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ハルカ「あっ、ポケモンバトルしようよっ!」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 16:52:11.36 ID:PrppEo6X0 [1/58]
私と彼女…ハルカとの出会いはトウカの森だった。
ハルカはトウカシティからカナズミシティに行くためにこの森を通ったのだろう。
彼女と目が合った私は成り行きから勝負することになった。
もし、私が普通のポケモントレーナーだったらその後も彼女と楽しく勝負することができただろう。
しかし、私にはそれができない理由があった。
―私はマグマ団の一員だからだ。
私と彼女…ハルカとの出会いはトウカの森だった。
ハルカはトウカシティからカナズミシティに行くためにこの森を通ったのだろう。
彼女と目が合った私は成り行きから勝負することになった。
もし、私が普通のポケモントレーナーだったらその後も彼女と楽しく勝負することができただろう。
しかし、私にはそれができない理由があった。
―私はマグマ団の一員だからだ。
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:00:50.96 ID:PrppEo6X0 [2/58]
ハルカ「へぇー。あなた炎のポケモンが好きなんだっ!」
私「う、うん」
ハルカ「あはっ、あたしのミズゴロウとは相性が悪いね!」
ハルカと名乗った少女は連れていたミズゴロウを撫でながら私に笑いかけた。
私「でも、私のロコンも可愛さでは負けてないよ、ねぇナナちゃん?」
ハルカ「あら、ミズゴロウちゃんだって可愛いもんねー」
彼女と話しているうちに、いつの間にか仲良くなっていた。
日が暮れ、別れる時間になるとハルカがポケナビを取り出した。
ハルカ「ね、また今度勝負しようよ! 電話番号を交換したらいつでもお話できるし!」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:05:59.25 ID:PrppEo6X0
~マグマ団アジト~
ロコンのナナちゃんの頭を撫でながら、私は先日トウカの森であった少女のことを思い出していた。
彼女のパートナーのタイプから考えて、カナズミジムはとっくにクリアしているだろう。
(…私も普通のトレーナーだったらなぁ)
ふとそんなことを思って、急いで頭を振る。
マグマ団のリーダー、マツブサ様には恩があるのだ。
それは、10年前…私が5歳の時だった。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:10:30.68 ID:PrppEo6X0
10年前、ホウエン地方はかつて観測されたことのない大雨に見舞われた。
当時私が住んでいたミナモシティは、海に面しているせいで被害が大きかった。
町が海に流され、私は死に物狂いで家の柱に捕まって、洪水に耐えていた。
そして大雨が止み、洪水が収まった頃、
両親の姿はどこにもなかった。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:13:02.06 ID:PrppEo6X0
必死になって両親を探している私に、残酷な現実が突きつけられた。
ミナモシティの住民の大半は海に消えたとのことだった。
とくに、私が住んでいた地区は最も被害が大きく、生き残っている人間は私だけだという…。
途方にくれる私に手を差し伸べたのは、町の近くで行動していたマツブサ様だった。
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:17:04.95 ID:PrppEo6X0
孤児になってしまった私を引き取ってくれたマツブサ様は、私をアジトに連れ帰り、
マグマ団になるための英才教育を私に受けさせた。
私は組織のことを知らなかったが、マツブサ様から受けた恩を返すため必死で勉強した。
そして、10年が経ちようやく私も単独行動を許された頃、そこにいるロコンのナナと出会った。
トウカの森の任務は私の初めての任務だった。
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:20:42.60 ID:PrppEo6X0
「ハルカかぁ…また会いたいなぁ」
アジトにある自室の中でポケナビを眺めながら呟いた。
あれ以来、ハルカとは連絡もしていない。
―友達なんて、マグマ団の私には関係のないことだよね…。
少し寂しくなった私は気持ちを押しとどめて眠りについた。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:23:57.70 ID:PrppEo6X0
翌日、任務のない私はトウカの森で修行することにした。
いくら勉強して戦法や技を学んでもポケモンが弱かったら意味がない。
「あなたは炎タイプだから、虫ポケモンを相手にする分には相性がいいのよ」
ナナを撫でると私はトウカの森へ向かった。
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:30:45.29 ID:PrppEo6X0
「さぁ、始めるわよ」
ケムッソを見つけると私はナナに戦闘態勢に入るように支持した。
「ナナ、あなたは速さだったら他のポケモンには負けないわ。
相手の攻撃に当たらないようにすることが先決よ!」
ナナは頷くとケムッソの様子を身長に伺った。
次の瞬間、ケムッソの口から糸が放たれた。
しかし、警戒していたナナには当たらない。
「今よ、火の粉!」
ナナが繰り出した火の粉は、相手のケムッソに命中し、そのまま気絶させた。
「よくやったわね、その調子でいきましょう」
私たちはそのまま日が暮れるまで修行した。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:34:48.18 ID:PrppEo6X0
ハルカと再開したのはそれから3日後だった。
ハルカ「あっ、久しぶり!」
彼女の連れているミズゴロウは既に進化していて、ヌマクローになっていた。
私「…ミズゴロウの方が可愛かったと思う」
ハルカ「えぇー? でも、こっちにもミズゴロウにはない魅力があるんだから!」
相変わらず屈託なく笑うハルカを見て私は少し安心した。
ハルカ「ねぇ、久しぶりに勝負しない?」
もちろんそのつもりだ。
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:38:51.21 ID:PrppEo6X0
ハルカ「じゃあっ、いくわよヌマクロー!」
のしのしと出てきたヌマムローを見て、私は早速分析にはいる。
動きは遅いに決まっている。普段なら火の粉で畳み掛けるが、相手は水&地面タイプだ。
火力の低い火の粉が通用するわけもない。
だったら…。
「ナナ、まずは動きで相手の集中力を奪って」
思いついた戦法でおそらく勝てるだろう。
私はナナに指示を出すと、次の手を考え始める。
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:44:54.66 ID:PrppEo6X0
ヌマクローがナナの動きに目を回し始めた頃、私はナナに新たな指示を出した。
「ナナ、体当たり!」
言われたとおり、ナナは素早い体当たりを繰り出す。
もともと速いスピードで動いていたナナから繰り出された体当たりは、格別に威力があった。
倒れたヌマクローをナナがしっぽで更に追い討ちをかける。
(…もらった)
「ナナ、トドメよ」
ナナは頷くと、体全体をヌマクローに叩きつける。
勝負ありだ。
ハルカ「ふえぇ~、相変わらず強いねぇ」
「…ありがと」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:21:25.62 ID:PrppEo6X0
すまん、見ている人がいるとは思わなかった
今から書きます
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:31:07.53 ID:PrppEo6X0
数日後、マグマ団全員に招集がかかった。
なんでも敵対勢力があるとのことだった。
最近知らされたことだが、マグマ団の目的は「大地を増やす」こと。
そして、敵対勢力は「海を増やす」ために活動しているらしい。
言うまでもなく、その組織―アクア団は活動の邪魔になるのだ。
邪魔になるものは排除する、それがマグマ団のやり方だ。
その集会でマツブサ様は「アクア団の排除」を告げた。
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:39:17.68 ID:PrppEo6X0
アクア団は現在、カイナシティにいるらしい。
数日後、早速マグマ団の中でも実力があるトレーナーたちと幹部一人がカイナシティへ向かった。
しかし、私はなぜか連れて行ってもらえなかった。
(…まだ、実力不足ということか)
悔しい気持ちの中、修行の日々を送って3日後。
カイナシティに向かったメンバーが戻ってきた。
―任務は失敗。
私は耳を疑った。一人の少女に妨害された?そんなバカな。
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:44:58.07 ID:PrppEo6X0
メンバーたちが少女の詳細を報告しだす。
―年齢は15歳くらい
私と同じくらいか。
―身長、体格はこいつと同じくらい。
こいつとは私のことだ。
―特徴は赤いバンダナ
あれ…
―連れているポケモンはヌマクロー、ライボルト
あれれ…
―名前はハルカと名乗っておりました
なんだって…!
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:49:00.91 ID:PrppEo6X0
そういや主人公の女の子の名前決めてなかったなぁどうしましょ
ハルカがマグマ団の存在を知ってしまった…。
もしかしたら、メンバー達の失態でその目的までも知られてしまったかもしれない。
幸い、私がマグマ団の格好をしているときにハルカには会っていない。
しかし、この先の任務はそうともいかなくなる。
私はマグマ団幹部候補生だからだ。
そうなるために幼い頃から英才教育を受けさせられてきたのだ。
どうしよう、ハルカとは友達でいたいのに…!
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:54:52.52 ID:PrppEo6X0
そんなことで悩んでいるうちに、私に任務が回ってきた。
場所は「流星の滝」
目的は「隕石の強奪」
人から奪うのか。抵抗はしないで欲しいけど…。
「隕石回収後は速やかに待避、アジトに戻り次第総裁に提出」
これが任務の全容だ。
この任務の重要度は「S」
つまり、確実に遂行しなければならない。
身支度を整えながら、私は嫌な予感がしていた。
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:59:25.04 ID:PrppEo6X0
流星の滝に向かう道中、私はガーディを仲間に加えた。
草むらでハブネークに襲われているところを助けたのだ。
ナナとも気が合うようで、2匹はすぐに打ち解けた。
「…着いたぞ、流星の滝だ」
同行した幹部が私に声をかけた。緊張して手が震える。
「さ、行くぞ…」
そう言って幹部は洞窟の中に入っていった。
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:06:57.17 ID:PrppEo6X0
そこには一人の白衣を着た男がいた。間違いなくソライシ博士だろう。
幹部は彼に近づくと、いきなり肩をつかんだ。
「ヒッ、なんですかあなたたちは!」
怯える男を幹部はにらみつける。
「誰だっていい。その隕石を渡してもらおう」
「そ、そういうわけには…うわっ!」
博士が口を閉じる前に幹部が荒々しく彼を突き飛ばした。
「ふん、悪く思うなよ…」
幹部がきびすを返した時だった。一人の少女が洞窟の中に走りこんできた。
「チィ、お前はさがってろ」
幹部の足が少女に向いた。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:11:29.72 ID:PrppEo6X0
「お嬢ちゃん、今すぐここから立ち去れ。さもなくば…!」
「さもなくば…? あたしをどうするの?」
聞き覚えのある声がした。嫌な予感がよぎる。
「生意気な、いけっグラエナ!」
幹部はグラエナを繰り出した。しかし、勝負は一瞬でついた。
少女のポケモンの技によって一撃で倒されてしまったのだ。
そのポケモンとは…
ラグラージとライボルト。
私は自分の血の気が引いていくのを感じた。
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:14:59.35 ID:PrppEo6X0
(ど、どうしよう! ハルカに姿を見られないようにしないと…!)
私はその場から逃げようとした。しかし…
「おい、(主人公の名前)! お前が相手してやれ!」
「えっ…!」
少女の息を呑む音が聞こえた。
…ついに、バレた。
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:21:44.58 ID:PrppEo6X0
「(主人公の名前)ちゃん! あなた、ここで何を…」
終わりだ。
彼女とは友達になれると思っていたのに。
「なんで、マグマ団なんかに…!」
「ふふ、驚いた…? あなたがここに来なければ私たち友達でいれたのにね…」
目を見開くハルカに私は続ける。
「そうよ、バレたのなら仕方ない。私はマグマ団の団員、そして次期幹部!
海をなくし、陸を広げるのがわが組織の目的! 私の組織のやり方を知ってる?
邪魔する者はみーんな排除するの!」
そう言って私はナナとガーディを繰り出した。
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:27:48.26 ID:PrppEo6X0
「…ちょっと待って! あたしはこんな形であなたと戦いたくないよ!」
「だったら、ここから立ち去ることね。ただし、隕石は私たちの手にまわり、海がなくなる日も近づくけどね!」
狂ったように叫ぶ私は彼女の言葉を何も聞かなかった。
「あなたと私の力の差はだいぶ開いてるわ! …でも!」
私はチラッと幹部のほうを見た。既に手に隕石を持っている。
「あの人が脱出するまでに、私を倒せるかしら…? 瞬殺というのはありえないと思うけど?」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:35:29.16 ID:PrppEo6X0
ラグラージはタイプの相性が悪すぎる。
対してライボルトはどうだろう。
確かに雷撃は強力ではあるが、その反面耐久面は低いはず。
ナナとガーディで狙い撃ちすれば勝てないはずはない。
「そちらから来ないのなら私からいく。ナナ、ガーディ、ライボルトを狙い打ちにして」
ハッとしたハルカがライボルトに回避の支持を出すが、ナナの火炎放射の方が早かった。
ダメージで動きが止まったライボルトに、さらにガーディが火炎放射を浴びせる。
ハルカの顔に焦りが見えた。
「だめじゃない、回避くらい命令しなくてもできるようじゃなきゃ」
そう言って後ろを見る。幹部既に脱出はできたようだった。
「あなたとは、もう友達になんかなれない。次に会うときは必ずラグラージも倒すわ。」
そう吐き捨てて私はきびすを返した。
ハルカの叫ぶ声が聞こえたが、振り返らなかった。
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:42:30.30 ID:PrppEo6X0
「…ご苦労であった」
「はっ」
マグマ団アジトの最深部にて、幹部がマツブサに隕石を提出した。
「ところで、(主人公の名前)が見えないようだが?」
「それが…あの任務からずっと自室に引きこもってしまいまして…」
幹部は任務の一部始終をマスブサに報告した。
「例の少女はあの子の知り合いだったと?」
「ええ、そのようです」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:47:08.13 ID:PrppEo6X0
「ふむ、それは可愛そうなことをした。しかし、人はそういうことを積み重ねて生きていくものだ」
「マツブサ様も何かおありで?」
「…いや、なんでもないさ。それより、今度は煙突山に向かう。今のうちに招集をかけておけ」
「わかりました」
幹部が去った後、マツブサは唇をかんだ。
(アオギリめ…、ついに感づいたか。煙突山の任務は私も繰り出すしかないようだな)
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:52:21.11 ID:PrppEo6X0
~ナツミの自室~
「う、うぅ…」
ナツミはベッドの上で膝を抱えてずっと泣いていた。
せっかく、友達ができると思ったのに。
そんなナツミをナナとガーディは心配そうに見ていた。
コンコン
「…はい」
「私だ。入るぞ」
マツブサ様だった。
私に気を使ってくれたのか、煙突山の任務のことを手短に伝えると部屋を出て行った。
もしかしたら、またハルカに会うかもしれない。
考えるだけで胸が張り裂けそうだった。
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:58:36.96 ID:PrppEo6X0
――煙突山の任務では、アクア団及び例の少女による妨害が予想される。
よって、ポケモンのパワーアップを図るため、各団員には「炎の石」を支給する。
ナツミにも炎の石が2つ手渡された。ナナもガーディもこれで進化するのだ。
おそらく、煙突山では再びハルカと戦うことになるだろう。
彼女のミズゴロウは既に最終進化を遂げてラグラージになっていた。
ナナとガーディも進化させなければきっと敵わないだろう。
そんなことを考えていた時だった。
私はマツブサ様に呼び出された。
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 20:04:05.87 ID:PrppEo6X0
「ナツミ、君に渡したいポケモンがいる」
「はい、なんでしょう」
確かに、私のパーティは2匹しかいない。
個々が強くても2匹では流石に足りないようだった。
「リザードというのだがね。カントー地方で見つけた珍しいポケモンだよ。君なら使いこなせそうだ」
「ありがとうございます……あれ?」
私はリザードを見て違和感を感じた。
そしてすぐにその正体に気がつく。
色だ。普通のリザードに比べて色が鮮やかなのだ。
「きれいだろう。さ、君も煙突山に向かうんだ」
マツブサ様は私を元気付けようとしてくれたのだろうか。
いつまでも落ち込んでいると申し訳ない気がしてきた。
「はい、行ってまいります」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 20:13:39.41 ID:PrppEo6X0
煙突山の山頂はマグマが多いせいで以上に暑かった。
もちろん、文句を言っても仕方がないので私は自分の持ち場についた。
今回の私の任務は煙突山火口で作業をするマツブサ様を守ること。
その作業とは、隕石の力で火山活動を活発にさせることだ。
そして、遥か昔大地を作ったとされる超古代ポケモンを復活させる。
そんなポケモン、復活させたところでどうしようもないと思ったが、
マツブサ様はそのポケモン…グラードンを操る術を知っているらしい。
古代ポケモンってどんな姿をしているんだろう。
少し想像してみる。
しかし、そんな相像は仲間の叫び声によってかき消された。
――もしかして、ハルカがきた!?
