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【「けいおん!!」】 唯「失われた時を求めて」【SS】
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 21:59:45.27 ID:U4WiROmY0 [1/44]
――卒業式当日、教室
唯「ええ! みんな進路決まってたのお!?」
澪「私は東京の私大に受かったけど……」
紬「私は女子大に……」
唯「そんなぁ! りっちゃんはもちろん決まってないよね!?」
律「もちろんって何だよ……私は専門学校に行くことにしたよ。てか、前にも話さなかったっけ……?」
澪「唯、まさか進路決まってないのか?」
唯「あうう……」
――卒業式当日、教室
唯「ええ! みんな進路決まってたのお!?」
澪「私は東京の私大に受かったけど……」
紬「私は女子大に……」
唯「そんなぁ! りっちゃんはもちろん決まってないよね!?」
律「もちろんって何だよ……私は専門学校に行くことにしたよ。てか、前にも話さなかったっけ……?」
澪「唯、まさか進路決まってないのか?」
唯「あうう……」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:02:09.09 ID:U4WiROmY0
律「唯~今まで一体何やってたんだよ? 時間はいっぱいあっただろう?」
唯「何か悩んでるうちに時間が過ぎちゃってぇ……」モジモジ
紬「でも唯ちゃん、浪人してもう一年じっくり考えるって道もあるから」
澪「そうだぞ、唯! もう一年真面目に勉強して、自分の進路を見つければいいんだ!」
唯「みんなあ!」ウルウル
ガラガラ
律「おっ! さわちゃん」
さわ子「平沢さん、ちょっと職員室に来てくれる?」
唯「何だろう?」タッタッタッ
澪(唯のやつ大丈夫かな……)
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:04:09.12 ID:U4WiROmY0
――職員室
さわ子「平沢さん、残念だけどこの成績じゃ卒業は無理ね」
唯「そんなあ!」
さわ子「特に英語の成績がひどいわ。英語は必修科目だから、落としたら卒業できないのよ」
唯「わたし英語苦手だからなあ……」
さわ子「私もできるだけのことはするから、もう一年一緒にがんばりましょう」
唯「うん……」
さわ子「落ち込まないでね?」
唯「さわちゃん先生、わたし落ち込んでなんかいないよ、どうせ進路決まってなかったし」
さわ子「そういう問題じゃないと思うけど……」
唯「そういう問題だよお! だってさ、卒業しても進路決まってなかったら暇じゃん?」
さわ子「浪人生でもちゃんと高校は卒業してるのよ」
唯「ローニンセイって何?」
さわ子「……」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:06:13.28 ID:U4WiROmY0
さわ子「浪人生っていうのはね、学校は卒業したけれど、次の進路は決まってない人のことよ」
唯「ニートってやつと同じ?」
さわ子「全然っ違うわ! 浪人生は将来の目標見向けて頑張っているけれど、ニートは惰眠を貪るばかりよ!」
唯「はあ」
さわ子「ニートを社会の屑って言う人もいるけれど、そんなの屑に失礼だわ。だって屑はゴミの日に出せるけど、ニートは出せないでしょう?」
唯「とにかく、わたしニートにはならないね」
さわ子「偉いわ、唯ちゃん。だから高校は辞めずに、もう一年頑張りましょう」
唯「はい!」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:07:28.76 ID:U4WiROmY0
唯「みんな~、わたしみんなと一緒に卒業できないみたい……」
律「マジでか!?」
唯「うん。さっきさわちゃん先生に、もう一年って言われちゃった~」テヘヘ…
澪「これじゃあ浪人どころじゃないぞ……。それにしても、卒業式の当日に留年を言い渡すなんて、学校側もちょっとひどいな……」
紬「唯ちゃん、春から私たち三人はいないけれど、大丈夫?」
唯「大丈夫だよ。あずにゃんがいるし、憂だって一緒だし」
律「ひとまず友達の心配はなさそうだな」
澪「頑張るんだぞ、唯!」
唯「ありがとう、みんなあ!」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:08:41.17 ID:U4WiROmY0
――部室
唯「というわけで、もう一年よろしくね! あずにゃん!」
梓「はい」
梓(唯先輩、明るく振舞っているけれど、本当は澪先輩たちと卒業したかったんだろうな……)
唯「まさかあずにゃんと同級生になれるとは思わなかったよお! あれ? あずにゃんどうしたの?」
梓「…! いえ、何でもないです」
梓(次こそは私が唯先輩を卒業させてあげないと!)
