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律「お主の心の中を見てしんぜよう」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 19:01:37.49 ID:pZTi8kkn0 [1/25]
唯「あれ? 澪ちゃん、ケーキ食べないの?」

澪「う、うん。ちょっとね。良かったら私の分も食べていいよ」

唯「やった~♪」

紬「澪ちゃん、どうしたの? このケーキ好みじゃなかった?」

澪「いや、そういうわけじゃないんだけど……」
 『じつは、私、最近体重が増えちゃって……、だからダイエットしなきゃいけないの』

唯「そっか~、ダイエットか~」

澪「……おい、律」

律「あ、私だってバレちゃった?」

澪「当たり前だ!」

唯「あれ? さっきのってりっちゃんだったの!?」

紬「りっちゃんって、澪ちゃんの心の声をよく代弁するわよね」

律「まぁな、澪の考えてることだったらなんでもお見通しだぜ!」

梓「じゃあ、ダイエットっていうのも本当なんですか?」

澪「デタラメだ!」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 19:08:17.96 ID:pZTi8kkn0
澪「ちょっと、虫歯っぽくってさ。甘いものはキツイかも、って」

律「なんだ~、虫歯かよ~」

紬「それは、早いうちに治しておいた方がいいわね」

澪「うん。明日にでも、歯医者に行こうと思ってるんだ」

梓「なんで、今日行かなかったんですか?」

澪「ああ、それは……」
 『私、痛いの苦手だし、高校生にもなって歯医者さんで泣いちゃうの恥ずかしいし
  覚悟を決める時間が欲しかったの』

唯「あ~、その気持すごくわかるよ、澪ちゃん! 私もできるなら歯医者になんて行きたくないよ」

澪「もう! 律いい加減にしろよ! 唯もそんな簡単に騙されるなって」

唯「はっ!? またしても……!!」

澪「私の行きつけの歯医者、今日の午後は休診なんだよ」

梓(正直、澪先輩のことだから、あながち律先輩の言い分も間違ってないかもって思ってしまった……)

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 19:15:45.46 ID:pZTi8kkn0
唯「りっちゃんって、澪ちゃんの考えてることがよくわかるね。超能力者?」

律「私くらいになれば、そんなものは朝飯前ですわよ!」

澪「いや、全然当たってないから」

唯「私が、今思ってることもわかる?」

律「ちょっと待ってろよ。今唯の心の中に入り込む準備をするから……」

紬「わ~っ、なんだかドキドキしちゃうわね」

律「しっ! 静かに。今、精神統一してるから」

紬「あ、ごめんなさい」

澪「インチキな奴はこうやって形から入りたがるんだよ……」

律「むむむっ!?」

唯「!?」

律「きたきた!!」

律「唯は今『澪ちゃんには悪いけど、ケーキが二つ食べれて嬉しいな』って思ってる!」

唯「ドンピシャだっ!!」

梓「それくらいだったら、私にだってわかりますよ……」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 19:21:31.62 ID:pZTi8kkn0
唯「そういえば、和ちゃんもりっちゃんみたいに私の心の中がわかるみたいなんだ」

紬「さすが、幼なじみね」

唯「今朝も、宿題やってくるの忘れたからノート写させてもらおうと思って
  和ちゃんのところに行ったら、私まだ何も言ってないのにノート出してくれたし」

唯「お昼のときも、私が和ちゃんのお弁当の玉子焼き美味しそうだな~って思ってたら
  私、見てただけなのに『玉子焼き食べる?』って聞いてくるんだよ!」

唯「それが、毎日のようにあるんだから、和ちゃんってすごいよね!!」

澪「毎日あるから、和も唯の行動パターンが読めるんだろ……」

律「まぁ、さすがの和も唯の心しか読めないだろうな
  その点私は、澪だけじゃなくって、他の人の心も読める超能力があるから!」

澪「おいおい……」

梓「また、そんなこと言って……」

律「じゃあ、梓が今思ってることも言い当ててやろう!」

梓「いいですよ! 当てれるもんなら当ててみろです!」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 19:26:35.56 ID:pZTi8kkn0
律「うむむ……!! はにゃほらふにゃ……」

澪「さっきとやり方が違うじゃないか……」

律「出ましたっ!!」

律「梓は、『ムギ先輩にトンちゃんの餌持ってきて下さいって言わなきゃ』って思ってる!」

梓「!?」

唯「合ってるの? あずにゃん」

梓「み、認めたくありませんが……そのとおりです……」

紬「りっちゃんすごい!」

澪「ま、マグレだろ、マグレ」

律(今日、珍しく私がトンちゃんに餌あげようと思ったら、もう無くなりかけてたからなぁ)

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 19:32:47.72 ID:pZTi8kkn0
紬「じゃあ、りっちゃん。私もお願いします!」

律「うむ! 任せるがよい!」

唯「なんだか風格が漂ってきてるよ!」

律(ムギは何考えてるのか全然わかんねぇぞ……)