いや、違う! あれはアクア団か!
「ナナ、ガーディ、リザード、戦闘の準備をしておいて」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 20:57:55.91 ID:PrppEo6X0
アクア団のポケモンの大半は水タイプか悪ダイプだと聞く。
相手が後者のポケモンを繰り出してきた時は火力で容赦なくねじ伏せるまでだが、
水タイプを繰り出してきたらどうすべきか。
強力な炎ポケモンの使い手は水ポケモンをも火力でねじ伏せると聞く。
おそらくマツブサ様もそうだろう。
しかし、今の私のポケモンでは火力不足だ。
大人しく他のタイプの技で攻撃した方が効率か良いだろう。
そのとき、アクア団の一人がマグマ団の防衛線を突破してきたのが見えた。
「ナナ、あなただけで充分よ…。さぁ、準備して」
ナナはトウカの森でハルカと初めて戦った時より遥かに強くなっている。
それに、この後ハルカはここにくるに決まっている。
その時は私が止めなければいけないんだ。
ここでやられているようじゃ、あのラグラージやライボルトには勝てないだろう。
――だから、雑魚の水遊びに付き合ってる暇なんてない。
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 21:07:57.09 ID:PrppEo6X0
相手はキバニアとポチエナか…。
「ナナ、連続で火炎放射よ。2発とも確実に当てて」
ナナはコクンと頷くとアクア団が繰り出した2匹に向かって炎をはいた。
ポチエナの方はこれで戦闘不能。
残るはキバニアだけだが…。
しかし、キバニアも間もなくたおれた。おそらく火傷を負ったのだろう。
「…鬼火の手間は省けたね。こんあところで使っちゃもったいないもんね」
私はナナの頭を撫でながら再び前へ向き直った。
煙突山を占拠してから、2時間。
計画は驚くほどスムーズに進んでいた。
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 21:15:34.67 ID:PrppEo6X0
そのときだった。
いきなり通信が入った。それも、悲鳴のようなものだ。
『全団員ニツグ! 例ノ少女ガ防衛線ヲ異常ナ速サデ突破シテイル!
コノママダトマツブサ様ノトコロニ辿リツイテシマウ!
タダチニ守リヲ固メ…ウワアァァァァァッ』
やっぱり、来てしまったか。
私は遠くの方へ目をやる。ポケモンによって作り出されたであろう巨大な波がマグマ団のポケモンを飲み込んでいる。
10年前のあの光景が蘇る。
大雨による洪水で壊滅したミナモシティ。
海へと消えた両親。
私は……、そんな思いを2度としないために陸を広げる。
「……ナツミ!」
気がついたら目の前にハルカがいた。
さぁ、戦わないと。
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 21:27:37.19 ID:PrppEo6X0
「……ハルカ、よくここまで来たね。マグマ団の防衛線を一撃で突破するなんてなかなかできることじゃないわ」
これは私の素直な気持ちだ。こんな相手に果たして勝てるのだろうか。
「連れているポケモンも1匹増えたんだね。それは…チルタリスってやつかな。可愛いね」
「……ナツミ、聞いて」
ハルカは神妙な顔で私に語りかけた。
「あなたとはずっと友達でいたいの。だって、バトルの時だって一緒に買い物した時だってとても楽しかった。
私もホウエン地方に引っ越してきたばかりで…。でも、あなたは私のことを友達だと言ってくれた。
とっても嬉しかったんだよ?」
「私だって…!」
私は物心ついたときからマグマ団で英才教育を受けてきた。
もちろん、組織の中で同年代の子供がいるわけがないから友達なんていなかった。
だけど、ハルカは私の友達になってくれた。
そして、あの時。流星の滝で会わなければずっと友達のはずだった。
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 21:36:55.48 ID:PrppEo6X0
「ハルカ、あなたはここにいる以上、私たちの敵と見なすわ。お願いだからこっから立ち去って……!」
「嫌」
あまりにもはっきりと答えられたせいで私はつなぐ言葉が無くなってしまった。
「ナツミ、あなたはやっぱりここで倒さなきゃいけないみたい。
この先にマグマ団のボスがいるんでしょう?
あたしはあなたとずっと友達でいたい。だけど、あなたがこの組織に所属している以上、それは夢のまた夢」
「……じゃあ、どうするっていうのよ……」
「決まっているじゃない」
ハルカは3匹のポケモン、ラグラージ、ライボルト、チルタリスを繰り出した。
「――あたしがマグマ団を潰す」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 21:41:28.68 ID:PrppEo6X0
「ッ! やれるものなら――」
同時に私もナナ、ガーディ、リザードを繰り出す。
「やってみてよ!」
私の叫びを合図にまずはガーディが動く。
ラグラージに電光石火。
しかし、ガーディよりもずっと大きい体はビクともしなかった。
そのまま足をつかまれて投げ飛ばされる。
幸い着地できたからダメージはなかったが…。
(戦法を変える必要があるわね)
ナツミは唇をかんだ。
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 21:51:01.52 ID:PrppEo6X0
「ラグラージ、波乗り!」
波乗り。威力の高い全体攻撃の技だ。スタジアムだったら確実に当てられるだろう。
だが、ここは火山の火口。
「みんな、横に逃げて」
波乗りの技の範囲は確かに広いが、所詮は波を操るのではなく、波を放つだけ。
避ければどうってことないのだ。そして、3匹はスピードが自慢なのだ。
目標をなくした波はそのまま火口に落ちて水蒸気と化す。
「ナツミ、全体を見た方がいいよ!」
「!?」
改めてハルカの方を見ると、チルタリスが物凄いスピードで突っ込んできていた。
リザードを狙うつもりか!
「リザード、見切って!」
間に合った! 私の指示通りリザードはその攻撃を避けた。
しかし、次の瞬間。
反対方向にいたガーディを空から降り注いだ雷が襲った。
リザードに気を取られていたガーディは雷撃をもろに食らってしまった。
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 21:58:41.44 ID:PrppEo6X0
「くっ……! ナナ、リザード火炎放射!」
ガーディはなんとか無事なようだが一歩出遅れてしまったようだ。
2匹の攻撃の標的は前回と同じくライボルト。
ハルカもそのことはもちろんわかっているはずだった。
……しかし、ハルカはライボルトに指示を出さなかった。
直後、ライボルトに火炎放射が命中する。
……だが、全然食らっていないようだった。
「光の壁よ。もともと火力不足の炎をさらに半減させてもらったわ」
(……やられた。どうする…!?)
そう思ったときだった。
バッグの中にある物が眠っているのを思い出した。
――アジトで貰った炎の石。
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 22:07:53.43 ID:PrppEo6X0
ポケモンは進化すると力も増す。
当たり前のその発想を今まで忘れていた。
(使い時は今しかない)
「ハルカ、私はここで負けるわけにはいかない。だから、私の――人の勝手な都合でポケモンに進化してもらう」
「それは…炎の石!」
「さぁ、ナナ、ガーディ。この石を見て。今こそ進化のときよ!」
2匹が眩しい光を帯びる。進化を拒む様子はない。むしろ、自分から進化を望んでいるようだった。
「…いけない! ライボルト、電光石火でとめて!」
ハルカのライボルトはハルカが言い終える前に動き出した。
だが、さっきとは比べ物にならない炎によってゆく手をさえぎられた。
ガーディ…いや、ウィンディが放った大文字だ。
2匹はもう進化していた。
ナナは美しいキュウコンに、ガーディは逞しいウィンディに。
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 22:14:03.98 ID:PrppEo6X0
ライボルトはまだひるんでいる。
「ナナ、ウィンディ、リザード、一斉攻撃よ!」
私の指示と同時に、ナナは炎の渦を、ウィンディは大文字を、リザードは火炎放射をはなった。
増幅した私のパーティの最大火力は相手の光の壁をも打ち破り、
ライボルトに直撃した。
「あぁっ!」
ハルカが悲鳴を上げる。
ライボルトはその場に倒れた。
「うぅ、やっぱりあなたは強いわね。お疲れ様、ライボルト」
ライボルトをモンスターボールに戻すと、ハルカはラグラージとチルタリスに指示を出した。
「ここから、あたしも本気を出す!」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 22:23:51.49 ID:PrppEo6X0
(まずはチルタリスから落とす!)
「ウィンディ、チルタリスに電光石火!」
ワインディは頷くとチルタリスに向かって――
いったと思ったら既に戻ってきていた。そして、チルタリスがその場にうずくまってウィンディを睨む。
「…電光石火とは次元が違う。これが神速……」
ハルカも驚いているようだった。
きっとこの技を初めて見たのだろう。
だが、すぐに気を取り直すと、
「ラグラージ、波乗り! チルタチスは龍の舞!」
改めてポケモンに指示を出した。
ラグラージが先ほどよりも巨大な波を放つ。
本気とはこういうことか。
だけど、こちらもさっきとは比べ物にならないほどパワーアップしているのだ。
「ナナ、いけるわね?」
先ほど火口へ消えた波。今からそれを再現する。
「ナナ、炎の渦!!」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 22:33:04.02 ID:PrppEo6X0
炎の竜巻とも言える火炎の渦がラグラージの起こした津波とぶつかる。
水が炎を打ち消すか、炎が水を水蒸気へ変えるか。
勝負は互角だった。
だが、私はいつになく冷静だった。
ハルカがこの勝負に食い入っている隙にウィンディに奇襲をかけさせたのだ、
標的はもちろんチルタリス。
だが、相手のチルタリスも強かだった。
ウィンディが奇襲してくるのがわかっていたのか、ハルカの指示なしに身構えていたのだ。
そして、聞いたことのない轟音が鳴り響く。
チルタリスの渾身の破壊光線とウィンディの大文字が炸裂した。
結果は相打ち。
両者ともその場に崩れ落ちた。
そして、こちらの炎と水の勝負もケリがついた。
――ラグラージの勝ち。
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 22:38:39.68 ID:PrppEo6X0
「ナナ!」
波乗りと炎の渦、2つの威力をもつ衝撃波を食らったナナは倒れてしまった。
思えば、石で進化させたというだけで、極端に力が上がったわけではなかったのだ。
「……ごめんね、ナナ」
ナナは弱々しく鳴くと、気を失った。
これで、1対1になってしまった。
ハルカのエース、ラグラージとマツブサ様に貰ったばかりのリザード。
ここで負けるわけにはいかない。
だけど、この状況で勝てるとは思えない。
(どうする……!)
考えても思いつかなかった。
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 22:44:33.58 ID:PrppEo6X0
「……チェックメイトよ。あなたにはここで勝つ」
ハルカは静かに言い放った。
ラグラージも冷静に目標を定める。
「リザード…。あなたじゃきっと勝てない」
このまま立ち向かっていってもリザードが酷い目に遭うだけだ。
ハルカは私を救い出すためには容赦しないだろう。
負けるわけにはいかない。
しかし、仲間が傷つく姿を見たくない気持ちの方が大きかった。
「リザード、諦めましょう。あなたが傷つくのは見たくないわ」
だが、リザードは首を振って臨戦態勢に入った。
「やめて! モンスターボールに戻って!」
リザードは言うことを聞かない。そして、そのままラグラージに突っ込んでいった。
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 22:51:11.49 ID:PrppEo6X0
「リザードには悪いけど。ラグラージ! 波乗り!」
ラグラージの放った波はリザードに炸裂する。
「いやあああ!」
私は見ていられなかった。
ハルカも辛そうな表情をした。
だが、攻撃の手を休めない。
「倒れるまで波乗りよ。全力で放って!」
ラグラージも頷いてどんどん波を放つ。
1発、2発、3発…
リザードは倒れない。
4発、5発……
一向に倒れる気配が無いリザードにラグラージは津波のような強烈な一撃を放った。
小さなリザードの体は簡単に飲まれる。
(もうだめだ…!)
そう思ったときだった。
黒い、巨大な翼が私の視界に入った。
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 23:00:10.73 ID:PrppEo6X0
「な……!?」
ハルカは絶句した。ラグラージも驚いて攻撃の手を止めた。
そこにはリザードなんておらず、代わりにラgラージよりも遥かに大きい竜が立っていた。
「リ、リザードン! この状況で進化したと言うの!? しかも、その色…」
全身が焦げたように黒いその色は、通常のリザードンの色とは違った。
リザードンは怒り狂ったように地面に向かって炎をはく。
すると、地面の岩は紙のように溶けて溶岩に変わってしまった。
「勝てる……! リザードン! ラグラージを倒して!」
(ポケモンを最後まで信じれなかったんだ、私は…。だけど、リザードンは私に信じて欲しいから…、
だからあの波に耐えて耐えて進化したんだね)
リザードンが放った火炎放射はラグラージに炸裂した。
先の争いで消耗したラグラージは耐えられず、気を失った。
(勝った…!)