唯「あ~ず~にゃ~ん!」スリスリ
梓(やってやるです!)グッ
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:09:45.48 ID:U4WiROmY0
梓「唯先輩、去年と同じ過ごし方をしててはダメです。軽音部でも、先輩が卒業できるように工夫しようと思います」
唯「おお~」
梓「これからは洋楽を取り入れましょう。英語の歌で英語の成績もアップです!」
唯「あずにゃん、良いアイデアだと思うけれど、わたし英語の歌なんて無理だよ~。HTTの英語の歌詞も、ごまかしながら歌ってきたのに~」
梓「甘えは許しません! 今度の演奏会はすべて洋楽でやりますから。これ、セットリストとスコアのコピーです」
唯「あう~」
唯(でも、あずにゃんはわたしのためを思ってやってくれてるんだ。がんばらないと!)
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:11:29.65 ID:U4WiROmY0
唯「あっ、これオアシスじゃん。わたし知ってるよ~なんかイカツイ兄弟がやってるバンドだよね?」
梓「Shit!」
唯「…!」ビクッ
梓「オゥエィスィスはFucking Greatなバンドです。イカツイなんて言葉使わないで下さい」
唯「ごめん……」
梓「それにギャラガー兄弟はHTTのファンなんですよ。もっとリスペクトしないといけません」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:12:36.87 ID:U4WiROmY0
唯「そうだったんだ~。ファンの人たちが解散しちゃったのは残念だね」
梓「あんなの演出に決まってます。何年かしたら何事も無かったように再結成するはずです」
梓「それに本当に解散してしまったとしても、オゥエィスィスはLive Foreverです!」
唯「おお! すごいねオアシス! さっそく練習しようよ」
梓「練習は良いですが、そのまえに1つ」
唯「?」
梓「発音が違います。オゥエィスィスです」
唯「オゥエィスィス!」
梓「そうです! オゥエィスィスです!」
唯「オゥエィスィス!」
こうして唯の英語修行が幕を開けた。
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:14:26.65 ID:U4WiROmY0
――平沢家
憂「おねえちゃん、英語の調子どう?」
唯「あずにゃんのアイデアのおかげで、めきめき成績が伸びてきたよ」
憂「良かったあ! 卒業に足りてなかったのは英語だけだったみたいだから、今年は大丈夫だね!」
唯「うん。それにね、最初は落ち込んでたけど、もうリュウネンのことは気にしないって決めたんだ」
唯「Don’t Look Back In Angerってね!」キリッ
憂「おねえちゃん…!」ギュッ
唯「う~い~!」ギュッ
唯「憂はわたしのWonder Wallだね~」ウフフ
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:15:06.63 ID:U4WiROmY0
――そしてまた一年が経ち、卒業式間近
純「ついに卒業だね……なんかしみじみするなあ」
純「梓?」
梓「……」
純「唯先輩のこと気にしてるの?」
梓「うん……今年こそは卒業できるといいんだけれど……」
純「私たちだってできるだけのことしたじゃん。きっと大丈夫だよ!」
梓「そうだよね!」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:16:20.26 ID:U4WiROmY0
純「あっ! 憂が来た!」
梓「唯先輩、どうだった?! 卒業できるって?!」
憂「……」首を横に振る
梓「そんな……。どうして? あんなに英語頑張ったのに」
憂「英語は大丈夫だったんだけど、今度は国語が悪くなってたみたいで……」
梓(やっぱり唯先輩はひとつ入れればひとつ抜けるのか……)
憂(お父さんが私の名前にこんな字を使ったから、私はおねえちゃんのことで、一生悩まなければいけなくなったのかな?)
純「憂、梓、元気出して」
憂「…うん」涙を拭う
憂「おねえちゃん落ち込んでるだろうから、励ましてあげてくれる?」
梓「わかった!」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:17:31.47 ID:U4WiROmY0
唯「あ~ず~にゃ~ん! わたし今年もダメだったよお。ソツギョウって難しいねえ」
梓「唯先輩! 元気出して下さい! 来年こそきっと卒業できますよ!」
唯「あずにゃん、わたし全然落ち込んでなんかいないよ!」
唯「あずにゃんのおかげで英語はできるようになったもん。来年国語をがんばれば、今度こそいけるよ」
梓「先輩……」ジーン
唯「それにね」ギュッ
梓「?」
唯「あずにゃん後輩が欲しいって言ってたでしょう? これからはわたしが後輩だよう!」スリスリ
梓「…」スリスリ
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:18:15.20 ID:U4WiROmY0
梓「唯先輩、仮に先輩が私の後輩になったとしても、私はもう桜高校にはいないんですよ?」スリスリ
唯「あっ! そっか~! それはモウテンだったよお……」シュン…
唯「でも、修学旅行にまた行けると思うと、これはこれでラッキーだよねえ」
唯「わたしもうすっかり京都を知りつくしたよ! 京都マスターだよう! シャレコウベだよう!」
梓(やってやるDEATH)
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:19:06.61 ID:U4WiROmY0
――そしてさらに三年の時が過ぎた。
職員室
和「教育実習生の真鍋和です。二週間よろしくお願いします」ペコリ
パチパチパチ
さわ子「真鍋さん、すっかり大人になったわね。感慨深いわあ」
和「ありがとうございます」
さわ子「真鍋さんのホームルームは3年2組だからよろしくね」
和「こちらこそよろしくお願いします!
