ
唯「……」テクテク
唯「今日の夜ご飯は、な~にかな……っと」
律「それでさ~、ははっ」
澪「何やってんだ、お前は…」
唯「……」テクテク
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:20:04.47 ID:J6LL9gI2O
唯「ういー、ただいま~」
憂「おかえり、お姉ちゃん。早かったね」
唯「えへへ、寄り道しないで帰ってきたから」
憂「今からお夕飯つくるから待っててね」
唯「うん、憂のご飯楽しみ~」
憂「今日はハンバーグなんだよ♪」
唯「わぁ~!余計楽しみになったよ!まだアイスは我慢しよっと」
憂「えへへ♪」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:26:01.21 ID:J6LL9gI2O
憂「できたよー」
唯「わぁーい♪」ストンッ
唯憂「いただきます」
唯「もぐ……美味しいよ憂~!」モグモグ
憂「良かったぁ」ニコニコ
唯「やっぱり憂は料理の天才だね!」モグモグ
憂「そ、そんな大袈裟だよぉ」
唯「美味しい~」モグモグ
憂「そんなに美味しそうに食べてもらえると作りがいがあるよ」ニコニコ
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:34:14.68 ID:J6LL9gI2O
唯「ところで憂」
憂「なに?」
唯「来年から高校生だね~、受験頑張って!私にできることなら何でもするよ!」
憂「ありがとう、お姉ちゃん。私なら今のところ大丈夫だよ」
唯「そっか、何か困ったことがあったらいつでも言ってね!」
憂「うん」ニコニコ
唯「でもまぁ、憂なら絶対に大丈夫だよ!」
憂「そうだといいんだけど…」
憂「あっ、お風呂わいてるよ。先にどうぞ」
唯「ん~、分かった」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:40:27.82 ID:J6LL9gI2O
唯の部屋
唯「忘れ物しないように確認しとかないと」ガサゴソ
唯「高校は中学と違って厳しいからなぁ~」ガサゴソ
唯「教科書は持ったし……あと、体操服と体育館シューズ…。 うん!全部入ってるね」
唯「忘れ物は無し、っと」
唯「……それじゃあ、おやすみ……」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:51:28.58 ID:J6LL9gI2O
~翌朝~
唯「ふんふ~ん…」テクテク
律「おーっす!」タッタッタッ
唯「………?」
澪「うわっ!び、びっくりさせるなよ」
律「昨日のテレビ見た?」
澪「あぁ見た、あの生放送だろ?」
律「そーそー!すごかったよなぁ、色々と」
澪「うん…確かに、あれは色々とギリギリだったな」
律「でさ~今日はどうするよ?」
澪「うーん、とりあえず集まってから……」
唯「ふんふ~ん…」テクテク
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:55:54.59 ID:J6LL9gI2O
唯「ふ~」ガラッ
和「おはよう、唯」
唯「おはよう和ちゃん!」
和「まったくもう、また遅刻ギリギリよ」
唯「大丈夫、間に合ったから!」
和「そういう問題じゃなくて…」
ガラッ
先生「授業始めるぞー」
和「あ、先生きたわ」
唯「それじゃあ、また後でね!」
和「えぇ。…明日も遅刻しないようにね」
唯「えへへ、は~い」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:06:11.34 ID:J6LL9gI2O
唯「ふぃー、やっと授業終わった~」
和「唯、ちょっといい?」
唯「どうしたのー?」
和「……本当に部活入らないの?」
唯「…うーん……入る予定は無い、かな」
和「どうして?」
唯「どうしてだろ……えっと、私には部活って向いてないんじゃないかなって」
唯「部活って毎日毎日、遅くまで猛特訓するんだよね?それに土日も練習らしいし…」
唯「すごくハードで、毎日大変そうっていうか…」
唯「なんか、そういうの向いてないかな、って」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:12:41.05 ID:J6LL9gI2O
和「そう…。でも諦めるのは早いわよ。やってみる価値はあると思うけど」
唯「集中力もなくて、三日坊主の私には、猛特訓なんて着いていけないよ……きっと」
和「唯……」
唯「でもいきなりどうしたの?確か前も、部活を勧めてきたよね」
和「うん……」
和「どうしてかしら。唯には部活を勧めないといけないような……そんな気がしたの」
唯「??」
和「気のせいかしらね」クス
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:20:55.46 ID:J6LL9gI2O
和「それじゃあ、今日も生徒会があるから…また明日ね」
唯「うん、また明日!」
ガヤガヤ ガヤガヤ
紬「」テクテク
唯「これからどうしようかなー…」テクテク
唯「あ、宿題出すの忘れてた……今日までだよね、あれ」
唯「まだ先生いるかなぁ?えっと、確か職員室は~…」タッタッタッ
ガラッ
唯「山中先生~」
さわ子「平沢さん。どうしたの?」
唯「宿題出すの忘れてて…」
さわ子「もー、駄目よ。気をつけないと」ウフフ
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:28:58.85 ID:J6LL9gI2O
律「失礼しまーっす」ガラッ
澪「失礼します…」
さわ子「これからは出し忘れないようにね」ニコニコ
唯「は~い」
律「あのー、ちょっといいですか?」
さわ子「どうしたの?」
唯「それじゃあ失礼しまー……うわわっ!?」バサバサ