律(まぁ、そろそろ飽きてきたし、適当でいっか……)

律「では……。んん~~~~、ホゲホゲポーン!!」

澪「なんじゃそりゃ……」

律(もう最後だし、あり得ないこと言ってやれ
  で、澪に「結局デタラメだろ」って突っ込まれて終りだ)

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 19:36:46.12 ID:pZTi8kkn0
律「出ました! ムギは私にまた叩かれたいと思っている!
  さらに今度は頭じゃなくて、お尻を思いっきり叩かれたいと熱望している!」

紬「!?」

澪「そんなわけないだろ」

律「ですよね~」

澪「やっぱりデタラメ……」

紬「りっちゃん……。やっぱり、私の気持ちに気づいてくれていたのね……」

律「えっ!?」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 19:44:30.37 ID:pZTi8kkn0
紬「それなのに、なかなか叩いてくれないなんて……罪な人……」

律「いや、あの、その……」

唯「すごいっ! 命中したっ!」

梓「これはいよいよ本物じゃありませんか!?」

澪「おいおいムギ。お尻叩かれたいとか、冗談だろ?」

紬「ううん。私、今まで一度もお尻ペンペンされたことなくって
  誰かにお尻叩かれるのに憧れていたの」

紬「でも、こんな事誰かに頼むなんてさすがに恥ずかしくてできないし……」

紬「だけど、前に一度だけ頭叩いてくれたりっちゃんにならって思って……」

紬「でもやっぱり、お尻叩いて下さいなんてなかなか言えないし……」

紬「今までずっとムラムラしてたの! だから、私の気持ちを汲んでくれて嬉しい!」

澪「マジか……」

律(うわぁ、やべぇ……。まさかムギがここまで変態だったとは……。
  逆に読めなかった……)

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 19:55:13.87 ID:pZTi8kkn0
梓「ここまで、的確に当ててくるなんて。律先輩って本当に……」

唯「お尻叩かれたい! なんて普通思わないもんね」

紬「りっちゃんって、実はすごい能力の持ち主だったのね!」

律「だ、だから言っただろ? 私には超能力があるって!」

唯「その超能力使ったら、疲れたりしないの?」

律「あ、ああ。今日はちょっと乱発しすぎて疲れちゃったかな……」

唯「だったら、このケーキ食べてもいいよ!」

律「へっ? いいのか?」

唯「うん、疲れたときには甘いものだよ」

律「いや~、助かるよ。心読むのは精神的な摩耗が激しくってさ~」

律(あれ? なんだかちやほやされてる? もうちょっとこのままでもいいかもな♪)

澪「……」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 19:59:52.15 ID:pZTi8kkn0
紬「じゃあ、そのケーキ食べ終わってからでいいから、とりあえず。はい」プリンッ

律「お、おい! なにケツ出してるんだよムギ!」

紬「叩いてくれるんじゃないの……?」

律「……あ、そっか」

紬「思いっきりどうぞ!」

律「いや、今はちょっと……」

紬「りっちゃん……、叩いてくれないの?」ウルウル

律(あーもー。めんどくせぇ……)

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 20:04:20.81 ID:pZTi8kkn0
律「そうじゃなくってさ。やっぱり、お尻ペンペンってのは悪いことした後にやるもんだろ?
  この状況でやるなんてなんか違う気がしてさ……。
  だから、例えばムギが、私の紅茶に砂糖じゃなくて塩を入れるなんてイタズラをしたあとだったら
  スムーズにお尻ペンペンなんてお仕置きができるんだけど」

紬「りっちゃん……。私、本当に嬉しい!
  今、私が思い描いているお尻ペンペンシュチュエーションと全く同じよ!」

律(おおぅ……)

紬「そうなの! イタズラっていう段階を踏まえるのが重要なポイントなのっ!」

梓「ムギ先輩、とりあえずパンツ穿きましょう」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 20:12:26.23 ID:pZTi8kkn0
唯「またもや、ムギちゃんの心の中を読み取った!」

律「へ、へへん! どんなもんだ!」

律(正直、私自身もこの的中具合は恐いな……)

律(それに、さっきの話だと、私の紅茶に塩が入る日もそう遠くない……)

梓「律先輩って、ふざけてるように見えて実は一番私達のことをよく見てくれてるってことですかね?」

紬「そっか。だから私たちが何考えているのかもお見通しってわけなのね!」

唯「さすが部長だー!」

律「ま、まぁな! なんせ部長だからな!」

律「いつも、皆が何を思い、何を感じて練習しているのかっていう心配りを忘れたことはないからな!」

律「そんな努力の賜物だな、こうやって皆の考えていることがわかるのは」

律(はははっ、言ってやった、言ってやった)

唯「りっちゃんカッコイイ!!」

澪「……」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 20:20:23.67 ID:pZTi8kkn0
帰り道

