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紬「側にいて…」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 12:24:11.42 ID:4er62LpZO
[弁護士田井中律刺殺]
私は車の中で何度も新聞紙の記事を読み返す。
もう、百回以上読み返しているが未だに信じられない。
車の中から外を見ると少女が五人歩いている。
笑顔で何かを話しながら。

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 12:29:27.43 ID:4er62LpZO
高校時代だが私も長い距離をみんなと歩いた。
私の高校時代の思い出で1番印象深い出来事だ。
りっちゃんの葬式に行く前に私は思い出そう。
あの日の事を…。


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 12:35:46.02 ID:4er62LpZO
あれは高校最後の合宿から帰るつもりだったが、前日の日にみんなが寝坊して帰る家に帰る唯一のバスに遅れてしまった。

澪「ど、どーしよう…」

律「ま、まだ夕方だしバスもう一本ぐらい来るって!」

梓「でも…バスの予定表には何も書かれてませんよ…」

:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 12:38:14.62 ID:4er62LpZO
唯「もう!昨日子供みたいにはしゃぐからだよ!」

澪「おまえが言うな!」

紬「ふふっ…まぁまぁまぁまぁ」

私はみんなの何時ものやり取りを見て少し笑った。

律「でも…バスが一本だけだなんて…流石田舎だな」

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 12:41:55.17 ID:4er62LpZO
唯「どーやって…帰ろうか」

梓「電車とかタクシーはどうですか?」

律「この辺に駅も無いしタクシーで家に帰ったら……」

澪「お金がなぁ……」

紬「どーするの?」

律「歩くしか無いよなぁ…」

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 12:46:29.13 ID:4er62LpZO
唯「ふわぁ~歩くの?此処からじゃ凄い距離だよ」

澪「一晩かけて歩いてもたどり着くかどうかだよなぁ…」

律「……あれこれ考えても仕方ないぞ!よーし歩くか!」

梓「遠足みたいに言わないで下さい…」

みんなはどうか知らないけど私は歩く事に大賛成だった。


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 12:49:23.67 ID:4er62LpZO
紬「みんな歩こう…ね?」

律「……だな!よーし出発するぞ」

梓「仕方ないですね…皆さん頑張りましょう!」

唯「はぁ~い」

澪「はぁ…もうすぐ夜になるのに…」

律「大丈夫!」

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 12:54:12.16 ID:4er62LpZO
私達は歩き出した。
一人一人雑談をしながら歩いた。
家までの距離は長くて不安だったけど。
私はそれ以上にこの状況が嬉しくてたまらなかった。


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 12:56:04.53 ID:4er62LpZO
唯「あずにゃんアメちゃん食べなよ!」

梓「ありがとうございます」

唯「美味しい?」

梓「甘い……」

唯「ムギちゃんもアメちゃん食べる?」

紬「えぇ…いただくわ」

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 12:59:33.23 ID:4er62LpZO
唯「ムギちゃん合宿楽しかったね!」

紬「うん!でも唯ちゃん家に帰るまでが合宿よ」

唯「ムギちゃん学校の先生みたいだね!」

律「確かに…ムギって子供好きそうだよな」

紬「えぇ…とっても好きよ」

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 13:03:19.75 ID:4er62LpZO
梓「なんだかムギ先輩が子供と遊んでるの想像出来ますね」

澪「おぉ…本当だ簡単に想像出来る」

律「保母さんとか似合いそうだもんなムギは」

紬「わ、私が保母さん!」

唯「泣いてるあずにゃんを慰めるムギちゃん!」

梓「私は子供じゃありません!」


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 13:06:22.24 ID:4er62LpZO
澪「いいんじゃないか?保母さん」

紬「でも…人の子供を預かるなんて怪我でもさせたら…」

唯「えへへ~ムギちゃんの優しさだったら大丈夫だよ」

律「……だな~優しいもんなムギは」

紬「み、みんな…」


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 13:09:11.44 ID:4er62LpZO
唯「りっちゃんは……………」

律「ちょっと待て!何で黙るんだよ!」

澪「保母さんなんて似合わないよな…」

律「私も弟いるし!子供好きなんだぞ」

梓「あまり想像出来ませんね…」

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 13:12:10.49 ID:4er62LpZO
澪「律は無いのか?将来の夢」

