2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

男の娘「ずっと前からあなたのことが好きでした」 男「…え?」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 07:16:12.10 ID:B0cmWZWo0 [1/30]
男の娘「あ、あの…スレを開いて頂き、ありがとうございます」
娘「>>1ったら、何も考えずに立てたらしくて…本当にごめんなさい」
娘「…でもでも、一応粗筋みたいなのは考えているらしくて、それをちょっとづつ書いていくので許して欲しいって」
娘「そう言ってました」
娘「もしよろしければ、私のお話、聞いてください」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 07:23:40.94 ID:B0cmWZWo0 [2/30]
男「ぬぅああああ! 俺のムクホークが!」
女「甘い甘い、これで男の全敗ね。そういうわけで、あたしと娘君にハロハロよろしく」
男「あああ…俺の相棒の英世がぁ…。娘! 頼む、俺にお勧めのポケモン一匹くれ!」

娘「え? あ、ええっと」
女「何言ってんのよ、そういうのは自分で育てるから楽しいんじゃない」
男「ふはははは! ポケモンの楽しみは育てるだけじゃないぞ! 交換するのも楽しみのひとつなのだ!」
女「はいはい、いいから早くミニストップ行きましょ。ね?娘君」


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 07:29:31.27 ID:B0cmWZWo0 [3/30]
店員「番号札235番をお持ちの方ー!」
男「うーい」
店員「お待たせいたしました。ハロハロ宇治金時とパチパチコーラ、アイスコーヒーでございます」
男「あざーっす」
店員「アイスコーヒーはセルフサービスとなっております。ありがとうございました~!」

男「お~い、ハロハロだぞー」
女「待ってました。娘君が宇治金時で良いんだよね?」
娘「うん。ごめんね…? 男君」
男「気にすんなって。ほれほれ、さっさと召し上がるのだ」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 07:47:07.69 ID:B0cmWZWo0
女「そーそー。ポケモンで負けたやつが奢りな! なんて、男から言い始めたんだし。あっ、パチパチする」
男「うっせ。今回こそは勝てると思ったんだよ。というかいきなり食ってやがるし」
娘「でも、やっぱり悪いから半分くらいは…」
男「だーもう、良いの! ほら、溶けないうちにさっさと召し上がるのだ。こういう時くらいは女の厚かましさを見習ったほうがいいぞ!」
女「どーいうことかな、それは?」
男「そのまんまの意味だが?」
女「ほう…男君、ちょっと表へ出ようか」
娘「あの…二人とも、喧嘩は良くないよ…ね?」
男「…ぬ、まあ娘がそういうのなら仕方ないな。良かったな、命拾いできたぞ、女」
女「そのセリフ、熨斗つけてお返しいたしますわ。」
男「ぬぅ?」
女「んん?」
娘「んもう。ほら、お店の人が見てるよ? もう来ないでくださいなんて言われたら困っちゃうでしょ?」
男「うむ、確かに」
女「じゃあ、この件は休戦ということで」
男「次のポケモンバトルで片をつけてやる」
女「望むところっ! っと、もうこんな時間。あたし用事あるから、先に帰るね」
娘「用事?」
女「うん。というか、バイト」
娘「そうなんだ。気をつけてね?」
女「ありがと娘君。じゃあ、また明日」
男「次こそ勝ってやるからな!」
女「何度目よ…」ピ・ポーン




11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 08:24:56.82 ID:B0cmWZWo0
娘「行っちゃったね…」

男「ああ。ところで娘」

娘「は、はい!」

男「早くしないと手遅れになるぞ、ハロハロ」

娘「え? …あ」

男「あーあ。もはや氷水だな。よし、それよこせ。新しくこうちゃる」

娘「そんな。悪いよ」

男「いーからいーから。人の好意は素直に受け取っとくものだぜ」

娘「…そう思う?」

男「ん? 何か言ったか?」

娘「! う、ううん! なんでもない」

男「そか。よし、今度は何味がいい?」

娘「えっと、じゃあさっき女ちゃんが食べてた…」

男「パチパチコーラだな。ちょっとまっとれ」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 08:32:45.55 ID:B0cmWZWo0
店員「お待たせいたしました。ハロハロパチパチコーラです!」

