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範馬刃牙「けいおんッッッッッ」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 04:42:56.44 ID:g2edIfxF0 [1/27]
― 部室 ―
烈「失礼するッッ」
律「お?」
烈「無躾で申し訳ないが、軽音楽部の部長はおられるか」
律「私だけど……アンタ誰?」
烈「私は烈海王。世間では武術家と言われている」
律「……武術家? 分かってると思うけど、ここは軽音楽部だぜー」
烈「承知の上ッ。その部長殿に頼みがあって、ここを訪ねたという次第」
律「頼み?」
烈「うむ。軽音楽部への入部を許可願いたいッッ」
― 部室 ―
烈「失礼するッッ」
律「お?」
烈「無躾で申し訳ないが、軽音楽部の部長はおられるか」
律「私だけど……アンタ誰?」
烈「私は烈海王。世間では武術家と言われている」
律「……武術家? 分かってると思うけど、ここは軽音楽部だぜー」
烈「承知の上ッ。その部長殿に頼みがあって、ここを訪ねたという次第」
律「頼み?」
烈「うむ。軽音楽部への入部を許可願いたいッッ」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 04:47:09.52 ID:g2edIfxF0
律「……えっと。ここ、女子高なんだけど」
烈「私は一向に構わんッッ」
律「いや、私らが構うんだけど……」
烈「ならば、部員と同じように扱ってくれるだけでも構わんッ」
律「……正式な部員じゃなくてもいいってこと?」
烈「うむ」
律「うーん。でも仮に入部を認めたとしても、やっぱり女子高に男ってのは……」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 04:53:18.87 ID:g2edIfxF0
律「ていうか、1つ質問していいか?」
烈「うむ」
律「なんでそこまでして、ウチの部に入りたいんだ?」
烈「……実は先日行われた文化祭のステージ、私も拝見させていただいたのだが」
律「あ、そうなんだ」
烈「個々は不味いながらも互いが助力し合うことで、最終的には良き音楽を奏でていた」
律「……ヘタで悪かったな」
烈「そこで、私は気付いたのだッ」
律「何にさ」
烈「複数の人間が協力して1つのモノを作るという面では、『武』は『音楽』に遅れをとっているッ」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 04:58:57.96 ID:g2edIfxF0
律「武術家って1対1とか好きそうだしなー」
烈「私は軽音楽部の演奏に感銘を受け、その技術を身に付けるにはここしか無い、と考えたのだ」
律「なるほど……そこまで言うなら、私はいいけどさ」
烈「謝謝ッッ」
律「いや、まだだって。他の部員がどう言うかが問題だろ?」
烈「うむ……皆、部長殿のように寛容な方であれば良いのだが」
律「……とりあえず、明日もう1回来てくれよ。今日は皆忙しくて、私しかいないんだ」
烈「では明日の放課後に、再度訪問させていただく」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 05:05:46.18 ID:g2edIfxF0
― 翌日 ―
律「で、この人が烈海王さん」
烈「よろしく頼むッ」
唯「うわぁ、すごいキンニクだねー」ベシベシ
澪「こ、こら唯、叩くな! 殺されるぞ!」
紬「とりあえずお茶淹れるわね~」
梓「先輩方、まずは女子高に男の人がいることに疑問を……」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 05:09:51.99 ID:g2edIfxF0
律「まあそういうわけで、この人も部員として認めたいんだ」
唯「さんせーい!」
紬「律っちゃんがそう言うなら、私はいいわよ」
梓「音楽に対するモチベーション次第、ですね」
澪「………………」
律「大丈夫だよ澪。良さそうな人だし、怖がるようなことないって」
澪「そ、そうかな……」
烈「海王の名に恥じぬ行為はせぬと約束しよう」
澪「え……あ、はいッ」
律「いや、海王の名の意味が分からんけどな……」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 05:14:51.76 ID:g2edIfxF0
律「じゃあ皆の同意も得られたので、烈海王さんは部員になりましたー」
唯「おめでとー!」
烈「謝謝ッ」
梓「じゃあ、まずは演奏する楽器を……」
律「違うッ!」
梓「にゃっ!?」
律「まずは『呼び方』だ!」
紬「呼び方?」
澪「烈海王さん、でいいじゃないか」
律「それだと、呼ぶ時長くて面倒じゃん」
唯「おお、確かに! 律っちゃん天才!」
律「だろー?」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 05:21:26.84 ID:g2edIfxF0
律「まーでもあれだな。唯、澪、ムギ、梓ときて」
