2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

兄「妹が匂いフェチだと……?」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/05/07(金) 21:48:48.42 ID:M5eY7wO+0 [1/28]
SSの風当たりが強い今だからこそ

来るなら来やがれスレストめっ

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 21:50:28.74 ID:M5eY7wO+0 [2/28]
兄「なぁ、妹。一つお前に聞きたいことがあるんだけど」

妹「な、なに、お兄ちゃん……?」

兄「お前がその手に持っているものはなんだ?」

妹「えと、これは、ね……その、違うの!」

兄「……何が?」

妹「その、気が付いたらこれを持ってて! 私も記憶が曖昧なんだよ!? いつの間にか手に持ってて……それで、その……ごめんなさい」

兄「ふぅ……まぁ、ちゃんと謝ることができたのはいいことだと思う」

妹「う、うん」

兄「さて、じゃあ次の質問だけど……それで何してた?」

妹「あ、ぅ……い、言いたくない……」

兄「そうか、言いたくないようなことしてたのか」

妹「ご、ごめんなさい……」

兄「……逆のパターンならありがちかもしれないが、この状況は正直どうしたもんだろうな」

妹「お、お母さんには内緒にして!?」

兄「そんなの、恥ずかしくて俺だって言えねぇよ……“妹が俺のパンツでオナニーしてた”なんてなぁ」

6 名前:>>5 アリ。もう完成済み[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 21:53:10.77 ID:M5eY7wO+0
妹「いっ、言っちゃダメっ!!」

兄「まぁそうだろうとは思ったけど、否定はしないんだな」

妹「ひぅ……! あぅ、ぅ……」

兄「あ~、動揺してんのが手に取るように分かる中でこんなこと言うのもなんだけどさぁ……いつから?」

妹「い、いつから……?」

兄「聞き方が悪かったか。じゃあ、それ何回目だ?」

妹「っ………………さ、ん……」

兄「三回目か。思ったより少なくて微妙にホッとしたというか……」

妹「ど、どうして今日はこんなに帰ってくるのが早いの……?」

兄「今日は顧問の先生が体調を崩して学校を休んで自主練だったから、キリがいいところで切り上げてきた」

妹「そうなんだ……」

兄「………………」

妹「………………」

兄「……俺も気が動転しすぎて、頭が追いついてない感じがするわ」

妹「うぅ……」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 21:57:44.69 ID:M5eY7wO+0
兄「あ~、とりあえず、だな。こうなった以上、俺は見知らぬ振りをしてるわけにもいかなくなったわけだが」

妹「ど、どうするの……?」

兄「……妹はどうしたいんだ? 正直、俺はこの件について扱いに困る」

妹「……っ、わ……」

兄「わ?」

妹「忘れてほしい……」

兄「う~ん……まぁそれができれば苦労はしないけどな、多分無理だ」

妹「ど、どうして?」

兄「いや、いくらなんでも妹が俺のパンツでオナニーしてた現場を見てしまったなんて衝撃的な現場に出くわしといて、そんな簡単に記憶を抹消できるはずがないって」

妹「そ、そうだよね……うん。私も、お兄ちゃんがオ……その、してたら、忘れられないと思うし」

兄「いや、それは……まぁいい。できないことであっても、一番無難なのはなかったことにすることだよな」

妹「なかったこと?」

兄「今までのように、普通に、な。できるかどうかは別として、俺はこんな馬鹿げたことでお前と仲が悪くなるようなことはしたくない」

妹「あ……う、うん」

兄「だから、暫くはお互い意識しちゃうかもしれないけど、将来笑い話的な感じで話せる感じでありたいなと思う」

13 名前:ちなみにエロを期待したやつ、悪いことは言わん、帰れ[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 22:01:14.26 ID:M5eY7wO+0
妹「そ、そんな笑い話はイヤだよ……」

兄「……それもそうだな。ま、まぁなんだ、言いたいことは分かっただろ?」

妹「一応……」

兄「じゃあ、お前も部屋に戻って気持ちを落ち着けてきたらどうだ? 俺も、まだ少し混乱してるから落ち着きたいし」

妹「わ、わかった……」

兄「ん、じゃあ、また後でな」

妹「………………バカ」

兄「ん? なんか言ったか?」

妹「ん~ん、なんにも……じゃあ、ね」

兄「あいよ」

『ガチャッ』

兄「………………ハァ~~~、どうしたもんかなぁ……こんなの気まずいに決まってるじゃねぇか」

兄「これから今までのように普通に接していける自信ねぇよなぁ……」

兄「っていうか、アイツはなんで俺の部屋でオナニーなんかしてたんだよ……」

兄「するなら自分の部屋でしろよ……他人の部屋ですることで興奮するとか、そんなクチなのか?」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 22:07:23.73 ID:M5eY7wO+0
 ー翌日ー

兄「……昨日のこと忘れたのか?」

妹「え、えっとね……? これは、その……」

兄「俺が“なかったことにしよう”って言ったのに、その次の日に同じことしてるとか……」

妹「きょ、今日も早く帰ってくるなんて思わなかったんだもん……!」

兄「あのなぁ、昨日俺が早く帰ってきた理由がなんだったか覚えてるか?」

妹「うぇ……? えっと、顧問の先生が学校を休んでて……あっ」

兄「そう、正確には体調が悪くて、だけどな。その翌日にも同じことが起こり得ることぐらい、予想できただろ」

妹「そ、そうだった……」

兄「まぁ、それ以上に、だ。昨日注意したのに、今日も同じことしてるってのはなんでだよ?」

妹「それは………………」

兄「別に怒ったりしないから、言ってみ?」

妹「……本当に怒ったりしない?」

兄「あぁ、嘘じゃない」

妹「………………お、お兄ちゃんの匂いが好きだから」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 22:12:09.50 ID:M5eY7wO+0
兄「………………これはまた予想の斜め上の回答だった」

妹「えっ?」

兄「匂いが好きって……お前、匂いフェチとかそんなんか?」

妹「ちっ、違うよ!? 私が好きなのはあくまでもお兄ちゃんの匂いだけで……!」

兄「それはそれで反応に困る返答だけど、じゃあお前は俺の匂いを嗅ぎながら……その、してたわけか?」

妹「………………ぅん」

兄「……じゃあなんだ、最近妙に俺にくっついてくるなと思っていたけど、それも俺の匂いを嗅ぐためか?」

妹「そ、そう……だよ。ごめんなさい……」

兄「いや、謝られても困るけど……っていうか、別にオナニー自体のことをとやかくは言わないけどさ」

妹「ん……?」

兄「するなら、せめて自分の部屋でしてくれよ。正直、お前がしてるところ見せられるのはどう対応すればいいのか分からん」

妹「ぇ……!?」

兄「おい、なんでそこでそんなに絶望的な表情になるんだよ? 俺の部屋じゃないとできないわけでもないだろ?」

妹「ぅ……い、言わなきゃダメ……?」

兄「無理して言う必要はないけど……そんなに言いたくないことなのか?」

21 名前:>>18 kwsk[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 22:17:04.39 ID:M5eY7wO+0
妹「あ、あのね……?」

兄「おぅ、なんだ?」

妹「その……お、お兄ちゃんの匂いを嗅ぎながらするのが気持ち良くって……」

兄「それは分かった。でも、だからってそう何度もやられてもだな……」

妹「そうじゃなくて! だから、お兄ちゃんの匂いを嗅ぎながらじゃないと気持ちよくなれなくなったのっ!」

兄「……要するに?」

妹「あぅ……じ、自分の部屋でさっきしたんだけど、イけなかったの……」

兄「………………想像以上に厄介なことになってるな」

妹「わ、私もダメだとは思ったんだよ? でも、一度覚えちゃってから忘れられなくなって……ホントは」

兄「なんだ?」

妹「ホントは、お兄ちゃんの匂いを直接嗅ぎながらしたいの!」

兄「ぶっ……! お、お前なんてことを……!?」

妹「お兄ちゃん……ダメ?」

兄「ダメに決まってるだろ!? いくらなんでも、俺の理性がまずすぎる!」

妹「お願い、もう今日で最後にするから! 今日一回だけ許して……!」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 22:22:06.98 ID:M5eY7wO+0
兄「お前それはそのままずるずるいっちまうパターンの典型じゃねぇか!」

