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かきふらい「燃え尽きた…」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:25:26.37 ID:VSPY76md0 [1/42]
かき「ふぅ……」

かき「最終回の分を描き終えた……」

かき「あとは、コミックスの描き下ろしでけいおんともお別れだ」

かき「思い返せば、ここ1年は激動の人生だった」

かき「正直これを書き始めたときは自分でも面白いのかどうかわからなかったからな~」

かき「それでも、マンガが描けるってだけで続けていけたんだけど」

かき「まさかのアニメ化でここまでになっちゃうなんて……」

かき「京アニ様々だ」

かき「その分プレッシャーも凄かったけど……」

かき「でも、なんとか無事に終えることも出来た」

かき「……」

かき「もう、当分はいいかな……」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:26:35.26 ID:VSPY76md0
かき「そう言えば、今日はアニメの本編最終回のアフレコするとか言ってたっけ」

かき「スタッフの人にも是非見に来て下さいって言われたんだよね」

かき「……」

かき「ここは原作者として挨拶に行っておくべきだろうか……」

かき「いやいや……、そんな偉ぶらなくてもいいか……」

かき「それに、普段から出不精だから着ていく服もないし……」

かき「でも、最終回くらい顔見せてスタッフの人たちにお礼も言いたい」

かき「う~ん……」

かき「どうしよう……」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:27:41.10 ID:VSPY76md0
都内 某スタジオ

かき「思い切って来てしまった」

かき「やっぱり、挨拶くらいはしとかないとな」

かき「今のけいおんがあるのもアニメのおかげだし」

「ややっ!? かきふらい先生ではありませんか!」

かき「はっ、はいっ! こ、この度は最終回おめでとうございますっ!」

「来てくださってありがとうございます。ささっ、どうぞ中へ」

かき「お、お邪魔じゃありませんか?」

「滅相もない、先生はこのけいおんの生みの親なんですから。どうぞ遠慮なさらずに」

かき「生みの親より育ての親って言いますけどね……」

「何かおっしゃいましたか?」

かき「いえ……」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:29:12.77 ID:VSPY76md0
「ちょうど、今ラストシーンを録っているところなんですよ」

かき「はぁ……」

かき(ちゃんと色がついて、動いて喋るってやっぱりすごいな)

「先生も、もうマンガの最終回は描き終わっていらっしゃいますよね?」

かき「はい、あとは単行本の描き下ろしを形にすれば本当に終わりです」

「それはそれは。いや~原作と同時に終わるという展開もピタリとハマりましたな」

かき「そうですね」

「しかし同時に終わるからには、我々も先生の原作の足を引っ張らないよう大変気が揉めまして」

かき(それは、むしろこっちのセリフじゃ……)

「ですが若いスタッフ中心によく頑張ってくれたと思っております」

かき「ええ、それはもう」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:30:24.69 ID:VSPY76md0
『あ、私たちの曲、聞いてくれる?』

『ワンツッ!』



「はいOK!」

「お疲れ様でした~!」

豊崎「あ! 皆、かきふらい先生が来てる!」

寿「ご無沙汰してます」ペコリ

かき「あ、いえ……こちらこそ」

竹達(一番年下なのにあいかわらずシッカリしてるな~)

佐藤「なんか珍しいですね~」

日笠「上下ユニクロ……。ふふっ」

かき「……」

佐藤「ちょ! 失礼でしょ!」

かき(やっぱり来るんじゃなかったかな……)

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:31:15.97 ID:VSPY76md0
 ・ ・ ・ ・ ・

「それでは、原作者のかきふらい先生から何か一言頂きたいと思います」

かき「えっと……、あの……」

日笠「頑張って、かき先生!」

かき「は、はひ!」

日笠「はひっ! だってwwww 緊張しすぎですよ~」

かき「……」

佐藤「ぴかしゃはちょっと黙ってましょうね~」

日笠「すまん」

豊崎「どうぞ、続けて下さい」

かき「う、うん」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:31:57.79 ID:VSPY76md0
かき「皆さんお疲れ様です」

