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唯「もしも、あの時…」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:07:27.87 ID:J6LL9gI2O [1/40]
和「あ、もう帰るの?唯」

唯「うん、和ちゃんは?」

和「私は生徒会があるから…」

唯「そっかぁ、じゃあまた明日ね!」

和「うん、またね」

唯「ばいばい!」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:14:06.90 ID:J6LL9gI2O [2/40]
~放課後の学校~

ガヤガヤ

生徒「ね~今日どっか寄ってこーよー」

生徒「いいね、何か食べてこ」

生徒「帰りにプリクラ撮ろ~」

ガヤガヤ


唯「……」テクテク

唯「今日の夜ご飯は、な~にかな……っと」

律「それでさ~、ははっ」

澪「何やってんだ、お前は…」

唯「……」テクテク

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:20:04.47 ID:J6LL9gI2O
唯「ういー、ただいま~」

憂「おかえり、お姉ちゃん。早かったね」

唯「えへへ、寄り道しないで帰ってきたから」

憂「今からお夕飯つくるから待っててね」

唯「うん、憂のご飯楽しみ~」

憂「今日はハンバーグなんだよ♪」

唯「わぁ~!余計楽しみになったよ!まだアイスは我慢しよっと」

憂「えへへ♪」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:26:01.21 ID:J6LL9gI2O

憂「できたよー」

唯「わぁーい♪」ストンッ

唯憂「いただきます」

唯「もぐ……美味しいよ憂~!」モグモグ

憂「良かったぁ」ニコニコ

唯「やっぱり憂は料理の天才だね!」モグモグ

憂「そ、そんな大袈裟だよぉ」

唯「美味しい~」モグモグ

憂「そんなに美味しそうに食べてもらえると作りがいがあるよ」ニコニコ

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:34:14.68 ID:J6LL9gI2O
唯「ところで憂」

憂「なに?」

唯「来年から高校生だね~、受験頑張って!私にできることなら何でもするよ!」

憂「ありがとう、お姉ちゃん。私なら今のところ大丈夫だよ」

唯「そっか、何か困ったことがあったらいつでも言ってね!」

憂「うん」ニコニコ

唯「でもまぁ、憂なら絶対に大丈夫だよ!」

憂「そうだといいんだけど…」

憂「あっ、お風呂わいてるよ。先にどうぞ」

唯「ん~、分かった」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:40:27.82 ID:J6LL9gI2O

唯の部屋


唯「忘れ物しないように確認しとかないと」ガサゴソ

唯「高校は中学と違って厳しいからなぁ~」ガサゴソ

唯「教科書は持ったし……あと、体操服と体育館シューズ…。 うん!全部入ってるね」

唯「忘れ物は無し、っと」


唯「……それじゃあ、おやすみ……」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:51:28.58 ID:J6LL9gI2O

~翌朝~


唯「ふんふ~ん…」テクテク

律「おーっす!」タッタッタッ

唯「………?」

澪「うわっ!び、びっくりさせるなよ」

律「昨日のテレビ見た?」

澪「あぁ見た、あの生放送だろ?」

律「そーそー!すごかったよなぁ、色々と」

澪「うん…確かに、あれは色々とギリギリだったな」

律「でさ~今日はどうするよ?」

澪「うーん、とりあえず集まってから……」


唯「ふんふ~ん…」テクテク




16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 13:55:54.59 ID:J6LL9gI2O

唯「ふ~」ガラッ

和「おはよう、唯」

唯「おはよう和ちゃん!」

和「まったくもう、また遅刻ギリギリよ」

唯「大丈夫、間に合ったから!」

和「そういう問題じゃなくて…」

ガラッ

先生「授業始めるぞー」

和「あ、先生きたわ」

唯「それじゃあ、また後でね!」

和「えぇ。…明日も遅刻しないようにね」

唯「えへへ、は~い」



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:06:11.34 ID:J6LL9gI2O

唯「ふぃー、やっと授業終わった~」

和「唯、ちょっといい?」

唯「どうしたのー?」

和「……本当に部活入らないの?」

唯「…うーん……入る予定は無い、かな」

和「どうして?」

唯「どうしてだろ……えっと、私には部活って向いてないんじゃないかなって」

唯「部活って毎日毎日、遅くまで猛特訓するんだよね?それに土日も練習らしいし…」

唯「すごくハードで、毎日大変そうっていうか…」

唯「なんか、そういうの向いてないかな、って」




22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:12:41.05 ID:J6LL9gI2O
和「そう…。でも諦めるのは早いわよ。やってみる価値はあると思うけど」

