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唯「う、憂を殺してしまった……!」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:01:24.98 ID:ouxgGQd70 [1/66]
唯「だいたい憂が悪いんだよ? アイスは晩ご飯の後だなんて意地悪するから」

唯「ど、どうしよう……私、捕まっちゃうのかなぁ」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:02:54.73 ID:ouxgGQd70 [2/66]
憂「――大丈夫だよっ、お姉ちゃん!」

唯「う、憂!? どうして生きてるの!」

憂「私は幽霊だよ。ホラ、ちゃんとそこに私の死体があるでしょ?」

唯「あっ、ホントだ!……あ~よかった(ホッ」

唯「でも何が大丈夫なの? 私、人を殺しちゃったんだよ?」

憂「バレなきゃいいんだよ、お姉ちゃん。とにかく死体を処分しよう、ねっ?」

唯「う、うん。でも…どうやって?」

憂「こんなこともあろうかと前にノコギリを買っておいたの。お風呂場に行ってバラバラにしちゃおうよ」

唯「ラジャー!!」シュタッ

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:04:09.57 ID:ouxgGQd70
【お風呂場】

唯「ギーコギーコ、ギーコギーコ……ふぅ」

唯「つーかーれーたぁ~! ねえ憂ぃ、代わってよぉ~」

憂「めっ! お姉ちゃんが殺したんだから、お姉ちゃんがやらなきゃダメ!」

唯「ぶーいじわるー」

憂「それに私、幽霊だから物とか持てないの」

唯「ちぇっ、しょうがないから頑張るかぁ」

ギーコギーコ ギーコギーコ ギーコギーコ……

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:05:24.77 ID:ouxgGQd70
唯「バラバラにしたよ!」

唯「……血塗れになっちゃった」

憂「後でお風呂に入らないとね」

唯「お風呂も血塗れだよ」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:06:20.43 ID:ouxgGQd70
唯「で、どうするの?」

憂「死体を小分けにしてラップで包んで冷凍庫に入れるんだよ」

唯「ふむふむ…それで?」

憂「後は食べるときにレンジでチンするの」

唯「おおっ、完全犯罪だね!」

憂「食費も浮くし、一石二鳥でしょ」

唯「だね!」

憂「あ、ちゃんとお風呂掃除するんだよ」

唯「えぇ~~~」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:08:31.67 ID:ouxgGQd70
【憂のお料理教室】

唯「憂ぃ~…お腹すいたよぉ~」

憂「もう、お姉ちゃんったら。私は死んでるって言ったでしょ」

憂「ご飯ももう作れないの。これからはお姉ちゃんが作らなきゃダメなんだよ」

唯「えぇ~、私料理なんか出来ないよぉ」

憂「教えてあげるから、ね? お肉もあるし頑張って作ろうよ」

唯「うん……」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:09:47.41 ID:ouxgGQd70
唯「なに作るの?」

憂「お姉ちゃんは何が食べたいの?」

唯「憂もも肉のステーキ!」

憂「じゃあ、作ろうか。ステーキなら簡単だよ」


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:10:32.96 ID:ouxgGQd70
ジュー ジュワジュワー

憂「あ、お姉ちゃん胡椒かけ過ぎ」

唯「へ…ヘックション!!」


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:11:42.57 ID:ouxgGQd70
唯「できた!」

憂「やったね、お姉ちゃん!」

唯「うわぁ、おいしそぉ~」

唯「いっただきまーす!」

唯「モグモグ――んまい!」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:12:24.49 ID:ouxgGQd70
唯「むしゃむしゃもぐもぐ……あっ、憂も食べなよ」

憂「…………」

唯「……憂?」

憂「ごめんね、お姉ちゃん。私もお姉ちゃんの作った料理食べたいんだけど…幽霊だから食べられないの」

唯「あ、そっか……。ごめん、憂。気が利かなくて」

憂「ううん、いいの」

唯「お線香でも焚く?」

憂「うん、ありがとう」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:14:10.57 ID:ouxgGQd70
【翌朝】

唯「よし! お弁当も頑張って作ったし学校行ってくるよ!」

憂「待ってお姉ちゃん!」

唯「ん? どったの?」

憂「私は学校に行けないんだよ? 昨日まで元気だったのに急に休んだりしたら怪しまれちゃうよ」

唯「あ、そっか。どうしよう……」

憂「お姉ちゃん、髪の毛を私のリボンで結んで見て」

唯「えっ、うん」

唯「……こう?」

憂「鏡見て」

唯「あっ! 憂がいる! 私、憂になっちゃった!」


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:15:51.57 ID:ouxgGQd70
憂「お姉ちゃんが私の代わりに学校へ行けば、私が死んだなんて誰も思わないでしょ?」