紬「また、明日ね~」

梓「失礼します」

唯「じゃあね~」

律「唯~、家でアイス食べ過ぎるなよ~」

唯「はっ!? またしても心を読まれたっ!
  今日はスーパーでアイスの安売りだから、憂が沢山買ってきてくれる約束なんだ」

律(はいはい、スーパーでアイス安売り知っております。私もあとで聡にパシらせるか)

紬「まさに、エスパー律ね!」

梓「いっそ、テレポーテーションにでも挑戦してもらいたいです!」

律「ビーズが飛び出すハート型のブローチも無いし。
  それにうちの親は、娘の裸なんて書かないからなぁ~」

澪「……」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 20:28:34.05 ID:pZTi8kkn0
 ・ ・ ・ ・ ・

律「いや~、まさかあの唯からケーキを貰う日がくるなんて思いもしなかったな~」

澪「……」

律「これも、私の隠れた才能のおかげかな、なんちゃって……」

澪「……」

律「さっきから、黙ってどうしたんだよ、澪」

澪「あのね……」

律「うん?」

澪「あれだけ他人の心が読める律のことだから
  ずっと一緒にいる私の心の中なんて全部お見通しだと思うとなんだか恥ずかしくなっちゃって……」

律「へっ?」

澪「いつも私が律に抱いてる感情が、律に対して筒抜けだったなんて思うと……
  なんだか、ドキドキが止まらないんだ……」

律「えっ……、そ、それって……」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 20:36:43.18 ID:pZTi8kkn0
澪「言わなくたって、律には全部わかってるんでしょ?」

律「えっ……、ああ……うん」

律(な、なんだ! この展開はっ!?)

澪「そういえば、もしかして小学生のときに初めて話しかけてくれたときも
  実は、私の心の中が読めてた……とか?」

律「そ、そうなんだ! 実はそのころからなんとなくわかっちゃってたんだよな。あ、あはは……」

律(おいおい、いい加減止まれ! 私!)

澪「ずっと、独りで本読んでたけど、実はもっと友達と遊びたかったんだ」

澪「でも、人一倍恥ずかしがりだったから、自分から話しかけるのもできなくって……」

澪「だけど、そんな私の思いを受け止めてくれた律が私に話しかけてくれた」

律「そうそう、澪の心の叫びが聞こえて居ても立ってもいられなくなってさ~」

律(こうやって調子に乗っちゃうところが、私の駄目なところなんだよな……)

澪「でね、そのころから私、実はずっと律のこと……」

律「み、澪?」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 20:45:22.09 ID:pZTi8kkn0
澪「いや……、言わなくったって伝わってるし、いいや」

律「な、なんだよ! 気になるだろ?」

澪「そんなこと言って、本当はわかってるくせに。私の口から聞きたいだけなんだろ?」

澪「私の気持ちなんてずっと前からわかってるくせに。ずるいよ、律は……」

澪「私だって、律が私に対してどんな気持ちでいるのか、知りたいな~」チラッ

律(あれ? なんだか今日の澪はいつも以上に可愛いぞ……)

律「ま、まぁ、そうだな。私も澪のこと……」

澪「ストップ!」

律「へっ?」

澪「私が何も言わなくても、律は、私が律に対して思っていることがわかっちゃう」

澪「だからやっぱり、私も律が何も言わなくても律の気持ちが理解できるようになりたいんだ」

澪「だって、悔しいもん。律ばっかり私のことわかっちゃうの」

澪「そんな何も言わずとも気持ちが通じ合う二人になりたいんだ。律とは」

律(こ、これはっ!?)ドッキーン!!

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 20:52:38.77 ID:pZTi8kkn0
澪「じゃあな、律」

律「えっ?」

澪「もう、家の前」

律「あ、ああ。うん……」

澪「……」

律「な、なに?」

澪「なに?って、今、心の中でまた明日って言ったんだけど……」

律「あ、ああ! もちろん聞こえたよ!」

澪「ふふっ。早く私も律と以心伝心な関係になってみたいよ」

律「えへへ」

澪「……」

律(ま、また何か心の中で念じているのか?)

澪「やっぱり、まだ、私には律の心の中が見えないな……」

澪「悪いけど、律は言葉で伝えてくれないか?」

律「き、気にするなよ! また明日な!」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 21:01:10.59 ID:pZTi8kkn0
律の部屋

律「まさか澪があそこまで信じてくるとは思わなかった……」

律「そのおかげで、引くに引けなくなっちゃったよ……」

律「まぁ、それに関して言えば調子に乗った私のせいなんだけどさ」

律「小学生のときも、本当はちょっかい出したらすぐ涙目になって
  からかいがいのある子だな~って思ってただけだし……」

律「……」

律「澪の心の叫びが聞こえたんだ!」

律「……」

律「アホか、私は……」

律「でも、澪が私に対してなんだか特別な感情を抱いていることには違いないな」

律「それが何なのかは、はっきりとは聞けなかったけど……」

律「うぅ~……、いったいなんなんだ! このモヤモヤした気持ちは!」

律「恋か!? そんなバカな!! 女同士だぞ!!」

律「ちっくしょ~! 誰か私の心の中を読んで教えてくれー!!」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 21:12:41.69 ID:pZTi8kkn0
唯の部屋