妹「本当に我慢するから!」

兄「いや、我慢すればいいってもんでもないしな!? オナニーを全面的に禁止するのはいくらなんでも可哀そうだと思うし!」

妹「お兄ちゃん……させて……?」

兄「そこはかとなくエロい言い方すんな! っていうか、急に雰囲気変わったぞ!? お前開き直ったのか!?」

妹「だって、お兄ちゃんが親身になってくれるから……」

兄「そりゃお前の悩みは聞いてあげたいし、助けてやりたいとも思うさ。でも、この件はそういう一般的なところとは違うと思うぞ」

妹「分かってるつもりだよ……でも、もしお兄ちゃんの匂いを嗅げなくなったら、私どうしたらいいか……!」

兄「妹……俺には分からんけど、そんなに辛いのか?」

妹「うん……もう、お兄ちゃんの匂いがないと生きていけないくらい」

兄「それは言い過ぎだろ」

妹「……私もそう思った」

兄「大袈裟に言えばいいってもんじゃないんだから。というか、ちゃんと現状を教えてくれよ」

妹「その、する時に気持ち良くなれなくなって、あと、嗅いでないと落ち着かないというか、イライラしちゃうというか……」

兄「お前はニコチン中毒者か」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 22:27:22.78 ID:M5eY7wO+0
妹「自分でも変だとは思ってるんだよ? でも、家に帰ってきたら無性にお兄ちゃんの匂いが嗅ぎたくなるの」

兄「家に帰ってきたら? それは外じゃなんともないのか?」

妹「うん、今のところはね。でも、いつ外でも我慢できなくなるか……」

兄「いやいや、外で我慢できなくなったら大変どころの話じゃないだろ。家ならまだいいけど」

妹「嗅がせてくれるの!?」

兄「そ、そうとは言ってないだろ? もうちょっと考えてからだな……」

妹「お願いだよぉ……お兄ちゃんがいないと、私おかしくなりそうだもぉん……!」

兄「あぁ~っ、なんて言い方をしやがるんだこの妹は……! 分かった分かった、匂いを嗅ぐという点については妥協する!」

妹「ホントっ!?」

兄「あぁ、仕方ないからな。でも、一つだけ条件がある」

妹「ぅ……な、なに?」

兄「俺の匂いを嗅ぎながらオナニーとかはやめてくれよ?」

妹「………………っ!?」

兄「だからそんなに絶望的な表情をしないでくれ。俺は絶対的に間違っていないはずなのに、なんだか良心の呵責が……!」

妹「………………お兄ちゃんのケチ」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 22:32:12.24 ID:M5eY7wO+0
兄「ケチってなぁ……! お前家族とはいえ、他人の目の前でそういう行為をするんだぞ? 恥ずかしくないのかよ」

妹「ぅ……そ、それは……」

兄「だろ? だったら……」

妹「で、でも、お兄ちゃんの匂いを直接嗅ぎながらできるんだよね……だったらそれくらいは我慢できるかも……」

兄「……お前は人として大切な何かを、どこかに置き忘れてきているみたいだな」

妹「そ、それぐらい私にとって大事なことなんだよ!」

兄「オナニーがか?」

妹「オナっ………………き、気持ち良くなることが……」

兄「ハァッ……あんまりこういうことはしたくないんだけど、母さんに言うぞ?」

妹「っ、それはやめて!!」

兄「じゃあマジで勘弁してくれ。 これについては、正直俺の手に余る」

妹「うぅっ、私、これからどうやってすればいいの……?」

兄「あのなぁ……あぁ、もうとりあえず今はこれぐらいでいいや。なんだか馬鹿らしくなってきた」

妹「わ、私にしてみれば死活問題なんだけど」

兄「その死活問題の内容が相応しくなさ過ぎだろ」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 22:37:12.57 ID:M5eY7wO+0
 ー夕飯後ー

兄「おい、妹」

妹「ひぅっ!?」

兄「……そんなに過剰に反応されると、俺としては対応に困っちゃうんだけど」

妹「ご、ごめんなさい! 謝るから、嫌いにならないで……!」

兄「あ、いや、そんな程度のことで嫌いになったりはしないから安心しろよ」

妹「よかった……」

兄「あぁ~、とりあえず、だな。妥協案についていろいろと考えておくし、俺もどうすべきか考えるから、その間これで我慢してくれ」

妹「………………!!」

兄「なんでそんなに驚いてるんだよ……ったく、そんな熱烈な視線を送らんでも」

妹「おっ、お兄ちゃんのTシャツ……!」

兄「パンツは流石に抵抗感が強いから勘弁な」

妹「わ、分かった!」

兄「……テンション上がってんなぁ」

妹「ふぅっ、ふぅっ……!!」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 22:42:12.74 ID:M5eY7wO+0
兄「んじゃ、またな」

妹「あ、ちょ、ちょっと待って!」

兄「ん? まだ何かあるのか?」

妹「こ、今度でいいから、ちょっとお願いを聞いてほしいの」

兄「今度? 今度でいいなら、今呼び止めなくても……」

妹「そういう意味じゃなくて、今お願いするから、今度持ってきてほしいというか……」

兄「あぁ、そういうこと。で、何を?」

妹「……体育で使ったあとの体操服とか」

兄「………………」

妹「………………」

兄「………………」

妹「な、何か反応……は……? うぅ……っ」

兄「あ、あぁ、いや、悪い。本気で呆れてしまったというか……それは絶対にほしいのか?」

妹「できれば……ううん、やっぱり絶対にっ! 未知の領域だからっ!!」

兄「そんなに顔真っ赤にして力説するぐらい欲しいんだな」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 22:47:10.37 ID:M5eY7wO+0
 ー後日ー

『コンコン』

兄「……うし、誰もいないな。ただいま~っと」

兄「………………というか、自分の部屋にノックして入るとかおかしな状況だよ、な……?」

『………………ん、ぅ………………ぁ………………』

兄「……おい、声漏れてやがんぞ」

『ぁ、ぅ……んん~っ………………ひぃ、ぅ……』

兄「………………」

『ぁん………………ぃ、ぃ……っ! ぁっ………………ィ、イクっ……!?』

兄「………………~~~っ」

『…………………………』

兄「……ようやく終わったか。なんつーか、姿が見えず声だけだとこっちもムラムラしちまうな」

兄「これでアイツが実際にしてるところなんて見たら、一気に萎えるんだろうけど」

兄「あぁクソっ、とりあえず一回ヌいとかないと治まんねぇっ……!」

兄「ったく、こんなところでも悩まなきゃいけないとは……! あ、ドアのカギ閉めとかないと」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 22:52:07.45 ID:M5eY7wO+0
 ー三十分後ー

兄「ふぅ………………あぁ~もう、なんつーか酷い自己嫌悪だ……」

『コンコン』

兄「……! はい?」

妹『あ……お、お兄ちゃん、入っていい?』

兄「ちょ、ちょっと待ってろ」

兄(ちゃんと片付けないと……! やってる最中じゃなくてよかったけど、何も終わったその瞬間に来なくても……!)

兄「……こ、こんなもんか。 よし、いいよ」

『ガチャッ』

妹「お、お邪魔します………………ん?」

兄「どうした? 何か用………………なんでお前は部屋に入った途端に鼻をひくつかせているんだ?」

妹「なんていうか、こう生臭いような匂いが……?」

兄「し、知るか!(一体どんな嗅覚してんだこいつは!? 犬と同じレベルとかかよ!?)」

妹「ふぅ~ん……あ、そういえば! 今日お兄ちゃんって体育あったでしょ?」

兄「……どうしてお前がそれを知ってるんだよ」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 22:57:21.39 ID:M5eY7wO+0
妹「え、だって調べたし……」

兄「調べた?」

妹「お兄ちゃんは、今日の二限目に体育の授業があったんだよね? しかも、汗をい~っぱいかくマラソンの……」

兄「おい、ちょっと待て」

妹「ふぇ? な、なに?」

兄「その情報、一体どうやって調べたんだ? お前は中学三年生、俺は高校二年生。学校が違うから、たまたま窓から見かけたとかそんなんじゃないし」

妹「だ、だって、いつお兄ちゃんの汗でグショグショになった体操服の匂いを嗅げるんだろうって気になってたから……」

兄「あぁ、うん。理由については予想できる。でも、どうやってその情報を知ったのか、その手段についてを聞いてるんだ」

妹「え、えっと……お兄ちゃんの学校の人に、お兄ちゃんのクラスの時間割を聞いて……」

兄「………………」

妹「う……? お、お兄ちゃんどうしたの……そんな怖い顔して……あ、ぅ」

兄「お前、人見知りの癖してよくそんなことできたな」

妹「だ、だって……我慢できなかったし……」

兄「妹は明らかに行動力を発揮する方向性を間違っているぞ」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 23:02:33.92 ID:M5eY7wO+0
妹「こ、怖かったんだよ? お兄ちゃんの高校の人に尋ねるのって……」

