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唯「澪ちゃんを助けるの巻!」
憂「お姉ちゃん、そろそろ行こう」
唯「うん、今行くよー。いってきまーす」ガチャン
タッタッタッ
唯「りっちゃん、澪ちゃん、おはよー。寒くなってきたねー」
律「おはよう唯、憂ちゃん。そろそろ手袋が欠かせなくなってきたな」
憂「おはようございます」
澪「おはよう。少し急がないと遅刻するぞ」
唯「あれ、もうこんな時間なんだ。よーし走るよみんなー」タッタッタッ
ギューン!
憂「お姉ちゃん危ない!」グイ
ドシャーン!
唯「うわ。ありがとう、憂。今のは自転車かな?凄く速かったね」
律「坂道だからスピードが出てたのか?車より速かったぞ。危ないなー」
澪「」ドクドクドク
唯「あー、血まみれだ!私が避けたせいで大変なことに。どうしよう」
律「自転車のほうが悪いとはいえ、ヘルメットまでつけててこんなに血まみれだと言い訳できないかもな。逃げよう」
唯「澪ちゃん(赤)はどうするの?ピクリとも動かないよ」
律「この自転車に乗せて下まで運ぼう!故・運転手のヘルメットをかぶせておけば大丈夫だろ。
澪の怪我に関しては仕様が無い。私の能力を使えば治せるから今は学校に向かうのが先だ」
唯律憂『せーの、よいしょー』
唯「やっぱり坂道は早いねー。60キロ近く出てそうだよ」
グチャ、ガシャーン
律「よし、私達も急ぐぞ」タッタッタッ
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 18:51:55.03 ID:vdOhcQXR0
唯「やっと、追いついた。奇跡的に倒れないで下まで走ってきたんだね」ハァハァ
律「ああ、だがそのせいで店の窓ガラスに激突してしまったわけだ」ハァハァ
唯「澪ちゃんがさっきより血まみれだよ。りっちゃん隊員、どうしたらいいのでしょう」
律「大丈夫だ、唯隊員。幸いまだ開店前だから周りに人はいない。そのうえ澪はヘルメットをしてるから
防犯カメラに顔は映ってないはずだ。だから澪をここから引っこ抜けばいいだけだ」
唯「了解しました。ういー、ちょっと手伝ってー」
唯憂『せーの』ズボッ
律「よし、あとはこのヘルメットを取ってと。行くぞ2人とも」ズルズルズル
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 18:56:15.76 ID:vdOhcQXR0
唯「りっちゃーん、澪ちゃん(紫)がさらにやばそうだよ。早く能力で治してあげて」アセアセ
律「能力って何だよ、唯?こんな怪我をしてたら病院で手術して安静にしてるしかないだろ」
唯「でもりっちゃん、さっき能力を使えば治るっt」
律「ばかやろう!仮にそんな力があったとして、お前はあんな安全バーのついてないFUJIYAMAに澪を乗せるのか!」
律「傷が治せたとしても!痛みはあるんだよ、実際に痛みを感じるのは澪だけなんだよ!ありがたいことに。
それなのに治せるからという安易で自分勝手な理由で澪を傷つけるのか!その上、仲間だと思ってた私達が
澪の安全を微塵も考えてないような行動をしたら、澪は心までズタズタになっちゃうだろ!
