スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
勇者「魔王と間違えてラオウを倒しちまった」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 17:06:29.63 ID:QcCO9UlF0 [1/50]
ラオウ「むう、我が生涯に一片の悔いなし!!」
魔法使い「やりましたね、勇者様。魔王を倒しました」
僧侶「さすがは魔王。世紀末覇者と呼ばれるだけあって恐ろしい強さでしたね」
武闘家「武闘家のわたしとしては課題の残る闘いだった。格闘においてわたしの右に出るものがいるとは。
これが魔物の頂点の実力」
勇者(みんながまとめに入っていて突っ込めない)
ラオウ「むう、我が生涯に一片の悔いなし!!」
魔法使い「やりましたね、勇者様。魔王を倒しました」
僧侶「さすがは魔王。世紀末覇者と呼ばれるだけあって恐ろしい強さでしたね」
武闘家「武闘家のわたしとしては課題の残る闘いだった。格闘においてわたしの右に出るものがいるとは。
これが魔物の頂点の実力」
勇者(みんながまとめに入っていて突っ込めない)
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 17:12:15.61 ID:QcCO9UlF0 [2/50]
勇者(しかし俺が言わねば。ここで言わねば後で大変なことになる)
勇者「みんな――」
武闘家「そうだ!!!」
勇者「ビクゥ」
魔法使い「なによいきなり。大声ださないでよ」
武闘家「旅にでよう。そして己を鍛えていつか魔王を越えるのだ」
魔法使い「はいはい、あんたは一生きたえてなさい。それで脳みそまで筋肉になりなさい」
武闘家「うむ、さらばだ。旅をしていればまた会うこともあるやもしれん」
僧侶「武闘家さんお元気で」
勇者「え……ちょ」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 17:19:43.76 ID:QcCO9UlF0
魔法使い「まったく気が早いんだから。馬鹿よね、お城にいけば一生安泰なのに」
僧侶「人には人の生きる道があります」
魔法使い「そうね。私はお城のお抱え魔法使いとして働くわ。僧侶はどうすんの」
僧侶「わたしは愛を説いて回ります。魔王のせいで人々の心は荒んでいます。
こんなときこそ神の教えが必要なのです」
魔法使い「あ、そ。わたしならそんなつまらない人生耐えられないけどね」
僧侶「神の奇跡たる勇者様と旅したあなたならその素晴らしさがわかるはずです」
魔法使い「ふんだ。勇者はどうすんの。あたしは城へ帰るけど一緒に来る」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 17:23:14.62 ID:QcCO9UlF0
勇者「いやまだやることが――」
魔法使い「あんたもなの。それじゃあね。相変わらずつまらないパーティね」
勇者「そうじゃなくて俺たちはまだ魔――」
魔法使い「でもま、あんたちのこと嫌いじゃないわよ。移動呪文、ハジマリの城へ」バシュ
勇者「王を倒し……」
僧侶「ふふふ、魔法使いさん照れ屋さんですからね。恥ずかしかったんでしょう」
勇者「ああ。そして他人の話を聞かない」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 17:27:04.68 ID:QcCO9UlF0
僧侶「さてそれではそろそろ私も――」
勇者「え」
勇者(まずいぞ、まず過ぎる。ここで回復役の僧侶まで抜けたら完全に詰む!)
僧侶「勇者様たちと一緒に旅していて貴重な体験ができました」
勇者「ストオオぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉップ!!!!」
僧侶「はい!」
勇者「大事な話があるんだ、落ち着いてよく聞いて欲しい」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 17:35:03.21 ID:QcCO9UlF0
僧侶「なんですか?」
勇者「これからも僧侶には一緒のパーティでいて欲しいんだ!」
僧侶「――え」
勇者「なかなか言い出す機会がつかめなかったんだけど。そこで昇天した漢は実は――」
僧侶「だめですっ!!!!!」
勇者「え、なにが」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 17:40:16.71 ID:QcCO9UlF0
僧侶「わたしは、か、神に遣える身。勇者様のお気持ちは嬉しいですか、受け入れられません」
勇者「なにか勘違いを――」
僧侶「それ以上なにも言わないでください!」
勇者(どうしろと)
僧侶「この左手を見てください。わたしは薬指に指輪をはめたときから神の花嫁になることを誓ったのです」
勇者(俺の人生なんか捧げるまでもなく産まれたときから神に捧げられているよ!)
僧侶「ですから! ですから! 勇者様とこれからも一緒にいることはできません」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 17:49:08.17 ID:QcCO9UlF0
僧侶「さようなら、勇者様。もし神より先にあなたに会っていたら結果は違っていたかもしれません」
勇者(俺もラオウより先に魔王に会っていたら結果は違っていたと思うよ)
僧侶「私は日々を神と勇者様のためにお祈り差し上げましょう」
勇者(それよりも魔王を倒すために努力しようよ)
僧侶「もうお会いすることもないでしょう。さようなら、さようなら」
勇者「そんなことで離れられるかよ! 俺は(回復役の)僧侶がいないと死ぬぞ!
本当に死ぬぞ! リアルな話」
僧侶「勇者様、そこまで私のことを、私のことを思って下さっていたのですね」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 17:57:30.66 ID:QcCO9UlF0
勇者「わかってくれたか! 僧侶」
僧侶「はい、勇者様の気持ちはこれ以上ないほどに伝わりました」
勇者「それなら俺とこれからも一緒にいてくれるな!」
僧侶「……それはできません。結論はかわりません。もう一度決めたことですから」
勇者「そ……そんな。俺が死んでもいいっていうのかあ!!」
僧侶「勇者様は偉大なお方です。私がいなくても生きることができるはずです」
勇者「無理無理無理無理」
僧侶「きっと勇者様にふさわしい方があらわれるはずです。だからしばしのお休みを、睡眠誘導魔法」
勇者「そ……そ、んな。僧侶まで……俺を見捨てるっていうのか……」ガクリ
僧侶「強く生きてくださいね。わたしが神以外で世界で唯一尊敬するお方」
勇者「スースー」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 18:07:17.39 ID:QcCO9UlF0
勇者「は、ここは。ラ、ラオウ?……いや死んでいる。だが、なぜここに!」
勇者「そうだ! 俺たちは激闘の末、ついにラオウを倒したんだ」
勇者「あの圧倒的力を持つラオウを倒した」
勇者「北斗剛掌波をだされたときは死ぬかと思った」
勇者「やったやったぞ、世界に平和が訪れたんだ!!」
勇者「あはははははっははははははははははははははははははは」
勇者「……ってなんも解決してねえじゃねえええか!」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 18:11:08.41 ID:QcCO9UlF0
勇者「いやいやいやいやいや、むしろ悪化してるぞ」
勇者「俺、ボッチだし。今どきひとりで魔王に挑むとかねえよ」
勇者「なんで俺のパーティは話を聞かないやつばかりなんだよ」
勇者「武闘家といい、魔法使いといい、僧侶と……僧侶」
勇者「そういえば俺、知らないうちにふられたんだっけ」ズーン
勇者「しかも僧侶もまんざらでなかったとか。改めて認識するとかなりへこむ」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 18:27:47.60 ID:QcCO9UlF0
勇者「へこんでいても仕方ない。魔王を倒すことを考えないと」
勇者「1から出直しだな」
勇者の父親は大工だった。
勇者の子どもの頃の遊び場も父親の仕事場だった。
大きな建物をつくるには土台をしっかりとつくらねばならない。
小さい頃の建設現場での下積みが彼の合理的、建設的な思考を育んだ。
勇者「まずは仲間だ」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 19:08:57.62 ID:QcCO9UlF0
勇者「仲間が必要だ。それも飛び切り強力な仲間だ」
勇者「ラオウなんか最適だったが、奴は昇天しちまったしな」
勇者「とりあえず近くの街に下りてみるか」
1時間後
門番「ようこそ、旅の人。ここは汚職の街、キャスト」
勇者「汚職の街か。噂には聞いたことがある。
一部の特権階級のみが甘い汁を吸い、庶民は奴隷になっていることも気づかない街」
老婆A「旅の人。滅多なことをいうものではないよ」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 19:13:24.84 ID:QcCO9UlF0
勇者「だが本当のことだろう」
老婆A「お主は他から来たから権力者の恐ろしさがわかっていないのだ」
勇者「魔王よりも恐ろしいのかい」
老婆A「最近の若いものと来たら。ついて来なさい」
勇者「泊めてくれるのか」
老婆A「このままお主を放っておいたら大変なことになりそうじゃからな」
勇者「ついているぞ。宿屋代が浮いた」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 19:18:42.43 ID:QcCO9UlF0
老婆A「先ほどの話の続きじゃ」
勇者「ムシャムシャムシャ」
老婆A「食べるのを止めて聞かんか!」
勇者「ほれべふぁんはって」
老婆A「口に入っているものを飲み込みなさい」
勇者「食うのを止めろと言ったり、食えと言ったり、注文が多い店だ」
老婆A「やれやれ」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 19:24:27.94 ID:QcCO9UlF0
老婆A「この国はたしかに腐っておる。それはお主がいった通りじゃ」
勇者「風の噂だけどな。だがトップは馬鹿ではない。
よほどのことがない限りは他国の者を悪口を言ったくらいで逮捕したりはしない。
外交問題になるからな。どちらかというと国民の婆さんの方がやばいんじゃないか」
老婆A「ふむ。詳しいな。だがそれも1週間前までじゃ。今この国は揺れておる」
勇者「何かあったのか」
老婆A「救世主が現れたのじゃ」
勇者「ふふふ、こんな村にまで俺のことがもう知られているのか」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 19:31:52.85 ID:QcCO9UlF0
老婆A「お主はなにを言っておるんじゃ」
勇者「わかっているぞ。魔王を倒す勇者が現れたというのだろう!」
老婆A「勇者……? そんなものはこの国には必要ないわい
この国を救うのは圧政から人々を救う者。キラ様じゃあ」
勇者「キラ様? KILLER(殺し屋)みたいな名前で不気味だな」
老婆A「なかなか鋭いじゃないか。お主のいうとおり、キラーから来ている」
勇者「モンスターキラーということか。さすがに俺もその2つ名は初めて聞いたぞ」
老婆A「なにを言っておる。キラ様が殺すのは人間じゃ」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 19:42:17.38 ID:QcCO9UlF0
勇者「人間だと!? ……俺は人間を殺したことなど……ないぞ。
ラオウは勝手に昇天しただけだ」
老婆A「さっきから意味不明なことを言っていおるな。
奴らは"人間"ではないというのはなかなかうまいことを言うな」
勇者「ちょっと待った。話が噛み合わないな、キラ様というのはいったい誰のことだ」
老婆A「その正体は誰にもわからん。だが世界の救世主であることは間違いない。
なにせこの国の特権階級を殺し続けてくれて下さるのだからな」
勇者「話が見えない。一から話してくれ」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 19:51:57.05 ID:QcCO9UlF0
老婆A「ひとつ聞くがこの国の仕組みは知っておるか」
勇者「80年前の革命によって王政は廃止され、現在は11人の評議員が国を動かしているんだろう」
老婆A「うむ。その通りじゃ。国を支配するために革命を起こした者たちの子孫がだいだい評議員をつとめている」
勇者「その評議員がどうしたんだ」
老婆A「はじまりは1週間前。この国の11人いる評議員の1人が死んだ。
自らの血で自室の壁に『神が現れた』と書き残してな」
勇者「それは気が狂っただけだろう」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 20:03:21.29 ID:QcCO9UlF0
勇者「特異な事例ではある。だがそれで救世主の存在を信じるのは楽観し過ぎだ」
老婆A「ふむ、それが1例ならな」
勇者「他の評議員も死んだのか」
老婆A「そのとおり。次の日も1人、その次も1人と具合にな。
朝があけると必ず1人死んでいたのじゃ。
どれもおなじく壁に血文字が書かれていた」
勇者「他殺だったらどうだ。血文字も犯人が書いた。相当の腕が必要だが」
老婆A「もちろん評議員は考えた。
そこで全評議員が1箇所に集まり、部屋の外は多くの警備に守らせた」
勇者「それでも死んだと」
老婆A「血文字は書かれなかったがの。正確には書こうとして止められただけじゃが」
勇者「恐ろしいな、聞いたことがない呪いだ」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 20:15:27.27 ID:QcCO9UlF0
勇者「相手の意思をそこまであやつるとなると難しいな。
世界最高の呪術師でも不可能だろう」
老婆A「だからこそ救世主なのじゃ。天罰を与えて下さっているのじゃあ」
勇者「もう7人も死んでいるのか。残りの5人は気が気じゃないな」
老婆A「そうじゃろうて、そうじゃろうて」
パーパッパラパラー
勇者「ラッパの音?」
「緊急招集だーーーーーーーー。皆のものすぐに広場に集まるように」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 20:18:25.46 ID:QcCO9UlF0
勇者「ん。何かあったのか」
老婆A「今日で1週間目。きっと7人目の死者が出たのじゃろうて」
勇者(そんなはずはない)
勇者「婆さん、この国は評議員が死ぬ度に広場に国民を集めるのか?」
老婆A「これが初めてじゃ」
勇者(やはり。普通に死んだならともかく、この状況でわざわざ発表する国はない。
つまりこの召集は別のことだ)
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 20:36:16.43 ID:QcCO9UlF0
国民A「なんだなんだ」
兵隊「評議員のおなーりー」
評議員「諸君、久しぶりだ。君たちも呪いの話は聞いていたことと思う。
きっと心配をしてくれたことと思う! そんな君たちに朗報だ! 見たまえ」
老婆A「1人、2人、3人、4人……。5人! なぜ」
評議員「我々のかけがえのない6人の同胞が亡くなったことは国の重大な損失だ。
それは事実だが、7日目の朝、我々は生き残っている! 我々は呪いに打ち勝ったのだ。
そして我々、聖なる代行者に呪いをかけたものも捕まえた、見たまえ」
勇者(間違いなく、でっち上げだな。そんな呪術師など存在しない。
仮に存在したとしても、そんな高度な呪術を防げるはずがない。
評議員の威厳を示すための生け贄といったところか。
きっと評議員に都合が悪い人間なのだろう)
老婆A「そんな! あれは……孫のトム!」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 20:46:19.80 ID:QcCO9UlF0
勇者(そしてこの老婆の孫という発言も嘘。
あまりに城内部の事情に詳し過ぎる。
1日目の死亡などは公表するだろうが、都合が悪い部分は伏せるはず。
噂が意図的に国民に流れているのは間違いない。
しかし、それにしても詳しすぎた。たぶんこの老婆はレジスタンス。
そしてあの男も……)
評議員「これからこの男を処刑してすべてが終わるのだ。評議員は永久に不滅だ」
老婆A「おお……キラ様……お助けください」
勇者(残念ながら自業自得だ。キラなどいない。
きっと評議員の奇行は伝染病。
血文字は1人目の奇行が、無意識に全評議員の頭に刷り込まれたいて、
感染病で正常でなくなった頭が模倣したと考えるのが自然。
評議員のみが感染しているのは不可解ではあるが)
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 21:03:24.04 ID:QcCO9UlF0
評議員「さあ、それでは処刑――」
勇者「この国は変わらない」
評議員「――シナイッ!!!!」
勇者「え!」
評議員「ワタシ ハ キラ デス。
コノ オトコ ノ クチ ヲ カリテ シャベッテ イ マス。
ミナサン ニ シンセカイ ヲ オミセ シマ ショウ。
カツテ コノ セカイ ノ カミ ハ ナノカ デ チツジョ ヲ ツクッタ ト イイマス。
ワタシ ガ アラワレテ カラ キョウ デ ナノカ メ。
コノ オトコ ノ シ デ セカイ ニ アタラシイ チツジョ ガ ウマレマス」
評議員B「何を言っているんだ!」
評議員C「頭でも打ったのか!」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 21:04:35.96 ID:QcCO9UlF0
評議員「イイデスカ ノコリ ノ ヒョウギイン ニ チュウコク シマス。
モシ コクミン ヲ クルシメ テ シヨク ヲ ミタス ナラ
ワタシ ガ アナタ タチ ヲ コロシ マス。
イイデスカ チュウコク シマシタ ヨ」
勇者「……飛び降りた」
グシャ
評議員B「うわああああああああああああ。おかあちゃああああああん」
評議員C「神がお怒りになったのだ。私はこれから心からあなたの僕になって働きます。お助けを」
評議員D「ずるいぞ、私も誓います。だからどうかお助けを」
勇者「キラ……本当にこの国を変えやがった」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 21:17:39.12 ID:QcCO9UlF0
国民「キラ! キラ! キラ! キラ! キラ!
キラ! キラ! キラ! キラ! キラ!」
勇者(他のものはキラを神とでも思っているようだが違う。
キラは評議員を全員殺さずに利用した。
それはただの人間であることを意味する。神ならば自分で治めればいい。
自らは顔をださないことからして、非常に用心深い性格だ。
そして人の前に顔を出すことを恐れている。
人の死を操れる圧倒的な力を持っているにも関わらずだ。
それは人の死を操る方法が限定的であることを意味する。
強力だが、万能な能力ではない。そこにつけいる隙はある。
そしてもうひとつわかったことがある)
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 21:27:43.63 ID:QcCO9UlF0
兵隊「キーラ! キーラ! キーラ! おい、お前。どこにいくんだ」
勇者「ちょっと寝ててくれるかな」トン
兵隊「え……」ガクリ
評議員B「怖い怖い怖い怖い怖い……」
勇者「どけ」
評議員B「………だ、誰だ」
勇者「俺か? すぐにわかるさ」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 21:28:36.54 ID:QcCO9UlF0
国民「キーラ! キーラ! キーラ! キーラ!
キーラ! キーラ! キーラ! キーラ!
キーラ! キーラ! キーラ! キーラ!」
勇者「民衆よ、静まれ!!」
農夫「誰だ、あいつ」
武器屋「ただの目立ちたがりだろう」
宿屋「引っ込め」
国民「ブーブーブー」
勇者「俺が――――キラだ」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 21:37:01.29 ID:QcCO9UlF0
評議員「キラ!。いや……キラ様。ひひえええええええええ」
国民「キ、キラ様!」
農夫「お、お許しをキラ様。農夫がいえって言ったんです」
武器屋「貴様ずるいぞ。宿屋がキラ様のことを引っ込めと言っていましたよ」
勇者「静まれ! 静まれ! このキラ様はそんな小さなことは気にしない」
国民「さすがはキラ様! お心が広い」
勇者「評議員には国民のために俺の下で働いてもらう。
この国は今日より俺が治める!」
国民「やっとぞー、キラ様がじきじきに治めてくださるぞ。
キーラ! キーラ! キーラ! キーラ!
キーラ! キーラ! キーラ! キーラ!
キーラ! キーラ! キーラ! キーラ!
キーラ! キーラ! キーラ! キーラ!
キーラ! キーラ! キーラ! キーラ!
キーラ! キーラ! キーラ! キーラ!」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 21:46:19.61 ID:QcCO9UlF0
月(誰だアイツは! キラをかたるとは!)
リューク「ウホッ、面白展開ッ!」
勇者(キラは間違いなく、この広場のどこかにいる。
さっきの評議員の死のタイミングが良すぎた。
間違いなく、キラはどこかで見ている)
月「殺してやる!」
勇者(そしてキラは絶対に俺を殺そうとするはず。
キラが殺せる条件に俺がすべて満たしていたら、俺は死ぬ。
だが、キラをおびき寄せるには、ここしかチャンスはない)
リューク「だが月、お前。アイツの名前がわからないだろう」
月「くっ」
勇者(どうやらまだ殺されないところをみると、俺の勝ちのようだな)
リューク「目の取引ならいつでもできるからな。
おまえの残りの寿命の半分と殺す相手の名前がわかる目を交換だ」
月(落ち着け。激情にかられてこんな取引をするのは間違っている。
幸い顔はわかっているんだ。名前を調べる方法などいくらでもある。
覚えていろ)
勇者&月(勝つのは俺だ!)