兄「なら聞きに行くなよ……まったく」

妹「そっ、それより! 体操服は!?」

兄「……俺の中では微妙に迷ってたけど、お前が危ないことしてることが分かったから今回は渡さない」

妹「えぇっ!? どうして!?」

兄「引っ込み思案のお前が、自ら行動して他人とコミュニケーションを取ろうとしたことについては、お兄ちゃん評価してもいいと思うんだ」

妹「う、うん」

兄「でも、その動機が不純すぎて悲しさを感じずにはいられないわ」

妹「でっ、でも、人はそうやって大人になっていくんだよ!?」

兄「その言葉だけ聞けば凄い良いこと言ってるように聞こえるんだけどな」

妹「うぅ~………………ダメ?」

兄「ダ~メ」

妹「お兄ちゃんのケチぃ~っ!!」

兄「痛い痛い! わ、分かった分かった、今度持ってきてやるから、それまでは大人しくしてるんだぞ?」

妹「むぅ~……約束だよ?」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 23:07:11.90 ID:M5eY7wO+0
兄「まったく、しょうがないなぁ……って、そういう俺も甘いよなぁ」

妹「でも、そんなお兄ちゃんのこと好きだよ?」

兄「あ、あははは……うん、まぁ、ありがとな」

妹「えへへ……じゃあ、今度までちゃんと大人しく待ってるから、絶対に体操服、忘れないでね?」

兄「はいはい、覚えてたらね」

妹「私が忘れないから大丈夫!!」

兄「ったく……興奮したらどもらずに喋ることができるようになるのは昔から変わってないけど、その内容がなぁ」

妹「わっ、私だってちょっとは恥ずかしかったりするんだよ?」

兄「そっか。まぁ羞恥心がまったくないわけじゃないのなら、少しは安心だ」

妹「うぅ~、イジワル……」

兄「あ、それと」

妹「なに?」

兄「……オナニーするのなら、もうちょっと声抑えてするようにしろ。俺の部屋まで聞こえてきたぞ」

妹「っ……!!? おっ、お兄ちゃんのバカァァァっ!!」

『ガチャンッ!!』

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 23:12:20.65 ID:M5eY7wO+0
兄「そそっかしいところも変わってないか。まっ、急に大人びた対応されても面喰らうだけだしな」

『ガチャッ』

妹「お、お兄ちゃん……?」

兄「うぉっ!? な、なんだよ、部屋に戻ったんじゃなかったのか?」

妹「えっと……ちょっと忘れ物、かな」

兄「忘れ物? お前、ここには手ぶらで来てたじゃん」

妹「えっと、そうなんだけど……あ、あのね?」

兄「……何を隠してる?」

妹「えっ!? べ、別に何も隠してないよ?」

兄「嘘だ、お前は昔から都合が悪い時には必ず目が泳ぐから分かるぞ」

妹「あ、ぅ……そ、そんなことない、よ……?」

兄「じゃあ正直に話してみろ。怒ったりしないし、な?」

妹「……ホントに?」

兄「あぁ、ホントだ。お兄ちゃんは約束を破ったりしないさ」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 23:17:06.21 ID:M5eY7wO+0
妹「じゃ、じゃあ………………ゴミ箱、調べさせてくれない……?」

兄「………………なんで?」

妹「えっ……そ、それは……ね。えっと……その、あの……あ、アレだよ」

兄「アレってなんだ?」

妹「うぅ~……っ、ご、ゴミ箱の中にティッシュが大量にあったかr」

兄「今すぐ出てけぇぇぇっ!!!」

妹「うひゃぁぁぁっ!?」

『ガチャンッ!!』

兄「ハァッ、ハァッ、ハァッ………………き、危険だ……危険すぎる……」

兄「これからは自分の部屋でオナニーすることすら許されないの、か……ん?」

兄「………………おい、クールになれよ、俺。今までは普通に部屋でしてたわけだ、うん。ということは、だ」

兄「今までのティッシュについて、妹が感付いていなかったなんて甘い考えは捨てた方がいいのだろうか……」

兄「っていうか、アレの臭いってもはや俺の匂いと全然違うだろ……やっぱりなんでもいいんじゃねぇのか……?」

兄「なぜ俺がこんな案件で悩まなければならないんだ……!」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 23:22:08.80 ID:M5eY7wO+0
 ー後日ー

兄「ただいま~っと。今日は疲れたなぁ……ちょっと飯まで横になりたいな」

『コンコン』

兄「……自分の部屋にノックをすることが習慣化してきたっていうのは、どう思えばいいんだろうね?」

『ガチャッ』

兄「ん~~~っ、疲れt………………あ?」

妹「ハァ、ハァ、ふぅぅぅっ……へ? あぇ?」

兄「………………なんで、お前が、ここに、いるんだ?」

妹「………………ぁ……~~~~~っ!!? みっ、見ないでぇぇぇっ!!!」

兄「うぉぁぁぁっ!?」

『ガチャンッ!!』

兄「……!? こ、これは夢……なんてアホな展開はあるわけがない。落ち着け、落ち着け……」

兄「今開けた扉。うん、俺の部屋で間違いない。そしてその向こうに広がっていた光景は桃源郷……って何を言ってるんだ俺は……」

兄「……つ、ついに遭遇してしまった……妹の“オナニー現場”に……!」

兄「というか、意外とエロかったな。あいつも成長したのか……胸の膨らみかけの感じとか、股の部分の僅かな黒色とか……って、何を考えてる!? 脳がおかしくなってやがるな!?」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 23:27:14.44 ID:M5eY7wO+0
兄「……と、とりあえずだな。どういうことか説明してもらおうか?」

妹「うぅぅぅ~……」

兄「あのな、お前が泣くのはお門違いってヤツじゃないか? 寧ろ、泣きたいのはこっちだ」

妹「だ、だってぇ……ひぐっ」

兄「見ちゃったのは悪かったよ。それについては謝る。でも、俺は自分の部屋だけどこういうこともあるかもしれないと思って一応ノックはした」

妹「うん……」

兄「それと、今言ったようにここは俺の部屋だ。そこでヤってるんだから、基本的に俺に見られたのは自業自得じゃないか?」

妹「うん……」

兄「……はぁっ、今のお前には何を言っても無駄みたいだな。ほら、こっちこい」

妹「……ぇ?」

兄「お前は俺の匂いが好きなんだろ? 今だけは好きなだけ嗅がせてやるから……は、早く落ち着け。そうでもしないと、その、満足に話もできんだろ」

妹「……! う、うんっ!」

兄「おわっとと……急に抱きついてくるんじゃ、って……お前、本当に幸せそうな顔してるな」

妹「だって、久しぶりだもんっ! それに、今までは隠してたから堂々と嗅げなかったけど、今は思いっきり嗅げるし!」

兄「……調子狂うなぁ」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 23:32:08.69 ID:M5eY7wO+0
妹「すぅ~~~~~っ……はぁ~~~~~っ……ふぅ、ん、ありがとう、お兄ちゃん」

兄「あ、あぁ……なんつーか、アレだ、昔を思い出すな」

妹「昔?」

兄「お前、前からそんな匂いフェチだったのかは知らないけど、昔もよくこうやって抱きついてきてたよな」

妹「う……は、恥ずかしいからやめてよ……」

兄「お前、現在進行形で同じことしてるんだぞ?」

妹「………………」

兄「はははっ、そんな顔を真っ赤にしなくてもいいじゃねぇか」

妹「……にぃにのイジワル」

兄「……! “にぃに”って……懐かしいな、その呼び方」

妹「そっちの方がいい?」

兄「別に、お前が好きな方で呼べばいいって。あ、家の外ではそれこそ恥ずかしいから“お兄ちゃん”であってほしいけどな」

妹「……うん、分かった、にぃに」

兄「オイオイ。お前も腹が黒いヤツだなぁ」

妹「にぃにが悪いんだもん、絶対そうだもんっ……」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 23:37:17.50 ID:M5eY7wO+0
兄「お前はそうやって昔から俺によく懐いてたけど、反抗期とかはないのか?」

妹「反抗期って……なってほしいの?」

兄「いや、あんまりなってほしくはないけどさ」

妹「………………」

兄「妹?」

妹「……もうにぃになんて知らない! 死ね、ボケ」

兄「………………」

妹「うぅ……無理。思ってもないことなんて、やっぱり言えないし……それに、にぃにには嫌われたくないし」

兄「そ、そっか」

妹「にぃに、汗が……?」

兄「あ、あぁ……いや、思ったより、な。さっきの言葉はダメージが大きくて……心が折れかかったわ」

妹「そ、そうなの? じゃあ、もう絶対言わないから」

兄「そう、だな……そうしてくれると俺の精神衛生上も助かる」

妹「ふふふっ……」

兄「……なんでそんなに嬉しそうなんだ? 何か嬉しくなるようなことってあったっけ?」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 23:42:06.19 ID:M5eY7wO+0
妹「ん~ん、なんでもないよっ」