唯「さっすが憂! あったまいいー!」

憂「エヘッ」

憂「でも気をつけて。ちゃんと私の教室に行くんだよ?」

憂「梓ちゃんのことは梓ちゃんって呼ぶんだよ。律先輩たちにはちゃんと先輩って付けるんだよ」

唯「わかってるよぉ~。憂は心配性なんだから」

唯「じゃ、行ってくるね~」

憂「……大丈夫かなぁ」


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:17:49.53 ID:ouxgGQd70
【がっこう!】

唯「あずにゃ…じゃなかった、梓ちゃんおはよう!」

梓「? おはよう、憂」

唯(えへへ、あずにゃんと一緒のクラスだ)

梓「ねえ憂。昨日の夜の電話、なんだったの?」

唯「えっ、電話?」

梓「私の携帯に掛けてきたじゃない。唯先輩がどうとかって随分慌ててた」

梓「途中で切れて、掛け直しても出ないから心配してたんだよ」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:19:17.54 ID:ouxgGQd70
唯(あっ! そういえば包丁持って憂を追い掛けてたとき)

唯(憂ったら携帯でどこかに電話してた!)

唯(なんとか誤魔化さなくっちゃ……)

唯「あ、えーとね……そ、そうだ! お姉ちゃんが包丁で指切っちゃったんだ!」

唯「それで私、慌てちゃって……」

梓「包丁で指を? それくらいで電話するなんて…唯先輩じゃあるまいし」

唯「ギクリ」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:20:32.78 ID:ouxgGQd70
唯「アハハ…血がいっぱい出ちゃって気が動転してたんだよ」

梓「そう…それで、唯先輩は大丈夫?」

唯「えっ…う、うん。意外と傷は浅かったからバンソーコだけで済んだよ」

梓「ふうん……まあ、唯先輩には包丁とか持たせないほうがいいかも」

唯「そ、そうだね(^^;」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:22:59.21 ID:ouxgGQd70
【休み時間】

ピロリ~ン♪

唯「あ、メールだ」

唯「和ちゃんからだ。なになに……」

『唯、今日はどうしたの? 風邪?』

唯「?…『別になんでもないよ?』っと……」

ピロリ~ン♪
『なんでもないって……ズル休み?』

唯「えっ? どういうこと? 私ちゃんと学校来てるよ!」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:24:18.52 ID:ouxgGQd70
唯「あ、そっか。私今、憂の代わりに学校に来てるんだ」

唯「つまり平沢憂の代わりを私が務めているのだから、平沢唯という人物は存在していないことになるのだ」

唯「ならばここにいる私はなに? 私は憂の代わりを務めてはいるけど、私自身は自分のことを平沢唯だと認識している」

唯「私は存在していない人物を認識している? そもそも平沢唯とは何者……?」

唯「平沢唯は私。だけど私は現在平沢憂であり、平沢唯という人物は存在しない」

唯「あれ? 待って、私は唯だよ?――あ、でも私は憂だ」

唯「あれあれ? 私は誰? 唯なの? 憂なの? どっちなの?」プシュー


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:25:23.53 ID:ouxgGQd70
梓「頭から煙出して何してるの憂」

唯「う、い……? そっか、私は憂なんだ」

梓「???」

憂「もう大丈夫だよ梓ちゃん。ちょっと色々考えすぎて頭が混乱していたみたい」

梓「そう……?」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:26:58.87 ID:ouxgGQd70
憂(……あっ! 待って! 私は昨日の夜、お姉ちゃんに殺されたんだ!)

憂(死んでるはずの私がここにいるのはおかしい!)

憂(お姉ちゃんは今、私の代わりになって此処にいる。それは私が死んでいるから)

憂(でもそうなるとお姉ちゃんが存在しないことになる!)

憂(お姉ちゃんが存在しないなんて……耐えられない!)ガタン!