唯「集中力もなくて、三日坊主の私には、猛特訓なんて着いていけないよ……きっと」

和「唯……」

唯「でもいきなりどうしたの?確か前も、部活を勧めてきたよね」

和「うん……」

和「どうしてかしら。唯には部活を勧めないといけないような……そんな気がしたの」

唯「??」

和「気のせいかしらね」クス



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:20:55.46 ID:J6LL9gI2O

和「それじゃあ、今日も生徒会があるから…また明日ね」

唯「うん、また明日!」


ガヤガヤ ガヤガヤ


紬「」テクテク

唯「これからどうしようかなー…」テクテク

唯「あ、宿題出すの忘れてた……今日までだよね、あれ」

唯「まだ先生いるかなぁ?えっと、確か職員室は~…」タッタッタッ

ガラッ

唯「山中先生~」

さわ子「平沢さん。どうしたの?」

唯「宿題出すの忘れてて…」

さわ子「もー、駄目よ。気をつけないと」ウフフ



25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:28:58.85 ID:J6LL9gI2O
律「失礼しまーっす」ガラッ

澪「失礼します…」

さわ子「これからは出し忘れないようにね」ニコニコ

唯「は~い」

律「あのー、ちょっといいですか?」

さわ子「どうしたの?」

唯「それじゃあ失礼しまー……うわわっ!?」バサバサ

さわ子「あっ、プリントが…」

唯「す、すすすみません!すぐ拾い……わぁぁぁ!?」バサバサバサァ

唯(よ、余計悪化しちゃったー!)シクシク

律(なんだぁ?あのテンポ悪そうな子は…)

澪(………)ボー




26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:35:02.04 ID:J6LL9gI2O
さわ子「平沢さん大丈夫?私も手伝うからね」

唯「す、すみません…」アセアセ

唯「よいしょ…こっちは拾え――痛っ!?」ガンッ

さわ子(机の角で頭を……)

律(なんて使えないドジっ子なんだ…)

澪(………変な子だなぁ)


唯(あうう、さっきからあの子たちの視線が気になる……絶対にダメな奴だと思われてるよ…)



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:39:21.36 ID:J6LL9gI2O
唯「で、では失礼します…」ヨレヨレ

律(なんだったんだ?今の)

澪(…………)ボー

さわ子「それで、何かご用?」ニコ

律「あー、そうだった!ちょっと話が…」

―――――――――
――――――
――――

唯「ふー…痛かった」サスサス

唯「することもないし……帰ろう」




28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:49:40.85 ID:J6LL9gI2O

~平沢家~


唯(高校に入ったら何か変わるのかなって思ってた)

唯(でも……中学の時と、あまり変わってない)

唯(学校行って、放課後になって、家に帰って……)

唯(このままで、いいのかな)

唯(私は、このままで……)


?「………ちゃん」

唯「………」

憂「お姉ちゃん…?」

唯「う、憂?」

憂「どうしたの?ご飯も食べないでボーッとして……お箸が止まってるよ」

唯「えっ?あ、ご、ごめん」



29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 14:57:59.68 ID:J6LL9gI2O

憂「あっ……もしかして味付け、あまり良くなかった?」

唯「そんなことないよ!美味しいよっ」モグモグ

憂「そっか…。ねぇ、お姉ちゃん…何か悩んでるの?」

唯「……」

憂「もし…悩んでるなら、言ってね。私じゃ頼りにならないかもしれないけど……だけど…」

唯「……」

憂「あっ、もちろん言いたくなかったら言わなくていいんだけど…!えっと、えっと…」

唯「…大丈夫!何でもないよ。ごめんね心配かけて」ニコ

憂「…ほんとに…?」

唯「うん!」ニコニコ


唯(きっと憂に言ったら、余計な心配かけちゃうよね)

唯(憂は今年受験があるんだもん。こんなことで憂に心配かけたら悪いよ)

唯(憂は受験に集中できるようにしてあげないと…)



30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 15:12:07.66 ID:J6LL9gI2O

~数ヶ月後、学園祭~


ガヤガヤ

唯「わー、すごい人がいっぱい…」

唯「ここでライブがあるんだよね、確か」

唯(なんとなく来てみたけど……人がいっぱいで苦しい~。やめたほうが良かったかな…)


ウィーン

唯「!始まるのかな…」

律「皆さんこんにちはー!私たち、桜高軽音部です!」

律「今日はわざわざ足をお運びいただき……っ!?(げっ!澪のやつ、カンペ変えやがったな!)」

澪(あれじゃ失礼だからな)フンス

律「まことに、あり……あー!とにかく!ありがとうございます!」

澪(おいー!)