紬「あと、律っちゃん!」
律「それなら、烈って呼び捨てで決まりだな!」
澪「いや待て、絶対年上だろこの人!」
唯「烈っちゃんっていくつなの?」
烈「……烈っちゃん、とは私のことか」
唯「そーだよ?」
烈「……承知。歳は今年で30になる」
澪「ほら見ろ! 私たちの倍くらいじゃないか!」
烈「私は一向に構わんッッ」
澪「ええっ!?」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 05:25:46.61 ID:g2edIfxF0
梓「それじゃあ烈さん、今度こそさっきの話をしましょう」
烈「先程の話というと、楽器の話か」
梓「はいっ! うう、私嬉しいです」
烈「む?」
梓「モチベーションの高い人が、非公式とは言え部員になってくれて……」
律「おいおい、私たちは低いってさ、唯」
唯「ひどいよあずにゃ~ん」
梓「そ、そんなつもりじゃ……」
烈「………………」
梓「あっ、話がそれてすみません! えっと、烈さんが演奏できる楽器は何ですか?」
烈「演奏できる、楽器……?」
梓「はい! 何でもいいですよ? ギターでもベースでもドラムでも!」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 05:31:01.09 ID:g2edIfxF0
烈「……何もできぬ」
梓「え?」
烈「私は君たちの音楽に感銘を受け、直感的にここへ来ただけなのだ。対不起ッ」
梓「……そ、そうなんですか」
澪「でも楽器がまったく使えないヤツなら、去年もいたしな」
律「いたいた。ただ、ソイツはやる気も怪しかったけど」
唯「へー。律っちゃん高校までドラムやってなかったんだ」
律「お前だよお前!」
唯「あれ、そうだっけ?」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 05:37:45.70 ID:g2edIfxF0
烈「だが、言われれば何でもやってみせるッ」
梓「そ……それはダメですっ!」
烈「…………ッッ」
梓「言われてやるんじゃなくて、自分で決めてやるんです!」
澪「お、おい梓……」
梓「そうでないと、良い音楽なんかできるわけないじゃないですか!」
律(なあなあにギターを始めたヤツもいるぞ……)
梓「……はっ! ご、ごめんなさい、会ったばかりの人に怒鳴ったりして……」
烈「いや……私も無神経であったと反省した」
律「へぇ。じゃあ、何かやりたい楽器とかある?」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 05:45:15.93 ID:g2edIfxF0
烈「うむ。実は、演奏できないものが無いワケではない」
律「じゃあなんで『何も無い』なんて言ったんだよ」
烈「しかしアレは、『楽器』と呼んで良いものか……」
澪「私たちは、一応軽音部の人間ですから」
律「敬語はダメだぞ澪。タメ口だ」
澪「う……軽音部の人間、だから……楽器かどうかなら、多分わかると思う、ぞ……」
律「よく言えましたー」
澪「う、うるさい!」
紬「それで、その楽器って何なの?」
烈「……カスタネット、というモノなのだが」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 05:53:28.72 ID:g2edIfxF0
5人「………………」
烈「……その反応から察するに、やはり駄目か」
律「い、いや、その……」
梓「烈先輩。音楽にはハーモニー、調和っていうものがあるんです」
烈「……調和……」
梓「文化祭のステージを見たならわかると思いますけど……」
澪「試しに、あの演奏にカスタネットが混じったところを想像してみてくれ」
烈「………………」
梓「……どうです?」
烈「……他人の言葉を借りるならば、上等な料理にハチミツをぶちまけるが如き思想」
律「まぁ、それは言い過ぎだけどな。合わないのはわかるだろ?」
澪「それも前例が1人いたけどな」チラッ
唯「うぅ……そ、それはさすがに覚えてるよぅ」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 06:01:06.50 ID:g2edIfxF0
烈「では、トライアングルも駄目かッ」
律「え? トライアングルできるのか?」
澪「それならいいんじゃないか?」
烈「……何?」
紬「トライアングルは、100人編成のオーケストラでも使われるくらい重要な楽器なの」
唯「へー、そうなんだー」
梓「唯先輩は知ってなきゃダメです!」
唯「律っちゃん、あずにゃんが怖いよ~」
律「自業自得だろ……」
澪「……でも逆に、人が少ない時は微妙だよな」
律「そだなー。高い音が出せるけど、音の幅はかなり小さいからな」
紬「人が少ない時は多くの音を出して、曲の幅を広げるのも1つのテクニックだから」
烈「ナルホド……」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 06:10:12.85 ID:g2edIfxF0
烈「やはり私は、站トウのように1からやるしかないようだな」
律「站トウ?」
烈「うむ」 站ッ!