かき「自分の書いたマンガがここまで世間の目に触れることになったのも
   アニメのスタッフの皆様のおかげだと思っています」

かき「その……」

かき「どうも、ありがとうございまっし……」

竹達「噛んだ……」

かき「……ました」

日笠「なんていうか見た目通りですね」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:32:54.90 ID:VSPY76md0
豊崎「ところで先生。私たちこれから打ち上げに行くんですけど」

寿「先生もご一緒にいかがですか?」

かき「え、いや……」

竹達「一緒に行きましょ~」

豊崎「もしかして、何かこの後用事があるんですか?」

かき「別にないけど……」

佐藤「是非いらして下さい!」

かき「うん、じゃあ、まぁ……」

日笠「じゃあ決定! そら引っ捕えろ~!」

豊崎「それ~!」

かき(テンション高けぇ……)

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:34:37.39 ID:VSPY76md0
竹達「あ、でも思ったより早く終わっちゃったからお店を予約した時間までまだあるよ」

日笠「よし、だったらその時間を利用してかき先生の服でも買いに行っちゃおう!」

かき「ええっ! 別にそんなのいいよ……」

豊崎「面白そうだね」

佐藤「はいはい! 私が選んであげたい!」

かき「ちょ……!?」

寿「あの……ご迷惑ですか?」

かき「う、う~ん」

日笠「お金なんて腐るほどあるんじゃないですか~?」

佐藤「生々しい話はやめ!」

かき「いや、そういう問題じゃなくて……」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:35:45.41 ID:VSPY76md0
某ショップ

かき「結局、流されて服買いに来てしまった……」

かき「こんなTシャツが平気で一万円超えする店なんて初めて来たよ……」

日笠「はいはい、次はこの服ね~」

佐藤「さぁさぁ、早く試着室で着替えてみて下さいね~」

かき「こ、こんなに……」

竹達「私もこんなの選んでみました!」

かき「はぁ……」

かき「わかったよ、じゃあ着替えるから」

日笠「別に覗いたりしないので、ゆっくり着替えて下さいね~。グッヘッヘ」

佐藤「もう! やだこの子ったらぁん!」

かき(もう疲れた……)

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:36:40.05 ID:VSPY76md0
 ・ ・ ・ ・ ・ ・

かき「ど、どうかな……」

寿「似合ってますよ先生」

日笠「ぷっ……くくっ……かわいいですよ……ぶふっwwwww」

かき「……」

佐藤「こらこら、さすがに失礼だよ~」

豊崎「可愛いよりカッコイイの方が嬉しいんじゃない?」

日笠「そっか、じゃあ改めて……」

日笠「いや~ん、惚れちゃう~! もう私グチョグチョ~!」

竹達「ちょ! お客さん見てるから!」

かき(もう、どうでもいいや)

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:38:00.58 ID:VSPY76md0
 ・ ・ ・ ・ ・

かき(服だけでこんなにお金払ったの初めてだ……)

豊崎「先生、大丈夫ですか?」

かき「あ、うん。大丈夫。あんまりこういうの慣れてないからちょっと疲れちゃったけど」

豊崎「ふふっ、お疲れ様です」

かき「でも、たまにはいいかもね。皆に連れてこられなかったら一生こんなところにはこなかったかもしれないし」

豊崎「だったら良かったです」

かき「まぁ、この買った服を着る機会はあるかどうかわからないけど」

日笠「ええ~! 折角私たちが選んだんですからちゃんと着てくださいよ」

かき「そ、そうだね。きっと着るよ」

かき「じゃあ、今日はありがと……」

佐藤「それじゃあ、そろそろ時間だし打ち上げ会場に行きますかー!」

かき(そうだった……)

寿「先生?」

かき「あ、いや、なんでもないよ。(これからが本番だった……)」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:39:37.70 ID:VSPY76md0
某居酒屋

日笠「ウッヘッヘッヘッヘ」

佐藤「いきなり出来上がり過ぎでしょ」

竹達「ちょっとは自重してほしい」

日笠「そんなこと言ってると、あやっちのそのたわわに実った果実をもぎっちゃうぞ~」

竹達「あ~~~れ~~~」

豊崎「オヤヂがいる~」

佐藤「先生こんな奴はほっといて楽しんで下さいね」

かき「は、はぁ……」

日笠「こらそこ! 暗いぞ!」

かき「ううっ……」

佐藤「あ、すみません店員さん。このホッケ注文お願いします」

日笠「おいおい、魚類同士で共食いかい?」

佐藤「ああ?」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:41:19.18 ID:VSPY76md0
寿「すみません先生。でも、この人普段からこんなんなんで仕方ないんですよ」