勝利に一瞬だけ心が安堵した瞬間、リザードンも気を失ってその巨体を横たえた。
「……引き分けだね」
戦いが終わった異様な静けさの中、ハルカが重い口を開いた。
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 23:07:45.51 ID:PrppEo6X0
「……あたし、頑張ったんだけどな。あなたと友達に戻りたかったから。各地のジムリーダーとも戦って。
一生懸命修行したのに……。勝てなかった……!!」
ハルカは泣いていた。
それほどまでに自分を大切に思ってくれているのに……。
私は彼女を返り討ちにすることしかできない……。
そろそろマツブサ様の作業が完了して装置を発動させるだろう。
隕石が効力を発揮して火山活動を盛んにさせる。
それに応えて超古代ポケモン、グラードンは動き出す……。
そして海は消え――。
「ふっ、間に合ったようだ」
いつの間にか、泣きじゃくるハルカの背後に長身の男が立っていた。
マツブサ様のように威厳がある…。
顔を知らなくてもすぐにわかった。
アクア団のリーダー、アオギリだ。
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 23:15:27.47 ID:PrppEo6X0
「マグマ団の戦力は彼女が最後か。ハルカ君と互角の勝負を繰り広げるくらいだから、よほどのトレーナーだと思って気解していたんだ。
戦うことにならなくてよかったよ」
男はアオギリと名乗るとつかつかとマツブサ様に歩み寄った。
マツブサ様とアオギリが睨みあう。
「……ひさしぶりだな、マツブサ」
「10年ぶりじゃないか、アオギリ」
マツブサ様はアオギリを見据えた。
「こんなところにアクア団のリーダーが直々に来るとはな。なんのようだ?
…と聞くまでも無いな。目的はそこの隕石だろ?」
「そんなことはどうでもいい、マツブサ。貴様に会って聞きたいことがあってな」
「ほう、なんのことかな」
「白々しいぞ。元ポケモンリーグ四天王の貴様が怪しげな組織なんか作って何をしているか、だ」
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 23:22:18.15 ID:PrppEo6X0
「そんな昔の事なんかどうでもいいだろう。四天王?30年以上前の話だ」
マツブサ様は四天王だったんだ。そんなこと全然知らなかった。
「そもそも貴様はどうしてアクア団なんか作った? 私の真似事か?」
「ふざけるな、貴様らは陸を広げる活動をしているのだろうが、我々は海を守るために活動している。
貴様らと一緒にするな」
アオギリは淡々と続ける。
「そもそも、この怪しい集団の当初の目的は陸を広げることではなかったはず。
陸地を失ってしまった地域への支援、ではなかったのか」
「そうだな…。貴様には全てを教えてやろう。かつての友人としてな…」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 23:33:22.65 ID:PrppEo6X0
「我々マグマ団が活動方針を変えたのはちょうど10年前の大雨の日からだった。そこにいるナツミも大雨による被害で孤児になった子だ」
マツブサ様は静かに語り始めた。
「元々マグマ団というのは、当時四天王を引退した私が陸を失った地域のために…。
いや、地域の子供を支援するために私が作った組織だ。
その活動に賛同してくれたものも多く、組織はより巨大なものとなり、
陸の無い地域はどんどん消えていった。
子供たちからもようやく書けるようになった文字で手紙が送られてきてね。
私は幸福の頂点にいたのだよ。
だがね、そんな時にあの事件が起こった。10年前の大雨のことだよ。
アオギリ、あの大雨は自然災害だと思うか?」
「言われてみれば、ホウエン地方が沈みそうになるほどの大雨なんて…」
「そうだ。ありえない。だがそんなことはどうでも良かった。
アオギリ、あの大雨でね、かつて私たちが助けてきた地域は全て沈んだんだよ。
下手糞な字で手紙を送ってきたあの子供たちも海に消えた。
私は怒りに燃えた。だが私の中の冷静な部分が告げたんだ。
これは自然災害なんかじゃない。きっとこの事件を起こした張本人がいる、とな」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 23:42:06.97 ID:PrppEo6X0
「神話に伝わる2匹のポケモン、大陸を創造したグラードン。……そして海を創造したカイオーガ。
後に私の研究でわかったことだが、あの事件はカイオーガの暴走によるものだった」
マツブサ様の握り締めた拳が震えていた。
私も、ハルカもこの恐ろしい話を聞いていた。
「しかし、貴様がグラードンを復活させて、海を無くしたとしても、再びカイオーガが現れて海を創造するだけどろう。
そしたらまたあの大雨が起こり、事件を繰り返すことになるぞ!」
アオギリの鋭い指摘。考えれば誰でもわかることだった。
「……貴様はわかってないよ、アオギリ」
マツブサ様の拳が静かに開いた。
「我らの目的はグラードンを復活させること。陸の拡大はその結果であり、表向きの目的に過ぎない」
「なん…だと…」
「本当の目的は! カイオーガと同等の力を持つグラードンを復活させて――
カイオーガを葬り去ることだ!!」
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 23:55:45.26 ID:PrppEo6X0
「バカな!! 神にも等しいポケモンを殺すとは何を考えているんだ!」
私もハルカもその恐ろしい計画を聞いて震えていた。
もし、グラードンが復活すれば……。
2匹の超古代ポケモンが衝突することになる。
「もう遅いよアオギリ。すでに私の部下が『藍色の宝珠』『紅色の宝珠』をおくびり山から強奪して、
アジトに戻っている頃だ。
グラードンが復活しだい、カイオーガと殺し合わせる。我々がグラードンに加勢すれば敗北はありえないだろう」
「おろかな! 人間の偏見が神に通用するとでも思うか!」
「では、再びカイオーガの暴走を許してもいいと? 私はもう許さないぞ……! さらばだ、アオギリ」
「まっ、待つんだ! マツブサ!!」
マツブサは連れていたケーシィと共にワープした。
「くそっ、こうしていられるか!」
アオギリも飛行ポケモンの背に乗って南東の方角へ飛んでいった。
「な、ナツミ……」
ハルカが私を不安げな目で見てくる。だが、私は行かなくてはならなかった。
「ハルカ、10年前、マツブサ様が私を拾ってくれなかったら死んでいたかもしれない。
だから、私にはあの人についていく義務があるの」
私はハルカの静止を聞かずに、リザードンを回復させるとアジトまで飛んだ。
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 00:11:31.78 ID:tc/a4yYf0 [1/38]
1週間後……。
ホウエン地方からマグマ団の最大勢力、同盟を組んでいる組織が煙突山に集結していた。
マツブサ様はアジトの最深部から任務を告げた。
『グラードンの復活、及びカイオーガの抹殺。戦いが終結しだい藍色の宝珠によるグラードンの封印』
かつて世界中のどこの組織も恐れて手をつけなかった計画に、一同は恐怖し、興奮した。
……神と神の戦いが見れるのか…。
ポケモントレーナーとして、これ以上の興奮はなかった。
『ただいまより、計画を開始する。半数はルネシティの目覚めの祠にてグラードンを。
そして、もう半分は海底洞窟でカイオーガを復活させよ。戦闘を展開するのはルネシティ近海とする』
私は幹部の席でこの放送を聞いていた。
あれから1週間。煙突山の戦いの時よりもさらに強くなった私は幹部に昇進した。
私が向かうのは海底洞窟。
任務は最深部にてマツブサ様と共にカイオーガを復活させ、ルネシティ近海におびき寄せること。
人間が、恐ろしい超古代ポケモンを操れるのか不安なところだが、マツブサ様の話によると紅色の宝珠というもので操ることができるしい。
そして、神に手を出す禁断の計画が開始した。
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 00:20:46.01 ID:tc/a4yYf0 [3/38]
~海底洞窟に向かう船上~
「怖いか、ナツミ」
マツブサ様が私に話しかけてきた。
「……怖いです。でも私にはポケモンたちもついていますし…、マツブサ様には恩がありますから…」
「……そうか。大丈夫だ。この計画が成功すれば君のような思いをするものはいなくなる」
「そうですね」
マツブサ様は私の頭を撫でると船室に戻っていった。
数時間後、巨大な岩の壁が姿を現した。
「ここから潜っていくぞ、潜水艦の準備をしろ」
マツブサ様の合図で潜水艦に全員が乗り込む。
海中にいるせいか、それとも恐怖か。
私は寒気が泊まらなかった。
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 00:27:22.11 ID:tc/a4yYf0 [4/38]
まったりいきましょう
「…ここが海底洞窟か。アクア団の妨害はまだのようだな…」
真っ暗な洞窟内は他の洞窟とは明らかに雰囲気が違った。
「…すごい、威圧感……」
足がすくんだ。だが、この先にはカイオーガがいるのだ。
マツブサ様の話が正しければ、親の敵ということになる。
迷路のような洞窟を進むこと1時間。
マツブサ様は足を止めた。
「あの、どうなさいましたか…」
「アオギリが後ろに迫っている。もう一人いるようだ。多分煙突山のあの少女だ」
「どうしますか?」
「アオギリは私が相手する。君は奥へ進むんだ」
マツブサ様はきびすを返した。
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 00:30:16.30 ID:tc/a4yYf0 [5/38]
「おっと、君にはこれを渡しておく。紅色の宝珠だ」
「これをどうすれば…」
「カイオーガの前で掲げればいい。そして、やつの目が覚めたら一言、ルネの近海へと言えばいい」
私は頷くとさらに奥へと進んだ。
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 00:38:00.13 ID:tc/a4yYf0 [6/38]
「マツブサ、貴様の好きにはさせない」
「ほう、ここまで追ってきたか、アオギリとハルカとやら」
「目覚めの祠にも私の部下が向かっている。ハルカ君、先に進んで友達を止めるんだ。
私は私の友を止める……!」
「はい!」
ハルカは洞窟の奥へとかけて行った。その小さい背中を見送ると、アオギリはモンスターボールを取り出した。
「ポケモンリーグの貸しがまだあったな。ちょうどいいからここで晴らさせてもらう」
「ふん、やれるものならな。だが、貴様は私に勝てない」
マツブサはカッと目を見開いた。
「私には、信念がある。10年前の悲劇を繰り返さないという、強い思いが!!
かかってこい、アオギリ!!」
125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 00:49:34.85 ID:tc/a4yYf0 [8/38]
暗い洞窟の中をひたすら進むと、ついに最深部だと思われる空間にたどり着いた。
威圧感に満ちているそこはなんとも神々しく、禍々しかった。
「カイオーガ…!」
私は静かに眠っているそのポケモンを見据えた。
こいつが暴走したせいでお父さんとお母さんは…。
マツブサ様が救った子供たちが…!
そう思うと憎しみがこみ上げてきた。
だが、これからそこにいる仇も死んだみんなと同じ目に遭うだろう。
懐から紅色の宝珠を取り出し、カイオーガを復活させようとした瞬間だった。
「ナツミ!」
ハルカだった。
やっぱりきてしまった。
「……運命なのかな」
私の呟きはハルカにも聞こえたようだった。
「私たちがであって、友達になって、そして敵同士として戦う。…なんて残酷なんだろうね」
「ナツミ…」
「でも、もう私は止められない。私はマグマ団幹部。組織の目的のためには友達にも刃を向けるわ……」
「……最終決戦だよ、ハルカ!!!!!」
126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 01:00:04.15 ID:tc/a4yYf0 [9/38]
「……私はあなたの友達だから! きっと止めてみせる!」
ハルカが繰り出したのはあの時と同じ3体。
もちろん私のパーティも相変わらずだ。
「先手必勝よ。ウィンディ、神速!」
ウィンディがチルタリスに仕掛ける。しかし、チルタリスは見事に避けた。
勢いあまったウィンディが岩を砕く。
「リザードン、翼で打つ!」
続くリザードンの攻撃もチルタリスは避ける。
…だが、3発目はどうだ。
ナナが放った鬼火はチルタリスに命中し、火傷を負わせた。
ハルカの表情に焦りが見える。だが、これで私の手は終わりではない。
攻撃をかわされたウィンディ、リザードン、そして、チルタリスを抜いた3匹はラグラージを囲む位置にあった。
「さぁ、みんな大文字!!」
3つの強力な火炎攻撃がラグラージを襲い、大爆発を起こす。
だが、ラグラージは無傷だった。
……読まれたか。
ハルカはラグラージに「守る」をさせていたのだ。
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 01:08:37.26 ID:tc/a4yYf0 [10/38]
「今度は私の番! ライボルト、雷!」
ハルカのライボルトが放った雷は当然のごとく飛行タイプを併せ持つリザードンの方へと向けられた。
おそらく、この雷は私たちのフォーメーションを崩すだけのもの。
リザードンが避けれないはずが無い。
だが、ハルカがそんな簡単な考えで動くはずが無い。
私は急いでリザードンの避ける方向を推測する。
そうか、あの攻撃を避けたら、3体とも波乗りの射程範囲にはいる!
まとめて畳み掛けるつもりだ!
だったら、どうすればいい。
そのとき、昔頭に叩き込まれた知識が蘇った。
『どうしようもなければ、地形を利用すべし。』
そうだ、雷は岩には無効だ。
「リザードン、岩場に隠れて!」
私が指示するとリザードンは速やかに行動する。
雷はリザードンが隠れた岩場を破壊しただけだった。
同時にラグラージが次の行動に詰まった。
――ビンゴだ!