梓「憂?」

憂「――ごめん、梓ちゃん! 私早退するね!」

梓「えっ、ちょっ――」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:29:01.68 ID:ouxgGQd70
【三年の教室】

憂「みんなー、おはよぉー!」

律「唯! お前、こんな時間まで何やってたんだよ。もう四時間目だぞ」

憂「えへへ、寝坊しちゃったんだ~」

律「憂ちゃんは起こしてくれなかったのか?」

憂「う、うん…昨日憂と喧嘩しちゃって……」

律「へえ…めずらしいなぁ」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:30:34.87 ID:ouxgGQd70
憂(ふふふ……お姉ちゃんが存在しないなら、私がお姉ちゃんの代わりになればいいんだよ)

憂(私はすでに死んでいるのだから存在していなくても構わない)

憂(よかった……これでお姉ちゃんは存在できる)

憂(それじゃあ、そろそろ私は消えるね)

憂(お姉ちゃん……バイバイ)スゥー…

唯「――憂!!」ガタッ!

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:33:21.79 ID:ouxgGQd70
さわ子「ど、どうしたの平沢さん」

唯「あっ……。な、なんでもないデス」

さわ子「そお?」

唯「…………」ウルッ

唯(アレ…? おかしいな、涙が出てきたよ)

唯(悲しい……。どうしてこんなに悲しいんだろう)

唯「…………」

唯「ま、いっか」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:35:27.94 ID:ouxgGQd70
【昼休み】

澪「唯の唐揚げ、おいしそうだな」

律「おっ、ホントだ。憂ちゃんに作ってもらったのか?」

唯「ううん、憂に教わって私が作ったんだよ」

律「へえ、中々やるなぁ。どれ、ひとつ味見をして進ぜよう」パクリ

律「もぐもぐ……ん? おいしいけどコレ、なんの肉だ? 鶏肉じゃないよな」

唯「えへへ、内緒だよ」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:38:02.60 ID:ouxgGQd70
梓「あ、唯先輩! ちょっといいですか?」

律「あれ? 梓だ」

唯「あずにゃーん! どうしたのー」

梓「はい、四時間目がはじまる前に憂が早退したんですけど、先輩聞いてますか?」

唯「ええっ!? 憂が早退!? どうしてだろう……」

梓「朝から様子がおかしかったんですけど……」

澪「具合でも悪かったのかな」

紬「憂ちゃん心配ねぇ…」


46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:41:04.82 ID:ouxgGQd70
唯「……うん、ありがとうあずにゃん。私、電話してみるね」

梓「はい、お願いします」

プルルループルルルー

唯「……出ないなぁ」

プルルループルルルー…ガチャ

『…………』

唯「あっ、出た! 憂?」

『…………』

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:43:34.08 ID:ouxgGQd70
唯「憂、どうしちゃったの? 早退したってあずにゃんから聞いたんだけど……憂?」

『違う……』

唯「えっ、憂……? どうしたの?」

『違う…違う…違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う』

唯「なっ……! ちょ、ちょっとやめてよぉ憂――」

『あなたは……ダレ?』

唯「えっ……?」

梓「にゃああぁぁあぁああああ」

唯「っ!? あ、あずにゃ……」

………………。

…………。

……。

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:46:03.00 ID:ouxgGQd70
?「――唯。起きなさい、唯――」

唯「う…ん……あれ?」

和「おはよう、唯」

唯「あ、和ちゃん……」

唯「生徒会のお仕事、もう終わったの?」

和「ええ、待たせてごめん。帰りましょ?」

唯「うん」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:49:30.33 ID:ouxgGQd70
――キミを見てるといつもHeartドキドキー♪


唯「この曲……」

和「ああ、軽音部ね。もうすぐ学園祭のライブだから頑張ってるみたいよ」

唯「へえ……」

唯「私ね、和ちゃん。軽音部って軽い音楽のことかなって思ってた」

和「軽い音楽?」

唯「うん。……カスタネットとか」

和「ぷっ。唯らしいわね」

唯「あ~! 和ちゃん笑ったぁ~!」プンスカ

和「ふふ、ごめんなさい」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:51:56.42 ID:ouxgGQd70
和「ねえ唯」

唯「なあに、和ちゃん」

和「……唯は」

和「どうして憂を殺したの?」

唯「え」


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:54:39.20 ID:ouxgGQd70
『お、お姉ちゃんどうしたの包丁なんか持って』

『危ないよ。ホラ、包丁置こうよ』

『お姉ちゃん……や、やめようよ。冗談が過ぎるよ』

『や、やめて……いやあああああああっ!!!』

グサッ

グサッ グサッ グサッ グサッ グサッ グサッ

『お、お…ねえ……ちゃ……ん……』

『…………』

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:56:40.42 ID:ouxgGQd70
『憂が……』

