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唯「けんとう!!!!!」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/03(火) 22:27:10.81 ID:7nvCKhDc0 [1/13]
学校!

唯「お早う和ちゃん!」

和「おはよう、唯」

唯「昨日はごめんね和ちゃん」

和「そんな、なんで唯があやまるの?」

唯「それでね、お爺ちゃんからね」

唯「和ちゃんがボクシングしてるんじゃないかって…」

和「……」

和「ええ、してるわ」

唯「!!!?」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/03(火) 22:32:01.30 ID:7nvCKhDc0
澪「おいっ、和!」

澪「和もボクシング始めたって本当かっ!?」

和「正確には、昔やってて、また再開したってところかしら」

律「しかも私と一緒に練習するんだぞっ、なあ和っ!」

和「ええ、よろしくねっ」

紬『意外な組み合わせ、これもいいわっ』

澪「和までっ!?私の周りはどんだけボクシングブームなんだ…」

悔しい…
律も唯も、さらに和までも
私の大切な友達が、みんなボクシングに取られちゃうみたい…

澪「勝手なナレーション入れるなっ!!!」ゴンッ

律「痛てっ!」ジンジン

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/03(火) 22:37:49.22 ID:7nvCKhDc0
律のジム!

会長「小娘、おるかっ!?」

律「はーい、何ですか?」

会長「対戦相手について、重大な情報が手に入ったんじゃ」

律「重大な情報!?」

会長「いいから資料室へ来いっ」

会長「和ちゃんも一緒に来てくれんか?」

和「はい、今行きます」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/03(火) 22:45:09.49 ID:7nvCKhDc0
ト「みんな集まったねっ」

ト「実は平沢選手がスパーする様子を、ビデオカメラで撮っていたジムがあってね」

ト「何とかそれを手に入れることが出来たんだっ」

律「へえ」

会長「『へえ』じゃ無いわいっ!」

会長「不名誉な事だとジム側が情報を制限しておった状況で」

会長「苦労して、なんとかこのビデオを入手したんじゃぞっ!!!?」

律「ひゃっ!?そんな怒鳴るなよ」

律「唯なんて毎日見てるから、なんか実感湧かなくてさぁ」

和「でも、四回連続KOなんて、一体唯はどんな動きをしているのかしら…」

ト「そこなんだよ、とにかく実際ビデオを見てみてよ」

ト「平沢選手には、とんでもない特異性があるんだっ」

律『とんでもない特異性かぁ』

律『普段の唯まんまだな…』

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/03(火) 22:53:46.65 ID:7nvCKhDc0
律「おっ、始まるな…」

律「あれ?」

和「これって…」

律「胸のアップ?」

ト「あっ、しまったぁ、試合開始に合わせればよかったよ」

和「ビデオ撮った人は、試合内容じゃなくて」

和「タンクトップ、ボクサーパンツの女の子を撮りたかったみたいね…」

律「しかもこれ唯だけじゃなくて、憂ちゃんも撮ってるよ」

和「完全に試合目的じゃないわね…」

会長「こんな不純な輩がおるから」

会長「男のくせにKO負けなどするんじゃあっ!!?」

ト「まあまあ、そのお陰で僕達は重要な資料を手に入れられた訳ですし…」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/03(火) 23:01:01.94 ID:7nvCKhDc0
カーン!

律「おっ、試合開始か」

律「って、ゴング鳴ったのに憂ちゃん写してるし」

会長「まったく、けしからん!」

和「やっとカメラが試合に向いたわね」

律「お互いあんまり打たないなぁー」

和「序盤の様子見かしら?」

律「女だからって舐められてるんだろ」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/03(火) 23:09:02.73 ID:7nvCKhDc0
和「もう1ラウンド終わっちゃうわね」

律「動きなしか?」

ト「ここからちょっとよく見てて!」

律「あっ、打ち合いだしたっ」

バシッ!!!!!

律「!!!?」

和「今の唯のパンチ?!」

ト「右にダッキングしてから左フックの大振りだね」

律「粗いパンチだなー、普通あんなの当たるか?」

和「油断してたのと、虚を衝かれたんじゃない?」

律「唯もせっかく相手が怯んだのに追わないし…」

カーン

律「1ラウンドはこれだけか?」

ト「2ラウンド目はもう少し動きがあるよ」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/03(火) 23:17:04.70 ID:7nvCKhDc0
カーン

律「今度は相手が積極的だな」

和「いきなり打ち合うわよ」

ドスッ!!!