律「私は………無いな」

唯「りっちゃん頑張ってね!ニートになっちゃダメだよ」

律「おまえが1番心配なんだけどな…」

紬「でも…りっちゃんがスーツなんて着てたら何だか新鮮な感じしない?」

梓「スーツを着てる律先輩……」


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 13:15:35.01 ID:4er62LpZO
律「私もスーツを着てる自分が想像出来無いかな……アハハ」

唯「落ち込むなりっちゃん隊員まだ道はあるさ!」

紬「どんな仕事がしたいの?」

律「んー…例えばパソコンをカタカターって打つより悪人をこうバサーッってそんな仕事がしたいな~」

澪「どんな仕事だよ!」

紬「だったら弁護士とかどうかしら?」

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 13:18:24.77 ID:4er62LpZO
梓「異義あり!って言ってる律先輩……」

律「弁護士か…いいな!弁護士よーし弁護士になるぞ!」

唯「頑張ってね!」

澪「でも難しいんだぞ弁護士になるの」

律「ですよねー…」

紬「りっちゃんなら大丈夫よ絶対なれる!」


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 13:21:02.93 ID:4er62LpZO
律「そう!私に不可能は無いのだ!」

澪「切り替え早いな…」

唯「お金持ちになって私を養ってね!」

律「おーう全員養ってやるから待ってろ!」

紬「うふふ…頑張ってね」


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 13:24:14.72 ID:4er62LpZO
唯「それより…随分歩いたよね…」

澪「まだ1時間間も歩いてないぞ」

梓「本当ですか?…結構歩いたような気がしたんですけどね」

紬「たまには…いいと思うわ」

律「な…何が?」

紬「こうして…歩いて話すのも」

唯「普段はティータイムしながら話してるからね~私も何だか楽しいもん」

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 13:28:56.82 ID:4er62LpZO
澪「さっき遠足って梓が言ってたけど本当にそんな感じがするよな」

紬「えぇ!」

唯「懐かし~い感じ」

律「歩いて正解だったな!」

梓「そう……なんですか?」

唯「正解だよ!」


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 13:33:30.47 ID:4er62LpZO
律「でも…確実に明日は筋肉痛になるよなー」

唯「だよね、筋肉痛になるの久しぶりな感じがするから少し楽しみだな」

澪「痛いし…いい事無いぞ」

律「あ……」

唯「どーしたの?」

律「いい事思い付いたんだ!」


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 13:36:09.36 ID:4er62LpZO
律「なぁなぁ澪」

澪「………ん?」

律「昨日ドラムの練習してたら手の豆が…ほら!」

澪「きゃああああ!」

律「よーしみんな!澪が怯えてるうちに走れー!」

唯「おーーー!!!!」


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 13:38:43.60 ID:4er62LpZO
梓「ちょ…ちょっと待って下さい!」

澪「見えない聞こえない見えない聞こえない…」

唯「はぁはぁはぁ…」

律「余計な体力使ったな……」

梓「澪先輩置いて走ってどーするんですか!」

紬「澪ちゃーーん!」

澪「あれ?……みんな」


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 13:41:21.11 ID:4er62LpZO
澪「いた……律!!」

律「追い掛けて来るぞ!みんな逃げろー!!」

唯「おーーー!!!!」

紬「おーーー!!」

梓「あ…ちょ…律先輩」

澪「律待てー!!」

律「逃げろ逃げろー」

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 13:44:33.84 ID:4er62LpZO
澪「はぁはぁはぁはぁ」

律「つ…疲れた……」

梓「喉渇きました…」

紬「はい、梓ちゃんお茶よ」

梓「ありがとうございます…」

唯「次は私にも……」

紬「えぇいいわよ」


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 13:58:18.84 ID:4er62LpZO
紬「さぁ!早く歩きましょう」

律「もうちょっと休ませて…」

唯「ムギちゃん…体力あるよね…」

梓「律先輩…はしゃぎ過ぎです」

律「ごめんごめん…あ、ムギお茶くれ」

紬「はい、どーぞ」

律「ありがと…」


36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 14:14:50.38 ID:4er62LpZO
律「よーし喉も潤ったし行くか」