律「………ってわけで、ふわふわ時間!」



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 15:22:57.99 ID:J6LL9gI2O

澪「キミを見てると いつもハートDOKI☆DOKI」

ワァァー ワァァー

澪「揺れる思いは…」

唯「…ま……た…に……わ……わ」


澪「いつもがんばーる♪」

澪「きーみのよこがーお♪」

唯(…………)


ワァァアー キャー

澪「あぁ神様、お願いーふたりーだーけーの♪」

唯「…………」

澪「お気に入りのうさちゃん、抱いて♪」

唯「……今夜も、おや…すみ……」ボソッ

澪「今夜も、おーやすみ♪」



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 15:48:17.51 ID:J6LL9gI2O

一言で言うと、軽音部のライブは大成功だった。
ライブが終わった後、唯は何かをする気になれず、一人で中庭を歩いていた。


唯「すごいなぁ、あの子たち…」トボトボ

唯「私と同学年とは思えないや」

唯「あんなにすごい演奏ができて、ライブも成功して……」

唯「あんなに一致団結して、あんなに皆、楽しそうで……」


唯「私は……何も出来てない」


唯『高校に入ったら、なにか新しいことを始めたいんだ~!』


唯「あはは…」


唯「何やってるんだろ……私」




39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:08:57.03 ID:J6LL9gI2O

それから一年、二年と過ぎていき、唯は三年生となった。
一年、二年生の思い出は、これといって普通だ。人並みの、平凡な思い出だっただろう。

もし「楽しかったか」と聞かれると、唯は「うん」と頷くに違いない。
けれど、何が楽しかったかを話せと言われたら、きっと答えられないだろう。

あれから何度か軽音部に入ろうかと迷ったが、すっかり絆の深まった軽音部に新参者として後から入るのは、気が引けた。
チームワークが良すぎると、外から見たら寄りにくいものだった。



41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:11:27.19 ID:J6LL9gI2O

~廊下~


梓「…」テクテク

唯(あ…。小さくて可愛いな、この子)

唯(横に並んでみると、小ささがよく分かるなぁ)

梓「……」テクテク

唯「……」テクテク

梓「……」テクテク

唯「……」テクテク

梓「あっ、先輩!」

唯「?」

律「おー、どうした梓」

梓「新曲のことなんですけど…」

唯「………」



42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:17:31.98 ID:J6LL9gI2O

澪「あれ?まだ部室行ってなかったのか二人とも」

梓「澪先輩!こんにちは」

紬「みんな、こんにちは~」

澪「あっ、ムギ」

梓「ムギ先輩、こんにちは!」

律「お~、ちょうどいいや。今からみんなで部室行くか!」

梓「先輩、歌詞の方はどうですか?」

澪「うーん、まだなんだ」

律「スランプって言ってたよなぁ」

澪「うん…上手く思いつかなくて」シュン



43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:23:51.61 ID:J6LL9gI2O

梓「澪先輩なら大丈夫ですよ!…私はそう思います!」

紬「私も、応援するわっ」

澪「ムギ…梓…。ありがとう、励ましてくれて」

梓「いえ…///」

律「ん?中野さーん顔赤いですよ?」

梓「なっ!て、照れてないです!」ババッ

律「誰も照れてるなんて言ってないぞー?」ニシシ

梓「っ……律先輩~!」タッタッタッ

律「うわ、梓が怒ったー!」タッタッタッ

澪「おいっ、廊下で騒ぐなー!」タッタッタッ

紬「待って~」タッタッタッ


唯「……帰ろっと!」



46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:34:53.23 ID:J6LL9gI2O

バタン

唯「ただいま……」

憂「お姉ちゃん、おかえり!」

唯「うん……」

憂「お姉ちゃん…?顔色悪いよ、大丈夫…?」

唯「大丈夫だよ~、ごめん…ちょっと部屋で休んでるね」

憂「う、うん……」



47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:42:33.06 ID:J6LL9gI2O

~唯の部屋~


唯「…きみを見てるとー…いつもハートどきどき…」

唯「揺れる思いはー…マシュマロみたいに…ふーわふわ…」

唯「あぁ神様、おねーがいー…」グスッ


唯「………?」

唯「……あれ?な、なんで泣いてるんだろ…おかしいな」グスッ


唯「うっ……ひぐっ…ふぇえ……」グスッ










憂「…………」



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 16:54:41.50 ID:J6LL9gI2O

~翌日~


唯(朝か……頭痛い…)