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 21:59:32.22 ID:QcCO9UlF0
評議員B「私がキラ様に対立していたというのは誤解で――」
勇者「もういい、下がれ」
評議員B「はい?」
勇者「下がれと言ったんだ」
評議員B「は、はい! 失礼いたしました。
おや、キラ様、髪にゴミがついておりますぞ。
取って差し上げましょう」
勇者「俺に触るな!! 殺すぞ!!」
評議員B「ひええええええ。お助けえええええ」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 22:10:06.25 ID:QcCO9UlF0
付き人「あのキラ様」
勇者「なんだ」
付き人「なんでキラ様は人に近づかれることを極端に恐れるのですか」
勇者「下賎なものに近づかれると穢れるからだ」
付き人「なるほど」
勇者(魔王がまだ生きているところから、死の条件は呪術とおなじく厳しいことはわかっていた。
通常の呪術では、どのような道具を使用するにしても、
髪の毛など相手の一部を使用するか、名前で呪う。
顔だけで呪う方法など存在しない。
通常の呪術では衰弱させて死亡というパターンで即死はありえず、
例外の可能性もあり得たわけだが)
勇者(つまり俺の一部か名前が必要ならば、あの状況で俺を殺す方法はなかった。
そしてそれが必要ならば、手に入れるために、俺に近づくはず。
呪術の強力さから考えて恐らく前者。
一瞬たりとも気を抜けないな)
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 22:16:29.65 ID:QcCO9UlF0
勇者「おい、付き人」
付き人「はい、なんでしょうかキラ様」
勇者「近づくな!!!」
付き人「すみません」
勇者「寝室を俺にしか入れないように至急改造しろ。
いいな、至急だぞ!」
付き人「は、はい」
勇者(寝室が完成するまでは寝ることもできないのか。
身体の一部が必要とすると、評議員の髪の毛などを取れる立場にいたはず。
城の内部のものが濃厚だ)
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 22:24:41.91 ID:QcCO9UlF0
評議員B「ふう、今日はさんざんな一日だったよ」
月「おかえり、父さん」
評議員B「お前もキラ様に会うときは気をつけろよ。
半径5メートル以内に近づくなよ」
月「半径5メートル? そんなに? なんで?」
評議員B「知らんよ。なんか下賎の者に近づかれると穢れるとからしい」
月「ふーん。僕は勉強に戻るよ」
評議員B「ああ、勉強は大事だ。こんなになってしまったが、夜神家の家名を汚さないようにちゃんと勉強するんだぞ」
月「わかっているよ」
リューク「ククク、”わかっているよ”か。仲間の評議員を殺していたキラが息子なのにな」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 22:28:26.54 ID:QcCO9UlF0
月「リューク面白いことがわかったな」
リューク「何がだ?」
月「偽キラは死の条件を誤解している」
リューク「なぜそう思う」
月「半径5メートルがポイントさ」
リューク「それは穢れるからなんだろう」
月「本物ならそうかもしれない。だが僕たちはあのキラが偽ものとわかっている」
リューク「そうか。あれ、すると何で近づかれるのが嫌なんだ」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 22:36:19.61 ID:QcCO9UlF0
月「死神に聞くのもなんだけど、呪いと聞くと何を最初に考える」
リューク「わら人形じゃないか」
月「オーソドックスだね。わら人形で呪うときに必要なものは?」
リューク「えーと、たしか丑三つ時に相手の髪の毛を入れたわら人形を釘で打つんだろう」
月「その通り。髪の毛が重要だ。呪うときにはたいてい髪の毛とか呪う対象の一部が必要なんだ」
リューク「そうか人間がデスノートの存在を知るはずないものな。あったまいー」
月「もうひとつ名前で呪う方法もあるけどね。たとえば東方の島国ではむかし本名を隠す習慣があったらしいよ」
リューク「名前が知られると呪われるからってわけか」
月「そう。だから本当に偉い人以外、特に女性なんかは本名がわからない場合も多いんだ」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 22:45:57.33 ID:QcCO9UlF0
リューク「それで偽キラは死の条件を身体の一部と誤解していると」
月「うん。もちろん妄信しているわけじゃなくて、身体の一部と名前の両方の可能性を考えていて、
身体の一部が濃厚と思っている程度と思うけどね」
リューク「偽キラもすごいな。濃厚と思っている方が違うとしても、片方は当たっている」
月「無理もないさ。ノートに名前を殺せるなんて馬鹿げているからね。誰も想像しないよ」
リューク「ククク、まさに天からの贈り物ってわけか」
月「だからこそ付け入る隙はある。偽キラは僕が身体の一部を手に入れるため近づいてくると思っている」
リューク「ふむふむ。偽キラは身体が休まるときがないな」
月「相手が神経をとがらせて人間不信になっている間に、僕は休暇を満喫させてもらうさ」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 23:01:04.82 ID:QcCO9UlF0
評議員D「キラ様、本日もお日柄がよくご機嫌うるわしゅう」
勇者(どいつだ! どいつがキラだ!
誰から誰まで怪しく思えてきやがる)
評議員D「今日はキラ様にふさわしい服を用意するために、
一流の仕立屋を用意いたしました」
仕立屋「世界に名だたるキラ様にお会いできて幸せでございます」
勇者「それで俺に近づこうというのか!」
評議員D「いえいえ、この仕立屋は触らずに寸法を見ることができるのです」
勇者「本当か。それなら許可する。余興にもなるだろう」
仕立屋「それではちょちょいのちょいとお計りいたします」
勇者(キラは誰だ。このままでは持たんぞ)
仕立屋「ふむふむ、身長173センチ、肩幅が――」メモメモ ポトリ
コロコロ
仕立屋「おっと私としたが失敬。鉛筆を落としてしまいました」
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 23:08:31.71 ID:QcCO9UlF0
勇者(キラはもしかしてもう俺の一部を手に入れてもてあそんでいるのか
そうだとしたら絶望的!)
評議員D「ば、ばか」
仕立屋「お足元を失礼いたします。まったくもってこの鉛筆ときたらじゃじゃ馬で」
勇者「おい、貴様なにをしている」
仕立屋「はい? 私めは鉛筆を拾おうと――」
勇者「俺の髪の毛を拾おうとしていただろう! そうか。お前がキラか。ついに現れたな」
仕立屋「おほほほ。これはお戯れを。キラ様がそうおっしゃるのなら私はキラ様なのかもしれませんぬな」
勇者「こいつを死刑にしろ」
評議員D「はい、ただいま。おい兵隊」
仕立屋「え、なんでですか。私がなにをしたと。
うわ、やめてください。やめろおおおお」
バタン
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 23:17:54.19 ID:QcCO9UlF0
月「リューク聞いたかい」
リューク「世紀末恐怖政治キラのことか」
月「父の話や噂でも偽キラの錯乱したことばかりが伝わってくる」
リューク「まさにお前の策どおりだな」
月「僕は何もやってないさ。偽キラが勝手に自滅してっているだけ」
リューク「ククク。それで次はどうするんだ。まさかこのままってことはないだろう」
月「このままだよ」
リューク「つまらないな」
月「僕が何もしなくても周りが放っておかないさ。
それにお望みとあらば、僕も後押ししてやろう」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 23:25:09.81 ID:QcCO9UlF0
評議員B「キラ様のご裁判は素晴らしいですな」
勇者(くそう。牢屋の犯罪者が死に始めた)
評議員C「私はキラ様のために働いております。どうか殺さないで下さいまし」
勇者(こんなことをしても偽キラの俺の恐怖が伝わるだけで、真キラのプラスにはならないはず。
キラの目的はなんだ。自分がまだ生きていることの誇示とお前なんかいつでも殺せるという俺へのメッセージか)
勇者「クソ挑発しやがって」
評議員D「いえいえ挑発などしていませんとも」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 23:36:18.90 ID:QcCO9UlF0
男「ここがキャスト。かつては汚職の、そして今は恐怖の街。
魔王キラが治めていると聞くが」
男「せっかく魔王を倒したというのに、新たな魔王がこんなにも早く現れるとは。
人々に生気がない。そこの人、ちょっと済まぬがお城はどこかな」
農夫「お城ならここをずっとまっすぐ行ったとこだよ。
悪いこた言わねえ。近づかない方がええだ」
男「そういうわけにもいかぬのです。魔王キラを倒さねばならぬのです」
農夫「キラ様を倒すぅ! お助けえええええ」
男「キラの名前をだすだけで……ここまで怖がるとは。
山にこもっている間にずいぶん世間から取り残されてしまったようだ」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 23:41:00.70 ID:QcCO9UlF0
門番A「貴様は誰だ」
男「旅のものです。キラに会いに来た」
門番B「キラ様に? 何しにきたのだ」
男「倒しに」トン
門番A「何だと……」バタリ
門番B「どうした門番A」
男「あなたも」トン
門番B「――何をしたお前」バタリ
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 23:47:54.06 ID:QcCO9UlF0
勇者「今日はキラの処刑もなく。久しぶりに静かだな。ゆっくりできそうだ」
付き人「王様、王様」
勇者「静かと言った途端にこれか。俺に休まる日はないのか。それでなんだ」
付き人「くせも」バタリ
男「くせものが進入したそうですよ」
勇者「ほう、それで。笠で顔を隠している貴様は何者かな」
男「さあ誰でしょう」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 23:54:53.21 ID:QcCO9UlF0
勇者「人に物を尋ねるときは被り物くらい取れ」ブン
男「開始の合図もなしに攻撃とは無粋ですね」
勇者「は――はやい。何者だ」
男「ただの暗殺者です。魔王キラ、あなたの命をいただきに参りました」
勇者「わざわざ命を捧げに遠路はるばるご苦労だな」
男「死ぬのはあなたです。料金はこの笠でどうですか」ブン
勇者「味なマネを! き、貴様は――」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 23:59:00.74 ID:QcCO9UlF0 [50/50]
リューク「ん、城内が騒がしくないか」
月「騒がしいのはリュークだ。いくら他の人に話が聞こえないと言っても僕の耳には聞こえるんだからな」
リューク「いや、本当に」
月「リューク。黙らないと今日のりんごはなしだ」
リューク「…………」
兵隊「侵入者だああああ」
月「次から次へと。侵入者? どうやら面白くなってきたらしい」
リューク「…………」
月「リュークなんで何もしゃべらないんだ」
リューク「いつかお前の名前を俺のデスノートに書くからな」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 00:03:20.13 ID:M9zulnya0 [1/63]
月「怒ったのかリューク。冗談だよ、今日のりんごを2つにしてやるから機嫌を直せ」
リューク「なら直す。約束忘れるなよ」
月「僕がリュークとの約束を破ったことあったかい? それよりも行こうか」
リューク「侵入者のところへだな」
月「自分の部屋へだ」
リューク「なんでだよ」
月「いいかい、わざわざ侵入者に近づくなんてことをするのは馬鹿がやることだ」
リューク「……俺は馬鹿ってことか」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 00:11:04.12 ID:M9zulnya0 [2/63]
男「私は流浪の武闘家」
勇者「ダンだろう。世紀末覇者ラオウを倒した男。よく知っているよ」
武闘家「ラオウ、誰ですか? それよりもなぜ私の名前を? 私の勇名がここまで轟いていたとは」
勇者「俺が誰かわからないのか」
武闘家「はて、どこかでお会いしたかな」
勇者「……そうか、それならいい。結論は変わらないからな」
武闘家「それではいきます」
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 00:24:50.62 ID:M9zulnya0 [3/63]
勇者「く、早い」
武闘家「ははは、遅いですよ。わたしは魔王との戦いの後の修行の旅でパワーアップしたのです」
勇者「魔王、魔王とうるさいんだよおおおおおお。あれは魔王じゃねえええええ」
武闘家「そんなものですか。これではあのときの魔王の足元にも及ばない」
勇者(ちくしょう。寝不足で思ったように身体が動かない)
武闘家「いえ、わたしが強くなり過ぎてしまったのかもしれませんね。ハイ」
勇者「くそ、足払いか。転ばされた」
武闘家「ははははは、絶対絶命というやつですね」
勇者「うざさも一回りアップしたようだな」
武闘家「楽に殺して差し上げます」
勇者「これまでか(かつての仲間の手にかかって死ぬのも悪くない。なんでこんなことになったんだっけ)」
ドス
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 00:36:07.87 ID:M9zulnya0 [4/63]
勇者(死ぬときって痛くないもんなんだな。俺は地獄行きだろう、間違いなく)
バタリ
勇者「バタリ? なんの音だ。え、武闘家?」
武闘家「後ろからとは卑怯なり」
勇者「……ナイフ」
付き人「はあはあはあ。キラ様は殺させない」
勇者「武闘家、お前は昔から一本気でいいやつだった。人の話を聞かなかないのがたまに傷だが
でもな、世の中って理不尽なことばかりなんだ。正直なやつが損をする世界なんだ。
お前にいつか言ったけなあ、お前は強いが後に気をつけろって」
武闘家「そ、その言葉は……昔聞いたことが……。どこだったか……。
その人は正義感に溢れ、強く、優し――」
ドス
勇者「ありがとうな、武闘家。そんな風に思ってくれて。
せめてお前の記憶のなかでだけは綺麗なままでいさせてくれよ」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 00:40:03.02 ID:M9zulnya0 [5/63]
付き人「お顔が汚れています。あ、わたしは近づけませんね
鏡とタオルを持ってまいりましたのでお拭きください」
勇者「ああ、ありがとう。…………」
付き人「鏡をじっと見つめてどうしましたか」
勇者「ははは、俺の顔はこんなにも変わっちまったんだなあ。
これじゃあお前もわからないよな」
付き人「キラ様、お気をたしかに」
勇者「キラ様か。そうだ、俺はキラだ。この世に俺などとっくに存在していなかったんだ」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 00:50:23.69 ID:M9zulnya0 [6/63]
月「リューク聞いたかい。偽キラが生き残ったそうだよ」
リューク「お前の秘策がこれか。
自分は安全なところにいて、キラの悪名を広め、誰かに倒させる」
月「なにもデスノートに書くことが勝利じゃない。ようは相手を殺せばいいんだからね。
それだったら一番リスクがすくない方法だろう。結果的には失敗だけどね」
リューク「前から思っていたんだが、おまえ外道だな」
月「そんなことないよ。もっとリスクが少ない方法だってあったんだよ」
リューク「ほう、ぜひ聞かせてくれ」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 00:58:33.78 ID:M9zulnya0 [7/63]
月「リュークが偽キラの名前を書く!」
リューク「ぶほっ。月、おまえ面白いな」
月「ダメかい」
リューク「それはお前が一番よくわかっているだろう」
月「そうだね。リュークが名前を書いてくれなくても、刺客ならこれから何人も来る」
リューク「俺としては頭脳戦が好みなんだけどな」
月「これも立派な頭脳戦さ。別に駆け引きが思いつかなかったから、こんな展開にしたわけじゃないさ。
今日はそろそろ寝ようか。本当は今夜中に決する予定だったんだけど、刺客が失敗したことですこし伸びそうだ」
リューク「誤魔化してお茶をにごすわけじゃないだろうな」
月「ははは、僕がそんな外道に見えるかい」
リューク「ああ、見えるね」
月「はは、僕って信用ないね」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 01:07:48.30 ID:M9zulnya0 [8/63]
ここは街の酒場。
勇者「仲間はいないかな。あの子を誘ってみよう」
月「なんですか、え、仲間になれ? いいですよ。
魔王を倒すのも新世界の神の務めですから」
勇者(うわあ、真性だ)
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 01:12:20.65 ID:M9zulnya0 [9/63]
ここは城の図書館。
勇者「仲間はいないかな。あの子を誘ってみよう」
リューク「なに、え、仲間になれ? いいだろう。
魔王を倒すのも死神の務めだからな」
勇者(うわあ、真性だ)
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 01:30:17.97 ID:M9zulnya0 [11/63]
ここは城の図書館。
女「わたしの予言によれば世界を救う仲間がここにいるそうだけど。
あの子に声をかけてみよう」
月「なんですか、え、仲間になれ? いや、そういうのはちょっと。
僕、無宗教なんで。あ、もうこんな時間。それじゃあ」
女(やっぱ普通こうなるわよね)
女「それにしてもここは魔王城じゃない。
魔王城で仲間探しなんて馬鹿げてるわ。
こんなアホな予言したの誰よ!」
女「あ、あたしか」コツン
女「ん、ノート? さっきの子の落し物かしら」
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 01:41:24.68 ID:M9zulnya0 [12/63]
女「届けてあげようかしら。いい男だったしね。
水晶よ、水晶。我の問いかけに答え、その身に答えを写したまえ。
このノートの持ち主はだあれ」
女「夜神月。ナイトゴッド・ムーン君かなあ。
好きなもの正義、嫌いなもの悪。正義のパーティにぴったりじゃない。
これを期にお近づきになろうかしら」
コツコツコツ
女「魔王キラの城っていうから構えてきたけど案外普通ね。
セキュリティもそれほど厳しくなかった。
治安はむしろいい。道端に1000ゼニが落ちていて、誰も拾わないのは行き過ぎって感じもするけど」
女「国民みんなが怯えた様子なのも何か関係しているのかしら」
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 01:45:53.13 ID:M9zulnya0 [13/63]
リューク「さっきの女はなんだったんだ。人間て面白いな」
月「知らないよ。ああいう人とはかかわりにならない方がいい」
リューク「ところで月」
月「なんだい、リューク」
リューク「お前、さっきの図書館にノートを落としていたぞ」
月「なぜそれを先に言わない!」
リューク「最初に言ったはずだ。俺はお前の味方でもなければ敵でもないと」
月(くっ、死神め!)
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 01:57:27.68 ID:M9zulnya0 [14/63]
女「ゴッドナイト・ムーン君の家はと……ここか。大きいな」ピンポーン
幸子「はーい。どちら様ですか」
女「わたしムーンくんの、知り合いのメイです」
幸子「はあ。ライトは今、外出中ですが」
魔法使い「それなら中で待たしてもらいます。月君の部屋はこっちね」
幸子「あ、ちょっと。……ずいぶん積極的な女性ね」
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 02:03:23.06 ID:M9zulnya0 [15/63]
女「ここが月君の部屋か。きちんんと整理されていて感心、感心」
女「魔法学の辞書もちゃんとあるわね。
あら、この辞書中身が違う。Hな写真集。
これも、これも。それにこれも」
女「やっぱり何だかんだ言って男の子ね。
ふ~ん、月君って巨乳が好みなんだ」
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 02:10:34.78 ID:M9zulnya0 [16/63]
月「図書館の司書の話では、あの女が拾ったらしいが。
ダメだ、見つからない。今までに見たことがない人だった。
たぶん他国から来た人か。もうこの国を出ているなら、捕まえるのは絶望的」
リューク「どうした、やけに焦っているな。ククク」
月「うるさい死神。……他国に帰っているなら、むしろ好都合。
もう二度と会うこともないだろう。
こんなことをしていても仕方がない。家に帰るぞ」
リューク「お、案外あきらめが早いな」
月「ただいまー」
幸子「月、お客様が来ているわよ」
月「客?」
幸子「長帽子にローブを来た派手なファッションをしている人」
月「く、母さん、それでそいつはどこ?」
幸子「月の部屋よ」
月(そんなの格好しているやつなんて国中探してもアイツしかいない)
111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 02:17:00.34 ID:M9zulnya0 [17/63]
女「おかえりなさい」
月「他人の部屋で何をしている」
女「本を読んでいるだけだけど」
月「僕の本を勝手に」
女「減るもんじゃないんだし、いいでしょ」
月(ダメだ、この女。なんとかしないと)
女「せっかく落し物を届けてあげたのに」
月「それは僕のノート。返してください」
女「言われなくても返すわよ」ポイ
月「中を見てないでしょうね」
女「見るわけないでしょう。他人のノートを」
月「他人の部屋を勝手にあさる人の言葉とは思えないですね」
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 02:25:56.69 ID:M9zulnya0 [18/63]
月「信じましょう。ところであなたは誰ですか」
女「ゴッドナイト・ライト君には紹介がまだだったわね」
月「”やがみらいと”です」
女「あら、ごめんなさいね」
月「それであなたは?」
女「他国で宮廷魔術師をしているメイ・サンダースよ」
月「メイ・サンダース。聞いたことがあります。著名な魔法使いですね。魔王を倒したとか、倒さないとか」
魔法使い「ちゃんと勉強もしているんだ。辞書が入れ替えてあるから、見せ掛けだと」
月「当然です。ああ、お茶を出していませんでしたね、ちょっと待っていてください」
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 02:44:08.38 ID:M9zulnya0 [19/63]
月(名前は聞いた。後は殺すだけだ。今は7時15分か。
メイ・サンダース、7月25日午後7時18分から24日間以内に自身で考えられる、
もっとも死体が見つかりにくい方法と場所で自害する)
月「これで完璧だ」
リューク「ククク。ずいぶんと入念だな。あのノートは何の変哲もないノートなのにな」
月「ノート自体はね。ただあのノートは僕と常にいる。
ノートの記憶を探るなんてことも可能だろう。優秀な魔法使いなら特にね。
希望の記憶が見れるとは限らないし、そもそも疑ってもいない人間のノートにそんなことするはずがないとは思うけど」
リューク「サイコメトリーというやつか。お前があれほど焦っていたのは、あの女の風貌が魔法使いだったからか」
月「なんだと思ったのさ」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 02:51:50.38 ID:M9zulnya0 [20/63]
リューク「てっきりあのノートに書かれていた光の勇者ノーザンクラスターとか厨二設定を見られるのが嫌だからと思っていたぞ」
月「あれはわざとだよ。第一にカモフラージュになる。ノートのおかしさに目を奪われて、サイコメトリーを止めようと思うかもしれない。
第二にあのノートにそんなことを書いておけば、ノートを見た人間の反応は不自然になる。
ちゃかすかもしれない。普通の勉強ノートじゃ、そうしてくれないだろう」
リューク「お前の理論でいけばあの女は本当にノートは見てないようだな」
月「うん。それかよっぽどの嘘つきだね。あの女のわかりやすい性格から考えてそれはないだろうけど」
リューク「ククク」
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 02:59:09.60 ID:M9zulnya0 [21/63]
月「お待たせ」
魔法使い「ありがとう。気を遣わせちゃって悪いわね」
月「わざわざノートを届けてくれたんだし、これくらいしますよ」
魔法使い「あら、おいしいわね」
月「そう言ってもらえると嬉しいです」(午後7時18分!)