和(どんな子がいるのかしら。緊張するわ)
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:20:00.36 ID:U4WiROmY0
――3年2組
さわ子「みなさん、今日から教育実習の先生が来ます」
生徒「ザワザワ」
さわ子「それでは真鍋さん、入って来てください」ガラガラ
和「みなさんこんにちは、実習生の真鍋和です。二週間と短い期間ですが、よろしくお願いします」ペコリ
?「やっぱり和ちゃんだあ! 一目見たときあれって思ったんだよお!」
和「!?」
和(この声は……!)顔を上げる和
和「……ゆ…い!!?」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:21:09.46 ID:U4WiROmY0
和「唯…なの…?」
唯「そうだよ、和ちゃあん! 会いたかったよ~!」
和「唯、まだ桜高にいたんだ……」
唯「うん。今年でリュウネン4年目だよう……」
和「…(高校ってそんなに留年できるんだ)」
唯「わたしはこの4年間、ここでずっと色んな人が去ってゆくのを見てたんだよお。友達になれたと思ったら、みんな卒業して行っちゃうのは、すごくさみしいことだよう……」シュン…
和「そう……唯も大変ね」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:23:06.17 ID:U4WiROmY0
唯「うん。でもね、わたしもうずっと女子高生で良いと思ってる」
和「…!」
唯「きっとわたしって、ソツギョウに向いてないんだよ」
和「…本当にそれでいいの? あなたは女子高生だけど、もう22歳なのよ。これからもどんどん年をとっていくのよ」
唯「構わないよ~。心はずっと10代のままだし、それにわたしって見た目も若いもん」
和「確かに唯は若いけれど、まわりの子たちにくらべたら大人よ」
唯「えっ! ほんとに~!? そう言えば今年の3年生は、みんなわたしに敬語をつかうなあ」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:24:00.64 ID:U4WiROmY0
――休み時間
生徒A「真鍋先生」
和「なあに?」
生徒A「先生と平沢さんが同級生だってほんとですか?」
和「…本当よ」
生徒B「やっぱりほんとだったんだ。じゃあ、平沢さんが精神障害を持ってるって本当ですか?」
和「え?」
生徒B「精神的に不安定で、学校の外では生きてゆけないから、平沢さんはずっと高校にいるんですよね?」
和「…それは出鱈目だと思うわ」
和(こんなひどい噂まで流れてるんだ……)
和(唯が退学せずに通い続けていられるのも、ひとえにあの呑気さの御陰ね……)
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:24:46.77 ID:U4WiROmY0
――放課後
和「山中先生、唯は本当に女子高生を続けるつもりでしょうか? 本当にそれでいいのでしょうか?」
さわ子「良いわけないわよ。唯ちゃんだって年をとっていくんだから。それに、ずっと10代でいられる人間なんていないわ」
さわ子「私だっていられるものならずっと10代が良かったわよ」ボソ
和「?」
さわ子「な、なんでもないわ。 …でも、唯ちゃんはもう諦めてるみたいね……」
和「諦めてる?」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:26:00.10 ID:U4WiROmY0
さわ子「ええ。1年目、2年目は真面目に頑張ってたんだけど、去年からは完全に卒業を諦めたみたい。今では、放課後に一人部室で練習をして、年に一回の学際で発表するのが生きがいになってるみたいなの……」
和「でも、生徒たちのあいだでは悪い噂も流れいるみたいです……」
さわ子「知ってるわ。中には彼女のことを座敷童子じゃないかって言う子もいるのよ」
和「座敷童子……」
さわ子「卒業できずに死んだ女子高生の霊が、成仏できずに、未練から学校をさまよってるんじゃないかってね」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:26:53.54 ID:U4WiROmY0
さわ子「真鍋さん」
和「はい?」
さわ子「あなたの力で、何とかもう一度彼女の心に火をつけてくれないかしら」
和「唯の心に火をつける?」
さわ子「あの子は本当はできる子よ。今は腐ってるけなの。だから、あの子の心にもう一度火をつけてあげてちょうだい!」
さわ子「これが最後のチャンスよ!」
和「わかりました!」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:27:39.46 ID:U4WiROmY0
――部室