わかったなら二度と能力で治せるみたいな馬鹿げたことは言うんじゃないぞ!」
唯「そうか、そうだよね。ごめんりっちゃん、澪ちゃん。じゃあ行こう、憂。学校までがんばって!」
憂「うん、お姉ちゃん。よいしょっと」ズルズルズル
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 18:59:21.57 ID:vdOhcQXR0
憂「梓ちゃんだ。おーい、おはよう」ズルズル
梓「おはよう、憂。って澪先輩!?何で澪先輩を引きずり回してるの?」
律「澪は軽車両に撥ねられたんだ。そのままじゃ危ないから私達で運んだんだ」
梓「よく生きてましたね。っていうか病院に連れて行かなくていいんですか?」
律「ばかやろう!もし119番にかけて救急車が来ても、搬送先が満床だったらどうするんだよ。
もっと澪のことを考えてやれよ!そんなことをしてたら行く先々で盥回しにされるかもしれないんだ。
傷口から破傷風に感染して、3ヵ月後惨めに救急車の中で死んでるかもしれないんだぞ!」
梓「すみません、律先輩。私の考えが浅かったです。じゃあどうするつもりですか?」
律「とりあえず澪は一旦部室に運び込む。楽器も置かなきゃだしな。そしてさわちゃんを呼びに行こう。
ホームルームに間に合えばいいけど、ダメだったら迷惑になるといけないから休み時間か昼休みに行こう。
保健室に行く許可を取り付けてから担架で保健室まで運ぶんだ。
保健室で校医の先生の手に負えないようだったら病院に頼るしか無いだろう」
梓「わかりました、じゃあ急ぎましょう!憂、私片足持つね」ズルズルズル
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 19:03:22.83 ID:vdOhcQXR0
純「あ、憂と梓おはよう。唯先輩に律先輩もおはようございます」
律「おーおはよう!」
純「あれ、今日は澪先輩は一緒じゃないんd、って澪先輩!?何で澪先輩を引きずり回してるんですか?」
梓「撥ねられて危ないけど、盥回しで破傷風になるから保健室に連れて行くの」
純「でもこのままじゃ死んじゃいますよ!絶対ダメです!」
律「ばかやろう!確かにこのまま引きずってたら澪は死ぬかもしれない。だけどそれをやめるってことは
ここにそのまま澪を放置するってことだろ。そんなことをして、私達が部活でお茶をしてる間に澪の体に
ロイコクロリディウムに寄生されたカタツムリが這ってたらどうするんだ!
澪が脳に寄生されたら、明るいところに出るようになって鳥に食べられちまうんだぞ!」
純「なんでそうなるんですか!このままだと死んじゃうからって、何で運ぶのをやめちゃうんですか!
違いますよ。律先輩、見損ないました」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 19:07:31.06 ID:vdOhcQXR0
律「じゃ……じゃあ一体何を……」
純「今現在、澪先輩はうつ伏せの状態で引きずられています。このままでは窒息してしまいます。
よって仰向けにひっくり返して引きずる方がいいと思うんです。」
律「なるほど、そういうことか!よし、澪を仰向けにするぞ。唯、私達は手を持とう」
唯律梓憂『せーの!』ギョリ
ジョボジョボ
唯「なんか澪ちゃんから大量の血が出てきたよ。雑巾絞ってるみたい」
純「両端を逆向きに回したらそうなっちゃいますよ。回す向きを合わせないと」
律「そうか、じゃあ逆に回せばいいんだな。またせーのでいくぞ」
唯律梓憂『せーの!』ギョリ
チョロチョロ
唯「あー、また雑巾みたいになっちゃったよ」
律「純ちゃん、だましたな!」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 19:12:02.30 ID:vdOhcQXR0
純「両端が逆向きに回したら意味無いですよ。一方はそのままじゃないと」
律「梓、憂ちゃん!なんでそっちまで逆に回したんだ」
梓「先輩方だけに苦労をかけるわけにはいかないじゃないですか。律先輩が逆に回すなら私も逆に回します」
律「梓///」ヒシッ
ボテッ