男「どーもっす」

店員「毎度ありがとうございました! またのご利用をお待ちしております」


男「買ってきたぞー」

娘「ありがとう」

男「今度はやけに素直だな」

娘「だって、男君が人の好意は素直に受け取れっていったじゃない?」

男「うんまあ、確かにそうだ」

娘「じゃあ、いただきます」

男「おうさ。召し上がれ」

娘「あうっ、ホントにパチパチするぅ」

男「どれどれ、一口寄越せ」

娘「え? あ、ちょっと…」

男「いいじゃん、減るもんじゃあるまいし。…って、減るなこれ」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 08:48:23.44 ID:B0cmWZWo0
娘「あ、あの、そういうんじゃなくて…。その、か、間接…」

男「? 男同士でそんなん気にすんなって」

娘「ぼ、僕は気にするの!」

男「ぬ? まさかおまえ…」

娘「…え?」

男「結構な潔癖症? いかんぞ、これくらいの免疫は無いと、この先やっていけんぞ」

娘「…まあいっか」

男「何か言ったか?」

娘「ううん、何でもない」

店員「いらっしゃいませ~ぇ!」

後輩「あれ? 男先輩に娘先輩じゃないですか。どうしたんですか? お二人で」

男「お、後輩じゃないか」

娘「や、やあ」

後輩「あー、もしかしてデートですか?」



14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 08:56:30.71 ID:B0cmWZWo0
男「はっはっは! まあそんなとk」

娘「ち、違うよ! その、女ちゃんと三人でここに来たんだから、デートなんかじゃ…」

男「なぜそこまで必死に否定する」

後「女先輩も? 見当たりませんけど…」

男「先に帰った。バイトだと」

後「ふーん。まあ、娘先輩の可愛い所を見られたので、そういうことにしときます」

娘「そういうことにしときます、じゃなくて、そうだったの!」

男「娘よ」

娘「え? な、なに?」

男「さっき俺と女に言ったこと、覚えてるか?」

娘「…あ!」

男「さっきっから店の中の人たちが俺たちに大注目だ」

娘「あう…ご、ごめんなさい」

男「うむ、よろしい。んじゃ、悪いが後輩、俺ら帰るわ」

後「あ、はい。お疲れ様でした。また明日、学校で」
男「ん。また明日」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 09:03:50.84 ID:B0cmWZWo0
男「なかなかうまかったな! ハロハロ」

娘「う、うん。そうだね」

男「なんだ? 元気ないな」

娘「ちょっと、考え事」

男「そうか。考えすぎて電柱にぶつかったりとかすんなよ?」

娘「うん、大丈夫」

娘(さっき、男君は「人の好意は素直に受け取れ」って言ってくれた)

娘(それって、僕のこの想いも受け止めてくれるのかな?)

娘(拒絶されたりとか、しないかな?)

娘「…ねえ、男君」

男「んあ? どうした?」

娘「聞きたいことがあるんだけど、良いかな?」

男「ふむ。よし、何でも聞くがよい」

娘「本当に良いの?」

男「…何だか目が怖いぞ」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 09:13:19.52 ID:B0cmWZWo0
娘「真剣なんだもん」

男「…分かった。真剣な話なんだな?」

娘「うん」

男「よし、俺も男だ。腹括ったから何でも聞け」

娘「男君は、女ちゃんのこと好き?」

男「いきなりどストレートすぎるだろ」

娘「や、やっぱり?」

男「うん。160キロのストライク球ぶち込まれたみたいだ」

娘「ごめん…」

男「しかしなあ。なんでいきなりそんなこと聞くんだ?」

娘「それは…」

男「それは?」

娘「…ごめん、今は聞かないで」

男「…まあいいか」

娘「で、女ちゃんのこと、どう思ってるの?」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 09:21:11.64 ID:B0cmWZWo0
男「まだ聞くか」