唯「あ、メール」

唯「澪ちゃんからだ」

唯「ふむふむ……」

唯「へ~、そうだったんだ~」

唯「さすが幼なじみだな~」

唯「澪ちゃんも、りっちゃんのことちゃんと見てたんだね」

唯「なんだか妬けちゃいますな~」

唯「『オッケー。私も協力するよ~』っと」

唯「ほい、送信!」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 21:18:51.40 ID:pZTi8kkn0
紬の部屋

紬「あら? 澪ちゃんからメールが来てる」

紬「へ~、そんなことが……」

紬「うふふ、ぜひその場にいてみたかったわ」

紬「それに、なんだかんだ言いつつも二人共仲が良いんだから」

紬「本当に、幼なじみって羨ましいわ」

紬「『私も澪ちゃんに協力するわね』っと」

紬「今日はいい夢が見れそうだわ♪」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 21:25:44.91 ID:pZTi8kkn0
梓の部屋

梓「あ、澪先輩からメール」

梓「なるほど……、そんなことが……」

梓「まぁ、私もそんな気はしてたけど……」

梓「律先輩も変なところで意地っ張りなとこがありそうだからな~」

梓「でも、澪先輩が律先輩のとこをそういう風に思っていたなんて……」

梓「さすがは幼なじみといったとこかな」

梓「『わかりました。私にできることがあれば何でも言ってください』っと」

梓「やれやれ、結局澪先輩と律先輩は……」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 21:34:37.44 ID:pZTi8kkn0
翌日 放課後

律「早く部室行こうぜ~」

紬「そうね、行きましょ」

唯「ああ、待って~」

澪「じゃあ、今日は私先帰るから」

律「え? なんで?」

澪「なんでって、歯医者に行くって昨日言ったろ?」

律「あ、そっか」

唯「おや? りっちゃんお得意の超能力は? 澪ちゃんのことならお見通しなんじゃなかったの?」

律「そ、そうずっと使ってもいられないからな。疲れるし!」

紬「それもそうね」

律(その設定まだ生きてたのかよ……)

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 21:41:57.73 ID:pZTi8kkn0
軽音部 部室

梓「今日は澪先輩お休みですか?」

紬「歯医者さんに行くって」

梓「ああ、そう言えば昨日そんなことも言ってましたね」

唯「澪ちゃんがいなくなってりっちゃん寂しい?」

律「馬鹿、そんなわけないだろ」

紬「そうなの?」

律「むしろうるさい奴がいなくってのびのびできるよ」

梓「あ~、明日澪先輩に言いつけちゃいますよ」

律「いいよ~だ! どうせ澪も同じ様なこと思ってるだろうよ」

唯「あ、りっちゃんも澪ちゃんの気持ちがわかってたんだね、やっぱり」

律「ん? そ、そりゃあ、長年一緒にいるからな」

紬「超能力もあるしね」

律「そうそう」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 21:50:12.99 ID:pZTi8kkn0
唯「それでも、ずっと友達でいれるってすごいね」

律「なんで?」

唯「澪ちゃんのりっちゃんに対する気持ちを知りながら一緒にいるってことでしょ?」

律「そりゃあ、まぁ……」

律(澪が私のことが好きってことを言ってるのか? 確かに私にはそんな同性愛みたいな趣味はないけど)

律「それでも、折り合いをつけていけばいいんだよ」

唯「そっか~」

紬「ところで、りっちゃんは澪ちゃんのことどう思ってるの?」

律「ど、どう思ってるって……」

紬「好きなの!? 嫌いなの!?」

律「いきなりどうしたんだよ!?」

紬「どっちか答えて!!」

律「と、とりあえず顔が近い……」

梓「ムギ先輩、落ち着いて」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/01(日) 21:56:51.85 ID:pZTi8kkn0
紬「ごめんなさい、私ったらつい熱くなっちゃって……」

律「なんなんだよ、いったい……」

唯「あのね、実は昨日ね、澪ちゃんからメール貰ってさ」

梓「言っちゃうんですか?」

唯「黙ってたってりっちゃんにはいずれバレちゃうよ」

紬「それもそうね、りっちゃんの読心術には敵わないもの」

唯「どくしんじゅつ?」

梓「人の心が読める能力のことですよ」

唯「へ~、読心術を駆使する者、田井中律! か」

梓「なんだか、カッコイイですね」

紬「いよっ! 読心術!」

律「まぁな! はたして私ほどの読心術使い手が他にいるかな? なんちゃって」

律(ああ、意味もなく褒められるのも気持ちイイもんだなぁ)