日笠「ちょっとちょっと! こんなんとは何だ!こんなんとは」

豊崎「見たままだよ」

日笠「ぐぬぬ……」

かき「いつもこんなに賑やかなの?」

寿「ええ、まぁ」

日笠「だったらみなちゃんもお酒飲んでもっと陽気にならなきゃ」

寿「でも、私、まだ未成年だし」

日笠「ああ? こんな団地妻みたいな風貌で未成年なんて笑わせるんじゃないよ!」

寿 ギロッ!!

日笠「ひぃぃぃぃっ!! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!
    もう喋らないのでお許しをっ!!」

竹達(睨み一つで黙らせた)

豊崎(相変わらず凄いや……)

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:42:41.71 ID:VSPY76md0
豊崎「なんだか騒がしくってすみませんね~先生」

かき「……」

豊崎「先生?」

かき「あ、ごめん。なんだか圧倒されちゃって」

豊崎「ふふっ。でも、楽しいでしょ?」

かき「そうだね……」

佐藤「先生は、こういうの慣れてらっしゃらないんですか?」

かき「大学のときも極仲間内でしかつるんだことなかったし
   こんな大人数で飲むのは久しぶりかも」

寿「先生のお話聞かせてもらえませんか?」

かき「そんな……面白い話なんかないよ」

竹達「けいおんの誕生秘話とか」

豊崎「あ、聞きたい聞きたい!」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:45:15.03 ID:VSPY76md0
かき「え? 別にそんな大層なことはないよ」

佐藤「先生にはそうでも、私たちには面白い話かもしれませんよ」

寿「うん。裏話知りたいです」

かき「そんな裏話なんて無いよ。ただ昔から絵を描くのが好きで
    おぼろげに漫画で食べていけたらなぁ、って思ってたら
    たまたま芳文社の人から話があって、それじゃあって感じで」

豊崎「まぁ、始まりなんてそんなものですよね」

かき「それが気づいたらアニメ化なんて話になって
    そのアニメもいいスタッフに恵まれてそのおかげで世間に広まったし」

かき「それに皆を見て改めて気づいたんだ。やっぱりけいおんはアニメのおかげでここまで大きくなったんだよ」

竹達「そんなことないですよ」

かき「いや、これだけバイタリティに溢れた人たちが作ったからこそ
    こんな漫画も素晴らしい作品に昇華させてもらったんだって」

かき「ずっと家に引きこもって漫画描いてる奴のよりも
    こうやって元気溢れる人たちの作品だからこそあれだけの盛り上がりがあったんだよ」

かき「本当に感謝しています」

豊崎「先生……」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:46:40.49 ID:VSPY76md0
佐藤「次回作なんかの構想はもう練ってあるんですか?」

かき「そんなものはないよ。もうこのけいおんで全て使い果たしたって感じだし」

かき「元々こんなに売れる漫画家でもないと思ってるしね」

かき「正直燃え尽きたって言うか……」

かき「って、ごめんごめん。なんか折角の場が湿っぽくなっちゃったね」

豊崎「いいんですよ。そうやって愚痴こぼすのも。そういう席なんですから」

寿「なんだか漫画を描かれるのも大変なんですね」

竹達「それはそうでしょ、なんせ才能が無きゃやっていけないんだもん」

かき「……そうだね」

かき(全く以ってその通りだと思う。ただ運が良かっただけだ)

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:49:33.93 ID:VSPY76md0
日笠「先生って、けいおんのキャラで言ったら澪って感じですよね
    なんか引っ込み思案なところとか……」

かき「ああ、まぁ……」

寿 チラッ

日笠「ごめんなさい、勝手なこと言いました。もう黙ってます」

竹達(なんかトラウマになってる……?)