娘「どうしても聞きたいんだ」

男「うーん。それがなあ、まだ分からんのだ」

娘「分からない?」

男「俺と、お前と、女。三人とも、小学生からの付き合いだろ?」

娘「うん」

男「だから、他の奴らよりも、俺はお前と女と、ずっと近い関係だ」

男「後ろ振り返ればお前か女、どっちかは必ずいる。みたいな」

男「そんな今が大好きだ」

娘「うん」

男「お前の言う通り、俺は女に好きという感情を持っているかもしれん」

男「でもな、これが世間一般で言う恋愛感情なのか、そこんとこよくわからんのだ」

娘「だったら」

男「ん?」

娘「一度、デートしちゃいなよ」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 09:29:01.60 ID:B0cmWZWo0
男「」

娘「どうしたの?」

男「お前は本当にどうしたんだ、さっきから」

娘「え?」

男「何かに焦ってるように見えるぞ、お前」

娘「そんなことないよ」

男「あるだろ」

娘「ない」

男「ある」

娘「ないってば」

男「なあ、娘よ」

娘「なに」

男「少し落ち着け。お前がそんなだと、何か少し悲しい」

娘「…ご、ごめん」


19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 09:34:41.45 ID:B0cmWZWo0
男「うむ。そうだな、この辺で俺もすっきりしとかなきゃいけないかも知れんな」

娘「じゃあ」

男「今度三人で、遊園地にでも行くか」

娘「二人で! 男君と、女ちゃんと二人で行くのっ!」

男「ぐっ」

娘「その時その場所に、僕はいちゃいけないの」

男「でも、デートだからって二人っきりじゃなきゃいけないなんてのは」

娘「つべこべ言わない」

男「う、うむ」

娘「分かればよろしい♪」

男「ところでだな、娘よ」

娘「なあに?」

男「デートっつっても、何も思い浮かばないんだが」

娘「ふう…いいよ、その辺は。僕に考えがある」


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 09:42:22.85 ID:B0cmWZWo0
男「なんだ?」

娘「教えてほしい?」

男「是非ともお願いします」

娘「僕のお願い一個だけ、聞いてくれる?」

男「俺に出来ることなら何でも」

娘「…男君は優しいね」

男「?」

娘「ごめん、独り言」

男「そうか。ところでお前のお願いっていうのは」

娘「うん。来週の月曜日、学校サボってデートしよう?」

男「…はぁ?」

娘「ほ、ほらほら。男君のデートの練習ってことで…ね?」

男「なるほど、そういうことか。びっくりしたぞ。いきなりお前とデートって」

娘「…いや?」

男「んにゃ、全然。でも良いのか? 皆勤賞とか、成績とか」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 09:46:14.82 ID:B0cmWZWo0
娘「大丈夫。これに比べたら、大したことないから」

男「何か違わないかそれ」

娘「とにかくっ」

男「うん?」

娘「月曜日の8時ころ、駅前で待ち合わせね?」

男「了解した」

娘「うん。じゃ、今日はもう帰るね。また明日」

男「気をつけて帰れよ」

娘「もう、子供じゃないんだから」

男「それもそうだな。じゃあ、また明日」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 09:54:07.21 ID:B0cmWZWo0
~月曜日~
男「さて、駅前に到着したは良いが」

男「流石に8時は早すぎたか。ガッコの奴らに見つかってしまうかも知れんな」

男「見つかりにくいところに隠れるか」

男「でもそれじゃあ娘を見つけられんな。電話するか」

男「何という以心伝心、娘から電話が来たぞ」

娘「男君? 今どこ?」

男「えーっと、駅前のコンビニの路地裏。すまんがちょっと来てくれないか」

娘「うん、分かった。すぐ行くね」

男「ふむ。合流は出来そうだな」

?「男君?」

男「? はい?」

娘「良かった、男君発見しましたっ」

男「」

娘「あれ? また固まった」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 10:08:08.39 ID:B0cmWZWo0
男「お、おま、なんだその格好はっ!」

娘「えっと、カモフラージュのためと、あと、男君のデートノ練習だから…似合わなかったかな?」

男「えっと、あっと、その、うん、あれだ。似合わなくない。いやむしろ」

男(似合いすぎだろjk…フリル付きのワンピースとか、べたすぎるけどここまで似合うとか反則すぎるお前男だろおい)
男(それとその髪型はかつらか? ロング好きの俺にこうかはばつぐんだ!)