梓「澪先輩、今何時ですか?」

澪「えーと…6時だな」

唯「もう6時!急ごうよ!」

紬「その前にパンがあるから食べましょう」

律「わかった!歩きながら食べようぜー」


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 14:26:39.95 ID:4er62LpZO
唯「私クリームパン!」

紬「全部クリームパンよ唯ちゃん」

唯「そ、そーなんだ…」

澪「でも何でパンなんか持ってたんだ?」

紬「帰る時にお腹が空くと思って持って来たの」

唯「私もそう思ってアメちゃん持って来たんだよ!はいあずにゃんアメちゃんあげる」

梓「口の中にクリームパン入ってるから後で貰います」


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 14:40:56.46 ID:4er62LpZO
律「美味いなぁ…これだけしか無いのか?」

紬「ごめんなさーい、もう無いわ」

唯「ムギちゃんは食べ無いの?」

紬「私は…あ、後から食べるの」

唯「そーなんだ~」

紬「唯ちゃんアメ貰っていい?」

唯「うん!いいよ!」

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 14:53:07.88 ID:4er62LpZO
唯「ギー太重い…」

紬「少し持つわよ?」

唯「ううん…大丈夫だよ!」

紬「本当に?」

唯「うん!……あ」

紬「どーしたの?」

唯「私ムギちゃんにお金返して無いよ…」

紬「お金なんて借してた?」

唯「ギー太のだよ!」

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 15:05:43.59 ID:4er62LpZO
紬「あ…あの時の?」

唯「うん!ごめんね…必ず返すから待っててね!」

紬「だ、大丈夫よ!唯ちゃん」

唯「ううん…ムギちゃんのおかげでギー太買えたんだから返さなきゃ!」

紬「わかったわ…ゆっくりでいいからね?」

唯「うん!絶対ぜっーたい返すからね!」

46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 18:04:21.91 ID:4er62LpZO
唯「澪ちゃん達も三人で話してるね」

紬「こうしてみると何だか夫婦みたいね~」

唯「わぁぁ!本当だぁあずにゃん子供みたい!」

紬「りっちゃんはお父さんで澪ちゃんはお母さんね!」

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 18:09:39.81 ID:4er62LpZO
唯「私達も混じろうよ~」

紬「えぇ…そうね」

梓「唯先輩…」

紬「何話してるの?」

澪「次の新曲の歌詞を考えてたんだよ」


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 18:14:33.80 ID:4er62LpZO
紬「タイトルは?」

澪「ほら、ムギがこの前新しく曲を作って来ただろ?」

律「ハニースイートティータイム」

唯「歌詞出来たの?」

澪「それがまだなんだ…」


49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 18:19:38.28 ID:4er62LpZO
澪「だからせっかくの機会だからみんなにアドバイスを聞こうと思ってな」

律「うん!うん!」

澪「後でムギや唯にも聞こうと思ってたんだ」

紬「そうだったんだ…大変だろうけど頑張ってね」

唯「何時でも力になるからね!」

澪「あぁ…ありがとう」


50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 18:26:21.89 ID:4er62LpZO
紬「でも…もうみんなと放課後でティータイム出来なくなるのね」

澪「卒業だからな…」

律「なーに言ってるんだよ!卒業したって高校が別々になっても出来る!」

紬「りっちゃん…」

唯「ほら!放課後ティータイムの証のキーホルダー!これさえあればみんなずっと一緒だよ!」

梓「そうですよね……そうですよね…うぅ…ひぐっ…」

唯「ど、どーしたの!!あずにゃん」

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 18:40:36.55 ID:4er62LpZO
梓「私…不安なんです…部長になる事…」

唯「大丈夫だよ!あずにゃんなら出来るよ…だからね?泣かないで」

梓「それだけじゃないんです……」

律「他に何か不安なのか?」

梓「怖くて……」

紬「何が怖いの?」

梓「私が三年生になって…誰も軽音部に入る事無く廃部になる事が…怖いんです」


56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 18:49:03.24 ID:4er62LpZO
澪「梓……」

梓「もし…誰も入ら無くて廃部になったら……みんなに申し訳無いです」

唯「あずにゃん……」

律「大丈夫だよ梓…廃部になっても誰も梓を責めるなんて事はしないよ」

紬「だから…もし廃部になっても謝らなくていいからね」

梓「…………はい」


57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 18:55:39.41 ID:4er62LpZO
澪「ほら、梓ハンカチ」