佐藤「あんたは正反対だけどね」

豊崎「そういえば先生も左利きなんですよね」

かき「うん。なにか自分の体験でネタになることはないかなって考えた結果
    そうだ左利きの子を登場させて、左利きだからこそのエピソードを描こうかなって思って」

佐藤「それで、澪を左利きにしたと」

かき「最初は澪に感情移入し過ぎてバランス取るためにちょっと苦労したけどね」

豊崎「漫画のあとがきなんかは澪が多かったですもんね」

竹達「性格とかもご自身をモデルに?」

かき「恥ずかしながら……、ただあんなに暴力的ではないけどね」

寿「そっか。先生を見て何か誰かに似てるなって思ってたけどそれって澪のモデルだったからなんですね」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:50:40.16 ID:VSPY76md0
かき「モデルって……まぁ内面だけは」

寿「ちゃんとお化粧したら澪になっちゃうかも」

佐藤「あ、それ面白そう」

かき「それは勘弁してほしいかな……」

寿「冗談ですよ、うふふ」

かき(服のときもそうだけど、やり兼ねないから恐い)

豊崎「じゃあ、やっぱり一番思い入れのあるキャラは澪ってことに?」

かき「確かに最初はそうだったけど、描いてる内にやっぱり皆に愛着が湧いたっていうか」

かき「そう、皆自分の娘みたいなものだから。順番は決められないよ」

 「おお~~……」

かき「って……ちょっと語り過ぎたし臭すぎだね……。なんか恥ずかしいな……」

日笠「フヒヒ、やっぱり澪っぽいですよ。先生」

佐藤「なんか蘇った」

かき「……」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:52:01.69 ID:VSPY76md0
 ・ ・ ・ ・ ・

日笠「よっしゃ~二次会行くぞ! 二次会!」

佐藤「明日はオフだ~! 騒ぐぞ~!」

豊崎「ごめん、私はここまでで」

寿「愛生ちゃん明日朝から仕事だっけ?」

豊崎「うん、ごめんね」

日笠「仕方ないなぁ~。先生はもちろん来ますよね!」

かき「あ、えっと……」

かき(あんまり行きたくないな……)

竹達「先生?」

豊崎「先生さっきから気持ち悪いって言ってたの大丈夫ですか?」

佐藤「そういえばさっきから元気なかったですね」

かき「ごめん、ちょっと飲み慣れてないから……」

豊崎「あ、じゃあ、私先生を送っていきます!」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:52:45.75 ID:VSPY76md0
日笠「もう、あっきょはいやらしいんだから~」

佐藤「こらこら」

竹達「じゃあ、愛生ちゃんお願いしてもいい?」

豊崎「お任せあれ!」

寿「それじゃあ、お疲れ様」

佐藤「まったね~ん」

豊崎「うん、お疲れ様」

豊崎「じゃあ、行きましょうか」

かき「う、うん」

日笠「いよっ! ご両人。熱いよ!」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:53:57.73 ID:VSPY76md0
かき「ありがとう、なんだか助けてくれたみたいで」

豊崎「先生すごく疲れてたみたいなんで」

かき「正直言うと2次会まで行ったらどうなってたか……」

豊崎「無理しなくても、嫌だったら嫌って言ってもらっていいんですよ?」

かき「まぁ、そうなんだけど……」

豊崎「あ、タクシー来ましたよ」

かき「豊崎さんお先にどうぞ」

豊崎「先生、ご自宅は?」

かき「〇〇だけど」

豊崎「私も、〇〇方面なんでどうせなら一緒に乗りましょう」

かき「え、でも……」

豊崎「私と一緒じゃ嫌ですか?」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:54:52.94 ID:VSPY76md0
 ・ ・ ・ ・ ・

かき(結局一緒に乗ってしまった……)

豊崎「先生のご住所は?」

かき「〇〇の××だけど」

豊崎「じゃあ、そこにお願いします」

運ちゃん「あいよ」

かき「いや、豊崎さんの方から先でいいよ」

豊崎「いいんですよ」

かき「でも……」

豊崎「あの……」

かき「ん?」

豊崎「今日先生のお宅に泊めて頂いても……いいですか?」

かき「……え?」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:56:30.96 ID:VSPY76md0
豊崎「駄目……ですか……」