憂「お姉ちゃんが逆に回すなら、当然私も逆に回すよ」
唯「ありがとう!ういー」ギュッ
ゴチン
律「しかし、だとすると一体どうしたらいいんだ」
梓「あれ、でも澪先輩上向いてますよ。今落ちる時に仰向けになったんでしょうか」
唯「え、まずいよ。うつ伏せの状態からひっくり返さないと澪ちゃん窒息しちゃうよ」ウルウル
律「ということはまずうつ伏せの状態に戻す必要があるな。みんなまた手足を持ってくれ」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 19:16:30.22 ID:vdOhcQXR0
純「みなさん待ってください」
梓「どうしたの純?」
純「仰向けになってればいいんです。うつ伏せの状態に戻す必要はないんです」
憂「純ちゃん、それはつまり澪先輩が窒息してもいいって言ってるの!?」
唯「いくら純ちゃんでも言っていいことと悪いことがあるよ!!」
純「違います。仰向けになってればいいんです。うつ伏せの状態に戻す必要はないんです」
唯「そういうことか。早とちりしちゃったよ。ごめんね純ちゃん」ギュー
律「なんだ、そういうことは早く言ってくれよ。じゃあこのまま引きずって学校に行こう」ズルズル
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 19:20:36.65 ID:vdOhcQXR0
梓「そろそろ急がないと遅刻しちゃうんじゃないですか」
律「そうだな、軽く走ったほうがいいかもしれない」
純「走るんでしたら、澪先輩に刺さってる大きいガラス片を抜いたほうがいいですよ」
唯「そんなことしたら血が噴出しちゃわないかな」
憂「あ!でも走ることによってガラスで傷口が広がるから抜いたほうがいいのかも」
純「ううん。そうじゃなくて、ガラスが刺さってると道に跡がつくから後々面倒になるでしょ」
唯「おお!純ちゃんって頭いいんだね。せんけんせーがあるね」
律「よしガラスを抜いたら走るぞ!」ブシュー!
唯「すごいよ澪ちゃん。澪ちゃんの通った跡に赤道ができてるよ」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 19:25:02.10 ID:vdOhcQXR0
唯「ようやく学校に着いたね」
梓「じゃあまずは部室に行きましょう」ズルズル
紬「みんなおはよう」
唯「ムギちゃんおはよう!」
紬「あら、澪ちゃんは一緒じゃないの?なんでそんな薄気味悪い蝋人形をひきずってるの?」
梓「ムギ先輩、よく見てください。これが澪先輩です。撥ねられて満床よりも寄生されない部室です」
紬「大丈夫なの?先に保健室に運んだほうが……」
律「ばかやろう!勝手に動かして、もし危ない病気だったらどうするつもりだよ。
私達が引きずって保健室に連れて行くよりも、担架に乗せて運んだ方がずっと安全で楽ちんだろ。
何でどいつもこいつももっと澪のことを考えてやれないんだ!部員だろ、大事な仲間だろ!?
そんな澪が窮地に陥ってるんだぞ。旧知の仲だけに。」
紬「ぷっ。ごめんね、りっちゃん。私が間違ってたわ。部室に運びましょう」ズルズル
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 19:32:56.44 ID:vdOhcQXR0
ドスン
律「とりあえずここに置いておけば大丈夫かな。唯、ムギ、暇そうだったらさわちゃんを呼んでくるぞ」
紬「ちょっと待ってりっちゃん。ここにこのまま置いておくと腐りだすんじゃないかしら」
唯「腐っちゃたら大変だよ。ベースを弾くたびに指が落ちちゃうよ」
律「落ち着け唯。澪はまだ死んでないんだから腐らないよ。縁起の悪いこと言うなよムギ」
紬「言い方が悪かったわ。このままでは死んでしまう可能性があるでしょ。だからコールドスリープ
させたらどうかしら。この冷蔵庫はうちで開発された新型で、コールドスリープの機能がついてるの」
唯「さすがムギちゃんだね!」
梓「でもずっと入れてると電気代が馬鹿になりませんよ」
紬「明かりが消えたら省エネモードになるから大丈夫よ。ちゃんと食料だけを適温で冷やすようになってるわ。