さわ子「あっ、プリントが…」
唯「す、すすすみません!すぐ拾い……わぁぁぁ!?」バサバサバサァ
唯(よ、余計悪化しちゃったー!)シクシク
律(なんだぁ?あのテンポ悪そうな子は…)
澪(………)ボー
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:35:02.04 ID:J6LL9gI2O
さわ子「平沢さん大丈夫?私も手伝うからね」
唯「す、すみません…」アセアセ
唯「よいしょ…こっちは拾え――痛っ!?」ガンッ
さわ子(机の角で頭を……)
律(なんて使えないドジっ子なんだ…)
澪(………変な子だなぁ)
唯(あうう、さっきからあの子たちの視線が気になる……絶対にダメな奴だと思われてるよ…)
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:39:21.36 ID:J6LL9gI2O
唯「で、では失礼します…」ヨレヨレ
律(なんだったんだ?今の)
澪(…………)ボー
さわ子「それで、何かご用?」ニコ
律「あー、そうだった!ちょっと話が…」
―――――――――
――――――
――――
唯「ふー…痛かった」サスサス
唯「することもないし……帰ろう」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:49:40.85 ID:J6LL9gI2O
~平沢家~
唯(高校に入ったら何か変わるのかなって思ってた)
唯(でも……中学の時と、あまり変わってない)
唯(学校行って、放課後になって、家に帰って……)
唯(このままで、いいのかな)
唯(私は、このままで……)
?「………ちゃん」
唯「………」
憂「お姉ちゃん…?」
唯「う、憂?」
憂「どうしたの?ご飯も食べないでボーッとして……お箸が止まってるよ」
唯「えっ?あ、ご、ごめん」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:57:59.68 ID:J6LL9gI2O
憂「あっ……もしかして味付け、あまり良くなかった?」
唯「そんなことないよ!美味しいよっ」モグモグ
憂「そっか…。ねぇ、お姉ちゃん…何か悩んでるの?」
唯「……」
憂「もし…悩んでるなら、言ってね。私じゃ頼りにならないかもしれないけど……だけど…」
唯「……」
憂「あっ、もちろん言いたくなかったら言わなくていいんだけど…!えっと、えっと…」
唯「…大丈夫!何でもないよ。ごめんね心配かけて」ニコ
憂「…ほんとに…?」
唯「うん!」ニコニコ
唯(きっと憂に言ったら、余計な心配かけちゃうよね)
唯(憂は今年受験があるんだもん。こんなことで憂に心配かけたら悪いよ)
唯(憂は受験に集中できるようにしてあげないと…)
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 15:12:07.66 ID:J6LL9gI2O
~数ヶ月後、学園祭~
ガヤガヤ
唯「わー、すごい人がいっぱい…」
唯「ここでライブがあるんだよね、確か」
唯(なんとなく来てみたけど……人がいっぱいで苦しい~。やめたほうが良かったかな…)
ウィーン
唯「!始まるのかな…」
律「皆さんこんにちはー!私たち、桜高軽音部です!」
律「今日はわざわざ足をお運びいただき……っ!?(げっ!澪のやつ、カンペ変えやがったな!)」
澪(あれじゃ失礼だからな)フンス
律「まことに、あり……あー!とにかく!ありがとうございます!」
澪(おいー!)
律「………ってわけで、ふわふわ時間!」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 15:22:57.99 ID:J6LL9gI2O
澪「キミを見てると いつもハートDOKI☆DOKI」
ワァァー ワァァー
澪「揺れる思いは…」
唯「…ま……た…に……わ……わ」
澪「いつもがんばーる♪」
澪「きーみのよこがーお♪」
唯(…………)
ワァァアー キャー
澪「あぁ神様、お願いーふたりーだーけーの♪」
唯「…………」
澪「お気に入りのうさちゃん、抱いて♪」
唯「……今夜も、おや…すみ……」ボソッ
澪「今夜も、おーやすみ♪」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 15:48:17.51 ID:J6LL9gI2O
一言で言うと、軽音部のライブは大成功だった。
ライブが終わった後、唯は何かをする気になれず、一人で中庭を歩いていた。
唯「すごいなぁ、あの子たち…」トボトボ
唯「私と同学年とは思えないや」
唯「あんなにすごい演奏ができて、ライブも成功して……」
唯「あんなに一致団結して、あんなに皆、楽しそうで……」
唯「私は……何も出来てない」
唯『高校に入ったら、なにか新しいことを始めたいんだ~!』
唯「あはは…」
唯「何やってるんだろ……私」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:08:57.03 ID:J6LL9gI2O
それから一年、二年と過ぎていき、唯は三年生となった。
一年、二年生の思い出は、これといって普通だ。人並みの、平凡な思い出だっただろう。
もし「楽しかったか」と聞かれると、唯は「うん」と頷くに違いない。
けれど、何が楽しかったかを話せと言われたら、きっと答えられないだろう。
あれから何度か軽音部に入ろうかと迷ったが、すっかり絆の深まった軽音部に新参者として後から入るのは、気が引けた。
チームワークが良すぎると、外から見たら寄りにくいものだった。
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:11:27.19 ID:J6LL9gI2O
~廊下~
梓「…」テクテク
唯(あ…。小さくて可愛いな、この子)