娘「むしろ?」

男「カモフラージュは完璧だ」グッ

娘「良かったぁ」ホッ
娘(でも、欲を言えば、可愛いって言って欲しかったな)

男「あーその、なんだ。そろそろ行こうではないか。お前だってせっかく気合い入れてお洒落してくれたんだしな」

娘「うん、じゃあ出発っ♪」

男「お前、キャラちょっと変わってないか?」

娘「そうかな? 気にしない気にしない」

男「うーむ…まあいいか。じゃ、行くぞ」
娘「うん、いこいこ♪」

後「…あれ? 男先輩と…隣にいるのは…どこかで見たような…」



25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 10:42:34.79 ID:B0cmWZWo0
男「さって、到着したわけだが」

娘「まさかこんな所でまで通勤ラッシュに巻き込まれるなんて…」

男「どうでも良いけど、肩ずれてんぞ」

娘「! エッチ!」

男「どうしてこうなった」


男「遊園地といえば」

娘「遊園地といえば?」

男「絶叫マシンだよな」

娘「え…?」

男「娘…お前もしかして苦手なのか?」

娘「そ、そんなわけないじゃん。絶叫マシンくらい、余裕だよ…」

男「ならいいが。ちなみにここの絶叫マシンは、大の大人がチビることに定評のあるレベルだが」

娘「ひぅ」

男「やめとくか」


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 10:52:07.25 ID:B0cmWZWo0
娘「い、いや。行こう」

男「無理すんなって。苦手なんだろ?」

娘「大丈夫、大丈夫だから…ね?」

男「チビっても、俺は何もしないぞ? それでも良いのか?」

娘「…うん。それでもいい」

男「よしわかった。途中で死ぬなよ?」

娘「うん…」


係員「あの、お連れのお方は大丈夫ですか? 気分が悪くなったのでしたらこちらで休憩していただくこともできますが…」

男「ああ、大丈夫です。ほら娘、さっさと乗るぞ」

娘「おしっこ漏らしませんように…おしっこ漏らしませんように…」

男「これはだめかも知らん」


男「うううううううううううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぐうううううああああああああああああ!!」

娘「きゃあああああああああああああああああああぁああああぁあぁぁぁああああああああああぁ! いやああああああああ!!」


28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 10:59:58.49 ID:B0cmWZWo0
男「参った…流石の俺もチビる所だったぜ。侮りがたし」

娘「…」

男「おーい、生きてるかあ? そんなとこにへたり込んでちゃ駄目だぞ」

娘「もう、乗りたくない…」

男「漏らさなかっただけ良いと思うぞ。前に乗ってたおっさん妙にアンモニア臭かったからな」

娘「お、男君…?」

男「何だ?」

娘「ごめん、おしっこしたい」

男「よし、行って来い」

娘「腰が抜けて、立てない…」

男「oh…」

娘「どうしよう…ちょっとヤバい」

男「よし分かった。便所までおんぶしてやるからちょっとだけ我慢しろ。絶対だぞ! 少なくとも俺の背中で…とかはやめてくれよな!」

娘「あ、ありがとう」

男「よいしょっと。軽いなお前、ちゃんと食ってるか?」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 11:06:39.62 ID:B0cmWZWo0
娘「た、食べてるよ…失礼な」

男「ふーん、まあ良いか。ちょいと急ぐぞ」

娘「え? あ、ちょっ…恥ずかしいっ」

男「んなこと言ってる場合か。男子便所入るからな? いいだろ?」

娘「え、だってこんなカッコしてるのに…」

男「緊急事態だ。それに個室に入れば問題なかろう」

娘「う、うん…」

男「気にするな。外は見張っといたる」

娘「…ありがとう」

がちゃん、ばた

男「間一髪セーフって所か」

ざわざわ …おい、女の子が男子便所の個室に入ってったぞ…

男「…あー、お気になさらず。…ね?」

娘「お、男君!?」

男「んあ? 何だ?」

31 名前:なんだか悉くごめん>>29[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 11:15:21.46 ID:B0cmWZWo0
娘「お、音! 絶対聞かないでね!?」

男「え、ああ。聞かん聞かん」
男(なぜそんなことを言うのか。ちょっと意識してしまうがな)