梓「ありがとう…ございます」

唯「でも…もし廃部になりそうだったら憂を派遣するよ!」

梓「唯先輩……」

律「よーし…だいぶ暗くなって来たし早めに歩くぞー」

澪「だな…もう8時だ」

紬「………………」

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 19:07:34.78 ID:4er62LpZO
唯「ムギちゃんなんか暗いよ?」

紬「そ、そうね…外暗くなって来たわね~」

唯「違うよ~ムギちゃんが暗いんだよ!」

紬「え、あ…私が?」

唯「疲れたの?」

紬「ううん…そんな事無いわ元気よ!ありがとう唯ちゃん」

唯「どーいたしまして!」


60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 19:19:50.85 ID:4er62LpZO
律「そーいえばムギは女子大に行くんだよな?」

紬「えぇ…そうよ」

澪「お互い違う大学になるんだろうけど頑張ろうな!」

紬「そうね!唯ちゃんとりっちゃんは大学はもう決まったの?」

唯「まだ決まって無いよ…」

律「同じく!」

梓「威張って言う事じゃないですよ!」

62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 19:26:26.37 ID:4er62LpZO
澪「お前ら本当にニートになるぞ」

唯「だいじょーぶ!」

律「もう…澪と同じ学校に行くか!」

澪「わ、私と?」

律「腐れ縁って奴だよ!」

紬「流石、幼なじみね~」


63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 19:31:12.39 ID:4er62LpZO
唯「じゃあ私も和ちゃんと一緒の大学に…」

梓「ほ、本当にそんなんでいいんですか?」

律「先の事なんかわからないしな~」

唯「そーだよね~」

紬「二人共頑張って進路決めてね!」

律唯「おーーー!」


64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 19:40:49.10 ID:4er62LpZO
澪「でも…本当に明日の事何て誰も分から無いよな…」

律「明日、私が死んじゃうかもしれないしな~」

唯「え!嫌だよぉ」

律「冗談だよ冗談!」

唯「よかったぁ~」


65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 19:52:50.05 ID:4er62LpZO
律「でも、もし死んだら死体の中でも1番カッコイイ死体になりたいなぁ~」

紬「わぁ~りっちゃんカッコイイ!」

澪「どーしたんだいきなり?」

律「ど、どーも無いよ!」

梓「かっこよかったですよ」

唯「うん!」


66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 20:03:00.99 ID:4er62LpZO
律「だぁぁぁ言わなきゃよかったぁぁ!」

紬「照れてるわね~」

唯「りっちゃん女の子っぽい!」

律「失礼な!身も心も女の子だぞ!」

梓「そーいえば律先輩のカチューシャ外した姿ってあまり見た事無いですよね」

唯「外して見てよ!」

68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 20:08:18.45 ID:4er62LpZO
律「ど、どーしよっかな~」

唯「いーじゃん!」

紬「私も見たいわ~」

澪「そういえば私も久しく見て無いな」

梓「外して見て下さいよ!」

律「そんなに注目されると…なんか外しずらい」


69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 20:15:21.68 ID:4er62LpZO
律「よーし早く先に進むぞー!」

梓「あ!話しそらした!」

律「カチューシャ離さ無いからな!絶対」

澪「す、少しだけ見たいな…」

紬「ちょっとだけでいいから!」

律「ダーメ!ほら行くぞ!」

唯「ケチー!」

71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 20:23:23.05 ID:4er62LpZO
澪「うわっ!!」

梓「どーしたんですか?」

澪「もう9時になってる…」

律「日付が変わる前に帰りたいよな…」

唯「多分、後半分くらいだよね!」

紬「えぇ…頑張りましょう!」


72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 20:29:26.82 ID:4er62LpZO
唯「足が痛いよ…」