兄「なんでもないって……いや、まぁいいけどさ。で、だ」

妹「んん?」

兄「まだ大事なことが終わってないぞ。説明してもらわないと」

妹「ぁ……え、っと、その……それって、今度とかじゃダメ、かな?」

兄「そうやってズルズルと先延ばしにしてもいいことなんてないだろ。お前、それについてずっと悩まなくちゃいけなくなるんだぞ」

妹「それはそうだけど……」

兄「こういうもんは、早いとこ解決するにかぎるんだよ。だからほら、パパッと言っちまおうぜ」

妹「う、うん……」

兄「で、どうして俺の部屋でしてた? 俺的にはある程度の妥協をしたのは確かだが、部屋であんなことするのまで許した覚えはないんだけど」

妹「その、ね……やっぱり、Tシャツじゃ匂いが弱いっていうか……あんまりドキドキできなくて……」

兄「あ~……なるほど、な。まぁ、言いたいことは分かったけど……」

妹「せっ、せめて使いたてのパンツとかだったらいいんだけど」

兄「そんな恥ずかしいモノを渡せるか!」

妹「そう、だよね……」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 23:47:07.19 ID:M5eY7wO+0
兄「っていうか、お前いろいろと気を遣ってるか?」

妹「どういうこと?」

兄「俺にはバレたからいいけど、お前がもし洗濯機に入ってる俺の下着とか漁ってるのを父さんや母さんが見たら、どうなると思う?」

妹「………………っ!」

兄「オイ、その顔はなんだ? 俺は例えのつもりで挙げただけなのに、いかにも心当たりがありますって表情だな?」

妹「ぅ……に、にぃにズルイ……」

兄「あのなぁ、ったく。まさか本当にそんなことまでしてたのかよ」

妹「その……が、我慢できない日とかは……にぃにのパンツとかを使ってたけど」

兄「お前、自分で要求しておきながら既に使ってやがったのか!」

妹「でも、にぃにがいいよって言ってくれたら私の罪悪感はなくなるもん!」

兄「罪悪感って、一応そういう気持ちはあるのか……で、父さんたちにはバレてないんだろうな?」

妹「う、うん……そんなことしてるとこ見られたくないし、ちゃんと気をつけてるけど」

兄「あ~、そっか……まったく、本当に困った妹だなぁ」

妹「そ、そんな遠い目で現実逃避しないでよ……」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 23:52:10.70 ID:M5eY7wO+0
兄「っていうか、そもそもだ。お前その性癖を治したいと思ってるのか?」

妹「せ、性癖って言わないでよっ」

兄「じゃあなんて言えばいいんだよ……俺には匂いフェチっていう言葉以外、思い当たらないんだけどさ」

妹「え、えっと………………言葉にしないでくれればいい」

兄「結局思いつかなかったんだな」

妹「うぅ~……にぃにって、時々Sだよね」

兄「お前がドMなんだよ」

妹「そっ、そんなことないもん!」

兄「いや、ドM以外にあり得ないと思うぞ……って、話が逸れてるな。で、どうなんだよ?」

妹「えっと……治したい、かな?」

兄「どうして疑問形なんだ……本当に治したいんだろうな? 治す必要性を感じてないとか思ってるんじゃないのか?」

妹「どうして分かるの!?」

兄「オイ、あっさり認めるなよ。ちょっとは否定してくれ……」

妹「で、でも、絶対に治さないといけないわけじゃないと思うし、その……き、気持ちいいから……」

兄「自分に素直でよろしい、けど、俺的には治してもらいたいよなぁ……」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/07(金) 23:57:11.00 ID:M5eY7wO+0
『ガチャッ』

姉「やっほ~、久しぶり~!」

兄「ねっ、姉ちゃん!? なんで帰ってきてるのさ? 旦那さんは?」

姉「いや~それがさ~、その旦那とケンカしちゃってね」

妹「お姉ちゃん、前も同じ理由で家に帰ってきてたよね……」

兄「妹に呆れられてるよ、姉ちゃん」

姉「てへっ」

兄「……相変わらずだなぁ、姉ちゃんは」

姉「だってさぁ、“お小遣い増やせ”ってうるさいんだよ? 何回ダメって言っても言うこと聞かないし」

兄「増やしてあげればいいじゃん……旦那さん、尻に敷かれてるんだな……」

姉「そんなこと言っても、お金の遣り繰りって大変なんだよ? 今月も節約してギリギリなのに、その状態からお金を捻出できるかってーの」

妹「お姉ちゃんって、豪快そうに見えてそういうとこ細かいよね」

姉「ぬわっはっはっは! いいお嫁さんでしょ?」

兄「旦那さん的には鬼嫁なんじゃ……」

姉「なんか言ったかな?」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 00:02:07.50 ID:jccU9QCl0 [1/32]
姉「……ところで、妹が兄の部屋にいたのはどうしてかなぁ?」

兄「ん? あ、あぁ……なんていうか、相談?」

妹「あ、ぅ……そ、そう、だよね……?」

姉「……ほほ~う、なんか怪しいぞ? さては疾しいことでもしてたか?」

兄「なんでそういう発想に至るんだよ……って、妹もなぜそこで顔を赤くする?」

姉「ふむ、どうやら図星、とまではいかなくても近いっぽいね。とすると……あ、もしかして」

兄「な、なんだよ……?」

姉「妹の匂いフェチの話が兄にバレたとか?」

妹「ふぇっ!?」

兄「………………なんのこと?」

姉「はっはー! どうやらこっちが正解みたいねぇ。そうかそうか、バレちゃったのか」

妹「お、お姉ちゃん……!」

兄「……どうすんだよ、妹?」

妹「え、えっと……お姉ちゃんは、もともと知ってたし……隠しても仕方ない、と思う……」

姉「あららら、本当にバレちゃったのね。で、どういう話をしてたの?」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 00:07:07.06 ID:jccU9QCl0 [2/32]
兄「……ってわけだけど」

姉「貸してあげればいいじゃん、パンツくらい」

兄「そんな簡単に言わないでくれよ……って、妹も凄い勢いで頷くな。目がメッチャ輝いてるぞオイ」

姉「逆に、アンタはなんで嫌なのよ?」

兄「はぁ? いや、そんなこと聞かれても……人にパンツ貸すとか、普通に考えてイヤじゃん」

姉「そうかしら? 妹、アンタは兄に“パンツ貸してくれ”って言われたら貸す?」

妹「う……か、貸す、かな……」

兄「ハァっ!? ほ、本気で言ってんのか!?」

姉「ほら、じゃあさっさと物々交換といきなさいよ。お互いのパンツを貸し合うのなら、アンタもいいでしょ?」

兄「いいわけないだろ! っていうか、妹はどうしてそんなあっさりと貸すとか言えるんだ!?」

妹「だ、だって、そうすればにぃにの脱ぎたてのパンツが……」

兄「誰も脱ぎたてとか言ってないし! そして貸すつもりもないからな!? そして姉ちゃんはどうしてそんなに驚いてんの!?」

姉「妹、今……! アンタもしかして」

妹「あ、ぅ……わ、分かっちゃった……?」

兄「え、なんの話ですか?」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 00:12:06.10 ID:jccU9QCl0 [3/32]
姉「そう……なるほどねぇ、それでわざわざ兄の部屋でオナニーなんかしちゃったりしてたのかぁ」

兄「え、なんで姉ちゃんは訳知り顔で頷いたりしてるの? 理由が分かったのなら、俺にも教えてくれよ」

妹「だっ、ダメ……!」

姉「だってさ。少なくとも私から言えるようなことじゃないし、妹が自分で言うべきことよね」

兄「どういうことなんだよ……意味分からん」

妹「そ、その……」

姉「あ、もしかして今から言っちゃう? だったら私、席外してあげよっか?」

妹「べ、別にお姉ちゃんはいてもいいよ……前は、いろいろと相談にも乗ってくれたから」

姉「そう、じゃあ遠慮なくいさせてもらうわよ。妹の思いの丈、ぶつけちゃいなさい」

兄「……さっきから会話に加わらせてもらえない」

妹「に、にぃに!」

兄「は、はい!」

妹「あ、の……ね。そのぉ……に、にぃには……うぅ~……!」

兄「お、落ち着け。何が言いたいのかさっぱり分からないけど、ちゃんと聞いてやるからさ」

妹「う、うん……! わ、私ね? にぃにのことが……ずっと前から好きでしたっ!!」

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 00:17:08.24 ID:jccU9QCl0 [4/32]
兄「………………え?」