『憂が悪いんだよ……』

『アイスは晩ご飯の後だなんて意地悪するから』

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:59:48.74 ID:ouxgGQd70
【琴吹家】

プルルループルルルー

ガチャ

紬「もしもし、りっちゃん?」

律『ムギッ!』

紬「ど、どうしたのりっちゃん?」

律『み、澪が……澪が……』グスッ

紬「りっちゃん? りっちゃん?」

律『澪が……死んじゃった』

紬「えっ……?」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:03:30.78 ID:ouxgGQd70
紬「秋山澪の死は誰が望んだのか。暴かれる真相、十年前の惨劇、そして正体を見せる『放課後の魔術師』」

紬「次回『幻影の叫び』」

紬「じっちゃんの名にかけて……!」


68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:06:45.33 ID:ouxgGQd70
梓「ほーかごのまじゅつし?」

純「そうそう! なんでも放課後遅くまで一人で残っていると……」

純「闇の中から黒い影が現れて殺されちゃうらしいの!」

純「なんでも去年、軽音部の秋山澪って人が殺されたらしいよ」

純「その放課後の魔術師に」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:08:06.35 ID:ouxgGQd70
梓「バカバカしい。そんなのいるはずないでしょ」

梓「だいたいこの学校で殺人事件があったなんて聞いたことないし」

梓「そもそも軽音部なんてない」

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:10:18.47 ID:ouxgGQd70
純「梓はつまんないなー。でもまあいいや」

純「うふふ、この家は本物の心霊スポットだよぉ~」

梓「ハイハイ、純のオカルト趣味にはウンザリ」

純「もうっ、そんなこと言わないでさぁ! せっかくここまで来たのに」

梓「で、ここはどんな惨劇が起こった家?」

純「この家は昔ね……仲の良い姉妹が住んでいたの」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:13:33.68 ID:ouxgGQd70
純「だけど妹が姉を殺してバラバラにして――食べた」

純「その後、妹は行方不明になったらしい」

梓「……で? この家でどういう心霊現象(プッ が起こるの?」

純「もうっ、梓ったら! この姉妹はさ、桜が丘高校の三年生と二年生だったの」

梓「ふむふむ……で?」

純「イラッ)事件後、警察が冷凍庫に残っていた姉の身体を調べたら少なくとも二週間前には死亡していることが確認された」

純「だけど、それはおかしいの。だってその姉は警察がこの家を訪れる三日前まで学校に来てたんだよ」


74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:17:08.30 ID:ouxgGQd70
梓「ふうん……それが幽霊だっていうの? まさかね――」

梓「大方、その妹が姉に変装して学校へ通っていたってオチなのでは?」

純「違うよ梓……。だってね、その妹も……学校に来てたのよ」

梓「ざわざわ……!」


76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:19:43.22 ID:ouxgGQd70
純「イヒヒ……梓怖い?」

梓「別に怖くないもん」

純「じゃあ早く中に入ろうよ」

梓「勝手に入って大丈夫?」

純「平気平気! 空き家だもの――」ガチャ

梓(いいのかなぁ……)ポンッ

梓「へっ……?」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:21:58.39 ID:ouxgGQd70
澪「梓……その家に入っちゃダメだ」

梓「え、誰……?」

澪「梓……入るなよ? 絶対入るなよ?」

梓「も、もしかして……ミオおねえちゃ――」


78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:23:18.23 ID:ouxgGQd70
純「梓っ!」

梓「ハッ!? わ、私……」

純「どうしたの? ボーッとして」

梓「い、今ここに……アレ?」

純「ん?」

梓「今ここに髪の長い女の人が……」

純「誰もいないじゃん」

梓「そんな……」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:25:45.09 ID:ouxgGQd70
純「もしかして……幽霊?」

梓「ま、まさか……」

梓(でもあれは……ミオおねえちゃん?)

純「早く入ろうってば!」

梓「う、うん……」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:27:56.63 ID:ouxgGQd70
純「おかしいなー…随分前から空き家になってるはずなのに綺麗だ」

梓「誰か住んでるんじゃない?」

純「そんなはずはないと思うんだけど……。あっ、私2階行ってくるね」トタトタトタ

梓「あ、純……行っちゃった」ポツン

梓「ハア……帰ろうかな」

――ガチャッ

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:30:27.02 ID:ouxgGQd70
唯「あずにゃーん! いらっしゃ~い!」ダキッ