唯(横に並んでみると、小ささがよく分かるなぁ)
梓「……」テクテク
唯「……」テクテク
梓「……」テクテク
唯「……」テクテク
梓「あっ、先輩!」
唯「?」
律「おー、どうした梓」
梓「新曲のことなんですけど…」
唯「………」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:17:31.98 ID:J6LL9gI2O
澪「あれ?まだ部室行ってなかったのか二人とも」
梓「澪先輩!こんにちは」
紬「みんな、こんにちは~」
澪「あっ、ムギ」
梓「ムギ先輩、こんにちは!」
律「お~、ちょうどいいや。今からみんなで部室行くか!」
梓「先輩、歌詞の方はどうですか?」
澪「うーん、まだなんだ」
律「スランプって言ってたよなぁ」
澪「うん…上手く思いつかなくて」シュン
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:23:51.61 ID:J6LL9gI2O
梓「澪先輩なら大丈夫ですよ!…私はそう思います!」
紬「私も、応援するわっ」
澪「ムギ…梓…。ありがとう、励ましてくれて」
梓「いえ…///」
律「ん?中野さーん顔赤いですよ?」
梓「なっ!て、照れてないです!」ババッ
律「誰も照れてるなんて言ってないぞー?」ニシシ
梓「っ……律先輩~!」タッタッタッ
律「うわ、梓が怒ったー!」タッタッタッ
澪「おいっ、廊下で騒ぐなー!」タッタッタッ
紬「待って~」タッタッタッ
唯「……帰ろっと!」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:34:53.23 ID:J6LL9gI2O
バタン
唯「ただいま……」
憂「お姉ちゃん、おかえり!」
唯「うん……」
憂「お姉ちゃん…?顔色悪いよ、大丈夫…?」
唯「大丈夫だよ~、ごめん…ちょっと部屋で休んでるね」
憂「う、うん……」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:42:33.06 ID:J6LL9gI2O
~唯の部屋~
唯「…きみを見てるとー…いつもハートどきどき…」
唯「揺れる思いはー…マシュマロみたいに…ふーわふわ…」
唯「あぁ神様、おねーがいー…」グスッ
唯「………?」
唯「……あれ?な、なんで泣いてるんだろ…おかしいな」グスッ
唯「うっ……ひぐっ…ふぇえ……」グスッ
憂「…………」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:54:41.50 ID:J6LL9gI2O
~翌日~
唯(朝か……頭痛い…)
唯(体もだるい……今日は休もうかなぁ…)
コンコン
憂「お姉ちゃん……ちょっといい?」
唯「憂…?うん」
ガチャ
憂「…今日はお休みするの?」
唯「え、何で分かったの…?」
憂「何となく、そうじゃないかなって」
憂「私も今日はお休みするね」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 17:07:33.29 ID:J6LL9gI2O
唯「えっ?憂も体調悪いの…?大丈夫?」
憂「大丈夫だよ、お姉ちゃん」ニコ
憂「それより……お姉ちゃん。何か悩んでること、ない?」
唯「!!」
唯「…なっ、ない…よ」
憂「嘘だよ…お姉ちゃん、昔っから嘘は下手なんだもん」
唯「あう…」
憂「良かったら、話してくれないかな?」
唯「………」コクン
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 17:11:34.36 ID:J6LL9gI2O
律「どーした澪?朝から部室に集まってくれー、なんて」
梓「何かあったんですか?」
紬「どきどき…」
澪「実はな……歌詞が書けたんだ!」
律「おおっ!マジかよ!」
梓「で、でも昨日はスランプって言ってたのに…!」
澪「それが昨日の夜、ピンと思いついてさ」
紬「すごいわ澪ちゃん!」
澪「そ、そんなことないよ」テレテレ
律「それでっ、どんなんだ?」
梓「私も気になります」ワクワク
澪「ふふ。ちょっと待ってて」ピラッ
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 17:25:21.25 ID:J6LL9gI2O
唯「私ね…高校生になったら、何か新しいことを始めたかったんだ」
憂「…そう言ってたね」
唯「でも、結局…何したらいいか分かんなくて…」
唯「部活も、猛特訓なんだろうなって思うと……私なんかが着いていけるはずないって思って…」
唯「でも…それは言い訳だったのかも」
憂「……」
唯「私っ……勉強もできないし、運動もダメでっ…、手先も憂みたいに器用じゃないし…、家事も憂みたいに出来ないしっ…」グシュ
唯「三日坊主で、今まで一つのことに真剣に打ち込んだことも…なくてっ…、根気もなくて…」
唯「何か新しいことを始めたい、っていう目標すら果たせてなくて…」
唯「一人じゃ何も出来ないくらい、ダメダメでっ…!」ポロポロ
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 17:37:05.60 ID:J6LL9gI2O
憂「お姉ちゃんはダメダメなんかじゃないよ」
唯「ぐすっ…」ポロポロ
憂「どんなに勉強が出来なくても、運動が苦手でも、家事が得意じゃなくても」
憂「ごろごろするのが大好きな、のんびり屋さんでも……お姉ちゃんは、私にとって立派なお姉ちゃんなんだから」ニコリ
唯「…うう…、う…ういっ……憂ぃぃーーっ!!」ダキッ
憂「お姉ちゃん…」サスサス
唯「うぃぃ~……」グスグス
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 17:50:52.77 ID:J6LL9gI2O
