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ハルヒ「手作り弁当か…」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/08(火) 18:43:24.07 ID:5sWIOb070 [1/34]

キョン「ハルヒ、相談があるんだが…」

ハルヒ「なに?どうせろくでもないことなんでしょうけど」

キョン「長門の手作り弁当が食べたいんだが……」

ハルヒ「……あたしに言わないでよ」

キョン「いや……直接は言いにくいしな……」

ハルヒ「で、なに?あたしが有希に伝えればいいの?」

キョン「……そうしてもらえると助かる」

ハルヒ「しょうがない男ね……」

キョン「なんとでも言ってくれ」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 18:48:01.34 ID:5sWIOb070

ハルヒ「…というわけなんだけど」

長門「……」

ハルヒ「まぁダメよね、大体あんたなんかに弁当を作ってあげたいと思うような物好きは……」

長門「いい」

ハルヒ「え?」

長門「明日持ってくる」

ハルヒ「そ、そう」

長門「心を込めて作るから」

キョン「ありがとう長門!」 グッ

ハルヒ「そ、そう…」


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 18:51:10.57 ID:5sWIOb070

キョン「ハルヒもありがとな!お前のおかげだ」

ハルヒ「ええ…」

キョン「今度飯でも奢るよ!」

ハルヒ「ええ…」

キョン「うぅうぅ…楽しみだ……死んでもいい…」

ハルヒ「ええ…」

キョン「長門……ホントにありがとな……!」

ハルヒ「ええ…」


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 19:01:26.52 ID:5sWIOb070

キョン「あーしかし家の手伝いがあるから今日はこの辺で」

ハルヒ「ええ…」

キョン「悪い。じゃぁな、長門!」

長門「……」

ハルヒ「ええ…」


バタン


ハルヒ「ええ…」

古泉「涼宮さん」

ハルヒ「ええ…」

古泉「お気持ちは察しますが、気を確かに」

ハルヒ「ええ…」

古泉「涼宮さん本当は彼に作ってあげたかったんでしょう」

ハルヒ「ええ!?」


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 19:53:46.82 ID:5sWIOb070
――――――――――
――――