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 01:13:01.62 ID:tc/a4yYf0 [11/38]
その一瞬をついて、私たちはフォーメーションを戻した。
そして、相手に休む暇も与えず火炎放射を浴びせる。
ハルカのポケモンはそれをまともに食らってしまった。
「さて、1抜け2抜けよ!」
ナナの放った炎の渦はライボルトに。
ウィンディの神速はチルタリスに炸裂し、2匹とも倒れた。
3対1。
ハルカの表情が動揺しているのがわかった。
132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 01:19:35.14 ID:tc/a4yYf0 [12/38]
「この勝負、勝敗は決まったも同然よ」
私はハルカに宣言する。
この危機的な状況を打破するなんて不可能。
私はそう踏んでいた。
しかし……。
「ラグラージ、こうなったらあれをやるしかないよね。いける?」
この局面に何を…。
「普通は一撃放つだけで反動で動けなくなる大技。
それを5連続で出すの。
それはもう凄まじい威力よ」
「そんなこと……できるの?」
「できないことは言わないわ。私はラグラージを信じる」
「くっ…! みんな、構えて!!」
「無駄よ。水系最強技と言われているハイドロポンプをさらに上回る大技。
――ハイドロカノン!」
134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 01:32:59.70 ID:tc/a4yYf0 [13/38]
「今回は私の勝ちだね、ナツミ」
私のポケモンたちはラグラージの大技によってみんな戦闘不能になっていた。
負けた。
「この技はね、あなたを倒すために頑張って覚えたのよ」
その場に倒れているラグラージを撫でながらハルカは続ける。
「この調子だと5日は動けないなぁ。そうだ、戻ったらミナモデパートでお買い物しようよ!」
「ハルカ…」
「それから、カイナシティで海水浴ってのもいいよね。あっ、ナナちゃんたちには無理かなぁ」
「ハルカ…」
「ねぇ、ナツミはどこに行きたい? どこかに行きたいのなら起きてよ。せっかく友達になれたのに」
意識がぼんやりとしてはっきりしない。
唯一わかることといえば、ハルカが私を抱き上げて泣いていると言うことだ。
さっき、何があったのかを思い出す。
そうだ、ラグラージが大技を放った時、私はみんなの前に出ていってその水に飲まれたんだっけ。
それから、ハルカの悲鳴が聞こえて、こんなことになってるんだ。
『おきて! おきてよねぇ! 死んじゃいやぁ!』
そんなこといわれても、体が動かないんだもん。
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 01:35:00.63 ID:tc/a4yYf0 [14/38]
きりがいいのでお風呂に入ってきます
できるだけ早く戻ってきますね
147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 02:15:26.31 ID:tc/a4yYf0 [16/38]
「……アオギリ、やはり腕が落ちたようだな。バクーダ、噴火」
アオギリのポケモンが大爆発に巻き込まれる。
勝負はマツブサの勝ちだった。
「…なんだ、また負けか」
アオギリは洞窟の奥に目をやった。
さっき、轟音がしたが、何かあったのだろうか…。
最悪の場合、カイオーガが復活しているはず。
しかし、そんな動きも無い。
「時間稼ぎはここまでだ。あちらの勝負も終結しているだろう。貴様は大人しくそこでみているんだな」
バクーダに見張りをさせるとマツブサは奥へと向かった。
(カイオーガ、貴様の終わりのときは近い…)
「ここが最深部か」
マツブサは少し様子を伺った後、中に入った。
――やけに静かだ。
しかし、静かな空間の中に何かが混じって聞こえる。
少女の嗚咽。
そして、視界が開けてくる。マツブサは見た。
倒れているナツミと、その傍で泣きじゃくっている少女を…。
「何があったというのだ……!?」
149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 02:27:03.88 ID:tc/a4yYf0 [17/38]
「……無事か!」
こんな危険な任務に幼い少女を向かわせたのが失敗だったのか…。
マツブサはすぐにナツミの様子を確かめると、ほっと息をついた。
「……死んではいないようだ。グラエナ、ナツミをアオギリのところへ」
ポケモンにそう指示すると、マツブサはハルカの方へ向いた。
「君もここから逃げた方がいい。紅色の宝珠の力で、今からカイオーガを復活させるからな」
「そんな…っ! そんなことしたら!」
「大丈夫だ。我々に任せたまえ」
マツブサは紅色の宝珠をカイオーガに掲げた。
「カイオーガよ、復活したまえ!」
その瞬間、真っ赤な禍々しい光が洞窟を包んだ。
まるで、時が止まったような感覚だ。
同時に、脳内に低く不気味な声が響く。
『誰だ、我の眠りを妨げる者は…!』
「カイオーガよ。ここに紅色の宝珠がある。言うことを聞け」
『はっ。そのような物…』
カイオーガが言うと、紅色の玉が砕け散った。
150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 02:33:46.31 ID:tc/a4yYf0 [18/38]
「バカな……! これで制御できるはずでは…!?」
『ふん、我は昔とは比べ物にならないほど力をつけた。そのようなおもちゃ、我には無効だ』
『人間風情が舐めおって…、む、この禍々しい感じは!』
「この地響き、つ、ついにグラードンが復活したぞ!」
『グラードンだと? 面白い。1000年ぶりに戦いたいと思っていたところだ』
カイオーガは一瞬で姿を消した。そして、次の瞬間。
部下から通信がはいった。
『マツブサ様!ルネシティ近海にてグラードンとカイオーガの戦闘が開始しました!!』
151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 02:40:51.09 ID:tc/a4yYf0 [19/38]
「そうか、今から私も向かう。戦況はどうだ?」
『はっ…、カイオーガが圧倒的に押しています。我々の加勢なんてお構いなしです!』
「なんだとっ!?」
『それから、ホウエン地方で大雨と日照りを観測。あと24時間もすればホウエン地方は…
壊滅します!!』
「ひっ、被害状況は!」
『はっ、10年前の事件があってか、海辺に面する町の市民は避難を終えております。
よって死傷者、行方不明者はまだ出ていません!
しかし、先ほども申したようにホウエン地方全体が壊滅する恐れがあります!』
「そんな…私は…」
マツブサの顔面が蒼白になった。
「10年前の…いや、それ以上の悲劇を引き起こしているとでもいうのか…!」
152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 02:46:58.92 ID:tc/a4yYf0 [20/38]
洞窟の外に出ると、アオギリとハルカが待っていた。
「見ろ…これがお前が行った愚かな行動の結果だ!! このままではホウエン地方だけじゃない…
世界が崩壊するぞ!!」
「私は…」
アオギリはため息をついた。このままでは、何もかもが崩壊する。
「とりあえず、ナツミ君とハルカ君を一番安全なハジツゲタウンまで運んで来い。
俺はルネシティに行く。お前もすぐに来い」
「わ、わかった…」
154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 02:52:34.85 ID:tc/a4yYf0 [21/38]
~ハジツゲタウン~
「んん……」
「ナツミ! 気がついたの!?」
「ここは…」
ナツミが目覚めてハルカは全身の力が抜けるのを感じた。
「ハジツゲタウンよ。ルネシティではグラードンとカイオーガが戦ってる」
「そう……、ポケモンたちは? みんなそこで休んでいるわ」
「良かったぁ。ハルカ、あなたは大丈夫?」
「……」
「…ハルカ?」
156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 02:59:16.72 ID:tc/a4yYf0 [22/38]
ハルカはナツミの頬にそっと触れた。
「ごめんね、本当にごめんなさい…。私、あなたにもラグラージにもひどいことを…!」
「ハルカ……」
「ごめんね。ごめんね!」グスグスッ
「…もう気にしないで」
「私、ハルカの友達…でいいの…かなぁ」
157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 03:03:57.55 ID:tc/a4yYf0 [23/38]
「……うん」
「……ありがと……」
間もなく、ナツミは安らかな寝息を立て始めた。
――さぁ、あたしにはまだやるべきことが残っている。
「チルタリス、ライボルト」
すでに全快している2匹を連れて、ハルカはルネシティへ向かった。
158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 03:09:53.64 ID:tc/a4yYf0 [24/38]
ルネシティでは2匹のポケモンが激しく争っていた。
属性的な問題なのか、カイオーガが優勢のようだった。
マツブサ、アオギリやマグマ団、アクア団は争いから町を守るのに精一杯のようだった。
「ハルカ君ー!!」
小さく、アオギリの声が聞こえた。
「ルネジムの中にダイゴという男がいる! その男が君に話があるようだ!!」
ハルカは頷くとチルタリスにルネジムへ向かうよう指示した。
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 03:14:50.62 ID:tc/a4yYf0 [25/38]
「やぁ、僕はダイゴ。君の実力を見込んで話がある」
「あたしに?」
ダイゴと名乗った男はこんな自体にもかかわらず落ち着いていた。
「なぜこのような事態になったか、というのは大体知っているね?」
「…はい」
「なら話は早い」
163 名前:ダイゴさんの大誤算[うぃっしゅ] 投稿日:2010/08/11(水) 03:22:22.04 ID:tc/a4yYf0 [26/38]
「君には、今からキナギタウンの東にある空の柱というところへ向かって欲しい。
本当は僕が行きたいくらいなんだけど、海辺の町の被害を食い止めるだけで手一杯なんだ」
ダイゴが肩をすくめる。
「空の柱には大空を創造した第3の超古代ポケモン、レックウザがいる。
1000年前、グラードンとカイオーガが争ったのを止めたのもそのポケモンだ」
「わかりました、あたしやってみます!」
「うん、頼んだ。じゃあ僕はトクサネシティに戻るよ。そして次はミナモシティ、ムロタウンっと。
あぁ忙しい」
ダイゴはニッコリ笑うとポケモンの背に乗って飛んでいった。
「空の柱ね。チルタリス、飛んで!」
チルタリスは待ってましたとばかりに空の柱へ飛んだ。
165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 03:28:33.63 ID:tc/a4yYf0 [27/38]
「…ここね、降りて」
なるほど、中はずいぶんと広いようだ。
普段なら攻略を楽しむのだが、今はそんな場合じゃない。
「チルタリス、頂上まで飛んでいくわよ!」
再びチルタリスの背に乗ると、チルタリスはすごいスピードで空の柱を進んでいった。
頂上までそんな時間はかからなかった。
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 03:37:39.73 ID:tc/a4yYf0 [28/38]
>>166
そうだよ、この話はルビーの世界観です
~頂上~
「あそこにいるのがレックウザ…」
巨大な竜がハルカを見た。
『人間の小娘か…、我に会いに来たのはやはりカイオーガとグラードンのことだな?』
ハルカはレックウザを見据えて頷いた。
『わかった。我がいってみよう、お前は人間の代表して来たんだろう? 我の背中に乗れ』
「…わかったわ」
チルタリスをモンスターボールに戻すと、ハルカはレックウザの背に乗った。
『……飛ばすぞ、しっかりと捕まっていろよ』
172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 03:44:50.69 ID:tc/a4yYf0 [29/38]
『まったく、人間風情が愚かなことを…』
『グラードンもカイオーガも人間なんぞ相手にしなければ済む問題だろうて』
『そもそも、宝珠とかなんだとかで我らを制御できると言う発想がつまらん』
『と、いうかポケモンを操るという発想がくだらんな』グチグチ
……そろそろルネシティが見える頃だろう。
レックウザはハルカに静かに言った。
『我が手を貸してやるのはこれで最初で最後だと思え。次は無いと思うなよ…』
177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 03:55:14.72 ID:tc/a4yYf0 [30/38]
「なんだ、あの光は…!」
マツブサが空を見上げて絶句した。
見たことも無い巨大なポケモン、そしてその背に乗る少女――ハルカ。
その姿を見たとたん、2匹のポケモンは争いをやめた。
『グラードンにカイオーガ、貴様らは決して相見える事のない者たちだ。
しかし、人間が作ったくだらぬきっかけを理由に戦闘を始めた。
我らはこんな形をしていても世界の創造主に他ならない。
決して表の世界に出てきてはいけないのだ…』
グラードンもカイオーガも大人しく聞いていたが、レックウザが話し終えると姿を消した。
同時に、大雨が止み、雲間から日差しが差し込んだ。
「お、終わったぁ」
『さぁ、お前ももうお行き。我もああいった以上、早く戻らなければならん』
「うん、ありがとうございました…」
『例には及ばない』
180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 04:02:38.35 ID:tc/a4yYf0 [32/38]
>>178
ホウエン地方のお話ですから出ないです
「やぁ、やったみたいだね」
ルネジムに降り立つと、ダイゴが話しかけてきた。
「やっぱり君に頼んでよかったよ」
「いえ…あたしはレックウザを呼んできただけだから…」
「それでも君には救われた。感謝するよ。さぁ、マツブサたちのところへ行っておいで」
…。
「ハルカ君、無事のようだな。良かった」
アオギリとマツブサがこちらに歩み寄ってきた。
「君に頼みごとがある」
マツブサはハルカを真剣な表情で見据えた。
「ナツミに伝言があるんだ……」
181 名前:うぃっしゅ地方[] 投稿日:2010/08/11(水) 04:10:07.21 ID:tc/a4yYf0 [33/38]
……。
「ナツミ、終わったよ」
病室に入ってきたハルカがにこっと私に笑いかけた。
彼女はあれだけの騒ぎに巻き込まれたというのに傷一つ無かった。
「…あの、マツブサ様は?」
今回の事件を起こした張本人はいうまでもなくマツブサ様を筆頭としたマグマ団だ。
おそらく、罪に問われるのはマツブサ様だろう。
しかし、マツブサ様は私にとっては命の恩人であり、肉親のような存在でもあった。
「あなたに伝言があるの、マツブサさんから」
ハルカがベッドに腰掛けるとマツブサ様からの伝言を伝えた。
186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 04:18:53.01 ID:tc/a4yYf0 [34/38]
『自分の仲間や、友を信じなさい。決して醜い心を持たぬように。
迷ったら思いとどまって、よく考えてから行動するように。私にはそれができなかった。
この先、私と同じ道を辿るものが現れないよう、私が伝えたことを君に伝えて欲しい:』
「マツブサ様……」
震える私の肩を、ハルカが抱いてくれた。
187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 04:25:00.04 ID:tc/a4yYf0 [35/38]
その後、マツブサ様は大人しく自主、マグマ団は解散する。
同時にアクア団も解散。
海に面した町の被害はまったくと言っていいほど無かった。
ダイゴさんの活躍があったから、と人々は言うが真実かどうかは定かではない。
190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 04:32:29.89 ID:tc/a4yYf0 [36/38]
私はマグマ団幹部から、普通のポケモントレーナーになった。
この先、たくさんの人やポケモンたちと出会うだろう。
ハルカとは、ポケモンリーグで会う約束をした。
その頃にはお互い最強の座をかけて勝負しようと。
193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 04:40:45.19 ID:tc/a4yYf0 [37/38]
エピローグ
まぁ、新しいチャレンジャーかしら。
その歳でよく四天王を勝ち抜いてこれたわね。
今の四天王は史上最強って言われているのよ。
ところであなた…
あっ、やっぱりハルカの娘さんなの?
そうなんだ。似てると思ったんだ。
私?そうね、ハルカとは15歳の時からの付き合いなのよ。
ふふ、やっぱりあなたはお母さんとよく似てるわ。
どこがって? んー、わからない。
でも、実力は言うまでも無いわね。
お母さんとの勝負にはもう勝った?
なるほど、互角なんだ。
ところで、そのカメックスは?
まぁ、あのラグラージの子供なの!
ということは、他の子たちも? あらあら。
それじゃ、お話は今度にして勝負にしましょうか。
私はナツミ。
ホウエン地方が誇る炎使いにして、ポケモンリーグチャンピオンよ!