律「!!!?」

和「また妙なパンチ!?」

ト「左を上から打ち下ろす様に、ボディーに決めたね」

律「いいの当てたのに、また唯は相手逃がしちゃうぞ」

律「妙なフォームでパンチを打つし、詰めが甘いし」

律「やっぱ初心者ってことか?」

和「でも、ただの初心者が、男の人相手に優勢に戦える訳ないわよ」

律「おっ、またやりあうぞ」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/03(火) 23:25:40.92 ID:7nvCKhDc0
バシィッ!

ダーンっ!!!

ワン・ツー・スリー

律「唯がダウンを取ったっ!」

和「えっ、今のパンチ、ストレートだったけどっ!?」

和「でもっ!?」

ト「右足を前に出しながら打ってたね…」

律「こんなのボクシングのパンチじゃないだろっ!?」

律「めちゃくちゃじゃないかっ!!!?」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/03(火) 23:33:16.84 ID:7nvCKhDc0
律「3ラウンド目では唯が2ダウン奪っちゃったよ」

和「あれから何度やり合っても唯が打ち勝ってる…」

律「しかも要所要所で変なパンチをきめてっ」

ト「そうなんだ、唯選手の特徴」

ト「打ち合いに異常に強いことと、ボクシングに捕らわれない変わったパンチを繰り出す事」

ト「しかも、そのパンチは、全てクリーンヒットしているっ!」

律「そんなっ…なんで…っ!?」

和「最終ラウンドが始まるわよ」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/03(火) 23:40:45.68 ID:7nvCKhDc0
カーン

律「最後なのに、お互い攻めないな」

和「相手は悉く打ち負けてるもの、手が出し辛くなったのね」

律「あっ、はじめて唯から攻めだした」

会長「出たんじゃろうな…セコンドから」

会長「KOサインがっ」

バシバシっ ドカッ!!!!!

律「圧倒的だ…唯がっ!」

和「唯はもらわないのに、唯のパンチだけ相手に面白いように当たるわ」

律「唯はほとんどディフェンスしてないのに…」

会長「その必要など無いのじゃろ…むしろ手を出す事が防御」

会長「相手にパンチを当て続ければ、こちらが打たれる事も無いからのう」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/03(火) 23:49:09.85 ID:7nvCKhDc0
カンカンカーン!!!

律「4ラウンドでKOか…」

和「でも、やろうと思えばもっと早くKO出来たんじゃないかしら?」

律「相手を舐めてたのも、様子見だったのも、唯の方だったって事か…」

ト「ビデオは以上だよ」

ト「どうだい?これが平沢選手だ、僕自身こんな選手ははじめて見た」

会長「どんな世界にも天才はおる」

会長「一見ボクシングの理屈に適わんパンチを、要所要所で決めてくる選手は実際におるもんじゃが…」

会長「この平沢は恐ろしいほどそれに特化しておる」

和「この能力は一体何なんですか?」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 00:00:58.76 ID:N5l3a+RF0 [1/33]
会長「まあ、ボクシングで一般に言う『あて感』じゃが」

会長「これほど凄まじいものは初めて見るわい」

会長「理屈抜きで、攻撃を絶好の場所、絶好のタイミングで打つ能力」

会長「剣術だろうが拳法だろうが、この能力を得るために日々鍛錬に励む」

会長「しかしおるのよのぅ…」

会長「こやつの様に、凡人が生涯追い求めて得れぬ感覚を」

会長「生まれもって持つ天才が…」

律「……」

会長「こやつの能力、言うなれば『絶対あて感』!!!」

律「!!!?」

律(小さい頃から音楽教育を受けなければ身に付かないという絶対音感を)

律(音楽教育を受けずして身につけていた唯…)

律(ボクシングでもそんな才能を持っているなんてっ!?)