律「おおっ!? な、なんだそのポーズ!」
烈「……站トウ。気を溜め込みつつ、この体勢を維持するのだ」
唯「へぇぇ……えいっ、タントウ!」 タンッ!
烈「ほう……初めてにしては様になっている」
唯「ぬぬぬ……烈っちゃん、これ疲れるね……」
烈「まずはそれを1時間。徐々に延ばし、いずれは5時間、10時間も可能となる」
唯「えー!? ご、5時間もこんなことやってるの!?」
律「すげー。そんだけ鍛えてるなら、それを活かした楽器とかありそうだよな」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 06:19:38.99 ID:g2edIfxF0
律「……ん、待てよ。烈、アンタ何かを叩くのとか得意か?」
烈「人を叩くのには慣れているが」
澪「ひぃっ!」
律「……そういう嫌な例えはやめてくれ」
烈「対不起ッ」
律「……私が言いたいのは、叩く楽器が向いてるかもしれないってことだよ」
烈「叩く楽器……アレもそうだな」チラッ
律「アレは私のドラム。そうだ、烈もドラムやってみれば?」
烈「……あのように多くの道具がついている繊細そうな物を、使いこなせるとは思えんが」
律「いやー、自分で言うのもなんだけど、軽音部で一番大雑把な私ができてるんだし大丈夫だろ」
澪「律のドラムは走り過ぎだ」
唯「そーだよ、こないだだって……」
律「あーあー聞こえない聞こえない」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 06:28:15.68 ID:g2edIfxF0
紬「ドラムっていうのは英語で、日本語だと太鼓っていう意味もあるの」
梓「つまり、太鼓が叩ける人ならドラムはできるんです。もちろんシンバルとかもありますけど」
烈「言わんとしていることは理解できるが」
律「私より力の使い方とかが分かってるお前なら、すぐ慣れると思うぞー」
澪「……とりあえず、言葉で言うより1回叩いてみたらどうだ?」
律「あ、それはあるな。触らないで使うもへったくれも無いし」
唯「それなら早くやってみようよ!」
烈「……では、律さんのドラムをお借りする」
律「り、律さんって……なんかくすぐったいから、呼び捨てでいいって」
烈「是ッ」
澪「くくっ、律でも照れたりするんだな」
紬「うふふっ」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 06:37:21.20 ID:g2edIfxF0
烈(……これが、ドラム)
烈(おおよそ効果的に打ち込めると思われる箇所は、人間の急所に比べ、遥かに少ない……)
烈(もし、これだけしか急所を持たぬ人間が相手であれば、相当の苦戦を強いられるのは必至ッ)
烈(しかし、無機物相手ならば話は別だッ。思う存分に拳を叩き込めるッッ)
律「あ、言い忘れてた。おい烈、ドラムはこのスティックを使って……」
烈「不要ッッ」
律「……え? いや『不要ッッ』じゃなくてさ」
澪「ってまさか、拳で叩くつもりか!?」
唯「それじゃあ叩いても鳴らないと思うよ~。だって前に私が割り箸で叩いても鳴らなかったもん」
律「おい唯、後で話がある」
梓「ていうかダメです! 本気でやったら逆に怪我しますよ!」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 06:44:22.89 ID:g2edIfxF0
烈「……演舞の域を出ぬ技でも、無機物相手なら使えるというもの」
律「え」
烈「噴ッッ!!」
パァン!!
5人「………………」
烈「強すぎたか。叩く為の楽器であれば、ある程度には耐えられると思っていたが」
律「ちょ、ちょっ」
烈「ならば、少し威力を落とそう……玻ッッ!!」
パァン!!
