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平沢唯の朝

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 17:42:16.89 ID:rPz5DaRzO
憂「お朝ちゃんおはよう朝だよ」

唯「う……もう朝ぁ?」

憂「ほら、早く起きなきゃ遅れるよ」

唯「うん…わかったぁ」

憂「私、ご飯の用意してるから出来たら呼ぶね」

唯「えへへ…ありがとう憂」

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 17:45:33.33 ID:rPz5DaRzO
唯「ふわぁ~」

唯「ギー太おはよう」

唯「よしっ、制服に着替えなきゃ」

唯「今日も一日頑張るぞ!」


3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 17:46:19.93 ID:rPz5DaRzO
憂「お姉ちゃんご飯出来たよ!!」

唯「うん!今行くから待ってて!」

憂「はぁ~い!!」

唯「ギー太行こっか」

唯「今日の朝ご飯何だろう?」


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 17:47:40.10 ID:rPz5DaRzO
唯「お腹減った~」

憂「おはようお姉ちゃん」

唯「おはよう憂」

憂「さ、早く椅子に座ってご飯食べよ!」

唯「うん!今日は…サンドイッチかお美味しそうだね!」

憂「お姉ちゃんの為に頑張ったんだよ」

唯「えらいえらい」ナデナデ

憂「えへへへ…」

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 17:50:17.04 ID:rPz5DaRzO
唯「いただきまーす」

憂「いただきます」

唯「わぁ!美味しいねコレ」モグモグ

憂「本当に?よかった!私も食べよ!」

唯「ちょっと待って!私が食べさせてあげる!」

憂「本当に?」

唯「うん!あーんして」

憂「あーん」

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 17:51:27.01 ID:rPz5DaRzO
唯「美味しい?」

憂「うん!お姉ちゃんから食べさせて貰ったから二倍美味しいよ!」モグモグ

唯「えへへありがとう」

憂「うん!…あ、そろそろ学校に行かなきゃ」

唯「そうだねぇ~それじゃあごちそうさまでした」

憂「ごちそうさまでした」


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 17:52:55.18 ID:rPz5DaRzO
唯「それじゃあ憂、一緒に行こうか」

憂「うん、そうだね!」

唯「あ、そうだ憂」

憂「なーに?」

唯「今日の夜ご飯カレーにしようよ」

憂「うん、いいよ」

唯「私も手伝うから一緒に作ろう!」

憂「わかった!」

唯「それじゃあ行こっか」

憂「うん!」

唯&憂「行ってきまーーす!」

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 17:54:41.81 ID:rPz5DaRzO
憂「あ、お姉ちゃん見て桜だよ」

唯「わぁ~綺麗」

憂「本当だね~ほら、下も見てみて桜の絨毯みたいだよ~」

唯「わぁ~凄い凄い!」

憂「なんだか、春って感じがするね!」

唯「私、春が1番好き!」

憂「私も好き!」


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 17:56:22.18 ID:rPz5DaRzO
唯「でも春になって暖かくなって来たよね~」

憂「ね~」

唯「憂と一緒にマフラー巻いて一緒に歩け無いのが寂しいな…」

憂「お姉ちゃん…」ジーン

唯「憂、ほら急ご」フラッ

憂「う、うん…?」


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 17:59:55.64 ID:rPz5DaRzO
憂「お姉ちゃん…」

唯「なぁに?」フラフラ

憂「お姉ちゃん!」

唯「な…に……?」バタッ

憂「お姉ちゃん!!」

憂「どうしたの!?お姉ちゃん!!!!」

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:01:28.40 ID:rPz5DaRzO
―――急にお姉ちゃんが倒れて、私はどうすればいいのか分からなかった。
時間が止まったように思えた。
私は…私は…ただただ倒れたお姉ちゃんの体を抱きながら…私の腕の中で小さく震えるお姉ちゃんを見ながら泣いていた。
何も出来ない無力な自分を恨んだ―――


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:12:35.66 ID:rPz5DaRzO
憂「お姉ちゃん…」

唯「あ…憂だぁ」

病室のベットで横になっていたお姉ちゃんは、私に健気な笑顔を見せてくれた。

憂「ご飯を持って来たよ!食べさせてあげる」

唯「うん…ありがとう…」

お姉ちゃんが倒れてから一ヶ月。
ご飯も一人では食べれ無くなるほど体の痙攣が酷くなってきている。


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:14:39.12 ID:rPz5DaRzO
唯「憂、私大丈夫なのかな?」

憂「大丈夫だよ…ほら、あーん」

お姉ちゃんは嗜眠性脳炎と言う病気らしい。

唯「えへへ、美味しい」モグモグ

憂「よかったぁ~」

私はこの病気を知っている…レナードの朝と言う映画で出て来たからだ。

憂「ほらあーん……」

唯「ありがとう」モグモグ

憂「…………お姉ちゃん!!!!!」ギュッ

唯「ど、どうしたの?」


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:16:37.83 ID:rPz5DaRzO
憂「お姉ちゃん!嫌だよぉ!」ポロポロ

唯「…………憂」

憂「お姉ちゃん!私まだお姉ちゃんと話したい事がいっぱいあるし…お姉ちゃんと一緒に遊びたい事だってやりたい事だってまだ沢山あるのに!」ポロポロ

唯「泣かないで」ギュッ

憂「お姉ちゃん…私嫌だよぉ…」

泣いている私をお姉ちゃんはそっと…抱きしめてくれた。

憂「私が変わってあげたられたら…いいのに」

背中に伝わるお姉ちゃんの手の震え、かすかな温もり…私は本当に変わってあげたかった。


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:19:00.60 ID:rPz5DaRzO
唯「泣かないで私まで悲しくなるよ…」

憂「…ひっぐひっぐ」

唯「憂…泣いちゃダメだよぉ」ポロポロ

憂「嫌だよぉ…お姉ちゃんがいない毎日なんて嫌だよ…」

唯「大丈夫だよ…私は少し遠い所に行くだけだから安心して…大丈夫」ナデナデ

震える手で私の頭を撫でてお姉ちゃんはそう言った。

憂「…………うん、ありがとうお姉ちゃんありがとう」

それから数日たったある日。

お姉ちゃんの体は動か無くなった。


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:22:24.24 ID:rPz5DaRzO
憂「お姉ちゃんおはよう…」

唯(おはよう!憂)

憂「……………今日はいい天気だよ」

唯(お日様の光り浴びたいなぁ…)

憂「お姉ちゃんは今寝てるのかな?そうだよね…まだお姉ちゃんは寝てる時間だもんね」

唯(失礼な!起きてるよ!)

憂「ゆっくり眠っててねお姉ちゃん」

唯(……憂とお話したいなぁ)

唯(体も動か無いし喋る事も笑う事も出来ない…これじゃただのお人形だよ…)

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:28:54.60 ID:rPz5DaRzO
憂「あ…あのね梓が言ってたんだけど今日みんながお見舞いに来るって」

唯(本当に?やったぁ!)