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/04(水) 00:03:46.65 ID:N5l3a+RF0 [2/33]
>>19
ありがとうございます
規制されなければ7日(土)に予定しています

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 00:08:45.24 ID:N5l3a+RF0 [3/33]
律「ううっ、ずるいよ…」

和「律…」

律「こんなの、勝てるわけ無いよっ」

会長「……」

律「大体、男の人をKOするなんて、そんな相手に私が敵うと思うっ!?」

律「私に唯みたいな才能なんてないっ」

律「只の凡人だもん…」

ト「律ちゃん、そんなのまだ分からないよ」

律「じゃあ、トレーナーさんは私が勝てると思うっ!?」

ト「それは…」

和「律、確かに唯は私達の想像以上よ」

和「でも、試合を投げ出すような事はダメ!」

律「……」

和「会長からも何か言って下さい!」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 00:17:04.84 ID:N5l3a+RF0 [4/33]
会長「いや、確かに…」

会長「この試合、このままでは勝ち目は無い!」

律「!!!?」

和「そんなっ、会長!」

会長「わしは思った事を言ったまでじゃ」

律「くそっ、なんだよっ!」ダッ

和「ちょっと会長!なんであんな事をっ!?」

ト「律ちゃんはこんな時こそ、励ましの言葉が欲しかったのでは!?」

会長「いや…」

会長「天性の才能の前では、わしからの励ましなど気休めに過ぎぬわ…」

会長「この世界で生きるなら、いつかは出会わなければならんのじゃ」

会長「どうしようもない才能との対峙!」

和「……」

会長「それが小娘にはちと早いというだけ」

会長「自分で向き合い、リングに上がるのは小娘自身なのじゃ…」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 00:24:45.29 ID:N5l3a+RF0 [5/33]
学校!

唯「みんなー!」

律『あっ、唯…』

唯「律ちゃーん、おはよー!」ガバッ

律「わぁ!朝から何だよっ」

唯「いいじゃーん、私と律ちゃんは只の関係じゃ無いんだからー」

律「うひゃっ、変な言い方するなよ!」

紬「そういえば、今度の二人の試合楽しみだわー」

律「ムギ…」

紬「二人とも頑張って!みんなで応援に行くからー!」

唯「やったー!」

律「はは、ありがとう…」

澪「ちょっと怖いけど、私も行くよ」

澪「だから二人とも怪我するなよっ」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 00:32:34.02 ID:N5l3a+RF0 [6/33]
唯「うん!私がんばるよー」

律「心配すんなって…」

律『みんな全然解ってないっ、ボクシングがどんなに危険なスポーツなのか!』

律『私達二人、どちらかが倒れるまで殴りあうんだぞ!?』

唯「えへへー、楽しみだね律ちゃん!」

律「そ、そうだなー、早く試合したいよなー…」

律『そしておそらく、私は一方的に叩きのめされ、意識を失う…』

律『みんなの目の前で…』

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 00:41:32.44 ID:N5l3a+RF0 [7/33]
澪「それにしても唯、朝から元気だなっ」

紬「早朝からロードワークで、いつもは眠そうにしてるのにね」

唯「えへへ、実はね、今日は寝坊しちゃったのー」

唯「朝はサボっちゃったっ」

律『なんだって!?』

澪「おいおい、そんなのでいいのかぁ?」

紬「うふふ、唯ちゃんらしいわー」

唯「へへっ、そうかなー///」

澪「おいおい、だれも誉めてないぞっ」

律『何だよこれっ!?』

律『唯の奴、ボクシングをなめてるっ!!!』

律『私は、こんな奴に負けなきゃいけないのかっ!?』

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 00:49:06.41 ID:N5l3a+RF0 [8/33]
唯「だってー、憂が起こしてくれなかったんだもん」ブー

澪「まったく、トレーニングまで憂ちゃんまかせなのかぁ?」

律「……」

律「あーあ、流石だねー、才能のある奴は違うよなー」

唯「えっ?」

律「真面目に練習しなくても、私なんて楽勝って感じかー?」

唯「私、そんなつもりじゃ…」

律「実際そうじゃんかよっ!」ガタッ

唯「ひゃっ」ビクッ

澪「おいっ、やめろよ律っ!唯が恐がってるだろ!?」

紬「律ちゃん、急にどうしたの?」

唯「律ちゃん…」

律「……」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 00:56:53.26 ID:N5l3a+RF0 [9/33]
澪「おい律っ!」

律「何だよっ?」

澪「お前…唯に謝れよ」

律「はぁ?なんで私がっ!?」

澪「そんな嫌味な態度、スポーツマンらしくないぞっ!」

律「うるせえっ、澪に何が解るってんだよ!!!」

唯「やめてよーっ、私はもういいからっ!」

律「」イラッ

律「お、お前なーっ!」バッ

和「ちょっと、止めなさいって」グイッ

律「わっ」

唯「和ちゃん!?」

和「ちょっと私達、トイレに行くから」

律「何すんだよ和っ!?離せよっ」バタバタ

和「いいからいらっしゃい!」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 01:08:35.78 ID:N5l3a+RF0 [10/33]
トイレ!