キョン「おぃっす」

古泉「どうも…」

キョン「どうした古泉?顔に痣があるぞ?」

古泉「ええとですね…」

ハルヒ「……」 ギロッ

古泉「……昨日家で転びましてね」

キョン「そうなのか?」

古泉「えぇまぁ……気にしないでくださぃ」

キョン「そうか、まぁ余計な詮索はするまい」

ハルヒ「……」


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 20:04:35.57 ID:5sWIOb070

キョン「長門、今日はありがとよ」

長門「いい」

ハルヒ「……」 カチカチ

キョン「たまごやき美味しかったな、これは卵焼きに
     対する考えを大幅に改めなければならないかもしれん」

長門「そう」

キョン「唐揚げも、天国に行けば食えると思ってたぐらいの美味さだったぞ」

長門「……これから毎日作るから」

キョン「毎日は悪いな…」

ハルヒ「そうよ……」 カチカチ

キョン「え?」

ハルヒ「やっぱりこれは陰謀だったのよ…」 カチ

キョン「……また変なサイト見てるのか」


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 20:14:44.45 ID:5sWIOb070

長門「いい、私が作りたいから作る」

キョン「そうなのか?…そりゃ嬉しいな」

ハルヒ「……」 カチ


キョン「長門?」

長門「なに」

キョン「明日から一緒に食おうな」

ハルヒ「……」 ガキッ


長門「そう」

キョン「それがいい」

長門「嬉しい」

キョン「!……俺もだぞ」

ハルヒ「……」 バキッ


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 20:23:42.53 ID:5sWIOb070

キョン「ん?お前そのマウスどうした?」

ハルヒ「割れちゃったみたい……不良品ね。古泉君、新しいの買っといて」


キョン「長門……これから有希って呼んでいいか」

ハルヒ「ダメ!!」

キョン「…っ!?」

ハルヒ「あぁ……負けちゃった……」

キョン「…5目並べ?」


長門「そう呼んでもいい」

キョン「そうか?有希……はは…実はずっとそう呼びたくて仕方なかった」

長門「そう」

キョン「有希」

ハルヒ「……」 ガキガキッ


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 20:35:25.83 ID:5sWIOb070

キョン「ん?お前そのキーボードどうした?」

ハルヒ「キーが外れちゃった……これも不良品。古泉君、新しいの買っといて」


キョン「有希、」

ハルヒ「ひいぃいぃ!!!」

キョン「なんだ!?」

ハルヒ「この動画ドッキリだった……もう…」 カチカチ


キョン「有希、本だけじゃなくて、たまには映画でもどうだ?」

長門「わかった」

キョン「…あー、そういう時は『行く行く』とか、せめて『うん』って言うんだ」

長門「行く行く」

キョン「ん……まぁいい、今度また連絡するからさ」

長門「うん」

キョン「おう」


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 20:45:23.16 ID:5sWIOb070

キョン「昨日は先帰って悪かったな、有希、今日は一緒に帰ろうな」

長門「うん」

ハルヒ「……」

キョン「なぁ、やることないなら、俺と長門で先に帰っていいか?」

ハルヒ「んん……」

キョン「有希、帰ろう」

長門「うん」


ガチャッ

キョン「じゃぁな、お疲れ」

朝比奈「お疲れ~・・・」


バタン


ハルヒ「……」 カチカチ


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 20:55:14.16 ID:5sWIOb070

古泉「…涼宮さん」

ハルヒ「……」


古泉「涼宮さん?」

ハルヒ「……」 バキッ

古泉「ひぃ!すみません!なんでもないえす!」


ハルヒ「古泉君?」

古泉「な、なんでしょうかねぇ!?」


ハルヒ「……」

古泉「……」


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 20:56:39.81 ID:5sWIOb070

ハルヒ「古泉君……」

古泉「はぃ」

ハルヒ「ちょっと『ハルヒ』って言ってみてくれる?」

古泉「はっ…?」

ハルヒ「いいから」

古泉「…ハ、ハルヒ」

ハルヒ「わかった…もういい……」

古泉「は、はぁ……」


ハルヒ (キョンに最後に『ハルヒ』って呼んでもらえたの、いつだったかな……)


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 21:10:03.28 ID:5sWIOb070
――――――――――
――――


キョン「よう、元気か?」

ハルヒ「……」

キョン「なんだ、今日は具合でも悪いのか」

ハルヒ「別に…」

キョン「お前、最近元気ないよな」

ハルヒ「……」

キョン「おい」

ハルヒ「……」


キョン「…ハルヒ?」

ハルヒ「え?何?」

キョン「いや…なんでも…」

ハルヒ「……」


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 21:23:13.57 ID:5sWIOb070
――――――――――
――――


キョン「さて!やっと昼休みか!」

ハルヒ「……」


キョン「よし!」

タッタッタ




ハルヒ「……マヌケ面」


トボトボ



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 21:26:09.93 ID:5sWIOb070

ハルヒ (古泉君のクラスは……ここね……)

ガラガラッ

古泉『はは、いえいえそんなことは…』

ハルヒ「古泉君!」

古泉「ブホッ」

(あれ誰…?) ザワザワ

(5組の涼宮でしょ……)

(あぁアレが……いっちゃんも大変ね……)