ちょろ…ちょろろろ…
しゃあああああ…

ざわざわ… お、女の子のおしっこの音

男「ちょ、こらあんたら! セクハラになんぞそれ!」

ざわざわ… でもなあ、ここ男子便所だしなぁ

娘「え、あ、う…。ふ…ええん。」

男「おい! 泣くなって娘!」

娘「だって、だってぇ」

男「…ようし、あんたがた、覚悟は良いかね…? 久々に俺の右腕が大暴れするかも知れんが…」

ざわざわ… わ、分かってるよ、出てきゃ良いんだろ、でてきゃ

男「ご迷惑をかけますな。というわけで、出てきても良いぞ」

じゃああああ。がちゃん、ばた

娘「ひっく…ひっく…」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 11:26:35.61 ID:B0cmWZWo0
男(ちょ、シャレにならんでしょこの泣き顔。こいつこんな可愛かったっけ?)
男「ほ、ほら、もう誰もいないから。早く泣きやみなさい」

娘「うっく、うん…」

男「ほれ、手洗って」

男「よし、俺の背中にでも顔くっつけて付いてこい」

娘「うん…」

男「ちょっと離れた休憩所まで行くぞ」


男「正直すまんかった。女子便所の方連れてきゃ良かったな」

娘「…ううん、僕の方こそ無理して乗るなんて言っちゃったから。ごめんなさい」

男「いや、娘が謝る必要はないだろ。まあいいや、ジュースでも飲むか。 娘は何が良い?」

娘「え、いいよ、別に…」

男「良いから良いから、人の好意はって言ったろ?」

娘「ああ、うん。えと、じゃあカルピスが良いかな…」

男「了解した。そこで待機な」

娘「はい」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 11:39:51.89 ID:B0cmWZWo0
男「しかしまあ、カルピスか…。なぜだろう、前屈みになってしまうぞ! 不思議だな!」

男「すいませーん、カルピスウォーターとジンジャーエールください」

店員「はい、毎度。500円頂戴しまーす!」

男「はい、500円」

店員「はい、ちょうどいただきました。またお越しください」

男「2杯で500円とか、足元見すぎだろレジャーランド…」


男「ほい。お・ま・た」

娘「えっと、何の真似?」

男「え? 松島奈○子?」

娘「いや、僕に聞かれても・・・」

男「ですよね。ほいカルピス。絶対こぼすなよ! 絶対だぞ!」

娘「う、うん。ありがとう」

客「でさー…」どん

娘「あっ」 ばしゃあ



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 11:55:18.63 ID:B0cmWZWo0
男「」

娘「あうぅ、冷たーい」

男「…はっ! 危ない危ない、逝ってしまうところであった。ってうわぁ、盛大にひっくり返しましたな」

娘「ワザとじゃないよ? ワザとじゃないからね?」

男(分かってる、分かってるからそのカルピスにまみれた格好で上目づかいをしないでくれおにーさん真っすぐ立てなくなっちゃう)
男「兎に角、顔洗ってこい。そのままじゃベタベタするぞ」

娘「うん」

男「…ヤバいだろ可愛過ぎるだろどうにかなっちまうぞ俺」


娘「洗ってきたよ」

男「うむ。このハンカチで顔を拭くがよい」

娘「ありがとう」

男「しかし、服も相当カルピスかぶったよな。時間たったらベタベタして大変だ」

娘「あ、それなら、顔を洗うついでに酷い所だけ水含ませたティッシュで軽くたたいてきたから」

娘「たぶん大丈夫、かも」


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 12:06:18.81 ID:B0cmWZWo0
男「ほう? …通りで所々透けてる? 訳だ…」

娘「? なにか言った?」

男「いや、何でもない。ジンジャー飲むか?」

娘「良いの?」

男「半分だけな」

娘「わあ、頂きます」こく、こく

男(うおおお間接キ…って何を考えているんださっきから。本格的にまずいぞこれ)
男(俺の理性よ戻ってこい!)