唯(体もだるい……今日は休もうかなぁ…)

コンコン


憂「お姉ちゃん……ちょっといい?」

唯「憂…?うん」

ガチャ

憂「…今日はお休みするの?」

唯「え、何で分かったの…?」

憂「何となく、そうじゃないかなって」

憂「私も今日はお休みするね」



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 17:07:33.29 ID:J6LL9gI2O

唯「えっ?憂も体調悪いの…?大丈夫?」

憂「大丈夫だよ、お姉ちゃん」ニコ

憂「それより……お姉ちゃん。何か悩んでること、ない?」

唯「!!」

唯「…なっ、ない…よ」

憂「嘘だよ…お姉ちゃん、昔っから嘘は下手なんだもん」

唯「あう…」

憂「良かったら、話してくれないかな?」

唯「………」コクン



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 17:11:34.36 ID:J6LL9gI2O

律「どーした澪?朝から部室に集まってくれー、なんて」

梓「何かあったんですか?」

紬「どきどき…」

澪「実はな……歌詞が書けたんだ!」

律「おおっ!マジかよ!」

梓「で、でも昨日はスランプって言ってたのに…!」

澪「それが昨日の夜、ピンと思いついてさ」

紬「すごいわ澪ちゃん!」

澪「そ、そんなことないよ」テレテレ

律「それでっ、どんなんだ?」

梓「私も気になります」ワクワク

澪「ふふ。ちょっと待ってて」ピラッ



53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 17:25:21.25 ID:J6LL9gI2O

唯「私ね…高校生になったら、何か新しいことを始めたかったんだ」

憂「…そう言ってたね」

唯「でも、結局…何したらいいか分かんなくて…」

唯「部活も、猛特訓なんだろうなって思うと……私なんかが着いていけるはずないって思って…」

唯「でも…それは言い訳だったのかも」

憂「……」

唯「私っ……勉強もできないし、運動もダメでっ…、手先も憂みたいに器用じゃないし…、家事も憂みたいに出来ないしっ…」グシュ

唯「三日坊主で、今まで一つのことに真剣に打ち込んだことも…なくてっ…、根気もなくて…」

唯「何か新しいことを始めたい、っていう目標すら果たせてなくて…」

唯「一人じゃ何も出来ないくらい、ダメダメでっ…!」ポロポロ



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 17:37:05.60 ID:J6LL9gI2O

憂「お姉ちゃんはダメダメなんかじゃないよ」

唯「ぐすっ…」ポロポロ

憂「どんなに勉強が出来なくても、運動が苦手でも、家事が得意じゃなくても」

憂「ごろごろするのが大好きな、のんびり屋さんでも……お姉ちゃんは、私にとって立派なお姉ちゃんなんだから」ニコリ

唯「…うう…、う…ういっ……憂ぃぃーーっ!!」ダキッ

憂「お姉ちゃん…」サスサス

唯「うぃぃ~……」グスグス



58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 17:50:52.77 ID:J6LL9gI2O

澪「じゃあ読むぞ」

梓「はい!」


……………

澪「拝啓、親愛なる貴方へ」

澪「今日もお菓子を食べ、少しの練習」

澪「毎日が楽しくて、とても充実した日々」

澪「みんな揃っていて、みんなでくだらないことで笑っていて」

澪「でも何でだろう。気のせいかな、何かが足りません」

澪「全員揃ってるのに、一つだけ空いた席」

澪「その席は、いらないはずなのに、誰も座ろうとしない。撤去したりもしない」

澪「ときどき、あまるお菓子。一つ多かったのかな?」



59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 17:59:11.67 ID:J6LL9gI2O

唯「私……三年間、どうしてボーッとして過ごしてたんだろう…」グスッ

唯「満足に思い出らしい思い出も作れなくて…」

唯「憂にこんな心配かけたりしないで、ちゃんと目標も果たしたかった…」

憂「お姉ちゃん…」サスサス

唯「ちゃんとした、後悔のない高校生活を送りたかったよぉ…」ポロポロ



62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 18:06:46.01 ID:J6LL9gI2O

唯「後悔するくらいなら、ちゃんとやれば良かったのにね…」

唯「今さら気づいても、もう遅いかな…」