さぁ、あなたの実力を見せてごらんなさい!
おしまい
197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 04:46:08.09 ID:tc/a4yYf0 [38/38]
ほぼ12時間書いてました
主人公のパーティはほとんど僕の趣味です
読んでくれた人、レスくれた人、本当にありがとうございました
書いている側としても、めちゃくちゃ楽しかったです。
今度SS書くようなことがあったらまたよろしくおねがいします
ハルカ「へぇー。あなた炎のポケモンが好きなんだっ!」
私「う、うん」
ハルカ「あはっ、あたしのミズゴロウとは相性が悪いね!」
ハルカと名乗った少女は連れていたミズゴロウを撫でながら私に笑いかけた。
私「でも、私のロコンも可愛さでは負けてないよ、ねぇナナちゃん?」
ハルカ「あら、ミズゴロウちゃんだって可愛いもんねー」
彼女と話しているうちに、いつの間にか仲良くなっていた。
日が暮れ、別れる時間になるとハルカがポケナビを取り出した。
ハルカ「ね、また今度勝負しようよ! 電話番号を交換したらいつでもお話できるし!」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:05:59.25 ID:PrppEo6X0
~マグマ団アジト~
ロコンのナナちゃんの頭を撫でながら、私は先日トウカの森であった少女のことを思い出していた。
彼女のパートナーのタイプから考えて、カナズミジムはとっくにクリアしているだろう。
(…私も普通のトレーナーだったらなぁ)
ふとそんなことを思って、急いで頭を振る。
マグマ団のリーダー、マツブサ様には恩があるのだ。
それは、10年前…私が5歳の時だった。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:10:30.68 ID:PrppEo6X0
10年前、ホウエン地方はかつて観測されたことのない大雨に見舞われた。
当時私が住んでいたミナモシティは、海に面しているせいで被害が大きかった。
町が海に流され、私は死に物狂いで家の柱に捕まって、洪水に耐えていた。
そして大雨が止み、洪水が収まった頃、
両親の姿はどこにもなかった。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:13:02.06 ID:PrppEo6X0
必死になって両親を探している私に、残酷な現実が突きつけられた。
ミナモシティの住民の大半は海に消えたとのことだった。
とくに、私が住んでいた地区は最も被害が大きく、生き残っている人間は私だけだという…。
途方にくれる私に手を差し伸べたのは、町の近くで行動していたマツブサ様だった。
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:17:04.95 ID:PrppEo6X0
孤児になってしまった私を引き取ってくれたマツブサ様は、私をアジトに連れ帰り、
マグマ団になるための英才教育を私に受けさせた。
私は組織のことを知らなかったが、マツブサ様から受けた恩を返すため必死で勉強した。
そして、10年が経ちようやく私も単独行動を許された頃、そこにいるロコンのナナと出会った。
トウカの森の任務は私の初めての任務だった。
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:20:42.60 ID:PrppEo6X0
「ハルカかぁ…また会いたいなぁ」
アジトにある自室の中でポケナビを眺めながら呟いた。
あれ以来、ハルカとは連絡もしていない。
―友達なんて、マグマ団の私には関係のないことだよね…。
少し寂しくなった私は気持ちを押しとどめて眠りについた。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:23:57.70 ID:PrppEo6X0
翌日、任務のない私はトウカの森で修行することにした。
いくら勉強して戦法や技を学んでもポケモンが弱かったら意味がない。
「あなたは炎タイプだから、虫ポケモンを相手にする分には相性がいいのよ」
ナナを撫でると私はトウカの森へ向かった。
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:30:45.29 ID:PrppEo6X0
「さぁ、始めるわよ」
ケムッソを見つけると私はナナに戦闘態勢に入るように支持した。
「ナナ、あなたは速さだったら他のポケモンには負けないわ。
相手の攻撃に当たらないようにすることが先決よ!」
ナナは頷くとケムッソの様子を身長に伺った。
次の瞬間、ケムッソの口から糸が放たれた。
しかし、警戒していたナナには当たらない。
「今よ、火の粉!」
ナナが繰り出した火の粉は、相手のケムッソに命中し、そのまま気絶させた。
「よくやったわね、その調子でいきましょう」
私たちはそのまま日が暮れるまで修行した。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:34:48.18 ID:PrppEo6X0
ハルカと再開したのはそれから3日後だった。
ハルカ「あっ、久しぶり!」
彼女の連れているミズゴロウは既に進化していて、ヌマクローになっていた。
私「…ミズゴロウの方が可愛かったと思う」
ハルカ「えぇー? でも、こっちにもミズゴロウにはない魅力があるんだから!」
相変わらず屈託なく笑うハルカを見て私は少し安心した。
ハルカ「ねぇ、久しぶりに勝負しない?」
もちろんそのつもりだ。
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:38:51.21 ID:PrppEo6X0
ハルカ「じゃあっ、いくわよヌマクロー!」
のしのしと出てきたヌマムローを見て、私は早速分析にはいる。
動きは遅いに決まっている。普段なら火の粉で畳み掛けるが、相手は水&地面タイプだ。
火力の低い火の粉が通用するわけもない。
だったら…。
「ナナ、まずは動きで相手の集中力を奪って」
思いついた戦法でおそらく勝てるだろう。
私はナナに指示を出すと、次の手を考え始める。
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 17:44:54.66 ID:PrppEo6X0
ヌマクローがナナの動きに目を回し始めた頃、私はナナに新たな指示を出した。
「ナナ、体当たり!」
言われたとおり、ナナは素早い体当たりを繰り出す。
もともと速いスピードで動いていたナナから繰り出された体当たりは、格別に威力があった。
倒れたヌマクローをナナがしっぽで更に追い討ちをかける。
(…もらった)
「ナナ、トドメよ」
ナナは頷くと、体全体をヌマクローに叩きつける。
勝負ありだ。
ハルカ「ふえぇ~、相変わらず強いねぇ」
「…ありがと」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:21:25.62 ID:PrppEo6X0
すまん、見ている人がいるとは思わなかった
今から書きます
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:31:07.53 ID:PrppEo6X0
数日後、マグマ団全員に招集がかかった。
なんでも敵対勢力があるとのことだった。
最近知らされたことだが、マグマ団の目的は「大地を増やす」こと。
そして、敵対勢力は「海を増やす」ために活動しているらしい。
言うまでもなく、その組織―アクア団は活動の邪魔になるのだ。
邪魔になるものは排除する、それがマグマ団のやり方だ。
その集会でマツブサ様は「アクア団の排除」を告げた。
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:39:17.68 ID:PrppEo6X0
アクア団は現在、カイナシティにいるらしい。
数日後、早速マグマ団の中でも実力があるトレーナーたちと幹部一人がカイナシティへ向かった。
しかし、私はなぜか連れて行ってもらえなかった。
(…まだ、実力不足ということか)
悔しい気持ちの中、修行の日々を送って3日後。
カイナシティに向かったメンバーが戻ってきた。
―任務は失敗。
私は耳を疑った。一人の少女に妨害された?そんなバカな。
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:44:58.07 ID:PrppEo6X0
メンバーたちが少女の詳細を報告しだす。
―年齢は15歳くらい
私と同じくらいか。
―身長、体格はこいつと同じくらい。
こいつとは私のことだ。
―特徴は赤いバンダナ
あれ…
―連れているポケモンはヌマクロー、ライボルト
あれれ…
―名前はハルカと名乗っておりました
なんだって…!
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:49:00.91 ID:PrppEo6X0
そういや主人公の女の子の名前決めてなかったなぁどうしましょ
ハルカがマグマ団の存在を知ってしまった…。
もしかしたら、メンバー達の失態でその目的までも知られてしまったかもしれない。
幸い、私がマグマ団の格好をしているときにハルカには会っていない。
しかし、この先の任務はそうともいかなくなる。
私はマグマ団幹部候補生だからだ。
そうなるために幼い頃から英才教育を受けさせられてきたのだ。
どうしよう、ハルカとは友達でいたいのに…!
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:54:52.52 ID:PrppEo6X0
そんなことで悩んでいるうちに、私に任務が回ってきた。
場所は「流星の滝」
目的は「隕石の強奪」
人から奪うのか。抵抗はしないで欲しいけど…。
「隕石回収後は速やかに待避、アジトに戻り次第総裁に提出」
これが任務の全容だ。
この任務の重要度は「S」
つまり、確実に遂行しなければならない。
身支度を整えながら、私は嫌な予感がしていた。
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 18:59:25.04 ID:PrppEo6X0
流星の滝に向かう道中、私はガーディを仲間に加えた。
草むらでハブネークに襲われているところを助けたのだ。
ナナとも気が合うようで、2匹はすぐに打ち解けた。
「…着いたぞ、流星の滝だ」
同行した幹部が私に声をかけた。緊張して手が震える。
「さ、行くぞ…」
そう言って幹部は洞窟の中に入っていった。
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:06:57.17 ID:PrppEo6X0
そこには一人の白衣を着た男がいた。間違いなくソライシ博士だろう。
幹部は彼に近づくと、いきなり肩をつかんだ。
「ヒッ、なんですかあなたたちは!」
怯える男を幹部はにらみつける。
「誰だっていい。その隕石を渡してもらおう」
「そ、そういうわけには…うわっ!」
博士が口を閉じる前に幹部が荒々しく彼を突き飛ばした。
「ふん、悪く思うなよ…」
幹部がきびすを返した時だった。一人の少女が洞窟の中に走りこんできた。
「チィ、お前はさがってろ」
幹部の足が少女に向いた。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:11:29.72 ID:PrppEo6X0
「お嬢ちゃん、今すぐここから立ち去れ。さもなくば…!」
「さもなくば…? あたしをどうするの?」
聞き覚えのある声がした。嫌な予感がよぎる。
「生意気な、いけっグラエナ!」
幹部はグラエナを繰り出した。しかし、勝負は一瞬でついた。
少女のポケモンの技によって一撃で倒されてしまったのだ。
そのポケモンとは…
ラグラージとライボルト。
私は自分の血の気が引いていくのを感じた。
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:14:59.35 ID:PrppEo6X0
(ど、どうしよう! ハルカに姿を見られないようにしないと…!)
私はその場から逃げようとした。しかし…
「おい、(主人公の名前)! お前が相手してやれ!」
「えっ…!」
少女の息を呑む音が聞こえた。
…ついに、バレた。
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:21:44.58 ID:PrppEo6X0
「(主人公の名前)ちゃん! あなた、ここで何を…」
終わりだ。
彼女とは友達になれると思っていたのに。
「なんで、マグマ団なんかに…!」
「ふふ、驚いた…? あなたがここに来なければ私たち友達でいれたのにね…」
目を見開くハルカに私は続ける。
「そうよ、バレたのなら仕方ない。私はマグマ団の団員、そして次期幹部!
海をなくし、陸を広げるのがわが組織の目的! 私の組織のやり方を知ってる?
邪魔する者はみーんな排除するの!」
そう言って私はナナとガーディを繰り出した。
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:27:48.26 ID:PrppEo6X0
「…ちょっと待って! あたしはこんな形であなたと戦いたくないよ!」
「だったら、ここから立ち去ることね。ただし、隕石は私たちの手にまわり、海がなくなる日も近づくけどね!」
狂ったように叫ぶ私は彼女の言葉を何も聞かなかった。
「あなたと私の力の差はだいぶ開いてるわ! …でも!」
私はチラッと幹部のほうを見た。既に手に隕石を持っている。
「あの人が脱出するまでに、私を倒せるかしら…? 瞬殺というのはありえないと思うけど?」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:35:29.16 ID:PrppEo6X0
ラグラージはタイプの相性が悪すぎる。
対してライボルトはどうだろう。
確かに雷撃は強力ではあるが、その反面耐久面は低いはず。
ナナとガーディで狙い撃ちすれば勝てないはずはない。
「そちらから来ないのなら私からいく。ナナ、ガーディ、ライボルトを狙い打ちにして」
ハッとしたハルカがライボルトに回避の支持を出すが、ナナの火炎放射の方が早かった。
ダメージで動きが止まったライボルトに、さらにガーディが火炎放射を浴びせる。
ハルカの顔に焦りが見えた。
「だめじゃない、回避くらい命令しなくてもできるようじゃなきゃ」
そう言って後ろを見る。幹部既に脱出はできたようだった。
「あなたとは、もう友達になんかなれない。次に会うときは必ずラグラージも倒すわ。」
そう吐き捨てて私はきびすを返した。
ハルカの叫ぶ声が聞こえたが、振り返らなかった。
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:42:30.30 ID:PrppEo6X0
「…ご苦労であった」
「はっ」
マグマ団アジトの最深部にて、幹部がマツブサに隕石を提出した。
「ところで、(主人公の名前)が見えないようだが?」
「それが…あの任務からずっと自室に引きこもってしまいまして…」
幹部は任務の一部始終をマスブサに報告した。
「例の少女はあの子の知り合いだったと?」
「ええ、そのようです」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:47:08.13 ID:PrppEo6X0
「ふむ、それは可愛そうなことをした。しかし、人はそういうことを積み重ねて生きていくものだ」
「マツブサ様も何かおありで?」
「…いや、なんでもないさ。それより、今度は煙突山に向かう。今のうちに招集をかけておけ」
「わかりました」
幹部が去った後、マツブサは唇をかんだ。
(アオギリめ…、ついに感づいたか。煙突山の任務は私も繰り出すしかないようだな)
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:52:21.11 ID:PrppEo6X0
~ナツミの自室~
「う、うぅ…」
ナツミはベッドの上で膝を抱えてずっと泣いていた。
せっかく、友達ができると思ったのに。
そんなナツミをナナとガーディは心配そうに見ていた。
コンコン
「…はい」
「私だ。入るぞ」
マツブサ様だった。
私に気を使ってくれたのか、煙突山の任務のことを手短に伝えると部屋を出て行った。
もしかしたら、またハルカに会うかもしれない。
考えるだけで胸が張り裂けそうだった。
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 19:58:36.96 ID:PrppEo6X0
――煙突山の任務では、アクア団及び例の少女による妨害が予想される。
よって、ポケモンのパワーアップを図るため、各団員には「炎の石」を支給する。
ナツミにも炎の石が2つ手渡された。ナナもガーディもこれで進化するのだ。
おそらく、煙突山では再びハルカと戦うことになるだろう。
彼女のミズゴロウは既に最終進化を遂げてラグラージになっていた。
ナナとガーディも進化させなければきっと敵わないだろう。
そんなことを考えていた時だった。
私はマツブサ様に呼び出された。
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 20:04:05.87 ID:PrppEo6X0
「ナツミ、君に渡したいポケモンがいる」
「はい、なんでしょう」
確かに、私のパーティは2匹しかいない。
個々が強くても2匹では流石に足りないようだった。
「リザードというのだがね。カントー地方で見つけた珍しいポケモンだよ。君なら使いこなせそうだ」
「ありがとうございます……あれ?」
私はリザードを見て違和感を感じた。
そしてすぐにその正体に気がつく。
色だ。普通のリザードに比べて色が鮮やかなのだ。
「きれいだろう。さ、君も煙突山に向かうんだ」
マツブサ様は私を元気付けようとしてくれたのだろうか。
いつまでも落ち込んでいると申し訳ない気がしてきた。
「はい、行ってまいります」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 20:13:39.41 ID:PrppEo6X0
煙突山の山頂はマグマが多いせいで以上に暑かった。
もちろん、文句を言っても仕方がないので私は自分の持ち場についた。
今回の私の任務は煙突山火口で作業をするマツブサ様を守ること。
その作業とは、隕石の力で火山活動を活発にさせることだ。
そして、遥か昔大地を作ったとされる超古代ポケモンを復活させる。
そんなポケモン、復活させたところでどうしようもないと思ったが、
マツブサ様はそのポケモン…グラードンを操る術を知っているらしい。
古代ポケモンってどんな姿をしているんだろう。
少し想像してみる。
しかし、そんな相像は仲間の叫び声によってかき消された。
――もしかして、ハルカがきた!?