澪「じゃあ読むぞ」
梓「はい!」
……………
澪「拝啓、親愛なる貴方へ」
澪「今日もお菓子を食べ、少しの練習」
澪「毎日が楽しくて、とても充実した日々」
澪「みんな揃っていて、みんなでくだらないことで笑っていて」
澪「でも何でだろう。気のせいかな、何かが足りません」
澪「全員揃ってるのに、一つだけ空いた席」
澪「その席は、いらないはずなのに、誰も座ろうとしない。撤去したりもしない」
澪「ときどき、あまるお菓子。一つ多かったのかな?」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 17:59:11.67 ID:J6LL9gI2O
唯「私……三年間、どうしてボーッとして過ごしてたんだろう…」グスッ
唯「満足に思い出らしい思い出も作れなくて…」
唯「憂にこんな心配かけたりしないで、ちゃんと目標も果たしたかった…」
憂「お姉ちゃん…」サスサス
唯「ちゃんとした、後悔のない高校生活を送りたかったよぉ…」ポロポロ
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 18:06:46.01 ID:J6LL9gI2O
唯「後悔するくらいなら、ちゃんとやれば良かったのにね…」
唯「今さら気づいても、もう遅いかな…」
憂「ううん…そんなことないよ。お姉ちゃん……」サスサス
唯「ありがとう…」
唯「あのね、憂……」
……………
澪「貴方はいつ帰って来ますか?早く帰って来ないと、待ちくたびれます」
澪「紅茶も、ケーキも、席も、ちゃんと用意してあるからね」
澪「今も素敵だけど」
澪「もし、やり直せるなら……」
……………
唯「もし、やり直せるなら……」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 18:21:11.24 ID:J6LL9gI2O
―――――――――
――――――
――――
唯「うーん…どうしよう~」
和「唯、部活きめた?」
唯「あっ、和ちゃん!えへへ~決めたよぉ」
和「なに?」
唯「軽音部!軽い音楽なんだから、簡単なことしかやらないよ~」
和「そ、そうかしら…?」
唯「そうだよ!」ニコニコ
和「ふふ…とにかく、あの唯が頑張るって決めたんだもの。応援しなきゃね」
唯「あの唯ってどういう意味~!?」ブーブー
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 18:25:59.38 ID:J6LL9gI2O
和「冗談よ」クスクス
唯「和ちゃんもやらない?軽音部!」
和「私は良いわよ、生徒会があるし…」
唯「そっか…残念」
和「でも…部活をやるのは、新しいことを始めるのに良い機会だと思うわ」
唯「でしょ~?」テレテレ
和「これから頑張ってね、唯」
唯「……うんっ!」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 18:32:34.52 ID:J6LL9gI2O
それから、あっという間に一年、二年と過ぎていき、唯は三年生となった。
一年、二年生の思い出は、どれも楽しいものだった。人並みの、平凡な思い出なのだろうけど、唯にとっては大事なものだった。
もし「楽しかったか」と聞かれると、唯は「うん」と頷くに違いない。
何が楽しかったかを話せと言われたら、きっとすぐには答えられないだろう。
それだけ、選びきれないほどの思い出があったのだから。
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 18:39:07.71 ID:J6LL9gI2O
ガチャン
唯「ちーっす!」
律「おっす!唯」
紬「こんにちは♪」
澪「遅かったな」クス
唯「唯隊員、掃除当番でありました!」ビシッ
律「うむ、ご苦労!」
梓「こんにちは」
唯「お~、あずにゃーん!」ダキッ
梓「わぁ!?何するんですかー!」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 19:01:13.90 ID:J6LL9gI2O
唯「わ~、今日はショートケーキだ!」
律「うまそー」
唯「おいひい!」モグモグ
律「うおっ抜け駆けか!?」
澪「本当だ、美味しい」
紬「ふふ、良かったわ♪」
唯「なんでかな、いつもより更に美味しさが身に染みるよ~」ウルウル
律「泣きながらケーキ食べてるぞ、あいつ」
梓「へ、変ですね」
唯「ムギちゃん…いつもありがとうね!」ニコニコ
紬「ううん、そうやって喜んでくれる姿を見るだけで嬉しいもの♪」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 19:04:36.80 ID:J6LL9gI2O
唯「ねぇ、みんな」
律「んー?」
梓「どうしました?」
唯「私たちが卒業するまで、あと一年もないけど…」
唯「残りの時間……みんなで思いっきり楽しもうね!」
律「どっ、どうした?急に」
唯「後悔してからじゃ遅いんだって、誰かに教えられた気がするんだー」エヘヘ
澪「誰かって誰だよ」クスクス
唯「うーん、分かんないや」
唯「でも、憂とも約束した…ような気もするの」
唯「だから、絶対に後悔のないように過ごすって決めたんだ!」
完
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 19:08:59.64 ID:J6LL9gI2O [40/40]
終わりです。
長くなりましたが読んでくれた方、ありがとうございました
あと即興は止めたほうがいいなと身を持って知った
~放課後の学校~
ガヤガヤ
生徒「ね~今日どっか寄ってこーよー」
生徒「いいね、何か食べてこ」
生徒「帰りにプリクラ撮ろ~」
ガヤガヤ
唯「……」テクテク
唯「今日の夜ご飯は、な~にかな……っと」