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 22:14:22.00 ID:ZkPImfMY0
部室前

さわ子「……」

さわ子「なんだか、部室から私が聞きたくないランキングの上位に入っている
    キーワードが頻繁に聞こえてくる……」

さわ子「こんな危険なところへは入れない……」

さわ子「……」

さわ子「なによ! これは私に対するイジメ!?」

さわ子「売れ残りなんかじゃないわよ! 熟れてるのよ! まだ腐ってなんてないわよ!」

さわ子「女子高生なんかに、私の気持ちがわかって……」

さわ子「ちきしょーー!!」

さわ子「悔しいけど、ここは撤退よ!!」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 01:11:23.48 ID:dtxE61gr0 [2/24]
梓「ん? なんだか部室の外が騒がしいような……」

紬「なにかしら?」

律「それよりもさ、昨日メールで澪が何って言ってきたんだ?」

唯「それは、澪ちゃんが普段からりっちゃんに対して抱いている気持ちだよ」

紬「なんだか、もうりっちゃんには全部筒抜けになってて恥ずかしいってメールを澪ちゃんから貰って」

梓「私もです。でも、澪先輩は律先輩の気持ちがわからないからモヤモヤするって」

律「ああ、昨日の帰りにそんな話をしたんだよ」

唯「へ~。で、りっちゃんの気持ちは澪ちゃんに伝えたの?」

律「いや、澪が『私も律が何も言わなくてもわかるようになるまでがんばる』とか言うから」

紬「じゃあ、りっちゃんは澪ちゃんに自分の思ってることを伝えてないのね?」

律「まぁ、そうなるな」

律「でも、皆に相談するくらいなら、直接私に聞けば済む話なのに」

紬「そこは、やっぱり澪ちゃんも意地っ張りなところがあるから」

唯「そうそう、りっちゃんみたいになるって言った手前そう簡単には聞けないんだよ」

律「は~、そういうもんかね」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 01:16:18.58 ID:dtxE61gr0 [3/24]
梓「でも、澪先輩の気持ちを知りながらずっと一緒にいれるってすごいです。
  私、律先輩を尊敬しちゃいます!」

律「だから、そんなことはもう割り切れる仲なんだって、私と澪は」

紬「なんだか、大人のつき合いって感じね」

唯「ねぇ、参考までに、りっちゃんは澪ちゃんのことどう思ってるの?」

律「私が澪のことを?」

紬「そうね、ちょうどここには澪ちゃんいないし、私たちだけにコソッと教えてくれない?」

梓「私からも、お願いします!」

律「おいおい、喰い付きっぷりが半端ないな」

紬「だって、私たち恋に飢えてるの!」

律「女同士だぞ……」

紬「むしろそっちの方がっ!!」

律(ああ、やっぱし)

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 01:20:16.92 ID:dtxE61gr0 [4/24]
律(でも、澪の気持ちは、はっきりとは聞かなかったからわからないんだよな~)

律(澪がそれほど本気なら、私だってそれに応えてやろうという気がないわけでは……)

律「なあ。澪は私のことどう思ってるって言ってた?」

唯「それは、りっちゃんが一番よく知ってるんじゃないの?」

律「そうなんだけどさぁ~。答え合わせっていうか……」

紬「つまり、りっちゃんも不安なのね?」

律「そう! そうなんだよ! 形のないものだからさぁ」

梓「確かに、澪先輩も律先輩には直接言わなかったってメールに書いてましたからね」

唯「じゃあ、教えてあげるよ。それを聞いてりっちゃんが澪ちゃんのことどう思ってるか
  私たちに教えてね」

律「うん、わかった」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 01:24:11.59 ID:dtxE61gr0 [5/24]
唯「あのね」

律(告白されるのって緊張するなぁ)

唯「澪ちゃんはね」

律(例え相手が女だったとしてもさ)

唯「りっちゃんのことをね」

律(でも、澪なら……!!)ゴクリ……!!






唯「『ウザイ』って」






律「そっか~、そうだと思ってたんだ~、照れるよな~。あははは……」




律「……って。えっ!?」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 01:29:59.02 ID:dtxE61gr0 [6/24]
唯「出会ったときから、心の中ではずっとそう思ってたんだって」

唯「独り静かに本を読んでいたいのに、無理矢理連れまわされて迷惑だったって」

律「えっ……ちょ……」

梓「澪先輩の考えていることがわかる律先輩は、そんなことを心の奥底で思っていた澪先輩と
  もう何年も仲良くしてきたんですもんね。すごいです!」

紬「例え心の中で無下にされていたとしても、変わらずに澪ちゃんと接してあげている。
  まさに、聖人君子とはりっちゃんのことだわ!」

律「澪が、私のことを……、ウザイって?」

唯「だって、よく考えたら、いつもなにかしら澪ちゃんには嫌がらせしてるもんね、りっちゃん」

梓「澪先輩が嫌がってても、恐い話や痛い話を無理矢理聞かせてますもんね」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 01:35:09.00 ID:dtxE61gr0 [7/24]
律「ちょっと待てよ! 澪は自分の気持が私に筒抜けだったら恥ずかしいって言ってたんだぞ」