姉「おぉ~、ストレート160キロを投げ込んだわね。しかもど真ん中に」

妹「わ、私ね。にぃにの匂いが好きっていうのも本当なんだけど、そっ、それよりもにぃにのことが異性として好きになったの」

兄「……本気で?」

妹「う、うん……迷惑、かな……?」

兄「あ、いや、そういうわけじゃなくて……えっ?」

姉「おぉ~おぉ~、兄も顔真っ赤よのぉ。初々しいのぉ」

兄「かっ、からかうなよっ!」

姉「ぬっへっへっへっへ! 分かった分かった、なんもしんから、ちゃんと答えてやれ」

兄「そ、そんなこと言われても……」

妹「だ、ダメ……かな?」

兄「うっ……ちょ、ちょっと考えさせてくれ」

姉「おいおい、ここで返事してこそ立派な男ってもんだろ」

兄「うるせーっ、今はそんな余裕もないんだっつーの! とにかく、一人にしてくれ!」

姉「はいはい、ほら妹。とりあえずアンタの部屋にでも行こっか」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 00:22:08.93 ID:jccU9QCl0 [5/32]
『ガチャッ』

兄「………………行ったか」

兄「………………」

兄「………………告白、だよなぁ。どう考えても、アレは」

兄「っていうか別に義理の兄妹ってわけでもないし、血が繋がってるのになぁ、そんなこと急に言われても」

兄「異性として見れるかってーの……」



ー妹の部屋ー

妹「………………」

姉「よく頑張ったねぇ、昔っから内気で自分の言いたいことが言えなかった妹も、成長したなぁ」

妹「……お、お姉ちゃん……うぅ~……」

姉「張り詰めてたものが切れちゃったか。ほら、おいで。泣いちゃっていいから。あ、鼻水とか服につけちゃダメよ? これ高いんだから」

妹「うぅ~……うわぁぁぁん!!」

姉「よしよし、頑張った頑張った……っていうか、いくら緊張の糸が切れたからって、別にまだダメって言われたわけじゃないでしょ?」

妹「で、でもぉ……!! ひっぐ……!」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 00:27:33.02 ID:jccU9QCl0 [6/32]
姉「大丈夫、アイツなら分かってくれるさ。それに、アンタ達が兄妹だってことを気にしてるのなら、それについてはきっと心配いらないさ」

妹「ひくっ……ほんとに……?」

姉「まぁ、父さんや母さんがなんて言うかまでは私にも分かんないけどね……私も説得してあげるから」

妹「お姉ぢゃん……ぅぅ……」

姉「ほらほら、もう泣かないの! いつまでも泣いてたら、かわいい顔が台無しだよ?」

妹「う゛ん……ぐすっ」

姉「まぁ夕飯までは時間あるし、その間はここでゆっくりしてなさい。母さんに、アンタと兄のご飯の時間ずらすように言っといてあげる」

妹「……ありがとう、お姉ちゃん」

姉「いいってことよ! かわいい弟や妹のためだからね! それじゃあ、そう言ってくるからアンタは暫くここにいなさい」

妹「うん、分かった……」

姉「自分の心が落ち着いたら、アンタから兄の部屋訪ねてやりなさい。アイツからはきっと来ないだろうし」

妹「うん……」

姉「それじゃあ、また後でね」

『ガチャッ』

妹「………………にぃに……」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 00:32:05.96 ID:jccU9QCl0 [7/32]
姉「あの子たちも遂にねぇ……まさかとは思ってたけど、こうなる運命だったのかしら」

『ガチャッ』

兄「あ……」

姉「ありゃ、兄じゃん。もう返事は決まったのかな?」

兄「……その前に、ちょっと聞いておきたいことがあるんだけど」

姉「……まぁいっか。じゃあ聞いてあげる」

兄「部屋入って」

姉「あいよ~っと」



ー兄の部屋ー

兄「はぁっ……」

姉「アンタも優柔不断よねぇ。あんなかわいい妹に告白されて、ぐらっとこないの?」

兄「それ以前の問題だろ。大体、兄妹で付き合うって……それがどういうことか、分からないわけじゃないだろ?」

姉「そりゃ、世間は冷たい視線を送るかもしれないけどね。そんなことじゃないでしょ?」

兄「そんなことって……どういうことだよ?」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 00:37:10.39 ID:jccU9QCl0 [8/32]
姉「要するに、“アンタが妹のことを好きなのかどうか”ってことよ。周りのことばっかり気にして、本質を見誤っちゃダメ」

兄「それは……そうだけど」

姉「まっ、兄が迷ってるってことは傍から見れば一目瞭然だし、あの子にも脈はあるみたいね」

兄「……そうかよ」

姉「アンタも素直じゃないわねぇ……」

兄「知るか。それと、聞きたいことがあったんだけど」

姉「なによ? 妹のスリーサイズかしら?」

兄「ふざけてないで、ちゃんと答えてくれ。どうしてさっき話をしていた時、妹が俺のこと好きだって分かった?」

姉「そんなこと? ん~……まぁ、昔はよく相談を受けたものだし」

兄「昔って、いつ頃?」

姉「私が家を出る前よ。だから……妹が小学校の4年生くらいの時かしら?」

兄「そんな前から……アイツは俺のことが好きだったのか?」

姉「いや、あの子も別に“お兄ちゃんのことが好きなんだけどどうしよう”なんていう直接的な相談を持ちかけてきたわけじゃないわよ?」

兄「……じゃあ、どうして?」

姉「もっと曖昧で、その当時の私にも兄として慕っているのか、異性として慕っているのかまでは判断できなかったってこと」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 00:42:09.45 ID:jccU9QCl0 [9/32]
兄「それなら、どうして今日突然分かったんだ?」

姉「まぁ、ぶっちゃけて言えば勘っていうのが5割くらいだったんだけどね!」

兄「……残りは?」

姉「あの子、アンタのこと“にぃに”って呼んでたじゃない? それを聞いた瞬間かなぁ」

兄「はぁ……? いや、確かに最近は“お兄ちゃん”って呼ばれてたから姉ちゃんにも変には映ったかもしれないけど、そんなことで?」

姉「具体的な理由を求められても私も困るのよ。“にぃに”っていうのを聞いた瞬間、“あぁ、やっぱり妹は兄のことが好きなんだな”って漠然と思っただけ」

兄「……結構当てずっぽうじゃないか」

姉「そう言われると身も蓋もないけど、それでも私的にはほぼ100%確信してたわよ? そうじゃなきゃ、けしかけることなんてできないし」

兄「そっか……ということは、やっぱり小学校の頃からずっと好きでいてくれたのか」

姉「まぁ、私は歳が離れてるっていうのもあったしね。歳が近いアンタによく懐いてたし、ちょっと懐きすぎなんじゃないのかって思ったくらいだったから」

兄「もしかしたら、こういう未来もあるんじゃないかと思ってたってこと?」

姉「まぁね~」

兄「じゃあ、俺がどういう答えを最終的に出すかっていうのも分かる?」

姉「そこまでは分かんないわよ。妹は同じ女っていうのもあったから予想できたけど、アンタは男ってだけじゃなくて、考えてることが読み取りにくいからね」

兄「ふぅん……まぁ、いいや。とりあえず、聞きたいことはそれだけだから」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 00:47:36.77 ID:jccU9QCl0 [10/32]
姉「そう、じゃあちょっと母さんに話してくることがあるから」

兄「何を? まさか、このことを話すのか?」

姉「あのねぇ……いくらなんでも、この状態で母さんに話すほど口が軽い女じゃないわよ。アンタと妹のご飯の時間帯をずらすように言ってくるだけ」

兄「……それだけでも不審に思われそうだけど」

姉「そこんとこは上手く言っておくわよ。別に直接的に表現しなくても、いくらでも誤魔化しは利くでしょ」

兄「……ん、分かった」

姉「あぁ、それと最後に一つだけ言っておくけど」

兄「……何?」

姉「アンタが“兄妹だから”っていう理由で迷ってるのなら、そんな常識取っ払っちゃいなさい」

兄「………………」

姉「あの子のこと、ちゃんと一人の異性として見てあげるべきよ。それが礼儀だわ」

兄「……分かった」

姉「じゃあ、上手くやりなさいよ」

兄「あいよ」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 00:52:16.11 ID:jccU9QCl0 [11/32]
 ー夕飯後ー

兄(姉ちゃん、上手いこと母さんを丸めこんだみたいだな……妹と一緒にご飯食べてないこと、何も聞かれなかったし)

兄「それにしても、なぁ……」

兄(姉ちゃんにはあぁやって言われたけど、実際“兄妹”っていうのを意識しないで済むなんてことは無理だ)