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 06:50:51.35 ID:g2edIfxF0
律「う、うわぁぁぁぁ!!」
唯「お、おぉ~、凄いね烈っちゃん」
澪「感心してる場合か!」
烈「音速から少し速度を落としたが、それでも破裂したか……」
澪「ドラムはそういう楽器じゃないから! 太鼓みたいに強く叩くものじゃないんだ!」
烈「何、そうなのか。太鼓と同じだと言われたのでな」
律「わ、私のドラムがぁぁぁぁ!! うわぁぁぁぁぁん!!」
澪「ああ、律が泣いちゃっただろ! どう責任とるんだ!」
烈「む……対不起ッ」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 06:57:14.05 ID:g2edIfxF0
律「こ……」
紬「……律っちゃん?」
律「このやろうッッ」 ベチンッ
烈「………………」
唯「あぁっ、律っちゃん!」
梓「り、律先輩、暴力はいけないです!」
律「うぅ……私に何の恨みが……ちくしょうッ」ベチッ
烈「………………」
律「なんだよ……避けもしないのかよッ」
烈「私の見積が甘かった故の悲劇。不義は私にあるし、君の怒りはもっともだ」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 07:03:05.03 ID:g2edIfxF0
烈「このような有様では、私がここにいるわけにもいくまい」
律「………………」
烈「すまぬッ。弁償代については、空手道神心会へ連絡をくれ」
律「……待てよッ」
烈「?」
律「勝手に、逃げんなよ……」
澪「律……お前、もしかして」
律「おい烈。お前は私のドラムをぶっ壊したんだぞ」
烈「うむ……」
律「だったら、ドラムを弁償するのは当然だけどさ」
紬「律っちゃん……?」
律「それじゃあ誠意が足りないよな、唯!」
唯「うん! 私達を武道館に連れて行くぐらいのことは、しないとね!」
烈「…………!」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 07:10:31.28 ID:g2edIfxF0
梓「……もう! 2人共、人が良すぎですよ!」
澪「まったくだ……」
紬「でも、律っちゃんらしいと思うわ」
烈「……また、壊すかもしれんぞ」
律「そうならないように、練習するんだよ。『手加減』の練習だけどな!」
烈「だが、それを体得するまでは……」
律「烈専用ドラムを買えば、壊れてもお前が買い直すだけで済むだろ?」
紬「それに、父の会社の系列店に行けば、修理は無料でやってもらえるかもしれないわ」
梓「ドラムを破裂させるような腕力の持ち主、そういませんからね!」
律「……っていうのは、やっぱダメかな?」
澪「やれやれ……律がいいって言うなら、いいんじゃないのか?」
律「だってさ!」
烈「……お前達……すまぬ……ッ」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 07:16:29.49 ID:g2edIfxF0
律「そうと決まれば、まずはドラムの修理だな」
唯「それと、烈っちゃんのドラムも買わないとね~!」
澪「社会人だから心配ないとは思うが、お金はあるのか?」
烈「……それが、日本へ渡った時に路銀がほとんど底をつき……」
律「うわぁ……やっぱり私達とは違う世界に住んでるんだな……」
梓「今はどうやって生活してるんです?」
烈「神心会でコーチをする対価として、衣食住を提供されている」
澪「じゃあ、ほぼ無一文ってことか?」
烈「うむ…………」
唯「じゃあ、バイトだね!」
烈「バイト……?」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 07:27:17.13 ID:g2edIfxF0
律「ドラムの弁償代は神心会ってトコにお願いしていいのか?」
烈「一向に構わんッ」
澪「じゃあ、貯めるバイト代は烈のドラム代の分だけってことだな」
唯「6人もいると早く貯まりそうだね~」
紬「私は掛け持ちになるけど、頑張るわ」
烈「待てッ。これは私の持つ楽器の話だッ」
律「だから?」
烈「私が稼いだ資金で買わなければ、その意義も皆無となるッッ」
律「……やっぱりなー。お前も唯と同じか」
烈「何?」
澪「唯も、私達のバイト代は使えないから自分で出す、って言ったんだ」
唯「そんなこともあったね~」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 07:34:25.21 ID:g2edIfxF0
律「でも、ドラムってそんなに安くないぞ?」
澪「無一文からだと結構厳しいだろうな……」
烈「……神心会の館長に頼めば、金は都合してくれるかもしれん」
律「え、ホントか!?」
烈「ドラムは何を買えばいいか、全く分からんが……」
律「それは大丈夫、この律様にお任せだ!」
澪「不安すぎる……」
梓「でも、律先輩はドラムに関しては専門家ですから……ドラムだけですけど」
唯「律っちゃん、あずにゃんが律っちゃんのことをね~」
梓「わぁ!? や、やめてください唯先輩!」
紬「うふふ」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 07:41:02.00 ID:g2edIfxF0
律「それじゃあ、まずは……」
烈「ドラムの修理をせねば」
律「いや、それはこの後」
烈「む?」
紬「お茶、淹れ直したわよ~」
唯「あっ、今日はケーキだ!」
澪「あああ、また太ってしまう……」
梓「でも、やめられないんですよね……」
烈「……これは……」
律「おいおい、知らなかったのか?」
律「ウチのバンド名は『放課後ティータイム』だぞ!」
烈たちの戦いはこれからだ!