律「普通それは、好きとかそういう感情だろ?」

唯「だからね、澪ちゃんは今までりっちゃんに対してそういう負の感情を抱いていたのにも関わらず
  りっちゃんはずっと澪ちゃんと仲良しさんだったでしょ?」

梓「普通の人だったら、ウザイなんて思われた瞬間にその人とのつき合いを考えますよ」

紬「でもりっちゃんは、そんなことを思っている澪ちゃんとずっと変わらず友達でいた。
  りっちゃんは心の中が読めるんだから澪ちゃんからウザイって思われていることも知ってながらね」

唯「澪ちゃんはそんなりっちゃんの心の広さを知って
  『なんて自分は器の小さい人間なんだろう』って恥ずかしくなったって言ってたよ」

律「な、なんなんだよ、それ……」

梓「心の中が読めるっていうのも考えものですよね」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 01:38:37.41 ID:dtxE61gr0 [8/24]
唯「でも、だとしたら、私が普段口にはしないけど、りっちゃんに対して思っている
  あんなこともりっちゃんにはずっと前からわかっていたんだね」

律「お、おい、何だよ、あんなことって……」

紬「私も、決して口にはしないけど、あんなことやこんなこともりっちゃんに伝わっちゃってる
  って思ったら……、すごく申し訳なくなっちゃうわ」

律「ムギまで……」

梓「私は律先輩を尊敬してますよ」

律「梓! 私はお前を信じていたぞ!」

梓「だって、私があんなことやそんなことやこんなことを律先輩に対して思っていても
  普段と変わらずに接してくれる」

梓「律先輩の懐の深さは計り知れないですね」

梓「もし、私が親しい人にそんなこと思われているなんて知った日には自殺ものですよ」

律「(´;ω;`)ブワッ 」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 01:42:51.22 ID:dtxE61gr0 [9/24]
唯「鋼の心をもった乙女だよ!」

紬「本当に関心しちゃうわ」

梓「律先輩の心の広さは宇宙にまで轟きます!」

律「うっ……うっ……」

唯「おやおや? りっちゃんや? どうしたの?」

律「も、もうイヤだーー!!!!」ダッ!!

紬「あっ!? りっちゃん!?」

  ガチャ バタン






唯「行っちゃった……」

梓「ちょっと、やり過ぎちゃいましたかね……」

紬「まぁ、あとは澪ちゃんに任せましょ」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 01:49:17.07 ID:dtxE61gr0 [10/24]
 ・ ・ ・ ・ ・

律「ううっ……」

律「いったい皆は私のことどう思ってるんだよ……」

律「闇じゃ! 心の闇じゃっ!!」

律「私は皆のこと悪く思ったことなんて一度も無いのに……」

律「……」

律「ま、まぁ、そりゃあたま~に、唯の天然なところがウザイとか思ったり」

律「ムギの変に世間ずれしたところもお嬢様アピールかよって思ったり」

律「梓の年下のくせに仕切ろうとするところにムカついたり」

律「……」

律「でも、一番ショックなのは澪が私に対してウザイって思ってたってことだ」

律「澪は、そんな奴じゃないって思ってたのに……」

律「なんでだよ……澪……」ウルウル

澪「あれ? 律?」

律「!?」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 01:54:53.76 ID:dtxE61gr0 [11/24]
律「な、なんで澪がこんなところにっ!?」

澪「なんでって……、私の家もこっちなんだけど……」

律「あ、そうだった」

澪「それよりも、部活はどうしたんだよ。まだ終りの時間じゃないだろ?」

律「お前こそ!」

澪「私は歯医者の帰りだ」

律「あ、そうだった」

澪「まったく……、部長がサボってどうするんだよ」

律「う、うるさいっ!」

澪「ほら、サボってしまったものはしょうがないから帰るぞ」

律「ついてくんな!」

澪「どうしたんだ?」

律「澪は私のことウザイって思ってるんだろ!」

澪「ああー、さっそくか」

律「何がだよ」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 02:01:15.23 ID:dtxE61gr0 [12/24]
澪「うん、ウザイ」

律「うっ……」

澪「そうやって、少し注目を浴びたからってすぐに調子に乗っちゃうところや」

澪「出来もしないのに、出来る! なんて言っちゃうところが」

澪「ウザイ」

律「へっ?」

澪「律はさ、そうやって後先考えずに突っ走っちゃうだろ?」

澪「確かに、それが律のいいところでもあるんだけどさ」

澪「でも、社会に出たら、謙虚さが求められるんだよ」

澪「もし、そんな性格が災いして、律が失敗して辛い思いをしたら」

澪「きっと私だってとても辛い……」

澪「だから、今この時期に痛い目に遭ったらきっと律も少し自重することを覚えてくれるかな~って」

律「あの……、どういう……」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 02:06:23.56 ID:dtxE61gr0 [13/24]
澪「律が心が読めるなんて皆思っちゃいないよ」