律「それでさ~、ははっ」
澪「何やってんだ、お前は…」
唯「……」テクテク
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:20:04.47 ID:J6LL9gI2O
唯「ういー、ただいま~」
憂「おかえり、お姉ちゃん。早かったね」
唯「えへへ、寄り道しないで帰ってきたから」
憂「今からお夕飯つくるから待っててね」
唯「うん、憂のご飯楽しみ~」
憂「今日はハンバーグなんだよ♪」
唯「わぁ~!余計楽しみになったよ!まだアイスは我慢しよっと」
憂「えへへ♪」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:26:01.21 ID:J6LL9gI2O
憂「できたよー」
唯「わぁーい♪」ストンッ
唯憂「いただきます」
唯「もぐ……美味しいよ憂~!」モグモグ
憂「良かったぁ」ニコニコ
唯「やっぱり憂は料理の天才だね!」モグモグ
憂「そ、そんな大袈裟だよぉ」
唯「美味しい~」モグモグ
憂「そんなに美味しそうに食べてもらえると作りがいがあるよ」ニコニコ
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:34:14.68 ID:J6LL9gI2O
唯「ところで憂」
憂「なに?」
唯「来年から高校生だね~、受験頑張って!私にできることなら何でもするよ!」
憂「ありがとう、お姉ちゃん。私なら今のところ大丈夫だよ」
唯「そっか、何か困ったことがあったらいつでも言ってね!」
憂「うん」ニコニコ
唯「でもまぁ、憂なら絶対に大丈夫だよ!」
憂「そうだといいんだけど…」
憂「あっ、お風呂わいてるよ。先にどうぞ」
唯「ん~、分かった」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:40:27.82 ID:J6LL9gI2O
唯の部屋
唯「忘れ物しないように確認しとかないと」ガサゴソ
唯「高校は中学と違って厳しいからなぁ~」ガサゴソ
唯「教科書は持ったし……あと、体操服と体育館シューズ…。 うん!全部入ってるね」
唯「忘れ物は無し、っと」
唯「……それじゃあ、おやすみ……」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:51:28.58 ID:J6LL9gI2O
~翌朝~
唯「ふんふ~ん…」テクテク
律「おーっす!」タッタッタッ
唯「………?」
澪「うわっ!び、びっくりさせるなよ」
律「昨日のテレビ見た?」
澪「あぁ見た、あの生放送だろ?」
律「そーそー!すごかったよなぁ、色々と」
澪「うん…確かに、あれは色々とギリギリだったな」
律「でさ~今日はどうするよ?」
澪「うーん、とりあえず集まってから……」
唯「ふんふ~ん…」テクテク
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:55:54.59 ID:J6LL9gI2O
唯「ふ~」ガラッ
和「おはよう、唯」
唯「おはよう和ちゃん!」
和「まったくもう、また遅刻ギリギリよ」
唯「大丈夫、間に合ったから!」
和「そういう問題じゃなくて…」
ガラッ
先生「授業始めるぞー」
和「あ、先生きたわ」
唯「それじゃあ、また後でね!」
和「えぇ。…明日も遅刻しないようにね」
唯「えへへ、は~い」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:06:11.34 ID:J6LL9gI2O
唯「ふぃー、やっと授業終わった~」
和「唯、ちょっといい?」
唯「どうしたのー?」
和「……本当に部活入らないの?」
唯「…うーん……入る予定は無い、かな」
和「どうして?」
唯「どうしてだろ……えっと、私には部活って向いてないんじゃないかなって」
唯「部活って毎日毎日、遅くまで猛特訓するんだよね?それに土日も練習らしいし…」
唯「すごくハードで、毎日大変そうっていうか…」
唯「なんか、そういうの向いてないかな、って」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:12:41.05 ID:J6LL9gI2O
和「そう…。でも諦めるのは早いわよ。やってみる価値はあると思うけど」
唯「集中力もなくて、三日坊主の私には、猛特訓なんて着いていけないよ……きっと」
和「唯……」
唯「でもいきなりどうしたの?確か前も、部活を勧めてきたよね」
和「うん……」
和「どうしてかしら。唯には部活を勧めないといけないような……そんな気がしたの」
唯「??」
和「気のせいかしらね」クス
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:20:55.46 ID:J6LL9gI2O
和「それじゃあ、今日も生徒会があるから…また明日ね」
唯「うん、また明日!」
ガヤガヤ ガヤガヤ
紬「」テクテク
唯「これからどうしようかなー…」テクテク
唯「あ、宿題出すの忘れてた……今日までだよね、あれ」
唯「まだ先生いるかなぁ?えっと、確か職員室は~…」タッタッタッ
ガラッ
唯「山中先生~」
さわ子「平沢さん。どうしたの?」
唯「宿題出すの忘れてて…」
さわ子「もー、駄目よ。気をつけないと」ウフフ
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:28:58.85 ID:J6LL9gI2O
律「失礼しまーっす」ガラッ
澪「失礼します…」
さわ子「これからは出し忘れないようにね」ニコニコ
唯「は~い」
律「あのー、ちょっといいですか?」
さわ子「どうしたの?」
唯「それじゃあ失礼しまー……うわわっ!?」バサバサ
さわ子「あっ、プリントが…」
唯「す、すすすみません!すぐ拾い……わぁぁぁ!?」バサバサバサァ