無駄な機能さえなければ省エネ大賞を取ってたはずの逸品よ」
律「じゃあ澪を冷蔵庫に押し込めるぞ。ふんぬーーー」ゴリゴリ
律「ふう。唯、ムギ、教室に行くぞ。梓たちもまた後でな」
唯「了解です、りっちゃん隊員!」
梓「私達は2年生の教室に行きますね。何かあったら連絡してください」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 19:38:05.03 ID:vdOhcQXR0
唯「やっぱりさわちゃん忙しそうだね」
紬「そうね。お昼休みにしましょう」
和「あら、今日は澪は一緒じゃないの?」
唯「澪ちゃんは自転車とぶつかっちゃったんだよ」
和「え!それでどうしたの?怪我はなかったの?」
律「特に痛いとかは言ってなかったな。学校来るときは引きずってたよ。今は部室で冷やしてる」
和「そう。だったら先生に伝えてくるわね」
律「サンキュー。和」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 19:44:38.91 ID:vdOhcQXR0
昼休み
和「おかしいわね、澪はまだ来ないのかしら」
律「というよりさわちゃんだろ。ちゃんと伝えてくれたのか、和?」
和「伝えたわよ。自転車とぶつかって足をちょっと挫いたから、部室で足を冷やしてるんでしょ」
唯「ちっがーうよ、和ちゃん。澪ちゃんと自転車がぶつかって痛いとか言えないくらいぼろぼろになったから
学校まで私達が引きずってきたんだよ!今は部室の冷蔵庫でこーるどすりーぷにしてるんだよ」
和「ちょっと、大分話が違うじゃないの、律!」
律「私はちゃんと嘘偽り無く伝えてるぞ」ブーブー
和「わかったわ。急いで先生に言ってくるから、あなた達はここで待ってなさい」タッタッタッ
ドドドド
さわこ「どういうことなの、あなた達!何ですぐに私に連絡しないの!」
律「ごめん、さわちゃん。でもさわちゃん忙しそうだったから」
さわこ「忙しそうでも優先順位ってものがあるでしょ!まったく自転車を盗んだだなんて……」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 19:49:09.96 ID:vdOhcQXR0
唯「え?違うよ、盗んで無いよ」
さわこ「あら?でも和ちゃんが……」
和「ぶつかってぼろぼろになった自転車を勝手に学校まで引きずってきたんじゃないの?
痛いとか冷蔵庫のくだりがよくわからなかったんだけど……っ!そういえばなんでまだ澪は来てないの!
もしかして律や唯の会話の主語が『澪』だったとしたら……話は繋がるわね」
さわこ「どういうことなの?」
和「澪は自転車とぶつかった。学校に来るときは引きずってて今は冷やしてる。つまり、足を挫いてるんです!」
さわこ「なんだ、そういうことなのね。じゃあ治りが悪いようだったら保健室に連れて行ってあげなさい」
唯「さすが和ちゃん。りっちゃん、許可が出たよ!」
律「よし行くぞ!和も一緒に来てくれ」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 19:54:51.51 ID:vdOhcQXR0
部室
和「澪はどこにいるの?」
紬「この中よ」ガチャ
和「なんで学校に干からびたエスパー伊藤がいるの?警備の人を呼ばないと……」
唯「違うよ和ちゃん。これ澪ちゃんだよ!」ズボッ
和「なら余計問題じゃない。校医の先生を呼んで来るわ」
律「待てよ和!今お前が保健室に行ったらどうなるのか良く考えてみたのか!?」
和「え?」
律「お前が保健室に先生を呼びに行く。私達は担架を持ってきて澪を保健室に運んでいく。
同じルートを選ぶのならそれでもいい。でもお互いが違うルートを選んでいたら行き違いになるだろ。
その場合どうする?お互いがお互いを探して、学校中を探し回ることになるじゃないか」
和「だったら携帯電話で連絡をとればいいじゃない」
律「まだわからないのか!電車の中で、体の不自由な方のそばでは携帯電話の使用はご遠慮ください。
今の澪の体が自由だと思うのか。可哀そうに氷付けにまでされてしまって。