俺は所詮乗っ取りだから誰か続きを頼む。俺は寝るッッ
律「……えっと。ここ、女子高なんだけど」
烈「私は一向に構わんッッ」
律「いや、私らが構うんだけど……」
烈「ならば、部員と同じように扱ってくれるだけでも構わんッ」
律「……正式な部員じゃなくてもいいってこと?」
烈「うむ」
律「うーん。でも仮に入部を認めたとしても、やっぱり女子高に男ってのは……」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 04:53:18.87 ID:g2edIfxF0
律「ていうか、1つ質問していいか?」
烈「うむ」
律「なんでそこまでして、ウチの部に入りたいんだ?」
烈「……実は先日行われた文化祭のステージ、私も拝見させていただいたのだが」
律「あ、そうなんだ」
烈「個々は不味いながらも互いが助力し合うことで、最終的には良き音楽を奏でていた」
律「……ヘタで悪かったな」
烈「そこで、私は気付いたのだッ」
律「何にさ」
烈「複数の人間が協力して1つのモノを作るという面では、『武』は『音楽』に遅れをとっているッ」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 04:58:57.96 ID:g2edIfxF0
律「武術家って1対1とか好きそうだしなー」
烈「私は軽音楽部の演奏に感銘を受け、その技術を身に付けるにはここしか無い、と考えたのだ」
律「なるほど……そこまで言うなら、私はいいけどさ」
烈「謝謝ッッ」
律「いや、まだだって。他の部員がどう言うかが問題だろ?」
烈「うむ……皆、部長殿のように寛容な方であれば良いのだが」
律「……とりあえず、明日もう1回来てくれよ。今日は皆忙しくて、私しかいないんだ」
烈「では明日の放課後に、再度訪問させていただく」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 05:05:46.18 ID:g2edIfxF0
― 翌日 ―
律「で、この人が烈海王さん」
烈「よろしく頼むッ」
唯「うわぁ、すごいキンニクだねー」ベシベシ
澪「こ、こら唯、叩くな! 殺されるぞ!」
紬「とりあえずお茶淹れるわね~」
梓「先輩方、まずは女子高に男の人がいることに疑問を……」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 05:09:51.99 ID:g2edIfxF0
律「まあそういうわけで、この人も部員として認めたいんだ」
唯「さんせーい!」
紬「律っちゃんがそう言うなら、私はいいわよ」
梓「音楽に対するモチベーション次第、ですね」
澪「………………」
律「大丈夫だよ澪。良さそうな人だし、怖がるようなことないって」
澪「そ、そうかな……」
烈「海王の名に恥じぬ行為はせぬと約束しよう」
澪「え……あ、はいッ」
律「いや、海王の名の意味が分からんけどな……」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 05:14:51.76 ID:g2edIfxF0
律「じゃあ皆の同意も得られたので、烈海王さんは部員になりましたー」
唯「おめでとー!」
烈「謝謝ッ」
梓「じゃあ、まずは演奏する楽器を……」
律「違うッ!」
梓「にゃっ!?」
律「まずは『呼び方』だ!」
紬「呼び方?」
澪「烈海王さん、でいいじゃないか」
律「それだと、呼ぶ時長くて面倒じゃん」
唯「おお、確かに! 律っちゃん天才!」
律「だろー?」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 05:21:26.84 ID:g2edIfxF0
律「まーでもあれだな。唯、澪、ムギ、梓ときて」
紬「あと、律っちゃん!」
律「それなら、烈って呼び捨てで決まりだな!」
澪「いや待て、絶対年上だろこの人!」
唯「烈っちゃんっていくつなの?」
烈「……烈っちゃん、とは私のことか」
唯「そーだよ?」
烈「……承知。歳は今年で30になる」
澪「ほら見ろ! 私たちの倍くらいじゃないか!」
烈「私は一向に構わんッッ」
澪「ええっ!?」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 05:25:46.61 ID:g2edIfxF0
梓「それじゃあ烈さん、今度こそさっきの話をしましょう」
烈「先程の話というと、楽器の話か」
梓「はいっ! うう、私嬉しいです」
烈「む?」