唯「My girlfriend told me to get a life♪ She said "boy, you lazy"♪」ジャカジャカ♪
唯「はあ…お腹すいたなあ……昔はムギちゃんが毎日お菓子を出してくれたけど、わたしって紅茶も入れられないし……」トホホ
コンコン
唯「はい?」
和「唯、お邪魔するわよ」ガラガラ
唯「あっ、和ちゃん!」
和「さっきは何を歌ってたの?」
唯「オゥエィスィスだよお! わたし英語の歌も歌えるようになったんだ!」
和「すごいじゃない」
和(じゃあどうして卒業できないのかしら? 英語力は上がってるみたいなのに)
唯「えへへ。でも、英語の歌を覚えたら、他のことを忘れちゃって~」モジモジ
和「そう(なるほど)」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:28:48.82 ID:U4WiROmY0
和「はい、差し入れ。お腹すいてるでしょう?」
唯「わあ! 紅茶とマドレーヌだあ! ちょうどお腹がすいてたんだ~!」
唯「これを紅茶に浸して食べるとおいしいんだよねえ」チャプ…
唯「いただきまーす!」パク
唯がふと口にした紅茶に浸したマドレーヌの味から、軽音部での記憶が蘇る。
みんなで過ごした夏の合宿での記憶。
演奏会。
修学旅行。
マドレーヌを契機に蘇った記憶が、唯の身体を優しい痛みとともに駆け巡る。
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:29:53.87 ID:U4WiROmY0
唯「ううぅ…みんなぁ…」ポロポロ
和「ねえ、唯、本当にずっと高校生のままでいいの?」
和「ここにずっといたら、新しくできた今の友達も、やがてあなたを置いて去ってゆくのよ。それはあなたが一番知っているでしょう?」
和「あなたは他の女子高生と同じ時間を生きていないの。あなたの時間はずっと止まったままなのよ」
唯「わたしも……ヒック……わたしもみんなと同じ時間を生きたいよお!!」ポロポロ
唯「でももう無理なんだよ……わたし馬鹿だから……みんなにも変な噂されてるし、さわちゃん先生だってわたしのこと諦めてるよ……」ポロポロ
和「馬鹿!」スパァン!
唯「…!」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:30:42.12 ID:U4WiROmY0
和「さわ子先生はあなたのことを諦めてなんかいない。あなたのことを信じてるわ。諦めてるのは唯でしょう!」
唯「…!」
唯「どすればいいの? 和ちゃん!? どうすればわたしの時計がまた動くの!?」
和「卒業よ!!」
唯「…!!」
和「卒業して、前に進むのよ!」
和「一人部室にこもってギターを弾いてたって、あなたの現実は進まないわ!」
唯「ソツギョウ……わたしもう一度頑張ってみるよ! うん! わたし頑張る!!」
和「唯…!」ジーン
さわ子「唯ちゃん…!」こっそり
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:32:36.69 ID:U4WiROmY0
こうして唯の地獄の特訓が始まった。彼女は寝食を惜しんで勉強に取り組んだ。
さわ子や和は鉛筆の握り方から、ノートの取り方までを丁寧に教えた。(唯はギターのコードを忘れた。)
家では憂が予習復習に夜中まで付き合った。(唯は歌を忘れた。)
唯は自分の止まった時の歯車を再び動かすために、がむしゃらに勉強した。
そして3月――
校長「卒業証書授与」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:33:54.42 ID:U4WiROmY0
校長「平沢唯!」
唯「はい!」
校長「卒業おめでとう! よくがんばったね!」
唯「ありがとうございます!」
さわ子「おめでとう、唯ちゃん!」パチパチ
和「よく頑張ったわ!」パチパチ
憂「やったね! おねえちゃん!」パチパチ
?「唯!」
唯「!?」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:34:44.67 ID:U4WiROmY0
澪「おめでとう、唯!」パチパチ
律「おめでとう!」パチパチ
紬「唯ちゃん、おめでとう!」パチパチ
梓「おめでとうございます!」パチパチ
唯「みんな……ありがとう……」ジーン
律「いやあ~長い高校生活だったなあ、唯」
唯「エヘヘ~わたし8年も女子高生しちゃった~」
澪「さわ子先生や和に感謝しないとな」
紬「とにかく、一件落着ね」ウフフ
一同「おめでとう!!」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:35:43.64 ID:U4WiROmY0 [35/44]
唯「ねえ、りっちゃん、ひとつ聞きたいことがあるんだけれど」
律「何だ?」
唯「ここに書いてあるこの漢字何て読むの?」