憂「……それじゃあ私、学校に行くからね」

唯(…………うん)

憂「バイバイ」

唯(バイバイ憂)

ガチャバタン

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:30:02.17 ID:rPz5DaRzO
唯(みんな来るのか楽しみだなぁ)

唯(……その間に何しようかな)

唯(何も出来ないよね…テレビ付けてくれないのかな?)

唯(外の景色でもいいから見たいなぁ…)

唯(はぁ…退屈だなぁ早くみんな来ないかな)


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:33:16.23 ID:rPz5DaRzO
唯(……………はぁ)

唯(何もして無いのに何か疲れた…)

唯(今頃みんな勉強してるんだよね…)

唯(勉強がこんなに恋しくなるなんて…)

唯(みんなと勉強したいなぁ…)

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:38:09.68 ID:rPz5DaRzO
男看護士「失礼しゃーす血圧計りに決ましたぁ~」

唯(あれ?いつものおばさんじゃない…)

男看「ちょっと失礼するねお嬢ちゃん」

唯(新しく入った人なのかな?見た事無い…)

男看「コレ動か無いん患者だっけ?チョー可愛い」ツンツン

唯(こ…怖いよ…触らないでよ…)

男看「頭も動いてんのかな?つーか死んでるみてーじゃんウケる」

唯(…………酷い)

男看「よし終わった失礼しました~」

唯(死んでるなんて…酷いよ…)

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:40:50.13 ID:rPz5DaRzO
唯(はぁ…憂やみんなはまだかなぁ)

ガチャ

唯(う、憂?)

唯ママ「唯来たわよ」

唯(お母さんだぁ!)

唯パパ「元気か?」

唯(うわぁ~い!お父さんも来た!)


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:42:31.87 ID:rPz5DaRzO
・・・・・・3時間後

唯ママ「それじゃあ…また来るわね」

唯パパ「あぁ…元気でな」

唯(えーまだ行かないで!)

唯ママ「それじゃあバイバイ」

唯パパ「…またな」

ガチャバタン

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:44:37.32 ID:rPz5DaRzO
それから一時間、私は憂達を待ち続けた。

外から聞こえる鳥のさえずりを数えながら、ずっと待ち続けた。

唯(まだかなぁ……)

ガチャ

憂「お姉ちゃんおまたせ!」

唯(憂!やっと来てくれた!)


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:45:26.30 ID:rPz5DaRzO
唯(それにみんなも!)

澪「元気か?唯」

唯(うん!)

律「久しぶりだな!」

唯(りっちゃん久しぶり!)

紬「私ずっと会いたかったわぁ~」

唯(私もずっとムギちゃんに会いたかった!)

梓「……先輩」ウルッ

唯(あぁ…泣かないでねあずにゃん)

和「騒がしくなると思うけど我慢してね唯」

唯(騒がしいのが好きだから別にいいよ!)

唯(はぁ………テレパシーが使えたらなぁ)

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:47:27.68 ID:rPz5DaRzO
律「あ!…そういえば唯!聞いてよ」

唯(なになに?)

律「今日またさぁ澪がみんな見ていない時に猫ミミをつけ……いだっ!」スパン

澪「そ…それを言うなよ律!」

紬「あら…でもとても可愛いかったのよ唯ちゃん」

唯(そうなんだ!見てみたいなぁ…)

和「アハハハ本当見ていて面白いわね」

梓「唯先輩もきっと…笑っていますよ」

唯(うん、とても面白いよあずにゃん…面白いんだけど声を出して笑いたいよ…頬をグイッって上げて口を開いてアハハハって笑いたい…)

唯(笑えないってツライなぁ…)

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:48:47.36 ID:rPz5DaRzO
和「そういえば唯、今日はみんなでお金を出しあってお花を買って来たの」

唯(お花?)

澪「あぁ…とっても可愛い花なんだぞ」

唯(ほぇ~見てみたいな!)

憂「今、見せてあげるよほら!」

唯(わぁぁぁ!本当に可愛いよみんな!)

憂「ここに飾っておくねお姉ちゃん」

紬「ちなみにスノードロップって花なのよ」

梓「名前まで可愛いですよね」

唯(みんな…みんな本当にありがとう!!)

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:50:47.52 ID:rPz5DaRzO
唯(本当に可愛いなぁ…スーちゃんと名付けよう!)

律「あ…あと唯コレもここに置いとくな!」

唯(ギ…ギー太ぁ!)

澪「どうだ?久しぶりに見る自分のギターは」

唯(可愛いよ!みんな本当にありがとう!)

憂「お姉ちゃん凄く喜んでますよ!表情は変わって無いけど私にはわかります!」

和「そうね…私も長い付き合いだから分かるわ」

唯(憂と和ちゃん流石!)


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:52:06.51 ID:rPz5DaRzO
それから私は今日、学校であった楽しい事をみんなから聞いた。

とても、楽しそうだった。

こんなに、私も会話に入りたいと心から思った事は無い。

りっちゃんがボケて澪ちゃんがツッコンで…ムギちゃんが二人を見てニッコリ微笑んでる姿を見てりっちゃんがツッコンで。

それを見ている和ちゃんやあずにゃん、憂が大笑いして。

私もボケたい突っ込まれたい笑いたい。

唯(私も笑いたいよぉ…)

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:53:37.83 ID:rPz5DaRzO
澪「それじゃあ唯、残念だけど私達帰るから…」

律「またな!」

和「えぇ…また明日も必ず来るわ」

梓「唯先輩さようなら」

紬「今日はとても楽しかったわ~唯ちゃんの元気な姿が見れたし…また明日も来るからね」

一人一人私の手を握り一言ずつ言ってから帰って行った。

憂「みんな帰っちゃったねでも明日も来るってよかったねお姉ちゃん!」

唯(うん…そうだね憂)

46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:55:19.82 ID:rPz5DaRzO
憂「ねぇ…お姉ちゃん」

唯(なぁに?)

憂「あのね…私とカレー作る約束覚えてる?」

唯(……………うん)

憂「私は忘れ無いよ…お姉ちゃんの病気治ったらカレー作ろうね」

唯(………うん)

憂「お姉ちゃん!」ギュッ

唯(う………憂…)

憂「大好きだから…お姉ちゃんの事大好きだから!」ポロポロ

唯(………私もだよ)

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:57:08.38 ID:rPz5DaRzO
ガラッ

さわ子「失礼しまーす」

唯(さ、さわちゃん!)

憂「……先生」グスッ

さわ子「…邪魔だったかしら?」

憂「い…いえ、これは目薬で…あの、二人で話してて下さい!お姉ちゃんも嬉しいだろうし…」フキフキ

さわ子「いや…いいのよ?私が出て行っても」

憂「いえ、せっかく来ていただいたのに…それじゃあ私少し散歩してきますね」タッタッタッタッ

さわ子「泣いてたわよねぇ…」


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:58:30.63 ID:rPz5DaRzO
さわ子「そういえば唯ちゃんごめんなさいねみんなと来れなくて」

唯(ううん…いいよ、あ!さわちゃん髪にゴミが付いてる)

さわ子「でも本当にいい妹を持ったわね」

唯(教えてあげたいなぁ~)

さわ子「……私あまり口が上手い方じゃないけど」

唯(……………)

さわ子「唯ちゃんのギター私もう一回聞きたいの……だから頑張ってね」

唯(さわちゃん……)

さわ子「照れくさいな…それじゃあまたね唯ちゃん」

唯(えー…もう帰るの?)