古泉「…ちょっと失礼」

スタスタ

ハルヒ「……」

古泉「なんでしょうか」

ハルヒ「ちょっと屋上に来なさい!」

古泉「えぇ!?」

ハルヒ「いいから」 グッ

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 21:39:49.40 ID:5sWIOb070

ハルヒ「……」

古泉「あ、あの…す、すみませんでした!」

ハルヒ「えっ?なんのこと?」

古泉「い、いえ、とりあえず謝っておこうと…」

ハルヒ「このあいだはゴメンね」

古泉「な、なんのことでしょう」

ハルヒ「殴りつけたりなんかして」

古泉「いえ…気にしてませんから」


ハルヒ「……図星だったのよ」

古泉「……」

ハルヒ「それで……」


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 21:44:50.15 ID:5sWIOb070

ハルヒ「それで……その御詫びって言っちゃ…なんだけど…」

古泉「いえいえお気になさらず、僕も無遠慮な事を…」


ハルヒ「お弁当作ってきたの、食べて」

古泉「えっ……?」

ハルヒ「ううん、一緒に食べて欲しい……かな…」

古泉「……」

ハルヒ「ちゃんとシートも持って来たから、ここで…」

古泉「……」

ハルヒ「あの……」


古泉「……いいですよ、ぜひ」

ハルヒ「うん」


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 21:54:25.83 ID:5sWIOb070

ハルヒ「……おいしい?」

古泉「……ええ」

ハルヒ「そう……よかった」

古泉「あの…」

ハルヒ「なに?」

古泉「余計なこととは思いますが…」

ハルヒ「うん」

古泉「これは彼のために…」

ハルヒ「……」

古泉「い、いえ!御気になさらず!独り言ですから!」


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 21:59:58.90 ID:5sWIOb070

ハルヒ「……」

古泉「…あの?」

ハルヒ「ねぇ…あの木陰に居るの……」

古泉「……」

ハルヒ「……」

古泉「彼と長門さんですね」

ハルヒ「楽しそうね」

古泉「いえ、いつもの二人ですよ」

ハルヒ「そうかな…」

古泉「ええ、はい」


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 22:04:39.56 ID:5sWIOb070

古泉「やはり…これは彼を思って……」

ハルヒ「彼って?」

古泉「長門さんと一緒にご飯を食べている彼ですよ」

ハルヒ「彼?」

古泉「えぇ……あぁ……ええ…キョン君ですよ」

ハルヒ「…あっはは、”キョン君”だって、おっかしいわよ」

古泉「すみませんね!」


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 22:11:39.23 ID:5sWIOb070

ハルヒ「クス……」

古泉「……」

ハルヒ「バカよねあたし…いつかは……渡そうって思って…毎日練習して……」

古泉「そうでしたか…」


ハルヒ「実は二人分作ったのは今日が初めてなのよ…」

古泉「……」

ハルヒ「作ろうとして、自分でなんか恥ずかしくなっちゃうから…」

古泉「……」


ハルヒ「でも今日はなんで作る気になったかというと……」

古泉「……」


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 22:19:32.34 ID:5sWIOb070

ハルヒ「…幸せそうね…あの二人…」

古泉「そんなこと……涼宮さんは…」

ハルヒ「ううん、いいのよ……二人が幸せならそれで……」

古泉「しかし…」


ハルヒ「こんなの一時の気の迷いなのよ……ほんとにそう……」

古泉「……」

ハルヒ「だから…」

古泉「……」

ハルヒ「だから……よかったのよ、これでね!」


威勢の良い言葉とは裏腹に、涼宮さんの顔はどこか曇っている。


彼らがキスを交わしていた。



ハルヒ「さ、食べて食べて!」


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 22:30:14.61 ID:5sWIOb070
――――――――――
――――


バン!