唯(よ、余計悪化しちゃったー!)シクシク
律(なんだぁ?あのテンポ悪そうな子は…)
澪(………)ボー
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:35:02.04 ID:J6LL9gI2O
さわ子「平沢さん大丈夫?私も手伝うからね」
唯「す、すみません…」アセアセ
唯「よいしょ…こっちは拾え――痛っ!?」ガンッ
さわ子(机の角で頭を……)
律(なんて使えないドジっ子なんだ…)
澪(………変な子だなぁ)
唯(あうう、さっきからあの子たちの視線が気になる……絶対にダメな奴だと思われてるよ…)
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:39:21.36 ID:J6LL9gI2O
唯「で、では失礼します…」ヨレヨレ
律(なんだったんだ?今の)
澪(…………)ボー
さわ子「それで、何かご用?」ニコ
律「あー、そうだった!ちょっと話が…」
―――――――――
――――――
――――
唯「ふー…痛かった」サスサス
唯「することもないし……帰ろう」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:49:40.85 ID:J6LL9gI2O
~平沢家~
唯(高校に入ったら何か変わるのかなって思ってた)
唯(でも……中学の時と、あまり変わってない)
唯(学校行って、放課後になって、家に帰って……)
唯(このままで、いいのかな)
唯(私は、このままで……)
?「………ちゃん」
唯「………」
憂「お姉ちゃん…?」
唯「う、憂?」
憂「どうしたの?ご飯も食べないでボーッとして……お箸が止まってるよ」
唯「えっ?あ、ご、ごめん」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:57:59.68 ID:J6LL9gI2O
憂「あっ……もしかして味付け、あまり良くなかった?」
唯「そんなことないよ!美味しいよっ」モグモグ
憂「そっか…。ねぇ、お姉ちゃん…何か悩んでるの?」
唯「……」
憂「もし…悩んでるなら、言ってね。私じゃ頼りにならないかもしれないけど……だけど…」
唯「……」
憂「あっ、もちろん言いたくなかったら言わなくていいんだけど…!えっと、えっと…」
唯「…大丈夫!何でもないよ。ごめんね心配かけて」ニコ
憂「…ほんとに…?」
唯「うん!」ニコニコ
唯(きっと憂に言ったら、余計な心配かけちゃうよね)
唯(憂は今年受験があるんだもん。こんなことで憂に心配かけたら悪いよ)
唯(憂は受験に集中できるようにしてあげないと…)
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 15:12:07.66 ID:J6LL9gI2O
~数ヶ月後、学園祭~
ガヤガヤ
唯「わー、すごい人がいっぱい…」
唯「ここでライブがあるんだよね、確か」
唯(なんとなく来てみたけど……人がいっぱいで苦しい~。やめたほうが良かったかな…)
ウィーン
唯「!始まるのかな…」
律「皆さんこんにちはー!私たち、桜高軽音部です!」
律「今日はわざわざ足をお運びいただき……っ!?(げっ!澪のやつ、カンペ変えやがったな!)」
澪(あれじゃ失礼だからな)フンス
律「まことに、あり……あー!とにかく!ありがとうございます!」
澪(おいー!)
律「………ってわけで、ふわふわ時間!」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 15:22:57.99 ID:J6LL9gI2O
澪「キミを見てると いつもハートDOKI☆DOKI」
ワァァー ワァァー
澪「揺れる思いは…」
唯「…ま……た…に……わ……わ」
澪「いつもがんばーる♪」
澪「きーみのよこがーお♪」
唯(…………)
ワァァアー キャー
澪「あぁ神様、お願いーふたりーだーけーの♪」
唯「…………」
澪「お気に入りのうさちゃん、抱いて♪」
唯「……今夜も、おや…すみ……」ボソッ
澪「今夜も、おーやすみ♪」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 15:48:17.51 ID:J6LL9gI2O
一言で言うと、軽音部のライブは大成功だった。
ライブが終わった後、唯は何かをする気になれず、一人で中庭を歩いていた。
唯「すごいなぁ、あの子たち…」トボトボ
唯「私と同学年とは思えないや」
唯「あんなにすごい演奏ができて、ライブも成功して……」
唯「あんなに一致団結して、あんなに皆、楽しそうで……」
唯「私は……何も出来てない」
唯『高校に入ったら、なにか新しいことを始めたいんだ~!』
唯「あはは…」
唯「何やってるんだろ……私」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:08:57.03 ID:J6LL9gI2O
それから一年、二年と過ぎていき、唯は三年生となった。
一年、二年生の思い出は、これといって普通だ。人並みの、平凡な思い出だっただろう。
もし「楽しかったか」と聞かれると、唯は「うん」と頷くに違いない。
けれど、何が楽しかったかを話せと言われたら、きっと答えられないだろう。
あれから何度か軽音部に入ろうかと迷ったが、すっかり絆の深まった軽音部に新参者として後から入るのは、気が引けた。
チームワークが良すぎると、外から見たら寄りにくいものだった。
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:11:27.19 ID:J6LL9gI2O
~廊下~
梓「…」テクテク
唯(あ…。小さくて可愛いな、この子)
唯(横に並んでみると、小ささがよく分かるなぁ)