さわ子「また来るからね」

ガラッバタン


49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 18:59:36.10 ID:rPz5DaRzO
憂「さわ子先生帰ったみたいだね」

唯(あ…憂!)

憂「あの…お姉ちゃん私、そろそろ…帰るよ」

唯(うん……仕方ないよね…)

憂「明日の朝またくるからね…」

唯(うん、さようなら)

憂「さようならお姉ちゃん」

ガチャバタン

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:10:08.49 ID:rPz5DaRzO
唯(はぁ…また一人かぁ…)

唯(でも私は一人じゃない憂やみんながいる…)

唯(側にいてくれないと寂しいけど私は一人じゃないんだ)

唯(………みんながくれたスーちゃん大事にしなきゃ!)


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:10:57.68 ID:rPz5DaRzO
おばさん看護士「失礼しまーす」

唯(あ!)

おば看「唯ちゃんそろそろ寝ようか」

唯(はい!)

おば看「それじゃあ…おやすみなさい」

唯(おやすみなさい)


53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:12:29.80 ID:rPz5DaRzO
憂「お姉ちゃん朝だよ!」

唯(…………ん)

憂「まだ寝てるかな?」

唯(ん………憂?)

憂「起きてたらおはようお姉ちゃん」

唯(………もう朝なんだぁ)

唯(おはよう憂!)


54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:13:29.39 ID:rPz5DaRzO
憂「お姉ちゃんお花にお水あげなきゃね」

唯(ありがとう憂!)

憂「お水取って来るから待っててね」

唯(うん!)

ガラッ

唯(今日もみんな来るって言ってたよね…楽しみ!)


55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:14:34.31 ID:rPz5DaRzO
男看「失礼しまーす脈計りに決ましたぁ~」

唯(……またあの人だ)

男看「よいしょっと」

唯(早く憂戻って来ないかなぁ)

・・・・・・・

男看「うっし終わった帰ろ帰ろ」

唯(よかった…今日は何も言われなかった…)

男看「ん…これギターじゃんカッケー」

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:18:00.19 ID:rPz5DaRzO
男看「どうせ動かねぇーんだし触ってみっか」

唯(やめてよ…ギー太に触らないでよ!)

男看「おーちょーカッケーマジヤベェー」

唯(やめてよ…)

ガラッ

憂「お姉ちゃん!おま………何してるんですか!!!!」

男看「あ………しまった」

61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:18:56.42 ID:rPz5DaRzO
男看「すいませんギターが好きだからついつい」

憂「すいませんじゃないでしょ!これはお姉ちゃんの大事な物なの安易に触らないでよ!」

唯(憂…………)

男看「すみません(クソッ少し触っただけじゃねぇーかこんな奴にギターいらねっつの)」

憂「出て行って下さい!!!はやく出て行って下さい!」

64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:20:42.50 ID:rPz5DaRzO
男看「すみません(姉と一緒に植物人間になっちまえよ)」

ガラッバタン

憂「ごめんねお姉ちゃん…やっぱギターここに置いてちゃダメだよね」

唯(……………憂が悪いんじゃないよ私が悪いんだよ)

憂「ギター家に持って帰るからね」

唯(………うん)

憂「ごめんね…」

唯(謝ら無いでよ…憂)


65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:23:54.91 ID:rPz5DaRzO
憂「本当にごめんね…」

唯(………大丈夫だよってなでなでしてあげたいなぁ)

憂「お花にお水あげないとね」

唯(うん………ありがとう)

憂「よいしょっと」トクトクトクトク

憂「これぐらいで大丈夫だよね!」

唯(ありがとうスーちゃんも喜んでるよ)

憂「あと…あの人がお姉ちゃんに近付か無いように偉い看護士さんに言っておくからね」

唯(…ありがとう)


66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:26:46.38 ID:rPz5DaRzO
憂「それじゃあ私学校に行くからね」

唯(うん、バイバイ)

憂「じゃあね」

ガチャバタン

唯(はぁ…憂やみんなにありがとういっぱい言わなきゃなぁ)

唯(………これから、みんなが来るまで何しようかなぁ…)

唯(スーちゃんでも眺めてみんなを待ってようかなぁ~)

唯(…………この病気って私が死ぬまでずっとこのままなのかなぁ)

唯(ダメダメ!もっとポジティブに考えなきゃ!)

唯(きっと治るよ!)

68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:28:34.46 ID:rPz5DaRzO
・・・・・9時間後

唯(君を見てるといつもハートドキドキ♪)

ガチャ

澪「唯来たぞー!」

律「おまたせ!」

唯(みんな…待ってたよ!)


69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:30:48.10 ID:rPz5DaRzO
唯(今日は何があったのかなぁ?)

律「唯、今日はな…聞いて驚ろけよ!」

唯(なんだろ?ワクワクするなぁ~)

梓「今日はですね!」

紬「なんと!」

澪「唯の為にデジカメで私達の演奏を取って来たんだ!」

唯(本当!?やった!!)

和「よかったわね唯」

唯(凄く嬉しいよ!)

70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:31:47.67 ID:rPz5DaRzO
澪「それじゃあ再生するからな」

唯(楽しみだな!)

梓「曲はふわふわ時間ですよ」

唯(本当に!やった!)

律「それじゃあ再生っと」ポチッ

72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:33:09.08 ID:rPz5DaRzO
ジャカジャカジャーン

律「どうだ唯?」

和「前より上手くなったんじゃないの?」

唯(………………)

澪「きっと喜んでるよ唯は」

梓「はい!」

紬「ウフフそうね」

唯(……………)

澪「律のドラムもちゃんとキープ出来てるしな」

唯(………………)

律「だろ?自分でも思ったんだよなぁ…」

唯(…………凄かった)

澪「まーたすぐ調子にのる」

唯(でも…早くみんなとバンドの練習したいなぁ…)


73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:34:30.77 ID:rPz5DaRzO
梓「私思ったんですよ、唯先輩…この花にも名前付けたんじゃないですかね?」

唯(付けてるよ!)

紬「きっと名前はスーちゃんねぇ~」

唯(さすがムギちゃん!)

律「アハハそれっぽいな」

75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:35:44.89 ID:rPz5DaRzO
・・・・・・

澪「アハハそれでさー」

唯(うん、次は?次は?)

澪「律のカチューシャが外れて…」

律「そ、その先は言うなーー!」

唯(え~聞きたいよ!)

紬「りっちゃんの前髪が長いから目が見え無くなってバナナの皮を踏んで転んだのよね~」

律「ム、ムギィ~」

紬「ウフフ、ごめんなさいねでも唯ちゃんきっと、この話の続きを聞きたいんじゃないから」

律「そ、それなら仕方無いよな」

澪「…あ、もう8時になるのか…」

和「そろそろ帰りましょうか」

唯(うん!暗い道は危ないから早く帰った方がいいよ!)