憂「ううん…そんなことないよ。お姉ちゃん……」サスサス

唯「ありがとう…」

唯「あのね、憂……」


……………

澪「貴方はいつ帰って来ますか?早く帰って来ないと、待ちくたびれます」

澪「紅茶も、ケーキも、席も、ちゃんと用意してあるからね」

澪「今も素敵だけど」

澪「もし、やり直せるなら……」

……………


唯「もし、やり直せるなら……」



63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 18:21:11.24 ID:J6LL9gI2O


―――――――――
――――――
――――


唯「うーん…どうしよう~」

和「唯、部活きめた?」

唯「あっ、和ちゃん!えへへ~決めたよぉ」

和「なに?」

唯「軽音部!軽い音楽なんだから、簡単なことしかやらないよ~」

和「そ、そうかしら…?」

唯「そうだよ!」ニコニコ

和「ふふ…とにかく、あの唯が頑張るって決めたんだもの。応援しなきゃね」

唯「あの唯ってどういう意味~!?」ブーブー



64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 18:25:59.38 ID:J6LL9gI2O

和「冗談よ」クスクス

唯「和ちゃんもやらない?軽音部!」

和「私は良いわよ、生徒会があるし…」

唯「そっか…残念」

和「でも…部活をやるのは、新しいことを始めるのに良い機会だと思うわ」

唯「でしょ~?」テレテレ

和「これから頑張ってね、唯」

唯「……うんっ!」



66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 18:32:34.52 ID:J6LL9gI2O

それから、あっという間に一年、二年と過ぎていき、唯は三年生となった。

一年、二年生の思い出は、どれも楽しいものだった。人並みの、平凡な思い出なのだろうけど、唯にとっては大事なものだった。

もし「楽しかったか」と聞かれると、唯は「うん」と頷くに違いない。
何が楽しかったかを話せと言われたら、きっとすぐには答えられないだろう。
それだけ、選びきれないほどの思い出があったのだから。




69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 18:39:07.71 ID:J6LL9gI2O

ガチャン

唯「ちーっす!」

律「おっす!唯」

紬「こんにちは♪」

澪「遅かったな」クス

唯「唯隊員、掃除当番でありました!」ビシッ

律「うむ、ご苦労!」

梓「こんにちは」

唯「お~、あずにゃーん!」ダキッ

梓「わぁ!?何するんですかー!」



71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 19:01:13.90 ID:J6LL9gI2O

唯「わ~、今日はショートケーキだ!」

律「うまそー」

唯「おいひい!」モグモグ

律「うおっ抜け駆けか!?」

澪「本当だ、美味しい」

紬「ふふ、良かったわ♪」

唯「なんでかな、いつもより更に美味しさが身に染みるよ~」ウルウル

律「泣きながらケーキ食べてるぞ、あいつ」

梓「へ、変ですね」

唯「ムギちゃん…いつもありがとうね!」ニコニコ

紬「ううん、そうやって喜んでくれる姿を見るだけで嬉しいもの♪」



72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 19:04:36.80 ID:J6LL9gI2O

唯「ねぇ、みんな」

律「んー?」

梓「どうしました?」

唯「私たちが卒業するまで、あと一年もないけど…」

唯「残りの時間……みんなで思いっきり楽しもうね!」

律「どっ、どうした?急に」

唯「後悔してからじゃ遅いんだって、誰かに教えられた気がするんだー」エヘヘ

澪「誰かって誰だよ」クスクス

唯「うーん、分かんないや」


唯「でも、憂とも約束した…ような気もするの」

唯「だから、絶対に後悔のないように過ごすって決めたんだ!」







74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 19:08:59.64 ID:J6LL9gI2O [40/40]
終わりです。
長くなりましたが読んでくれた方、ありがとうございました

あと即興は止めたほうがいいなと身を持って知った

コメント

No title

良かったなぁ唯

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