澪「卒業証書に難しい漢字なんか書いてあったっけ?」
律「どれどれ~。……。唯…それが『卒業』だ……」
唯「はっ!!?」
おしまい
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:37:16.82 ID:U4WiROmY0 [36/44]
書くことに必死だったので、つまらなかったと思います。
最後まで読んでくれた方いらっしゃいましたら、ありがとうございます。
律「唯~今まで一体何やってたんだよ? 時間はいっぱいあっただろう?」
唯「何か悩んでるうちに時間が過ぎちゃってぇ……」モジモジ
紬「でも唯ちゃん、浪人してもう一年じっくり考えるって道もあるから」
澪「そうだぞ、唯! もう一年真面目に勉強して、自分の進路を見つければいいんだ!」
唯「みんなあ!」ウルウル
ガラガラ
律「おっ! さわちゃん」
さわ子「平沢さん、ちょっと職員室に来てくれる?」
唯「何だろう?」タッタッタッ
澪(唯のやつ大丈夫かな……)
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:04:09.12 ID:U4WiROmY0
――職員室
さわ子「平沢さん、残念だけどこの成績じゃ卒業は無理ね」
唯「そんなあ!」
さわ子「特に英語の成績がひどいわ。英語は必修科目だから、落としたら卒業できないのよ」
唯「わたし英語苦手だからなあ……」
さわ子「私もできるだけのことはするから、もう一年一緒にがんばりましょう」
唯「うん……」
さわ子「落ち込まないでね?」
唯「さわちゃん先生、わたし落ち込んでなんかいないよ、どうせ進路決まってなかったし」
さわ子「そういう問題じゃないと思うけど……」
唯「そういう問題だよお! だってさ、卒業しても進路決まってなかったら暇じゃん?」
さわ子「浪人生でもちゃんと高校は卒業してるのよ」
唯「ローニンセイって何?」
さわ子「……」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:06:13.28 ID:U4WiROmY0
さわ子「浪人生っていうのはね、学校は卒業したけれど、次の進路は決まってない人のことよ」
唯「ニートってやつと同じ?」
さわ子「全然っ違うわ! 浪人生は将来の目標見向けて頑張っているけれど、ニートは惰眠を貪るばかりよ!」
唯「はあ」
さわ子「ニートを社会の屑って言う人もいるけれど、そんなの屑に失礼だわ。だって屑はゴミの日に出せるけど、ニートは出せないでしょう?」
唯「とにかく、わたしニートにはならないね」
さわ子「偉いわ、唯ちゃん。だから高校は辞めずに、もう一年頑張りましょう」
唯「はい!」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:07:28.76 ID:U4WiROmY0
唯「みんな~、わたしみんなと一緒に卒業できないみたい……」
律「マジでか!?」
唯「うん。さっきさわちゃん先生に、もう一年って言われちゃった~」テヘヘ…
澪「これじゃあ浪人どころじゃないぞ……。それにしても、卒業式の当日に留年を言い渡すなんて、学校側もちょっとひどいな……」
紬「唯ちゃん、春から私たち三人はいないけれど、大丈夫?」
唯「大丈夫だよ。あずにゃんがいるし、憂だって一緒だし」
律「ひとまず友達の心配はなさそうだな」
澪「頑張るんだぞ、唯!」
唯「ありがとう、みんなあ!」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:08:41.17 ID:U4WiROmY0
――部室
唯「というわけで、もう一年よろしくね! あずにゃん!」
梓「はい」
梓(唯先輩、明るく振舞っているけれど、本当は澪先輩たちと卒業したかったんだろうな……)
唯「まさかあずにゃんと同級生になれるとは思わなかったよお! あれ? あずにゃんどうしたの?」
梓「…! いえ、何でもないです」
梓(次こそは私が唯先輩を卒業させてあげないと!)
唯「あ~ず~にゃ~ん!」スリスリ
梓(やってやるです!)グッ
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:09:45.48 ID:U4WiROmY0
梓「唯先輩、去年と同じ過ごし方をしててはダメです。軽音部でも、先輩が卒業できるように工夫しようと思います」
唯「おお~」
梓「これからは洋楽を取り入れましょう。英語の歌で英語の成績もアップです!」
唯「あずにゃん、良いアイデアだと思うけれど、わたし英語の歌なんて無理だよ~。HTTの英語の歌詞も、ごまかしながら歌ってきたのに~」
梓「甘えは許しません! 今度の演奏会はすべて洋楽でやりますから。これ、セットリストとスコアのコピーです」
唯「あう~」
唯(でも、あずにゃんはわたしのためを思ってやってくれてるんだ。がんばらないと!)