梓「頑張って下さい!」

唯「ギー太も歩かないかな…」

澪「無茶言うなよ…」

律「あ…チョコレートだ!鞄の中にチョコレートがあったぞ」

唯「食べよ!食べよ!」


73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 20:39:51.32 ID:4er62LpZO
段々と家までの距離が短くなって来ている。
あの時の私はもう少しみんなと歩いて喋りたいと思っていた。
それに不安だった。
私が今まで過ごして来た中で1番の友達と離れるのが不安だった。
このまま大学へ行き何も話さ無くなる会えなくなる。
こんな事になるんじゃないかって…私は本当に不安で胸が痛かった。


74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 20:47:36.81 ID:4er62LpZO
紬「ねぇ…みんな…」

律「どーしたんだ?」

紬「みんな違う大学へ行っても……私達一緒だよね?」

唯「当たり前だよ!」

紬「私…不安なの…みんなと離れるのが……とっても不安なの」

76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 21:01:10.83 ID:4er62LpZO
紬「みんなと一緒なら何でも頑張れるの…何も怖い事なんかないの」

唯「ムギちゃん…」

紬「夜になって辺りは暗くなって月明かりしか見えなくても…怖くない」

澪「ムギ……」

紬「怖くないの…みんながいてくれさえすれば…みんなが側にいてくれさえすれば怖い物なんか無いの」


77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 21:08:22.94 ID:4er62LpZO
紬「私が今見上げてる空が崩れ落ちて来てもね、それとも、あの山が崩れて海になっても」

梓「ムギ先輩…」

紬「私は泣かないわ…一粒だって涙なんか流さない…みんながいてくれさえすれば…怖く無いから…」

律「ムギ……」

80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 21:12:12.33 ID:4er62LpZO
紬「側にいて…」

律「あぁ…わかった」

紬「みんな私の側にいて私を支えて欲しいのダメな私を…支えて欲しいの」

唯「ダメなんかじゃないよ!」

紬「ありがとう…唯ちゃん」

82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 21:17:12.16 ID:4er62LpZO
紬「みんなが困ってる時はいつだって私の側にいて…側にいてほしい」

澪「約束するよ」

梓「……側にいます!」

紬「みんなありがとう…だから側にいてね…私が支えてあげるから」

律「放課後ティータイムは永遠不滅だからな…いつだって側にいてやるよ!」

紬「ありがとう…本当にありがとう…」


83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 21:22:39.98 ID:4er62LpZO
澪「……着いたな」

律「そうだな…じゃあみんなここで解散って事で…いいよな?」

梓「はい…何だか疲れました…けどとっても楽しい時間でしたよ!それじゃあさようなら」

唯「バイバイあずにゃん!」

梓「はい…さようなら」


84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 21:29:07.50 ID:4er62LpZO
唯「私も帰るよ!憂が待ってるから」

紬「さようなら唯ちゃん…」

唯「うん!バイバイ、ムギちゃん澪ちゃんりっちゃん、また遊ぼうね」

澪「あぁ…気をつけて帰れよ」

唯「わかってるよ!バイバ~イ」

86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 21:33:42.52 ID:4er62LpZO
紬「私も帰るわね…」

澪「じゃあなムギ」

律「気をつけてな!」

紬「ありがとう…さようなら、りっちゃん澪ちゃん」

澪「さようなら!」

律「ムギちょっと待って!」


87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 21:37:29.71 ID:4er62LpZO
紬「どうしたの?」

律「私達ずっーーと一緒だからな!放課後ティータイムは不滅だからな!」

紬「えぇ…」

律「だから…不安になった時は何時でも電話掛けて来いよな」

紬「ありがとう…りっちゃん」

律「それじゃあ…私達も行くからな…また会おう」

澪「じゃあなムギ」

紬「さようなら…二人共」

89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 21:45:54.24 ID:4er62LpZO
その後、私は高校を卒業して大学に行った。
月日が経つにつれてみんなと会わなくなり……私もみんなの事をほんの少しだけ忘れる事があった。
でも…今日はみんなと会える。
りっちゃんもきっと喜ぶだろう。
私は車のエンジンを掛ける前に、もう一度新聞を読み返した。

紬「行こう……」


90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 21:50:50.74 ID:4er62LpZO
葬式会場に着いた私はまず先にりっちゃんな元へと向かった。

紬「……りっちゃん」

綺麗な顔をして眠っていた。
前髪を下ろして…本当に綺麗だ。

紬「久しぶり…りっちゃん」

りっちゃんは綺麗でそれでいて…かっこよかった。
本当にこの世界で1番カッコイイ死体だ。


91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 21:55:42.54 ID:4er62LpZO
澪「ムギ…か?」