梓「モチベーションの高い人が、非公式とは言え部員になってくれて……」
律「おいおい、私たちは低いってさ、唯」
唯「ひどいよあずにゃ~ん」
梓「そ、そんなつもりじゃ……」
烈「………………」
梓「あっ、話がそれてすみません! えっと、烈さんが演奏できる楽器は何ですか?」
烈「演奏できる、楽器……?」
梓「はい! 何でもいいですよ? ギターでもベースでもドラムでも!」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 05:31:01.09 ID:g2edIfxF0
烈「……何もできぬ」
梓「え?」
烈「私は君たちの音楽に感銘を受け、直感的にここへ来ただけなのだ。対不起ッ」
梓「……そ、そうなんですか」
澪「でも楽器がまったく使えないヤツなら、去年もいたしな」
律「いたいた。ただ、ソイツはやる気も怪しかったけど」
唯「へー。律っちゃん高校までドラムやってなかったんだ」
律「お前だよお前!」
唯「あれ、そうだっけ?」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 05:37:45.70 ID:g2edIfxF0
烈「だが、言われれば何でもやってみせるッ」
梓「そ……それはダメですっ!」
烈「…………ッッ」
梓「言われてやるんじゃなくて、自分で決めてやるんです!」
澪「お、おい梓……」
梓「そうでないと、良い音楽なんかできるわけないじゃないですか!」
律(なあなあにギターを始めたヤツもいるぞ……)
梓「……はっ! ご、ごめんなさい、会ったばかりの人に怒鳴ったりして……」
烈「いや……私も無神経であったと反省した」
律「へぇ。じゃあ、何かやりたい楽器とかある?」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 05:45:15.93 ID:g2edIfxF0
烈「うむ。実は、演奏できないものが無いワケではない」
律「じゃあなんで『何も無い』なんて言ったんだよ」
烈「しかしアレは、『楽器』と呼んで良いものか……」
澪「私たちは、一応軽音部の人間ですから」
律「敬語はダメだぞ澪。タメ口だ」
澪「う……軽音部の人間、だから……楽器かどうかなら、多分わかると思う、ぞ……」
律「よく言えましたー」
澪「う、うるさい!」
紬「それで、その楽器って何なの?」
烈「……カスタネット、というモノなのだが」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 05:53:28.72 ID:g2edIfxF0
5人「………………」
烈「……その反応から察するに、やはり駄目か」
律「い、いや、その……」
梓「烈先輩。音楽にはハーモニー、調和っていうものがあるんです」
烈「……調和……」
梓「文化祭のステージを見たならわかると思いますけど……」
澪「試しに、あの演奏にカスタネットが混じったところを想像してみてくれ」
烈「………………」
梓「……どうです?」
烈「……他人の言葉を借りるならば、上等な料理にハチミツをぶちまけるが如き思想」
律「まぁ、それは言い過ぎだけどな。合わないのはわかるだろ?」
澪「それも前例が1人いたけどな」チラッ
唯「うぅ……そ、それはさすがに覚えてるよぅ」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 06:01:06.50 ID:g2edIfxF0
烈「では、トライアングルも駄目かッ」
律「え? トライアングルできるのか?」
澪「それならいいんじゃないか?」
烈「……何?」
紬「トライアングルは、100人編成のオーケストラでも使われるくらい重要な楽器なの」
唯「へー、そうなんだー」
梓「唯先輩は知ってなきゃダメです!」
唯「律っちゃん、あずにゃんが怖いよ~」
律「自業自得だろ……」
澪「……でも逆に、人が少ない時は微妙だよな」
律「そだなー。高い音が出せるけど、音の幅はかなり小さいからな」
紬「人が少ない時は多くの音を出して、曲の幅を広げるのも1つのテクニックだから」
烈「ナルホド……」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 06:10:12.85 ID:g2edIfxF0
烈「やはり私は、站トウのように1からやるしかないようだな」
律「站トウ?」
烈「うむ」 站ッ!
律「おおっ!? な、なんだそのポーズ!」
烈「……站トウ。気を溜め込みつつ、この体勢を維持するのだ」
唯「へぇぇ……えいっ、タントウ!」 タンッ!