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:11:29.65 ID:U4WiROmY0
唯「あっ、これオアシスじゃん。わたし知ってるよ~なんかイカツイ兄弟がやってるバンドだよね?」
梓「Shit!」
唯「…!」ビクッ
梓「オゥエィスィスはFucking Greatなバンドです。イカツイなんて言葉使わないで下さい」
唯「ごめん……」
梓「それにギャラガー兄弟はHTTのファンなんですよ。もっとリスペクトしないといけません」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:12:36.87 ID:U4WiROmY0
唯「そうだったんだ~。ファンの人たちが解散しちゃったのは残念だね」
梓「あんなの演出に決まってます。何年かしたら何事も無かったように再結成するはずです」
梓「それに本当に解散してしまったとしても、オゥエィスィスはLive Foreverです!」
唯「おお! すごいねオアシス! さっそく練習しようよ」
梓「練習は良いですが、そのまえに1つ」
唯「?」
梓「発音が違います。オゥエィスィスです」
唯「オゥエィスィス!」
梓「そうです! オゥエィスィスです!」
唯「オゥエィスィス!」
こうして唯の英語修行が幕を開けた。
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:14:26.65 ID:U4WiROmY0
――平沢家
憂「おねえちゃん、英語の調子どう?」
唯「あずにゃんのアイデアのおかげで、めきめき成績が伸びてきたよ」
憂「良かったあ! 卒業に足りてなかったのは英語だけだったみたいだから、今年は大丈夫だね!」
唯「うん。それにね、最初は落ち込んでたけど、もうリュウネンのことは気にしないって決めたんだ」
唯「Don’t Look Back In Angerってね!」キリッ
憂「おねえちゃん…!」ギュッ
唯「う~い~!」ギュッ
唯「憂はわたしのWonder Wallだね~」ウフフ
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:15:06.63 ID:U4WiROmY0
――そしてまた一年が経ち、卒業式間近
純「ついに卒業だね……なんかしみじみするなあ」
純「梓?」
梓「……」
純「唯先輩のこと気にしてるの?」
梓「うん……今年こそは卒業できるといいんだけれど……」
純「私たちだってできるだけのことしたじゃん。きっと大丈夫だよ!」
梓「そうだよね!」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:16:20.26 ID:U4WiROmY0
純「あっ! 憂が来た!」
梓「唯先輩、どうだった?! 卒業できるって?!」
憂「……」首を横に振る
梓「そんな……。どうして? あんなに英語頑張ったのに」
憂「英語は大丈夫だったんだけど、今度は国語が悪くなってたみたいで……」
梓(やっぱり唯先輩はひとつ入れればひとつ抜けるのか……)
憂(お父さんが私の名前にこんな字を使ったから、私はおねえちゃんのことで、一生悩まなければいけなくなったのかな?)
純「憂、梓、元気出して」
憂「…うん」涙を拭う
憂「おねえちゃん落ち込んでるだろうから、励ましてあげてくれる?」
梓「わかった!」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:17:31.47 ID:U4WiROmY0
唯「あ~ず~にゃ~ん! わたし今年もダメだったよお。ソツギョウって難しいねえ」
梓「唯先輩! 元気出して下さい! 来年こそきっと卒業できますよ!」
唯「あずにゃん、わたし全然落ち込んでなんかいないよ!」
唯「あずにゃんのおかげで英語はできるようになったもん。来年国語をがんばれば、今度こそいけるよ」
梓「先輩……」ジーン
唯「それにね」ギュッ
梓「?」
唯「あずにゃん後輩が欲しいって言ってたでしょう? これからはわたしが後輩だよう!」スリスリ
梓「…」スリスリ
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:18:15.20 ID:U4WiROmY0
梓「唯先輩、仮に先輩が私の後輩になったとしても、私はもう桜高校にはいないんですよ?」スリスリ
唯「あっ! そっか~! それはモウテンだったよお……」シュン…
唯「でも、修学旅行にまた行けると思うと、これはこれでラッキーだよねえ」
唯「わたしもうすっかり京都を知りつくしたよ! 京都マスターだよう! シャレコウベだよう!」
梓(やってやるDEATH)
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:19:06.61 ID:U4WiROmY0
――そしてさらに三年の時が過ぎた。
職員室
和「教育実習生の真鍋和です。二週間よろしくお願いします」ペコリ
パチパチパチ
さわ子「真鍋さん、すっかり大人になったわね。感慨深いわあ」
和「ありがとうございます」
さわ子「真鍋さんのホームルームは3年2組だからよろしくね」
和「こちらこそよろしくお願いします!