娘「ありがと、はい」

男「お、おう」

娘「あれ? 何だか顔が赤いけど…。もしかして…?」

男「な、なんだ!? なんとも思ってないぞ! 俺は!」

娘「そうだよねぇ。僕たち男の子どうしたもんねぇ?」

男「ぐぅっ」

娘「ふふふっ」



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 12:16:35.45 ID:B0cmWZWo0
男「さて、粗方乗りもんも乗ったし、夕暮れ時だしでもうそろそろ良い頃合いだと思うんだがどうだろうか」

娘「そうだね…でも最後に、あれに乗らない?」

男「観覧車か? 別に良いが」

娘「ふふっ、遊園地デートの締めって、やっぱり観覧車だよね」

男「そういうものなのか? 良く分からん」

娘「ごめん、僕も良く分からない。言ってみただけ」

男「ハハハ、こ奴め」


係員「はい、お二人様ですね。足元に注意してお乗りください」

男(さて、これで二人っきりになってしまったわけだが)
男(非常に気まずい。娘はさっきから黙りっぱなしだし)

娘「ねえ、男君?」

男「う、ぬ?」

娘「今日、ここに来た理由、覚えてる?」

男「理由、とな?」

娘「うん、今日は、男君と女ちゃんのデートの練習として、二人で来たんだよね?」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 12:24:34.76 ID:B0cmWZWo0
男「そう言えばそうだったな。それがどうかしたか?」

娘「じゃあ、最後に告白しないとだめだよね?」

男「…は?」

娘「は? じゃなくて。僕を女ちゃんと見立てて、告白しないと」

男「いや、別にしなくていいだろ、そこまで…」

娘「だめ」

男「娘?」

娘「だめったら、駄目なの。ここで、告白しないと駄目」
娘「告白しなかったら、大声、出してやるんだから」

男「…なあ、娘」

娘「…何」

男「なんでそんなに、なにかに駆り立てられているような感じなんだ?」

娘「べつにそんなこと、ない」

男「じゃあ、何でお前、泣いてるんだ?」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 12:33:33.91 ID:B0cmWZWo0
娘「泣いてなんて、ない」

男「な、お前は俺に、どうして欲しいんだ? 俺はお前に、何をすればいいんだ? 俺頭悪いから、何をすればいいか全然分かんないんだ」
男「どうすればお前は笑ってくれる?」

娘「…僕のこと、大切に想ってくれてる?」

男「もちろんだ。だって、お前は俺の親友だから」

娘「だったら! …お願い、最後まで練習して?」

男「それが、お前のためになるのか?」

娘「うん。だから…」

男「…わかった」

男『俺、お前のことが好き…かも知れない。娘に言われて初めてこの感情が好きだって、気づいた』
男『だから、お前さえ良ければ、俺と付き合って欲しい』

男「…こんな感じか?」

娘「ふ…えええん…」

男「お、おいどうしたんだいきなり」


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 12:49:08.94 ID:B0cmWZWo0
娘「…ひっく、あの、ね」

男「お、おう、どうした?」

娘「これから、言う、ことは、全、部、独り、言だから」

男「は?」

娘「ひっく。聞き流してねっ…」

男「…娘?」

娘「うん、落ち着いた。これは独り言だから…」

娘「男君、僕…いいえ、私は」
娘「ずっと前からあなたのことが好きでした」

男「…え?」

娘「女ちゃんも友達として好きだけど、男君は男の人として、好きでした」

娘「覚えてる? 小学生の頃、私がクラスの男の子から、『女々しい、女みたい』って虐められてるとき」

娘「助けてくれたのが、女ちゃんと、男君だったの」

娘「あの時から、ずっとあなたのことが好きだった」

娘「それは今でも変わらない。貴方が好き」

男「娘…」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 14:57:58.62 ID:KWbUIrXj0 [1/5]
娘「…私じゃ、駄目?」

娘「確かに、男の人が男の人を好きになるなんて、おかしいかもしれないけど」

娘「でも私は、貴方が好きで好きでたまらない」

娘「女の人と同じように、あなたを喜ばせることは出来ないかもしれない」

娘「それでも、私にも出来ることだってある。望むなら、私の体をどう使っても構わない」

娘「あなたに滅茶苦茶にされたいって、そう願う私が、確かにここにいるの」

娘「怖いよね? 気持ち悪いよね? 親友だと思ってた子から、こんなこと言われて」

娘「でも、こうでもしないと、私は女ちゃんには勝てない。ううん、あなたに意識してもらうことすら出来ない」

娘「卑怯だよね。ずるいよね。だって、自分でもこんな僕、嫌だもん」

娘「でも、そんな自己嫌悪に勝るほど、あなたには私の気持ちを知って欲しかった」

娘「私は…あなたが好き」

男「なあ、娘」

娘「え…?」

男「正直言えば、凄いびっくりした。いや、今でもびっくりしてる。というか頭がグラグラする感じ」



45 名前:ID変わってますが>>1です[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 15:08:47.81 ID:KWbUIrXj0 [2/5]
男「でもな、今の話を聞いても、別にお前を気持ち悪いとも思わなかったし、怖いとも思わなかった」