正直、和がそこまで思いやりの無い人間だとは思わなかったぞ!」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 19:59:16.48 ID:vdOhcQXR0
和「そうね、ごめんなさい。あなたの言う通りだわ」
唯「保健室に行く前にまずは担架を借りてこないとね」
紬「担架はどこにあるかな」
和「そうねえ、普通は病院や救急車にあるけど……学校の中から探すとなると難しそうね」
律「そんな!だったら澪は、澪はどうしたら……。ちくしょう!」
和「落ち着いてよ律。担架のことで啖呵を切らないで。担架は何のために必要なの?」
律「そりゃもちろん保健室まで澪を楽に運ぶためn」
唯「あ、だったらキャスター付きの椅子にくくりつければ!」
律紬『!』
和「ね?唯たちは澪をふん縛る荒縄かピアノ線を用意しておいて。私は椅子を借りてくるから」
唯「ありがとう和ちゃん」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 20:04:39.21 ID:vdOhcQXR0
和「椅子を借りてきたわよ。そっちの用意はできてるかしら?」
唯「バッチリだよ。ピアノを壊すのに手間取ったけど、ムギちゃんが一撃で解体してくれたんだ」
和「そう。じゃあ早く澪を縛っちゃって。唯、あなたもエスパーでボンレスハムを作ってないで手伝いなさい」
唯「違うよ和ちゃん、これ澪ちゃんだよ」
和「そう。じゃあ椅子にも縛っておいて。搬送中に激しく揺れると傷口が広がっちゃうから」
紬「これでよし、と」ギュリギュリ
律「では行くぞ皆の者ー。ついてこーい」
唯紬和『おー!』
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 20:08:27.26 ID:vdOhcQXR0
律「そんな……まさか」ガクッ
紬「こんな偶然がありうるのね」
和「まいったわね。部屋を出てすぐに階段があるなんて。想定外だったわ」
唯「どうしよう。これじゃあ運べないよ。みんなで持ち上げてみる?」アセアセ
律「いや、それはダメだ。和がさっき言ったように揺れると傷が広がるし、何より重たい」
紬「迂回してみるのはどうかしら」
唯「ふぇ、どういうこと?」
紬「たしかこの階にもう一箇所非常階段があったはずよ。そこからならひょっとして」
律「ナイスだ、ムギ。よし早速いってみよう」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 20:11:29.77 ID:vdOhcQXR0
紬「あそこね」タッタッタッ
ガチャ
唯「!!! そんなぁ、こっちにも階段があるなんて」ガックリ
和「やっぱりね。おかしいと思ってたわ。『非常階段』という名前をよく考えてみて。『ひじょうかいだん』。
つまりこれは永井豪先生おっしゃるところの『非情階段』だったのよ」
律「元の場所に戻るしかないか」
紬「ここから落としてみるのはどうかしら。遮るものが無いから1階まで直通じゃない」
律「いや、失敗した場合のリスクを考えるんだムギ。失敗してまたここまで運び上げてる時間は無い。
早くこの忌々しいピアノ線を外さないと澪の血流が止まっちゃうかもしれないんだ」
唯「なんかいい方法はないのかな。みんなで力を合わせたのにここで終わっちゃうなんて」
律「みんな…!?そうだ唯!いいことを思いついたぞ」ピポパ
律「もしもし、梓か?ちょっと部室まで来てくれないか」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 20:15:06.90 ID:vdOhcQXR0
梓「どうしたんですか律先輩」ハァハァ
律「澪を保健室まで運ぼうと思ってたんだが階段が行く手を阻んでるんだ。そこで梓、お前を借りたい」
梓「わかりました。持ち上げて運ぶんですね」
唯「ううん。そうすると傷が広がっちゃうからだめなんだ」
紬「梓ちゃん、もうちょっと左に動いて。もう半歩。2歩後ろ。あ、ちょっと行き過ぎ。うんそこでOKね」
律「よし、安全のためこのヘルメットをかぶって。動くなよ梓。せーの、とりゃー」ポイ