兄(物心ついたときからずっと一緒に育ってきたんだ……身近すぎて、異性として見たことなんてなかったのに)

『コンコン』

兄「……はい?」

姉『いよ~っす、私、私』

兄「……どうぞ」

『ガチャッ』

姉「いや~、悪いね。ゆっくり考えたいって時に」

兄「別に……で、なんの用なのさ?」

姉「いんや、別に用事なんてないし」

兄「は?」

姉「アンタの様子を見に来たのと、暇潰しにここにあるマンガでも見ていようかな~と思ってね」

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 00:58:13.16 ID:jccU9QCl0 [12/32]
兄「ハァ、マイペースだなぁ相変わらず。っていうか、マンガ読みたいのなら自分の部屋に持っていけばいいじゃん」

姉「それじゃあアンタがどんな百面相してるのか見られないじゃん」

兄「……もしかしなくても、面白がってるだろ」

姉「いえいえいえ、流石に面白がったりなんかしていないですよ? ププッ」

兄「最後のはなんだ、最後のは……」

姉「ごめんごめん、冗談だって。これでもちゃんと心配してるんだからさ」

兄「さいですか」

姉「アンタたちとは歳が離れてるからねぇ、息子や娘ではないけど……甥や姪みたいな感覚なのかもしれないわね」

兄「そうかい」

姉「……そっけないなぁ、そんな態度取ってたりしたら、妹に愛想尽かされちゃうぞ?」

兄「こっちは姉ちゃんとの会話のやり取りさえ億劫に思えるほどにいっぱいいっぱいなんだからさ……ちょっとはそっとしておいてくれよ」

姉「まったく、思った通りというか……だから私はここに来たんだよ」

兄「……どういう意味?」

姉「難しく考えすぎるなよぉ~? アンタは、自分の気持ちに素直になればいいのさ」

兄「それが簡単にできたら、今こうやって唸ったりはしてないって」

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 01:02:11.23 ID:jccU9QCl0 [13/32]
姉「……お? 今の言い方、ちょっと引っかかるねぇ?」

兄「……どうして?」

姉「だって、自分の気持ちに素直になれたらこんな状況になってないってことはだよ? アンタはあの子のこと受け入れたいって思ってるんじゃないの?」

兄「………………」

姉「自分でも何気なく言った言葉だったのなら、尚更それこそが兄の本心なんでしょ? 素直になりなさいな」

兄「いや……どうなんだろう」

姉「ったく、まだウジウジ悩んでるのかよ……そんな子にはお仕置きだっ!」

兄「えっ? うわっ!? ちょ、ちょっと待っ……!?」

姉「喰らえー、我が夫直伝の四の字固め!!」

兄「痛い痛い痛い痛いっ!? いや、マジで痛いからぁぁぁっ! ギ、ギブギブ!」

姉「アンタが今考えてることを吐きなさい! そうしたら解放してあげる!」

兄「四の字固めが痛いです……ちょっ、冗談だってあひぃぃぃっっっ!!?」

姉「早く言わないと段々拘束がキツくなってくよ~? ほらほら、楽になっちゃいなさいよ~」

兄「はっ、話すから! だから落ち着いて話すためにも、ちょっと緩めてくれっ!!」

姉「よし、じゃあ緩めるからさっさと話しなさいよ?」

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 01:07:06.95 ID:jccU9QCl0 [14/32]
兄「いってぇ……昔っからこういう乱暴なところがなければいい姉ちゃんなのにさぁ……」

姉「もう私は人妻だから、そんな嫌味は痛くも痒くもありませんのことよ。ほら、だから早く言いなさいよ」

兄「分かったよ……ったく、強引なんだからさ……」

姉「で、正直なところ妹のことはどうやって思ってるのよ?」

兄「……身内贔屓なんてなくても、可愛い、と思う」

姉「ほうほう、それなのに迷ってるのはなんで? 兄妹だから?」

兄「それもあるけど……別に、それが全てじゃない、かな」

姉「ん? じゃあ他の理由ってのはなんなの?」

兄「……今のこの関係が、ずっと続くものだと思ってたから。恋人になるにしても、今の関係には戻れないし」

姉「ふむ。でも、もう妹がアンタに告っちゃったからには、どっちにしても元には戻れないじゃないの」

兄「まぁ、そうなんだけどさ……それでも、一歩前に進むにしても後ろに下がるにしても、もうちょっと覚悟を決めるだけの時間がほしいというか、ね」

姉「………………アンタ、それで妹のこといつまで待たせるつもりなのよ」

兄「そう長く待たせるつもりはないから、そんな怖い目で睨まないでよ。どっちにしても、明日には結論を出すつもり」

姉「明日、ね……まぁ、それなら及第点かしら。優柔不断のアンタにはイライラさせられるかと思ってたけど」

兄「俺だって、待たせてるっていう意味での罪悪感くらい感じてるんだよ? いつまでもウダウダやってられないってことは分かってるよ」

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 01:12:11.37 ID:jccU9QCl0 [15/32]
姉「ふ~ん……じゃあ、せっかくだから明日までは私もこっちにいようかな」

兄「こっちにいようかなって、旦那さんと喧嘩してるから帰らないんじゃないの?」

姉「実はねぇ~、さっきダーリンから“帰ってきてくれ、お前がいないと寂しいんだ”なんて電話がきちゃったわけなのよ、ムフフ……」

兄「うわぁ……」

姉「な、何よ。別にいいでしょ? シラけた関係なんかより、ラブラブの方がよっぽどいいに決まってるじゃない!」

兄「それでも、こうやって惚気話を聞かされる俺の身にもなってくれよ……絶対に“うわぁ”としか反応できっこないんだからさ」

姉「ふ~んだ、そんな冷たい兄なんかもう知らないも~ん」

兄「はいはい、ごめんなさい、わるうござんした」

姉「誠意が全く感じられ~ん! やり直しを要求する!」

兄「ハァ……ごめんなさい、私が悪かった、謝りますので許してください」

姉「むぅ~……あんまり気持ちが籠ってないけど、まぁいいや。アンタにとって、大事な問題を抱えてるんだから」

兄「そう思うなら、最初からそっとしておいてくれればいいと思うのは俺だけか……?」

姉「そう邪険にしなさんな。とりあえず、私と話してて難しく考えなくてもいいってことが分かったでしょ?」

兄「というか、なんだか悩んでた自分がアホらしくなっちゃったような」

姉「それはそれで問題があるような気もするけど、とにかく! もっと簡単に考えなさいよ? じゃあ、妹の様子見てくるわね」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 01:17:08.05 ID:jccU9QCl0 [16/32]
『ガチャン』

兄「……ほんと、全然変わらない。人のペース乱すし、話あんまり聞いてないし、しかも自分の話したいことだけ話して行っちゃうし」

兄「“難しく考えるな”ねぇ………………うん」

兄「だったら、最終的に俺が出す答えなんて一つしかないよなぁ……」



ー翌日ー

兄「ただいま~……」

姉「おう、お帰り~。ちゃんと考えはまとまったか~?」

兄「……そういえば、いるんだったな」

姉「あんだよ~? いちゃいけないのかよ~、ブーブー」

兄「いや、別にいいけどさ……妹の靴があるってことは、もういるよね?」

姉「ん、さっき帰ってきたよ」

兄「そっか……じゃあ、話してくるよ」

姉「よっしゃ、行ってこい……ちゃんと妹のこと考えてあげなよ?」

兄「はいはい、了解しましたよ~っと」

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 01:22:10.52 ID:jccU9QCl0 [17/32]
 ー妹の部屋の前ー

『コンコン』

兄「……妹、いるか?」

兄「………………あれ? 反応がない……おかしいな、帰ってきてるんじゃなかったのか?」

兄「ん~……まさか、ねぇ。今日もまた俺の部屋にいるなんてことは……」



 ー兄の部屋ー

兄「お前はどうして毎日毎日……ほんと、呆れるしかないな」

妹「う、ぅ……だ、だって、お兄ちゃんを待ってる間、手持無沙汰で……だから……」

兄「だから、とりあえず落ち着くために俺の部屋に来て俺の匂いを嗅ぎに来たってか?」

妹「う、うん……」

兄「もうそんなことでとやかく言うつもりはないし、とりあえず先に大事な話がしたいし。っていうか、“お兄ちゃん”に戻ってるのはなにゆえ?」

妹「な、なんとなく……?」

兄「まぁ、いいけどさ。でも、あんまり動揺してないな? 大事な話って、何を話すか分かるだろ?」

妹「お、お姉ちゃんに聞いてたから……“学校から帰ってきたら、きっと何かしらのアクションがあるはずだぞ”って」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 01:27:12.75 ID:jccU9QCl0 [18/32]
兄「姉ちゃん……なんていうか、凄い複雑な気分だ」