烈「ほう……初めてにしては様になっている」
唯「ぬぬぬ……烈っちゃん、これ疲れるね……」
烈「まずはそれを1時間。徐々に延ばし、いずれは5時間、10時間も可能となる」
唯「えー!? ご、5時間もこんなことやってるの!?」
律「すげー。そんだけ鍛えてるなら、それを活かした楽器とかありそうだよな」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 06:19:38.99 ID:g2edIfxF0
律「……ん、待てよ。烈、アンタ何かを叩くのとか得意か?」
烈「人を叩くのには慣れているが」
澪「ひぃっ!」
律「……そういう嫌な例えはやめてくれ」
烈「対不起ッ」
律「……私が言いたいのは、叩く楽器が向いてるかもしれないってことだよ」
烈「叩く楽器……アレもそうだな」チラッ
律「アレは私のドラム。そうだ、烈もドラムやってみれば?」
烈「……あのように多くの道具がついている繊細そうな物を、使いこなせるとは思えんが」
律「いやー、自分で言うのもなんだけど、軽音部で一番大雑把な私ができてるんだし大丈夫だろ」
澪「律のドラムは走り過ぎだ」
唯「そーだよ、こないだだって……」
律「あーあー聞こえない聞こえない」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 06:28:15.68 ID:g2edIfxF0
紬「ドラムっていうのは英語で、日本語だと太鼓っていう意味もあるの」
梓「つまり、太鼓が叩ける人ならドラムはできるんです。もちろんシンバルとかもありますけど」
烈「言わんとしていることは理解できるが」
律「私より力の使い方とかが分かってるお前なら、すぐ慣れると思うぞー」
澪「……とりあえず、言葉で言うより1回叩いてみたらどうだ?」
律「あ、それはあるな。触らないで使うもへったくれも無いし」
唯「それなら早くやってみようよ!」
烈「……では、律さんのドラムをお借りする」
律「り、律さんって……なんかくすぐったいから、呼び捨てでいいって」
烈「是ッ」
澪「くくっ、律でも照れたりするんだな」
紬「うふふっ」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 06:37:21.20 ID:g2edIfxF0
烈(……これが、ドラム)
烈(おおよそ効果的に打ち込めると思われる箇所は、人間の急所に比べ、遥かに少ない……)
烈(もし、これだけしか急所を持たぬ人間が相手であれば、相当の苦戦を強いられるのは必至ッ)
烈(しかし、無機物相手ならば話は別だッ。思う存分に拳を叩き込めるッッ)
律「あ、言い忘れてた。おい烈、ドラムはこのスティックを使って……」
烈「不要ッッ」
律「……え? いや『不要ッッ』じゃなくてさ」
澪「ってまさか、拳で叩くつもりか!?」
唯「それじゃあ叩いても鳴らないと思うよ~。だって前に私が割り箸で叩いても鳴らなかったもん」
律「おい唯、後で話がある」
梓「ていうかダメです! 本気でやったら逆に怪我しますよ!」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 06:44:22.89 ID:g2edIfxF0
烈「……演舞の域を出ぬ技でも、無機物相手なら使えるというもの」
律「え」
烈「噴ッッ!!」
パァン!!
5人「………………」
烈「強すぎたか。叩く為の楽器であれば、ある程度には耐えられると思っていたが」
律「ちょ、ちょっ」
烈「ならば、少し威力を落とそう……玻ッッ!!」
パァン!!