ゴロゴロゴロ……ベキョ
和「思ってたよりも滞空時間は短かったわね」
律「女4人じゃ下まで届かないことは予想してたさ。梓がクッションになったから音はあんまり響かなかっただろ」
紬「りっちゃんすごい!予知能力みたいね」
律「ヘヘーン!さあ、下まで運ぶぞ」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 20:19:39.05 ID:vdOhcQXR0
律「なんてことだ……!またなのか!」
唯「2階連続で階段があるなんて。あずにゃん、なんとかならないかな?」
梓「ひょんどは、ひゅいかひゅんふぉひょべふぁひひんひゃひゃいでひゅひゃ?」ゴボゴボ
和「そうだわ!今度は憂か純ちゃんを呼んでみるのはどうかしら?」
唯「ダメだよ。そんなことしたら憂が死んじゃうよ!酷いよ和ちゃん」
和「怒らないで唯。私はただ梓ちゃんの言葉を代弁しただけよ」
梓「……」ゴボ…
憂「あれ、お姉ちゃん。他の皆さんも」
唯「ういー!よかった、生きてたんだね」ギュー
純「梓見ませんでしたか?急いで教室を飛び出して、って梓!どうしたの?酷いことに……」
唯「あずにゃんは階段を下りる時にぶつかっちゃったんだよ。下りるときは転がり落ちてた」
純「そんな!憂、保健室に行くよ!先輩方は梓を見ててもらえますか」タッタッタッ
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 20:22:24.43 ID:vdOhcQXR0
律「この先どうするかな。もしまだ階段が続くとしたらやばいぞ」
唯「でもりっちゃん。階段、階段、階段ときたから次に階段が来ることは無いんじゃないかな」
和「唯の思考 学校では こういう考えが一番危ない まさに地獄に直結する道
階段 階段 階段と来たから もう階段がない などという読みは まさに泥中
嵌っている…… すでに泥中 首まで……」
純「はぁはぁ、おまたせしました」タッタッタッ
紬「あら、何を持ってきたの?」
純「担架です。保健室に行ったら先生がいなかったのでとりあえずこれだけ持ってきたんです」
紬「! りっちゃん、これ。この担架を使えば澪ちゃんを運べるんじゃないかしら」
律「それは名案だ!でもムギ、残念ながら学校には担架はないらしいんだ。病院か救急車じゃないと」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
紬「そうね、でも逆に考えて。担架がここにあるということは ここは実は病院だったとも考えられないかしら」
和「それはないわ」
紬「」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 20:27:20.88 ID:vdOhcQXR0
唯「そうだ!ここは病院じゃないから患者さんはいない。ということは澪ちゃんはどこも悪くないんじゃないかな?」
『!!!』
憂「ということは梓ちゃんも悪いところはないっていうことね」
純「あずさー、良かった!」ヒシッ
梓「」ゴボ
律「みおぉー、一時はどうなるかと思ったよ」ポロポロ
澪「……」
和「さあ、そろそろお昼休みも終わりよ。教室に戻りましょう」
唯律紬憂純『はーい!』
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 20:30:07.50 ID:vdOhcQXR0 [25/25]
この後、あずにゃんは退学処分を受けて、逮捕されてしまいました。
私達が授業を受けてる間に先生が来たらしく、顔を隠すためにヘルメットをかぶったあずにゃんが
澪ちゃんをイジメていて、自分も足を滑らせたと考えたみたいです。
また、あずにゃんのかぶっていたヘルメットからは、あずにゃんと故・自転車少年の指紋しかみつからず
自転車少年殺害後に澪ちゃんを坂道から突き落とした、という形で処理させたとムギちゃんは言ってました。
澪ちゃんは病院で手術をして安静にしてたら1ヶ月で退院しました。
おしまい♪
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