76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:37:22.28 ID:rPz5DaRzO
澪「それじゃあな」

紬「また明日もくるわ♪」

梓「私も来ます!」

律「私も!私も!」

唯(うん、また明日!)

憂「お姉ちゃん今日は遅いから私もみんなと一緒に帰るね」

唯(憂も危ないから早く帰ら無いとダメだよね!)

みんな「さようなら~」

唯(バイバーイ)

ガチャバタン

79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:39:38.76 ID:rPz5DaRzO
―――みんなが学校帰りに私の病室に来て私はみんなの話を聞く、時々さわちゃんやお母さんやお父さんも来てくれた。
時々みるギー太、さわちゃんにコスプレさせられて私の病室にお見舞いに来たみんな…あの和ちゃんも警官のコスプレをして来た。
きっと私を元気づける為だったと思う。
みんな高校を卒業して大学に通い始めた日から二年経った。
みんなが揃って私の病室に来るなんて事はほとんど無くなっていた―――

80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:40:51.18 ID:rPz5DaRzO
紬「唯ちゃんこんばんわ!」

唯(あ!ムギちゃん)

紬「十日ぶりになるわね最近来れなくてごめんなさいね」

唯(ううん!いいよ私は大丈夫だよ憂も毎日来てくれてるし)

紬「あのね…唯ちゃん今日は大事な話があるの」


81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:42:23.46 ID:rPz5DaRzO
唯(大事な話?)

紬「あのね…私は…唯ちゃんとみんなとずっと友達でいたいの」

唯(うん…私も)

紬「私達が大学に行き始めた日から二年が経ったよね…」

唯(そうだね…)

紬「澪ちゃんやりっちゃん梓ちゃん…私は最近会って無いの…みんなに会って無いのよ」

83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:44:10.69 ID:rPz5DaRzO
唯(………………)

紬「このままみんなに会わない日が……続いてもうみんなと会え無くなる」

唯(………………)

紬「そんな予感がするの…小学生の時に仲が良かった友達が中学生になったら話す事も無くなる仲になる事ってあるでしょう?」

唯(…………………)

紬「そんな気がして怖いの…ねぇ唯ちゃん私達はずっと友達だよね?」

唯(私達はずっと友達だよ!)

87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:55:57.48 ID:rPz5DaRzO
紬「ごめんなさいねこんな暗い話…それじゃあ私は帰るわね」

唯(…………うん)

紬「最近来れ無くてごめんなさい」

唯(ううん…いいよ大丈夫だよ)

紬「それじゃあさようなら…………」

唯(本当に私達はずっと一緒だからねムギちゃん)

91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 19:58:58.87 ID:rPz5DaRzO
紬「…………あ」

唯(どうしたのかな?)

紬「唯ちゃんスノードロップの花言葉知ってる?」

唯(……わかんない)

紬「みんなから聞いてたらごめんね…スノードロップの花言葉は希望よ」

唯(………希望)

紬「私も希望を捨てたらダメね…バイバイ唯ちゃん」

唯(うん!バイバイ)

97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 20:04:44.23 ID:rPz5DaRzO
・・・・翌日

憂「お姉ちゃん梓を連れて来たわよ!」

梓「おはようございます唯先輩」

唯(あずにゃん!)

憂「えへへ~」

梓「えへへ~」

唯(どうしたのかな?ニコニコして)

梓「今日はサプライズですよ!」

憂「うん!」

唯(サプライズ?)

99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 20:08:12.32 ID:rPz5DaRzO
憂「ほら!」

唯(わ…こ、これは!)

梓「ポータブルDVDレコーダーですよ!」

憂「二人でバイトして買ったんだよ」

唯(う、嬉しい!ありがとう…ありがとう!)

梓「病院の人も特別に許可をくれたんですよ!」

102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 20:12:54.34 ID:rPz5DaRzO
唯(でも…こんな高い物…寝たきりの私なんかにいいのかな?)

憂「きっと喜んでるよお姉ちゃん」

梓「うん!私もそう思う!」

唯(……何だか本当に悪いよ)

憂「ギー太も持って来たよ!」

唯(ありがとう…)


103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 20:16:13.01 ID:rPz5DaRzO
憂「DVDは今は無いけど色々借りてくるね」

唯(…………うん)

梓「今日は日曜日だから色々話せますよ!」

唯(……ありがとうあずにゃん)

憂「私もずっといるからね!」


104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 20:20:13.27 ID:rPz5DaRzO
・・・・・

梓「ふわぁ~もう夜ですね」

唯(早く帰らないと危ないよあずにゃん)

憂「帰るの?」

梓「うん…そうしようかな明日は早いし」

憂「そーだよね…私はまだいるから」

梓「わかった…憂、唯先輩さようなら」

唯(バイバイあずにゃん)

108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 20:24:54.72 ID:rPz5DaRzO
憂「お姉ちゃん…」

唯(なぁに?)

憂「スノードロップの花言葉知ってる?」

唯(希望でしょ?)

憂「希望って言うんだって!」

唯「知ってる!」

ガチャ

さわ子「こんばんわ~」

111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 20:29:06.95 ID:rPz5DaRzO
さわ子「あら憂ちゃん久しぶりね」

憂「お久しぶりです」

さわ子「唯ちゃんも久しぶりね」

唯(うん!)

さわ子「それより見てよほら!唯ちゃんの為に洋服を作って来たの!」

唯(わぁ~フリフリが付いてて可愛い!)

さわ子「じゃ…じゃあ元気になったらその洋服を着て私に会いに来てね!バイバイ」

ガチャバタン

唯(帰るの早いなぁ…)

憂「顔赤かったね先生」

113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 20:32:53.94 ID:rPz5DaRzO
憂「それじゃあ…私帰ろうかな…」

唯(うん……)

憂「あ、あのね……やっぱり何でも無い」

唯(えー!気になるよ)

憂「バイバイお姉ちゃんまた明日も来るね」

唯(うん!)

唯(また明日も来るって言ってくれるのは憂だけになったなぁ…)

117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 20:38:02.60 ID:rPz5DaRzO
憂「はぁ…言えなかった…」

憂「放課後ティータイムは解散したって事、言えなかった…」

憂「…………言わない方がいいよね…」

憂「やっぱり言った方がいいのかな…」

120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 20:43:45.32 ID:rPz5DaRzO
―――1年経った。
久しぶりにみんな揃って私の病室に顔を出してくれた。
放課後ティータイムのみんなも和ちゃんもみんな揃って来てくれた。
特に澪ちゃんやりっちゃんと会うのは本当に久しぶりだったから嬉しかった―――

123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 20:48:01.75 ID:rPz5DaRzO
澪「久しぶりだな唯それとみんな」

律「こうやってみんなが揃うのは本当に久しぶりだな」

紬「えぇ!私嬉しいわ」

唯(うん!私も嬉しいよ!)