かき「いや……その……」

豊崎「私みたいな巨人が入る部屋なんて無いですよね……」

かき「そんなことはないけど……」

かき「豊崎さん人気声優だし、ファンの子にバレちゃったら……」

豊崎「もう、先生そんなの考えすぎですよ」

かき「そうかな」

豊崎「他の声優仲間の人も友達の家に泊まるなんて普通にやってるんですから」

かき「友達……ね」

豊崎「そうです」

かき「う~ん……」

豊崎「駄目だって言ってもついて行っちゃいますから」

かき「そこまで言うんなら……」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:57:42.83 ID:VSPY76md0
豊崎「じゃあ、先生の家から一番近いコンビニに寄ってもらえます?」

かき「ああうん、だったらそろそろ……あ、この辺で」

運ちゃん「あいよ」

かき「何買うの?」

豊崎「下着です」

かき「ああ、そっか……。Tシャツやハーフパンツくらいなら貸してあげれるけどね」

豊崎「もしかして下着も先生の貸していただける、とか?」

かき「いや、それは無理でしょ」

豊崎「ですよね~、サイズの問題もありますしね」

かき「そういう問題じゃないと思うよ?」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 02:59:51.19 ID:VSPY76md0
かきふらい自宅

豊崎「うわ~、ここでけいおんが生まれたんですね!」

かき「ちょっと散らかってるけど」

豊崎「アシスタントさんとかいないんですか?」

かき「全部一人でやってるよ。月刊で4コマだし、その方が気楽だし」

豊崎「へ~」

かき「何か飲む? って言ってもお酒とかは普段飲まないから無いけど」

豊崎「あ、お気遣いなく」

かき「コンビニで何か買ってくればよかったね」

豊崎「それよりも、お風呂に入りたいかも」

かき「え?」

豊崎「ちょ、や、やだ。そんなに変に意識しないで下さいよ。
    今日はお仕事もしたしお酒も飲んだから汗かいちゃって」

かき「そ、そうだね」

かき「じゃあ、ちょっとお風呂沸かしてくるよ」

豊崎「お願いします」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 03:00:48.49 ID:VSPY76md0
 ・ ・ ・ ・ ・

かき「お風呂が沸いたんで、豊崎さんお先にどうぞ」

豊崎「それじゃあ、お先に……」

かき「ごゆっくり」

豊崎「一緒に入ります?」

かき「なっ!?」

豊崎「じ、冗談ですよ!」

かき「あんまりビックリさせないで」

豊崎「私と一緒に入ったら二人で湯船にはまっちゃうかもしれないですしね」

かき「そのネタもう鉄板ネタだね」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 03:01:32.67 ID:VSPY76md0
 ・ ・ ・ ・ ・

豊崎「お先でした~。すみません先生。私が先で」

かき「お客さんだからね」

豊崎「うふふ、じゃあお次先生どうぞ」

かき「うん、それじゃあ失礼して」

豊崎「大丈夫ですよ、よっちゃんじゃないから覗いたりしないんで」

かき「……うん」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 03:02:37.41 ID:VSPY76md0
 ちゃぽ~ん

かき「ふい~~~~」

かき「しかし、なんでまた豊崎さんウチに泊まるなんて言い出したんだろ?」

かき「家に帰っても暇なのかな……」

かき「こんなところにいたって暇だと思うけどなぁ」

かき「……」

かき「友達……か」

かき「声優さんなんて裏方の人だったのにいつのまにか表に出るようになってから綺麗な人増えたな」

かき「豊崎さんも……綺麗だな……」

かき「っていったいなに考えてるんだ!」

かき「ただの友達、ただの友達なんだ」

かき「けど、豊崎さんは……どんな気持ちで……」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 03:03:47.91 ID:VSPY76md0
 ・ ・ ・ ・ ・

豊崎「うんうん、ちゃんとある」

かき「あれ? 豊崎さん台所で何してるの?」

豊崎「わっ!? も、もう上がったんですか?」

かき「うん、いつもこのくらいだけど……」

豊崎「そ、それじゃあ明日も早いんで寝ましょうか」

かき「じゃあ、豊崎さんはベッドで」

豊崎「先生は?」

かき「こっちのソファで寝てるから、何かあったら起こしてくれたらいいよ」

豊崎「え、でも、そんなの悪いです!」

かき「だけど……」

豊崎「私が、ソファで寝ます!」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 03:04:28.82 ID:VSPY76md0
かき「いや、悪いし……」