律「なんだよ和!?」

和「なんだよって…本当はわかってるでしょ?」

律「……」

和「昨日のビデオはショックだったけど」

和「それで唯に当たるなんて、間違ってる…」

律「ううっ」

律「そんな事いったって…」グスッ

和「律…」

律「私だって、あんな態度、とりたく無かった」

律「でも、私は必死なのに、唯は笑ってて…」

律「なんだか、悔しくって」グズグズ

和「バカねぇ」ダキッ

律「ひゃっ!」

和「えっ?」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 01:16:33.10 ID:N5l3a+RF0 [11/33]
和「どうしたの?」

律「どうしたのって、急に抱きしめるからっ」アセアセ

和「あ、ゴメンなさい、唯が泣いたときにはいつもこうするから」

和「これが普通なのかと…」

律「もっ、もういいよっ」

律「先に教室に帰るからなっ///」

和「律…」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 01:24:34.94 ID:N5l3a+RF0 [12/33]
お昼休み!

紬「あれ?唯ちゃんがいないわ」

和「ほんとね、さっきまでいたんだけど…」

澪「まさか、律があんな態度取るから、一緒にお昼食べにくくなったんじゃないか?」

律「そっ、そんなっ!?」ドキッ

紬「ちょっとあれ見てっ!?」

澪「えっ?」

和「グラウンドに何かあるの?」

律「あれはっ!?」

律「唯っ!!!?」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 01:32:37.33 ID:N5l3a+RF0 [13/33]
紬「グラウンドを走ってるわ!」

和「あの子、なんて目立つ事を…」

澪「これって、朝走れなかった代わりにか?」

律「……」

紬「あっ、憂ちゃん!」

澪「なんか止めに行ってるみたいだな…」

和「あらっ、唯が転んだわね」

紬「大変!唯ちゃんに躓いて、憂ちゃんも転んじゃったわ!」

澪「何をやってるんだか」

律「……」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 01:40:37.76 ID:N5l3a+RF0 [14/33]
教室!

唯「うわーん、転んじゃったよーっ」

和「ちょっと、大丈夫なの?」

憂「少し擦りむいただけみたいです」

憂「でも姉ちゃん痛がっちゃって、消毒はしておいたんですけど…」

澪『憂ちゃんの方は血まで出てるのに、姉の心配!?』

唯「うえーん、いたーい」グスグス

紬「ほらほら唯ちゃん、痛いの痛いの飛んで行けーっ」

唯「おおっ!」パアッ

澪「こんなんで本当にボクシングなんてしてるのか!?」

律「……」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 01:48:49.78 ID:N5l3a+RF0 [15/33]
憂「お姉ちゃんは、お爺ちゃんからオーバーワークだって言われてるんです」

律「えっ!?」

澪「オーバーワークって言うと…」

紬「それって、練習しすぎってこと!?」

憂「そうなんです、昨晩もお姉ちゃん、夜遅くまで頑張ってたから」

憂「今朝のロードワークは休ませたのに…」

唯「もうっ、私は大丈夫だってばー!」

憂「ダメだよー、休むのも練習の内だってお爺ちゃん言ってたでしょ?」

紬「やっぱり唯ちゃんも練習頑張ってたのねっ」

澪「唯はやり始めると、とことんだからな」

律『唯の奴、そんなに練習してたのかっ!?』

律『もしかして…私よりっ!?』

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 01:56:57.62 ID:N5l3a+RF0 [16/33]
律が練習に行く寺!