ハルヒ「みんなおまたせー!」

古泉「どうも」

ハルヒ「あれ?古泉君だけ?」

古泉「ええ、まぁ」

ハルヒ「そう……最近みんなだらしないわね……」

古泉「そのうち来ますよ」


ハルヒ「そうかな……」

古泉「はい?」


48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 22:32:09.35 ID:5sWIOb070

ハルヒ「なんか……このまま誰も来なくなるような…そんな気がする」

古泉「そんなわけないですよ、大丈夫です」

ハルヒ「ふふ…」

古泉「はい?」

ハルヒ「古泉君っていつもあたしの機嫌うかがってるわよね」

古泉「い、いえ……まぁそれは……つまり……」


ハルヒ「クスッ…」

古泉「…そんなつもりは無いというか……ええ…まぁ……」


ハルヒ「あたしのこと好きなの?」

古泉「それはどうでしょう……ね…」

ハルヒ「ふーん……」

スタスタ

ハルヒ「……」
古泉「……あの」


49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 22:38:00.18 ID:5sWIOb070

ハルヒ「あたしは嫌いじゃないかな…」 スッ…


そういって僕に抱きついた涼宮さんは、とても小さく思えた

僕との身長差を考えれば、至極当然の高さ関係なのだけれど


前までは意気揚々とした涼宮さんの意欲と気力オーラが

僕との身長差を感じさせないほどの存在感を生んでいただけ


ハルヒ「ごめん……なんか…あたしダメになっちゃったみたい…」

古泉「今日はお休みになった方が」

ハルヒ「それは……」


ハルヒ「……そうね、誰も来ないし」


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 22:45:34.96 ID:5sWIOb070

ハルヒ「ペン貸してくれる?」

古泉「はい」

サラサラ

『今日は休み!』


ハルヒ「んじゃこれドアに貼り付けとくから」

スタスタ…

古泉「あの、鞄」

ハルヒ「……」

ガチャン

バタン


スリガラス越しに涼宮さんが貼り付けているのが見える

僕は窓が閉まっているのを確認し、電気を消して、
鍵掛けから部屋の鍵を取った


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 22:49:15.45 ID:5sWIOb070

ガチャ

古泉「あぁ涼宮さん、これを」

ハルヒ「……」

バタン……カチャン


古泉「えぇ?」

ハルヒ「……」

古泉「あの…帰るのでは…」

ハルヒ「……」 ギュウ

古泉「涼宮さ――」

ハルヒ「んっ」

古泉「!……」

ドサッ


鞄が床に落ちた音がした


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 22:58:06.94 ID:5sWIOb070

ハルヒ「んん……」

古泉「ふ……」


ハルヒ「お願い……古泉君……」

古泉「何を……」


ハルヒ「そこの机でいいから……」

古泉「いえ…それは…」


ドサッ!

古泉「っ……」

ハルヒ「ごめん…」


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 23:06:55.44 ID:5sWIOb070

古泉「涼宮さん……」

ハルヒ「ハルヒって呼んで……あたしもイツキって呼ぶ……呼ぶから……お願い…」

古泉「僕には……」

ハルヒ「……」


古泉「僕には彼の代わりは無理ですよ…」

ハルヒ「代わりじゃない!」

古泉「……」


ハルヒ「代わりじゃ………ない………」


58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 23:10:06.30 ID:5sWIOb070

僕らは体を交わした

涼宮さんはずっと泣いていて

後ろめたさと罪悪感を伴ったが


涼宮さんの綺麗な身体と、美しい顔立ちに

僕はそれらの感情から目を背けることができた


60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 23:24:52.61 ID:5sWIOb070

ハルヒ「今日はあたしに付き合ってくれてありがと」

古泉「ええ……」

ハルヒ「今日はこれで」

古泉「ええ……」

ハルヒ「先に帰ってていいわよ?」


古泉「え?いや、一緒に」

ハルヒ「いいの……先に帰ってて」

古泉「はぁ」

ハルヒ「一人になりたい時もあるのよ」

古泉「それはそうですけど」


ハルヒ「ほら、行った行った!」


61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 23:33:20.69 ID:5sWIOb070

ガチャ

古泉「では、お先に」

ハルヒ「うん」

古泉「……」

ハルヒ「ありがと……みんなにもそう言っといて」

古泉「え、はい……?」


ハルヒ「じゃあね………古泉君。」


古泉「えっ……?」

バタン

古泉「な……」


カチャン


鍵の閉まる音がした


62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/08(火) 23:45:45.03 ID:5sWIOb070

古泉「っ……開けてください!!!」

ドンドン!!