リューク「クククククククク」
魔法使い「………」スッ
月「どうしたんですか、どこに行くんですか」
魔法使い「野暮なことを聞くものじゃないわ」
月「そうですか。早く戻ってきて下さいね、せっかくのお茶が冷めてしまいます」
魔法使い「ええ」
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 03:10:05.83 ID:M9zulnya0 [22/63]
月(やった部屋から出て行った! 計画通り!)
リューク「ククククク。月、お前は頭がいいな」
月(なんだ? リュークやけにクが多いな)
リューク「お前は頭がいい。それは事実だ。そして自分以外のものを馬鹿と思っている」
月(なにが言いたい?)
リューク「これは忠告だが、あまり他人を馬鹿だと思わないことだ。いつか足元をすくわれるぞ」
月「メイがこの状況で行く場所なんて1つしかないだろう! 他に行く場所があったら言ってみろ」
魔法使い「そうよ! トイレよ!」
月「え、トイレ?」
魔法使い「何もトイレ以外行く場所がないとまで言うことないでしょう。
トイレに行って悪かったわね、ふん」
月(どういうことだ!)
リューク「クククククク」
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 03:21:45.52 ID:M9zulnya0 [23/63]
月「そういう意味で言ったんじゃないんですよ」
魔法使い「それじゃあどういう意味で言ったのよ。ふ~んだ」
月(ぎ、偽名だと!)
リューク「お前が思っているほど他の人間は考えなしじゃないってことだ」
月「機嫌直して下さいよ」
月(くそ。本名をなんとかして聞きださないと。
下手するとメイ・サンダースが偽名と僕が知っていることになって、かえって不自然になる)
リューク「月、目の取引はいつでも有効だからな」
月(黙れ、死神! 落ち着け。落ち着くんだ。メイはキラが僕だとは思ってない。
それは間違いない。百歩譲ってノートの中身を見ているかもしれないがそこまでだ。
今、僕がキラだと疑われる可能性はゼロに近い。それなら何もしないのが得策)
月「そういえばメイさんは何をしにこの国に来たんですか」
魔法使い「わたし?」
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 03:35:04.11 ID:M9zulnya0 [24/63]
月「世界を救うとか何とか言ってましたけど」
魔法使い「そうそう。わたしはこの国に世界を救うものがいると予言が出たからここに来たのよ」
月「予言ですか、面白そうですね」
月(世界を救う! やはり僕は新世界の神になるのか)
魔法使い「この予言の水晶がね、予言してくれるの。
月君の家もこの水晶が教えてくれたのよ」
月「へー、すごいですね」
魔法使い「予言によるとこの国には世界の救世主と魔王がいるらしいの。
信じられる。救世主と魔王がひとつの国にいるのよ。
そんなことが魔王に知られればすぐ殺されてしまうでしょうね」
月「僕には想像もできませんね」
魔法使い「魔王はキラだとして、救世主は君かもしれないってわけ。
わかる!? 正義が好きで、悪が嫌いな夜神月くん」
月「なんでそれを」
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 03:43:43.68 ID:M9zulnya0 [25/63]
魔法使い「水晶で占ったのよ。こんな風にね。
水晶よ、水晶。我の問いかけに答え、その身に答えを写したまえ。
この部屋の持ち主はだあれ」
月「僕の名前が水晶に!」
魔法使い「ついでにこんなこともできるわよ。
水晶よ、水晶。我の問いかけに答え、その身に答えを写したまえ。
月君の大事なノートに書かれていることはなあに」
月「………」
リューク「ククククク」
魔法使い「えっと、殺したい人の名前? 日時? 死因?
なに、これ? やっだ月君くっらーい。
優等生のふりしてこんなこと書いていたんだ」
月「…………」
125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 03:55:20.12 ID:M9zulnya0 [26/63]
月「ははは、ばれちゃ仕方ないな。絶対に見ないで下さいと言ったのに、酷いなあ、メイさん」
魔法使い「ごめんね。でもノートは見なかったでしょう。あれ、怒っている?」
月「いえ、怒ってませんよ。でもお詫びということであれば、ひとつ占ってもらっていいですか」
魔法使い「ええ……いいわよ」
月「僕には今、一番殺したい人がいるんですけど。その人はいつ死にますか?」
魔法使い「えっとね、これは忠告だけど、月君、あんまり暗いこと占わない方がいいよ」
月「僕もメイさんに忠告です。他人の秘密を占わない方がいいと思いますよ。
それより早く占って下さい! 僕は取引しているんですよ!」
126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 04:00:01.43 ID:M9zulnya0 [27/63]
魔法使い「はい! 水晶よ、水晶。我の問いかけに答え、その身に答えを写したまえ。
月君が一番殺したい人間はいつどうやって死ぬ?」
リューク「クククククククク」
魔法使い「24日後の午後7時44分に自身の消滅魔法でこの世から跡形もなく消えて……死ぬ」
月「さすがは宮廷魔術師ミシェルさん。優秀ですね」
魔法使い「消滅魔法なんてよっぽどの大魔法使いじゃないと使えないはず。
月君が殺したい人って……。あれ、なんで私の真名を知っているの」
月「僕はあなたを3つの点で賞賛します。
ひとつ目は僕でもわからない自分の死因を完全に当てたことです。
ふたつ目は完全に証拠が残らない形で消えてくれることです。
みっつ目は真のキラの正体にたどり着いたことです。
さようなら、ミッシェル・キッチンさん。
あなたは自分でも言ったとおり大魔法使いです」
魔法使い「……………」フラフラ
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 04:07:34.57 ID:M9zulnya0 [28/63]
リューク「見事な決断だったな」
月「なんとか勝った。しかし、残りの寿命の半分とは大きな代償だった。
あんな馬鹿女のために、畜生」ドン
リューク「お前はこれで神に匹敵する力を手に入れた。
これからお前は顔を見るだけで、そいつの名前と寿命が見える。
神といっても死神だがね」
月「どうせなら最大限に利用させてもらうさ」
リューク「最初いや二番目に殺すやつは決まっているんだろう?」
月「当然、目障りな偽キラだ」
128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 04:10:25.65 ID:M9zulnya0 [29/63]
一区切りつきました。
今日は限界なので寝ます。
明日(もう今日ですが)また続きを書きます。
147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 16:16:02.51 ID:M9zulnya0 [30/63]
リューク「月、ちょっといいか」
月「なんだい」
リューク「魔法使いはなんで俺が見えなかったんだ」
月「おいおいリュークも言ったじゃないか、あのノートは何の変哲もないノートだって」
リューク「そうか。魔法使いは一度もデスノートに触ってなかったのか」
月「そのとおり。そしてメイいやミシェルは占いで”僕の大事なノート”について占った」
リューク「お前にとって一番大事なノートはデスノートだけってわけか、ククク」
月「まったくお互いにとって不幸な出来事だったよ」
リューク「俺にもわかりやすいように今度からはしゃべれよな」
月「ごめんごめん。今度からは気をつけるよ」
リューク「月、お前まさか”言ってもわからぬ馬鹿ばかり”とか思わなかったか」
月「思うわけないじゃないか! 僕のこの目を見てくれよ。嘘つきの目に見えるかい」
リューク「見える。大嘘つきの目に見えるね」
月「…………」
148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 16:31:16.61 ID:M9zulnya0 [31/63]
さかのぼること1ヶ月前
僧侶「あ、流れ星」
村人「僧侶様、なぜ泣いているのですか」
僧侶「古い友人が神の御許に召されたのです」
村人「ご友人が……。さぞかしご心痛のことでしょう」
僧侶「命あるものはいつかは滅びます。それに神のもとに召されたのです。悲しむことはありません」
村人「それではなぜ涙を」
僧侶「不吉な予感がするのです。とてもよくないことが西方で起ころうとしています」
村人「おお、それは恐ろしいことです」
僧侶「大丈夫です。わたしが西に行ってわざわいを確かめてきます。後は頼みますよ」
村人「僧侶様、お気をつけて行ってらっしゃいませ」
僧侶(北斗七星の横に以前は見えなかった星が見える
あれはもしや噂の……)
149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 16:46:11.28 ID:M9zulnya0 [32/63]
月「僕はもう顔を見るだけで殺せる! もうこそこそする必要はない」
リューク「つまらないゲームになりそうだな」
月「つまらない? 何を言っているんだ。面白くなるのはこれからだろう」
リューク「ほう、どうしてだ」
月「僕が新世界の神として君臨する後の世界を見せてあげるよ」
リューク「ククク、お前は自分を悪と考えないわけか」
月「僕がどこの悪なのさ!」
リューク(これを真顔でいうんだから人間てやつは面白ッ!)
151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 16:55:33.77 ID:M9zulnya0 [33/63]
月「父さん、お願いがあるんだけれど」
評議員B「なんだ。小遣いなら上げんぞ」
月「やだなあ、そんなことじゃないよ。一度キラ様にお目通りを願いたいと思ってね」
評議員B「キラ様に! ダメだ、ダメだ。お前にはまだ早い。機嫌を損ねて殺されたらどうする」
月「キラ様も一時期とは違って大人しくなったって言うじゃないか。
理不尽に人を殺すこともなくなったというしね」
評議員B「それはそうだが」
月「早くからキラ様に顔を売っておいた方が夜神家にとってもプラスと思うんだ」
評議員B「考えてみればそうか。それならば一度お目通りをお願いしてみよう」
月(勝った!!)
152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 17:25:49.31 ID:M9zulnya0 [34/63]
用心棒「あんな大きな流れ星は珍しいな」
僧侶「また巨星が落ちた。これで2つ目。あの星は魔法使いの星」
用心棒「最近、星の動きが変だって噂ですけど、何かの前兆でしょうかね」
僧侶「いったい西で何が起きていると言うのでしょう」
用心棒「西の国では魔王キラが治める国があるという話です」
僧侶「魔王……キラ」
僧侶(北斗七星の横の星も一段と輝いている。
あれは間違いなく死が間近な者のみが見るという死兆星。
近づけば近づくほど、わたしの死も近づくということでしょう。
だが引くわけには行きません)
153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 17:32:46.24 ID:M9zulnya0 [35/63]
月「キラ様にやっと今日会えるんだね」
評議員B「うむ。キラ様はお忙しいため申請から1ヵ月半も経ってしまったがな」
月「キラ様ってどんな人なの?」
評議員B「冷徹さといい、決断力といい。
ちょっと変わっているところもあるが、まさに魔王と呼ばれるに相応しい人間だ」
月「ちょっと怖いなあ」
評議員B「今頃になって怖気づいたか。大丈夫だ。お前は父さんの息子だからな」
キラ「ククク、本当のキラは息子なんだがな」
門番「ご苦労様であります」
評議員B「ここから城内だ」
月(偽キラ、今日がお前の命日だ)
門番「こちらをどうぞ」
評議員B「うむ。ありがとう。息子にも頼む」
月「え? 父さんこれは……」
154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 17:57:56.95 ID:M9zulnya0 [36/63]
勇者「よくきたな、評議員Bこと夜神総一郎とその息子の月よ」
評議員B「は。キラ様もお元気そうで何よりです」
月「初めてお目にかかります。夜神月と申します」
月(これはどういうことだ。なぜこんなことになっている)
リューク「ククククク」
勇者「よい、楽にせよ」
評議員B「ありがとうございます。
息子はわが国一の高等教育機関トウオウ学校をトップで卒業しました。
将来きっとキラ様のお役に立つはずです」
勇者「それは優秀だな。将来の働きを期待しているぞ」
月「ありがたき幸せ」
……………
………
…
付き人「お疲れ様でした。キラ様はこの後ご予定がありますので」
評議員「もうこんな時間でしたか。それではこれで失礼いたします」
月「再びキラ様にお会いできるのを楽しみにしています」
155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 18:07:22.76 ID:M9zulnya0 [37/63]
評議員B「よくやったぞ、月。キラ様もお前のことを気に入られたようだ」
月「父さんの息子だから当然だよ。ところで……何でみんな仮面を被っていたの」
評議員B「ああ、あれか。半月ちょっと前くらいから、キラ様のお言いつけでな。
城内に入る者は仮面をつけねばならなくなったのだ」
月「半月くらい前? 具体的には?」
評議員B「たしか8月20日いや19日だったかな」
月(8月19日!)
評議員B「きっとキラ様の気まぐれだろう。
キラ様以外が入れない寝室を建てたり、
近づかれるのを嫌がったりと、
昔から神経質なところがあったからな」
月「ふーん、そうなんだ。もうそろそろ僕は部屋に戻るよ」
評議員B「うむ。今日は緊張しただろう。ゆっくり休みなさい」
158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 18:28:33.32 ID:M9zulnya0 [38/63]
ガチャリ
月「ふう――――くそっ、やられた!」
リューク「残念だったな。偽キラを殺せなくて」
月「偽キラは間違いなく、キラが顔だけで殺せることがわかっている。
どうやって知ったかはわからないが、こうタイミングよく仮面をつける規則をつけるわけがない。
いや――それにはきっとミシェルの死が関わっている」
リューク「なんでそう思う?」
月「ミシェルの名前をノートに書いたのが7月25日。
ミシェルの予言によると24日後つまり8月18日午後7時44分に死ぬらしい。
8月19日は死んだ翌日。偶然にしてはでき過ぎている」
リューク「ククククク。するとお前がキラということもバレたかもな。
絶対絶命だぞ、月」
月「それはないよ、リューク。僕がキラとわかっているなら真っ先に殺すか捕まえるはずだ。
でもこうして僕はここにいて、ノートに名前を書くことができる。
名前を知られていない自信があったとしても絶対じゃない。
そんなリスクを普通はおかさないだろう」
159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 18:58:07.79 ID:M9zulnya0 [39/63]
リューク「ほう、なるほどな」
月「結論をいえばこんなところかな。偽キラはミシェルと何らかの繋がりがあった。
たぶんミシェルが死ぬと死の状況と死に場所が、偽キラに伝わる仕組になっていたんだろう。
死亡通知の魔法はそんなに高位の魔法じゃない。むしろ冒険者のパーティなら自然に使う魔法だ。
ダンジョンなどではぐれたときに、仲間が死んだかどうかは重要な情報だからね」
リューク「ククク。”もっとも死体が見つかりにくい方法”という条件は失敗だったわけだ。
消滅魔法で自殺は、死体は見つからないが、死に方にしてはあまりにも不自然過ぎる。
”もっとも他人に不審を抱かせない方法”と書くべきだったな」
月「キラが死前の行動を操れると知っていれば、そこからキラに繋げるのは自然だ。
そしてミシェルの真名は誰も知るはずがなかった。それを知る方法は何か。
本人に催眠か何かで聞き出すか、自動的に名前がわかる方法しかない。
優秀な魔法使いほど強い魔法耐性を持つという。
そんな難しい方法で名前を聞き出してわざわざ殺すかい。ナンセンスだ」
161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 19:09:32.47 ID:M9zulnya0 [40/63]
リューク「そこまでわかっているのか。でも、おかしくないか。
偽キラは身体の一部で呪い殺す方を濃厚と考えていたんだろう」
月「それは今でも変わらないんじゃないかな。事実、今日の謁見でも僕を近寄らせなかったろう。
仮に名前で殺せると仮定したときには、自動的に名前がわかる方法を新たに身に着けたと考えたんだろう」
リューク「さすがだな、月。あの10分くらいの偽キラとの会話の間にそこまでわかったのか」
月「僕にだってわからないことだってあるよ。ミシェルは偽キラを倒そうとしていた。
これは間違いない。デスノートに書かれる直前まで、僕のことをまったく疑ってなかったからね。
それにも関わらず、ミシェルと偽キラの間には繋がりがあった」
リューク「たしかにな。おかしな話だ。倒そうとしている相手と仲間だなんてな」
163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 19:33:23.70 ID:M9zulnya0 [41/63]
リューク「”自動的に名前がわかる方法”=顔ってのはどこから来たんだ?」
月「消去法さ。偽キラが現われた日の”キラ宣言”。
あそこで顔を見せたということは、僕があの時点で殺せないことはわかっていた。
その後に”自動的に名前がわかる方法”を手に入れたと仮定して、
なんでキラはその方法を今にでも使って、呪い殺さないのさ」
リューク「”自動的に名前がわかる方法”にもさらに条件が必要ってことか。
月「うん。そしてすぐに殺されないところを見ると、その条件は離れていては使えないらしい。
するとキラは近づいてくるはず。近づいて名前を知る方法なんて、読心術かそれに類するものだろう。
読心術はサイコメトリーとおなじで、相手に触れることが必須条件だ。
おとぎ話の魔王様なら別なんだろうけどね。あとは見るくらいだね。
もしかすると仮面は触られる可能性を排除することに重点がおかれているのかもしれないね」
リューク「偽キラは手から足まで肌を出していなかったものな。
そうするとまだお前に分があるな。偽キラは、身体の一部>読心術>顔を見るの順と考えているわけだからな」
164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 19:36:24.47 ID:M9zulnya0 [42/63]
リューク「それにしても月」
月「ん、どうした。まだわからないことがあるかい。僕がわかっていることはあらかた話したと思ったけど」
リューク「案外、冷静だな」
月「冷静じゃないさ。偽キラと僕との繋がりができてしまった。
僕が顔だけで殺せることを偽キラが知ったとしたら、
それ以降に会う人間を真っ先に疑うはず。
間違いなく僕は偽キラの容疑者候補のひとりになったはずだね」
リューク「どうするんだ?」
月「刺客が殺してくれるのを待つなんて余裕はない。
ミシェルが死んだ以上は僕と会っていたことがバレる可能性がある。
幸いこの国に来て間もなくだったから、
僕とミシェルが会っているのを見たのは図書館の人間くらいだろうけれど」
リューク「うって出るわけか」
月「うん。もともと頭脳戦に自信がなかったわけじゃない。
それに名前を知るよりも顔を見る方がよっぽど簡単だろう」
166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 19:43:06.18 ID:M9zulnya0 [43/63]
リューク「ああ、月。ひとつ言っておくぞ」
月「なんだい。リューク」
リューク「今回の話、マジで長かったぞ」
月「……ごめんよ」
リューク「俺の頭でもついていくのがやっとだった」
月「混乱しているなら今は以下の3つだけ抑えておけばいいよ。
①偽キラは顔を見られたら殺されるかもしれないと思っている
②夜神月は偽キラの考えるキラ容疑者のひとりになってしまった
③最後に勝つのは僕だ」
リューク「すっげー自信」
167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 20:03:52.27 ID:M9zulnya0 [44/63]
月「さてと」
リューク「お、緊張しっぱなしだったろうに、今日も休まずに名前を書くのか」
月「当然。今日だからこそ名前を書くのさ。
返って今日書かないと不自然に感じさせるからね」
リューク「そんなもんかね。それにしてもその二重底はよくできているな。
きちんとした手順を踏まずに開けたら燃えるようになっている」
月「当然だよ。一番は僕がキラという証拠を残さないこと」
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 20:07:38.02 ID:M9zulnya0 [45/63]
僧侶「ここが魔王キラの支配するという国」
用心棒「もう夜ですから今日は宿屋で休みましょう」
僧侶(来る途中なんとなく懐かしい気がしたけれど、
かつて魔王を倒した場所のふもとの国でしたか。
なにもかも懐かしくもありますが、ここで武闘家と魔法使いが消息を絶ったはず。
武闘家は風の噂でキラに殺されたと聞き、魔法使いはわたしにこれからこの国に行くと言っていた。
こんなときあのお方がいれば)
用心棒「どうしたんですか」
僧侶「いいえ、なんでもありません」
僧侶(どこにいるかわからない方のことを考えても仕方がありません。
それにもう二度と会わないと誓ったはずです)
170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 20:27:15.09 ID:M9zulnya0 [46/63]
勇者(武闘家は俺が殺した。そして魔法使いも死んだ。いや、殺されたのだ、キラに。
だが、魔法使いはキラの情報を残してくれた)
兵隊「キラ様」
勇者「なんだ」
兵隊「謁見の申請が入っています」
勇者「俺は忙しい。そんなものは断れ」
兵隊「それが神聖教会からの使者のようです」
勇者「神聖教会か。あそこを敵に回すと色々と面倒だ。仕方ない、通せ。
だが俺は仮面をしたままであることを了解してもらえ」
兵隊「かしこまりました。使者様はいかがしましょうか」
勇者「教会の使者にそこまで求めるわけにはいかんだろう」
兵隊「は」
勇者(世間では魔王と呼ばれているのに教会から使者か。おかしな話だ)
172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 20:57:00.41 ID:M9zulnya0 [47/63]
僧侶「お目通り願いましてありがとうございます。
わたしは神聖教会の使者でございます」
勇者「これは驚いた。神聖教会の使者様が仮面をされるとは」
僧侶「神の教えでも仮面をつけてはならないとはありません。
それならば先方の礼法に合わせるべきではございましょう。
郷に入れば郷に従えといいます」
勇者「なかなか説法もうまいではないか。して何用かな」
僧侶「魔王が復活したという噂があるのをご存知ですか」
勇者「ほう、そんな噂が。それは知らなかったな」
勇者(しらじらしい。俺のことだと言いたいんだろう)
僧侶「ですから、わたしの目でたしかめに来たのです。魔王とは誰であるかを」
174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 21:08:49.26 ID:M9zulnya0 [48/63]
用心棒「僧侶様!」
評議員B「無礼だぞ!」
勇者(こいつ馬鹿か)
勇者「ずいぶん直接的な表現だな。俺が魔王と言いたいのだろう。
遠慮することはない」
僧侶「いいえ、あなたは魔王ではありません。
あなたの心の色は穏やかで優しく、澄んでいます」
勇者「俺の心の色が優しく、澄んでいるだと!