妹「ど、どうして?」

兄「別に妹をビクビクさせたかったわけじゃないけどさ、そうやって心積もりされた状態だと拍子抜けというか……まぁ、気にするな」

妹「……? そ、それで……えっと……」

兄「あぁ、うん、そうだったな……じゃあ、気を取り直して」

妹「………………」

兄「昨日のことの、返事について言いに来たよ」

妹「……うん」

兄「で、俺としてはいろいろ迷ったんだけどさ。とりあえず先に、俺の答えだけ言っておこうかな」

妹「………………」

兄「………………」

妹「………………………………ぅ」

兄「………………………………」

妹「………………………………」

兄「………………………………………………ごめん、付き合えない」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 01:32:16.30 ID:jccU9QCl0 [19/32]
妹「……っ、ぅ……」

兄「俺のことを好きでいてくれるっていうのは凄い嬉しいし、妹のこと、俺も好きだよ」

妹「ぅ、ん………………ひぐっ」

兄「でもそれだけじゃ付き合えないと思う。今の俺には、いろんな意味で覚悟が足りないから」

妹「ふぇっ……か、かく、ご……?」

兄「お前と一緒にいることで、いろいろ嫌な評判が流されたりするかもしれない。それに、中途半端な気持ちで一緒にいても、妹に迷惑がかかるだけだ」

妹「めっ、迷惑なんて……!」

兄「なっちゃうんだよ、迷惑に……というか、負担に、と言った方がいいかもしれない」

妹「そんなごと……っ! ぐすっ」

兄「俺は精神的にもまだ未熟だと思ってるし、そういういろんな圧力に耐えられるだけの覚悟が出来上がってないんだ」

妹「そう、なんだ……」

兄「今妹と付き合ったら、多分その先にはバッドエンドが待ってると思う。俺は妹とはずっと仲良くやっていきたいんだ」

妹「仲良く………………」

兄「あぁ、だから……ごめん、少し待ってくれないか?」

妹「待つって、何を……?」

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 01:37:09.32 ID:jccU9QCl0 [20/32]
兄「ん~……俺たち二人が、どれだけ辛いことがあっても乗り越えてけるだけの強さが身に付くまで」

妹「え……? ど、どういうこと……?」

兄「もし妹が、俺が妹と一緒にいられるぐらいの強さを手に入れられたと思った時に、まだ俺のことを好きでいてくれるのなら……」

妹「え、え……?」

兄「その時は、付き合おう……いや、結婚しよう、かな?」

妹「……っ!!」

兄「ごめん、ちょっと回りくどい言い方しちゃって。でも、ちょっと妹を困らせたくなっちゃってね」

妹「うぅぅぅ……っ! バカぁぁぁっ!! にぃにのバカぁぁぁっっ!!」

兄「痛っ、痛いって……悪かったよ……なんていうかさ、お前って困ってる顔が一番可愛いからさ」

妹「ひぅっ!? そ、そんなこと言われても困るもんよぅ……」

兄「そりゃそうだよな。ごめんごめん……で、姉さん、何か言うことは?」

妹「へ………………?」

『ガチャッ』

姉「……アンタさぁ、分かってても私を呼ぶ必要なんてないんじゃないの?」

兄「どうせ一部始終を聞いてたのなら、この場にいてもいなくても変わらないでしょ。それに、妹も姉ちゃんには聞かれてもいいんじゃないの?」

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 01:42:10.80 ID:jccU9QCl0 [21/32]
姉「っていうかさ、いかにもカッコよく決めましたみたいな感じだけど、傍から見れば結論を先延ばしにしてるだけじゃない」

兄「そうだよ? それが何か?」

姉「コイツすっかり開き直りやがって……! 妹も、そんな優柔不断な兄でいいの?」

妹「ふぇっ!? え、えっと、“結婚”してくれるのなら……いいかなぁ」

姉「す、すっかり中てられちゃって……ハァ、私ならそんな返事貰ったら一発で恋も冷めそうなもんだけどなぁ」

兄「姉ちゃんが急かすからじゃん」

姉「急かしたんじゃない、“難しく考えるな”って言ったはずだよ?」

兄「うん、だから面倒なことは後回しにして、とりあえず今は妹と一緒に暮らしていきたいなって思って」

妹「にぃに……!!」

姉「妹、そこ感動するところじゃないからね? 結論先延ばしにしてる、ダメダメ男なんだから……って聞いてないし」

兄「まぁ、結果オーライなんじゃない?」

姉「ハァ……なんかつまんないなぁ、もっとこう、“えぇっ!? マジで!?”みたいな展開を期待してたのに……」

兄「ご期待に応えられなくてごめんなさいね」

妹「わ、私の期待には応えてくれたからそれでいいよ……っ」

姉「あ~、妹は可愛いなぁ。ったく、こんなダメ野郎じゃなくて、もっといい男いるだろうに……ほら、今このSS見てるアンタとか、立候補したら?」

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 01:47:07.66 ID:jccU9QCl0 [22/32]
姉「……それで、結局父さん母さんにはどうやって説明するの?」

妹「えっと……にぃに、どうする?」

兄「ん、今の時点では付き合うわけじゃないし、特に何も話すつもりはないよ。本当に付き合うことになったら、その時にでも」

姉「本当に全部後回しなんだね……あとで苦労しても知らないよ~?」

兄「その時は妹が一緒にいてくれるさ」

妹「う、うん! にぃにのために頑張るね!?」

姉「あ~、デレデレしやがってコンチクショウ。なんか急に旦那のことが恋しくなってきちゃったじゃんか……」

兄「それなら、会ってこればいいじゃん。ケンカはもう解決してるんでしょ?」

姉「はいはい、お邪魔虫はさっさと退散させていただきますよ~っと。お二人とも末永くお幸せにね~っと」

妹「お姉ちゃんも、旦那さんとケンカしちゃダメだよ……?」

姉「うっ……ぜ、善処します。っていうか、妹も言うようになったわね……さっきまで『お兄ちゃん』って不安そうにしてたくせに」

妹「っ!」

兄「ん? そういえば、また『にぃに』に戻ってるよな……どうしてだ?」

姉「さぁねぇ? 私の予想では、フラれた時のために精神的な予防線を張っておきたかったんじゃないかって思うけど」

妹「おっ、お姉ちゃん!!」

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 02:02:15.38 ID:jccU9QCl0 [23/32]
兄「予防線って?」

姉「『お兄ちゃん』って呼んでた方が、まだ少し他人行儀な感じだからねぇ。フラれた時のダメージ軽減になるようにって感じかしら?」

妹「お姉ちゃんいいから言わないでぇっ!」

兄「……そんな変わるもんか?」

姉「気分の問題よ、気分。さて、それじゃあ私も帰ろうかしらね」

兄「ん、りょーかい。そう頻繁に帰ってこないことを祈るよ」

妹「な、仲良くだよ?」

姉「弟や妹に心配されちゃうなんてねぇ……まっ、元気でやってくるよ! 別に何も持ち帰ってきてないし、身一つだから楽チンね」

兄「さいですか……じゃあ、また暫く会えないけど、またね」

妹「お姉ちゃん、バイバイ!」

姉「おぅ! アンタたちも仲良くね! じゃ、行ってくるわ!」

『ガチャッ』

兄「……行っちゃったか。さて、と……改めてだけど、こんな頼りない兄だけど構わない?」

妹「ううん、全然大丈夫だよっ。こちらこそ、これからも末長くよろしくお願いしますっ」

兄「あぁ、これからが大切だからな……一緒に頑張っていこうな、妹」

100 名前:さるさんウゼー[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 02:07:42.66 ID:jccU9QCl0 [24/32]
 あれからかなりの月日が経って、俺は自分なりに四苦八苦しながら生きてきた。

地元の大学を卒業し、今年からは社会人だ。

勤め先の企業から内定を貰ったその日のうちにプロポーズをした俺は、泣いて喜んでくれた妹と目出度く入籍。

 そう、【入籍】である。

なんと、俺と妹の血がつながってないという、なんとも都合のいい話だったというオチがある。

なんでも、俺は1歳にもならないくらいの時に本当の親が交通事故で亡くなり、親戚の中から今の両親の家に引き取られた、ということらしい。

つまり、正確には『妹』ではなく、『従妹』という関係が正しいわけだ。

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 02:11:22.94 ID:jccU9QCl0 [25/32]
 この話を聞いた時、姉ちゃんが“血の繋がりを気にしてるんだったら~”なんて言っていたのはこういうことだったのかと得心した。