律「はあっ、はあっ」ゼイゼイ

会長「よし!良くぞココまで音をあげずに走れるようになった!」

会長「息が整ったら、小石の足場を利用した特訓じゃ!」

律「あのさぁ」ゼイゼイ

会長「何じゃ?」

律「勝てんのかよ…?」

会長「」

律「こんな風に走ってれば」

律「天才とやらに勝てるのかよ!?」

会長「そうか…」

会長「お主はどう思うんじゃ?」

律「そんなの分かり切ってる、勝てっこないよ!」

会長「だがな、努力をすれば、才能を上回れるかも…」

律「嘘だよっ!!!」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 02:09:15.28 ID:N5l3a+RF0 [17/33]
会長「!?」

律「じゃあ、天才も同じように努力してたら?」

律「どうやって差を縮めろって言うんだよっ!?」

会長「……」

律「なんだよっ!」

律「どうしたんだよっ!?」

律「いつもの様に『バカモン』って言ってくれよっ」

律「やっぱり、会長も私が勝てないって思ってるんだ…」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 02:17:02.85 ID:N5l3a+RF0 [18/33]
会長「聞け小娘…」

会長「わしも現役時代、とんでもない才の持ち主と試合をした…」

律「!?」

律「それで、勝ったのか!?」

会長「いや、負けた」

律「ほら見ろよっ…」

会長「それでな、その試合でわしは選手生命を失ったのじゃ…」

律「!?」

会長「わしは現役時代、ライバルと呼ぶ男がおった」

会長「だが実際は向こうが格上」

会長「わしはそいつと闘う為に、死に物狂いで体を鍛え、技を磨いたっ!」

会長「そして運命の決戦」

会長「わしは何度も倒されながらも、必死相で手に喰らい付き続けた」

会長「しかし結果は…」

律「……」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 02:24:56.71 ID:N5l3a+RF0 [19/33]
会長「だがな、そんなわしだからこそ言うのだ」

会長「天才には勝てる!」

律「な、なんでそんな事言えるんだよっ」

会長「それがわしのボクシングだからじゃ」

律「???」

会長「現役時代には天才のライバルに勝つため」

会長「指導者になってからは」

会長「努力と根性で天才に打ち勝つ選手を生み出す為に」

会長「わしはボクシングを続けておる!」

律「でも、そんなことっ」

会長「あ奴はジムに入った当初は才能の欠片も見出せなかった」

会長「実際、何度も自分の限界にぶつかり苦しんだ」

会長「だがな、その度に堪え踏みとどまり、今では世界ランカーになったのじゃ」

律「それって先輩のこと?」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 02:32:58.87 ID:N5l3a+RF0 [20/33]
会長「そうじゃ」

律「でも、先輩と私は違うもん」

律「結局先輩には才能があったんだよ」

会長「……」

会長「いいか小娘」

会長「相手の才能に挑むという事は」

会長「同時に自分の限界に挑むということじゃ」

律「???」

会長「確かに平沢は波の選手じゃない」

会長「だがな、それに敵わないと決め付けているのは自分自身じゃ」

会長「今お前が決め付けているよりも、お前は強くなれるかも知れん」

律「そんなの、信じられないよ…」

会長「そうか…」

会長「では代わりにわしが信じよう」

律「!?」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 02:43:24.94 ID:N5l3a+RF0 [21/33]
会長「わしがお主は必ず勝てると信じる」

律「なんだよそれ…」

会長「わしは何十年も、あの時勝てたはずだと思い続けて生きてきた」

会長「もう一歩で勝てたのだと…」

会長「それをお主が照明してくれんか?」

律「はぁ?」

会長「虫のいい話しじゃが」

会長「わしに、努力と根性で天才に勝てる事を照明してくれっ」

会長「お主の試合に、わしのボクシング人生の意義を賭けさせて欲しい」

律「…!?」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 02:49:03.53 ID:N5l3a+RF0 [22/33]
律『会長…』

律「な、なんで私がお前の為に勝たなきゃならないんだよっ」

律「会長の為じゃなくても、勝ってやるよ!」

律「唯なんかに負けちゃ、軽音部部長の面子が立たないからなっ」

会長「小娘…」

律「さっ、息も整ったし、そろそろ練習しよう」

会長「うむ、そうじゃな」

会長『こんな老いぼれの戯言を真剣に聞いてくれるとは、優しい奴じゃ』

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 02:56:54.55 ID:N5l3a+RF0 [23/33]
律「今日もココを往復ダッシュか?」