ははは、俺が巷でなんと言われているか知っているか。
冷酷で残忍な魔王だぞ」
僧侶「わたしもそう聞いていましたので驚いています。
臆病さ、後悔、未練の色は見えますけれどね」
勇者「俺が残忍でないかどうか、お前が身をもって試してみるか」
175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 21:17:22.37 ID:M9zulnya0 [49/63]
僧侶「あなたはもう気づいているはずです。
臆病、後悔、未練の殻を破れば、
勇気、優しさ、愛情があることを」
勇者「そんなものは知らん。とうに捨てたのだ!」
僧侶「わたしはあなたの心に似た色を過去に見たことがあります。
そう……この色は、いえ、まったくあの方とおなじ。
心の色は誰一人として同じものはいないはず。すると、まさか!」
勇者「何をごちゃごちゃと言っている」
僧侶「あなたは勇者様なのですね!!」
勇者(なぜそのことを)
僧侶「わたくしでございます。かつて一緒にあなたと魔王を倒した僧侶でございます。
いま仮面をとって御覧にいれましょう」ファサ
勇者(そ、僧侶)
178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 21:27:45.40 ID:M9zulnya0 [50/63]
勇者「僧……し、知らん。お前は誰だ!
人違いだ。わたしはキラだ」
僧侶「いえ、そんなはずはありません。
なぜあなた様が魔王キラなどと呼ばれているのです」
評議員B「キラ様を魔王というか。いくら教会の使者と言っても許せませんぞ。
衛兵よ、来て。こやつをつまみ出せ」
兵隊「は。僧侶様、恐れ入りますがこちらにいらして下さい」
僧侶「あなた様は名前を変えて、仮面を被っていても、あなたは勇者様です。
薔薇の名前が変わっても、薔薇の香りは変わりません」
バタン
勇者「評議員B、お前も下がって一人にしてくれ」
評議員B「はい!」
バタン
勇者「僧侶……俺はお前が言うような立派な勇者なんかじゃなかったんだ。
……俺は最初から弱くて情けないただの大工の息子に過ぎないんだ
仲間がいないと、仲間がいないと、何もできやしないんだよ」
181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 21:33:36.31 ID:M9zulnya0 [51/63]
用心棒「僧侶様、あれはさすがに不味いですよ。
わたしも殺されるかと思いましたよ」
僧侶「勇者様はわたしたちを殺しなどしません」
用心棒「まったく。魔王キラが伝説の勇者様のはずないじゃないですか」
僧侶「あなたまでそのようなことを言うのですか」
用心棒「それでこれからどうしますか」
僧侶「根本的な問題は解決していません。暗雲の正体を突き止めないと。
調べたいことがありますから、城下の図書館に行きましょう」
183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 21:37:59.31 ID:M9zulnya0 [52/63]
リューク「月、お前、毎日図書館にいて飽きないのか」
月「飽きないよ。知識をどんどん仕入れられるからね」
リューク「俺にはわからんな。ところでここは城の図書館のはずだが、仮面は被らなくていいのか」
月「ははは、何を言っているんだ。城”下”の図書館だよ。城の中にあるわけじゃない。
仮面なんて被らなくていいに決まっているだろう」
リューク「”下”なんてこと今まで言っていたか?」
月「リューク……僕だって忙しいんだ! そのくらい話の流れで読んでくれなくちゃ困る」
186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 22:09:15.05 ID:M9zulnya0 [53/63]
月「さて今日はもう帰ろうか」
リューク「もう帰るのか」
月「どうしたんだ、さっきまであれほど帰りたがっていたのに」
リューク「いや、俺としてはもうちょっといた方が面白ッ展開になる気がするんだが」
月「筋書きのないドラマなんてつまらない。
筋書きのあるドラマを自分で書いてみんなを躍らせるのが楽しいんじゃないか。
世の中には偶然なんてつまらないものは必要ないよ」
リューク「月も結構ワンパターンだからな」
月「ワンパターンで結構。パターン化されているものは素晴らしい考えだから引き継がれているんだ」
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 22:18:08.13 ID:M9zulnya0 [54/63]
リューク「ククククククククク」
月「デスノートが――ない」
リューク「やっぱ筋書きのないドラマの方が面白ッだな」
月「リューク! おまえ何かしたのか!」
リューク「おいおい、俺は前にも言ったとおり、月の敵じゃない。味方でもないがね」
月「たしかにリュークの性格から考えてそれはない。昨日のことを思い出すんだ」
月(入れ忘れ? いや、そんなはずはない。入念に確認したはずだ。
絶対に二重底の引き出しに入れたはずなのに。燃えた形跡もない。
つまりは――)
リューク「これはもう盗まれたと考えるしかないな」
193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 22:47:35.44 ID:M9zulnya0 [55/63]
月「リューク。ノートが盗まれたときはどうなる?」
リューク「ちょっと待ってろ。”デスノートを紛失または盗まれるなどした場合、
490日以内に再びノートを手にしないと所有権を失う”とあるな。
ノートの条件については詳しく書き出してやるから、
このメモ(http://ja.wikipedia.org/wiki/DEATH_NOTE)を参照してくれ」
月「リューク確認だ。所有権があるということは、僕の死神の目は保持されるわけだな」
リューク「ああ。所有権がある間はノートの記憶および目の契約は続行される」
月(490日か……。時間はたっぷりある。それよりも問題はノートだ。
僕の手持ちは財布に入れた切れ端1枚と時計の仕込み1枚のみ。
財布のノートには時刻・死因まで書いて、表裏で2人が限度)
月(時計のノートは名前のみだな。
詰めれば2人かけるか。いや、時計のノートを使うのは最後の手段。
よっぽどせっぱつまった状況のはず。そんな状況で細かくかけるわけがない表裏で1人が限度。
裏返したり広げたりする手間を考えると表のみ実質1人だ)
194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 22:54:27.88 ID:M9zulnya0 [56/63]
リューク「月、考えすぎだ。30分も考えていたぞ」
月(黙れ、死神! ノートをどう使うかで俺の一生が決まる。
ここでよく考えずにどうする。まとめるとこうだ。
①財布のノートは死亡・時刻を表裏に1人ずつ計2人書ける。
②時計のノートは連続して表裏にはかけないが、時間を置いてなら1人ずつ名前のみ書ける。
ゆっくり平らなところで書ける状況なら、片面に2人ずつ計4人かける。
③顔さえ見れば寿命と名前がわかる)
リューク「さあ、どうするんだ月!」
197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 23:00:50.31 ID:M9zulnya0 [57/63]
月「再度、確認だ。リューク。
僕があのノートに以前書いたことは、仮に所有権を失っても実現する」
リューク「そうだ。これまでに何か書き溜めていたようだが、よかったな。
備えあれば憂いなしだ」
月(あの条件は今も有効ということか)
リューク(ククククク……珍しく悩んでいるな月)
月(それよりも今の一番の問題は盗まれたこと。
空き巣ではない。部屋が綺麗過ぎるし、二重底のトラップを避けている。
偶然など存在しない。つまり、これは僕がキラと見抜いたものの犯行!)
198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 23:08:49.58 ID:M9zulnya0 [58/63]
月「まずい、まずいぞ」
リューク「盗まれたノートにお前の名前を書かれればお終いだなあ。
いったい誰が盗んだんだろうな」
月(盗んだのは偽キラに決まっている。くそ、何か逆転の策はないか。
だが僕はまだ死んでいない。僕を生かすメリットはなんだ。余裕? 慢心?
僕なんか殺す価値もないってことか!)
月(いずれにしても切れ端で殺せることを知らないはずだ。
そのことはノートの”How To Do(使い方)”には書いてない。
死神に聞くか試すしかない。リュークは所有者にしかつかない。
幸いなことに今まで名前を書いたページは1枚1枚燃やしてきたから、切れ端のページもない。
これは大きなアドバンテージになる)
199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 23:16:08.15 ID:M9zulnya0 [59/63]
月「整理その2だ。僕のアドバンテージ。
①盗んだ犯人はデスノートの切れ端でも殺せることを知らない可能性が高い。
②↑より僕が切れ端を保持している(デスノートで殺せる)ことも当然知らない。
③盗んだ犯人は僕の今まで書いた内容を知らない」
リューク「ほう。もう落ち着いたか」
月「起こったことを心配しても仕方ないからね。
これからが重要だよ。大丈夫、僕なら生きてさえいれば切り抜けられる」
リューク「自信たっぷりだな。月はそうじゃなくちゃな。見せてもらうぞ、お前の逆転劇を」
月「ああ、見ていなよ。面白いものを見せてやるよ」
リューク「ああ、それは月宛に今日来た手紙か。なんだそれは?」
月「ラブレター!」
202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 23:28:52.12 ID:M9zulnya0 [60/63]
リューク「おい、月。こんなことしていていいのか?」
司書「月さん、シェークスピア好きなんですか」
月「うん。やっぱり古典はいいよね」
司書「わたし”ロミオとジュリエット”好きです」
月「僕も好きだよ。特にジュリエットの薔薇のくだりなんか名台詞――
おっとお客さんが来ているね、それじゃまた」
司書「はい。また話しましょうね」
リューク「ずいぶんと余裕じゃないか。まさか本当に口説くとは思わなかったぞ」
月「焦っても仕方ないからね。ピンチなときこそ平常心さ」
リューク「そんなもんかね」
月「そうだよ。困ったときに図書館に行けばなんでもわかるのさ」
?「うんしょ。うんしょ」ドン
バラバラバラバラ
?「あ、すいません」
203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 23:36:27.37 ID:M9zulnya0 [61/63]
リューク「ククククク、平常心を装っていてもやっぱ内心は焦っているようだな。
前方不注意でぶつかるなんて月らしくもない」
月「すみません。ちょっとよそ見をしていたもので」
?「こちらが前が見えないほど本を抱えていたからです。申し訳ありません」
月「拾うのを手伝いましょう」
?「ありがとうございます」
月「席はどちらです。お持ちしましょう」
?「いえ、ぶつかっておいて、そこまでしてもらったら申し訳ないです」
月「それではぶつかったのはお互い様ということで、本も半分ずつ持ちましょう」
リューク「こういうことをさらりと言えるところが女心を揺さぶるんだろうな」
206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 23:50:54.38 ID:M9zulnya0 [62/63]
月「難しい本ですね。古代語で書かれた予言書ばかり。
神聖教会の僧侶さんのようですが」
僧侶「よくおわかりになりましたね」
月「ははは、その格好を見れば誰でもわかりますよ」
僧侶「そうですよね」
月「”竜の王が地の底より現われる。
人々は逃げ惑い、世界は絶望に包まれる。
諦めてはならない。勇者イリウスの名を唱えなさい。
そは希望なり、そは光なり。
そは聖なる血を継ぐものなり”」
207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 23:51:45.78 ID:M9zulnya0 [63/63]
僧侶「古代語が読めるのですか。見たところ学生さんですのに博識ですね」
月「ちょっとかじった程度ですよ。本格的に学びたいのですが、周りに専門家がいなくて。
そうだ、良かったら僕に教えてくれませんか」
僧侶「わたしなんてまだ見習いで、まだ他人に教えられる水準では」
月「あ、いきなりすみません。初めて会った人に。お邪魔でしたよね。でも残念だなあ」
僧侶「邪魔じゃありませんよ。わたしが知っていることしか教えられませんが、それで良かったら」
月「本当ですか、ありがとうございます」
僧侶「あ、あの手が……」
月「すみません、つい興奮しちゃって。神に一生を捧げたシスターの手を握るなんて」
210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 00:27:43.96 ID:zCaI6sD80 [1/9]
僧侶「はい、ここはこうなって」
月「なるほど。これはこのように読むんですね。勉強になります」
リューク(ついに恐怖で現実逃避をし始めたか。もう終わりだな月)
月「そういえば何で僧侶様がこんなところにいらっしゃるんですか」
僧侶「この地方にまつわる予言があったからです」
月「予言ですか、どんなものです」
僧侶「西方にて暗雲包まれる。それは魔王到来の証である。
彼の者は人の隙間に入るのが得意なのだ。人の心を読み操る。
決して信用してはならない。なぜあなたを助け、優しくするのか考えなさい。
勇者××ドナイ×・×ーンよ、あなたは盲になっています。
すべてを捨て去りなさい。
己とも、過去のしがらみとも決別し、命を捨てて勇気を持って立ち向かいなさい。
さすれば道は開かれよう。あなたが望んだものになれるのだ」
月「勇者の名前が削れていますね」
211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 00:29:32.85 ID:zCaI6sD80 [2/9]
僧侶「もともと石版に書かれてものですからね。
他の部分も削れていましたが、文脈から予想できました。
人の名前の部分は予想できませんからね」
月「なんてことだ。せっかく世界を救うヒントがあるっていうのに。どこの誰かもわからないなんて」
僧侶「名前ならわかっています」
月「なぜ名前を知っているんですか。もしかして居場所を知っているんですか」
僧侶「それは……」
月「僕で力になれることなら何でもしますよ」
213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 00:33:58.38 ID:zCaI6sD80 [3/9]
僧侶「そうですね。仲間になる人は一人でもいた方がいいですね」
月「任せて下さい。それで勇者は誰なんです?」
僧侶「絶対に驚かないで下さいね」
月「もちろんです」
僧侶「それはこの国の王でキラと呼ばれる者です」
月「なんですって! キラ様が! あ、大声を出しすぎました」
僧侶「驚くのも無理もありません」
月「僕はてっきり予言のいう魔王がキラと思っていましたよ」
僧侶「魔王は他にいます。きっとすぐ近くに……」
214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 00:41:41.69 ID:zCaI6sD80 [4/9]
月「それで何で僧侶様は知っているんですか」
僧侶「昔、旅をしていたからです」
月「え、キラ様とですか」
僧侶「はい、かつて魔王を倒す旅のパーティでした」
月「それで勇者様の名前は?」
僧侶「メキドナイド・カーン様です」
月(勝った!!)
215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 00:43:49.98 ID:zCaI6sD80 [5/9]
月「素晴らしいお名前ですね。キラよりもずっといい」
ピンポンパンポーン
「図書館は閉館時間となりました」
僧侶「あ、もうこんな時間ですね」
月「つい白熱してしまいました。それじゃあ、また明日会いましょう。
女性の夜道は危険です。送っていきましょうか」
僧侶「いいえ、護衛がいますか。ほら、来ました」
用心棒「僧侶様、お迎えに上がりました。こちらの方は」
僧侶「わたしたちの新たな仲間です」
月「夜神月です。よろしく」
用心棒「よろしく」
216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 00:47:02.30 ID:zCaI6sD80 [6/9]
月「それじゃあ、また明日」
リューク「驚いたぞ、月。偶然から見事に偽キラの名前を聞き出したな」
月「偶然? 何を言っているんだ? 全部シナリオ通りさ」
リューク「なんだとどういうことだ?」
月「リュークこれなあんだ」
リューク「ラブレターなんだろう」
月「そんなわけないだろう」
リューク「月が言っていたんじゃないか」
月「リューク……あれは冗談だ」
218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 01:03:31.63 ID:zCaI6sD80 [7/9]
月「説明するより読んでみた方がわかりやすいかな」
リューク「なになに、”○月○日、キラ様の部屋にて神聖教会の僧侶と用心棒の謁見があった。
僧侶はキラ様のことを勇者様と呼び、追い出された。
その後、王の間から評議員Bも追い出され、キラ様がひとりで篭ることになった”」
月「盗まれる前のデスノートでね、城の女中をひとり操っているんだ。
内容は”城の内の出来事を情報を誰にも見つからないように手紙に書いて下記の住所・宛名に毎日投函する。
手紙を書いたことや投函したことは行動したら忘れること。セントリック街342-4、夜神月様”」
リューク「城の情報をこれで把握していたわけか」
月「うん。情報戦だからね。この手紙を見てピンと来たんだ。
これは何かあるなと。そうしたら大当たりだった」
リューク「もしかしてぶつかったのもわざとか」
月「当たり前じゃないか。僕がよそ見くらいでぶつかるわけないじゃないか」
リューク「ククククク、ラブコメを装ったわけだな」
月「リュークも言っていたじゃないか。”月も結構ワンパターンだからな”って」
220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 01:31:51.86 ID:zCaI6sD80 [8/9]
月「”メキドナイド・カーン、夜神月から盗んだデスノートと、自身以外でデスノートの存在を知るものがいればそのフルネーム(知らない場合は通称)を書いた紙を封筒に入れて、
下記の住所に投函を確認した3時間後に自然死。
投函はできるだけ人目につかないときに自ら投函、もしくは自ら投函することが不自然であれば信用できる雇われているものに投函させて報告させること。
差出人名は空欄にし、投函の事実やデスノートの存在は忘れること。デスノートは使わないことが望ましいが、共犯者などがいて使わないことが不自然になるときは使用を許可する。
ただし、どんな場合でも決して”夜神月”の名前をデスノートに書いてはならない。セントリック街342-4、夜神月様”」
リューク「ほう、早速か」
月「善は急げってね」
リューク(ククククク、自分が善であることをすこしも疑っていないわけか)
月「さて、もう夜もふけてきたね。どうせもう後は消化試合だから、今日はもう寝ようか」
リューク「お前この先考えてないから誤魔化す気じゃないだろうな」
月「誤魔化す必要がなんであるのさ! 偽キラが死んで、僕の勝ちで終わりじゃないか。
ノートさえ盗まれていなかったら、即死亡で終わっていたはずなんだよ。
明日にずれてしまったこと自体が僕にとって予想外。もうこの物語はわかっている結末を読むだけさ。
続きを書く必要なんてないじゃないか」
THE END?