いや、違う! あれはアクア団か!
「ナナ、ガーディ、リザード、戦闘の準備をしておいて」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 20:57:55.91 ID:PrppEo6X0
アクア団のポケモンの大半は水タイプか悪ダイプだと聞く。
相手が後者のポケモンを繰り出してきた時は火力で容赦なくねじ伏せるまでだが、
水タイプを繰り出してきたらどうすべきか。
強力な炎ポケモンの使い手は水ポケモンをも火力でねじ伏せると聞く。
おそらくマツブサ様もそうだろう。
しかし、今の私のポケモンでは火力不足だ。
大人しく他のタイプの技で攻撃した方が効率か良いだろう。
そのとき、アクア団の一人がマグマ団の防衛線を突破してきたのが見えた。
「ナナ、あなただけで充分よ…。さぁ、準備して」
ナナはトウカの森でハルカと初めて戦った時より遥かに強くなっている。
それに、この後ハルカはここにくるに決まっている。
その時は私が止めなければいけないんだ。
ここでやられているようじゃ、あのラグラージやライボルトには勝てないだろう。
――だから、雑魚の水遊びに付き合ってる暇なんてない。
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 21:07:57.09 ID:PrppEo6X0
相手はキバニアとポチエナか…。
「ナナ、連続で火炎放射よ。2発とも確実に当てて」
ナナはコクンと頷くとアクア団が繰り出した2匹に向かって炎をはいた。
ポチエナの方はこれで戦闘不能。
残るはキバニアだけだが…。
しかし、キバニアも間もなくたおれた。おそらく火傷を負ったのだろう。
「…鬼火の手間は省けたね。こんあところで使っちゃもったいないもんね」
私はナナの頭を撫でながら再び前へ向き直った。
煙突山を占拠してから、2時間。
計画は驚くほどスムーズに進んでいた。
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 21:15:34.67 ID:PrppEo6X0
そのときだった。
いきなり通信が入った。それも、悲鳴のようなものだ。
『全団員ニツグ! 例ノ少女ガ防衛線ヲ異常ナ速サデ突破シテイル!
コノママダトマツブサ様ノトコロニ辿リツイテシマウ!
タダチニ守リヲ固メ…ウワアァァァァァッ』
やっぱり、来てしまったか。
私は遠くの方へ目をやる。ポケモンによって作り出されたであろう巨大な波がマグマ団のポケモンを飲み込んでいる。
10年前のあの光景が蘇る。
大雨による洪水で壊滅したミナモシティ。
海へと消えた両親。
私は……、そんな思いを2度としないために陸を広げる。
「……ナツミ!」
気がついたら目の前にハルカがいた。
さぁ、戦わないと。
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 21:27:37.19 ID:PrppEo6X0
「……ハルカ、よくここまで来たね。マグマ団の防衛線を一撃で突破するなんてなかなかできることじゃないわ」
これは私の素直な気持ちだ。こんな相手に果たして勝てるのだろうか。
「連れているポケモンも1匹増えたんだね。それは…チルタリスってやつかな。可愛いね」
「……ナツミ、聞いて」
ハルカは神妙な顔で私に語りかけた。
「あなたとはずっと友達でいたいの。だって、バトルの時だって一緒に買い物した時だってとても楽しかった。
私もホウエン地方に引っ越してきたばかりで…。でも、あなたは私のことを友達だと言ってくれた。
とっても嬉しかったんだよ?」
「私だって…!」
私は物心ついたときからマグマ団で英才教育を受けてきた。
もちろん、組織の中で同年代の子供がいるわけがないから友達なんていなかった。
だけど、ハルカは私の友達になってくれた。
そして、あの時。流星の滝で会わなければずっと友達のはずだった。
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 21:36:55.48 ID:PrppEo6X0
「ハルカ、あなたはここにいる以上、私たちの敵と見なすわ。お願いだからこっから立ち去って……!」
「嫌」
あまりにもはっきりと答えられたせいで私はつなぐ言葉が無くなってしまった。
「ナツミ、あなたはやっぱりここで倒さなきゃいけないみたい。
この先にマグマ団のボスがいるんでしょう?
あたしはあなたとずっと友達でいたい。だけど、あなたがこの組織に所属している以上、それは夢のまた夢」
「……じゃあ、どうするっていうのよ……」
「決まっているじゃない」
ハルカは3匹のポケモン、ラグラージ、ライボルト、チルタリスを繰り出した。
「――あたしがマグマ団を潰す」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 21:41:28.68 ID:PrppEo6X0
「ッ! やれるものなら――」
同時に私もナナ、ガーディ、リザードを繰り出す。
「やってみてよ!」
私の叫びを合図にまずはガーディが動く。
ラグラージに電光石火。
しかし、ガーディよりもずっと大きい体はビクともしなかった。
そのまま足をつかまれて投げ飛ばされる。
幸い着地できたからダメージはなかったが…。
(戦法を変える必要があるわね)
ナツミは唇をかんだ。
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 21:51:01.52 ID:PrppEo6X0
「ラグラージ、波乗り!」
波乗り。威力の高い全体攻撃の技だ。スタジアムだったら確実に当てられるだろう。
だが、ここは火山の火口。
「みんな、横に逃げて」
波乗りの技の範囲は確かに広いが、所詮は波を操るのではなく、波を放つだけ。
避ければどうってことないのだ。そして、3匹はスピードが自慢なのだ。
目標をなくした波はそのまま火口に落ちて水蒸気と化す。
「ナツミ、全体を見た方がいいよ!」
「!?」
改めてハルカの方を見ると、チルタリスが物凄いスピードで突っ込んできていた。
リザードを狙うつもりか!
「リザード、見切って!」
間に合った! 私の指示通りリザードはその攻撃を避けた。
しかし、次の瞬間。
反対方向にいたガーディを空から降り注いだ雷が襲った。
リザードに気を取られていたガーディは雷撃をもろに食らってしまった。
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 21:58:41.44 ID:PrppEo6X0
「くっ……! ナナ、リザード火炎放射!」
ガーディはなんとか無事なようだが一歩出遅れてしまったようだ。
2匹の攻撃の標的は前回と同じくライボルト。
ハルカもそのことはもちろんわかっているはずだった。
……しかし、ハルカはライボルトに指示を出さなかった。
直後、ライボルトに火炎放射が命中する。
……だが、全然食らっていないようだった。
「光の壁よ。もともと火力不足の炎をさらに半減させてもらったわ」
(……やられた。どうする…!?)
そう思ったときだった。
バッグの中にある物が眠っているのを思い出した。
――アジトで貰った炎の石。
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 22:07:53.43 ID:PrppEo6X0
ポケモンは進化すると力も増す。
当たり前のその発想を今まで忘れていた。
(使い時は今しかない)
「ハルカ、私はここで負けるわけにはいかない。だから、私の――人の勝手な都合でポケモンに進化してもらう」
「それは…炎の石!」
「さぁ、ナナ、ガーディ。この石を見て。今こそ進化のときよ!」
2匹が眩しい光を帯びる。進化を拒む様子はない。むしろ、自分から進化を望んでいるようだった。
「…いけない! ライボルト、電光石火でとめて!」
ハルカのライボルトはハルカが言い終える前に動き出した。
だが、さっきとは比べ物にならない炎によってゆく手をさえぎられた。
ガーディ…いや、ウィンディが放った大文字だ。
2匹はもう進化していた。
ナナは美しいキュウコンに、ガーディは逞しいウィンディに。
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 22:14:03.98 ID:PrppEo6X0
ライボルトはまだひるんでいる。
「ナナ、ウィンディ、リザード、一斉攻撃よ!」
私の指示と同時に、ナナは炎の渦を、ウィンディは大文字を、リザードは火炎放射をはなった。
増幅した私のパーティの最大火力は相手の光の壁をも打ち破り、
ライボルトに直撃した。
「あぁっ!」
ハルカが悲鳴を上げる。
ライボルトはその場に倒れた。
「うぅ、やっぱりあなたは強いわね。お疲れ様、ライボルト」
ライボルトをモンスターボールに戻すと、ハルカはラグラージとチルタリスに指示を出した。
「ここから、あたしも本気を出す!」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 22:23:51.49 ID:PrppEo6X0
(まずはチルタリスから落とす!)
「ウィンディ、チルタリスに電光石火!」
ワインディは頷くとチルタリスに向かって――
いったと思ったら既に戻ってきていた。そして、チルタリスがその場にうずくまってウィンディを睨む。
「…電光石火とは次元が違う。これが神速……」
ハルカも驚いているようだった。
きっとこの技を初めて見たのだろう。
だが、すぐに気を取り直すと、
「ラグラージ、波乗り! チルタチスは龍の舞!」
改めてポケモンに指示を出した。
ラグラージが先ほどよりも巨大な波を放つ。
本気とはこういうことか。
だけど、こちらもさっきとは比べ物にならないほどパワーアップしているのだ。
「ナナ、いけるわね?」
先ほど火口へ消えた波。今からそれを再現する。
「ナナ、炎の渦!!」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 22:33:04.02 ID:PrppEo6X0
炎の竜巻とも言える火炎の渦がラグラージの起こした津波とぶつかる。
水が炎を打ち消すか、炎が水を水蒸気へ変えるか。
勝負は互角だった。
だが、私はいつになく冷静だった。
ハルカがこの勝負に食い入っている隙にウィンディに奇襲をかけさせたのだ、
標的はもちろんチルタリス。
だが、相手のチルタリスも強かだった。
ウィンディが奇襲してくるのがわかっていたのか、ハルカの指示なしに身構えていたのだ。
そして、聞いたことのない轟音が鳴り響く。
チルタリスの渾身の破壊光線とウィンディの大文字が炸裂した。
結果は相打ち。
両者ともその場に崩れ落ちた。
そして、こちらの炎と水の勝負もケリがついた。
――ラグラージの勝ち。
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 22:38:39.68 ID:PrppEo6X0
「ナナ!」
波乗りと炎の渦、2つの威力をもつ衝撃波を食らったナナは倒れてしまった。
思えば、石で進化させたというだけで、極端に力が上がったわけではなかったのだ。
「……ごめんね、ナナ」
ナナは弱々しく鳴くと、気を失った。
これで、1対1になってしまった。
ハルカのエース、ラグラージとマツブサ様に貰ったばかりのリザード。
ここで負けるわけにはいかない。
だけど、この状況で勝てるとは思えない。
(どうする……!)
考えても思いつかなかった。
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 22:44:33.58 ID:PrppEo6X0
「……チェックメイトよ。あなたにはここで勝つ」
ハルカは静かに言い放った。
ラグラージも冷静に目標を定める。
「リザード…。あなたじゃきっと勝てない」
このまま立ち向かっていってもリザードが酷い目に遭うだけだ。
ハルカは私を救い出すためには容赦しないだろう。
負けるわけにはいかない。
しかし、仲間が傷つく姿を見たくない気持ちの方が大きかった。
「リザード、諦めましょう。あなたが傷つくのは見たくないわ」
だが、リザードは首を振って臨戦態勢に入った。
「やめて! モンスターボールに戻って!」
リザードは言うことを聞かない。そして、そのままラグラージに突っ込んでいった。
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 22:51:11.49 ID:PrppEo6X0
「リザードには悪いけど。ラグラージ! 波乗り!」
ラグラージの放った波はリザードに炸裂する。
「いやあああ!」
私は見ていられなかった。
ハルカも辛そうな表情をした。
だが、攻撃の手を休めない。
「倒れるまで波乗りよ。全力で放って!」
ラグラージも頷いてどんどん波を放つ。
1発、2発、3発…
リザードは倒れない。
4発、5発……
一向に倒れる気配が無いリザードにラグラージは津波のような強烈な一撃を放った。
小さなリザードの体は簡単に飲まれる。
(もうだめだ…!)
そう思ったときだった。
黒い、巨大な翼が私の視界に入った。
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 23:00:10.73 ID:PrppEo6X0
「な……!?」
ハルカは絶句した。ラグラージも驚いて攻撃の手を止めた。
そこにはリザードなんておらず、代わりにラgラージよりも遥かに大きい竜が立っていた。
「リ、リザードン! この状況で進化したと言うの!? しかも、その色…」
全身が焦げたように黒いその色は、通常のリザードンの色とは違った。
リザードンは怒り狂ったように地面に向かって炎をはく。
すると、地面の岩は紙のように溶けて溶岩に変わってしまった。
「勝てる……! リザードン! ラグラージを倒して!」
(ポケモンを最後まで信じれなかったんだ、私は…。だけど、リザードンは私に信じて欲しいから…、
だからあの波に耐えて耐えて進化したんだね)
リザードンが放った火炎放射はラグラージに炸裂した。
先の争いで消耗したラグラージは耐えられず、気を失った。
(勝った…!)