和(どんな子がいるのかしら。緊張するわ)
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:20:00.36 ID:U4WiROmY0
――3年2組
さわ子「みなさん、今日から教育実習の先生が来ます」
生徒「ザワザワ」
さわ子「それでは真鍋さん、入って来てください」ガラガラ
和「みなさんこんにちは、実習生の真鍋和です。二週間と短い期間ですが、よろしくお願いします」ペコリ
?「やっぱり和ちゃんだあ! 一目見たときあれって思ったんだよお!」
和「!?」
和(この声は……!)顔を上げる和
和「……ゆ…い!!?」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:21:09.46 ID:U4WiROmY0
和「唯…なの…?」
唯「そうだよ、和ちゃあん! 会いたかったよ~!」
和「唯、まだ桜高にいたんだ……」
唯「うん。今年でリュウネン4年目だよう……」
和「…(高校ってそんなに留年できるんだ)」
唯「わたしはこの4年間、ここでずっと色んな人が去ってゆくのを見てたんだよお。友達になれたと思ったら、みんな卒業して行っちゃうのは、すごくさみしいことだよう……」シュン…
和「そう……唯も大変ね」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:23:06.17 ID:U4WiROmY0
唯「うん。でもね、わたしもうずっと女子高生で良いと思ってる」
和「…!」
唯「きっとわたしって、ソツギョウに向いてないんだよ」
和「…本当にそれでいいの? あなたは女子高生だけど、もう22歳なのよ。これからもどんどん年をとっていくのよ」
唯「構わないよ~。心はずっと10代のままだし、それにわたしって見た目も若いもん」
和「確かに唯は若いけれど、まわりの子たちにくらべたら大人よ」
唯「えっ! ほんとに~!? そう言えば今年の3年生は、みんなわたしに敬語をつかうなあ」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:24:00.64 ID:U4WiROmY0
――休み時間
生徒A「真鍋先生」
和「なあに?」
生徒A「先生と平沢さんが同級生だってほんとですか?」
和「…本当よ」
生徒B「やっぱりほんとだったんだ。じゃあ、平沢さんが精神障害を持ってるって本当ですか?」
和「え?」
生徒B「精神的に不安定で、学校の外では生きてゆけないから、平沢さんはずっと高校にいるんですよね?」
和「…それは出鱈目だと思うわ」
和(こんなひどい噂まで流れてるんだ……)
和(唯が退学せずに通い続けていられるのも、ひとえにあの呑気さの御陰ね……)
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:24:46.77 ID:U4WiROmY0
――放課後
和「山中先生、唯は本当に女子高生を続けるつもりでしょうか? 本当にそれでいいのでしょうか?」
さわ子「良いわけないわよ。唯ちゃんだって年をとっていくんだから。それに、ずっと10代でいられる人間なんていないわ」
さわ子「私だっていられるものならずっと10代が良かったわよ」ボソ
和「?」
さわ子「な、なんでもないわ。 …でも、唯ちゃんはもう諦めてるみたいね……」
和「諦めてる?」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:26:00.10 ID:U4WiROmY0
さわ子「ええ。1年目、2年目は真面目に頑張ってたんだけど、去年からは完全に卒業を諦めたみたい。今では、放課後に一人部室で練習をして、年に一回の学際で発表するのが生きがいになってるみたいなの……」
和「でも、生徒たちのあいだでは悪い噂も流れいるみたいです……」
さわ子「知ってるわ。中には彼女のことを座敷童子じゃないかって言う子もいるのよ」
和「座敷童子……」
さわ子「卒業できずに死んだ女子高生の霊が、成仏できずに、未練から学校をさまよってるんじゃないかってね」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:26:53.54 ID:U4WiROmY0
さわ子「真鍋さん」
和「はい?」
さわ子「あなたの力で、何とかもう一度彼女の心に火をつけてくれないかしら」
和「唯の心に火をつける?」
さわ子「あの子は本当はできる子よ。今は腐ってるけなの。だから、あの子の心にもう一度火をつけてあげてちょうだい!」
さわ子「これが最後のチャンスよ!」
和「わかりました!」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:27:39.46 ID:U4WiROmY0
――部室
唯「My girlfriend told me to get a life♪ She said "boy, you lazy"♪」ジャカジャカ♪
唯「はあ…お腹すいたなあ……昔はムギちゃんが毎日お菓子を出してくれたけど、わたしって紅茶も入れられないし……」トホホ
コンコン
唯「はい?」
和「唯、お邪魔するわよ」ガラガラ
唯「あっ、和ちゃん!」
和「さっきは何を歌ってたの?」
唯「オゥエィスィスだよお! わたし英語の歌も歌えるようになったんだ!」
和「すごいじゃない」