和「せっかく今日はみんな揃ったんだから沢山話しましょうね」

125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 20:53:43.57 ID:rPz5DaRzO
澪「あ…律に彼氏出来たんだぞ」

律「な…な何を急に言ってるんだよ!」

唯(りっちゃんも彼氏出来たんだね!いいな~)

梓「恥ずかしいんですか?」

律「ち、違う恥ずかしく無いぞただビックリしただけだぞ!」

澪「律も大人って事だよ」

紬「おめでとうりっちゃん」

和「おめでとうね」

憂「流石律さんですね!」


126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 20:57:41.96 ID:rPz5DaRzO
律「だ、だああああやめてくれえええ」

梓「やっぱり恥ずかしいんじゃないですか」

唯(私も病気じゃなかったら今頃は彼氏出来てるのかな…)

唯(大学行って…みんなとバンドの練習して彼氏が出来て…いいなみんな)

127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 21:02:46.70 ID:rPz5DaRzO
和「それより澪あの事を言わないとダメなんじゃないの?」

澪「…………あぁ」

紬「…………」

律「部長の私が言うよ」

唯(あの事?)

律「唯あのな放課後ティータイムは解散したんだ」

唯(…………え?)

律「………ごめんな」

唯(う…嘘だよ!)

129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 21:08:23.58 ID:rPz5DaRzO
唯(う……嘘だよ)

梓「……………」

澪「私と律以外はなみんな別々の大学に行って…練習出来る時間が無かったんだ会う時間も無かったんだ…」

唯(せめて…一言私に言ってよ!)

律「ごめんな…唯に黙って勝手に…解散して」

唯(……………)ツー

憂「お姉ちゃん…」

和「…………泣かないで唯」

132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 21:14:32.99 ID:rPz5DaRzO
唯(……私の病気が直ったら…みんなと1番最初に練習したいと思ったのに…)

律「ごめん唯」

紬「ごめんなさい」

唯(…………みんなが私の病室に揃って来たのはこれを話す為だったんだね)

梓「唯先輩すみません」

澪「ごめんね…唯」

唯(…謝ら無くていいよ…きっと私が病気じゃなくても…解散してたと思うから…きっとそうだよ)


133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 21:24:05.17 ID:rPz5DaRzO
ずっと私は考えていた。
この病気が直ったらまずは何をするか。
憂と一緒にカレーを作るあずにゃんに抱き着くギー太を弾く和ちゃんと一緒にアイスを食べる…みんなとバンドの練習をする。
その事を想像するだけで楽しかった。
もしかしたらもう二度とみんなとバンドの練習が出来無いのかもしれない。
きっとそうだよ…ムギちゃんが言ってたように。
私達はいずれ会わなくなるんだよ…。

136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 21:30:41.65 ID:rPz5DaRzO
澪「もし治ったら…制服のポケット見てくれ…」

唯(……これから10年…いや5年経っても)

律「治るように毎日祈ってるからな」

唯(私達は会え無くなるんだ…)

和「ずっと…待ってるから」

唯(……放課後ティータイムだって解散したんだよ)

梓「楽しみにしてます」

唯(きっと…来なくなるんだよ…)

紬「希望を捨てちゃダメよ唯ちゃん」

唯(…………そうだよ……嫌だよぉ嫌だよぉ)

138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 21:48:44.35 ID:rPz5DaRzO
―――スノードロップは枯れた…私の希望も枯れてしまった。
みんなが病室に来なくなってから5年が経った。
最後に来たのは確か5年前だったよね?あんまり覚えて無いや。
放課後ティータイムが解散した事を知らされてから10経った。
今は憂とお父さんやお母さんしか来ていない。
もう病気が治るとも思っていない―――

140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 21:55:44.42 ID:rPz5DaRzO
憂「お姉ちゃん31歳の誕生日おめでとう」

クラッカーの音が病室に鳴り響く。

唯(ありがとう憂)

憂も30歳まだまだ高校生の時より綺麗になっている。

唯(工事…やってるのかなうるさいね)

憂「今日は仕事も休んだしずっと入れるよ!」

唯(お父さんとお母さんは来ないんだね…私を見捨てたんだよね多分)

142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 22:01:22.05 ID:rPz5DaRzO
唯(憂も会社の人とかと遊びに行けばいいのに私みたいな人形と誕生日会するよりよっぽど楽しいよ)

憂「お姉ちゃんいいな~全然老けてないんだもん私なんか目尻に小皺ができて大変なんだ」

唯(ずっと動いて無いんだから老け無いんじゃないかな?…多分そうだと思う)

146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 22:06:38.01 ID:rPz5DaRzO
憂「お姉ちゃん…いつ病気治るんだろうね」

唯(もう…いいよ…治らないんだよ)

憂「………もしかして明日治ったりするかもしれないし希望を捨てたらダメだよね」

唯(………………)

憂「きっと治るよ!」

唯(はぁ…………)

147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 22:10:57.59 ID:rPz5DaRzO
奇跡何て起こらないし私は希望も捨てた。
ただ…一つ気になる事がある。
憂が何かを隠してるそんな気がする。
私の病室にいる時たまに少し泣きそうな表情を見せる。
私の事じゃ無い多分、他の事で泣きそうになってるんだと思う。

149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 22:14:04.86 ID:rPz5DaRzO
唯(…………本当に何を隠しているのか気になるよ憂)

憂「あ………電話だごめんねお姉ちゃん席を外すから少し待っててね」

唯(…………うん)

憂「すぐ戻ってくるからね」

ガチャバタン

151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 22:18:29.28 ID:rPz5DaRzO
憂「うん…まだ言ってない…」

憂「言えるわけ無いよ!お姉ちゃん…ショック受けるよ…」

憂「………うん、でも言えない」

憂「お姉ちゃんの涙なんか見たく無いもん!」

憂「……私はまだ大丈夫だから…うん来月に会社辞めるつもりだから」

憂「バイバイ…」

153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 22:21:19.02 ID:rPz5DaRzO
憂「えへへ…ごめんね」

唯(大丈夫だよ)

憂「……えと、少しタバコ吸ってくるね」

唯(…辞めなきゃダメだよ早死にするよ)

憂「ごめんね…」

ガチャバタン

157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 22:36:44.73 ID:rPz5DaRzO
憂「…おまたせお姉ちゃん」

唯(うん)

憂「今日は私ここに泊まるね」

唯(ありがとう憂)

憂「今日は誕生日だしね…楽しもうよ」

唯(うん…そうだね)

159 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 22:42:33.52 ID:rPz5DaRzO
・・・・・・

憂「くぅ…くぅ…」

唯(いつの間にか寝てる…)

唯(……今日は楽しむんじゃ無かったの?)