夜神月のノートの残り
①財布のノート(死因と時刻もかける):1人分。
②時計の仕込ノート(名前のみ):2~4人分(いずれの場合も短時間での連続使用不可)。
慎重に平坦なところで書く場合、2人分×表裏=4人分。
急いでもしくは時計のふたを背にして書く場合、1人分×表or裏どちらか使用。
221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 01:36:07.51 ID:zCaI6sD80 [9/9]
月君もこう言っていますので、今日は寝ます。
個人的には月君の言うとおり、
もう結末はわかったと思うので続き書く必要ないとも思いますが……。
勇者(しかし俺が言わねば。ここで言わねば後で大変なことになる)
勇者「みんな――」
武闘家「そうだ!!!」
勇者「ビクゥ」
魔法使い「なによいきなり。大声ださないでよ」
武闘家「旅にでよう。そして己を鍛えていつか魔王を越えるのだ」
魔法使い「はいはい、あんたは一生きたえてなさい。それで脳みそまで筋肉になりなさい」
武闘家「うむ、さらばだ。旅をしていればまた会うこともあるやもしれん」
僧侶「武闘家さんお元気で」
勇者「え……ちょ」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 17:19:43.76 ID:QcCO9UlF0
魔法使い「まったく気が早いんだから。馬鹿よね、お城にいけば一生安泰なのに」
僧侶「人には人の生きる道があります」
魔法使い「そうね。私はお城のお抱え魔法使いとして働くわ。僧侶はどうすんの」
僧侶「わたしは愛を説いて回ります。魔王のせいで人々の心は荒んでいます。
こんなときこそ神の教えが必要なのです」
魔法使い「あ、そ。わたしならそんなつまらない人生耐えられないけどね」
僧侶「神の奇跡たる勇者様と旅したあなたならその素晴らしさがわかるはずです」
魔法使い「ふんだ。勇者はどうすんの。あたしは城へ帰るけど一緒に来る」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 17:23:14.62 ID:QcCO9UlF0
勇者「いやまだやることが――」
魔法使い「あんたもなの。それじゃあね。相変わらずつまらないパーティね」
勇者「そうじゃなくて俺たちはまだ魔――」
魔法使い「でもま、あんたちのこと嫌いじゃないわよ。移動呪文、ハジマリの城へ」バシュ
勇者「王を倒し……」
僧侶「ふふふ、魔法使いさん照れ屋さんですからね。恥ずかしかったんでしょう」
勇者「ああ。そして他人の話を聞かない」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 17:27:04.68 ID:QcCO9UlF0
僧侶「さてそれではそろそろ私も――」
勇者「え」
勇者(まずいぞ、まず過ぎる。ここで回復役の僧侶まで抜けたら完全に詰む!)
僧侶「勇者様たちと一緒に旅していて貴重な体験ができました」
勇者「ストオオぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉップ!!!!」
僧侶「はい!」
勇者「大事な話があるんだ、落ち着いてよく聞いて欲しい」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 17:35:03.21 ID:QcCO9UlF0
僧侶「なんですか?」
勇者「これからも僧侶には一緒のパーティでいて欲しいんだ!」
僧侶「――え」
勇者「なかなか言い出す機会がつかめなかったんだけど。そこで昇天した漢は実は――」
僧侶「だめですっ!!!!!」
勇者「え、なにが」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 17:40:16.71 ID:QcCO9UlF0
僧侶「わたしは、か、神に遣える身。勇者様のお気持ちは嬉しいですか、受け入れられません」
勇者「なにか勘違いを――」
僧侶「それ以上なにも言わないでください!」
勇者(どうしろと)
僧侶「この左手を見てください。わたしは薬指に指輪をはめたときから神の花嫁になることを誓ったのです」
勇者(俺の人生なんか捧げるまでもなく産まれたときから神に捧げられているよ!)
僧侶「ですから! ですから! 勇者様とこれからも一緒にいることはできません」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 17:49:08.17 ID:QcCO9UlF0
僧侶「さようなら、勇者様。もし神より先にあなたに会っていたら結果は違っていたかもしれません」
勇者(俺もラオウより先に魔王に会っていたら結果は違っていたと思うよ)
僧侶「私は日々を神と勇者様のためにお祈り差し上げましょう」
勇者(それよりも魔王を倒すために努力しようよ)
僧侶「もうお会いすることもないでしょう。さようなら、さようなら」
勇者「そんなことで離れられるかよ! 俺は(回復役の)僧侶がいないと死ぬぞ!
本当に死ぬぞ! リアルな話」
僧侶「勇者様、そこまで私のことを、私のことを思って下さっていたのですね」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 17:57:30.66 ID:QcCO9UlF0
勇者「わかってくれたか! 僧侶」
僧侶「はい、勇者様の気持ちはこれ以上ないほどに伝わりました」
勇者「それなら俺とこれからも一緒にいてくれるな!」
僧侶「……それはできません。結論はかわりません。もう一度決めたことですから」
勇者「そ……そんな。俺が死んでもいいっていうのかあ!!」
僧侶「勇者様は偉大なお方です。私がいなくても生きることができるはずです」
勇者「無理無理無理無理」
僧侶「きっと勇者様にふさわしい方があらわれるはずです。だからしばしのお休みを、睡眠誘導魔法」
勇者「そ……そ、んな。僧侶まで……俺を見捨てるっていうのか……」ガクリ
僧侶「強く生きてくださいね。わたしが神以外で世界で唯一尊敬するお方」
勇者「スースー」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 18:07:17.39 ID:QcCO9UlF0
勇者「は、ここは。ラ、ラオウ?……いや死んでいる。だが、なぜここに!」
勇者「そうだ! 俺たちは激闘の末、ついにラオウを倒したんだ」
勇者「あの圧倒的力を持つラオウを倒した」
勇者「北斗剛掌波をだされたときは死ぬかと思った」
勇者「やったやったぞ、世界に平和が訪れたんだ!!」
勇者「あはははははっははははははははははははははははははは」
勇者「……ってなんも解決してねえじゃねえええか!」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 18:11:08.41 ID:QcCO9UlF0
勇者「いやいやいやいやいや、むしろ悪化してるぞ」
勇者「俺、ボッチだし。今どきひとりで魔王に挑むとかねえよ」
勇者「なんで俺のパーティは話を聞かないやつばかりなんだよ」
勇者「武闘家といい、魔法使いといい、僧侶と……僧侶」
勇者「そういえば俺、知らないうちにふられたんだっけ」ズーン
勇者「しかも僧侶もまんざらでなかったとか。改めて認識するとかなりへこむ」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 18:27:47.60 ID:QcCO9UlF0
勇者「へこんでいても仕方ない。魔王を倒すことを考えないと」
勇者「1から出直しだな」
勇者の父親は大工だった。
勇者の子どもの頃の遊び場も父親の仕事場だった。
大きな建物をつくるには土台をしっかりとつくらねばならない。
小さい頃の建設現場での下積みが彼の合理的、建設的な思考を育んだ。
勇者「まずは仲間だ」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 19:08:57.62 ID:QcCO9UlF0
勇者「仲間が必要だ。それも飛び切り強力な仲間だ」
勇者「ラオウなんか最適だったが、奴は昇天しちまったしな」
勇者「とりあえず近くの街に下りてみるか」
1時間後
門番「ようこそ、旅の人。ここは汚職の街、キャスト」
勇者「汚職の街か。噂には聞いたことがある。
一部の特権階級のみが甘い汁を吸い、庶民は奴隷になっていることも気づかない街」
老婆A「旅の人。滅多なことをいうものではないよ」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 19:13:24.84 ID:QcCO9UlF0
勇者「だが本当のことだろう」
老婆A「お主は他から来たから権力者の恐ろしさがわかっていないのだ」
勇者「魔王よりも恐ろしいのかい」
老婆A「最近の若いものと来たら。ついて来なさい」
勇者「泊めてくれるのか」
老婆A「このままお主を放っておいたら大変なことになりそうじゃからな」
勇者「ついているぞ。宿屋代が浮いた」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 19:18:42.43 ID:QcCO9UlF0
老婆A「先ほどの話の続きじゃ」
勇者「ムシャムシャムシャ」
老婆A「食べるのを止めて聞かんか!」
勇者「ほれべふぁんはって」
老婆A「口に入っているものを飲み込みなさい」
勇者「食うのを止めろと言ったり、食えと言ったり、注文が多い店だ」
老婆A「やれやれ」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 19:24:27.94 ID:QcCO9UlF0
老婆A「この国はたしかに腐っておる。それはお主がいった通りじゃ」
勇者「風の噂だけどな。だがトップは馬鹿ではない。
よほどのことがない限りは他国の者を悪口を言ったくらいで逮捕したりはしない。
外交問題になるからな。どちらかというと国民の婆さんの方がやばいんじゃないか」
老婆A「ふむ。詳しいな。だがそれも1週間前までじゃ。今この国は揺れておる」
勇者「何かあったのか」
老婆A「救世主が現れたのじゃ」
勇者「ふふふ、こんな村にまで俺のことがもう知られているのか」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 19:31:52.85 ID:QcCO9UlF0
老婆A「お主はなにを言っておるんじゃ」
勇者「わかっているぞ。魔王を倒す勇者が現れたというのだろう!」
老婆A「勇者……? そんなものはこの国には必要ないわい
この国を救うのは圧政から人々を救う者。キラ様じゃあ」
勇者「キラ様? KILLER(殺し屋)みたいな名前で不気味だな」
老婆A「なかなか鋭いじゃないか。お主のいうとおり、キラーから来ている」
勇者「モンスターキラーということか。さすがに俺もその2つ名は初めて聞いたぞ」
老婆A「なにを言っておる。キラ様が殺すのは人間じゃ」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 19:42:17.38 ID:QcCO9UlF0
勇者「人間だと!? ……俺は人間を殺したことなど……ないぞ。
ラオウは勝手に昇天しただけだ」
老婆A「さっきから意味不明なことを言っていおるな。
奴らは"人間"ではないというのはなかなかうまいことを言うな」
勇者「ちょっと待った。話が噛み合わないな、キラ様というのはいったい誰のことだ」
老婆A「その正体は誰にもわからん。だが世界の救世主であることは間違いない。
なにせこの国の特権階級を殺し続けてくれて下さるのだからな」
勇者「話が見えない。一から話してくれ」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 19:51:57.05 ID:QcCO9UlF0
老婆A「ひとつ聞くがこの国の仕組みは知っておるか」
勇者「80年前の革命によって王政は廃止され、現在は11人の評議員が国を動かしているんだろう」
老婆A「うむ。その通りじゃ。国を支配するために革命を起こした者たちの子孫がだいだい評議員をつとめている」
勇者「その評議員がどうしたんだ」
老婆A「はじまりは1週間前。この国の11人いる評議員の1人が死んだ。
自らの血で自室の壁に『神が現れた』と書き残してな」
勇者「それは気が狂っただけだろう」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 20:03:21.29 ID:QcCO9UlF0
勇者「特異な事例ではある。だがそれで救世主の存在を信じるのは楽観し過ぎだ」
老婆A「ふむ、それが1例ならな」
勇者「他の評議員も死んだのか」
老婆A「そのとおり。次の日も1人、その次も1人と具合にな。
朝があけると必ず1人死んでいたのじゃ。
どれもおなじく壁に血文字が書かれていた」
勇者「他殺だったらどうだ。血文字も犯人が書いた。相当の腕が必要だが」
老婆A「もちろん評議員は考えた。
そこで全評議員が1箇所に集まり、部屋の外は多くの警備に守らせた」
勇者「それでも死んだと」
老婆A「血文字は書かれなかったがの。正確には書こうとして止められただけじゃが」
勇者「恐ろしいな、聞いたことがない呪いだ」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 20:15:27.27 ID:QcCO9UlF0
勇者「相手の意思をそこまであやつるとなると難しいな。
世界最高の呪術師でも不可能だろう」
老婆A「だからこそ救世主なのじゃ。天罰を与えて下さっているのじゃあ」
勇者「もう7人も死んでいるのか。残りの5人は気が気じゃないな」
老婆A「そうじゃろうて、そうじゃろうて」
パーパッパラパラー
勇者「ラッパの音?」
「緊急招集だーーーーーーーー。皆のものすぐに広場に集まるように」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 20:18:25.46 ID:QcCO9UlF0
勇者「ん。何かあったのか」
老婆A「今日で1週間目。きっと7人目の死者が出たのじゃろうて」
勇者(そんなはずはない)
勇者「婆さん、この国は評議員が死ぬ度に広場に国民を集めるのか?」
老婆A「これが初めてじゃ」
勇者(やはり。普通に死んだならともかく、この状況でわざわざ発表する国はない。
つまりこの召集は別のことだ)
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 20:36:16.43 ID:QcCO9UlF0
国民A「なんだなんだ」
兵隊「評議員のおなーりー」
評議員「諸君、久しぶりだ。君たちも呪いの話は聞いていたことと思う。
きっと心配をしてくれたことと思う! そんな君たちに朗報だ! 見たまえ」
老婆A「1人、2人、3人、4人……。5人! なぜ」
評議員「我々のかけがえのない6人の同胞が亡くなったことは国の重大な損失だ。
それは事実だが、7日目の朝、我々は生き残っている! 我々は呪いに打ち勝ったのだ。
そして我々、聖なる代行者に呪いをかけたものも捕まえた、見たまえ」
勇者(間違いなく、でっち上げだな。そんな呪術師など存在しない。
仮に存在したとしても、そんな高度な呪術を防げるはずがない。
評議員の威厳を示すための生け贄といったところか。
きっと評議員に都合が悪い人間なのだろう)
老婆A「そんな! あれは……孫のトム!」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 20:46:19.80 ID:QcCO9UlF0
勇者(そしてこの老婆の孫という発言も嘘。
あまりに城内部の事情に詳し過ぎる。
1日目の死亡などは公表するだろうが、都合が悪い部分は伏せるはず。
噂が意図的に国民に流れているのは間違いない。
しかし、それにしても詳しすぎた。たぶんこの老婆はレジスタンス。
そしてあの男も……)
評議員「これからこの男を処刑してすべてが終わるのだ。評議員は永久に不滅だ」
老婆A「おお……キラ様……お助けください」
勇者(残念ながら自業自得だ。キラなどいない。
きっと評議員の奇行は伝染病。
血文字は1人目の奇行が、無意識に全評議員の頭に刷り込まれたいて、
感染病で正常でなくなった頭が模倣したと考えるのが自然。
評議員のみが感染しているのは不可解ではあるが)
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 21:03:24.04 ID:QcCO9UlF0
評議員「さあ、それでは処刑――」
勇者「この国は変わらない」
評議員「――シナイッ!!!!」
勇者「え!」
評議員「ワタシ ハ キラ デス。
コノ オトコ ノ クチ ヲ カリテ シャベッテ イ マス。
ミナサン ニ シンセカイ ヲ オミセ シマ ショウ。
カツテ コノ セカイ ノ カミ ハ ナノカ デ チツジョ ヲ ツクッタ ト イイマス。
ワタシ ガ アラワレテ カラ キョウ デ ナノカ メ。
コノ オトコ ノ シ デ セカイ ニ アタラシイ チツジョ ガ ウマレマス」
評議員B「何を言っているんだ!」
評議員C「頭でも打ったのか!」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 21:04:35.96 ID:QcCO9UlF0
評議員「イイデスカ ノコリ ノ ヒョウギイン ニ チュウコク シマス。
モシ コクミン ヲ クルシメ テ シヨク ヲ ミタス ナラ
ワタシ ガ アナタ タチ ヲ コロシ マス。
イイデスカ チュウコク シマシタ ヨ」
勇者「……飛び降りた」
グシャ
評議員B「うわああああああああああああ。おかあちゃああああああん」
評議員C「神がお怒りになったのだ。私はこれから心からあなたの僕になって働きます。お助けを」
評議員D「ずるいぞ、私も誓います。だからどうかお助けを」
勇者「キラ……本当にこの国を変えやがった」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 21:17:39.12 ID:QcCO9UlF0
国民「キラ! キラ! キラ! キラ! キラ!
キラ! キラ! キラ! キラ! キラ!」
勇者(他のものはキラを神とでも思っているようだが違う。
キラは評議員を全員殺さずに利用した。
それはただの人間であることを意味する。神ならば自分で治めればいい。
自らは顔をださないことからして、非常に用心深い性格だ。
そして人の前に顔を出すことを恐れている。
人の死を操れる圧倒的な力を持っているにも関わらずだ。
それは人の死を操る方法が限定的であることを意味する。
強力だが、万能な能力ではない。そこにつけいる隙はある。
そしてもうひとつわかったことがある)
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 21:27:43.63 ID:QcCO9UlF0
兵隊「キーラ! キーラ! キーラ! おい、お前。どこにいくんだ」
勇者「ちょっと寝ててくれるかな」トン
兵隊「え……」ガクリ
評議員B「怖い怖い怖い怖い怖い……」
勇者「どけ」
評議員B「………だ、誰だ」
勇者「俺か? すぐにわかるさ」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 21:28:36.54 ID:QcCO9UlF0
国民「キーラ! キーラ! キーラ! キーラ!
キーラ! キーラ! キーラ! キーラ!
キーラ! キーラ! キーラ! キーラ!」
勇者「民衆よ、静まれ!!」
農夫「誰だ、あいつ」
武器屋「ただの目立ちたがりだろう」
宿屋「引っ込め」
国民「ブーブーブー」
勇者「俺が――――キラだ」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 21:37:01.29 ID:QcCO9UlF0
評議員「キラ!。いや……キラ様。ひひえええええええええ」
国民「キ、キラ様!」
農夫「お、お許しをキラ様。農夫がいえって言ったんです」
武器屋「貴様ずるいぞ。宿屋がキラ様のことを引っ込めと言っていましたよ」
勇者「静まれ! 静まれ! このキラ様はそんな小さなことは気にしない」
国民「さすがはキラ様! お心が広い」
勇者「評議員には国民のために俺の下で働いてもらう。
この国は今日より俺が治める!」
国民「やっとぞー、キラ様がじきじきに治めてくださるぞ。
キーラ! キーラ! キーラ! キーラ!
キーラ! キーラ! キーラ! キーラ!
キーラ! キーラ! キーラ! キーラ!
キーラ! キーラ! キーラ! キーラ!
キーラ! キーラ! キーラ! キーラ!
キーラ! キーラ! キーラ! キーラ!」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 21:46:19.61 ID:QcCO9UlF0
月(誰だアイツは! キラをかたるとは!)
リューク「ウホッ、面白展開ッ!」
勇者(キラは間違いなく、この広場のどこかにいる。
さっきの評議員の死のタイミングが良すぎた。
間違いなく、キラはどこかで見ている)
月「殺してやる!」
勇者(そしてキラは絶対に俺を殺そうとするはず。
キラが殺せる条件に俺がすべて満たしていたら、俺は死ぬ。
だが、キラをおびき寄せるには、ここしかチャンスはない)
リューク「だが月、お前。アイツの名前がわからないだろう」
月「くっ」
勇者(どうやらまだ殺されないところをみると、俺の勝ちのようだな)
リューク「目の取引ならいつでもできるからな。
おまえの残りの寿命の半分と殺す相手の名前がわかる目を交換だ」
月(落ち着け。激情にかられてこんな取引をするのは間違っている。
幸い顔はわかっているんだ。名前を調べる方法などいくらでもある。
覚えていろ)
勇者&月(勝つのは俺だ!)