和(じゃあどうして卒業できないのかしら? 英語力は上がってるみたいなのに)
唯「えへへ。でも、英語の歌を覚えたら、他のことを忘れちゃって~」モジモジ
和「そう(なるほど)」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:28:48.82 ID:U4WiROmY0
和「はい、差し入れ。お腹すいてるでしょう?」
唯「わあ! 紅茶とマドレーヌだあ! ちょうどお腹がすいてたんだ~!」
唯「これを紅茶に浸して食べるとおいしいんだよねえ」チャプ…
唯「いただきまーす!」パク
唯がふと口にした紅茶に浸したマドレーヌの味から、軽音部での記憶が蘇る。
みんなで過ごした夏の合宿での記憶。
演奏会。
修学旅行。
マドレーヌを契機に蘇った記憶が、唯の身体を優しい痛みとともに駆け巡る。
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:29:53.87 ID:U4WiROmY0
唯「ううぅ…みんなぁ…」ポロポロ
和「ねえ、唯、本当にずっと高校生のままでいいの?」
和「ここにずっといたら、新しくできた今の友達も、やがてあなたを置いて去ってゆくのよ。それはあなたが一番知っているでしょう?」
和「あなたは他の女子高生と同じ時間を生きていないの。あなたの時間はずっと止まったままなのよ」
唯「わたしも……ヒック……わたしもみんなと同じ時間を生きたいよお!!」ポロポロ
唯「でももう無理なんだよ……わたし馬鹿だから……みんなにも変な噂されてるし、さわちゃん先生だってわたしのこと諦めてるよ……」ポロポロ
和「馬鹿!」スパァン!
唯「…!」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:30:42.12 ID:U4WiROmY0
和「さわ子先生はあなたのことを諦めてなんかいない。あなたのことを信じてるわ。諦めてるのは唯でしょう!」
唯「…!」
唯「どすればいいの? 和ちゃん!? どうすればわたしの時計がまた動くの!?」
和「卒業よ!!」
唯「…!!」
和「卒業して、前に進むのよ!」
和「一人部室にこもってギターを弾いてたって、あなたの現実は進まないわ!」
唯「ソツギョウ……わたしもう一度頑張ってみるよ! うん! わたし頑張る!!」
和「唯…!」ジーン
さわ子「唯ちゃん…!」こっそり
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:32:36.69 ID:U4WiROmY0
こうして唯の地獄の特訓が始まった。彼女は寝食を惜しんで勉強に取り組んだ。
さわ子や和は鉛筆の握り方から、ノートの取り方までを丁寧に教えた。(唯はギターのコードを忘れた。)
家では憂が予習復習に夜中まで付き合った。(唯は歌を忘れた。)
唯は自分の止まった時の歯車を再び動かすために、がむしゃらに勉強した。
そして3月――
校長「卒業証書授与」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:33:54.42 ID:U4WiROmY0
校長「平沢唯!」
唯「はい!」
校長「卒業おめでとう! よくがんばったね!」
唯「ありがとうございます!」
さわ子「おめでとう、唯ちゃん!」パチパチ
和「よく頑張ったわ!」パチパチ
憂「やったね! おねえちゃん!」パチパチ
?「唯!」
唯「!?」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:34:44.67 ID:U4WiROmY0
澪「おめでとう、唯!」パチパチ
律「おめでとう!」パチパチ
紬「唯ちゃん、おめでとう!」パチパチ
梓「おめでとうございます!」パチパチ
唯「みんな……ありがとう……」ジーン
律「いやあ~長い高校生活だったなあ、唯」
唯「エヘヘ~わたし8年も女子高生しちゃった~」
澪「さわ子先生や和に感謝しないとな」
紬「とにかく、一件落着ね」ウフフ
一同「おめでとう!!」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:35:43.64 ID:U4WiROmY0 [35/44]
唯「ねえ、りっちゃん、ひとつ聞きたいことがあるんだけれど」
律「何だ?」
唯「ここに書いてあるこの漢字何て読むの?」
澪「卒業証書に難しい漢字なんか書いてあったっけ?」
律「どれどれ~。……。唯…それが『卒業』だ……」
唯「はっ!!?」
おしまい
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 22:37:16.82 ID:U4WiROmY0 [36/44]
書くことに必死だったので、つまらなかったと思います。
最後まで読んでくれた方いらっしゃいましたら、ありがとうございます。
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コメント
No title
止まっていた時が動き出すって感じなんかいいなあ・・・ってオイ最後www
つまんねーよ
唯馬鹿設定なら律もセットだろ
あと唯は数学と英語は出来る方だから
原作読み直せ
にわか乙
唯馬鹿設定なら律もセットだろ
あと唯は数学と英語は出来る方だから
原作読み直せ
にわか乙
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