勝利に一瞬だけ心が安堵した瞬間、リザードンも気を失ってその巨体を横たえた。
「……引き分けだね」
戦いが終わった異様な静けさの中、ハルカが重い口を開いた。
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 23:07:45.51 ID:PrppEo6X0
「……あたし、頑張ったんだけどな。あなたと友達に戻りたかったから。各地のジムリーダーとも戦って。
一生懸命修行したのに……。勝てなかった……!!」
ハルカは泣いていた。
それほどまでに自分を大切に思ってくれているのに……。
私は彼女を返り討ちにすることしかできない……。
そろそろマツブサ様の作業が完了して装置を発動させるだろう。
隕石が効力を発揮して火山活動を盛んにさせる。
それに応えて超古代ポケモン、グラードンは動き出す……。
そして海は消え――。
「ふっ、間に合ったようだ」
いつの間にか、泣きじゃくるハルカの背後に長身の男が立っていた。
マツブサ様のように威厳がある…。
顔を知らなくてもすぐにわかった。
アクア団のリーダー、アオギリだ。
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 23:15:27.47 ID:PrppEo6X0
「マグマ団の戦力は彼女が最後か。ハルカ君と互角の勝負を繰り広げるくらいだから、よほどのトレーナーだと思って気解していたんだ。
戦うことにならなくてよかったよ」
男はアオギリと名乗るとつかつかとマツブサ様に歩み寄った。
マツブサ様とアオギリが睨みあう。
「……ひさしぶりだな、マツブサ」
「10年ぶりじゃないか、アオギリ」
マツブサ様はアオギリを見据えた。
「こんなところにアクア団のリーダーが直々に来るとはな。なんのようだ?
…と聞くまでも無いな。目的はそこの隕石だろ?」
「そんなことはどうでもいい、マツブサ。貴様に会って聞きたいことがあってな」
「ほう、なんのことかな」
「白々しいぞ。元ポケモンリーグ四天王の貴様が怪しげな組織なんか作って何をしているか、だ」
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 23:22:18.15 ID:PrppEo6X0
「そんな昔の事なんかどうでもいいだろう。四天王?30年以上前の話だ」
マツブサ様は四天王だったんだ。そんなこと全然知らなかった。
「そもそも貴様はどうしてアクア団なんか作った? 私の真似事か?」
「ふざけるな、貴様らは陸を広げる活動をしているのだろうが、我々は海を守るために活動している。
貴様らと一緒にするな」
アオギリは淡々と続ける。
「そもそも、この怪しい集団の当初の目的は陸を広げることではなかったはず。
陸地を失ってしまった地域への支援、ではなかったのか」
「そうだな…。貴様には全てを教えてやろう。かつての友人としてな…」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 23:33:22.65 ID:PrppEo6X0
「我々マグマ団が活動方針を変えたのはちょうど10年前の大雨の日からだった。そこにいるナツミも大雨による被害で孤児になった子だ」
マツブサ様は静かに語り始めた。
「元々マグマ団というのは、当時四天王を引退した私が陸を失った地域のために…。
いや、地域の子供を支援するために私が作った組織だ。
その活動に賛同してくれたものも多く、組織はより巨大なものとなり、
陸の無い地域はどんどん消えていった。
子供たちからもようやく書けるようになった文字で手紙が送られてきてね。
私は幸福の頂点にいたのだよ。
だがね、そんな時にあの事件が起こった。10年前の大雨のことだよ。
アオギリ、あの大雨は自然災害だと思うか?」
「言われてみれば、ホウエン地方が沈みそうになるほどの大雨なんて…」
「そうだ。ありえない。だがそんなことはどうでも良かった。
アオギリ、あの大雨でね、かつて私たちが助けてきた地域は全て沈んだんだよ。
下手糞な字で手紙を送ってきたあの子供たちも海に消えた。
私は怒りに燃えた。だが私の中の冷静な部分が告げたんだ。
これは自然災害なんかじゃない。きっとこの事件を起こした張本人がいる、とな」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 23:42:06.97 ID:PrppEo6X0
「神話に伝わる2匹のポケモン、大陸を創造したグラードン。……そして海を創造したカイオーガ。
後に私の研究でわかったことだが、あの事件はカイオーガの暴走によるものだった」
マツブサ様の握り締めた拳が震えていた。
私も、ハルカもこの恐ろしい話を聞いていた。
「しかし、貴様がグラードンを復活させて、海を無くしたとしても、再びカイオーガが現れて海を創造するだけどろう。
そしたらまたあの大雨が起こり、事件を繰り返すことになるぞ!」
アオギリの鋭い指摘。考えれば誰でもわかることだった。
「……貴様はわかってないよ、アオギリ」
マツブサ様の拳が静かに開いた。
「我らの目的はグラードンを復活させること。陸の拡大はその結果であり、表向きの目的に過ぎない」
「なん…だと…」
「本当の目的は! カイオーガと同等の力を持つグラードンを復活させて――
カイオーガを葬り去ることだ!!」
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/10(火) 23:55:45.26 ID:PrppEo6X0
「バカな!! 神にも等しいポケモンを殺すとは何を考えているんだ!」
私もハルカもその恐ろしい計画を聞いて震えていた。
もし、グラードンが復活すれば……。
2匹の超古代ポケモンが衝突することになる。
「もう遅いよアオギリ。すでに私の部下が『藍色の宝珠』『紅色の宝珠』をおくびり山から強奪して、
アジトに戻っている頃だ。
グラードンが復活しだい、カイオーガと殺し合わせる。我々がグラードンに加勢すれば敗北はありえないだろう」
「おろかな! 人間の偏見が神に通用するとでも思うか!」
「では、再びカイオーガの暴走を許してもいいと? 私はもう許さないぞ……! さらばだ、アオギリ」
「まっ、待つんだ! マツブサ!!」
マツブサは連れていたケーシィと共にワープした。
「くそっ、こうしていられるか!」
アオギリも飛行ポケモンの背に乗って南東の方角へ飛んでいった。
「な、ナツミ……」
ハルカが私を不安げな目で見てくる。だが、私は行かなくてはならなかった。
「ハルカ、10年前、マツブサ様が私を拾ってくれなかったら死んでいたかもしれない。
だから、私にはあの人についていく義務があるの」
私はハルカの静止を聞かずに、リザードンを回復させるとアジトまで飛んだ。
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 00:11:31.78 ID:tc/a4yYf0 [1/38]
1週間後……。
ホウエン地方からマグマ団の最大勢力、同盟を組んでいる組織が煙突山に集結していた。
マツブサ様はアジトの最深部から任務を告げた。
『グラードンの復活、及びカイオーガの抹殺。戦いが終結しだい藍色の宝珠によるグラードンの封印』
かつて世界中のどこの組織も恐れて手をつけなかった計画に、一同は恐怖し、興奮した。
……神と神の戦いが見れるのか…。
ポケモントレーナーとして、これ以上の興奮はなかった。
『ただいまより、計画を開始する。半数はルネシティの目覚めの祠にてグラードンを。
そして、もう半分は海底洞窟でカイオーガを復活させよ。戦闘を展開するのはルネシティ近海とする』
私は幹部の席でこの放送を聞いていた。
あれから1週間。煙突山の戦いの時よりもさらに強くなった私は幹部に昇進した。
私が向かうのは海底洞窟。
任務は最深部にてマツブサ様と共にカイオーガを復活させ、ルネシティ近海におびき寄せること。
人間が、恐ろしい超古代ポケモンを操れるのか不安なところだが、マツブサ様の話によると紅色の宝珠というもので操ることができるしい。
そして、神に手を出す禁断の計画が開始した。
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 00:20:46.01 ID:tc/a4yYf0 [3/38]
~海底洞窟に向かう船上~
「怖いか、ナツミ」
マツブサ様が私に話しかけてきた。
「……怖いです。でも私にはポケモンたちもついていますし…、マツブサ様には恩がありますから…」
「……そうか。大丈夫だ。この計画が成功すれば君のような思いをするものはいなくなる」
「そうですね」
マツブサ様は私の頭を撫でると船室に戻っていった。
数時間後、巨大な岩の壁が姿を現した。
「ここから潜っていくぞ、潜水艦の準備をしろ」
マツブサ様の合図で潜水艦に全員が乗り込む。
海中にいるせいか、それとも恐怖か。
私は寒気が泊まらなかった。
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 00:27:22.11 ID:tc/a4yYf0 [4/38]
まったりいきましょう
「…ここが海底洞窟か。アクア団の妨害はまだのようだな…」
真っ暗な洞窟内は他の洞窟とは明らかに雰囲気が違った。
「…すごい、威圧感……」
足がすくんだ。だが、この先にはカイオーガがいるのだ。
マツブサ様の話が正しければ、親の敵ということになる。
迷路のような洞窟を進むこと1時間。
マツブサ様は足を止めた。
「あの、どうなさいましたか…」
「アオギリが後ろに迫っている。もう一人いるようだ。多分煙突山のあの少女だ」
「どうしますか?」
「アオギリは私が相手する。君は奥へ進むんだ」
マツブサ様はきびすを返した。
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 00:30:16.30 ID:tc/a4yYf0 [5/38]
「おっと、君にはこれを渡しておく。紅色の宝珠だ」
「これをどうすれば…」
「カイオーガの前で掲げればいい。そして、やつの目が覚めたら一言、ルネの近海へと言えばいい」
私は頷くとさらに奥へと進んだ。
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 00:38:00.13 ID:tc/a4yYf0 [6/38]
「マツブサ、貴様の好きにはさせない」
「ほう、ここまで追ってきたか、アオギリとハルカとやら」
「目覚めの祠にも私の部下が向かっている。ハルカ君、先に進んで友達を止めるんだ。
私は私の友を止める……!」
「はい!」
ハルカは洞窟の奥へとかけて行った。その小さい背中を見送ると、アオギリはモンスターボールを取り出した。
「ポケモンリーグの貸しがまだあったな。ちょうどいいからここで晴らさせてもらう」
「ふん、やれるものならな。だが、貴様は私に勝てない」
マツブサはカッと目を見開いた。
「私には、信念がある。10年前の悲劇を繰り返さないという、強い思いが!!
かかってこい、アオギリ!!」
125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 00:49:34.85 ID:tc/a4yYf0 [8/38]
暗い洞窟の中をひたすら進むと、ついに最深部だと思われる空間にたどり着いた。
威圧感に満ちているそこはなんとも神々しく、禍々しかった。
「カイオーガ…!」
私は静かに眠っているそのポケモンを見据えた。
こいつが暴走したせいでお父さんとお母さんは…。
マツブサ様が救った子供たちが…!
そう思うと憎しみがこみ上げてきた。
だが、これからそこにいる仇も死んだみんなと同じ目に遭うだろう。
懐から紅色の宝珠を取り出し、カイオーガを復活させようとした瞬間だった。
「ナツミ!」
ハルカだった。
やっぱりきてしまった。
「……運命なのかな」
私の呟きはハルカにも聞こえたようだった。
「私たちがであって、友達になって、そして敵同士として戦う。…なんて残酷なんだろうね」
「ナツミ…」
「でも、もう私は止められない。私はマグマ団幹部。組織の目的のためには友達にも刃を向けるわ……」
「……最終決戦だよ、ハルカ!!!!!」
126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 01:00:04.15 ID:tc/a4yYf0 [9/38]
「……私はあなたの友達だから! きっと止めてみせる!」
ハルカが繰り出したのはあの時と同じ3体。
もちろん私のパーティも相変わらずだ。
「先手必勝よ。ウィンディ、神速!」
ウィンディがチルタリスに仕掛ける。しかし、チルタリスは見事に避けた。
勢いあまったウィンディが岩を砕く。
「リザードン、翼で打つ!」
続くリザードンの攻撃もチルタリスは避ける。
…だが、3発目はどうだ。
ナナが放った鬼火はチルタリスに命中し、火傷を負わせた。
ハルカの表情に焦りが見える。だが、これで私の手は終わりではない。
攻撃をかわされたウィンディ、リザードン、そして、チルタリスを抜いた3匹はラグラージを囲む位置にあった。
「さぁ、みんな大文字!!」
3つの強力な火炎攻撃がラグラージを襲い、大爆発を起こす。
だが、ラグラージは無傷だった。
……読まれたか。
ハルカはラグラージに「守る」をさせていたのだ。
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 01:08:37.26 ID:tc/a4yYf0 [10/38]
「今度は私の番! ライボルト、雷!」
ハルカのライボルトが放った雷は当然のごとく飛行タイプを併せ持つリザードンの方へと向けられた。
おそらく、この雷は私たちのフォーメーションを崩すだけのもの。
リザードンが避けれないはずが無い。
だが、ハルカがそんな簡単な考えで動くはずが無い。
私は急いでリザードンの避ける方向を推測する。
そうか、あの攻撃を避けたら、3体とも波乗りの射程範囲にはいる!
まとめて畳み掛けるつもりだ!
だったら、どうすればいい。
そのとき、昔頭に叩き込まれた知識が蘇った。
『どうしようもなければ、地形を利用すべし。』
そうだ、雷は岩には無効だ。
「リザードン、岩場に隠れて!」
私が指示するとリザードンは速やかに行動する。
雷はリザードンが隠れた岩場を破壊しただけだった。
同時にラグラージが次の行動に詰まった。
――ビンゴだ!