律「へっ? そうなの?」

澪「大方、調子に乗って引込みがつかなくなったんだろ?」

律「よ、よくわかったな」

澪「何年一緒にいると思ってるんだよ」

律「おっしゃる通りで」

澪「お前があまりにも調子に乗ってるから、ちょっとお灸をすえてやろうと思ってさ」

澪「昨日、皆にそんな内容のメールを送ったんだ」

澪「でも、ちょっと効きすぎたらしいな」

澪「もしかして、泣いてたのか?」

律「なんだ……そりゃ……」

澪「ん?」

律「なんなんだよ! お節介な奴だな!」

律「私がどんな気持ちで部室から飛び出してきたのか!」

律「お前にはわからないだろうな!!」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 02:12:11.27 ID:dtxE61gr0 [14/24]
澪「律だって……」

律「な、なんだよ」

澪「律だって、私以外の人の心を嬉しそうに読みとろうなんかしてさ!」

澪「律が心を読んでいいのは私のだけなんだ!!」

律「み、澪?」

澪「……はっ!?」

律「あの、もしかして……妬いてたの?」

澪「////」カァァァァァァ

律「へっへ~」ニヤァ~

律「そっかそっか~、澪ちゅわんったら寂しくなっちゃったのね」

澪「ち、ちが……」

律「も~、そうならそうと言ってくれれば、構ってあげたのに~♪」

律「なんたって、私は澪の心の故郷だから!」

澪「だから、そうやって調子に乗るところが駄目だって言ってるだろ~!」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 02:17:50.24 ID:dtxE61gr0 [15/24]
律「いや~、冗談冗談」

澪「まったく……」

律「それにしても、唯たち結構迫真の演技だったな~」

澪「律がトイレ行ったりしてたあいだは、唯とムギで打ち合わせとか熱心にしてたからな」

律「そこまでして、私を陥れたかったのか……」

澪「でも、いい教訓になったろ?」

律「へいへい、これからは謙虚さを兼ね備えたスーパーりっちゃんにバージョンアップだぜ!」

澪「ぜんぜん、反省してないっぽいな……」

律「私、誉められて伸びるタイプだからっ!」

澪「社会に出たら、きっとそんな甘い考えは通用しないぞ。
  一度、現実と向き合う努力をしてみたらどうだ?」

律「見えない聞こえない~」

澪「もしかして、それって私のマネ……?」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 02:24:31.95 ID:dtxE61gr0 [16/24]
 翌朝

律「……で、なんで私たち手を繋いでるの?」

澪「仕方ないだろ。ムギたちに協力してもらう代わりに
  朝登校するときに手を繋いでくるようにって言われて約束しちゃったんだから」

律「だからって、本当に手を繋いで登校しなくったって……」

澪「こうやって、律と手を繋いで登校なんて小学校以来かもな」

律「道行く人に見られまくってる……」

澪「確かに、ちょっと恥ずかしいかも……」

律「じゃあ、離すか」

澪「待って! これはムギのたっての願いだから。その約束を破るわけには……」

律「はぁ~……」

澪「……律」

律「わかったよ、これで登校すればいいんだろ」

澪「うん」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 02:28:44.56 ID:dtxE61gr0 [17/24]
律「私の手、汗っぽくない?」

澪「大丈夫」

律「……そっか」




律「このくらいの強さで握ってても痛くない?」

澪「全然平気」

律「わかった」




律「もうちょっと元気よく手を振ってもいい?」

澪「ご自由に」

律「……よし」

律「あっるっこ~♪ あっるっこ~♪」ブンブン

澪「ち、ちょっと律、元気よすぎ」

律「あ、ごめん……」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 02:35:10.76 ID:dtxE61gr0 [18/24]
澪「いったいどうしたんだよ、さっきから」

律「いや~、手を繋ぐっていったいどうしてたっけな~と思ってさ」

律「最近手を繋いで歩くなんてご無沙汰だったから」

澪「ご無沙汰って……」

律「なんか妙に緊張しちゃって」

澪「普通でいいよ」

律「その普通がさ」

澪「そういえば、小学校のときは、こうやって律と手を繋いで登校してたけど
  躾のなってない犬の散歩みたいに、私が律に引っ張られてたっけ」

律「そ、そうだったっけ?」

澪「律が歩くのが早くってさ、ついていくのが大変だったんだ」

澪「『ほらほら澪ちゃん、早く行かないと遅刻だよ!』って」

澪「律がいつも家出るの遅くって、私が待たされてた結果そうなってたのにな」

律「なんか、思い出してきた」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 02:41:02.95 ID:dtxE61gr0 [19/24]
澪「だから、こうやって同じスピードで
  並んで手を繋いで歩くのって、実は初めてかも」