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 21:59:32.22 ID:QcCO9UlF0
評議員B「私がキラ様に対立していたというのは誤解で――」
勇者「もういい、下がれ」
評議員B「はい?」
勇者「下がれと言ったんだ」
評議員B「は、はい! 失礼いたしました。
おや、キラ様、髪にゴミがついておりますぞ。
取って差し上げましょう」
勇者「俺に触るな!! 殺すぞ!!」
評議員B「ひええええええ。お助けえええええ」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 22:10:06.25 ID:QcCO9UlF0
付き人「あのキラ様」
勇者「なんだ」
付き人「なんでキラ様は人に近づかれることを極端に恐れるのですか」
勇者「下賎なものに近づかれると穢れるからだ」
付き人「なるほど」
勇者(魔王がまだ生きているところから、死の条件は呪術とおなじく厳しいことはわかっていた。
通常の呪術では、どのような道具を使用するにしても、
髪の毛など相手の一部を使用するか、名前で呪う。
顔だけで呪う方法など存在しない。
通常の呪術では衰弱させて死亡というパターンで即死はありえず、
例外の可能性もあり得たわけだが)
勇者(つまり俺の一部か名前が必要ならば、あの状況で俺を殺す方法はなかった。
そしてそれが必要ならば、手に入れるために、俺に近づくはず。
呪術の強力さから考えて恐らく前者。
一瞬たりとも気を抜けないな)
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 22:16:29.65 ID:QcCO9UlF0
勇者「おい、付き人」
付き人「はい、なんでしょうかキラ様」
勇者「近づくな!!!」
付き人「すみません」
勇者「寝室を俺にしか入れないように至急改造しろ。
いいな、至急だぞ!」
付き人「は、はい」
勇者(寝室が完成するまでは寝ることもできないのか。
身体の一部が必要とすると、評議員の髪の毛などを取れる立場にいたはず。
城の内部のものが濃厚だ)
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 22:24:41.91 ID:QcCO9UlF0
評議員B「ふう、今日はさんざんな一日だったよ」
月「おかえり、父さん」
評議員B「お前もキラ様に会うときは気をつけろよ。
半径5メートル以内に近づくなよ」
月「半径5メートル? そんなに? なんで?」
評議員B「知らんよ。なんか下賎の者に近づかれると穢れるとからしい」
月「ふーん。僕は勉強に戻るよ」
評議員B「ああ、勉強は大事だ。こんなになってしまったが、夜神家の家名を汚さないようにちゃんと勉強するんだぞ」
月「わかっているよ」
リューク「ククク、”わかっているよ”か。仲間の評議員を殺していたキラが息子なのにな」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 22:28:26.54 ID:QcCO9UlF0
月「リューク面白いことがわかったな」
リューク「何がだ?」
月「偽キラは死の条件を誤解している」
リューク「なぜそう思う」
月「半径5メートルがポイントさ」
リューク「それは穢れるからなんだろう」
月「本物ならそうかもしれない。だが僕たちはあのキラが偽ものとわかっている」
リューク「そうか。あれ、すると何で近づかれるのが嫌なんだ」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 22:36:19.61 ID:QcCO9UlF0
月「死神に聞くのもなんだけど、呪いと聞くと何を最初に考える」
リューク「わら人形じゃないか」
月「オーソドックスだね。わら人形で呪うときに必要なものは?」
リューク「えーと、たしか丑三つ時に相手の髪の毛を入れたわら人形を釘で打つんだろう」
月「その通り。髪の毛が重要だ。呪うときにはたいてい髪の毛とか呪う対象の一部が必要なんだ」
リューク「そうか人間がデスノートの存在を知るはずないものな。あったまいー」
月「もうひとつ名前で呪う方法もあるけどね。たとえば東方の島国ではむかし本名を隠す習慣があったらしいよ」
リューク「名前が知られると呪われるからってわけか」
月「そう。だから本当に偉い人以外、特に女性なんかは本名がわからない場合も多いんだ」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 22:45:57.33 ID:QcCO9UlF0
リューク「それで偽キラは死の条件を身体の一部と誤解していると」
月「うん。もちろん妄信しているわけじゃなくて、身体の一部と名前の両方の可能性を考えていて、
身体の一部が濃厚と思っている程度と思うけどね」
リューク「偽キラもすごいな。濃厚と思っている方が違うとしても、片方は当たっている」
月「無理もないさ。ノートに名前を殺せるなんて馬鹿げているからね。誰も想像しないよ」
リューク「ククク、まさに天からの贈り物ってわけか」
月「だからこそ付け入る隙はある。偽キラは僕が身体の一部を手に入れるため近づいてくると思っている」
リューク「ふむふむ。偽キラは身体が休まるときがないな」
月「相手が神経をとがらせて人間不信になっている間に、僕は休暇を満喫させてもらうさ」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 23:01:04.82 ID:QcCO9UlF0
評議員D「キラ様、本日もお日柄がよくご機嫌うるわしゅう」
勇者(どいつだ! どいつがキラだ!
誰から誰まで怪しく思えてきやがる)
評議員D「今日はキラ様にふさわしい服を用意するために、
一流の仕立屋を用意いたしました」
仕立屋「世界に名だたるキラ様にお会いできて幸せでございます」
勇者「それで俺に近づこうというのか!」
評議員D「いえいえ、この仕立屋は触らずに寸法を見ることができるのです」
勇者「本当か。それなら許可する。余興にもなるだろう」
仕立屋「それではちょちょいのちょいとお計りいたします」
勇者(キラは誰だ。このままでは持たんぞ)
仕立屋「ふむふむ、身長173センチ、肩幅が――」メモメモ ポトリ
コロコロ
仕立屋「おっと私としたが失敬。鉛筆を落としてしまいました」
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 23:08:31.71 ID:QcCO9UlF0
勇者(キラはもしかしてもう俺の一部を手に入れてもてあそんでいるのか
そうだとしたら絶望的!)
評議員D「ば、ばか」
仕立屋「お足元を失礼いたします。まったくもってこの鉛筆ときたらじゃじゃ馬で」
勇者「おい、貴様なにをしている」
仕立屋「はい? 私めは鉛筆を拾おうと――」
勇者「俺の髪の毛を拾おうとしていただろう! そうか。お前がキラか。ついに現れたな」
仕立屋「おほほほ。これはお戯れを。キラ様がそうおっしゃるのなら私はキラ様なのかもしれませんぬな」
勇者「こいつを死刑にしろ」
評議員D「はい、ただいま。おい兵隊」
仕立屋「え、なんでですか。私がなにをしたと。
うわ、やめてください。やめろおおおお」
バタン
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 23:17:54.19 ID:QcCO9UlF0
月「リューク聞いたかい」
リューク「世紀末恐怖政治キラのことか」
月「父の話や噂でも偽キラの錯乱したことばかりが伝わってくる」
リューク「まさにお前の策どおりだな」
月「僕は何もやってないさ。偽キラが勝手に自滅してっているだけ」
リューク「ククク。それで次はどうするんだ。まさかこのままってことはないだろう」
月「このままだよ」
リューク「つまらないな」
月「僕が何もしなくても周りが放っておかないさ。
それにお望みとあらば、僕も後押ししてやろう」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 23:25:09.81 ID:QcCO9UlF0
評議員B「キラ様のご裁判は素晴らしいですな」
勇者(くそう。牢屋の犯罪者が死に始めた)
評議員C「私はキラ様のために働いております。どうか殺さないで下さいまし」
勇者(こんなことをしても偽キラの俺の恐怖が伝わるだけで、真キラのプラスにはならないはず。
キラの目的はなんだ。自分がまだ生きていることの誇示とお前なんかいつでも殺せるという俺へのメッセージか)
勇者「クソ挑発しやがって」
評議員D「いえいえ挑発などしていませんとも」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 23:36:18.90 ID:QcCO9UlF0
男「ここがキャスト。かつては汚職の、そして今は恐怖の街。
魔王キラが治めていると聞くが」
男「せっかく魔王を倒したというのに、新たな魔王がこんなにも早く現れるとは。
人々に生気がない。そこの人、ちょっと済まぬがお城はどこかな」
農夫「お城ならここをずっとまっすぐ行ったとこだよ。
悪いこた言わねえ。近づかない方がええだ」
男「そういうわけにもいかぬのです。魔王キラを倒さねばならぬのです」
農夫「キラ様を倒すぅ! お助けえええええ」
男「キラの名前をだすだけで……ここまで怖がるとは。
山にこもっている間にずいぶん世間から取り残されてしまったようだ」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 23:41:00.70 ID:QcCO9UlF0
門番A「貴様は誰だ」
男「旅のものです。キラに会いに来た」
門番B「キラ様に? 何しにきたのだ」
男「倒しに」トン
門番A「何だと……」バタリ
門番B「どうした門番A」
男「あなたも」トン
門番B「――何をしたお前」バタリ
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 23:47:54.06 ID:QcCO9UlF0
勇者「今日はキラの処刑もなく。久しぶりに静かだな。ゆっくりできそうだ」
付き人「王様、王様」
勇者「静かと言った途端にこれか。俺に休まる日はないのか。それでなんだ」
付き人「くせも」バタリ
男「くせものが進入したそうですよ」
勇者「ほう、それで。笠で顔を隠している貴様は何者かな」
男「さあ誰でしょう」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 23:54:53.21 ID:QcCO9UlF0
勇者「人に物を尋ねるときは被り物くらい取れ」ブン
男「開始の合図もなしに攻撃とは無粋ですね」
勇者「は――はやい。何者だ」
男「ただの暗殺者です。魔王キラ、あなたの命をいただきに参りました」
勇者「わざわざ命を捧げに遠路はるばるご苦労だな」
男「死ぬのはあなたです。料金はこの笠でどうですか」ブン
勇者「味なマネを! き、貴様は――」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/24(土) 23:59:00.74 ID:QcCO9UlF0 [50/50]
リューク「ん、城内が騒がしくないか」
月「騒がしいのはリュークだ。いくら他の人に話が聞こえないと言っても僕の耳には聞こえるんだからな」
リューク「いや、本当に」
月「リューク。黙らないと今日のりんごはなしだ」
リューク「…………」
兵隊「侵入者だああああ」
月「次から次へと。侵入者? どうやら面白くなってきたらしい」
リューク「…………」
月「リュークなんで何もしゃべらないんだ」
リューク「いつかお前の名前を俺のデスノートに書くからな」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 00:03:20.13 ID:M9zulnya0 [1/63]
月「怒ったのかリューク。冗談だよ、今日のりんごを2つにしてやるから機嫌を直せ」
リューク「なら直す。約束忘れるなよ」
月「僕がリュークとの約束を破ったことあったかい? それよりも行こうか」
リューク「侵入者のところへだな」
月「自分の部屋へだ」
リューク「なんでだよ」
月「いいかい、わざわざ侵入者に近づくなんてことをするのは馬鹿がやることだ」
リューク「……俺は馬鹿ってことか」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 00:11:04.12 ID:M9zulnya0 [2/63]
男「私は流浪の武闘家」
勇者「ダンだろう。世紀末覇者ラオウを倒した男。よく知っているよ」
武闘家「ラオウ、誰ですか? それよりもなぜ私の名前を? 私の勇名がここまで轟いていたとは」
勇者「俺が誰かわからないのか」
武闘家「はて、どこかでお会いしたかな」
勇者「……そうか、それならいい。結論は変わらないからな」
武闘家「それではいきます」
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 00:24:50.62 ID:M9zulnya0 [3/63]
勇者「く、早い」
武闘家「ははは、遅いですよ。わたしは魔王との戦いの後の修行の旅でパワーアップしたのです」
勇者「魔王、魔王とうるさいんだよおおおおおお。あれは魔王じゃねえええええ」
武闘家「そんなものですか。これではあのときの魔王の足元にも及ばない」
勇者(ちくしょう。寝不足で思ったように身体が動かない)
武闘家「いえ、わたしが強くなり過ぎてしまったのかもしれませんね。ハイ」
勇者「くそ、足払いか。転ばされた」
武闘家「ははははは、絶対絶命というやつですね」
勇者「うざさも一回りアップしたようだな」
武闘家「楽に殺して差し上げます」
勇者「これまでか(かつての仲間の手にかかって死ぬのも悪くない。なんでこんなことになったんだっけ)」
ドス
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 00:36:07.87 ID:M9zulnya0 [4/63]
勇者(死ぬときって痛くないもんなんだな。俺は地獄行きだろう、間違いなく)
バタリ
勇者「バタリ? なんの音だ。え、武闘家?」
武闘家「後ろからとは卑怯なり」
勇者「……ナイフ」
付き人「はあはあはあ。キラ様は殺させない」
勇者「武闘家、お前は昔から一本気でいいやつだった。人の話を聞かなかないのがたまに傷だが
でもな、世の中って理不尽なことばかりなんだ。正直なやつが損をする世界なんだ。
お前にいつか言ったけなあ、お前は強いが後に気をつけろって」
武闘家「そ、その言葉は……昔聞いたことが……。どこだったか……。
その人は正義感に溢れ、強く、優し――」
ドス
勇者「ありがとうな、武闘家。そんな風に思ってくれて。
せめてお前の記憶のなかでだけは綺麗なままでいさせてくれよ」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 00:40:03.02 ID:M9zulnya0 [5/63]
付き人「お顔が汚れています。あ、わたしは近づけませんね
鏡とタオルを持ってまいりましたのでお拭きください」
勇者「ああ、ありがとう。…………」
付き人「鏡をじっと見つめてどうしましたか」
勇者「ははは、俺の顔はこんなにも変わっちまったんだなあ。
これじゃあお前もわからないよな」
付き人「キラ様、お気をたしかに」
勇者「キラ様か。そうだ、俺はキラだ。この世に俺などとっくに存在していなかったんだ」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 00:50:23.69 ID:M9zulnya0 [6/63]
月「リューク聞いたかい。偽キラが生き残ったそうだよ」
リューク「お前の秘策がこれか。
自分は安全なところにいて、キラの悪名を広め、誰かに倒させる」
月「なにもデスノートに書くことが勝利じゃない。ようは相手を殺せばいいんだからね。
それだったら一番リスクがすくない方法だろう。結果的には失敗だけどね」
リューク「前から思っていたんだが、おまえ外道だな」
月「そんなことないよ。もっとリスクが少ない方法だってあったんだよ」
リューク「ほう、ぜひ聞かせてくれ」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 00:58:33.78 ID:M9zulnya0 [7/63]
月「リュークが偽キラの名前を書く!」
リューク「ぶほっ。月、おまえ面白いな」
月「ダメかい」
リューク「それはお前が一番よくわかっているだろう」
月「そうだね。リュークが名前を書いてくれなくても、刺客ならこれから何人も来る」
リューク「俺としては頭脳戦が好みなんだけどな」
月「これも立派な頭脳戦さ。別に駆け引きが思いつかなかったから、こんな展開にしたわけじゃないさ。
今日はそろそろ寝ようか。本当は今夜中に決する予定だったんだけど、刺客が失敗したことですこし伸びそうだ」
リューク「誤魔化してお茶をにごすわけじゃないだろうな」
月「ははは、僕がそんな外道に見えるかい」
リューク「ああ、見えるね」
月「はは、僕って信用ないね」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 01:07:48.30 ID:M9zulnya0 [8/63]
ここは街の酒場。
勇者「仲間はいないかな。あの子を誘ってみよう」
月「なんですか、え、仲間になれ? いいですよ。
魔王を倒すのも新世界の神の務めですから」
勇者(うわあ、真性だ)
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 01:12:20.65 ID:M9zulnya0 [9/63]
ここは城の図書館。
勇者「仲間はいないかな。あの子を誘ってみよう」
リューク「なに、え、仲間になれ? いいだろう。
魔王を倒すのも死神の務めだからな」
勇者(うわあ、真性だ)
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 01:30:17.97 ID:M9zulnya0 [11/63]
ここは城の図書館。
女「わたしの予言によれば世界を救う仲間がここにいるそうだけど。
あの子に声をかけてみよう」
月「なんですか、え、仲間になれ? いや、そういうのはちょっと。
僕、無宗教なんで。あ、もうこんな時間。それじゃあ」
女(やっぱ普通こうなるわよね)
女「それにしてもここは魔王城じゃない。
魔王城で仲間探しなんて馬鹿げてるわ。
こんなアホな予言したの誰よ!」
女「あ、あたしか」コツン
女「ん、ノート? さっきの子の落し物かしら」
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 01:41:24.68 ID:M9zulnya0 [12/63]
女「届けてあげようかしら。いい男だったしね。
水晶よ、水晶。我の問いかけに答え、その身に答えを写したまえ。
このノートの持ち主はだあれ」
女「夜神月。ナイトゴッド・ムーン君かなあ。
好きなもの正義、嫌いなもの悪。正義のパーティにぴったりじゃない。
これを期にお近づきになろうかしら」
コツコツコツ
女「魔王キラの城っていうから構えてきたけど案外普通ね。
セキュリティもそれほど厳しくなかった。
治安はむしろいい。道端に1000ゼニが落ちていて、誰も拾わないのは行き過ぎって感じもするけど」
女「国民みんなが怯えた様子なのも何か関係しているのかしら」
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 01:45:53.13 ID:M9zulnya0 [13/63]
リューク「さっきの女はなんだったんだ。人間て面白いな」
月「知らないよ。ああいう人とはかかわりにならない方がいい」
リューク「ところで月」
月「なんだい、リューク」
リューク「お前、さっきの図書館にノートを落としていたぞ」
月「なぜそれを先に言わない!」
リューク「最初に言ったはずだ。俺はお前の味方でもなければ敵でもないと」
月(くっ、死神め!)
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 01:57:27.68 ID:M9zulnya0 [14/63]
女「ゴッドナイト・ムーン君の家はと……ここか。大きいな」ピンポーン
幸子「はーい。どちら様ですか」
女「わたしムーンくんの、知り合いのメイです」
幸子「はあ。ライトは今、外出中ですが」
魔法使い「それなら中で待たしてもらいます。月君の部屋はこっちね」
幸子「あ、ちょっと。……ずいぶん積極的な女性ね」
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 02:03:23.06 ID:M9zulnya0 [15/63]
女「ここが月君の部屋か。きちんんと整理されていて感心、感心」
女「魔法学の辞書もちゃんとあるわね。
あら、この辞書中身が違う。Hな写真集。
これも、これも。それにこれも」
女「やっぱり何だかんだ言って男の子ね。
ふ~ん、月君って巨乳が好みなんだ」
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 02:10:34.78 ID:M9zulnya0 [16/63]
月「図書館の司書の話では、あの女が拾ったらしいが。
ダメだ、見つからない。今までに見たことがない人だった。
たぶん他国から来た人か。もうこの国を出ているなら、捕まえるのは絶望的」
リューク「どうした、やけに焦っているな。ククク」
月「うるさい死神。……他国に帰っているなら、むしろ好都合。
もう二度と会うこともないだろう。
こんなことをしていても仕方がない。家に帰るぞ」
リューク「お、案外あきらめが早いな」
月「ただいまー」
幸子「月、お客様が来ているわよ」
月「客?」
幸子「長帽子にローブを来た派手なファッションをしている人」
月「く、母さん、それでそいつはどこ?」
幸子「月の部屋よ」
月(そんなの格好しているやつなんて国中探してもアイツしかいない)
111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 02:17:00.34 ID:M9zulnya0 [17/63]
女「おかえりなさい」
月「他人の部屋で何をしている」
女「本を読んでいるだけだけど」
月「僕の本を勝手に」
女「減るもんじゃないんだし、いいでしょ」
月(ダメだ、この女。なんとかしないと)
女「せっかく落し物を届けてあげたのに」
月「それは僕のノート。返してください」
女「言われなくても返すわよ」ポイ
月「中を見てないでしょうね」
女「見るわけないでしょう。他人のノートを」
月「他人の部屋を勝手にあさる人の言葉とは思えないですね」
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 02:25:56.69 ID:M9zulnya0 [18/63]
月「信じましょう。ところであなたは誰ですか」
女「ゴッドナイト・ライト君には紹介がまだだったわね」
月「”やがみらいと”です」
女「あら、ごめんなさいね」
月「それであなたは?」
女「他国で宮廷魔術師をしているメイ・サンダースよ」
月「メイ・サンダース。聞いたことがあります。著名な魔法使いですね。魔王を倒したとか、倒さないとか」
魔法使い「ちゃんと勉強もしているんだ。辞書が入れ替えてあるから、見せ掛けだと」
月「当然です。ああ、お茶を出していませんでしたね、ちょっと待っていてください」
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 02:44:08.38 ID:M9zulnya0 [19/63]
月(名前は聞いた。後は殺すだけだ。今は7時15分か。
メイ・サンダース、7月25日午後7時18分から24日間以内に自身で考えられる、
もっとも死体が見つかりにくい方法と場所で自害する)
月「これで完璧だ」
リューク「ククク。ずいぶんと入念だな。あのノートは何の変哲もないノートなのにな」
月「ノート自体はね。ただあのノートは僕と常にいる。
ノートの記憶を探るなんてことも可能だろう。優秀な魔法使いなら特にね。
希望の記憶が見れるとは限らないし、そもそも疑ってもいない人間のノートにそんなことするはずがないとは思うけど」
リューク「サイコメトリーというやつか。お前があれほど焦っていたのは、あの女の風貌が魔法使いだったからか」
月「なんだと思ったのさ」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 02:51:50.38 ID:M9zulnya0 [20/63]
リューク「てっきりあのノートに書かれていた光の勇者ノーザンクラスターとか厨二設定を見られるのが嫌だからと思っていたぞ」
月「あれはわざとだよ。第一にカモフラージュになる。ノートのおかしさに目を奪われて、サイコメトリーを止めようと思うかもしれない。
第二にあのノートにそんなことを書いておけば、ノートを見た人間の反応は不自然になる。
ちゃかすかもしれない。普通の勉強ノートじゃ、そうしてくれないだろう」
リューク「お前の理論でいけばあの女は本当にノートは見てないようだな」
月「うん。それかよっぽどの嘘つきだね。あの女のわかりやすい性格から考えてそれはないだろうけど」
リューク「ククク」
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 02:59:09.60 ID:M9zulnya0 [21/63]
月「お待たせ」
魔法使い「ありがとう。気を遣わせちゃって悪いわね」
月「わざわざノートを届けてくれたんだし、これくらいしますよ」
魔法使い「あら、おいしいわね」
月「そう言ってもらえると嬉しいです」(午後7時18分!)