会長「いいや、今日はこいつを持ってきた」

律「バットとボール?野球でもするのか?」

会長「その通りじゃ!」

律「はぁ?」

会長「わしがフライを上げるから、お主がそれを取ればいい、簡単じゃろ?」

会長「もちろんボールは柔らかいゴムボールじゃ」

律「まあ、タダ走るよりは面白そうだな」

会長「それじゃ、始めるぞ、締まって行くぞー!」

律「お、おうっ!」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 03:09:19.90 ID:N5l3a+RF0 [24/33]
ポーン

律『おっ、あそこか、結構近いし楽勝そうだな』

ガザッザッザッザッ

律「くそっ」

会長「おいおい、何をしとる、全然届いとらんじゃないか」

律「小石の足場だと、足を取られるんだよっ」

会長「次ぎ行くぞっ」

律「よし来いっ」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 03:17:12.26 ID:N5l3a+RF0 [25/33]
律「はあっ、はあっ」

会長「どうした、一球すらも取れんではないか!」

律「普通の地面なら大した事ないんだけど、ココじゃキツイよ…」ゼイゼイ

会長「そうか、お前には無理かのう?あ奴ならお前くらいの時には取れておったぞ」

律「先輩が?先輩もこのトレーニングしてたのか?」

会長「その通りじゃ、お主もそれに続いて見せろ」

ポーン

律「今度こそっ」

ガザッザッザッ!

律「くそっ」

会長「ダメじゃなぁ、今日は一球取れんと帰れんと思え!」

律「そんなぁ、無理だよ」

会長「どうしてじゃ?」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 03:25:14.55 ID:N5l3a+RF0 [26/33]
律「私は本気で走ったんだよ」

律「これ以上続けたって、疲れで遅くはなっても、速くはならない」

律「会長が手を抜いて、甘いのを上げてくれない限り無理だよ」

会長「じゃがわしはそんな事せんぞ」

律「そんな…無茶だよー」

律「これ以上速くは走れな…」

律「!?」ピン

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 03:33:13.30 ID:N5l3a+RF0 [27/33]
律「会長、一球取れたらいいんだよね?」

会長「む?うむ、一球取れればコツがつかめるはずじゃ」

律「わかった、来いっ!」

会長「なんじゃ急に…」

ポーン

ダッ!

会長「むっ!?」

律「取れたっ」パシッ

会長「ほう、やるのう、やっとコツが掴めたか?」

律「これでいいだろ?さっ、帰ろうぜ!」

会長「まあ待て、コツを忘れん内にもう一球じゃ」

律「え?」

ポーン

ダッ!

会長「!?」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 03:43:03.35 ID:N5l3a+RF0 [28/33]
律「あー、くそっ!」

会長「バカモンっ!ボールと逆方向へ走ってどうする!?」

会長「貴様っ、ボールの落ちる位置を、山勘で予測して走っとるな?」

律「へへっ、さっきはそれが、たまたま当たったってだけー」

律「でも一球は一球、約束通り今日はココまでな」

会長「悪知恵だけは回る奴じゃ」

律「でも、この練習のコツもわかったぜ」

会長「ほう」

律「大切なのは走り始めるまでの時間」

律「素早く打球に反応して走り出せば、速さが足りなくても追いつけるんだ」

会長「その通りじゃ!この練習はその反射神経を養うものでもある」

会長「いくらお主の足が強化されても」

会長「相手に対する反応速度が遅ければ無駄な事じゃ」

律「でも会長も性格悪いよ」

律「コツがあるなら、初めから教えてくれりゃいいのにさ」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 03:49:47.52 ID:N5l3a+RF0 [29/33]
会長「ただ闇雲にやっても出来ん事でも、やり方を変えれば出来るもんじゃ」

会長「ボクシングでも同じ事…」

律「ボクシングでも?」

会長「平沢の攻撃力に、正面からぶつかって勝つのは難しい」

会長「だが、他のやり方をすれば、案外勝てるかも知れんぞ!」

律「ふぅん」

律「だから天才にも勝てるってか?」

律「言ってる事は分かるけど、頼りにならない理屈だなー」

会長「……」

律「でも、無いよりはマシか」ニカッ

会長「小娘…」

会長「では約束通り、今日はもう帰るかのっ」

律「いや、せっかくコツも分かったし、もう少しやっていこうぜっ!」

会長「ふっ、そうじゃな」

会長『小娘…今度の試合、必ず勝つぞ!』

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 03:57:25.66 ID:N5l3a+RF0 [30/33]
律のジム!