つまり、あの時点で姉ちゃんは俺と妹が血の繋がりがないことを知っていたんだろう。

後に姉ちゃんに問い質したところ、姉ちゃんもそのことについて知ったのは高校を卒業した時らしく、父さんや母さんから直接言われたのだそうだ。

ちなみに俺は、妹が高校を卒業した時に二人一緒に呼び出されて、その時に言われた。

流石に最初はショックだったけど、正直なところ本当の親の顔は全然覚えていないし、寧ろ今の父さんや母さんこそ本当の両親みたいなものだと思う。

もちろん、本当の両親にだって感謝している。

“産んでくれてありがとう”と。

それに、その話を聞かされた時の妹の興奮っぷりときたら……

俺と血縁関係がないと分かって完全に舞い上がっちゃって、本当は付き合うなりなんなりの関係の進展があってから報告するはずだったのに、その場で両親にバレてしまった。

何かしらの反対を覚悟していた俺の予想に反して、父さんも母さんも特に何を言うわけでもなく認めてくれた。

俺にとって、これは凄いありがたかった。

反対を押し切ってまで、というのも覚悟はしていたけれど、そんなことしたくなかったし。

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 02:18:11.33 ID:jccU9QCl0 [26/32]
 妹について少しだけ触れると、俺と同じ高校に入学し俺と同じ大学に進学した。

高校3年生の時に成り行きでミスコンに出場させられたらしいんだけど、その日にたまたま大学の補講があって行けなかったのが物凄く残念だ。

ちなみに、そのミスコンの舞台でヘマをやらかしたらしく、文化祭から一週間くらい落ち込んでいたのを慰めていたのもいい思い出。

また、その副次的な効果として【守ってあげたい女の子】の第一人者になったらしく、その辺りから急激に告白される回数が多くなったようだ。

ま、全部断ったけどな。

俺も2回ほど出しゃばったし。

 現在大学3回生に進学した妹は、大学でほぼ一緒に行動していた俺の存在がいなくなったせいか、再びいろいろな人にアタックされているらしい。

“婚約したので”って言えばいいじゃないか、と言ってみたんだが、それはそれで恥ずかしいとか。

よく分からん。



 さて、そんな婚約をした俺と妹なわけだけど――――

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 02:23:11.87 ID:jccU9QCl0 [27/32]
 ー男の家、リビングー

妹「かっ、可愛い……!! ほ、ほ~ら、いい子いい子でしゅよ~」

兄「……赤ちゃんを前にすると、なんでか知らないけどそういう言葉遣いになっちゃうよな」

妹「あっ……も、もうっ! にぃにはそうやって私をからかってばっかり!」

姉「まぁ、分からんでもないけどねぇ。妹っていじめたくなるぐらい可愛いんだし」

兄「だよねぇ~」

妹「そ、そんなの酷い……うぅ~」

姉「ほら、そういう仕草とか。まるで“いじめてください”と言わんかのように」

兄「いやはや、まったくもってその通り。姉ちゃんの意見に賛同したのって凄い久しぶりだなぁ」

妹「二人とも酷いよぉ……」

兄「……ま、まぁそれよりさ。姉ちゃんの子供もだいぶ大きくなったよねぇ」

姉「ん~? つっても、ようやく離乳食が終わったばっかりだし、ちょうど一年とちょっとってところ」

妹「結婚は早かったけど、それにしては子供作るのに時間かかったね?」

姉「それなんだよねぇ~! あれだけズッコンバッコンヤってたっていうのに、全然赤ちゃんできなくってさぁ」

妹「ズ、ズッコンバッコン………………ひぅ」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 02:30:32.17 ID:jccU9QCl0 [28/32]
兄「姉ちゃん、妹には刺激が強すぎる話題みたいだぜ」

姉「はぁ? 何言ってんの、アンタらだってヤってんでしょ?」

兄「あ、あのなぁ……!」

妹「ぁ、うぅ……その、えっと……」

姉「……まさか、まだヤってないの?」

兄「えっと………………まぁ、うん」

姉「………………信じらんない。今時珍しいくらいの初心なカップルだわ」

妹「だ、だって……怖いし……」

姉「そんなもん怖がっててどうするのよ……あ、出産の方が大変だから、気楽にヤっちゃいなさいよ」

兄「比較する対象がおかしいだろ。っていうか、その辺は姉ちゃんに言われなくても俺たちで折り合いつけてくから」

妹「そ、そうだよね! うん、私たちには私たちのスタイルがあるから!」

姉「ふ~ん……いいけどね。は~ぁ、旦那は出張で暇だからこっち来たけど、アンタたちも特に進展なさそうでガッカリだわ」

兄「悪かったな」

姉「もう帰るわ。一応家の掃除とかしておきたいし、内職やっておかなきゃいけないし」

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 02:33:36.87 ID:jccU9QCl0 [29/32]
妹「お姉ちゃん、最近パート頑張ってるね」

姉「まぁ、少しでも家庭を潤しておかないとねぇ……この子には大変な思いさせたくないし。っていうか、兄も仕事は大丈夫なの?」

兄「……まぁ、それなりにやってるよ。流石にまだ一週間だから、慣れてないことばっかりで疲れるけど」

妹「家に帰ってきてからのサポートはバッチリです!」

姉「そっかそっか、まぁ何はともあれ上手くやってるようで安心したよ。そんじゃ、私は帰るね」

兄「分かった……送ろうか?」

姉「いいよいいよ、運動がてら散歩しながら帰るからさ」

妹「ここから歩いてたら1時間近くかかるんじゃ……」

姉「それぐらいどうってことないって! この子抱えてっつうのは骨だけど、二人の時間に割り込むような野暮な真似はしませんよ」

兄「家に来てる時点で十分邪魔してるんじゃ……」

姉「細けぇこたぁいいんだよっ! そんじゃ、また来るわ……っと、その前にもう一つ聞こうと思ってたことがあったわ」

兄「なに?」

姉「妹の匂いフェチは治ったのかな?」

妹「へっ!? あ、それは……えっと……」

姉「……治ってないんだね。今じゃ遠慮することなく抱きついて思いっきり匂いを堪能できるから、余計治りにくいかもねぇ?」

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 02:38:20.81 ID:jccU9QCl0 [30/32]
兄「というか、そもそも妹は治す気がないみたいだけどな」

妹「だ、だって、私とにぃにが一緒になれるキッカケになったんだよ!? 縁起がいいじゃん!」

姉「縁起がいいって、別にそんなことがなくても普通にくっついてたんじゃないかと思うけどなぁ、私は」

妹「そんなことないもん!」

兄「大体、匂いフェチを縁起がいいものとして担いでいるカップルなんて嫌なんだけど」

妹「にぃにまでそういうことを言う! もういいもん……」

姉「拗ねちゃってる妹、かっわいい~!」

妹「ぶぅ~……」

兄「まぁ、こんな感じであんまり進歩はないよ。っていうか、もう俺もそこまで気にしてないからな」

姉「お互いが納得してるのならいいけどね。他人様に迷惑かけるようなもんじゃないし。そんじゃ、私が聞きたかったのはそんだけだから」

妹「バイバイ、お姉ちゃん!」

兄「またね、姉ちゃん」

姉「おぅ、またなっ!」

『ガチャン』

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 02:42:51.64 ID:jccU9QCl0 [31/32]
兄「まったく、姉ちゃんは……って、妹? どうかしたか? ボーっとしてるけど」

妹「へっ? あっ、ううん、なんでもないよ!」

兄「そうか? なんか物欲しそうな、というか……そんな感じの表情だったような気がするけど」

妹「う~んと………………赤ちゃん、欲しいなって」

兄「ブッッッ!?」

妹「えっ……? あっ……!! ち、違うの! これは、その、あの……!!」

兄「ケホッ、ケホッ……あ、あぁ、いや、分かってるって。そんな深い意味はないんだろ?」

妹「う、うん! そうなの! 純粋に“赤ちゃんいいなぁ”って思っただけで……!」

兄「そうだな……赤ちゃん、可愛かったな」

妹「うん……ねぇ、にぃに」

兄「なんだ?」

妹「………………赤ちゃん、いつか作ろうね」

兄「………………あぁ、そうだな。幸せな家庭にしような」



 ~fin~

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/08(土) 02:46:35.71 ID:jccU9QCl0 [32/32]
終わったぜー
一回だけさるさんくらったけど、
スレストに邪魔されることもなく最後まで突っ走った

とりあえず途中で支援してくれた人ありがとう
さるさんが一回で済んだのはみんなのおかげだ

とりあえず今現在は昔の作品の続編を書こうかな~と画策中だけど
いつ完成するのか未定だし、今はこんな感じでお別れっす

そんじゃ、お休みなさーい

コメント

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)