憂「くぅ…くぅ…」

唯(可愛いな憂は…)

憂「お姉ちゃんだぁい好き」

唯(アハハハ………私も大好きだよ憂)

161 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 22:45:21.16 ID:rPz5DaRzO
おばさん看護士「あら憂ちゃん寝てるわね」

唯(うん、起こさないであげて…)

おば看「……おこさない方がいいわね唯ちゃんも寝ましょうね」

唯(………うん)

おば看「おやすみなさい」

162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 22:49:42.32 ID:rPz5DaRzO
―――それから一ヶ月経った。
憂が仕事を辞めた事を聞かされた。
それとしばらく私の所にこれない事も聞かされた。
でも、みんなの様に別れを告げない別れ方じゃない。
必ず来ると言っていた。
私は憂が言ったこの言葉を信じる―――

165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 22:54:40.88 ID:rPz5DaRzO
唯(はぁ……憂は何で仕事辞めちゃったのかな?)

唯(私に隠し事をしているよ絶対にそうだよ…)

唯(あれから一ヶ月来て無いな憂…)

唯(一人は馴れてたつもりだけど…やっぱり毎日来てた憂がいないと寂しいな)


166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 22:58:41.43 ID:rPz5DaRzO
唯(憂が来れ無くなってから今日で三ヶ月目か…)

唯(お父さんやお母さんも憂の事に関しては何も言わないし)

唯(憂の事にもあまり関心が無いのかな…?)

唯(元々、私達をほったらかして旅行へ行ってるような親だし…)

唯(あの頃は親に対して何も思わ無かったけど)


167 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 23:04:17.86 ID:rPz5DaRzO
唯(今日で四ヶ月目か…もう夕方だし今日は来ないのかな…)

唯(まさか…このまま…いや憂は来るよきっと来るよ)

唯(でも…まさか事故で弾かれて死んだとか…アハハまさかね)


168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 23:11:11.34 ID:rPz5DaRzO
唯(今日も憂は来ないね…夜だし)

唯(はぁ…一日一日が何時も以上に長く感じるよ)

ガチャ

唯(看護士が来た…もう寝よう)

憂「お姉ちゃん……」

唯(………憂!!!!)

171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 23:15:12.21 ID:rPz5DaRzO
憂「お姉ちゃん来れなくてごめんね!」ギュッ

唯(うん…大丈夫だよ大丈夫だよ憂!)

憂「四ヶ月も待たせてごめんね……会いたかったよお姉ちゃん」

唯(私も…私もだよ憂)

憂「お姉ちゃん…暖かい」

唯(憂も暖かいよ…私も憂をギュッって抱きしめたい)

173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 23:26:36.63 ID:rPz5DaRzO
―――それから五年。
私は夢を見ていた。
怖い夢みんながいなくなる夢を見ていた。
みんなとは長い時間会っていないけど忘れた事なんか無い。
そして今日を私は忘れ無い―――


174 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 23:31:32.08 ID:rPz5DaRzO
澪「じゃあな唯」

唯(待ってよ澪ちゃん)

律「じゃあな唯もう会え無いと思うから」

唯(りっちゃん!!)

体が動か無い…とてもリアルな夢だ。

梓「唯先輩さようなら……」

唯(嫌だよぉ…行かないで)

紬「…ごめんね唯ちゃん」

唯(………嫌だよぉ)

和「さようなら唯」

唯(和ちゃんも…行かないでよ!)

さわ子「バイバイ唯ちゃん」

唯(さわちゃん……みんな何処行くの…行かないでよ)

176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 23:36:36.46 ID:rPz5DaRzO
私はみんなの後ろ姿をただじっと見る事しか出来なかった。

憂「お姉ちゃん…」

唯(…憂みんな行っちゃったよぉ)

憂「ごめんね…私も行かないと」

唯(…………え?)

憂「お姉ちゃんの病室に来るのって大変なんだよ…」

唯(……ごめん憂ごめんね)

憂「……バイバイ」

唯(嫌だ…憂行かないで行かないで)

そこで私は目を覚ました。

178 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 23:42:36.65 ID:rPz5DaRzO
唯「はぁはぁはぁはぁ」

唯(……嫌な夢を見たもうあんな夢見たく無い)

唯(………憂はまだ来て無いのか……)

唯(みんな…元気にしてるかなぁ…)

唯「…………はぁ」

私は自分の体の異変に気が付いた。

唯「……あ……あぁぁ」

声が…出る。

181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 23:47:22.88 ID:rPz5DaRzO
唯「あ…あぁ」

手が動く。

唯「……どっちが夢なのかな?」

足も頭も目も体が…動く。

唯「…………夢だよね」

ガチャ

憂「お姉ちゃんおはよう!」

唯「う、憂……」

憂「…………え?」

184 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 23:50:53.64 ID:rPz5DaRzO
憂「そ、空耳だよね」

唯「憂!!」

憂「お姉ちゃん…そんなまさか……お姉ちゃん!」ギュッ

唯「憂…憂!!!」ギュッ

大丈夫だ今度は憂を抱きしめられる。

憂「夢じゃないよね?」

唯「そうだったら神様を恨むよ」

憂「………お姉ちゃん」

唯「なに?」

憂「私…ずっとこうしたかった」

187 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 23:53:51.65 ID:rPz5DaRzO
それから二ヶ月のリハビリを経て私は長い間お世話になった病院を退院する事になった。
医者も何故私が目覚めたのかわからないらしい、奇跡と呼んでいた。
とにかく…私は家に帰って憂とカレーを作る事で頭がいっぱいだった。

191 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/08(土) 23:57:13.66 ID:rPz5DaRzO
唯「ふわぁ~帰って来たぁ~」

憂「全然変わって無いでしょう?」

唯「うん!………会話してるよね」

憂「ちゃんと会話してるよ」

唯「私、自分の部屋見て来るね!」

憂「うん!私は台所で待ってるからね」

唯「うん!」

197 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 00:01:19.31 ID:YGl8yUOKO
唯「……ギー太!」

唯「全然変わって無いなぁ…制服もちゃんとある」

唯「……えへへ」

唯「私…笑える…笑えるよ!」

憂「お姉ちゃんまだー?」

唯「待っててー」

唯「このやりとりも……新鮮だなぁ」

201 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 00:04:03.98 ID:YGl8yUOKO
唯「お待たせ憂!」

憂「けほっ…けほっ…お姉ちゃんたらはしゃいじゃって」

唯「憂、咳してたけど大丈夫?」

憂「大丈夫だよ!ほらカレー作ろうよ」

唯「うん!」

206 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 00:06:49.67 ID:YGl8yUOKO
憂「お姉ちゃん玉ネギ切り終わった」

唯「うぅ…目がヒリヒリするよ」

憂「もう!私が切るから人参お願いね」

唯「うん!」

209 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 00:09:06.69 ID:YGl8yUOKO
唯「出来た!!」

憂「うん!美味しそうだね」

唯「さぁ~ていただきますか」

憂「うん!いただきます」

唯「いただきます!」


210 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 00:10:39.63 ID:YGl8yUOKO
唯「わぁ!美味しいねコレ」モグモグ

憂「本当に?よかった!私も食べよ!」

唯「ちょっと待って!私が食べさせてあげる!」

憂「本当に?」

唯「うん!あーんして」

憂「あーん」

212 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 00:13:52.29 ID:YGl8yUOKO
唯「美味しい?」