律「そっか……、だから何か違和感があったんだ……」

澪「本当は小学校のときだって、手を繋いでゆっくりと並んで歩きたかったんだ」

律「……澪」



澪「でも、今日は私が引っ張って行っちゃおうかな」

律「ちょ! 澪、早いってば!」

澪「昔の律はこんなもんじゃなかったぞ!」

律「もっとゆっくり行こうよ~」

澪「だ~め! 遅刻しちゃうぞ」

律「ちぇっ、なんだよ~」

澪「ふふふっ」

律「……へへっ」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 02:47:20.10 ID:dtxE61gr0 [20/24]
 教室

紬「あっ! 唯ちゃん窓の外を見て」

唯「なになに?」

紬「ほら、校門のところ」

唯「あ~、澪ちゃんとりっちゃん手繋いで登校してきてる~」

紬「と、いうことは、昨日上手くいったってことね」

唯「なんだか早起きして来たかいがあったよ」

紬「私も、高性能な双眼鏡を持ってきたかいがあったわ!」

唯「二人とも嬉しそうだね」

紬「そうね。それに、確かに手を繋いで来てとは言ったけど……」

唯「だね~。普通に繋げばいいのに、なにも恋人繋ぎまでしなくてもね~」

紬「見てるこっちまで恥ずかしくなっちゃう……///」

唯「見せつけてくれますな~」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 02:54:27.24 ID:dtxE61gr0 [21/24]
 放課後

律「まったく、お前ら趣味悪ぃぞ!」

唯「ごめんね、りっちゃん」

紬「澪ちゃんから、りっちゃんを更生させるためにどうしてもって言われて……」

澪「朝からずっとそれだな」

律「だって、お前らが私に対して心の中で何を思っていたのかすっごく恐かったんだからな!」

梓「でも、それに関して言えば、律先輩が変な見栄を張るのが悪いんですよ」

律「うっ……、それは……」

紬「りっちゃんは、本当に心が読めなくてもちゃんと私たちのことを考えてくれているわ」

唯「そうだよ! だって、部長さんだもんね!」

律「うん。まぁ、ご迷惑をお掛けすることも多々あるとは思いますが……」

澪「おお、ちゃんと学んだみたいだな」

梓「いつもだったら『当然だ!』みたいになるところですけどね」

律「昨日の今日だからな~」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 03:00:57.14 ID:dtxE61gr0 [22/24]
紬「そして、なによりも、りっちゃんと澪ちゃんの愛情がまた一段と深まった出来事でもあったわ!」

梓「愛情? 何ですかそれ」

唯「今日澪ちゃんとりっちゃんが登校してくるときに、二人は手を繋いで仲良く登校してきたんだよ」

梓「ええっ!?」

唯「しかも恋人繋ぎで!」

梓「指と指を絡め合っていたんですか!?」

唯「なんだか、イヤラシイよね~」

律「お前らが、そうやって手を繋いで登校しろって言ったんだろ!」

紬「でも、恋人繋ぎまでだなんて指定はしてないわよ」

律「あれ? だって、澪が……」

澪「////」

紬「あらやだ///」

唯「ごちそうさま~」

梓「お幸せに」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 03:05:35.06 ID:dtxE61gr0 [23/24]
律「や、やめれ~」

澪「まぁ、いいじゃないか」

律「お前が言うな」

澪「律だって満更でもなかっただろ?」

律「////」



梓「唯先輩、ムギ先輩。この部屋の室温やけに高くないですか?」

紬「仕方ないんじゃない?」

唯「そうそう、恋のフェーン現象発令中だよ!」

梓「意味わかりません」


律「もう! からかうなって!」

唯「ごめん、ごめん」

紬「今、桜ヶ丘に住む幼なじみの二人が熱いっ!!」

律「うるせー!!」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/02(月) 03:12:43.70 ID:dtxE61gr0 [24/24]
律「って、叫んだら本当に暑くなってきた……」

紬「ふふふっ。ごめんねりっちゃん。でも仲が良いことは大変素晴らしいと思うわ」

律「まぁ、険悪な仲よりは全然いいけどさ」

紬「でしょ?」

律「うん。にしても喉渇いた……」

紬「そう言うと思って、はい、アイスミルクティー」

律「おっ! サンキュー。なんだかんだ言ってムギも言わなくたってちゃんとわかってるよな」グビッ

律「!?」ブッ!!

律「って!? なんだこれ!! しょっぺー!!」

紬「っしゃー!! ばっちこーい!!」プリンッ

律「おらぁー! お仕置きだべー!」ペシーン!!

紬「あふんっ///」

澪「!?」

 帰り道で何故か不機嫌な澪 
 その理由がわからず、おろおろとする律だったが、それはまた別のお話

 おしまい



コメント

No title

ムギさんさすがですwww

No title

( ;∀;)イイハナシダナー

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