紬「……澪ちゃん?」

澪「久しぶりだなムギ元気か?」

紬「えぇ!元気よ」

澪「律も喜んでるよ…」

紬「……そうね」


92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 21:59:30.71 ID:4er62LpZO
紬「……唯ちゃんと梓ちゃんは?」

澪「あぁ…居るよ今は喫煙室にいる」

紬「二人はタバコ吸うの?」

澪「私も最初は驚いたよ…でも葬式してから10年経つしな…」

紬「そんなに……」

93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 22:05:43.00 ID:4er62LpZO
澪「律はコンビニ強盗に来た男に殺されたんだ…子供を庇ってな」

紬「そうなの………」

澪「最高にカッコイイよ律」

紬「私もりっちゃんに言われたから保母さんになったのよ」

澪「似合ってるな…」

唯「あ…ムギちゃん!」

梓「お久しぶりです」


94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 22:09:05.31 ID:4er62LpZO
紬「唯ちゃん梓ちゃん…全然変わって無いわね」

唯「ムギちゃんも変わって無いよ!あずにゃ…梓はツインテールじゃないんだけどね!」

梓「唯先輩あずにゃんでいいですよ」

唯「えーでも恥ずかしいよ!この年であずにゃんだなんて」


95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 22:13:26.83 ID:4er62LpZO
澪「な、なぁみんな今日はお願いがあるんだ」

唯「お願い?」

澪「五人で久々に演奏しないか…ふわふわ時間」

梓「そーですね…演奏しましょうよ!」

紬「私も賛成するわ」

澪「律も…賛成だよな?」


96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 22:18:16.60 ID:4er62LpZO
澪「じゃあ…葬式が終わったら…学校に来てくれ楽器は私が用意するから」

紬「私はいいわ車にキーボードあるから」

唯「私もギー太あるから大丈夫!」

梓「私も大丈夫ですよ」

澪「そうか…何で楽器なんか持って来てたんだ?」

紬「何となく予想出来たから…みんなで演奏する事」

98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 22:27:29.55 ID:4er62LpZO
りっちゃんの葬式が終わり私は車へと戻った。
沢山泣いたから目の回りがヒリヒリする。
澪ちゃんも唯ちゃんも梓ちゃんもみんな泣いていた。
今でも、りっちゃんがムギ久しぶりって、言ってくれるんじゃないか…そんな気がする。

紬「りっちゃん…今日は沢山演奏しようね」


99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 22:30:47.97 ID:4er62LpZO
澪「ムギこっちだ!」

紬「車は学校の中に止めていいの?」

澪「大丈夫大丈夫…私ここで教師やってるから」

紬「ほ、本当に!?」

澪「本当だよ、さぁ早く車中に入れて」

紬「えぇ…」

101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 22:35:16.79 ID:4er62LpZO
紬「唯ちゃんと梓ちゃんはもう音楽室にいるの?」

澪「あぁ…今は準備してる」

紬「そうなの…よいしょ」

澪「キーボード重いだろ?持とうか?」

紬「大丈夫よ!早く行きましょう」

澪「わかった」


102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 22:38:35.92 ID:4er62LpZO
唯「あ!来た来た、もう準備は終わったよ!」

梓「律先輩のドラムもほら!」

澪「ありがとうみんな…」

唯「歌詞もコードも覚えてるから心配しなくていいからね!」

紬「流石唯ちゃんね」

澪「よし…アンプも繋げたし演奏するぞみんな」


103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/25(火) 22:48:28.92 ID:4er62LpZO
高校の時と変わらない立ち位置。
懐かしい音楽室の匂い。
全てが久しぶりだったけど何故か新鮮だ。
りっちゃんが居るような感じがする。
いや…確かに居る、姿は見えないけど…。
だって私は聞いた。
りっちゃんの声を…1234と私達に合図をする声を確かに聞いた。
唯ちゃんのギターが音楽室に鳴り響く。
続いて梓ちゃんのギターそして澪ちゃんのベース。
私は鍵盤に指を置いてキーボードを弾き始める。



紬「側にいて…」END

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