豊崎「先生がベッドを使って下さい!」

かき「そういう訳にはいかないよ」

豊崎「私が先生のベッドなんかで寝たら足がはみ出ちゃいます!」

かき「きっとソファの方が狭いと思うよ」

豊崎「ううっ……」

かき「気にしないでいいから、ベッドをお使い」

豊崎「気にします!」

かき「って言われてもなぁ」

豊崎「だから……ここはお互いの主張の間をとって一緒にベッドで寝ましょう!」

かき「ぶっ!!」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 03:05:20.23 ID:VSPY76md0
 ・ ・ ・ ・ ・

豊崎「や、やっぱり狭いですね」

かき「二人で寝る想定をしていないベッドだから」

豊崎「そっか……」

  「・・・・・・」

かき「ねぇ」

豊崎「はい?」

かき「なんで豊崎さんはウチに来たの?」

豊崎「ごめんなさい、無理矢理家に上がり込んじゃって……迷惑でした?」

かき「いや、そんなことはないけど」

かき「ただ、なんでかな、と思っただけで」

豊崎「……先生は」

かき「ん?」

豊崎「先生はこれからどうなさるおつもりなんですか?」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 03:06:21.46 ID:VSPY76md0
かき「そうだな……。とりあえずアニメのおかげで漫画も売れたし
    やらしい話、慎ましく生きていけば充分一人で食べていけるだけ稼がせてもらったし」

かき「このままひっそりと生きていくのも悪くないかなって」

豊崎「それでいいんですか?」

かき「別にちやほやして欲しくて描いてたわけじゃないから」

豊崎「そうじゃなくって、そんなにいつまでもアニメのおかげだなんて思ってほしくないんです!」

かき「……事実だよ」

豊崎「事実かもしれません……でも」

かき「でも?」

豊崎「そのけいおんを生み出したのは先生であるっていうのも紛れもない事実なんじゃないですか?」

かき「……」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 03:07:17.49 ID:VSPY76md0
豊崎「確かに火がついた切っ掛けはアニメかもしれません」

豊崎「でも、だからといって原作が面白くなければ百何万部も売れませんよ」

かき「……」

豊崎「先生はご自分の力だとは思ってなくても」

豊崎「ちゃんとファンの皆さんはわかってくれていますよ」

かき「豊崎さん……」

豊崎「それに、先生がけいおんを描いてくれなかったら今の私も無かったと思います」

豊崎「私だけじゃなくって、他の声優のみんなもそうです」

かき「もしかして、そういうことを言いにウチまで?」

豊崎「えへへ、なんだか先生元気が無さそうだったから」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 03:07:59.26 ID:VSPY76md0
かき「そっか……ふふっ」

豊崎「うふふっ」

かき「そんなにだった?」

豊崎「なんかもう定年を迎えた人みたいになってましたから」

かき「ありゃ~」

豊崎「厚かましいかとは思いましたけど、私が元気を分けてあげられればなって思って」

かき「うん。ありがとう豊崎さん」

豊崎「あの……」

かき「なに?」

豊崎「愛生って呼んでもらっていいですか?」

かき「あ、愛生ちゃん」

豊崎「はい。うふふ」

かき(なんだ……この雰囲気)ゴクリ…!!

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 03:08:54.76 ID:VSPY76md0
豊崎「先生はずっとそうやってけいおんの漫画を描いてらしたんですか?」

かき「う~ん……そうだな~」

かき「実際アニメになってからいきなり話題になったからね」

かき「ネットでも中身が無いって色々見かけたし」

かき「だけど、世間にどう思われようと関係ないって思って今まで描いてきたんだ」

かき「だからこうやってちゃんと評価をしてくれてる人の話も聞かずにいた」

豊崎「先生は漫画の評価以上に色々なものを産み出してますよ」

豊崎「その一つが私です」

かき「そう言ってもらえると助かります」

豊崎「いえいえ」

豊崎「元気になりました?」

かき「うん」

豊崎「じゃあ、もっと元気にしちゃおうかな~」ギュ

かき「!!?」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 03:11:47.33 ID:VSPY76md0
────
────────
────────────