梓「……」テクテク
唯「……」テクテク
梓「……」テクテク
唯「……」テクテク
梓「あっ、先輩!」
唯「?」
律「おー、どうした梓」
梓「新曲のことなんですけど…」
唯「………」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:17:31.98 ID:J6LL9gI2O
澪「あれ?まだ部室行ってなかったのか二人とも」
梓「澪先輩!こんにちは」
紬「みんな、こんにちは~」
澪「あっ、ムギ」
梓「ムギ先輩、こんにちは!」
律「お~、ちょうどいいや。今からみんなで部室行くか!」
梓「先輩、歌詞の方はどうですか?」
澪「うーん、まだなんだ」
律「スランプって言ってたよなぁ」
澪「うん…上手く思いつかなくて」シュン
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:23:51.61 ID:J6LL9gI2O
梓「澪先輩なら大丈夫ですよ!…私はそう思います!」
紬「私も、応援するわっ」
澪「ムギ…梓…。ありがとう、励ましてくれて」
梓「いえ…///」
律「ん?中野さーん顔赤いですよ?」
梓「なっ!て、照れてないです!」ババッ
律「誰も照れてるなんて言ってないぞー?」ニシシ
梓「っ……律先輩~!」タッタッタッ
律「うわ、梓が怒ったー!」タッタッタッ
澪「おいっ、廊下で騒ぐなー!」タッタッタッ
紬「待って~」タッタッタッ
唯「……帰ろっと!」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:34:53.23 ID:J6LL9gI2O
バタン
唯「ただいま……」
憂「お姉ちゃん、おかえり!」
唯「うん……」
憂「お姉ちゃん…?顔色悪いよ、大丈夫…?」
唯「大丈夫だよ~、ごめん…ちょっと部屋で休んでるね」
憂「う、うん……」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:42:33.06 ID:J6LL9gI2O
~唯の部屋~
唯「…きみを見てるとー…いつもハートどきどき…」
唯「揺れる思いはー…マシュマロみたいに…ふーわふわ…」
唯「あぁ神様、おねーがいー…」グスッ
唯「………?」
唯「……あれ?な、なんで泣いてるんだろ…おかしいな」グスッ
唯「うっ……ひぐっ…ふぇえ……」グスッ
憂「…………」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:54:41.50 ID:J6LL9gI2O
~翌日~
唯(朝か……頭痛い…)
唯(体もだるい……今日は休もうかなぁ…)
コンコン
憂「お姉ちゃん……ちょっといい?」
唯「憂…?うん」
ガチャ
憂「…今日はお休みするの?」
唯「え、何で分かったの…?」
憂「何となく、そうじゃないかなって」
憂「私も今日はお休みするね」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 17:07:33.29 ID:J6LL9gI2O
唯「えっ?憂も体調悪いの…?大丈夫?」
憂「大丈夫だよ、お姉ちゃん」ニコ
憂「それより……お姉ちゃん。何か悩んでること、ない?」
唯「!!」
唯「…なっ、ない…よ」
憂「嘘だよ…お姉ちゃん、昔っから嘘は下手なんだもん」
唯「あう…」
憂「良かったら、話してくれないかな?」
唯「………」コクン
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 17:11:34.36 ID:J6LL9gI2O
律「どーした澪?朝から部室に集まってくれー、なんて」
梓「何かあったんですか?」
紬「どきどき…」
澪「実はな……歌詞が書けたんだ!」
律「おおっ!マジかよ!」
梓「で、でも昨日はスランプって言ってたのに…!」
澪「それが昨日の夜、ピンと思いついてさ」
紬「すごいわ澪ちゃん!」
澪「そ、そんなことないよ」テレテレ
律「それでっ、どんなんだ?」
梓「私も気になります」ワクワク
澪「ふふ。ちょっと待ってて」ピラッ
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 17:25:21.25 ID:J6LL9gI2O
唯「私ね…高校生になったら、何か新しいことを始めたかったんだ」
憂「…そう言ってたね」
唯「でも、結局…何したらいいか分かんなくて…」
唯「部活も、猛特訓なんだろうなって思うと……私なんかが着いていけるはずないって思って…」
唯「でも…それは言い訳だったのかも」
憂「……」
唯「私っ……勉強もできないし、運動もダメでっ…、手先も憂みたいに器用じゃないし…、家事も憂みたいに出来ないしっ…」グシュ
唯「三日坊主で、今まで一つのことに真剣に打ち込んだことも…なくてっ…、根気もなくて…」
唯「何か新しいことを始めたい、っていう目標すら果たせてなくて…」
唯「一人じゃ何も出来ないくらい、ダメダメでっ…!」ポロポロ
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 17:37:05.60 ID:J6LL9gI2O
憂「お姉ちゃんはダメダメなんかじゃないよ」
唯「ぐすっ…」ポロポロ
憂「どんなに勉強が出来なくても、運動が苦手でも、家事が得意じゃなくても」
憂「ごろごろするのが大好きな、のんびり屋さんでも……お姉ちゃんは、私にとって立派なお姉ちゃんなんだから」ニコリ
唯「…うう…、う…ういっ……憂ぃぃーーっ!!」ダキッ
憂「お姉ちゃん…」サスサス
唯「うぃぃ~……」グスグス
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 17:50:52.77 ID:J6LL9gI2O
澪「じゃあ読むぞ」
梓「はい!」
……………