男「寧ろ、俺をこんなに好きでいてくれてたんだって分かって、すげえ嬉しい」

男「俺も、お前が好きだ」

娘「! じゃあ…」

男「でもごめんな、それと同じくらい女も好きなんだ。お前に女のことが好きかどうか聞かれて、浮かんだ感情な」
男「お前にも女にも抱いてたんだ。気付かないうちに」

娘「うぅ…うわあぁあん」

男「もう少しだけ、時間をくれないか?」

娘「…時間?」

男「俺が本当に好きなのは、お前なのか、それとも女なのか。それを知る時間が欲しい」
男「勝手だっていうのは十分理解してる」
男「それでも俺は、お前にも女にも嘘はつきたくないし、それ以上に、自分に嘘をつきたくない」
男「だから、ちょっとだけ待ってて欲しい」

娘「本当に…?」

男「うん」

娘「…もし、もし私を選んでくれたとして…。皆はなんて思うかな? なんて言うのかな?」
娘「また、気持ち悪いって言われるのかな?」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 15:17:46.67 ID:KWbUIrXj0 [3/5]
男「そんなん、ほっとけ」

娘「え?」

男「例えばお前を選んだとして、そんなもん最初から織り込み済みだろ常識的に考えて」
男「それに多分、女も応援してくれる筈だ」

娘「うん…。うん」

男「逆にだ。例えば女を選んだとして、それでもお前を失うことは考えられない。その時は、ずっと親友でいてくれよ?」
男「今みたいに、悩みをぶちまけてくれたっていい。今回みたいなデートも大歓迎だ」
男「本当に自分勝手だと思うけど、頼む。な?」

娘「うん。…ありがとう、嫌わないでくれて、好きでいてくれて。それだけでもう、幸せで一杯だよ…」

男「ばっかお前まだ早いぞ。兎に角、この話は一旦お終い。そろそろ地上に着くしな」

娘「えへへ…。ね、ちょっとだけ、目を閉じてて?」

男「え? ま、まさか」

娘「最後の我儘だから…ね?」

男「ったく、高くつくぞ? ほれ」

娘「ありがと。…ん…」





47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/07(土) 15:25:00.35 ID:KWbUIrXj0 [4/5]
男「…ファーストキスは親友と…か。字面だけ見たらちょっとヤバいな」

娘「初めてだったの?」

男「まあ、母さんとか身内のぞいたら、の話な。ま、お前となら別に悪くない」

娘「えへへ、嬉しいなっ」

男「何か照れるな…よっしゃ、もう着いたし、帰りに飯でも喰って帰るか」

娘「賛成!」

男「何か喰いたいもんあるか? 今日は俺の財布が許す限り、何でも奢っちゃる」

娘「本当? じゃあ、デザートには必ず、二人でハロハロ食べたいな」

男「よし、把握した。じゃあ取り敢えず、肉でも喰いに行くか!」
男「その後、パチパチコーラ味な」

娘「うんっ! 男君、大好きっ!」

49 名前:1 ◆Zw9mLgtcB. [sage] 投稿日:2010/08/07(土) 15:36:59.62 ID:KWbUIrXj0 [5/5]
いちお終わります。改めてみるとやっぱりいろいろと酷い
後日談的なものもあるにはあるのですが、気力が尽きたし需要あるか分からないので

もしも10日頃まで保守していただけるのであれば、その時はがんばろうかと思います
ご覧いただきありがとうございました。

コメント

No title

最高に面白かった。
胸キュンした。
もし私が希望職種につけたら、ぜひ作品にしましょうよ!

泣いちゃいました(;_;)
切ないぃぃ
幼なじみのシチュエーションは大好きなもので・・

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)