リューク「クククククククク」
魔法使い「………」スッ
月「どうしたんですか、どこに行くんですか」
魔法使い「野暮なことを聞くものじゃないわ」
月「そうですか。早く戻ってきて下さいね、せっかくのお茶が冷めてしまいます」
魔法使い「ええ」
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 03:10:05.83 ID:M9zulnya0 [22/63]
月(やった部屋から出て行った! 計画通り!)
リューク「ククククク。月、お前は頭がいいな」
月(なんだ? リュークやけにクが多いな)
リューク「お前は頭がいい。それは事実だ。そして自分以外のものを馬鹿と思っている」
月(なにが言いたい?)
リューク「これは忠告だが、あまり他人を馬鹿だと思わないことだ。いつか足元をすくわれるぞ」
月「メイがこの状況で行く場所なんて1つしかないだろう! 他に行く場所があったら言ってみろ」
魔法使い「そうよ! トイレよ!」
月「え、トイレ?」
魔法使い「何もトイレ以外行く場所がないとまで言うことないでしょう。
トイレに行って悪かったわね、ふん」
月(どういうことだ!)
リューク「クククククク」
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 03:21:45.52 ID:M9zulnya0 [23/63]
月「そういう意味で言ったんじゃないんですよ」
魔法使い「それじゃあどういう意味で言ったのよ。ふ~んだ」
月(ぎ、偽名だと!)
リューク「お前が思っているほど他の人間は考えなしじゃないってことだ」
月「機嫌直して下さいよ」
月(くそ。本名をなんとかして聞きださないと。
下手するとメイ・サンダースが偽名と僕が知っていることになって、かえって不自然になる)
リューク「月、目の取引はいつでも有効だからな」
月(黙れ、死神! 落ち着け。落ち着くんだ。メイはキラが僕だとは思ってない。
それは間違いない。百歩譲ってノートの中身を見ているかもしれないがそこまでだ。
今、僕がキラだと疑われる可能性はゼロに近い。それなら何もしないのが得策)
月「そういえばメイさんは何をしにこの国に来たんですか」
魔法使い「わたし?」
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 03:35:04.11 ID:M9zulnya0 [24/63]
月「世界を救うとか何とか言ってましたけど」
魔法使い「そうそう。わたしはこの国に世界を救うものがいると予言が出たからここに来たのよ」
月「予言ですか、面白そうですね」
月(世界を救う! やはり僕は新世界の神になるのか)
魔法使い「この予言の水晶がね、予言してくれるの。
月君の家もこの水晶が教えてくれたのよ」
月「へー、すごいですね」
魔法使い「予言によるとこの国には世界の救世主と魔王がいるらしいの。
信じられる。救世主と魔王がひとつの国にいるのよ。
そんなことが魔王に知られればすぐ殺されてしまうでしょうね」
月「僕には想像もできませんね」
魔法使い「魔王はキラだとして、救世主は君かもしれないってわけ。
わかる!? 正義が好きで、悪が嫌いな夜神月くん」
月「なんでそれを」
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 03:43:43.68 ID:M9zulnya0 [25/63]
魔法使い「水晶で占ったのよ。こんな風にね。
水晶よ、水晶。我の問いかけに答え、その身に答えを写したまえ。
この部屋の持ち主はだあれ」
月「僕の名前が水晶に!」
魔法使い「ついでにこんなこともできるわよ。
水晶よ、水晶。我の問いかけに答え、その身に答えを写したまえ。
月君の大事なノートに書かれていることはなあに」
月「………」
リューク「ククククク」
魔法使い「えっと、殺したい人の名前? 日時? 死因?
なに、これ? やっだ月君くっらーい。
優等生のふりしてこんなこと書いていたんだ」
月「…………」
125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 03:55:20.12 ID:M9zulnya0 [26/63]
月「ははは、ばれちゃ仕方ないな。絶対に見ないで下さいと言ったのに、酷いなあ、メイさん」
魔法使い「ごめんね。でもノートは見なかったでしょう。あれ、怒っている?」
月「いえ、怒ってませんよ。でもお詫びということであれば、ひとつ占ってもらっていいですか」
魔法使い「ええ……いいわよ」
月「僕には今、一番殺したい人がいるんですけど。その人はいつ死にますか?」
魔法使い「えっとね、これは忠告だけど、月君、あんまり暗いこと占わない方がいいよ」
月「僕もメイさんに忠告です。他人の秘密を占わない方がいいと思いますよ。
それより早く占って下さい! 僕は取引しているんですよ!」
126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 04:00:01.43 ID:M9zulnya0 [27/63]
魔法使い「はい! 水晶よ、水晶。我の問いかけに答え、その身に答えを写したまえ。
月君が一番殺したい人間はいつどうやって死ぬ?」
リューク「クククククククク」
魔法使い「24日後の午後7時44分に自身の消滅魔法でこの世から跡形もなく消えて……死ぬ」
月「さすがは宮廷魔術師ミシェルさん。優秀ですね」
魔法使い「消滅魔法なんてよっぽどの大魔法使いじゃないと使えないはず。
月君が殺したい人って……。あれ、なんで私の真名を知っているの」
月「僕はあなたを3つの点で賞賛します。
ひとつ目は僕でもわからない自分の死因を完全に当てたことです。
ふたつ目は完全に証拠が残らない形で消えてくれることです。
みっつ目は真のキラの正体にたどり着いたことです。
さようなら、ミッシェル・キッチンさん。
あなたは自分でも言ったとおり大魔法使いです」
魔法使い「……………」フラフラ
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 04:07:34.57 ID:M9zulnya0 [28/63]
リューク「見事な決断だったな」
月「なんとか勝った。しかし、残りの寿命の半分とは大きな代償だった。
あんな馬鹿女のために、畜生」ドン
リューク「お前はこれで神に匹敵する力を手に入れた。
これからお前は顔を見るだけで、そいつの名前と寿命が見える。
神といっても死神だがね」
月「どうせなら最大限に利用させてもらうさ」
リューク「最初いや二番目に殺すやつは決まっているんだろう?」
月「当然、目障りな偽キラだ」
128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 04:10:25.65 ID:M9zulnya0 [29/63]
一区切りつきました。
今日は限界なので寝ます。
明日(もう今日ですが)また続きを書きます。
147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 16:16:02.51 ID:M9zulnya0 [30/63]
リューク「月、ちょっといいか」
月「なんだい」
リューク「魔法使いはなんで俺が見えなかったんだ」
月「おいおいリュークも言ったじゃないか、あのノートは何の変哲もないノートだって」
リューク「そうか。魔法使いは一度もデスノートに触ってなかったのか」
月「そのとおり。そしてメイいやミシェルは占いで”僕の大事なノート”について占った」
リューク「お前にとって一番大事なノートはデスノートだけってわけか、ククク」
月「まったくお互いにとって不幸な出来事だったよ」
リューク「俺にもわかりやすいように今度からはしゃべれよな」
月「ごめんごめん。今度からは気をつけるよ」
リューク「月、お前まさか”言ってもわからぬ馬鹿ばかり”とか思わなかったか」
月「思うわけないじゃないか! 僕のこの目を見てくれよ。嘘つきの目に見えるかい」
リューク「見える。大嘘つきの目に見えるね」
月「…………」
148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 16:31:16.61 ID:M9zulnya0 [31/63]
さかのぼること1ヶ月前
僧侶「あ、流れ星」
村人「僧侶様、なぜ泣いているのですか」
僧侶「古い友人が神の御許に召されたのです」
村人「ご友人が……。さぞかしご心痛のことでしょう」
僧侶「命あるものはいつかは滅びます。それに神のもとに召されたのです。悲しむことはありません」
村人「それではなぜ涙を」
僧侶「不吉な予感がするのです。とてもよくないことが西方で起ころうとしています」
村人「おお、それは恐ろしいことです」
僧侶「大丈夫です。わたしが西に行ってわざわいを確かめてきます。後は頼みますよ」
村人「僧侶様、お気をつけて行ってらっしゃいませ」
僧侶(北斗七星の横に以前は見えなかった星が見える
あれはもしや噂の……)
149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 16:46:11.28 ID:M9zulnya0 [32/63]
月「僕はもう顔を見るだけで殺せる! もうこそこそする必要はない」
リューク「つまらないゲームになりそうだな」
月「つまらない? 何を言っているんだ。面白くなるのはこれからだろう」
リューク「ほう、どうしてだ」
月「僕が新世界の神として君臨する後の世界を見せてあげるよ」
リューク「ククク、お前は自分を悪と考えないわけか」
月「僕がどこの悪なのさ!」
リューク(これを真顔でいうんだから人間てやつは面白ッ!)
151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 16:55:33.77 ID:M9zulnya0 [33/63]
月「父さん、お願いがあるんだけれど」
評議員B「なんだ。小遣いなら上げんぞ」
月「やだなあ、そんなことじゃないよ。一度キラ様にお目通りを願いたいと思ってね」
評議員B「キラ様に! ダメだ、ダメだ。お前にはまだ早い。機嫌を損ねて殺されたらどうする」
月「キラ様も一時期とは違って大人しくなったって言うじゃないか。
理不尽に人を殺すこともなくなったというしね」
評議員B「それはそうだが」
月「早くからキラ様に顔を売っておいた方が夜神家にとってもプラスと思うんだ」
評議員B「考えてみればそうか。それならば一度お目通りをお願いしてみよう」
月(勝った!!)
152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 17:25:49.31 ID:M9zulnya0 [34/63]
用心棒「あんな大きな流れ星は珍しいな」
僧侶「また巨星が落ちた。これで2つ目。あの星は魔法使いの星」
用心棒「最近、星の動きが変だって噂ですけど、何かの前兆でしょうかね」
僧侶「いったい西で何が起きていると言うのでしょう」
用心棒「西の国では魔王キラが治める国があるという話です」
僧侶「魔王……キラ」
僧侶(北斗七星の横の星も一段と輝いている。
あれは間違いなく死が間近な者のみが見るという死兆星。
近づけば近づくほど、わたしの死も近づくということでしょう。
だが引くわけには行きません)
153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 17:32:46.24 ID:M9zulnya0 [35/63]
月「キラ様にやっと今日会えるんだね」
評議員B「うむ。キラ様はお忙しいため申請から1ヵ月半も経ってしまったがな」
月「キラ様ってどんな人なの?」
評議員B「冷徹さといい、決断力といい。
ちょっと変わっているところもあるが、まさに魔王と呼ばれるに相応しい人間だ」
月「ちょっと怖いなあ」
評議員B「今頃になって怖気づいたか。大丈夫だ。お前は父さんの息子だからな」
キラ「ククク、本当のキラは息子なんだがな」
門番「ご苦労様であります」
評議員B「ここから城内だ」
月(偽キラ、今日がお前の命日だ)
門番「こちらをどうぞ」
評議員B「うむ。ありがとう。息子にも頼む」
月「え? 父さんこれは……」
154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 17:57:56.95 ID:M9zulnya0 [36/63]
勇者「よくきたな、評議員Bこと夜神総一郎とその息子の月よ」
評議員B「は。キラ様もお元気そうで何よりです」
月「初めてお目にかかります。夜神月と申します」
月(これはどういうことだ。なぜこんなことになっている)
リューク「ククククク」
勇者「よい、楽にせよ」
評議員B「ありがとうございます。
息子はわが国一の高等教育機関トウオウ学校をトップで卒業しました。
将来きっとキラ様のお役に立つはずです」
勇者「それは優秀だな。将来の働きを期待しているぞ」
月「ありがたき幸せ」
……………
………
…
付き人「お疲れ様でした。キラ様はこの後ご予定がありますので」
評議員「もうこんな時間でしたか。それではこれで失礼いたします」
月「再びキラ様にお会いできるのを楽しみにしています」
155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 18:07:22.76 ID:M9zulnya0 [37/63]
評議員B「よくやったぞ、月。キラ様もお前のことを気に入られたようだ」
月「父さんの息子だから当然だよ。ところで……何でみんな仮面を被っていたの」
評議員B「ああ、あれか。半月ちょっと前くらいから、キラ様のお言いつけでな。
城内に入る者は仮面をつけねばならなくなったのだ」
月「半月くらい前? 具体的には?」
評議員B「たしか8月20日いや19日だったかな」
月(8月19日!)
評議員B「きっとキラ様の気まぐれだろう。
キラ様以外が入れない寝室を建てたり、
近づかれるのを嫌がったりと、
昔から神経質なところがあったからな」
月「ふーん、そうなんだ。もうそろそろ僕は部屋に戻るよ」
評議員B「うむ。今日は緊張しただろう。ゆっくり休みなさい」
158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 18:28:33.32 ID:M9zulnya0 [38/63]
ガチャリ
月「ふう――――くそっ、やられた!」
リューク「残念だったな。偽キラを殺せなくて」
月「偽キラは間違いなく、キラが顔だけで殺せることがわかっている。
どうやって知ったかはわからないが、こうタイミングよく仮面をつける規則をつけるわけがない。
いや――それにはきっとミシェルの死が関わっている」
リューク「なんでそう思う?」
月「ミシェルの名前をノートに書いたのが7月25日。
ミシェルの予言によると24日後つまり8月18日午後7時44分に死ぬらしい。
8月19日は死んだ翌日。偶然にしてはでき過ぎている」
リューク「ククククク。するとお前がキラということもバレたかもな。
絶対絶命だぞ、月」
月「それはないよ、リューク。僕がキラとわかっているなら真っ先に殺すか捕まえるはずだ。
でもこうして僕はここにいて、ノートに名前を書くことができる。
名前を知られていない自信があったとしても絶対じゃない。
そんなリスクを普通はおかさないだろう」
159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 18:58:07.79 ID:M9zulnya0 [39/63]
リューク「ほう、なるほどな」
月「結論をいえばこんなところかな。偽キラはミシェルと何らかの繋がりがあった。
たぶんミシェルが死ぬと死の状況と死に場所が、偽キラに伝わる仕組になっていたんだろう。
死亡通知の魔法はそんなに高位の魔法じゃない。むしろ冒険者のパーティなら自然に使う魔法だ。
ダンジョンなどではぐれたときに、仲間が死んだかどうかは重要な情報だからね」
リューク「ククク。”もっとも死体が見つかりにくい方法”という条件は失敗だったわけだ。
消滅魔法で自殺は、死体は見つからないが、死に方にしてはあまりにも不自然過ぎる。
”もっとも他人に不審を抱かせない方法”と書くべきだったな」
月「キラが死前の行動を操れると知っていれば、そこからキラに繋げるのは自然だ。
そしてミシェルの真名は誰も知るはずがなかった。それを知る方法は何か。
本人に催眠か何かで聞き出すか、自動的に名前がわかる方法しかない。
優秀な魔法使いほど強い魔法耐性を持つという。
そんな難しい方法で名前を聞き出してわざわざ殺すかい。ナンセンスだ」
161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 19:09:32.47 ID:M9zulnya0 [40/63]
リューク「そこまでわかっているのか。でも、おかしくないか。
偽キラは身体の一部で呪い殺す方を濃厚と考えていたんだろう」
月「それは今でも変わらないんじゃないかな。事実、今日の謁見でも僕を近寄らせなかったろう。
仮に名前で殺せると仮定したときには、自動的に名前がわかる方法を新たに身に着けたと考えたんだろう」
リューク「さすがだな、月。あの10分くらいの偽キラとの会話の間にそこまでわかったのか」
月「僕にだってわからないことだってあるよ。ミシェルは偽キラを倒そうとしていた。
これは間違いない。デスノートに書かれる直前まで、僕のことをまったく疑ってなかったからね。
それにも関わらず、ミシェルと偽キラの間には繋がりがあった」
リューク「たしかにな。おかしな話だ。倒そうとしている相手と仲間だなんてな」
163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 19:33:23.70 ID:M9zulnya0 [41/63]
リューク「”自動的に名前がわかる方法”=顔ってのはどこから来たんだ?」
月「消去法さ。偽キラが現われた日の”キラ宣言”。
あそこで顔を見せたということは、僕があの時点で殺せないことはわかっていた。
その後に”自動的に名前がわかる方法”を手に入れたと仮定して、
なんでキラはその方法を今にでも使って、呪い殺さないのさ」
リューク「”自動的に名前がわかる方法”にもさらに条件が必要ってことか。
月「うん。そしてすぐに殺されないところを見ると、その条件は離れていては使えないらしい。
するとキラは近づいてくるはず。近づいて名前を知る方法なんて、読心術かそれに類するものだろう。
読心術はサイコメトリーとおなじで、相手に触れることが必須条件だ。
おとぎ話の魔王様なら別なんだろうけどね。あとは見るくらいだね。
もしかすると仮面は触られる可能性を排除することに重点がおかれているのかもしれないね」
リューク「偽キラは手から足まで肌を出していなかったものな。
そうするとまだお前に分があるな。偽キラは、身体の一部>読心術>顔を見るの順と考えているわけだからな」
164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 19:36:24.47 ID:M9zulnya0 [42/63]
リューク「それにしても月」
月「ん、どうした。まだわからないことがあるかい。僕がわかっていることはあらかた話したと思ったけど」
リューク「案外、冷静だな」
月「冷静じゃないさ。偽キラと僕との繋がりができてしまった。
僕が顔だけで殺せることを偽キラが知ったとしたら、
それ以降に会う人間を真っ先に疑うはず。
間違いなく僕は偽キラの容疑者候補のひとりになったはずだね」
リューク「どうするんだ?」
月「刺客が殺してくれるのを待つなんて余裕はない。
ミシェルが死んだ以上は僕と会っていたことがバレる可能性がある。
幸いこの国に来て間もなくだったから、
僕とミシェルが会っているのを見たのは図書館の人間くらいだろうけれど」
リューク「うって出るわけか」
月「うん。もともと頭脳戦に自信がなかったわけじゃない。
それに名前を知るよりも顔を見る方がよっぽど簡単だろう」
166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 19:43:06.18 ID:M9zulnya0 [43/63]
リューク「ああ、月。ひとつ言っておくぞ」
月「なんだい。リューク」
リューク「今回の話、マジで長かったぞ」
月「……ごめんよ」
リューク「俺の頭でもついていくのがやっとだった」
月「混乱しているなら今は以下の3つだけ抑えておけばいいよ。
①偽キラは顔を見られたら殺されるかもしれないと思っている
②夜神月は偽キラの考えるキラ容疑者のひとりになってしまった
③最後に勝つのは僕だ」
リューク「すっげー自信」
167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 20:03:52.27 ID:M9zulnya0 [44/63]
月「さてと」
リューク「お、緊張しっぱなしだったろうに、今日も休まずに名前を書くのか」
月「当然。今日だからこそ名前を書くのさ。
返って今日書かないと不自然に感じさせるからね」
リューク「そんなもんかね。それにしてもその二重底はよくできているな。
きちんとした手順を踏まずに開けたら燃えるようになっている」
月「当然だよ。一番は僕がキラという証拠を残さないこと」
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 20:07:38.02 ID:M9zulnya0 [45/63]
僧侶「ここが魔王キラの支配するという国」
用心棒「もう夜ですから今日は宿屋で休みましょう」
僧侶(来る途中なんとなく懐かしい気がしたけれど、
かつて魔王を倒した場所のふもとの国でしたか。
なにもかも懐かしくもありますが、ここで武闘家と魔法使いが消息を絶ったはず。
武闘家は風の噂でキラに殺されたと聞き、魔法使いはわたしにこれからこの国に行くと言っていた。
こんなときあのお方がいれば)
用心棒「どうしたんですか」
僧侶「いいえ、なんでもありません」
僧侶(どこにいるかわからない方のことを考えても仕方がありません。
それにもう二度と会わないと誓ったはずです)
170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 20:27:15.09 ID:M9zulnya0 [46/63]
勇者(武闘家は俺が殺した。そして魔法使いも死んだ。いや、殺されたのだ、キラに。
だが、魔法使いはキラの情報を残してくれた)
兵隊「キラ様」
勇者「なんだ」
兵隊「謁見の申請が入っています」
勇者「俺は忙しい。そんなものは断れ」
兵隊「それが神聖教会からの使者のようです」
勇者「神聖教会か。あそこを敵に回すと色々と面倒だ。仕方ない、通せ。
だが俺は仮面をしたままであることを了解してもらえ」
兵隊「かしこまりました。使者様はいかがしましょうか」
勇者「教会の使者にそこまで求めるわけにはいかんだろう」
兵隊「は」
勇者(世間では魔王と呼ばれているのに教会から使者か。おかしな話だ)
172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 20:57:00.41 ID:M9zulnya0 [47/63]
僧侶「お目通り願いましてありがとうございます。
わたしは神聖教会の使者でございます」
勇者「これは驚いた。神聖教会の使者様が仮面をされるとは」
僧侶「神の教えでも仮面をつけてはならないとはありません。
それならば先方の礼法に合わせるべきではございましょう。
郷に入れば郷に従えといいます」
勇者「なかなか説法もうまいではないか。して何用かな」
僧侶「魔王が復活したという噂があるのをご存知ですか」
勇者「ほう、そんな噂が。それは知らなかったな」
勇者(しらじらしい。俺のことだと言いたいんだろう)
僧侶「ですから、わたしの目でたしかめに来たのです。魔王とは誰であるかを」
174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 21:08:49.26 ID:M9zulnya0 [48/63]
用心棒「僧侶様!」
評議員B「無礼だぞ!」
勇者(こいつ馬鹿か)
勇者「ずいぶん直接的な表現だな。俺が魔王と言いたいのだろう。
遠慮することはない」
僧侶「いいえ、あなたは魔王ではありません。
あなたの心の色は穏やかで優しく、澄んでいます」
勇者「俺の心の色が優しく、澄んでいるだと!