古泉「開け――」


嫌な感じがした僕は、とっさにハサミを取り出し、気づいたときには
ハサミの先をドアの窓ガラスに、殴りつけるように叩きつけていた

パン!!

割れたガラスの向こうに、団長机に座った、涼宮さんの驚いた表情が見えた

僕は手を突っ込み、急いで鍵を開ける


古泉「何やってるんですか!」

涼宮さんの手首から血が流れていた


ハルヒ「もう…いいのよ……」

古泉「……」

ハルヒ「もう……いい……」


66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/09(水) 00:01:22.42 ID:5sWIOb070

ハルヒ「何やってんだろあたし……」

古泉「涼宮さん…」


ハルヒ「やっぱりあなたは……ハルヒって呼んでくれないのね」

古泉「あ…いえ…しかし…そんなことより……いくらなんでもこんな……」


ハルヒ「いいの、どうせ人はいつか死ぬのよ……それなら……ここでいい……」

古泉「……」

ハルヒ「生まれて初めて……心の底から楽しいって思えたSOS団……その部室で…」


古泉「駄目です!なんで…こんな所で……ひとり死ななきゃいけないんですか!」

ハルヒ「ありがと……でもね…」


ハルヒ「……ここで止めたとしても……自分の部屋で、死ぬだけよ」

古泉「……」

ハルヒ「それならここで………ここで死なせて……お願い…
     これがあたしの………最後のわがまま……………」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/09(水) 00:10:24.91 ID:TE3yIvzN0 [1/43]

手首の切り傷が固まり始めていた

人は自分ではなかなか死ねない


ハルヒ「じゃあね……もう出てって。見せたくない……見たくないでしょ…?」

古泉「……」


でも僕は動かない


古泉「こんなところで人知れず死ぬなんて寂しすぎます……」

ハルヒ「いいのよ……人は…みんな死ぬときはひとりなんだから……」


古泉「そんなわけない…そんなことはない……!」


ハルヒ「それなら……」




ハルヒ「あなたが殺してくれるの……?」


71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/09(水) 00:13:34.49 ID:TE3yIvzN0 [2/43]

その現実感の無い言葉に、僕は押し黙った

涼宮さんは諦めたように、憂いの表情を浮かべ
顎を上へ向け、ナイフを自分の首元に当てた

涙がこぼれて頬を伝った
口は開いていて、笑っているようにも見えた

古泉「っ……」


僕は走り寄ってナイフを取り上げ

涼宮さんの背中に回り

首にナイフを当てて………構えた


ハルヒ「うぅ……ありがとう…古泉くん……」

そういって振り向いた彼女

僕は体を乗り出し、彼女に口付けをして

それから


僕は一気にナイフをひいた


72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/09(水) 00:14:51.32 ID:TE3yIvzN0 [3/43]

僕のナイフを持つ腕を

震える手がそっと握りしめていた



ナイフを引き抜く

優しく握っていた手が

床に向かってすべり落ちていった


僕はナイフを床に放り捨て

彼女の体をしっかりと抱き寄せた


暖かく、柔らかい彼女の体



せめて僕だけは

こうして見守っているから

孤独に死ぬことはないのだと


75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/09(水) 00:16:31.40 ID:TE3yIvzN0 [4/43]

でも彼女は死なない
そんな気がする

これは超能力者としてではなく
人間として

まるで休んでいるかのように
目を閉じて座っている彼女を見て

きっとどこか新しい世界で
僕の思う彼女がそこに居て
安息の日々を送っていくのだと


そう願わずに居られない
ただそれだけだ


世界の終わりを感じた僕は

そっと目を閉じた



おわり


79 名前: ◆MrVMitHawk [] 投稿日:2010/06/09(水) 00:18:30.25 ID:TE3yIvzN0 [5/43]

バッドエンドも書いてみようかなと
次は似たようなノリでハッピーエンドにするよ

本当にありがとう
次回作にご期待くださいw

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