憂「うん!お姉ちゃんから食べさせて貰ったから二倍美味しいよ!」モグモグ

唯「えへへありがとう」

憂「私もお姉ちゃんに食べさせてあげるよ」

唯「うん!あーん」

憂「美味しい?」

唯「憂に食べさせてもらったから二倍美味しいよ!」

憂「私と同じ事言ってるね!」

唯「だって本当なんだもん」

憂「ありがとうお姉ちゃん」

215 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 00:22:33.01 ID:YGl8yUOKO
唯「ふわぁ~」

憂「お姉ちゃん眠いの?」

唯「う、うんいつもこの時間に寝てたから…」

憂「じゃあ寝ようか一緒に」

唯「一緒に?」

憂「うん!」

唯「わかった!」


216 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 00:25:26.60 ID:YGl8yUOKO
唯「このベットで寝るのも久しぶりだね」

憂「うん…」

唯「ねぇ…憂」

憂「なに?」

唯「私に何か隠してる事無い?」

憂「……無いよ」

唯「本当に?姉妹で隠し事はダメだよ」

憂「…うん」

唯「私、憂がいなくなっちゃったら嫌だからね」

憂「…………うん」

218 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 00:28:01.35 ID:YGl8yUOKO
憂「私の…お姉ちゃんの病室に来なくなった時」

唯「うん、あの時がどうしたの?」

憂「肺癌だったの」

唯「…………え?」

憂「安心して…あの時に手術してもう治ってるから…タバコも辞めたんだよ」

唯「よ、よかったぁ~」

222 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 00:30:02.59 ID:YGl8yUOKO
唯「じゃあずっと一緒だね」

憂「うん…」

唯「私、憂が妹でよかったよ…おやすみ」

憂「おやすみお姉ちゃん…」

224 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 00:33:22.91 ID:YGl8yUOKO
憂「けほっ…けほっ…」

憂「お姉ちゃん……?」

唯「すー…すー…」

憂「ちょっと離れるね」

唯「すー…すー…」

憂「すぐ戻って来るからね」

226 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 00:36:18.07 ID:YGl8yUOKO
憂「げほっ…げほっ…」

憂「はぁはぁはぁ」

憂「げほっ…げほっ」

憂「………どうしよう」

憂「タバコなんて吸わなければよかったよ…」

228 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 00:39:17.34 ID:YGl8yUOKO
唯「ん……あれ?憂」

唯「トイレかなぁ…私も少しトイレに行こうかな…お水飲み過ぎちゃった」

憂「げほっ……」

唯「憂……?」

憂「げほっ…げほっ」

唯「どうしたの?憂」

憂「お、お姉ちゃん!!」

230 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 00:41:41.49 ID:YGl8yUOKO
唯「大丈夫?咳いっぱいしてるね」

憂「う、うん大丈夫」

唯「……………」

憂「本当に大丈夫だよ」

唯「…………血が」

憂「え?血?」

唯「パジャマに血が付いてるよ憂」

憂「…………お姉ちゃん私は大丈夫だよ」

233 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 00:47:41.63 ID:YGl8yUOKO
唯「………憂」ギュッ

憂「……お姉ちゃん」

唯「………言ってお願いだから憂の体に何が起きたの?」

憂「でも……」

唯「大丈夫…私は受け止められるから」

憂「私…また癌に侵されたの…再発したの」

236 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 00:51:15.74 ID:YGl8yUOKO
唯「……私の病気が治ったみたいに…憂の病気も治るよきっと…治る」

憂「でも……もう長く無いらしいの…」

唯「大丈夫きっと治るよ…奇跡が起きるよ」

憂「私お姉ちゃんと離れるの嫌だよ!」ポロポロ

唯「大丈夫……私もすぐ追い付くから」

238 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 00:54:50.27 ID:YGl8yUOKO
もって一年らしい。
どうする事も出来ないぐらい癌は再発してあっちこっちに転移してるらしい。
一ヶ月二ヶ月と月日が過ぎて憂は病院へと入院する事となった。
まだ…まだ望みはある私の病気みたいに奇跡が起きると信じている。

239 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 00:57:56.04 ID:YGl8yUOKO
唯「憂ほらスノードロップ買って来たよ」

憂「ありがとう…お姉ちゃん」

唯「知ってる?この花の花言葉は希望なんだよ」

憂「うん…私が教えたもんね…」

唯「ムギちゃんからだよ!」

憂「そうなの?」

唯「うん!スノードロップここに置いとくからね」

憂「ありがとうお姉ちゃん」

241 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 01:03:24.28 ID:YGl8yUOKO
五ヶ月。
憂に元気が無くなって行くのがわかる。
憂の手を握ると少し震えている。
私は奇跡を信じてる。
病気が治る事は無いと思った私でも今はこうしてピンピンしている。
大丈夫…憂は大丈夫。

244 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 01:06:35.02 ID:YGl8yUOKO
唯「憂…何書いてるの?」

憂「えーと…手が震えてるからリハビリみたいな事してるの」

唯「もし治った時にね」

憂「うん…」

唯「あ…見せてよ」

憂「ダーメ!」

唯「ケチィ~!」

249 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 01:11:43.36 ID:YGl8yUOKO
七ヶ月。
目の下の隈が酷い。
体も細くなっている。
まだ…望みは捨てて無いよ私は捨てて無い。
グリーンマイルみたいに私もあの力が使えたらすぐに憂を治してやるのに。
寝る前に少し考える事がある。
もし、憂が死んだ時の事。

252 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 01:14:04.32 ID:YGl8yUOKO
唯「ご飯食べさせてあげる」

憂「いらない……」

唯「食べなきゃ…ほらあーんして」

憂「……あーん」

唯「美味しい?」

憂「あまり…味がしない…」

258 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 01:19:31.14 ID:YGl8yUOKO
九ヶ月。
あまり憂が話さ無くなった。
笑顔もあまり見なくなった。
寝る前に私は長い時間憂が死んだ時の事を考える。
その時の事はもう私の中で考えは決まっている。

264 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 01:30:36.96 ID:YGl8yUOKO
十月。

私は憂の細くなった体に抱き着きながら泣いた。

憂はそんな私の頭を撫でて大丈夫だよ…私の病気は治る安心してと紙に書いて私に渡した。

あの時、私が憂の癌の事を聞いた日、私はあの時から憂が死ぬ事を心の何処かで思っていたんだと思う。

だから、すぐに追い付くなんて言葉を言ったんだと思う。


265 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 01:38:12.36 ID:YGl8yUOKO
十一月。

私は病院に来て憂を見る度に涙を堪えきれなかった。
憂に悲しい思いをさせたく無いから、私は病院に来る前に泣かないと心に決めてから病院に入る。

でも泣いてしまう。

憂がこの世界からいなくなる。

その事を考えるだけで私は涙を堪えきれない。

憂はもう字を書く事が出来なくなり喋る事も出来ない。

268 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 01:45:14.47 ID:YGl8yUOKO
憂が入院してから一年と一ヶ月。