梓「に゛ゃあっ!?」

唯「あずにゃ~んスリスリ あずにゃんは可愛いのぉスリスリ」

梓「ちょっ――やめてください!……唯先輩!」

唯「えへへ、ごめんごめん」

梓「と、とにかく……! 今日はお招きいただき、ありがとうございます。です」ペコリ

唯「いえいえ、どういたしまして」ペコリ

梓「あ、そういえば憂は……?」

唯「あ……うん、ちょっとね」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:33:01.61 ID:ouxgGQd70
唯「それよりも今日はあずにゃんのために頑張ってお料理作ったんだよ!」

梓「唯先輩が作ったんですか!? これ全部? 一人で?」

唯「ふっふっふ、私でもやればできるのだよ」

梓「すごいです……先輩!」

唯「えへへ……さあ、食べてみてよ」

梓「では、いただきます」パクリ

梓「もぐもぐ……うん。とってもおいしいです」

梓「特にこのハンバーグ。これは合挽? でもこんな味初めて……」

唯「作り方は秘密なんだよ~」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:35:27.42 ID:ouxgGQd70
梓「ところで……私たちだけで食べていいんですか? 憂は――」

唯「憂なら目の前にいるよ、あずにゃん」

梓「えっ」

唯「…………」

梓「……ど、どうしたんですか、怖い顔をして……」

梓「う、憂はどこに……」

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:38:29.92 ID:ouxgGQd70
唯「……プッ。アハハ、ごめんね梓ちゃん」

梓「えっ? えっ?」

唯「私が憂だよ」シュルッ

梓「う、憂!? なんでこんなこと――」

憂「ごめんね梓ちゃん。梓ちゃんを驚かせようと思って、お姉ちゃんに変装してたんだ」

梓「び、びっくりしたよ……もうっ!」


97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:42:21.00 ID:ouxgGQd70
梓「そ、それで唯先輩は……? どっかに隠れてるんじゃ――」

憂「お姉ちゃんなら目の前にいるでしょ、梓ちゃん」

梓「えっ」

憂「梓ちゃんの目の前のお皿の上に、梓ちゃんが持っているお箸の先に、梓ちゃんのお口の中に、梓ちゃんのお腹の中に――」

梓「う、憂……? 何を言っているの」

憂「梓ちゃん……。お姉ちゃんのお肉は美味しかった?」

梓「っ!?」ガタッ

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:44:03.31 ID:ouxgGQd70
唯『あずにゃ~ん……私のお肉おいしかったぁ……?』ウジャウジャ

唯『私、あずにゃんに食べられちゃったよぉ~……。これで私たちずっと一緒だよぉ』ワラワラ

梓「ひぃっ! ちっちゃい唯先輩が! ちっちゃい唯先輩がハンバーグの中からいっぱい出てきた!」

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:46:08.69 ID:ouxgGQd70
唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』
 唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』
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 唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』
唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』
  唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』
 唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』唯『あずにゃ~ん』



梓「い…いやああああああああぁぁぁあああっ!!」

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:48:55.57 ID:ouxgGQd70
純「――梓っ! 梓ってば!」ユサユサ

梓「うっ……あ、あれ?」

純「よ、よかったぁ~。戻ってきたら床で倒れてるんだもの。心配したよ」

梓「ゆ、夢……?」ドキドキ

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:50:39.92 ID:ouxgGQd70
和「――あなたたち」

純「あっ、すいません真鍋先輩」

梓「えっ……この人」

純「生徒会長の真鍋先輩だよ。助けを呼ぼうと思って外に出たらたまたま家の前に――」

和「まったく……あなたたち、勝手に人の家に入るのは犯罪よ? わかってる?」

純「はい……すみません」ショボン


115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:52:47.13 ID:ouxgGQd70
和「わかったら早く帰りなさい。このことは内緒にしといてあげるから」

純「はい……行こう、梓」

梓「う、うん……」ペコリ

…………。

……。

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:54:55.63 ID:ouxgGQd70
唯「どうしてあずにゃんたち帰しちゃうの?」

和「……唯? それとも憂?」

唯「唯だよ、和ちゃん」

和「そう……別にどっちでもいいわ」

和「あの二人はこちらで処分する。私に任せてちょうだい」

唯「うん、いいよ。和ちゃんなら安心だもん。なんたって『放課後の魔術師』さんだからね」

和「…………」

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:57:37.91 ID:ouxgGQd70
――小さい頃、私には『おねえちゃん』がいた。