澪「拝啓、親愛なる貴方へ」
澪「今日もお菓子を食べ、少しの練習」
澪「毎日が楽しくて、とても充実した日々」
澪「みんな揃っていて、みんなでくだらないことで笑っていて」
澪「でも何でだろう。気のせいかな、何かが足りません」
澪「全員揃ってるのに、一つだけ空いた席」
澪「その席は、いらないはずなのに、誰も座ろうとしない。撤去したりもしない」
澪「ときどき、あまるお菓子。一つ多かったのかな?」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 17:59:11.67 ID:J6LL9gI2O
唯「私……三年間、どうしてボーッとして過ごしてたんだろう…」グスッ
唯「満足に思い出らしい思い出も作れなくて…」
唯「憂にこんな心配かけたりしないで、ちゃんと目標も果たしたかった…」
憂「お姉ちゃん…」サスサス
唯「ちゃんとした、後悔のない高校生活を送りたかったよぉ…」ポロポロ
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 18:06:46.01 ID:J6LL9gI2O
唯「後悔するくらいなら、ちゃんとやれば良かったのにね…」
唯「今さら気づいても、もう遅いかな…」
憂「ううん…そんなことないよ。お姉ちゃん……」サスサス
唯「ありがとう…」
唯「あのね、憂……」
……………
澪「貴方はいつ帰って来ますか?早く帰って来ないと、待ちくたびれます」
澪「紅茶も、ケーキも、席も、ちゃんと用意してあるからね」
澪「今も素敵だけど」
澪「もし、やり直せるなら……」
……………
唯「もし、やり直せるなら……」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 18:21:11.24 ID:J6LL9gI2O
―――――――――
――――――
――――
唯「うーん…どうしよう~」
和「唯、部活きめた?」
唯「あっ、和ちゃん!えへへ~決めたよぉ」
和「なに?」
唯「軽音部!軽い音楽なんだから、簡単なことしかやらないよ~」
和「そ、そうかしら…?」
唯「そうだよ!」ニコニコ
和「ふふ…とにかく、あの唯が頑張るって決めたんだもの。応援しなきゃね」
唯「あの唯ってどういう意味~!?」ブーブー
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 18:25:59.38 ID:J6LL9gI2O
和「冗談よ」クスクス
唯「和ちゃんもやらない?軽音部!」
和「私は良いわよ、生徒会があるし…」
唯「そっか…残念」
和「でも…部活をやるのは、新しいことを始めるのに良い機会だと思うわ」
唯「でしょ~?」テレテレ
和「これから頑張ってね、唯」
唯「……うんっ!」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 18:32:34.52 ID:J6LL9gI2O
それから、あっという間に一年、二年と過ぎていき、唯は三年生となった。
一年、二年生の思い出は、どれも楽しいものだった。人並みの、平凡な思い出なのだろうけど、唯にとっては大事なものだった。
もし「楽しかったか」と聞かれると、唯は「うん」と頷くに違いない。
何が楽しかったかを話せと言われたら、きっとすぐには答えられないだろう。
それだけ、選びきれないほどの思い出があったのだから。
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 18:39:07.71 ID:J6LL9gI2O
ガチャン
唯「ちーっす!」
律「おっす!唯」
紬「こんにちは♪」
澪「遅かったな」クス
唯「唯隊員、掃除当番でありました!」ビシッ
律「うむ、ご苦労!」
梓「こんにちは」
唯「お~、あずにゃーん!」ダキッ
梓「わぁ!?何するんですかー!」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 19:01:13.90 ID:J6LL9gI2O
唯「わ~、今日はショートケーキだ!」
律「うまそー」
唯「おいひい!」モグモグ
律「うおっ抜け駆けか!?」
澪「本当だ、美味しい」
紬「ふふ、良かったわ♪」
唯「なんでかな、いつもより更に美味しさが身に染みるよ~」ウルウル
律「泣きながらケーキ食べてるぞ、あいつ」
梓「へ、変ですね」
唯「ムギちゃん…いつもありがとうね!」ニコニコ
紬「ううん、そうやって喜んでくれる姿を見るだけで嬉しいもの♪」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 19:04:36.80 ID:J6LL9gI2O
唯「ねぇ、みんな」
律「んー?」
梓「どうしました?」
唯「私たちが卒業するまで、あと一年もないけど…」
唯「残りの時間……みんなで思いっきり楽しもうね!」
律「どっ、どうした?急に」
唯「後悔してからじゃ遅いんだって、誰かに教えられた気がするんだー」エヘヘ
澪「誰かって誰だよ」クスクス
唯「うーん、分かんないや」
唯「でも、憂とも約束した…ような気もするの」
唯「だから、絶対に後悔のないように過ごすって決めたんだ!」
完
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 19:08:59.64 ID:J6LL9gI2O [40/40]
終わりです。
長くなりましたが読んでくれた方、ありがとうございました
あと即興は止めたほうがいいなと身を持って知った
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コメント
No title
良かったなぁ唯
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