唯「憂…今夜が山場だって」

唯「………私今日はここに泊まるね……」

唯「………嫌だよぉ…死なないでよぉ…」

唯「憂…嫌だよぉ…」ポロポロ

憂の手を握りながら私は神様に祈った。

唯「ひぐっ…お願いします憂を助けて下さい…」

271 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 01:48:36.13 ID:YGl8yUOKO
憂「…………」ボソッ

唯「憂…憂?」

憂「…………」ボソッ

憂が何かを言っている…私は耳を憂の口元に近づけた。

憂「お姉ちゃん……大好き……」

これが…憂が最後に言った一言だった。

翌日の朝。

憂は静かに息を引き取った。

281 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 02:05:52.69 ID:YGl8yUOKO
唯「憂は本当に…死んだのかな?」

唯ママ「えぇ……」

唯「……………」

看護士「あ、あの…平沢唯さんはいますか?」

唯「私…ですけど…」

看護士「よかった…あのこれを」

唯「………手紙だ誰からだろ」

看護士「憂さんからです…」

唯「……憂から」

284 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 02:16:36.65 ID:YGl8yUOKO
唯「……………」

『お姉ちゃんへ』
お姉ちゃんごめんね。
せっかくお姉ちゃんの病気が治ったのに…ずっと側にいてあげられなくて。
あのね…お姉ちゃんが病気の時、私実はもうお姉ちゃんが助から無いと思ったんだよ。
でもね、こうやって奇跡的に回復して私凄く嬉しかった。
カレー作った時なんか本当に嬉しかった。
だから、ありがとう私の側にいてくれて。
私が死んでも希望を失わないで生きてね。
今までありがとう。
大好きだよお姉ちゃん。
PS手紙で言葉を伝えるのって結構難しいね。お姉ちゃんの妹でよかった。

287 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 02:20:02.52 ID:YGl8yUOKO
唯「希望を持って生きて……」

唯ママ「どうだった?」

唯「私にはそんな事出来ないよ…憂」

唯ママ「ね…ねぇ唯?」

唯「お母さんこれから親戚の人とお話するんでしょう?」

唯ママ「え、えぇ」

唯「私は帰るねバイバイ」

唯ママ「ちょっと……唯!!」

290 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 02:23:26.54 ID:YGl8yUOKO
唯「おかえり……」

今も家の中から憂がおかえりと言ってくれる…そんな予感がする。

唯「………そんな分け無いよね」

私は引き出しからお父さんのネクタイを出して自分の部屋へ向かった。

296 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 02:28:19.62 ID:YGl8yUOKO
唯「憂ごめんね私…希望持て無いよ…」

天井からぶら下がるネクタイ。

その真下には椅子。

もう死のう…私には何も残っていない。

私は椅子の上に立ってネクタイを首にキツく結びつけた。

唯「すぐ行くからね…憂」

301 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 02:41:26.37 ID:YGl8yUOKO
唯「バイバイ…お父さんお母さん」

私は椅子から身を投げ出した。

死ぬ事なんか怖くなかった…。

憂に会えると考えると怖くなんか無い。

唯「うっ…うぅぅっ」

この苦しみからもあと少しでお別れだ。

303 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 02:51:53.73 ID:YGl8yUOKO
ブチッと音と共に私の体は床に激突した。

唯「げほっ…げほっげほっ」

ネクタイは切られている…カッターで綺麗に切ったように切られている。

唯「…どうして」

死んじゃダメだよ!!そんな声が聞こえた気がする。

辺りを見渡すが誰もいない……。

305 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 02:57:23.35 ID:YGl8yUOKO
私が床に落ちた衝撃でハンガーで掛けられた制服が落ちたらしい。

唯「元の場所に戻さなきゃ………」

何か忘れてる気がする…確か澪ちゃんが言ってた。

あの時の私は放課後ティータイムが解散した事で頭がいっぱいだったから聞き流したんだと思う。

唯「なんだろう……」

307 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 03:03:48.32 ID:YGl8yUOKO
唯「………制服だ」

唯「そうだよ…確か澪ちゃんは制服のポケットに」

唯「あった…………これは紙?」

唯「何か書いてあるのかな?」

『桜ヶ丘高校の校門の前で待ってる』

唯「憂…私、希望持てそうだよ」

309 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 03:07:40.85 ID:YGl8yUOKO
唯「でも…これ何時か書いて無いよ…」

唯「多分りっちゃんが書いたんだね…」

唯「………大丈夫みんなは来るよ」

唯「何年でもみんなを待つよ…希望を持って生きるよ憂」


310 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 03:12:05.12 ID:YGl8yUOKO
私は毎日毎日みんなを校門の前で待ち続けた。
後ろにギー太を背負って待ち続けた。
三年間待ち続けている。
さわちゃんを捜したけど今はいないらしい。
大丈夫きっとくる。

311 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 03:16:22.94 ID:YGl8yUOKO
唯「……………今日は雨だよ憂」

唯「………行ってくるね今日はみんなと会える気がするよ」

唯「毎日言ってるよね私…バイバイ行ってくるね」

唯「いってきまーす」


312 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 03:19:58.92 ID:YGl8yUOKO
唯「はぁ…付いた…でも靴下びしょびしょだよ」

唯「…………後はみんなを待つだけ」

唯「ギー太も濡れないようにビニール掛けてあるし…大丈夫」

唯「でも…この歳でギー太って……まぁいっか」

唯「雨やまないかなぁ…」

315 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 03:25:35.89 ID:YGl8yUOKO
時刻は過ぎ夕方になった。

朝とは違い夕方の天気は晴れていて夕立がとても綺麗だった。

唯「今日も来ないかなぁ…」

希望を持つのも結構難しいんだよね。

唯「………今日も帰ろうかな」

317 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 03:29:42.00 ID:YGl8yUOKO
唯「うん…帰ろう」

私はギー太を背負い直し夕立を見た。

唯「綺麗だな…あれ?」

逆光でよくわからないけど六人組がこっちに向かって歩いて来てるの…かな?

唯「みんなじゃ無いと思うけど…もう少し待ってみようかな…」

320 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 03:35:43.47 ID:YGl8yUOKO
いや…確かにこっちに向かって歩いて来てる。

唯「まさか……」

逆光で顔はよく分からない…でも私の心臓は凄くドキドキしている。

唯「…………」

私は生唾を飲んだ…どんどん距離が近いている。

一番背の低い人が私を指を刺すのを見えて私は確信した。

唯「みんな……」

326 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 03:49:59.18 ID:YGl8yUOKO
此処に待つ時間も待ち遠しい私は走った。

距離がどんどん近いて顔が分かった。

唯「アハハ…みんな変わってないなぁ…」

走りながら考えた…まずは最初に何を言おう。

そうだ!ありがとうとただいま、まずはこれを言わないと。

329 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/09(日) 03:59:48.09 ID:YGl8yUOKO
私はみんなの元に辿り着いた。

みんなは涙を浮かべた表情で私を見ている。

唯「みんな…ありがとうそしてただいま」

みんなは私の手を握り口を揃えてこう言ってくれた。

ごめんねとおかえりを…。


END

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