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 01:13:01.62 ID:tc/a4yYf0 [11/38]
その一瞬をついて、私たちはフォーメーションを戻した。
そして、相手に休む暇も与えず火炎放射を浴びせる。
ハルカのポケモンはそれをまともに食らってしまった。
「さて、1抜け2抜けよ!」
ナナの放った炎の渦はライボルトに。
ウィンディの神速はチルタリスに炸裂し、2匹とも倒れた。
3対1。
ハルカの表情が動揺しているのがわかった。
132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 01:19:35.14 ID:tc/a4yYf0 [12/38]
「この勝負、勝敗は決まったも同然よ」
私はハルカに宣言する。
この危機的な状況を打破するなんて不可能。
私はそう踏んでいた。
しかし……。
「ラグラージ、こうなったらあれをやるしかないよね。いける?」
この局面に何を…。
「普通は一撃放つだけで反動で動けなくなる大技。
それを5連続で出すの。
それはもう凄まじい威力よ」
「そんなこと……できるの?」
「できないことは言わないわ。私はラグラージを信じる」
「くっ…! みんな、構えて!!」
「無駄よ。水系最強技と言われているハイドロポンプをさらに上回る大技。
――ハイドロカノン!」
134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 01:32:59.70 ID:tc/a4yYf0 [13/38]
「今回は私の勝ちだね、ナツミ」
私のポケモンたちはラグラージの大技によってみんな戦闘不能になっていた。
負けた。
「この技はね、あなたを倒すために頑張って覚えたのよ」
その場に倒れているラグラージを撫でながらハルカは続ける。
「この調子だと5日は動けないなぁ。そうだ、戻ったらミナモデパートでお買い物しようよ!」
「ハルカ…」
「それから、カイナシティで海水浴ってのもいいよね。あっ、ナナちゃんたちには無理かなぁ」
「ハルカ…」
「ねぇ、ナツミはどこに行きたい? どこかに行きたいのなら起きてよ。せっかく友達になれたのに」
意識がぼんやりとしてはっきりしない。
唯一わかることといえば、ハルカが私を抱き上げて泣いていると言うことだ。
さっき、何があったのかを思い出す。
そうだ、ラグラージが大技を放った時、私はみんなの前に出ていってその水に飲まれたんだっけ。
それから、ハルカの悲鳴が聞こえて、こんなことになってるんだ。
『おきて! おきてよねぇ! 死んじゃいやぁ!』
そんなこといわれても、体が動かないんだもん。
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 01:35:00.63 ID:tc/a4yYf0 [14/38]
きりがいいのでお風呂に入ってきます
できるだけ早く戻ってきますね
147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 02:15:26.31 ID:tc/a4yYf0 [16/38]
「……アオギリ、やはり腕が落ちたようだな。バクーダ、噴火」
アオギリのポケモンが大爆発に巻き込まれる。
勝負はマツブサの勝ちだった。
「…なんだ、また負けか」
アオギリは洞窟の奥に目をやった。
さっき、轟音がしたが、何かあったのだろうか…。
最悪の場合、カイオーガが復活しているはず。
しかし、そんな動きも無い。
「時間稼ぎはここまでだ。あちらの勝負も終結しているだろう。貴様は大人しくそこでみているんだな」
バクーダに見張りをさせるとマツブサは奥へと向かった。
(カイオーガ、貴様の終わりのときは近い…)
「ここが最深部か」
マツブサは少し様子を伺った後、中に入った。
――やけに静かだ。
しかし、静かな空間の中に何かが混じって聞こえる。
少女の嗚咽。
そして、視界が開けてくる。マツブサは見た。
倒れているナツミと、その傍で泣きじゃくっている少女を…。
「何があったというのだ……!?」
149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 02:27:03.88 ID:tc/a4yYf0 [17/38]
「……無事か!」
こんな危険な任務に幼い少女を向かわせたのが失敗だったのか…。
マツブサはすぐにナツミの様子を確かめると、ほっと息をついた。
「……死んではいないようだ。グラエナ、ナツミをアオギリのところへ」
ポケモンにそう指示すると、マツブサはハルカの方へ向いた。
「君もここから逃げた方がいい。紅色の宝珠の力で、今からカイオーガを復活させるからな」
「そんな…っ! そんなことしたら!」
「大丈夫だ。我々に任せたまえ」
マツブサは紅色の宝珠をカイオーガに掲げた。
「カイオーガよ、復活したまえ!」
その瞬間、真っ赤な禍々しい光が洞窟を包んだ。
まるで、時が止まったような感覚だ。
同時に、脳内に低く不気味な声が響く。
『誰だ、我の眠りを妨げる者は…!』
「カイオーガよ。ここに紅色の宝珠がある。言うことを聞け」
『はっ。そのような物…』
カイオーガが言うと、紅色の玉が砕け散った。
150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 02:33:46.31 ID:tc/a4yYf0 [18/38]
「バカな……! これで制御できるはずでは…!?」
『ふん、我は昔とは比べ物にならないほど力をつけた。そのようなおもちゃ、我には無効だ』
『人間風情が舐めおって…、む、この禍々しい感じは!』
「この地響き、つ、ついにグラードンが復活したぞ!」
『グラードンだと? 面白い。1000年ぶりに戦いたいと思っていたところだ』
カイオーガは一瞬で姿を消した。そして、次の瞬間。
部下から通信がはいった。
『マツブサ様!ルネシティ近海にてグラードンとカイオーガの戦闘が開始しました!!』
151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 02:40:51.09 ID:tc/a4yYf0 [19/38]
「そうか、今から私も向かう。戦況はどうだ?」
『はっ…、カイオーガが圧倒的に押しています。我々の加勢なんてお構いなしです!』
「なんだとっ!?」
『それから、ホウエン地方で大雨と日照りを観測。あと24時間もすればホウエン地方は…
壊滅します!!』
「ひっ、被害状況は!」
『はっ、10年前の事件があってか、海辺に面する町の市民は避難を終えております。
よって死傷者、行方不明者はまだ出ていません!
しかし、先ほども申したようにホウエン地方全体が壊滅する恐れがあります!』
「そんな…私は…」
マツブサの顔面が蒼白になった。
「10年前の…いや、それ以上の悲劇を引き起こしているとでもいうのか…!」
152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 02:46:58.92 ID:tc/a4yYf0 [20/38]
洞窟の外に出ると、アオギリとハルカが待っていた。
「見ろ…これがお前が行った愚かな行動の結果だ!! このままではホウエン地方だけじゃない…
世界が崩壊するぞ!!」
「私は…」
アオギリはため息をついた。このままでは、何もかもが崩壊する。
「とりあえず、ナツミ君とハルカ君を一番安全なハジツゲタウンまで運んで来い。
俺はルネシティに行く。お前もすぐに来い」
「わ、わかった…」
154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 02:52:34.85 ID:tc/a4yYf0 [21/38]
~ハジツゲタウン~
「んん……」
「ナツミ! 気がついたの!?」
「ここは…」
ナツミが目覚めてハルカは全身の力が抜けるのを感じた。
「ハジツゲタウンよ。ルネシティではグラードンとカイオーガが戦ってる」
「そう……、ポケモンたちは? みんなそこで休んでいるわ」
「良かったぁ。ハルカ、あなたは大丈夫?」
「……」
「…ハルカ?」
156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 02:59:16.72 ID:tc/a4yYf0 [22/38]
ハルカはナツミの頬にそっと触れた。
「ごめんね、本当にごめんなさい…。私、あなたにもラグラージにもひどいことを…!」
「ハルカ……」
「ごめんね。ごめんね!」グスグスッ
「…もう気にしないで」
「私、ハルカの友達…でいいの…かなぁ」
157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 03:03:57.55 ID:tc/a4yYf0 [23/38]
「……うん」
「……ありがと……」
間もなく、ナツミは安らかな寝息を立て始めた。
――さぁ、あたしにはまだやるべきことが残っている。
「チルタリス、ライボルト」
すでに全快している2匹を連れて、ハルカはルネシティへ向かった。
158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 03:09:53.64 ID:tc/a4yYf0 [24/38]
ルネシティでは2匹のポケモンが激しく争っていた。
属性的な問題なのか、カイオーガが優勢のようだった。
マツブサ、アオギリやマグマ団、アクア団は争いから町を守るのに精一杯のようだった。
「ハルカ君ー!!」
小さく、アオギリの声が聞こえた。
「ルネジムの中にダイゴという男がいる! その男が君に話があるようだ!!」
ハルカは頷くとチルタリスにルネジムへ向かうよう指示した。
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 03:14:50.62 ID:tc/a4yYf0 [25/38]
「やぁ、僕はダイゴ。君の実力を見込んで話がある」
「あたしに?」
ダイゴと名乗った男はこんな自体にもかかわらず落ち着いていた。
「なぜこのような事態になったか、というのは大体知っているね?」
「…はい」
「なら話は早い」
163 名前:ダイゴさんの大誤算[うぃっしゅ] 投稿日:2010/08/11(水) 03:22:22.04 ID:tc/a4yYf0 [26/38]
「君には、今からキナギタウンの東にある空の柱というところへ向かって欲しい。
本当は僕が行きたいくらいなんだけど、海辺の町の被害を食い止めるだけで手一杯なんだ」
ダイゴが肩をすくめる。
「空の柱には大空を創造した第3の超古代ポケモン、レックウザがいる。
1000年前、グラードンとカイオーガが争ったのを止めたのもそのポケモンだ」
「わかりました、あたしやってみます!」
「うん、頼んだ。じゃあ僕はトクサネシティに戻るよ。そして次はミナモシティ、ムロタウンっと。
あぁ忙しい」
ダイゴはニッコリ笑うとポケモンの背に乗って飛んでいった。
「空の柱ね。チルタリス、飛んで!」
チルタリスは待ってましたとばかりに空の柱へ飛んだ。
165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 03:28:33.63 ID:tc/a4yYf0 [27/38]
「…ここね、降りて」
なるほど、中はずいぶんと広いようだ。
普段なら攻略を楽しむのだが、今はそんな場合じゃない。
「チルタリス、頂上まで飛んでいくわよ!」
再びチルタリスの背に乗ると、チルタリスはすごいスピードで空の柱を進んでいった。
頂上までそんな時間はかからなかった。
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 03:37:39.73 ID:tc/a4yYf0 [28/38]
>>166
そうだよ、この話はルビーの世界観です
~頂上~
「あそこにいるのがレックウザ…」
巨大な竜がハルカを見た。
『人間の小娘か…、我に会いに来たのはやはりカイオーガとグラードンのことだな?』
ハルカはレックウザを見据えて頷いた。
『わかった。我がいってみよう、お前は人間の代表して来たんだろう? 我の背中に乗れ』
「…わかったわ」
チルタリスをモンスターボールに戻すと、ハルカはレックウザの背に乗った。
『……飛ばすぞ、しっかりと捕まっていろよ』
172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 03:44:50.69 ID:tc/a4yYf0 [29/38]
『まったく、人間風情が愚かなことを…』
『グラードンもカイオーガも人間なんぞ相手にしなければ済む問題だろうて』
『そもそも、宝珠とかなんだとかで我らを制御できると言う発想がつまらん』
『と、いうかポケモンを操るという発想がくだらんな』グチグチ
……そろそろルネシティが見える頃だろう。
レックウザはハルカに静かに言った。
『我が手を貸してやるのはこれで最初で最後だと思え。次は無いと思うなよ…』
177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 03:55:14.72 ID:tc/a4yYf0 [30/38]
「なんだ、あの光は…!」
マツブサが空を見上げて絶句した。
見たことも無い巨大なポケモン、そしてその背に乗る少女――ハルカ。
その姿を見たとたん、2匹のポケモンは争いをやめた。
『グラードンにカイオーガ、貴様らは決して相見える事のない者たちだ。
しかし、人間が作ったくだらぬきっかけを理由に戦闘を始めた。
我らはこんな形をしていても世界の創造主に他ならない。
決して表の世界に出てきてはいけないのだ…』
グラードンもカイオーガも大人しく聞いていたが、レックウザが話し終えると姿を消した。
同時に、大雨が止み、雲間から日差しが差し込んだ。
「お、終わったぁ」
『さぁ、お前ももうお行き。我もああいった以上、早く戻らなければならん』
「うん、ありがとうございました…」
『例には及ばない』
180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 04:02:38.35 ID:tc/a4yYf0 [32/38]
>>178
ホウエン地方のお話ですから出ないです
「やぁ、やったみたいだね」
ルネジムに降り立つと、ダイゴが話しかけてきた。
「やっぱり君に頼んでよかったよ」
「いえ…あたしはレックウザを呼んできただけだから…」
「それでも君には救われた。感謝するよ。さぁ、マツブサたちのところへ行っておいで」
…。
「ハルカ君、無事のようだな。良かった」
アオギリとマツブサがこちらに歩み寄ってきた。
「君に頼みごとがある」
マツブサはハルカを真剣な表情で見据えた。
「ナツミに伝言があるんだ……」
181 名前:うぃっしゅ地方[] 投稿日:2010/08/11(水) 04:10:07.21 ID:tc/a4yYf0 [33/38]
……。
「ナツミ、終わったよ」
病室に入ってきたハルカがにこっと私に笑いかけた。
彼女はあれだけの騒ぎに巻き込まれたというのに傷一つ無かった。
「…あの、マツブサ様は?」
今回の事件を起こした張本人はいうまでもなくマツブサ様を筆頭としたマグマ団だ。
おそらく、罪に問われるのはマツブサ様だろう。
しかし、マツブサ様は私にとっては命の恩人であり、肉親のような存在でもあった。
「あなたに伝言があるの、マツブサさんから」
ハルカがベッドに腰掛けるとマツブサ様からの伝言を伝えた。
186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 04:18:53.01 ID:tc/a4yYf0 [34/38]
『自分の仲間や、友を信じなさい。決して醜い心を持たぬように。
迷ったら思いとどまって、よく考えてから行動するように。私にはそれができなかった。
この先、私と同じ道を辿るものが現れないよう、私が伝えたことを君に伝えて欲しい:』
「マツブサ様……」
震える私の肩を、ハルカが抱いてくれた。
187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 04:25:00.04 ID:tc/a4yYf0 [35/38]
その後、マツブサ様は大人しく自主、マグマ団は解散する。
同時にアクア団も解散。
海に面した町の被害はまったくと言っていいほど無かった。
ダイゴさんの活躍があったから、と人々は言うが真実かどうかは定かではない。
190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 04:32:29.89 ID:tc/a4yYf0 [36/38]
私はマグマ団幹部から、普通のポケモントレーナーになった。
この先、たくさんの人やポケモンたちと出会うだろう。
ハルカとは、ポケモンリーグで会う約束をした。
その頃にはお互い最強の座をかけて勝負しようと。
193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 04:40:45.19 ID:tc/a4yYf0 [37/38]
エピローグ
まぁ、新しいチャレンジャーかしら。
その歳でよく四天王を勝ち抜いてこれたわね。
今の四天王は史上最強って言われているのよ。
ところであなた…
あっ、やっぱりハルカの娘さんなの?
そうなんだ。似てると思ったんだ。
私?そうね、ハルカとは15歳の時からの付き合いなのよ。
ふふ、やっぱりあなたはお母さんとよく似てるわ。
どこがって? んー、わからない。
でも、実力は言うまでも無いわね。
お母さんとの勝負にはもう勝った?
なるほど、互角なんだ。
ところで、そのカメックスは?
まぁ、あのラグラージの子供なの!
ということは、他の子たちも? あらあら。
それじゃ、お話は今度にして勝負にしましょうか。
私はナツミ。
ホウエン地方が誇る炎使いにして、ポケモンリーグチャンピオンよ!
さぁ、あなたの実力を見せてごらんなさい!
おしまい
197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/11(水) 04:46:08.09 ID:tc/a4yYf0 [38/38]
ほぼ12時間書いてました
主人公のパーティはほとんど僕の趣味です
読んでくれた人、レスくれた人、本当にありがとうございました
書いている側としても、めちゃくちゃ楽しかったです。
今度SS書くようなことがあったらまたよろしくおねがいします
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