ははは、俺が巷でなんと言われているか知っているか。
冷酷で残忍な魔王だぞ」
僧侶「わたしもそう聞いていましたので驚いています。
臆病さ、後悔、未練の色は見えますけれどね」
勇者「俺が残忍でないかどうか、お前が身をもって試してみるか」
175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 21:17:22.37 ID:M9zulnya0 [49/63]
僧侶「あなたはもう気づいているはずです。
臆病、後悔、未練の殻を破れば、
勇気、優しさ、愛情があることを」
勇者「そんなものは知らん。とうに捨てたのだ!」
僧侶「わたしはあなたの心に似た色を過去に見たことがあります。
そう……この色は、いえ、まったくあの方とおなじ。
心の色は誰一人として同じものはいないはず。すると、まさか!」
勇者「何をごちゃごちゃと言っている」
僧侶「あなたは勇者様なのですね!!」
勇者(なぜそのことを)
僧侶「わたくしでございます。かつて一緒にあなたと魔王を倒した僧侶でございます。
いま仮面をとって御覧にいれましょう」ファサ
勇者(そ、僧侶)
178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 21:27:45.40 ID:M9zulnya0 [50/63]
勇者「僧……し、知らん。お前は誰だ!
人違いだ。わたしはキラだ」
僧侶「いえ、そんなはずはありません。
なぜあなた様が魔王キラなどと呼ばれているのです」
評議員B「キラ様を魔王というか。いくら教会の使者と言っても許せませんぞ。
衛兵よ、来て。こやつをつまみ出せ」
兵隊「は。僧侶様、恐れ入りますがこちらにいらして下さい」
僧侶「あなた様は名前を変えて、仮面を被っていても、あなたは勇者様です。
薔薇の名前が変わっても、薔薇の香りは変わりません」
バタン
勇者「評議員B、お前も下がって一人にしてくれ」
評議員B「はい!」
バタン
勇者「僧侶……俺はお前が言うような立派な勇者なんかじゃなかったんだ。
……俺は最初から弱くて情けないただの大工の息子に過ぎないんだ
仲間がいないと、仲間がいないと、何もできやしないんだよ」
181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 21:33:36.31 ID:M9zulnya0 [51/63]
用心棒「僧侶様、あれはさすがに不味いですよ。
わたしも殺されるかと思いましたよ」
僧侶「勇者様はわたしたちを殺しなどしません」
用心棒「まったく。魔王キラが伝説の勇者様のはずないじゃないですか」
僧侶「あなたまでそのようなことを言うのですか」
用心棒「それでこれからどうしますか」
僧侶「根本的な問題は解決していません。暗雲の正体を突き止めないと。
調べたいことがありますから、城下の図書館に行きましょう」
183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 21:37:59.31 ID:M9zulnya0 [52/63]
リューク「月、お前、毎日図書館にいて飽きないのか」
月「飽きないよ。知識をどんどん仕入れられるからね」
リューク「俺にはわからんな。ところでここは城の図書館のはずだが、仮面は被らなくていいのか」
月「ははは、何を言っているんだ。城”下”の図書館だよ。城の中にあるわけじゃない。
仮面なんて被らなくていいに決まっているだろう」
リューク「”下”なんてこと今まで言っていたか?」
月「リューク……僕だって忙しいんだ! そのくらい話の流れで読んでくれなくちゃ困る」
186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 22:09:15.05 ID:M9zulnya0 [53/63]
月「さて今日はもう帰ろうか」
リューク「もう帰るのか」
月「どうしたんだ、さっきまであれほど帰りたがっていたのに」
リューク「いや、俺としてはもうちょっといた方が面白ッ展開になる気がするんだが」
月「筋書きのないドラマなんてつまらない。
筋書きのあるドラマを自分で書いてみんなを躍らせるのが楽しいんじゃないか。
世の中には偶然なんてつまらないものは必要ないよ」
リューク「月も結構ワンパターンだからな」
月「ワンパターンで結構。パターン化されているものは素晴らしい考えだから引き継がれているんだ」
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 22:18:08.13 ID:M9zulnya0 [54/63]
リューク「ククククククククク」
月「デスノートが――ない」
リューク「やっぱ筋書きのないドラマの方が面白ッだな」
月「リューク! おまえ何かしたのか!」
リューク「おいおい、俺は前にも言ったとおり、月の敵じゃない。味方でもないがね」
月「たしかにリュークの性格から考えてそれはない。昨日のことを思い出すんだ」
月(入れ忘れ? いや、そんなはずはない。入念に確認したはずだ。
絶対に二重底の引き出しに入れたはずなのに。燃えた形跡もない。
つまりは――)
リューク「これはもう盗まれたと考えるしかないな」
193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 22:47:35.44 ID:M9zulnya0 [55/63]
月「リューク。ノートが盗まれたときはどうなる?」
リューク「ちょっと待ってろ。”デスノートを紛失または盗まれるなどした場合、
490日以内に再びノートを手にしないと所有権を失う”とあるな。
ノートの条件については詳しく書き出してやるから、
このメモ(http://ja.wikipedia.org/wiki/DEATH_NOTE)を参照してくれ」
月「リューク確認だ。所有権があるということは、僕の死神の目は保持されるわけだな」
リューク「ああ。所有権がある間はノートの記憶および目の契約は続行される」
月(490日か……。時間はたっぷりある。それよりも問題はノートだ。
僕の手持ちは財布に入れた切れ端1枚と時計の仕込み1枚のみ。
財布のノートには時刻・死因まで書いて、表裏で2人が限度)
月(時計のノートは名前のみだな。
詰めれば2人かけるか。いや、時計のノートを使うのは最後の手段。
よっぽどせっぱつまった状況のはず。そんな状況で細かくかけるわけがない表裏で1人が限度。
裏返したり広げたりする手間を考えると表のみ実質1人だ)
194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 22:54:27.88 ID:M9zulnya0 [56/63]
リューク「月、考えすぎだ。30分も考えていたぞ」
月(黙れ、死神! ノートをどう使うかで俺の一生が決まる。
ここでよく考えずにどうする。まとめるとこうだ。
①財布のノートは死亡・時刻を表裏に1人ずつ計2人書ける。
②時計のノートは連続して表裏にはかけないが、時間を置いてなら1人ずつ名前のみ書ける。
ゆっくり平らなところで書ける状況なら、片面に2人ずつ計4人かける。
③顔さえ見れば寿命と名前がわかる)
リューク「さあ、どうするんだ月!」
197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 23:00:50.31 ID:M9zulnya0 [57/63]
月「再度、確認だ。リューク。
僕があのノートに以前書いたことは、仮に所有権を失っても実現する」
リューク「そうだ。これまでに何か書き溜めていたようだが、よかったな。
備えあれば憂いなしだ」
月(あの条件は今も有効ということか)
リューク(ククククク……珍しく悩んでいるな月)
月(それよりも今の一番の問題は盗まれたこと。
空き巣ではない。部屋が綺麗過ぎるし、二重底のトラップを避けている。
偶然など存在しない。つまり、これは僕がキラと見抜いたものの犯行!)
198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 23:08:49.58 ID:M9zulnya0 [58/63]
月「まずい、まずいぞ」
リューク「盗まれたノートにお前の名前を書かれればお終いだなあ。
いったい誰が盗んだんだろうな」
月(盗んだのは偽キラに決まっている。くそ、何か逆転の策はないか。
だが僕はまだ死んでいない。僕を生かすメリットはなんだ。余裕? 慢心?
僕なんか殺す価値もないってことか!)
月(いずれにしても切れ端で殺せることを知らないはずだ。
そのことはノートの”How To Do(使い方)”には書いてない。
死神に聞くか試すしかない。リュークは所有者にしかつかない。
幸いなことに今まで名前を書いたページは1枚1枚燃やしてきたから、切れ端のページもない。
これは大きなアドバンテージになる)
199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 23:16:08.15 ID:M9zulnya0 [59/63]
月「整理その2だ。僕のアドバンテージ。
①盗んだ犯人はデスノートの切れ端でも殺せることを知らない可能性が高い。
②↑より僕が切れ端を保持している(デスノートで殺せる)ことも当然知らない。
③盗んだ犯人は僕の今まで書いた内容を知らない」
リューク「ほう。もう落ち着いたか」
月「起こったことを心配しても仕方ないからね。
これからが重要だよ。大丈夫、僕なら生きてさえいれば切り抜けられる」
リューク「自信たっぷりだな。月はそうじゃなくちゃな。見せてもらうぞ、お前の逆転劇を」
月「ああ、見ていなよ。面白いものを見せてやるよ」
リューク「ああ、それは月宛に今日来た手紙か。なんだそれは?」
月「ラブレター!」
202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 23:28:52.12 ID:M9zulnya0 [60/63]
リューク「おい、月。こんなことしていていいのか?」
司書「月さん、シェークスピア好きなんですか」
月「うん。やっぱり古典はいいよね」
司書「わたし”ロミオとジュリエット”好きです」
月「僕も好きだよ。特にジュリエットの薔薇のくだりなんか名台詞――
おっとお客さんが来ているね、それじゃまた」
司書「はい。また話しましょうね」
リューク「ずいぶんと余裕じゃないか。まさか本当に口説くとは思わなかったぞ」
月「焦っても仕方ないからね。ピンチなときこそ平常心さ」
リューク「そんなもんかね」
月「そうだよ。困ったときに図書館に行けばなんでもわかるのさ」
?「うんしょ。うんしょ」ドン
バラバラバラバラ
?「あ、すいません」
203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 23:36:27.37 ID:M9zulnya0 [61/63]
リューク「ククククク、平常心を装っていてもやっぱ内心は焦っているようだな。
前方不注意でぶつかるなんて月らしくもない」
月「すみません。ちょっとよそ見をしていたもので」
?「こちらが前が見えないほど本を抱えていたからです。申し訳ありません」
月「拾うのを手伝いましょう」
?「ありがとうございます」
月「席はどちらです。お持ちしましょう」
?「いえ、ぶつかっておいて、そこまでしてもらったら申し訳ないです」
月「それではぶつかったのはお互い様ということで、本も半分ずつ持ちましょう」
リューク「こういうことをさらりと言えるところが女心を揺さぶるんだろうな」
206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 23:50:54.38 ID:M9zulnya0 [62/63]
月「難しい本ですね。古代語で書かれた予言書ばかり。
神聖教会の僧侶さんのようですが」
僧侶「よくおわかりになりましたね」
月「ははは、その格好を見れば誰でもわかりますよ」
僧侶「そうですよね」
月「”竜の王が地の底より現われる。
人々は逃げ惑い、世界は絶望に包まれる。
諦めてはならない。勇者イリウスの名を唱えなさい。
そは希望なり、そは光なり。
そは聖なる血を継ぐものなり”」
207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/25(日) 23:51:45.78 ID:M9zulnya0 [63/63]
僧侶「古代語が読めるのですか。見たところ学生さんですのに博識ですね」
月「ちょっとかじった程度ですよ。本格的に学びたいのですが、周りに専門家がいなくて。
そうだ、良かったら僕に教えてくれませんか」
僧侶「わたしなんてまだ見習いで、まだ他人に教えられる水準では」
月「あ、いきなりすみません。初めて会った人に。お邪魔でしたよね。でも残念だなあ」
僧侶「邪魔じゃありませんよ。わたしが知っていることしか教えられませんが、それで良かったら」
月「本当ですか、ありがとうございます」
僧侶「あ、あの手が……」
月「すみません、つい興奮しちゃって。神に一生を捧げたシスターの手を握るなんて」
210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 00:27:43.96 ID:zCaI6sD80 [1/9]
僧侶「はい、ここはこうなって」
月「なるほど。これはこのように読むんですね。勉強になります」
リューク(ついに恐怖で現実逃避をし始めたか。もう終わりだな月)
月「そういえば何で僧侶様がこんなところにいらっしゃるんですか」
僧侶「この地方にまつわる予言があったからです」
月「予言ですか、どんなものです」
僧侶「西方にて暗雲包まれる。それは魔王到来の証である。
彼の者は人の隙間に入るのが得意なのだ。人の心を読み操る。
決して信用してはならない。なぜあなたを助け、優しくするのか考えなさい。
勇者××ドナイ×・×ーンよ、あなたは盲になっています。
すべてを捨て去りなさい。
己とも、過去のしがらみとも決別し、命を捨てて勇気を持って立ち向かいなさい。
さすれば道は開かれよう。あなたが望んだものになれるのだ」
月「勇者の名前が削れていますね」
211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 00:29:32.85 ID:zCaI6sD80 [2/9]
僧侶「もともと石版に書かれてものですからね。
他の部分も削れていましたが、文脈から予想できました。
人の名前の部分は予想できませんからね」
月「なんてことだ。せっかく世界を救うヒントがあるっていうのに。どこの誰かもわからないなんて」
僧侶「名前ならわかっています」
月「なぜ名前を知っているんですか。もしかして居場所を知っているんですか」
僧侶「それは……」
月「僕で力になれることなら何でもしますよ」
213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 00:33:58.38 ID:zCaI6sD80 [3/9]
僧侶「そうですね。仲間になる人は一人でもいた方がいいですね」
月「任せて下さい。それで勇者は誰なんです?」
僧侶「絶対に驚かないで下さいね」
月「もちろんです」
僧侶「それはこの国の王でキラと呼ばれる者です」
月「なんですって! キラ様が! あ、大声を出しすぎました」
僧侶「驚くのも無理もありません」
月「僕はてっきり予言のいう魔王がキラと思っていましたよ」
僧侶「魔王は他にいます。きっとすぐ近くに……」
214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 00:41:41.69 ID:zCaI6sD80 [4/9]
月「それで何で僧侶様は知っているんですか」
僧侶「昔、旅をしていたからです」
月「え、キラ様とですか」
僧侶「はい、かつて魔王を倒す旅のパーティでした」
月「それで勇者様の名前は?」
僧侶「メキドナイド・カーン様です」
月(勝った!!)
215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 00:43:49.98 ID:zCaI6sD80 [5/9]
月「素晴らしいお名前ですね。キラよりもずっといい」
ピンポンパンポーン
「図書館は閉館時間となりました」
僧侶「あ、もうこんな時間ですね」
月「つい白熱してしまいました。それじゃあ、また明日会いましょう。
女性の夜道は危険です。送っていきましょうか」
僧侶「いいえ、護衛がいますか。ほら、来ました」
用心棒「僧侶様、お迎えに上がりました。こちらの方は」
僧侶「わたしたちの新たな仲間です」
月「夜神月です。よろしく」
用心棒「よろしく」
216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 00:47:02.30 ID:zCaI6sD80 [6/9]
月「それじゃあ、また明日」
リューク「驚いたぞ、月。偶然から見事に偽キラの名前を聞き出したな」
月「偶然? 何を言っているんだ? 全部シナリオ通りさ」
リューク「なんだとどういうことだ?」
月「リュークこれなあんだ」
リューク「ラブレターなんだろう」
月「そんなわけないだろう」
リューク「月が言っていたんじゃないか」
月「リューク……あれは冗談だ」
218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 01:03:31.63 ID:zCaI6sD80 [7/9]
月「説明するより読んでみた方がわかりやすいかな」
リューク「なになに、”○月○日、キラ様の部屋にて神聖教会の僧侶と用心棒の謁見があった。
僧侶はキラ様のことを勇者様と呼び、追い出された。
その後、王の間から評議員Bも追い出され、キラ様がひとりで篭ることになった”」
月「盗まれる前のデスノートでね、城の女中をひとり操っているんだ。
内容は”城の内の出来事を情報を誰にも見つからないように手紙に書いて下記の住所・宛名に毎日投函する。
手紙を書いたことや投函したことは行動したら忘れること。セントリック街342-4、夜神月様”」
リューク「城の情報をこれで把握していたわけか」
月「うん。情報戦だからね。この手紙を見てピンと来たんだ。
これは何かあるなと。そうしたら大当たりだった」
リューク「もしかしてぶつかったのもわざとか」
月「当たり前じゃないか。僕がよそ見くらいでぶつかるわけないじゃないか」
リューク「ククククク、ラブコメを装ったわけだな」
月「リュークも言っていたじゃないか。”月も結構ワンパターンだからな”って」
220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 01:31:51.86 ID:zCaI6sD80 [8/9]
月「”メキドナイド・カーン、夜神月から盗んだデスノートと、自身以外でデスノートの存在を知るものがいればそのフルネーム(知らない場合は通称)を書いた紙を封筒に入れて、
下記の住所に投函を確認した3時間後に自然死。
投函はできるだけ人目につかないときに自ら投函、もしくは自ら投函することが不自然であれば信用できる雇われているものに投函させて報告させること。
差出人名は空欄にし、投函の事実やデスノートの存在は忘れること。デスノートは使わないことが望ましいが、共犯者などがいて使わないことが不自然になるときは使用を許可する。
ただし、どんな場合でも決して”夜神月”の名前をデスノートに書いてはならない。セントリック街342-4、夜神月様”」
リューク「ほう、早速か」
月「善は急げってね」
リューク(ククククク、自分が善であることをすこしも疑っていないわけか)
月「さて、もう夜もふけてきたね。どうせもう後は消化試合だから、今日はもう寝ようか」
リューク「お前この先考えてないから誤魔化す気じゃないだろうな」
月「誤魔化す必要がなんであるのさ! 偽キラが死んで、僕の勝ちで終わりじゃないか。
ノートさえ盗まれていなかったら、即死亡で終わっていたはずなんだよ。
明日にずれてしまったこと自体が僕にとって予想外。もうこの物語はわかっている結末を読むだけさ。
続きを書く必要なんてないじゃないか」
THE END?
夜神月のノートの残り
①財布のノート(死因と時刻もかける):1人分。
②時計の仕込ノート(名前のみ):2~4人分(いずれの場合も短時間での連続使用不可)。
慎重に平坦なところで書く場合、2人分×表裏=4人分。
急いでもしくは時計のふたを背にして書く場合、1人分×表or裏どちらか使用。
221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/26(月) 01:36:07.51 ID:zCaI6sD80 [9/9]
月君もこう言っていますので、今日は寝ます。
個人的には月君の言うとおり、
もう結末はわかったと思うので続き書く必要ないとも思いますが……。
<<かがみ「あんたが屋上に呼び出すなんて珍しいじゃない」 | ホーム | 澪「もう我慢出来ないよ律……」律「み、みおしゃん…?」>>
コメント
No title
まあ、ノートに自分の名前書いちゃってるけどな
コメントの投稿
トラックバック
| ホーム |