ト「そうかー、和ちゃん平沢選手のジムを見に行って、追い出されちゃったんだね」

和「このジムに所属しながら、行った私が悪いんですけど…」

ト「でも、何でまた戻ってきてくれる気になったんだい?」

和「それは、唯や律がボクシングを始めたから」

和「私も、唯と試合がしたいんです!」

ト「平沢選手と?」

和「……」

和「私がボクシングを始めたきっかけは、自分の負の感情をぶつける為でした」

和「でもボクシングをやってみると、思いもしなかった新しい世界や価値観が見えるようになって」

和「私の小さな悩みなんて吹っ飛んじゃったんです」

ト「そう言ってもらうと、指導者の立場として嬉しいよ」

ト「ボクシングが鍛えるのは体だけじゃないんだ」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 04:09:29.55 ID:N5l3a+RF0 [31/33]
和「そうなんです、私はボクシングで大切な経験をさせてもらいました」

和「でも、その事を親友である唯には隠してたんです」

和「私の心の闇の部分を知られたくなかったから…」

ト「和ちゃん…」

和「私が唯と一緒にいられる時間は後わずか」

和「せっかくこのタイミングで、唯がボクシングを始めたんです」

和「最後に、私達の全てをぶつけ合ってみたいんですっ!」

ト「そうなのか…」

ト「平沢先…いや、唯ちゃんは和ちゃんにとって」

ト「とても大切な友達なんだね」

和「ええ…」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 04:16:35.46 ID:N5l3a+RF0 [32/33]
和「それにしても、内の会長は唯の所の会長のこと、嫌ってますよね」

ト「あー、あの二人が仲が悪いのは有名なんだよ」

ト「なんでも昔はライバル同士で親友だったらしいけど」

和「二人が…親友だったんですか!?」

ト「だけどね、その二人の試合で、内の会長は選手生命を奪われたんだ」

和「!?」

ト「今じゃ考えられないほど、とても激しい試合だったらしい」

ト「その試合の後遺症で、会長はボクシングが続けられなくなってしまったんだ…」

和「そうなんですか」

和「それで二人は仲が悪くなってしまったのね」

ト「ところがね」

ト「そうじゃないらしいんだ」

和「えっ?」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 04:24:44.95 ID:N5l3a+RF0 [33/33]
ト「ボクシングの厳しさをあれだけ知っている会長だ」

ト「何時選手生命が絶たれても、覚悟の上だったはずだ」

ト「その会長があれだけ恨みに思っているのは、何か別の理由があるんだよ」

和「別の理由って?」

ト「まあ、噂なんだけどね」

ト「ジャッジの買収だよ」

和「!?」

ト「試合の前半は内の会長が押されてたけど」

ト「後半は気迫で押し返し、優勢だったんだよ」

ト「誰もが会長の勝利を確信したんだけど、判定は…」

和「そんな、それで負けてしまったって言うの!?」

律「おいっ!!!!」

ト「わっ!」

和「律っ!?」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 04:31:29.66 ID:FC+RNmMY0 [1/2]
律「ちょっと、その話っ、本当なのか!?」

ト「ああ、何せ昔の事だから確証は無いけど」

ト「当時マスコミにも騒がれたし」

ト「実際なにかやましい事があったみたいで」

ト「向こうの会長もすぐ引退しちゃったんだ」

律「そんなっ、許せないよっ!!!」

和「ちょっと律?」

律『せっかく努力で天才に打ち勝てるって所で』

律『そんな汚い手段で負けたって言うのかよっ!』

律『ひど過ぎるっ!』

律『そうかっ、だから会長にとって次の試合、特別なんだっ』

律『会長の無念、きっと私が晴らしてみせるっ!!!』

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/04(水) 04:48:43.91 ID:FC+RNmMY0 [2/2]
次回予告

ついに明らかになった唯の能力、果たして対抗する術はあるのか?

律は和とのスパーリングによって、その糸口を掴む事となる!

お互い負けられない理由を持ちながらも、親友同士の拳は熱く交わり火花を散らす

闘いを通して、二人の少女は何を見るのか?


そして、今週までにこのシリーズは完結させます

こりゃあ、明日も徹夜か?

例え誰も読まないSSでも悔いは無い

俺は全睡眠時間をかける決死の覚悟だ!

(もう自棄だ)

ご期待ください

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