 チュン…チュンチュン…

かき「う、うう~ん……」

かき「今、何時……?」

かき「もう9時か……」

かき「そういえば愛生ちゃんは?」

かき「いない……」

かき「……あれ? もしかして夢だった!?」

かき「なんて夢見ちゃったんだろ……」

かき「溜まってるのかな……」

かき「いやいや! 夢でもあの展開はおかしいって!」

かき「確かに、描くにはそういうのが好きではあるんだけど……」



かき「ん? なんか味噌汁の匂いがする」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 03:12:35.97 ID:VSPY76md0
かき「やっぱり、鍋に味噌汁が作ってある」

かき「あれ? これ書置きかな」

『かきふらい先生へ

  おはようございます。昨日はありがとうございました。
  私は朝早くから仕事なのでお先に失礼します。
  なんだかよく眠っていたようなので起こすのも悪いかなと思ったので…。

  台所を勝手に使わせてもらっちゃいました
  お味噌汁を作ったのでよろしければお召し上がりください。
  ちゃんとご飯も炊いてあります。あと簡単ですが玉子焼きもテーブルの上に置いておきました
  お口に合えばいいんですが。

  それとこれ私の携帯番号とメルアドです。また連絡下さいね

                     貴方の愛生より 愛を込めて』

かき「夢じゃなかったんだ……」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 03:13:21.38 ID:VSPY76md0
数週間後

かき「コミックスの描き下ろしも描き終えた」

かき「これで本当にけいおんとはお別れか」

かき「自分の手には余る作品だったな」

かき「あまりにも大きくなり過ぎたせいで押しつぶされそうになったけど」

かき「その最初の一歩は紛れもなく自分なんだ」

かき「それにちゃんと評価してくれている人もいる」

かき「また、こんな作品が描ければいいな」

かき「……」

かき「そういえば、今日は番外編の最終話のアフレコだって愛生ちゃんからメール着てたっけ」

かき「……行ってみるか」

かき「ちょうど、あの日皆に選んでもらった服もあることだし」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 03:14:36.04 ID:VSPY76md0
かき「あ、でも手ぶらで行くのもなんだな……」

かき「けど、何を持っていけば……」

かき「……」

かき「描くか」

かき「うん、それがいい」

かき「言葉で伝えるのは苦手だけど」

かき「その分、心を込めて絵を描けばきっと伝わる」

かき「自分にはこれしかないんだし!」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 03:15:39.36 ID:VSPY76md0
都内 某スタジオ

かき「うわぁ~。さすがにこれだけの量を描いてたら遅くなっちゃった」

かき「前来たときよりも身支度に時間も掛かったし」

かき「まだ、やってるかな」



かき「あの、すみません」

「はい?」

かき「けいおんのスタジオはこちらでよろしかったでしょうか?」

「どちら様でしょうか?」

かき「か、かきふらいです……」

「ええっ!? せ、先生! これは失礼しました!」

かき「い、いえ……」

「しかし、ついこの間会った時と比べると見違えるように……」

「い、いや、これは失言でした」

かき「ふふっ。自分でもわかっているんでいいですよ」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/07(木) 03:16:45.23 ID:VSPY76md0
佐藤「ああ! かき先生だ!」

豊崎「やっほ~かきちゃん!」

かき「前にみんなに選んでもらった服なんだけど……どうかな?」

寿「うんうん。やっぱり私たちの目に狂いはなかったっていうことね」

日笠「そうそう。やっぱり女に生まれたからにはスカートひらひらさせないと」

竹達「すっごくお似合いですよ!」

かき「そ、そう?」

豊崎「お化粧もばっちり決まってるね!」

かき「皆に言われてから、ちゃんとしようかなって思って」

日笠「これが……原石か……」

かき「実は皆さんにお礼の気持ちも込めて、これ描いてきたんだ」

豊崎「わ~! すご~い! やっぱりかきちゃん天才だよ!」

かき「ふふっ、ありがと」

 そう言って照れるように笑う姿はとある人気漫画の左利きのベーシストが
 大人になればこうなるであろう姿だったそうな

おしまい

コメント

ん?かきふらい男だよな?
なんでスカート?化粧?

女だったらっつー話しだろ

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