梓『わぁ…! おねえちゃん、ギター上手だね』

澪『ふふふ、これはギターじゃなくてベースっていうんだ』

梓『ふうん、そうなんだー』


119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:59:43.97 ID:ouxgGQd70
ミオおねえちゃんは本当のお姉ちゃんじゃない。

近所に住む高校生で、いつもよく遊んでくれたおねえちゃんだ。

おねえちゃんは、よく軽音部という部活の話をしてくれた。

そこには部員が四人いて、おねえちゃんがベース。

幼馴染みの律がドラムをやって、お金持ちのムギがキーボード。

そして×××がギター。

毎日部室でお茶会をして、お喋りをして、たまに練習して……。

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 20:02:20.96 ID:ouxgGQd70
澪『楽しいよ、軽音部。梓も高校生になったら入ればいい』

そんなことを言ってたけど、私は知っている。

梓『おねえちゃん、本当は軽音部になんか入ってないんでしょ?』

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 20:04:50.51 ID:ouxgGQd70
梓『部活やってるのにどうしてこんな時間に私と遊んでいるの?』

梓『おねえちゃん言ってたよね。私の友達はお前だけだって』

澪『あ、あ……や、やめろ……』

梓『プッ……おかしなおねえちゃん。こんな子供しか話し相手がいなくて……子供相手に自分の空想を聞かせて――』

澪『やめろ……やめろ……やめろおおおおおおおおおおおおおっ!!!』ギュウッ!

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 20:07:28.03 ID:ouxgGQd70
澪『どうせお前も私が創った幻なんだろ!? ああそうさっ! 私には友達がいない!』

澪『律とは小学生の頃から一緒のクラスだったけど、一度も話したことがない!』

澪『×××は学祭のライブで歌っていた! 私はそれを観客席で見ていた! 私の名前すら知らないだろう!』

澪『部室でムギの持ってきたお茶やお菓子を食べて……楽しくお喋りして……』

澪『私も仲間に入りたかった。冗談を言う律を叩いたり、練習しろって怒ってみたり』

澪『だけど私はそこにはいない! 別にいいさ! 私には空想がある!』

澪『お前も私の空想のくせに……! 生意気な口を聞いてっ』ギュッギュッギュッ

梓『グギギ…ギギ……ギ……』クタッ

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 20:10:27.49 ID:ouxgGQd70
澪『うふふ…ふはははははっ! 壊してやった! 私を傷つけるから! 壊してやったんだああああああああ!!』

………………。

…………。

……。




和「死んだのはアナタ」

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 20:14:09.91 ID:ouxgGQd70
【琴吹家】

プルルループルルルー

ガチャ

紬「もしもし、りっちゃん?」

律『ムギッ!』

紬「ど、どうしたのりっちゃん?」

律『み、澪が……澪が……』グスッ

紬「りっちゃん? りっちゃん?」

律『澪が……死んじゃった』

紬「えっ……?」

132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 20:17:36.01 ID:ouxgGQd70
紬「澪? 澪さんって誰?」

律『私の幼馴染みで……話したことは殆ど無いんだけど……』

律『ずっと友達になりたいって思っていた』

律『一緒の高校に入って、今度こそは話し掛けようって思った』

律『友達になって……軽音部にも入ってもらおうと……』

律『なのに……なのに……澪ぉ~~!!』

紬「りっちゃん……その澪さんのこと、好きだったのね」

律『……(コクリ)』

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 20:21:46.43 ID:ouxgGQd70
紬「……でもりっちゃん、よおく思い出して」

律『えっ?』

紬「その澪さんが死んだのは……何年前?」

律『…………』

プープープー……

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 20:25:16.39 ID:ouxgGQd70
紬「――十年前に起きた女児絞殺事件」

紬「犯人は未だ捕まっていない」

紬「髪の長い女子高生を近くで見たという目撃情報があるけど……」

紬「それにしてもまさかりっちゃんが被害者の女の子のことを好きだったなんて」

紬「死んだことが信じられず、ずっと空想の澪さんを見つめていたのね」

紬「今気づいたけど……確かに私の頭の中にも軽音部での澪さんとの思い出がある」

紬「これは誰の夢……?」

紬「…………」

紬「もしも澪さんが生きていれば……そうね、軽音部のメンバーだったかもしれないわね」

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 20:27:48.60 ID:ouxgGQd70
紬(放課後の魔術師……。この現象はあなたの仕業?)

















~第一部~
             
                     完

143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 20:29:10.47 ID:ouxgGQd70
ストックが無くなったので終わりです

以下ネタバレ↓


























唯「単なる思いつきの羅列」

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