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 06:50:51.35 ID:g2edIfxF0
律「う、うわぁぁぁぁ!!」
唯「お、おぉ~、凄いね烈っちゃん」
澪「感心してる場合か!」
烈「音速から少し速度を落としたが、それでも破裂したか……」
澪「ドラムはそういう楽器じゃないから! 太鼓みたいに強く叩くものじゃないんだ!」
烈「何、そうなのか。太鼓と同じだと言われたのでな」
律「わ、私のドラムがぁぁぁぁ!! うわぁぁぁぁぁん!!」
澪「ああ、律が泣いちゃっただろ! どう責任とるんだ!」
烈「む……対不起ッ」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 06:57:14.05 ID:g2edIfxF0
律「こ……」
紬「……律っちゃん?」
律「このやろうッッ」 ベチンッ
烈「………………」
唯「あぁっ、律っちゃん!」
梓「り、律先輩、暴力はいけないです!」
律「うぅ……私に何の恨みが……ちくしょうッ」ベチッ
烈「………………」
律「なんだよ……避けもしないのかよッ」
烈「私の見積が甘かった故の悲劇。不義は私にあるし、君の怒りはもっともだ」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 07:03:05.03 ID:g2edIfxF0
烈「このような有様では、私がここにいるわけにもいくまい」
律「………………」
烈「すまぬッ。弁償代については、空手道神心会へ連絡をくれ」
律「……待てよッ」
烈「?」
律「勝手に、逃げんなよ……」
澪「律……お前、もしかして」
律「おい烈。お前は私のドラムをぶっ壊したんだぞ」
烈「うむ……」
律「だったら、ドラムを弁償するのは当然だけどさ」
紬「律っちゃん……?」
律「それじゃあ誠意が足りないよな、唯!」
唯「うん! 私達を武道館に連れて行くぐらいのことは、しないとね!」
烈「…………!」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 07:10:31.28 ID:g2edIfxF0
梓「……もう! 2人共、人が良すぎですよ!」
澪「まったくだ……」
紬「でも、律っちゃんらしいと思うわ」
烈「……また、壊すかもしれんぞ」
律「そうならないように、練習するんだよ。『手加減』の練習だけどな!」
烈「だが、それを体得するまでは……」
律「烈専用ドラムを買えば、壊れてもお前が買い直すだけで済むだろ?」
紬「それに、父の会社の系列店に行けば、修理は無料でやってもらえるかもしれないわ」
梓「ドラムを破裂させるような腕力の持ち主、そういませんからね!」
律「……っていうのは、やっぱダメかな?」
澪「やれやれ……律がいいって言うなら、いいんじゃないのか?」
律「だってさ!」
烈「……お前達……すまぬ……ッ」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 07:16:29.49 ID:g2edIfxF0
律「そうと決まれば、まずはドラムの修理だな」
唯「それと、烈っちゃんのドラムも買わないとね~!」
澪「社会人だから心配ないとは思うが、お金はあるのか?」
烈「……それが、日本へ渡った時に路銀がほとんど底をつき……」
律「うわぁ……やっぱり私達とは違う世界に住んでるんだな……」
梓「今はどうやって生活してるんです?」
烈「神心会でコーチをする対価として、衣食住を提供されている」
澪「じゃあ、ほぼ無一文ってことか?」
烈「うむ…………」
唯「じゃあ、バイトだね!」
烈「バイト……?」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 07:27:17.13 ID:g2edIfxF0
律「ドラムの弁償代は神心会ってトコにお願いしていいのか?」
烈「一向に構わんッ」
澪「じゃあ、貯めるバイト代は烈のドラム代の分だけってことだな」
唯「6人もいると早く貯まりそうだね~」
紬「私は掛け持ちになるけど、頑張るわ」
烈「待てッ。これは私の持つ楽器の話だッ」
律「だから?」
烈「私が稼いだ資金で買わなければ、その意義も皆無となるッッ」
律「……やっぱりなー。お前も唯と同じか」
烈「何?」
澪「唯も、私達のバイト代は使えないから自分で出す、って言ったんだ」
唯「そんなこともあったね~」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 07:34:25.21 ID:g2edIfxF0
律「でも、ドラムってそんなに安くないぞ?」
澪「無一文からだと結構厳しいだろうな……」
烈「……神心会の館長に頼めば、金は都合してくれるかもしれん」
律「え、ホントか!?」
烈「ドラムは何を買えばいいか、全く分からんが……」
律「それは大丈夫、この律様にお任せだ!」
澪「不安すぎる……」
梓「でも、律先輩はドラムに関しては専門家ですから……ドラムだけですけど」
唯「律っちゃん、あずにゃんが律っちゃんのことをね~」
梓「わぁ!? や、やめてください唯先輩!」
紬「うふふ」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 07:41:02.00 ID:g2edIfxF0
律「それじゃあ、まずは……」
烈「ドラムの修理をせねば」
律「いや、それはこの後」
烈「む?」
紬「お茶、淹れ直したわよ~」
唯「あっ、今日はケーキだ!」
澪「あああ、また太ってしまう……」
梓「でも、やめられないんですよね……」
烈「……これは……」
律「おいおい、知らなかったのか?」
律「ウチのバンド名は『放課後ティータイム』だぞ!」
烈たちの戦いはこれからだ!
俺は所詮乗っ取りだから誰か続きを頼む。俺は寝るッッ
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